JP4744664B2 - ブーム付き作業機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブーム付き作業機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のブーム付き作業機として、車両1上に旋回駆動可能に旋回台2を配置し、当該旋回台2に起伏および伸縮自在に伸縮ブーム3を備え、伸縮ブーム3の先端部に作業台4を備えた図8に図示する高所作業車が知られている。伸縮ブーム3は、基ブーム5と中ブーム6,7と先ブーム8からなる順次伸縮自在に嵌挿されており、各ブーム段間には適宜の伸縮装置(図示しない。)が配置されている。旋回台4と伸縮ブーム3の基ブーム5適所間に起伏シリンダ9を配置して 伸縮ブーム3を起伏駆動可能にしている。
【0003】
そしてこの高所作業車は、図11に図示するような制御装置Aを備えている。すなわち、制御装置Aは、伸縮ブーム3の伸縮装置を駆動する伸縮駆動手段10と、伸縮ブーム3を起伏させる起伏シリンダ9を駆動する起伏駆動手段11と、伸縮ブーム3の長さを検出する長さ検出器12と、伸縮ブーム3の起伏角(対地角検出)を検出する起伏角検出器13と、作業台4(伸縮ブーム先端部)の移動方向と移動速度を水平方向への移動速度成分値Vxと垂直方向への移動速度成分値Vzとに分けて出力する操作装置14、および、各検出器12,13と操作装置14からの信号を受けて操作装置14の指令に基づく移動方向と移動速度で作業台4(伸縮ブーム先端部)を移動させるために幾何演算して各駆動手段10,11へ制御信号を出力する幾何演算器15を有する演算手段16とから構成されている。
【0004】
幾何演算器15は、操作装置14により指令される水平方向への移動速度成分値Vxと垂直方向への移動速度成分値Vzを、伸縮ブーム3の伸縮速度成分値VLと起伏速度成分値Vθとに下記式で示すように幾何演算する。
【0005】
VL=VxCOSθ+VzSINθ
Vθ=−VxSINθ+VzCOSθ
いま伸縮ブーム3を模式的に直線で図示し、水平移動する場合について図9に図示し、垂直移動する場合について図10に図示する。水平移動する場合の上記関係式は、下記のようになる。
【0006】
VL=VxCOSθ,Vθ=−VxSINθ
(ここでは、伸縮ブーム3の伸長方向を正とし縮小方向を負、伸縮ブーム3の起仰方向を正とし倒伏方向を負とする。)
垂直移動する場合の上記関係式は、下記のようになる。
【0007】
VL=VzSINθ,Vθ=VzCOSθ
(ここでは、伸縮ブーム3の伸長方向を正とし縮小方向を負、伸縮ブーム3の起仰方向を正とし倒伏方向を負とする。)
このような制御装置Aを備えた高所作業車は、操作装置14による操作で作業台4(伸縮ブーム先端部)の移動方向と移動速度を指令して、作業台4を指令した目的の方向に指令速度で移動させるものである。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】
ところが、上記制御装置Aを備えた高所作業車は、伸縮ブーム3の自重や積載荷重による撓みを考慮しておらず、操作装置14による指令通りに作業台4が移動せずにずれて移動してしまう課題を有していた。
【0009】
本発明は、伸縮ブームの撓みを考慮したブーム付き作業機の制御装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る本発明のブーム付き作業機の制御装置は、起伏および伸縮自在な伸縮ブームを備えたブーム付き作業機に、伸縮ブームを伸縮駆動する伸縮駆動手段と、伸縮ブームを起伏駆動する起伏駆動手段と、伸縮ブームの長さを検出する長さ検出器と、伸縮ブームの起伏角を検出する起伏角検出器と、伸縮ブーム先端部の移動方向と移動速度を水平方向への移動速度成分値と垂直方向への移動速度成分値とに分けて出力する操作装置、および、各検出器と操作装置からの信号を受けて操作装置の指令に基づく移動方向と移動速度で伸縮ブーム先端部を移動させるために操作装置により指令される水平方向への移動速度成分値と垂直方向への移動速度成分値と検出される起伏角度を用いて伸縮ブームの伸縮速度成分値と起伏速度成分値とに幾何演算して各駆動手段へ制御信号を出力する演算手段を備えたブーム付き作業機の制御装置において、伸縮ブームの撓み角を算出する撓み角算出手段を配置し、前記演算手段は、前記撓み角算出手段からの撓み角信号を受けて前記幾何演算時に前記起伏角に撓み角を関係させ伸縮ブームの撓みを考慮した前記幾何演算をするとともに、撓み角信号を受けて起伏角の変化に対して撓み角の変化が大きくなる撓み角速度を算出し幾何演算された起伏駆動手段への出力信号を撓み角速度によって補償するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明のブーム付き作業機の制御装置について、図1〜図7に基づいて以下に説明する。本発明を説明するに当たって従来の技術で図8に図示し説明した高所作業車に適用した場合について以下に説明する。したがって、符号1〜符号14は従来の技術で説明したものと同じであるので以下の説明では同じものとして用い、詳細な説明は省略する。
【0012】
ここで伸縮ブーム3の撓み角δについて図4および図5に基づいて説明する。A0は、撓みが生じない仮想の伸縮ブームを直線で図示したもので、Bは、撓みの生じる実際の伸縮ブーム3を曲線で図示したものである。A1は、撓みが生じない仮想の伸縮ブームA0を実際の伸縮ブームBの先端部が位置する位置まで倒伏させた状態を示している。そして仮想の伸縮ブームA0をA1まで倒伏した倒伏角を伸縮ブーム3の撓み角δとしている。
【0013】
図1において、Cは、本発明のブーム付き作業機の制御装置であって、図8に図示し説明した高所作業車に備えられ、次のように構成している。20は、撓み角記憶器であって、撓み角δを予め伸縮ブーム3の長さに基づいて記憶させており、長さ検出器12からの信号を受け現在の撓み角δの信号を出力する。この撓み角記憶器20は、本発明の撓み角算出手段C0に該当する。
【0014】
21は、減算器であって、起伏角検出器13と撓み角記憶器20からの信号を受けて撓みが生じない仮想の伸縮ブームA1の起伏角θ−δを算出する。22は、幾何演算器であって、長さ検出器12と減算器21および操作装置14からの信号を受けて、操作装置14の指令に基づく移動方向と移動速度で作業台4(伸縮ブーム先端部)を移動させるために幾何演算して各駆動手段10,11へ制御信号を出力する。
【0015】
23は、演算手段であって、前記した撓み角記憶器20、減算器21、幾何演算器22を有している。
【0016】
幾何演算器22は、操作装置14により指令される水平方向への移動速度成分値Vxと垂直方向への移動速度成分値Vzを、伸縮ブーム3の伸縮速度成分値VLと起伏速度成分値Vθとに下記式で示すように幾何演算する。
【0017】
VL=VxCOS(θ−δ)+VzSIN(θ−δ)
Vθ=−VxSIN(θ−δ)+VzCOS(θ−δ)
いま水平移動する場合について図4に模式的に図示し、垂直移動する場合について図5に模式的に図示する。水平移動する場合の上記関係式は、下記のようになる。
【0018】
VL=VxCOS(θ−δ)
Vθ=−VxSIN(θ−δ)
(ここでは、伸縮ブーム3の伸長方向を正とし縮小方向を負、伸縮ブーム3の起仰方向を正とし倒伏方向を負とする。)
垂直移動する場合の上記関係式は、下記のようになる。
【0019】
VL=VzSIN(θ−δ)
Vθ=VzCOS(θ−δ)
(ここでは、伸縮ブーム3の伸長方向を正とし縮小方向を負、伸縮ブーム3の起仰方向を正とし倒伏方向を負とする。)
このような制御装置Cを備えた高所作業車は、操作装置14による操作で作業台4(伸縮ブーム先端部)の移動方向と移動速度を指令して、作業台4を指令した目的の方向に指令速度で移動させるものであるが、幾何演算器22では上記したように伸縮ブーム3による撓み角δを考慮した幾何演算するようにしてあるものだから、正確に作業台4を指令した目的の方向に指令速度で移動させることができる。
【0020】
次に、上記実施形態では、撓み角算出手段C0として撓み角δを予め撓み角記憶器20に記憶させておくようにしたものであるが、図2に図示する撓み角算出手段D0を配置して撓み角δを算出するようにした制御装置Dで行ってもよい。すなわち、撓み角算出手段D0は以下のように構成している。
【0021】
25は、伸縮ブーム3の先端部の起伏角(対地起伏角)θaを検出する起伏角検出器で、伸縮ブーム3の撓みの影響を受けた起伏角を検出するものである。一方、前記の起伏角検出器13は、伸縮ブーム3の基端部に配置しており、伸縮ブーム3の撓みの影響を受けていない起伏角(対地起伏角)を検出するものである。
【0022】
26は、角度差算出器であって、起伏角検出器13と起伏角検出器25からの信号を受け両起伏角の差θ−θaを算出する。27は、撓み角算出器であって、角度差算出器26からの信号に予め設定しておいた係数Kを掛けて撓み角δ=K(θ−θa)を算出する。28は、補正器であって、長さ検出器12からの信号を受けて撓み角算出器27の係数Kを伸縮ブーム3の長さに基づいて補正するようにしてある。撓み角算出器27で算出した撓み角δは、減算器21に出力される。
【0023】
29は演算手段であって、前記演算手段23とは、起伏角検出器25と起伏角検出器13からの信号を受けて角度差算出器26,撓み角算出器27,補正器28により、撓み角δを算出する点が相違している。
【0024】
このように制御装置Dを備えた高所作業車は、撓み角算出手段D0で撓み角δを算出するものであるから、同様に伸縮ブーム3の撓みを考慮して作業台4を指令した目的の方向に指令速度で正確に移動させることができる。
【0025】
次に、上記実施形態では、演算手段は、撓み角δを考慮した幾何演算により各駆動手段10,11に制御信号を出力するようにしたものであるが、実際には、起伏角の変化に対して撓み角の変化が大きい場合があり、この場合には前記幾何演算だけでは十分に対応できない。例えば、伸縮ブーム3の水平状態付近で伸縮ブームを伸長させながら伸縮ブームを倒伏させて水平移動する場合には、起伏角の変化より撓み角の変化が大きく、起伏駆動手段10に出力される制御信号としては伸縮ブーム3を倒伏させる制御信号でなくむしろ起仰する制御信号を出力する必要がある。このような場合にも対応できるようにするために図3に図示する制御装置Eについて以下に説明する。
【0026】
30は、演算手段であって、図1に図示し説明した演算手段23の幾何演算器22の機能を一部変更した幾何演算22aを配置するとともに、次に説明する撓み角速度補償手段31を追加配置している。
【0027】
22aは、幾何演算器であって、前記幾何演算22では起伏角θの変化に対する撓み角δの変化が小さい場合の幾何演算を行うものであるが、幾何演算22aでは起伏角θの変化に対する撓み角δの変化が大きい場合の幾何演算を行うようにしてある。すなわち、幾何演算22aから出力される制御信号は下記式で示すように演算される。
【0028】
VL=VxCOS(θ−δ)+VzSIN(θ−δ)
Vθ−Vδ=−VxSIN(θ−δ)+VzCOS(θ−δ)
したがって、水平移動する場合について図6に模式的に図示し、垂直移動する場合について図7に模式的に図示する。水平移動する場合の上記関係式は、下記のようになる。
【0029】
VL=VxCOS(θ−δ)
Vθ−Vδ=−VxSIN(θ−δ)
(ここでは、伸縮ブーム3の伸長方向を正とし縮小方向を負、伸縮ブーム3の起仰方向を正とし倒伏方向を負とする。)
垂直移動する場合の上記関係式は、下記のようになる。
【0030】
VL=VzSIN(θ−δ)
Vθ−Vδ=VzCOS(θ−δ)
(ここでは、伸縮ブーム3の伸長方向を正とし縮小方向を負、伸縮ブーム3の起仰方向を正とし倒伏方向を負とする。)
31は、減算器21からの撓み角信号δを受けて撓み角の変化に応じた撓み角速度Vδを算出し幾何演算器22aで演算された起伏駆動手段への出力信号を撓み角速度Vδによって補償する撓み角速度補償手段である。すなわち、VθにVδを加算した制御信号を起伏駆動手段11へ出力する。
【0031】
このよう演算手段30を構成すると、起伏角の変化に対して撓み角の変化が大きい場合であっても、伸縮ブーム3の撓みを考慮して作業台4を指令した目的の方向に指令速度で正確に移動させることができる。
【0032】
なお、図3に図示し説明した上記実施形態は、図1の演算手段23の幾何演算器22を幾何演算器22aに変更し、撓み角速度補償手段31を追加配置したものであるが、図2に図示し説明した上記実施形態の演算手段29に同様に幾何演算器22を幾何演算器22aに変更し、撓み角速度補償手段31を追加配置しても実施できることは図示して説明しないが勿論のことである。
【0033】
なお、上記実施形態では、本発明を高所作業車に用いられる場合で説明したが、高所作業車に限らず伸縮ブームを備えた作業車に適用できること勿論のことである。
【0034】
【発明の効果】
以上の如く構成し作用する本発明に係るブーム付き作業機の制御装置は、伸縮ブームの撓みを考慮して伸縮ブームの先端部を指令した目的の方向に指令速度で正確に移動させることができる。
【0035】
また、起伏角の変化に対して撓み角の変化が大きい場合であっても、伸縮ブームの撓みを考慮して伸縮ブーム先端部を指令した目的の方向に指令速度で正確に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブーム付き作業機の制御装置を説明する説明図である。
【図2】本発明のブーム付き作業機の制御装置を説明する説明図で、他の実施形態を説明する説明図である。
【図3】本発明のブーム付き作業機の制御装置を説明する説明図で、他の実施形態を説明する説明図である
【図4】本発明のブーム付き作業機の制御装置を説明する説明図で、水平移動する場合を模式的に図示して説明する説明図である。
【図5】本発明のブーム付き作業機の制御装置を説明する説明図で、垂直移動する場合を模式的に図示して説明する説明図である。
【図6】本発明のブーム付き作業機の制御装置の他の実施形態を説明する説明図で、水平移動する場合を模式的に図示して説明する説明図である。
【図7】本発明のブーム付き作業機の制御装置の他の実施形態を説明する説明図で、垂直移動する場合を模式的に図示して説明する説明図である。
【図8】高所作業車を説明する説明図である。
【図9】従来のブーム付き作業機の制御装置を説明する説明図で、水平移動する場合を模式的に図示して説明する説明図である。
【図10】従来のブーム付き作業機の制御装置を説明する説明図で、垂直移動する場合を模式的に図示して説明する説明図である。
【図11】従来のブーム付き作業機の制御装置を説明する説明図である。
【符号の説明】
3 伸縮ブーム
10 伸縮駆動手段
11 起伏駆動手段
12 長さ検出器
13 起伏角検出器
14 操作装置
23 演算手段
29 演算手段
30 演算手段
31 撓み角速度補償器(撓み角速度補償装置)
C0 撓み角算出手段
D0 撓み角算出手段
C 制御装置
D 制御装置
E 制御装置

Claims (1)

  1. 起伏および伸縮自在な伸縮ブームを備えたブーム付き作業機に、伸縮ブームを伸縮駆動する伸縮駆動手段と、伸縮ブームを起伏駆動する起伏駆動手段と、伸縮ブームの長さを検出する長さ検出器と、伸縮ブームの起伏角を検出する起伏角検出器と、伸縮ブーム先端部の移動方向と移動速度を水平方向への移動速度成分値と垂直方向への移動速度成分値とに分けて出力する操作装置、および、各検出器と操作装置からの信号を受けて操作装置の指令に基づく移動方向と移動速度で伸縮ブーム先端部を移動させるために操作装置により指令される水平方向への移動速度成分値と垂直方向への移動速度成分値と検出される起伏角度を用いて伸縮ブームの伸縮速度成分値と起伏速度成分値とに幾何演算して各駆動手段へ制御信号を出力する演算手段を備えたブーム付き作業機の制御装置において、伸縮ブームの撓み角を算出する撓み角算出手段を配置し、前記演算手段は、前記撓み角算出手段からの撓み角信号を受けて前記幾何演算時に前記起伏角に撓み角を関係させ伸縮ブームの撓みを考慮した前記幾何演算をするとともに、撓み角信号を受けて起伏角の変化に対して撓み角の変化が大きくなる撓み角速度を算出し幾何演算された起伏駆動手段への出力信号を撓み角速度によって補償するように構成したことを特徴とするブーム付き作業機の制御装置。
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