JP4983641B2 - 炭素繊維前駆体糸条の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、糸条総断面積とは、ラビリンスの開口部の最小径となった部分を通過する時の糸条面積の総和であり、ラビリンスの流路面積とはラビリンスの開口部が最小径となった部分の開口部面積を言う(ここで、ラビリンスの開口部の最小径を、ラビリンスノズル径と呼び、また特に断らない限り、径は直径を示すものとする)。糸条総断面積は次の方法によって求めることが出来る。
延伸チューブに入る直前(導入部)及び出た直後(導出部)で糸条を切断して採取する。このとき上述の定義では、糸条総断面積は、ラビリンスの開口部の最小径となった部分を通過する時のものであるが、最小系となった部分でのサンプリングは不可能であるため、延伸チューブに入る直前および、出た直後の糸条総断面積をラビリンスの開口部の最小径となった部分での糸条総断面積としてするものと定義する。
導入部及び導出部で採取した糸条を糸条の走行方向と直交する断面方向に切断した後、光学顕微鏡にて観察し、総フィラメント数の1%の個数を無作為に抽出し単糸直径を測定しその平均値を求め、総フィラメント数と平均単糸直径より糸条総断面積を算出する。
ラビリンスの流路面積は次の方法によって求めることが出来る。
スチーム延伸機導入部のラビリンスノズル径として、糸条充填率が8.0%となる径未満のものを用いた場合は、ラビリンスの開口部が最小径となった部分においてもラビリンス内壁と糸条間の空隙が多いため糸条が持ち込む随伴流により熱交換効率が低下するとともにスチーム延伸機内の内圧により乱流が発生するため糸条がラビリンス内壁に接触し、糸条にキズが発生し、さらには糸条切れを誘発する。
導入部の繊度(dtex)=巻き上げ後の繊度(dtex)×巻き上げ速度(m/min)/フィードローラ速度(m/min)
糸条総断面積(mm 2 )=導入部の繊度(dtex)/ρ
ラビリンスの流路面積(mm 2 )=糸条総断面積(mm 2 )/糸条充填率(−)
ラビリンス内径(mm)=(ラビリンス流路面積(mm 2 )×4/π) (1/2)
また、スチーム延伸機導出部ではスチーム延伸機から導出する際のドローローラ速度(スチーム延伸機からの導出速度)を用いることで規定が可能となる。スチーム延伸機導出部での糸条充填率は、スチーム延伸機導入部で示したのと同様の方法により、最終巻き上げ部での炭素繊維前駆体糸条の繊度と速度、スチーム延伸機から導出する際のドローローラ速度、および、ポリアクリロニトリル糸条の密度の代表値(ρ=1.14×10−3g/mm3)から下記式により糸条総断面積を求め、それを用いて糸条充填率が規定の範囲となるようにラビリンス径を選定する。なお、ポリアクリロニトリル糸条の密度として代表値を用いる意味、等は上記と同様である。
糸条総断面積(mm 2 )=導出部の繊度(dtex)/ρ
ラビリンスの流路面積(mm 2 )=糸条総断面積(mm 2 )/糸条充填率(−)
ラビリンス内径(mm)=(ラビリンス流路面積(mm 2 )×4/π) (1/2)
チーム延伸機に供給されるスチームは、一般的に湿り度を制御した加圧スチームが好適に用いられる。例えば加圧スチームの余分なドレンを分離した後、除熱を行い、飽和スチームを得て所定の圧力に設定する。ついで、再びドレンの分離を行い、温度及び流量をコントロールした冷却水にて除熱することで加湿を行い、湿り度を制御した加圧スチームを用いるが、特に該手法に限定されるものではない。なお、糸条の総繊度が大きい、単糸繊度が大きい、製糸速度が速い、延伸倍率が高いといった条件についてはその値が大きいほど延伸に要する熱量が大きくなる。加圧スチーム流量及び圧力は、大きいほど糸条に付与できる熱量が大きくなることから、前記条件に応じ、適宜設定すればよい。
本発明では、スチーム延伸機の糸条導入部の充填率と糸条導出部の充填率の比が1.5〜4.0の範囲とすることでより優れた効果を発揮する。
糸条充填率の比=導入部の糸条充填率/導出部の糸条充填率
糸条充填率の比は小さいほど、糸条の持ち込む随伴流と糸条の持ち出す随伴流のバランスにより持ち込み過多に傾くため、スチーム延伸機内の導入部り口部に乱流が発生することがある。
また、延伸倍率とはスチーム延伸機から導出する際のドローローラ速度とスチーム延伸機に導入する際のフィードローラの速度から下記式で求められる。
延伸倍率=ドローローラ速度/フィードローラ速度
本技術は、特にスチーム延伸機導入部での繊度が10,000dtex以上で、かつ延伸倍率が3倍以上の場合に、好適に適用できる。
[繊度]
JIS L1013(1999)に記載の8.3.1B法に従い測定した。
[糸条充填率]
糸条総断面積を次の方法によって求めた。
このようにして得た糸条総断面積とラビリンスの流路面積より、下記式により求めた。
[導入部の繊度]巻き上げ後の繊度と巻き上げ速度とフィードローラ速度を測定し、下記式でにより求めた。
[導出部の繊度]
巻き上げ後の繊度と巻き上げ速度とドローローラ速度を測定し、下記式により求めた。
[糸条充填率の比]
糸条充填率導入部と糸条充填率導出部を測定し、下記式により求めた。
[毛羽発生数]スチーム延伸機導出部側の走行糸条に発生する毛羽を目視で10min間観察した。
△ :2〜5回/10min 概ね良好
× :6〜10回以上/10min 不良
××:11回以上/10min 極めて不良
[実施例1]
アクリロニトリル99モル%、イタコン酸1モルを含むモノマーを重合して得たアクリル系重合体を20%含むDMSO溶液を紡糸原液として、孔径0.12mm4000ホールの口金を用いてDMSO30%、水70%からなる凝固液中にエアーギャップを介して吐出する乾湿式紡糸法により凝固糸を得た。ついで、水洗工程の後に熱水中で浴中延伸(1次延伸)し、シリコーン系油剤を付与した後、多段熱ローラーにて熱乾緻密化を行った。
その後、ワインダーにてパッケージに巻き上げ、単糸繊度1.1dtexのアクリル系繊維糸条を得た。
[実施例2]
アクリロニトリル99モル%、イタコン酸1モルを含むモノマーを重合して得たアクリル系重合体を20%含むDMSO溶液を紡糸原液として、孔径0.12mm4000ホールの口金を用いてDMSO30%、水70%からなる凝固液中にエアーギャップを介して吐出する乾湿式紡糸法により凝固糸を得た。ついで、凝固糸を2本合糸して、8000フィラメントの繊維糸条とした後、水洗工程を介して熱水中で浴中延伸(1次延伸)を行いシリコーン系油剤を付与した。その後、多段熱ローラーにて熱乾緻密化を行った。
その後、ワインダーにてパッケージに巻き上げ、単糸繊度1.1dtexのアクリル系繊維糸条を得た。
[実施例3〜15及び比較例1〜12]
実施例1及び2と同一の方法にて、合糸本数・スチーム延伸機導入部り及び導出部のラビリンス径を変化させて、得られた結果を表に示す。
Claims (3)
- アクリロニトリル系重合体溶液を紡糸、浴中延伸、乾燥緻密化した糸条を、スチーム延伸機にて二次延伸する炭素繊維前駆体糸条の製造方法であって、糸条充填率が8.0〜25.0%となる径のラビリンスノズルを導入部に、糸条充填率が4.9〜8.1%となる径のラビリンスノズルを導出部に、その糸条導入部と糸条導出部の糸条充填率の比が1.5〜4.0であり、かつ糸条導入部のラビリンスノズル径が糸条導出部のラビリンスノズル径よりも大きくなるように配したスチーム延伸機により、スチーム延伸機の導入部の糸条速度が30〜150m/minであり、スチーム延伸機の導入部での総繊度が10,000〜100,000dtexの糸条を、延伸倍率3〜8倍で二次延伸することを特徴とする炭素繊維前駆体糸条の製造方法。
- アクリロニトリル系重合体溶液の紡糸を、乾湿式紡糸法により行う、請求項1に記載の炭素繊維前駆体糸条の製造方法。
- アクリロニトリル系重合体溶液を紡糸して得られた凝固糸を浴中延伸する前に、合糸する工程を有する、請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体糸条の製造方法。
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