JP4744431B2 - 遭難船用の救助船、船の救助方法、および救助船の応用 - Google Patents

遭難船用の救助船、船の救助方法、および救助船の応用 Download PDF

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Description

本発明は、遭難船用の救助船、その作業方法、およびそのような船の応用に関する。
有毒物質を輸送するタンカーに起きるいずれの形の破損も、炭化水素の場合には「油の流出[oil slicks]」と呼ばれる汚染事象を生じる。これらの汚染事象の結果は重大である。特に、浸水沈没によって考えられるタンカーの損失(船の価値)、積み荷の一部または全体の損失、および主として関係沿岸住民の大きな経済的損失(現場の破壊、魚の養殖場の破壊、野生動物の絶滅、漁業による損失など)を挙げることができる。
したがって、これらの油の流出は、政治レベルの結果を有する環境問題(ecological problem)の原因である。
これらの汚染事象(pollution incidents)は、状態が悪いか、または古いタンカーの事故によって引き起こされるだけでなく、乗組員が無能であるときや、厚さの減少、増量、トン数の増加を可能にする高抵抗鋼で建造された良好な状態にあるごく最近のタンカーの場合でも、同じ問題が発生することに注意する必要がある。しかし、これらの鋼で製造されたタンカーは、非常に急速に摩耗して、老朽化して状態が悪いタンカーと同じ問題を招く。
これらの問題をなくすために、第1に考えられる解決策は、船が浸水沈没した場合に与える損害がより少ない場所へ船を曳航することである。しかし、これらの汚染事象を生じる状況は通常、極めて悪天候で発生し、船がまだ浮かんでいる最初の2〜3日中にこのような曳航を行うことが実質的に不可能であることが、経験から示されている。
したがって、汚染除去船の使用が考えられる。これらの船は、遭難船から、一般的にそれらが沈没した後に放出される炭化水素を吸引するように構成されている。考えられる最大の汚染除去船は、数千トンの粗原料を除去することができるだけであり、したがって、重大な油の流出の場合、遭難現場と回収材料を受け取ることができる港との間を何度も行き来する必要がある。したがって、相当な時間が必要になり、その間も油の流出の影響が続く可能性がある。したがって、これらの汚染除去船は、非常に部分的な解決策にすぎない。加えて、汚染除去船は、比較的穏やかな天候でのみ作業することができ、嵐の間は作業できない。
これらの汚染除去船は、遭難船の沈没や、沈没時には、海底にあるそのような船によってもたらされる重大な生態的危険(ecological risk)とは別に、長期間にわたって汚染事象を生じる可能性が或る一種の「延期爆弾」になることを防止しない。
これらの汚染事象または油の流出の原因を調査すると、それらは一般的に、老朽のために損傷(船体の破損、漏れ、故障)を受けやすいタンカーか、または乗組員の無能のために海難(嵐、衝突または故障による破損)を起こすタンカーというのが事実であることがわかる。
衝突の後、船が極めて急激に沈没する幾つかの希な場合を除いて、ほとんどの汚染事象または油の流出は、数日間にわたって浮かび続ける船によって発生した。加えて、ほとんどのタンカー船団は、全長が250m未満、さらには200mでもある。
本発明の目的は、化学的および生物学的危険などの、重大な汚染事象もしくは油の流出または同様の危険の原因になり得る遭難船を極めて迅速に安全な状態にすることにより、ほとんどの汚染事象または油の流出をなくすことである。
したがって、本発明はその目的として、修理もしくは積み荷の回収のいずれか一方、またはこれらの2つの作業を可能にするような方法で保護(safeguarding)することにより、船およびその積み荷の両方を回収することを含む。
この目的のため、本発明の主たる目的は、非常に大型のため池(basin)を有する救助船であって、遭難船に迅速に近づくことができ、遭難船の寸法より明らかに極めて大きい寸法のため池内にこの遭難船を入れることができる救助船を供給することである。
米国特許第5,215,024号明細書によれば、ため池を備える人工浮島であって、積み込みおよび荷下ろし操作中に船を悪天候から守ることができるように、閉鎖することができるため池を備える人工浮島がすでに既知である。人工島は、自立推進手段を備えていないし、バラスト調節することができず、そのため、その機能は、その機能を果たすためにできる限り静止していることである。それは、遭難船に迅速に近づくこと、およびこの遭難船をそのため池内に入れることができない。
英国特許第GB−2,144,680号明細書によれば、浮きドックを形成し、バラストの注水および排水によって浮きプラットフォームの横船体を確実に取り囲み、それにより、この船体の修理を可能にするように構成された一種の箱も既知である。この箱は、横船体の寸法よりわずかに大きいだけである寸法を有し、また、航行することを意図していないため、自立推進手段を有していないか、または船の形さえしていない。したがって、それは、非常に大型のため池を有すると共に遭難船に迅速に近づいて、この遭難船をそのため池内に入れることができる救助船を構成していない。
米国特許第5,988,093号明細書によれば、船体の側部および底部の下側に沿って移動し、それによってその表面を清掃するようにしたU字形構造物を構成する浮きドックも既知である。このドックは2端部で開放されており、非常に大型のため池を形成しない。
オーストラリア特許第AU482,040号明細書によれば、互いに非常に接近すると共に、船の側部に接近しているはしけを収容することを意図した空間を細長い船体が画定するはしけ運搬船も既知である。船体によって画定された内部空間は、後部で完全に開放されているので、ため池を構成しない。
上記明細書のいずれの装置によっても到達することができない主要目的に到達するために、本発明は、その船体が少なくとも長さが150m、幅が30mの細長いため池を画定し、喫水(vessel's draft)を少なくとも15m変更することを可能にするバラスト装置を有する船用救助船に関する。
ため池は好ましくは、長さが少なくとも250m、幅が少なくとも45mであり、喫水の変更を少なくとも20mにすることができる。
第1実施形態において、船体は、バラスト調節可能であると共にため池を取り囲む2つの横船体からなり、船尾は、ため池の後部を閉じることができる、実質的に密封された扉を有する。
変形例において、ため池の後部を閉じることができる扉は、2つのフラップを有し、当該フラップの各々は、扉が閉鎖位置にあるとき、他方のフラップの垂直軸と協働するようにした垂直軸を中心にして互いに関節式連結された2部材を有する。関節式連結された2部材の、垂直軸から遠い位置にある端部の少なくとも1つが好ましくは、船体の後部分の内側に沿って水平方向に移動することができるスライドによって後部船体の対応する垂直側部に取り付けられている。
別の変形例において、ため池の後部を閉じるための扉は、取り外し式パネルを有し、当該パネルはバラスト調節可能であり、それにより、ため池の底部に近い床位置から、ため池の後部を閉じるための扉のほぼ垂直位置へ移動することができる。
第1実施形態において、船が、ため池に入ってくる遭難船を牽引するための少なくとも1つのウィンチを船尾のそばに有することが好都合である。
別の実施形態において、ため池の少なくとも1つの側部の高さは、少なくとも2つの他の側部の高さより少なくとも15mだけ低い。1つの実施形態において、左舷および右舷の2つの長手方向側部は、好ましくはその両方の高さが、船の前部および後部に画定されたその他の2側部の高さより少なくとも20mだけ低く、それらの上縁部は、その長さの大部分で実質的に直線で囲まれている。この縁部は好ましくは、弾性特性を有することが好都合である補強部を備える。
すべての実施形態において、救助船は好ましくは、船の少なくとも長手方向軸に対して直角をなす方向に推進力を加えることを意図する操縦手段を有する。
救助船は好ましくは、ため池内に組み込まれた油圧スラスターなどの、船をため池内に案内して保持する装置を有する。
救助船は好ましくは、うねりが存在する状態でそれを安定させるスタビライザを有する。
救助船は好ましくは、ため池ストーム(basin storms)に対して波除けとして作用する可動の、任意に関節式連結された仕切りを有する。
本発明はまた、バラスト調節することができると共に、上記形式のため池を有する救助船で遭難船を救助する方法に関し、その方法は、救助船を遭難船の位置に向けて移動させる第1段階と、ため池の少なくとも1つの上縁部が遭難船のキール(keel:竜骨)の高さより下になるように、救助船のバラスト調節を遭難船の近くで実行する第2段階と、遭難船をため池内に導入する第3段階と、ため池の上縁部を海水面より上に置く第4段階とを含む。
上縁部を海水面より上に置く第4段階は好ましくは、ため池の扉を閉じることによって実施される。
ため池の上縁部を海水面より上に置く第4段階は好ましくは、船の外に排水してバラスト調節することにより、船を垂直方向に移動させることを含む。
第1段階の前か、または第1段階の開始時に、本方法は好ましくは、船のバラストをその最低限の実効喫水に調節することを含む。
本方法はまた、第4段階の後に、遭難船に対する修理および荷下ろしの中から選択された作業の実行を促進する保護場所へ救助船を移動させることを含む。
船をそのより低い喫水にバラスト調節することは好ましくは、ため池を空にすることを含む。
本発明はまた、上記形式の救助船の、海で海洋養殖モジュールを移動させることへの応用に関する。
それはまた、上記形式の救助船の、乾ドックの形成での応用に関する。
それはまた、上記形式の救助船の、嵐の場合の小型船用の人工港の形成での応用に関する。
添付の図面を参照した以下の説明から、本発明の他の特徴および利点がより明らかになるであろう。
図1は、2つの横船体14間に画定された非常に大きいため池12と、前部分16と、後扉18と底部20とを有する救助船10を示す。船は、前部に示されたブリッジ22も有するが、これは船の任意の他の位置に設けることができる。
これらの構成要素は図示されていないが、船は推進エンジン、特に前方および後方に対して直角方向の移動を可能にする操縦エンジン、スタビライザ、波除けなどを好都合に有する。それはまた、後扉18が開いているときに船を牽引してため池12に入れることができる少なくとも1つのウィンチを有する。このウィンチは、好ましくは扉の上方に固定されるか、またはため池に沿って移動可能である門形クレーン(gantry)に取り付けられることができる。船は、一方が可動式である2つの門形クレーンを有することもできる。
救助船は好ましくは、ため池内に組み込まれたスラスター、たとえば、油圧スラスターなどの、遭難船をため池内に案内して保持する装置も有する。
次に、図1の実施形態に従った救助船の使い方を説明する。
警報が発せられると、監視区域のセンターに配置されている、ため池12を空にした救助船10を直ちに遭難船に高速で向かわせることができ、それは、ため池が空であって、バラスト調整可能なその船体がすでに空であることができるので、喫水が低いからである。そうでなければ、移動の開始から船体を空にし、それにより、海の状態および潮流航行可能性(current navigation possibilities)に適合するようにして喫水をできる限り低くすることができる。
救助船10は、遭難船に接近すると、バラストタンクに水を満載して海中に沈み始めることができる。同時に、ため池12が満たされ始めて、扉18が広く開かれる。遭難船の前部または後部に取り付けられたケーブルを投げた後、または遭難船が再び動いているときにはケーブルなしで、船10をその操縦可能性によって、広く開けられているその後部分が遭難船の方に向けて回転するような向きにする。次に、遭難船をそれ自体の手段によるか、または遭難船に接近することができる船10の推進手段で、また、ウィンチの補助によるか、またはこれらのさまざまな手段の任意の組み合わせで補助されて、ため池12内に導入する。船がため池12に入ってから、扉18を閉める。好ましくは圧縮空気タンク内に前もって保持されていた圧縮空気がバラストタンクから水を追い出し、それにより、救助船10は海面に対して上昇する。この時から、汚染の危険がまったくなくなる。実際に、遭難船は救助船のため池内に保護されており、それが沈没または分解状態にある場合でも、考えられる汚染はため池12に限定される。遭難船の個々の場合に基づいて、ため池を部分的に、あるいは完全に空にするか、または空にしないようにすることができる。この時、たとえば側部により接近する位置へ引き寄せることにより、船の修理またはその荷下ろしなどの作業を容易にするように、救助船10を移動させることができる。
以上の説明に示されているように、救助船10は遭難船の位置に非常に短時間で、多くても数時間で到達することができ、遭難船をため池に入れた時点で、汚染の危険がまったくなくなる。加えて、失われておらず、ほとんどの場合に回復することができる遭難船を保全することが可能になる。
一実施形態において、考慮中の救助船は、幅が約95m、長さが400mのため池を有し、その後扉は、リーチが少なくとも約48m、高さが78mである。
一方の縁部に配置された単一の垂直関節式連結部によってそのような扉を操縦することには、難しい技術的問題がある。その場合、そのような扉を三角形に形成することが有効である。さらに詳しくは、二重後扉の各フラップを2つの部材で構成することができる。該2つの部材は、垂直軸を中心にして互いに関節式連結される。該一方のフラップの垂直軸は、後扉の閉鎖位置において他方のフラップの垂直軸と協働する。2つの関節式連結部材の、垂直軸から離れた位置にある端部は、後部船体の対応する垂直側部に取り付けられる。これらの取り付け部は、(たとえば、船の側部の後端部に)単純に関節式連結されるか、または、後部船体の側部に沿って水平方向に移動することができる摺動部材に関節式連結され。2つの取り付け部が摺動部材を有することもできる。
上記救助船の場合、ため池の寸法は、「ため池ストーム」の名前で知られる現象を起こす可能性があるような寸法である。その場合、救助された船の取り扱いに重大な支障をきたす可能性があるそのようなストームをなくすことが好ましい。その場合、2つの横船体間に可動仕切りまたは波除けが好都合に組み込まれる。
上記三角システムは、救助船の他の部分、たとえば、ため池ストーム波除け、救助された船を保持するためのスラスター、側部間に配置されたハンドリング門形クレーン支持部にも適用することができる。
図1の変更実施形態において、ため池が各端部に18などの扉を有する。その場合、2つの横船体を幾つかの固定門形クレーンによって連結することが重要である。さまざまな必要構成要素が2つの船体内に収容されている。
図1の別の変更実施形態において、高さが40m程度、幅が25〜30m程度の少なくとも1つの扉、たとえばスライド扉を横船体内のため池の前部に、または船の前部に形成することができる。そのような扉は、救助された船をため池内に導入するために使用することができる1つまたは複数の曳船(tug)を出すことができるようにするためのものである。ため池が満たされたときにこのように出ると、これらの扉は横船体の上部に近い位置に置かれる。好ましくは、2つの扉が各横船体の前部に形成され、それにより、曳船が風側でため池から出ることができる。
図2は、別の救助船の実施形態を示す。さらに詳しく言うと、図2の救助船24は、平行六面体の形に示されたため池26を画定する船体28を有するが、第1実施形態の場合と同様に、この形は重要ではない。特に、底部は必ずしも平坦でなく、ため池はたとえば、横断垂直面(transversal vertical plane)での断面において、底に向かって狭くなる形状を有してもよい。そのような構造は、たとえば、バラスト調節を加速するために採用されることができる。
各端部において、船は、好ましくは上部にブリッジを担持している構造体30を有する。構造体30は、単純な上部構造物ではない。実際に、それは図2より高く、船をほとんど完全に沈潜させ、それにより、構造体30の上部分だけが海上に突出するようにすることができることを示す。もちろん、この位置でも、船は、それが沈没しないようにする予備浮力槽を有する。
救助船24の使用中、ため池26を空にした救助船を遭難船の位置へ迅速に移動させることができる。それが遭難船に接近したとき、バラストタンクに水を導入し、それにより、救助船を水中に沈める。それが遭難船に横付けされているとき、ため池の上縁部32が水中の、遭難船の喫水に少なくとも等しい深さに、海の状態によって決まる安全限界分を増加させた深さにあるべきである。2端部に横方向推進手段を有する船24を遭難船の下の横に置くことができ、次に圧縮空気をそのバラストタンクに急速に導入し、それによって水を排除する。ため池の上縁部32が遭難船のキールの下部分の高さより上に上昇すると直ちに、遭難船がため池内に捕らえられる。救助船24の上昇は、ため池の上縁部が海水面より上で、状況および特に天候を考慮しながら所望高さになるまで行われる。この時、第1実施形態の場合と同様に、遭難船がもはや汚染を生じることはあり得ない。
第1実施形態と比べて、第2実施形態の救助船24には、いずれの救助作業においても海の状態の影響を受ける可動部分の操縦をまったく必要としないという利点がある。
もちろん、本発明に従った救助船は、寸法が非常に大きい。それらが汚染事象または油の流出のほとんどを回避することができるように、それらのため池12または26は長さが少なくとも150m、好ましくは少なくとも250m、非常に好都合には少なくとも300mでなければならない。ため池の幅は少なくとも30m、好ましくは少なくとも50m、さらにはそれ以上でなければならない。上記の例において、考慮中の救助船は、幅が約95m、長さが400mのため池を有し、船体の高さは78mに達する。その場合、救助船は相当な寸法および質量を有し、そのため、それは実質的に嵐の影響を受けず、海の状態に関係なく使用されることができる。加えて、その寸法および質量により、存在し得るうねりおよび潮流を考慮に入れながら適当に位置決めすることによって、遭難船をため池に入れやすくする局部的静穏を生じることができる。
遭難船の原因である、いわゆる「凶暴な(rogue)」波を救助船が受ける非常に希なケースでは、冗長装置を使用することが好都合であろう。したがって、ナビゲーションシステム、安全システムなどを備えたブリッジおよび機関室をそれぞれ二重にすることができる。したがって、横船体の各々に機械室を設置することができる。もちろん、この目的のために、最大応力を受ける可能性がある部品を適当に補強することができる。
第1実施形態では、船のバラスト調節により、喫水を15m、好ましくは少なくとも20または25m程度、変更できることが望ましい。第2実施形態の船24の場合、喫水の変化が30mまたはそれ以上にも達することができることが望ましい。
次に、図3〜図6を参照しながら、第1実施形態の2つの変形例を説明する。
図3および図4は、幅が約95m、長さが400mのため池12を有し、船体の高さが78mに達する救助船10を鳥瞰図(上から見た図)および長手方向断面図で示す。長さが150mの遭難船34が、ため池12内に示されている。これらの図面において、操縦に利用可能な空間が非常に大きいことを考慮すれば、遭難船を、それ自体の手段によるか、または救助船の推進および操縦手段によって、また、曳船の補助によるか、またはこれらの手段の任意の組み合わせによってため池内に導入することが容易であることがわかる。
図5および図6は、やはり幅が約95m、長さが400mのため池12を有し、船体の高さが78mに達する救助船10を鳥瞰図および長手方向断面図で示す。長さが360mの遭難船38が、ため池12内に示されている。この変形例では、ため池の底部の後部分が、それ自体がバラスト調節可能である床を構成する取り外し式パネル40からなる。この床は、たとえば長さが80mであって、図6に示されているように下げられ、それにより、非常に大型の遭難船を入れやすくすることができる。
別の変形例において、底部の後部分は、40で示されている床およびパネルを有し、これらはバラスト調節可能であって、回動によって摺動し、それにより、扉18の代わりに後部を閉鎖することができ、この場合、扉18は不要である。その場合、このパネルの操縦は、実質的にバラスト調節によって行われる。
もちろん、救助船は、その任務に適した他の装備、たとえばヘリコプター用の着陸プラットフォーム、遭難船を停泊させるための手段、救助船のため池に入れる前、入れる間、または入れた後の遭難船の火災を消火する手段、ため池の水の処理、特に濾過を行う手段、特に濾過によって回収された、または遭難船上の廃棄物を保管する手段、および/または破損した船の少なくとも応急修理を行う手段を有することができる。
本発明に従った救助船は、以下の大きな利点を示す。
最初に、それは、汚染の問題をできる限り迅速になくす一方、遭難船の沈没を防止し、ほとんどの場合にそれを修復することができる。積み荷も回収することができ、任意選択で地上施設に、または他の船に往復運搬することができる。
一方で船および積み荷をこのように回収できること、および他方で汚染の影響のすべてをなくすことは、相当な経済的利点になる。
別の大きい経済的利点は、良好な動作状態にある単胴船(single-hull vessel)の航行を禁止する必要がまったくなくなることであり、それらが招くと思われる問題を容易に解決することができるからである。遭難船用の待避港を設置する必要がまったくなくなり、それにより、理論的に述べただけであるこの解決策は、実際に考慮されたことがないと思われるような不都合を提案する。
加えて、そのような船は、そのような大規模な汚染事象の回避だけでなく、他の用途にも使用されることができる。特に、基準寸法が大きい(100メートル以上の大きさ)と共に、ときどき移動させなければならない海洋養殖場を海に建設することが始まっている。そのような救助船はこの目的に申し分なく適する。
救助船には、船や船の部品、掘削または製造プラットフォームおよびそのようなプラットフォームの部品などのかさばる構造物の運搬を行う他の用途もある。
たとえば、船隊を移動させる場合、救助船は乾ドックを形成することもできる。
最後になるが、激しい嵐の場合、そのような救助船は、小型船を保護するための人工港として使用することができる。
救助船を従来通りに遭難船の救助だけに使用する場合、それが待機している期間が長く、その大きい寸法およびその喫水を考慮すれば、側部に十分な余裕がある。その場合、再生可能な形式のエネルギー発生装置用の支持体としてそれを使用することができる。たとえば、それは風力エンジンまたは太陽光発電装置を担持することができる。得られたエネルギーは、電気の形で、または化学的な形で蓄積されて、たとえば船によってその任務に使用されるか、または海上の接続装置によって沿岸に伝達されることができる。
もちろん、当業者であれば、本発明の範囲を超えない限り、単に非制限的な例として以上に記載された船、方法および用途にさまざまな変更を加えることができる。
本発明の第1実施形態の救助船の非常に概略的な斜視図である。 本発明の第2実施形態の救助船の非常に概略的な斜視図である。 第1実施形態の変形例の鳥瞰図(上から見た)である。 図3の変形例の概略断面図である。 第1実施形態の別の変形例の鳥瞰図(上から見た)である。 図5の変形例の概略断面図である。

Claims (7)

  1. 少なくとも長さが250m、幅が45mの細長いため池(12、26)
    喫水を少なくとも20m変更することを可能にするバラスト装置
    前記ため池(12、26)を取り囲む2つの横船体(14)を有し、前記ため池(12、26)の少なくとも1つの上縁部を画定する船体
    該船の少なくとも長手方向軸に対して直角をなす方向に推進力を加えることを意図する操縦手段と、
    該横船体(14)内のため池の前部または該船体の前部に形成された前扉であって、遭難船を該ため池に導入した曳船が該ため池から出ることができる前扉と、
    を有する船用救助船であって、
    前記バラスト装置は、少なくとも2つの位置の間で動作し、その一方の位置では、前記ため池(12、26)が空であって、少なくとも前記上縁部が海水面より上にあり、また他方の位置では、前記ため池(12、26)の端部が遭難船のキールの高さより下にあるため、前記ため池(12、26)が満たされ
    該船体の船尾は、少なくとも40mの高さを有する密封扉(18)を有し、
    該密閉扉(18)は遭難船のキールの高さより下にある縁部上で前記ため池(12)の後部を閉じて密閉し、それにより、該遭難船を該ため池内に保護するとともに該遭難船からの汚染を該ため池内に制限する、
    ことを特徴とする船用救助船。
  2. 前記ため池(12、26)の後部を閉じることができる前記扉は2つのフラップからなり
    2つのフラップの各々は、前記扉の閉鎖位置において他方の前記フラップの垂直軸と協働するように設計された垂直軸を中心にして互いに関節式連結された2つの部材からなる
    請求項に記載の船用救助船。
  3. 前記関節式連結された2つの部材の、前記垂直軸から離れた位置にある端部の少なくとも1つが、前記船体の前記後部の内側に沿って水平方向に移動することができる摺動部材によって前記後部船体の対応する垂直側部に取り付けられている、請求項に記載の船用救助船。
  4. 前記ため池(12)の前記後部を閉じることができる前記扉は、取り外し式パネル(40)からなり、該パネルはバラスト調節可能であり、記ため池の底部に近い位置から回動して垂直な位置まで移動し、前記ため池(12)の前記後部を閉鎖することができる、請求項に記載の船用救助船。
  5. 前記船体の左舷および右舷の2つの長手方向側部(28)の両方の高さは、該船の前部および後部に画定されたその他の2側部の高さより少なくとも20mだけ低く、該長手方向側部(28)の上縁部(32)は、その長さの大部分で実質的に矩形であって、補強部を備える、請求項に記載の船用救助船。
  6. 前記ため池(12)は、横断垂直面での断面において、底に向かって狭くなる形状を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の船用救助船。
  7. バラスト調節することができると共にため池(12、26)を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の船用救助船(10、24)の補助で遭難船を救助する方法であって、
    前記船用救助船(10、24)を前記遭難船の位置に向けて移動させる第1段階と、
    前記ため池(12、26)の少なくとも1つの上縁部が前記遭難船のキールの高さより下になるように、前記船用救助船(10、24)のバラスト調節を前記遭難船の近くで実行する第2段階と、
    前記遭難船を前記ため池(12,26)内に導入する第3段階と、
    前記遭難船を前記ため池に導入するために使用された曳船が前記前扉を経由して該ため池から出る第4段階と、
    前記ため池(12、26)の前記上縁部を海水面より上に置く第段階と、
    を含む方法。
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