JP4745484B2 - 塗料用樹脂組成物 - Google Patents
塗料用樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4745484B2 JP4745484B2 JP2000128734A JP2000128734A JP4745484B2 JP 4745484 B2 JP4745484 B2 JP 4745484B2 JP 2000128734 A JP2000128734 A JP 2000128734A JP 2000128734 A JP2000128734 A JP 2000128734A JP 4745484 B2 JP4745484 B2 JP 4745484B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin composition
- group
- resin
- hydroxyl group
- epoxy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エステル交換架橋によって硬化性、硬度、耐衝撃性、耐酸性や耐擦り傷性などに優れ、且つ黄変の改善された塗膜を形成できる塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
自動車外板等の上塗り塗装用塗料は、従来、水酸基含有アクリル樹脂をメラミン樹脂で加熱硬化させるタイプが主流であったが、近年、酸性雨による塗膜のエッチングやシミ状汚れ、また洗車機による擦り傷などが問題となり、耐酸性や耐擦り傷性に優れた塗膜を形成できる別の架橋系樹脂の適用について検討が種々行われている。
【0003】
例えば、カルボキシル基/エポキシ基、又はカルボキシル基/エポキシ基/水酸基からなる架橋系(特開昭62−87288号公報、特開平2−45577号公報、特開平3−287650号公報等)がある。これらの系では塗膜の耐酸性には優れるが、耐擦り傷性が不十分である。
【0004】
一方、エステル交換触媒による水酸基/カルボキシエステル基からなる架橋系(特開昭63−23747号公報、特開平2−147675号公報等)があり、この系では触媒としてエポキシ化合物と共にオニウム塩や金属塩等の求核試薬が用いられており、硬度や耐衝撃性に優れた塗膜を形成できるが塗膜の黄変が著しく、上塗りクリヤーとして好適とは言い難かった。
【0005】
【課題を解決する手段】
本発明者は上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、エステル交換架橋において、特にカルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に結合している水素原子が容易に引き抜かれ、発生したカルボアニオンが黄変の原因となる知見を得、この量を少なくすることにより、塗膜の黄変がかなり改善されることを見出し本発明に到達した。
【0006】
即ち本発明は、樹脂組成中に水酸基、カルボキシアルキルエステル基、及びエポキシ基を含み、該樹脂組成中のエポキシ基と求核試薬からなるエステル交換架橋触媒によって、該樹脂組成中の水酸基とカルボキシルアルキルエステル基とを反応させる塗料用樹脂組成物において、該樹脂組成中のカルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に結合している水素原子の量が5mol/Kg以下であることを特徴とする塗料用樹脂組成物を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるエステル交換架橋触媒は、樹脂組成中のエポキシ基と求核試薬との組み合わせからなる。その反応機構は、求核種とエポキシ基との反応によって生成するアルコキシドが活性触媒となり、水酸基とカルボキシアルキルエステル基のエステル交換架橋反応を引き起こすものである。
【0008】
求核種とエポキシ基との反応によって生成するアルコキシドはエステル交換の触媒として機能するばかりではなく種々の副反応を引き起こすと考えられる。特に図1に示すようにカルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に結合している水素原子が容易に引き抜かれ、発生したカルボアニオンが黄変の原因となる。この仮説を検証するために、半経験的分子軌道法を用いてメチルアクリレート共重合体のカルボニル炭素のα位に結合している水素原子が引き抜かれてカルボアニオンになった状態をシミュレートしたところ、カルボアニオンが隣接するエステルのカルボニル部位と相互作用を起こし、420nmに吸収を生じ黄変の原因となっているという結果が得られた。
【0009】
上記より本発明では、黄変を低減すべく、樹脂組成中のカルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に結合している水素原子の量が5mol/Kg以下、好ましくは3mol/Kg以下、さらに好ましくは2mol/Kg以下とするものである。該水素原子の量が5mol/Kgを超えると、得られる塗膜が著しく黄変するので好ましくない。
【0010】
本発明において樹脂組成中のエポキシ基と反応させる求核試薬としては、例えばテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアセテート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアセテート、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、エチルトリフェニルアンモニウムクロライド、エチルトリフェニルアンモニウムブロマイド、エチルトリフェニルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムアセテート、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムアセテート、ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリメチルメチルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリメチルホスホニウムアセテート、ドデシルトリメチルホスホニウムクロライド、ドデシルトリメチルホスホニウムブロマイド、ドデシルトリメチルホスホニウムアセテート、エチルトリフェニルホスホニウムクロライド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート等のオニウム塩;ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、安息香酸等のカルボン酸あるいはフェノールのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩などが挙げられ、これらは1種または2種以上併用して使用できる。
【0011】
さらに、金属塩の樹脂組成物中への溶解性が低い場合には、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル等のクラウンエーテル化合物を併用してもよい。この場合、金属塩に対するクラウンエーテルの使用量は、0.1〜2.0当量、好ましくは0.2〜1.5当量、さらに好ましくは0.5〜1.2当量である。0.1当量より少ない場合には金属塩を系中に充分に溶解させることができないために硬化性が不足するが、逆に2.0当量以上用いても硬化性はそれほど向上せず、むしろ過剰のクラウンエーテルのために塗膜物性が低下する傾向にあるのでいずれも好ましくない。
【0012】
上記求核試薬の使用量は、樹脂組成中に0.001〜0.1mol/Kg、好ましくは0.005〜0.08mol/Kg、さらに好ましくは0.01〜0.05mol/Kgとなるようにするのが適当である。使用量が0.001mol/Kg未満であれば硬化性が不足し、0.1mol/Kgより多く用いても塗膜性能の向上が望めないばかりか、残存する求核試薬のために耐水性が低下する傾向にあるためいずれも好ましくない。
【0013】
本発明では、樹脂組成中に水酸基、カルボキシアルキルエステル基、及びエポキシ基を含み、該樹脂組成中のエポキシ基と上記求核試薬からなるエステル交換架橋触媒によって、該樹脂組成中の水酸基とカルボキシルアルキルエステル基とを反応させるものである。
【0014】
該樹脂組成中には、エポキシ基がエポキシ当量300〜15,000、水酸基が水酸基価10〜250、カルボキシアルキルエステル基が1〜10mol/Kgの範囲でそれぞれ含まれていることが好ましい。
【0015】
エポキシ当量が15,000以上、水酸基価が10以下、カルボキシアルキルエステル基が1mol/Kg以下のいずれかに該当する樹脂組成物は充分な硬化性を発揮することができず、一方エポキシ当量が300以下、水酸基価が250以上、カルボキシアルキルエステル基が10mol/Kg 以上のいずれかに該当する樹脂組成物は反応性が高くなりすぎて塗料の貯蔵安定性が低下するので好ましくない。
【0016】
上記樹脂組成としては、エポキシ基、水酸基及びカルボキシアルキルエステル基を全て含む樹脂、あるいはこれらを別々に含む化合物又は樹脂の混合物が使用でき、具体的には(I)水酸基及びエポキシ基含有アクリル樹脂、(II)水酸基含有アクリル樹脂及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂、及びエポキシ基含有化合物の混合物、(III)アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂、ポリオール及びエポキシ基含有化合物の混合物、のいずれかから選ばれるのが適当である。
【0017】
樹脂(I)としては、例えばエポキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーを共重合成分とするアクリル樹脂などが挙げられる。
【0018】
エポキシ基含有モノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられ、水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸とのモノエステル;ポリエーテルポリオールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーとのモノエーテル;無水マレイン酸や無水イタコン酸等の酸無水基含有不飽和化合物とエチレングリコール等のグリコール類とのジエステル化物;ヒドロキシエチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテルなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して使用できる。
【0019】
これらのうち、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸のエステル類は、カルボキシアルキルエステル基をも含むものである。
【0020】
他のカルボキシアルキルエステル基含有モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル;γ―(メタ)アクリロイルオキシプロピリトリメトキシシランなどが挙げられ、これらは1種または2種以上併用して使用できる。
【0021】
上記カルボキシアルキルエステル基含有モノマーのうち、該カルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に水素原子が結合していないメタクリル酸エステル類が特に好適に使用できる。
【0022】
上記モノマー類と共重合可能なその他の不飽和モノマーも必要に応じて共重合成分として使用でき、例えばスチレン、α―メチルスチレン;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル;エチレン、ブタジエン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらは1種または2種以上併用して使用できる。
【0023】
上記モノマー類を溶液重合などの公知の方法で共重合してなるアクリル樹脂は、重量平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜50,000、さらに好ましくは1,000〜30,000である。重量平均分子量が500以下では塗膜性能が不充分であり、100,000以上では粘度が高くなりすぎて仕上り性が低下するのでいずれも好ましくない。
【0024】
また樹脂(I)として、酸基含有モノマーと上記水酸基含有モノマーやカルボキシアルキルエステル基含有モノマーなどを共重合成分とするアクリル樹脂に、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する化合物を付加してなる樹脂も使用できる。酸基含有モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0025】
上記混合物(II)は、水酸基含有アクリル樹脂及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂、及びエポキシ基含有化合物の混合物である。
【0026】
水酸基含有アクリル樹脂は、例えば前記樹脂(I)で列記の水酸基含有モノマーやカルボキシアルキルエステル基含有モノマー、その他の不飽和モノマーを共重合成分とするアクリル樹脂であり、特にカルボキシアルキルエステル基含有モノマーとしてメタクリル酸エステル類を用いてなるアクリル樹脂が好適である。水酸基含有ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸の縮合反応により多価アルコールの水酸基過剰の配合条件で得られるポリエステル樹脂である。
【0027】
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられ、多塩基酸としてはアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
【0028】
上記水酸基含有アクリル樹脂と水酸基含有ポリエステル樹脂の重量平均分子量はいずれも前記樹脂(I)と同様の理由により500〜100,000、好ましくは1,000〜50,000、さらに好ましくは1,000〜30,000である。
【0029】
エポキシ基含有化合物としては、例えばジグリシジルエーテル、2−グリシジルフェニルグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル化合物;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの多価アルコールのジグリシジルエーテル;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどの脂環式エポキシ基含有化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーを共重合成分とするアクリル樹脂;部分エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。
【0030】
上記混合物(III)は、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂、ポリオール及びエポキシ基含有化合物の混合物である。
【0031】
該アクリル樹脂は、例えば前記樹脂(I)で列記のカルボキシアルキルエステル基含有モノマーやその他の不飽和モノマーを共重合成分とするアクリル樹脂であり、特にカルボキシアルキルエステル基含有モノマーとしてメタクリル酸エステル類を用いてなるアクリル樹脂が好適である。ポリエステル樹脂は、前記(II)で列記の多価アルコールと多塩基酸の縮合反応によるポリエステル樹脂である。エポキシ基含有化合物には、前記(II)で列記の中から適宜選択して使用できる。
【0032】
上記ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの脂肪族ポリオール類や、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオールなどの樹脂が挙げられる。
【0033】
上記混合物(II)、(III)の樹脂の組み合わせでは、最終的に樹脂組成中のカルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に結合している水素原子の量が5mol/Kg以下であれば良い。
【0034】
本発明の塗料組成物には、必要に応じて着色顔料、体質顔料などの顔料類;シリコン樹脂やフッ素樹脂などの各種樹脂や非水系重合体粒子;紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤、消泡剤などの塗料用添加剤を配合することができる。
【0035】
本発明の塗料組成物は、通常、有機溶剤型の塗料として使用でき、該溶剤としては、例えば芳香族又は脂肪族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。本発明組成物の固形分濃度は、通常、20〜80重量%、好ましくは50〜70重量%程度である。
【0036】
本発明の塗料組成物は、常法により各種被塗物に塗装され、通常、約80〜180℃で10〜60分間程度の加熱条件により充分硬化し、耐酸性、耐擦り傷性に優れた塗膜を形成する。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0038】
樹脂溶液の製造
製造例1
反応器に温度計、サーモスタット、撹拌機、還流冷却器、滴下ポンプを備え付け、キシレン65部を仕込み、撹拌しながら110℃まで昇温した後、表1に示す単量体及び重合開始剤の混合物106部を110℃に保ったまま滴下ポンプを利用して4時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後30分間110℃に保ち、撹拌を続けた。その後、追加の重合開始剤0.5部をキシレン5部に溶解させたものを1時間かけて一定速度で滴下し、さらに1時間110℃に保ち反応を終了した。得られた樹脂溶液は不揮発分60%、ガードナー粘度Uの均一で透明な溶液であった。また、この樹脂の重量平均分子量は10,000であった。
【0039】
製造例2〜4
製造例1において、単量体及び重合開始剤の混合物、及び追加の重合開始剤を表1に示す配合とする以外は製造例1と同様に行い各樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の性状値も表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
クリヤー塗料の作成、塗膜性能試験、及び貯蔵安定性試験
実施例1
クリヤー塗料の作成
製造例1の樹脂溶液300部に、カリウムフェノキシド1.33部、「BYK−300」(ビックケミー社製、表面調整剤)0.5部を加え、均一になるまで撹拌してクリヤー塗料を作成した。さらに、ブチルセロソルブとn−ブタノールの混合溶剤で粘度35秒(フォードカップ#4/20℃)に希釈した。
【0042】
塗膜性能試験用塗板の作成
りん酸亜鉛化成処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板上にエポキシ系カチオン電着塗料を乾燥膜厚約20μmとなるように電着塗装し、170℃で20分間焼き付けた後、#400のサンドペーパーで研ぎ、石油ベンジンで拭いて脱脂した。次に自動車用中塗りサーフェーサーを乾燥膜厚約25μmになるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた後、#400のサンドペーパーで水研ぎ、水切り乾燥し、石油ベンジンで拭いて脱脂した。さらに白色塗料を硬化膜厚で 30μm となるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けた後、#400のサンドペーパーで水研ぎ、水切り乾燥し、石油ベンジンで拭いて脱脂して試験用被塗物とした。
【0043】
この試験用被塗物の上に、希釈済みのクリヤー塗料を硬化膜厚で40μm となるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて塗板を作成した。
【0044】
次に、上記手順によって作成した塗板を用いて下記塗膜性能試験(1)〜(5)を行い、また希釈済クリヤー塗料を用いて下記貯蔵安定性試験(6)を行った。結果を表2に示す。
(1)塗膜外観:表面の平滑性を目視にて評価した(○:良好、×:不良)。
(2)黄変性:140℃で30分間焼き付け前後の色差を測定した。
【0045】
◎:△b値が1以下であり、ほとんど黄変がない。
【0046】
○:△b値が1〜3であり、わずかに黄変がみられる。
【0047】
△:△b値が3〜7であり、黄変が起きている。
【0048】
×:△b値が7以上であり、著しい黄変が起きている。
(3)耐酸性:40%硫酸溶液に試験塗板を1/2浸漬し、50℃で5時間放置した後、水洗し、塗面を観察した。
【0049】
○:全く変化なし
△:塗面に異常はないが浸漬部と非浸漬部の境界にわずかに段差が認められる
×:塗面が白化
(4)耐擦り傷性:ルーフに試験用塗板を貼り付けた自動車を洗車機で15回洗車した後の該塗板の塗面状態を観察した。洗車機はヤスイ産業社製「PO 20FWRC」を用いた。
【0050】
○:目視観察で殆ど傷が見つからない
△:少し擦り傷がみられるがその程度はごく軽微である
×:目視観察で擦り傷が目立つ
(5)耐水性:40℃温水に240時間浸漬した後、水洗して塗面を観察した。
【0051】
○:全く変化なし
△:わずかにツヤビケが認められる
×:塗面が白化
(6)貯蔵安定性:希釈済のクリヤー塗料300gをビーカーに入れ、アルミ箔で軽く蓋をした後、40℃で2週間貯蔵した後の粘度(フォードカップ#4/20℃)を測定して増粘の程度を調べた。
【0052】
○:粘度50秒以内で貯蔵安定性が良好
△:粘度70秒以内で貯蔵安定性がやや劣る
×:粘度70秒以上で貯蔵安定性が劣る。
【0053】
実施例2、3、参考例1〜3、および比較例1、2
実施例1において、樹脂成分、触媒成分を表2に示す配合とする以外は実施例1と同様に行い各クリヤー塗料を作成した。さらに実施例1と同一の条件で塗膜性能試験及び貯蔵安定性試験を行った。結果を表2に併せて示す。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】
本発明者によれば、エステル交換架橋系において、樹脂組成中のカルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に結合している水素原子の量を特定量以下にすることにより、該部位の引き抜き反応を抑制し、その結果塗膜の黄変性が大きく改善され、耐酸性、耐擦り傷性、耐水性等の塗膜性能を満たすだけでなく、良好な外観と耐黄変性に優れた塗膜を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に結合する水素原子に起因する黄変の発生機構を示す。
Claims (2)
- 樹脂組成中に水酸基、カルボキシアルキルエステル基、及びエポキシ基を含み、該樹脂組成中のエポキシ基と求核試薬からなるエステル交換架橋触媒によって、該樹脂組成中の水酸基とカルボキシルアルキルエステル基とを反応させる塗料用樹脂組成物において、該樹脂組成が(I)水酸基及びエポキシ基含有アクリル樹脂、又は(II)水酸基含有アクリル樹脂及びエポキシ基含有化合物の混合物であって、該樹脂組成中のアクリル樹脂が、メタクリル酸エステルを主原料として得られる共重合体であり、求核試薬としてフェノールの金属塩を用いてなり、該樹脂組成中の下記一般式で示されるカルボキシアルキルエステル基のカルボニル炭素のα位に結合している水素原子の量が2mol/Kg以下であることを特徴とする塗料用樹脂組成物。
- 樹脂組成中に、エポキシ基がエポキシ当量300〜15,000、水酸基が水酸基価10〜250、カルボキシアルキルエステル基が1〜10mol/Kgとなるように含まれる請求項1記載の塗料用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000128734A JP4745484B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 塗料用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000128734A JP4745484B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 塗料用樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001311051A JP2001311051A (ja) | 2001-11-09 |
JP4745484B2 true JP4745484B2 (ja) | 2011-08-10 |
Family
ID=18638131
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000128734A Expired - Fee Related JP4745484B2 (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 塗料用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4745484B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020202506A1 (ja) * | 2019-04-03 | 2020-10-08 | 共栄社化学株式会社 | 高温硬化用塗料、塗装金属素材、塗装方法及び塗装金属素材 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4749728A (en) * | 1986-06-06 | 1988-06-07 | The Glidden Company | Epoxy/nucleophile transesterification catalysts and thermoset coatings |
EP0328950A1 (en) * | 1988-02-18 | 1989-08-23 | The Glidden Company | Coating composition |
JP3077233B2 (ja) * | 1991-04-12 | 2000-08-14 | 大日本インキ化学工業株式会社 | 硬化性樹脂組成物 |
JPH07157545A (ja) * | 1993-12-07 | 1995-06-20 | Nippon Paint Co Ltd | 熱硬化性樹脂組成物 |
-
2000
- 2000-04-28 JP JP2000128734A patent/JP4745484B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001311051A (ja) | 2001-11-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6187863B1 (en) | Curable compositions based on functional polysiloxanes | |
JP2614468B2 (ja) | 上塗り塗装仕上げ方法 | |
EP2222763B1 (en) | Process for producing a multilayer coating | |
CN1154678C (zh) | 高固态涂料组合物 | |
KR100336227B1 (ko) | 경화성수지조성물,코팅용조성물및코팅된필름의형성방법 | |
EP3167014A1 (en) | Two-component paint composition and multilayer coating formation method using this | |
JPH10503787A (ja) | 硬化性樹脂組成物、塗料組成物、塗膜形成方法及び塗装物 | |
EP0997511B1 (en) | Thermosetting, high-solid coating composition and method of forming topcoating by using the same | |
JP4745484B2 (ja) | 塗料用樹脂組成物 | |
EP0727468B1 (en) | Curable coating composition and method of forming a top coat | |
JP5225058B2 (ja) | 自動車車体の塗装方法及び塗膜を有する自動車車体 | |
JPH10101985A (ja) | 塗料組成物 | |
JP2001220554A (ja) | 塗料用樹脂組成物 | |
JP2022539196A (ja) | 2kクリアコート組成物、その製造およびそれを使用する方法 | |
JP3280030B2 (ja) | 塗料組成物、塗膜形成方法および塗装物 | |
CN106366897B (zh) | 用于制备具有耐湿和耐腐蚀性涂层的环境固化组合物及使用方法 | |
JP3645037B2 (ja) | 硬化性樹脂組成物、塗料組成物および塗膜形成方法 | |
JP2002212248A (ja) | 熱硬化性および活性エネルギー線硬化性を有する硬化性組成物 | |
JPH08259667A (ja) | 硬化性樹脂組成物、塗料組成物および塗膜形成方法 | |
JP3475667B2 (ja) | 熱硬化性塗料組成物 | |
JPH06108001A (ja) | 自動車用撥水性トップコート塗料組成物 | |
JPH11199826A (ja) | 加熱硬化性塗料組成物及び上塗り塗膜形成方法 | |
JPH10147744A (ja) | 硬化性塗料組成物及び上塗り塗膜形成方法 | |
JP2001163940A (ja) | 硬化性組成物 | |
JPH1180654A (ja) | 高固形分塗料組成物及びそれを用いる上塗り塗膜形成方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070327 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101109 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110106 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110208 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110407 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110510 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110512 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |