JP4744125B2 - 長尺光学素子の保持機構、光走査装置、画像形成装置 - Google Patents

長尺光学素子の保持機構、光走査装置、画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、レーザプリンタ、デジタル複写機、レーザファクシミリ等のレーザ書込光学系の光書込ユニットに適用可能な長尺光学素子の保持機構、この保持機構を用いた光走査装置および画像形成装置、さらには長尺光学素子の形状調整方法および長尺光学素子の形状調整装置に関するものである。
近年、レーザプリンタ、デジタル複写機、レーザファクシミリ等の画像形成装置においては、走査光学系を構成する光学素子の材料としてプラスチック材料が多く使われている。プラスチックは、量産性に優れている一方で、成形時の金型内温度の分布や金型から取り出した後の冷却が一律に行われないなどの要因により、形状が理想のものから外れてしまうことも多い。
走査光学系においては、主走査方向に長い形状の光学素子が多く、副走査方向に光学素子が曲がってしまうこともあり、上記のような長尺状光学素子の保持方法によっては、光学素子の曲がりによって、走査線傾き、走査線曲がりなどの副走査対応方向への走査位置ずれの原因となる。また、光学素子のハウジングへの取り付け誤差も被走査面上での副走査対応方向への走査位置ずれとなり、この走査位置ずれも無視できない大きさになる場合が多い。
さらに、画像形成の高速化あるいはカラー画像形成のために複数の走査手段を持つ画像形成装置(これを後述の「タンデム型」という)においては、走査手段を保持固定しているハウジング間の温度偏差により、走査手段毎に走査線曲がりなどの副走査対応方向への走査位置ずれの量が異なり、形成画像の品質の劣化、色ずれなどの要因となる。また、複数の光ビームを単一の偏向器に入射させて走査し、光学素子を副走査方向に重ね合わせて配置する方式、すなわち、同一の光学ハウジング内に全ての走査手段を保持する方式においても、それぞれの走査光学系を構成する光学素子の形状誤差、取り付け誤差、同一ハウジング内での温度分布の影響により、各被走査面である例えば感光体表面での走査線傾き、走査線曲がりなど、副走査対応方向への走査位置ずれの量が異なり、やはり形成画像品質を劣化させることになる。
フルカラー画像形成装置の一形式としてタンデム型がある。これは、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応して4つの感光体ドラムを転写ベルトの搬送面に沿って列設し、各感光体ドラムに対応して設けられた光走査装置により光ビームを走査して、各感光体ドラム周面に静電潜像を形成すると共に、これらの静電潜像を該当する色のトナーで顕像化し、これを転写ベルトによって搬送されるシート上に順次重ねて転写して多色画像を形成するものである。したがって、色ごとに副走査対応方向の走査位置ずれが生じてしまうと、形成画像の品質低下、あるいは色ずれなどの原因となる。
上に述べた問題の解決手段として、多数の提案がなされている。これらの提案の中から、本願発明に関連のあるものを以下にいくつか挙げる。
一つの例は、走査光学系中の光学部材例えばミラーを調整ねじなどによって強制的に変形させる調整機構を設け、走査線の曲がりを補正するようにした光走査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方式では走査線曲がりの補正によって主走査方向の倍率が変化する難点がある。そのため、特にタンデム方式の書込光学系においては、光走査装置および対応する感光体からなる各ステーション間で主走査方向のドット位置ずれが生じ、このドット位置ずれによる色ずれが発生する。また走査線の傾き調整ができないため、ステーション毎の走査線曲がり量を所定の範囲に低減しても、走査線の傾きがステーション毎にばらつけば色ムラや色ズレとなり、形成される画像品質の劣化となる。
別の例として、筺体にねじ込まれた複数の調整ねじと、各調整ねじに対向した位置に配置されたばね手段により、筺体内に配設されたプラスチックレンズを押し付けて支持する構成とし、各調整ねじによる押圧力を調整することにより、プラスチックレンズのたわみ変形を補正し、被走査面上での走査線曲がりおよび/または傾きを補正するようにした走査光学装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この発明にかかる調整方式では、プラスチックレンズを筺体内に配設する構成であるため、光走査装置が大型化する難点があり、また筺体を光学ハウジングに固定しているため、走査線の傾きを補正することはできない。
さらに別の例として、複数の走査手段を用いるタンデム型の画像形成装置において、各走査手段全体、換言すれば、個々の走査手段を個別のハウジングに組み付け、個々のハウジング全体を対応する感光体に対し位置調整し、各感光体での走査線を一致させるようにした走査光学装置およびこれを用いたカラー画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この発明によれば、調整のための機構が複雑になり、調整時間もかかるため、コストアップの要因となる難点がある。また、各走査手段間において、常温状態から温度変動して温度分布を持った際の、走査線曲がりの調整はできず、色ずれ発生の可能性がある。また、温度変化などによる経時的な変化には対応できず、プリント中、もしくは使用環境における色ずれを高精度に補正することはできない。
さらに別の例として、走査光学系を構成するプラスチックレンズからなるトロイダルレンズの長さ方向中央付近に調整ねじを突き当ててトロイダルレンズを副走査方向に撓ませ、上記調整ねじの調整によってトロイダルレンズの湾曲度合いを調整して走査線曲がりを補正する形式の多色画像形成装置の光走査装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この発明によれば、初期状態での感光体相互間の走査線曲がりは補正可能であるが、温度変化などによる経時的な変化には対応できず、プリント中の環境条件変化にも基づく色ずれ、もしくは使用環境に基づく色ずれを高精度に補正することはできない。
特開平11−231240号公報 特開2001−166235公報 特開2001−133718公報 特開平10−268217号公報
以上述べたように、いずれの従来技術においても、被走査面における主走査方向のドット位置がずれる、走査線傾きを補正することができない、あるいは、経時的変化および/または温度変化に伴う走査線曲がり補正ができない、というような技術的な課題を残している。
本発明の目的は、理想状態からずれた形状を呈した長尺光学素子、および/または長尺光学素子以外の光学部品の形状誤差あるいは組立誤差に起因する、走査線の曲がりあるいは傾きを補正し、カラー画像形成装置においては色ずれの発生を効果的に抑制することができる長尺光学素子の保持機構、光走査装置、画像形成装置および長尺光学素子のたわみ変形調整方法を提供することにある。
本発明は、長尺光学素子を、その光軸方向に直交する方向でありかつ長手方向に直交する方向に弾性力により押圧する弾性部材と、この弾性部材と対をなし弾性部材からの押圧力に対向して上記長尺光学素子を支持する支持部材とを有してなる長尺光学素子の保持機構であって、上記弾性部材と支持部材の組が、3組以上備えられていることを最も主要な特徴とする。弾性部材と支持部材の組のうち2組は、長尺光学素子の長手方向両端部に配置するとよい。上記支持部材の少なくとも一つは、別のホルダ部材に保持し、押圧力の方向に移動可能とするとよい。さらに、上記支持部材の移動量を調整可能な調整機構を設け、この調整機構は、少なくともねじ要素から構成するとよい。
本発明はまた、長尺光学素子と、この長尺光学素子の上側又は下側の少なくとも一方に配置され、距離Lだけ離れて上記長尺光学素子を支持する2つの支持部を有する保持部材と、この保持部材に備えられ、上記長尺光学素子を押圧変形させる調整部材と、上記長尺光学素子を上記保持部材に押圧固定するために、上記調整部材に対向して配置される弾性部材と、を有してなる長尺光学素子の保持機構において、長尺光学素子(添字i=1)及び保持部材(添字i=2)の両端部を、距離Lだけ離れた2つの支持部にて回転可能に支持し、中央部に荷重Wiを付加した場合のたわみをδiとし、弾性係数Kiを、
Ki=(Wi×L)/(48×δi)
にて規定し、上記長尺光学素子及び保持部材の弾性係数を各々K1、K2としたとき、
K2/K1≧0.5
であることを特徴とする。
本発明はまた、上記構成の長尺光学素子の保持機構を備えた光走査装置、この光走査装置を露光装置として備えた画像形成装置、さらには、長尺光学素子のたわみ変形調整方法を提供するものである。
本発明にかかる長尺光学素子の保持機構によれば、次のような効果を得ることができる。
・長尺光学素子の「たわみ度合い」を良好に保つことができる。
・長尺光学素子のたわみ変形量を調整することで、走査線の形状すなわち走査線曲がり及び/又は走査線傾きを補正することができる。
・低コスト化可能な部品構成によって、短時間で容易にかつ高精度にたわみ変形を調整することができる。
・走査線曲がりと走査線傾きを独立して補正することができる。
・調整精度を低下させず、かつ調整時間の長時間化および/または調整手順の複雑化を招くことなく、調整可能箇所を低減させることができる。
・2つの独立した走査線曲がり補正機構を具備することができる。
・部品点数低減に伴い、装置の低コスト化及び小型、軽量化を図ることができる。
本発明にかかる別の長尺光学素子の保持機構よれば、次のような効果を得ることができる。
・長尺光学素子を保持するホルダ部材のたわみ変形を抑制することができ、長尺光学素子保持機構の取り付け精度の劣化を回避することができる。
・長尺光学素子を押圧固定する弾性部材の押圧力を大きくする必要がなく、長尺光学素子の曲がり補正を高精度に行うことができる。
・部品点数の低減及び小型化を図ることができる。
・長尺光学素子の曲がり補正だけではなく、傾き補正も行うことができる。
本発明にかかる光走査装置によれば、被走査面上に意図したとおりの形状の良好な走査線を描くことができる。また、振動の影響や経時変化、温度変化等に起因する走査線形状の変形を補正することができる。さらに、走査線形状を簡易かつ高精度に検出し、この検出結果に基づいて簡易かつ高精度に走査線形状を補正することができる。
本発明にかかる画像形成装置によれば、高品位の画像を出力することができる。また、長尺光学素子のたわみ変形量を検出することによって、長尺光学素子のたわみ変形量の簡易かつ高精度なフィードバック補正を行うことができ、より高品質の画像を形成することができる。
本発明にかかる長尺光学素子の形状調整方法あるいは形状調整装置によれば、上記のような効果を得ることができる長尺光学素子の保持機構を用い、その調整部材で長尺光学素子のたわみ変形を調整することにより、意図したとおりの形状に長尺光学素子をたわみ変形させ、形状を調整することができる。
まず、光走査装置の概要について説明し、光走査装置の被走査面における走査線曲がりと走査線傾きの発生原因について説明する。図1は、画像形成装置に用いられる「光走査装置」の一例を示す。この光走査装置は、一つの光源から出射する1本のレーザビームを被走査面上に走査する光走査装置の例であるが、複数の光源(例えば、半導体レーザアレイ)から出射する複数本のレーザビームを同時に走査する「マルチビーム光走査装置」に応用することも可能である。図1において、光源としての半導体レーザ11から発射されるレーザビーム21は、カップリングレンズ12によってほぼ平行なレーザビームとされ、後続の光学系にカップリングされるようになっている。このレーザビームは、シリンドリカルレンズ13の作用により副走査方向にのみ収束され、光偏向器であるポリゴンミラー14の偏向反射面上に、主走査方向に長い線像として結像されるようになっている。ポリゴンミラー14はポリゴンモータにより高速度で等速回転駆動され、上記レーザビームは等角速度的に偏向される。偏向されたレーザビームは、第1走査レンズ15-1および第2走査レンズ15-2からなる走査光学系15により、被走査面である感光体ドラム16の表面上にビームスポットとして結像され、また、走査光学系15がもっているfθ機能により、上記被走査面上を等速度的に走査されるようになっている。符号18は、被走査面16としての感光体ドラム表面におけるレーザビームによる走査線を示している。このような、光源部から出射された光ビームを被走査面16上にビームスポットとして結像し走査する装置を、「光走査装置」と呼ぶことにし、以後、光走査装置には符号20を付することにする。
図2は、上記光走査装置における第2走査レンズ15−2の構成を、設定した座標系(方向)によって詳細に説明するための図である。第2走査レンズ15−2は主走査方向に長い長尺レンズである。図2において、第2走査レンズ15−2の長手方向は、光偏向器であるポリゴンミラー14により偏向されたレーザビームの走査方向であって、この方向を「主走査方向」;Y軸方向とする。前記被走査面16となる感光体ドラム表面の移動方向に相当する方向である第2走査レンズ15−2の短手方向を「副走査方向」;Z軸方向とし、Y軸方向及びZ軸方向に直交する方向(X軸方向)を「光軸方向」と呼ぶことにする。「光軸方向」は、通常はレンズの中心軸と一致する。また、長尺レンズである第2走査レンズ15−2の、主走査方向における各副走査断面の頂点を包絡した曲線を、長尺レンズの『母線』と呼び、この母線を、長尺レンズの「たわみ度合い」を代表的に表すパラメータと考えることにする。すなわち、「長尺レンズの曲がり」とは、「長尺レンズの母線の曲がり」を指すものとする。
近年、走査光学系15を構成する光学素子にはプラスチック材料が多く使われている。プラスチック材料からなる光学素子は、量産性に優れている一方で、成形時の金型内温度の分布や金型から取り出した後の冷却が一律に行われないなどの理由により、加工後の形状が理想形状から外れてしまうことも多い。特に、上記第2走査レンズ15−2は被走査面16側に配置されるため、比較的主走査方向に長い形状(長尺形状)になる傾向が多いため、成形加工後の形状誤差の発生量が大きくなりやすい。さらに副走査方向の結像性能及びポリゴンミラーの面倒れ補正機能を有し、副走査方向のパワーが大きいことが多いため、その形状誤差、すなわち母線の変形が被走査面16上における走査線の形状、いわゆる「走査線曲がり」及び「走査線傾き」に及ぼす影響も多大となる。
走査線曲がり及び走査線傾きは、第2走査レンズ15−2の母線の変形以外の原因、例えば、
・光走査装置(特に、その走査光学系)に設けられた折返しミラー、第1走査レンズ、防塵ガラス等の変形及び取り付け誤差、
・光偏向器としてのポリゴンミラー(回転多面鏡)の回転軸倒れ、
・光源装置からの出射ビームの出射方向誤差
等の原因によっても、発生することが知られている。このような長尺レンズ以外の構成部品の形状誤差や組立誤差に起因する「走査線曲がり」は、数百μm程度に達する場合もあるが、これの補正を長尺レンズの曲がり調整により行うことも可能である。
なお、請求項に記載している「長尺光学素子」は、「プラスチック製の長尺レンズ」に限定されるわけではなく、例えば、光偏向器としてのポリゴンミラーと被走査面との間の光路を折り曲げるために具備された折返しミラー、結像機能を持った長尺ミラーなど、比較的細長い形状の光学部品も対象となる。
次に、本発明にかかる画像形成装置の実施例について説明する。図4は、本発明にかかる画像形成装置の実施例を示す中央断面図である。図4において、画像形成装置は、感光体16および光走査装置20を有するとともに、感光体16の周囲に配置された帯電器51、現像器52、転写器53、定着器54及びクリーニング部55を有している。光走査装置20は像担持体である感光体16の表面を光走査することによって光書込みを行う。電子写真プロセスを実行することにより、感光体16上に静電潜像を形成する。光走査装置20は、電子写真プロセス中の露光プロセスを受け持っている。この画像形成装置による画像形成の原理は周知の通りであり、これを以下に説明する。感光体16の表面は帯電器51により一様に帯電され、この一様に帯電された感光体16の表面を光走査装置20が光走査し、画像を形成する。感光体16の表面は、光走査による露光分布に応じて電位が低下し、感光体16上に静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器52により供給されるトナーが付着されることによって顕像化される。感光体16に付着したトナーは、転写器53により用紙に転写された後、定着器54によって用紙に融解固着され定着される。クリーニング部55は、感光体16上の残留トナーを除去する。
カラー画像形成装置には、前述のようにタンデム方式が採用されることが多い。タンデム方式は、通常、4ドラムタンデム方式が用いられるが、4ドラムタンデム方式画像形成装置の説明に先立ち、より単純な2ドラムタンデム方式画像形成装置用の光走査装置について、図3を用いて説明する。図3において、光源(図示しない)から出射された2本のレーザビームは、光偏向器であるポリゴンミラー14により偏向反射され、共通の第1走査レンズ15−1を通過するように構成されている。第1走査レンズ15−1を透過した2本のレーザビームは、それぞれ異なるミラーにより光路を折り曲げられ、異なる第2走査レンズ15−2M、15−2Yを通過した後、それぞれ感光体ドラム16M、16Yに到達する。一般に第1走査レンズ15−1は、主走査方向の結像性能及び被走査面である感光体ドラム16M、16Yの表面での等速走査性能を確保するため、主走査方向のパワーが大きい場合が多い。第1走査レンズ15−1がプラスチック製の場合、このレンズに主走査方向の温度分布が発生すると、被走査面での等速走査性が悪化し、主走査方向でのドット位置ずれが発生する。
図3に示す実施例の構成とは異なり、2本のレーザビームがそれぞれ異なる第一走査レンズを通過する構成で、異なる温度分布が発生した場合には、各感光体ドラム上の主走査方向ドット位置ずれ量に偏差が発生するため、各感光体ドラム上のトナーを重ねて転写したとき、結果として出力画像の色ずれの原因となる。ところが、図3に示す実施例のように2本のレーザビームが共通の第1走査レンズ15−1を通過している場合には、温度分布が発生しても等速走査性の偏差は抑制できるため、感光体相互間の主走査方向ドット位置ずれの発生も抑制できるメリットがある。
次に、4ドラムタンデム方式画像形成装置について説明する。図5は、4ドラムタンデム方式画像形成装置の一例を示す。光走査装置の基本構成は、上述の2ドラムタンデム方式画像形成装置用の光走査装置と同様である。符号22a,22b,22c,22dは光源ユニットを示す。各光源ユニットは、光源としての半導体レーザ11と、半導体レーザから出射されるレーザビームをほぼ平行光束にして後続の光学系にカップリングするカップリングレンズ12を有してなる。上記ほぼ平行光束とされたレーザビームはシリンドリカルレンズ13を透過することにより副走査方向にのみ収束され、光偏向器としてのポリゴンミラー14の偏向反射面近傍に、主走査方向に長い線像が結ばれるようになっている。上記各光源ユニット、カップリングレンズ、シリンドリカルレンズによって4組の異なる光走査装置を構成し、偏向走査される4本のレーザビームが出射されるようになっている。
図5に示す実施例においては、ポリゴンミラー14によって偏向反射される4本のレーザビームが共通の第1走査レンズ15−1を通過するように構成されている。4本のレーザビームはそれぞれ異なる光走査装置から出射されるビームである。光走査装置は、図1、図2に示す光走査装置と同じ構成のものを用いることができる。上記第1走査レンズ15−1を出射した4本のレーザビームはそれぞれ異なる光路により、ミラーで反射され、第2走査レンズを通過した後、各感光体ドラム16K、16C、16M、16Yに到達し、各感光体ドラム表面を光走査することにより露光し、静電線像を形成する。図5に示す同期検知センサ19は、各レーザビームによる上記各感光体ドラムへの書込開始タイミング用信号を得るために設けられている。
各感光体ドラム上に形成されたトナー像は、転写ベルト31上に転写されて重ね合わせられ、カラー画像が形成される。転写ベルト31上のカラー画像は転写紙に転写され、定着器によって転写紙に定着される。上記転写ベルト31上で各感光体ドラム上のトナー像を重ね合わせる際、各感光体ドラム上の走査線の形状に偏差があると、副走査方向の色重ね状態が劣化して色ずれが発生し、出力画像品質が低下する。本発明は主として、このような走査線形状誤差を低減することを目的としている。なお、図5に示す4ドラムタンデム方式画像形成装置の例においては、上記の色ずれ量を検知するための「色ずれ検知用トナー像」55が、転写ベルト31上の3箇所に形成され、これらの色ずれ検知用トナー像55を各「色ずれ検知用センサ」56にて検出することが可能な構成を採用している。
次に、プラスチックからなる長尺レンズの概要と、この長尺レンズの形状誤差に関して説明する。既述のように、走査光学系を構成する光学部品のうち、被走査面側に配置され、副走査方向のパワーが大きい「長尺レンズ」は、そのたわみ変形すなわち母線の曲がりが、被走査面における走査線形状に大きな影響を及ぼす。図17は、成形加工後の長尺レンズの形状の各種例、すなわち、たわみ変形の各種例を示す。長尺レンズの長手方向両端部上面を固定し、長尺レンズの下面側からスプリングにより固定部に向かって押し付けて弾性保持する構成になっている。図17(a)は設計中央値すなわち理想形状を示す。しかし、通常は、1つの極値を有する形状、例えば、図17(b)(c)に示すように、上側に向かって突形状、あるいは下側に向かって突形状となることが多い。プラスチック材料による条件、金型から取り出した後の冷却条件、あるいは光学系の倍率などにより異なるが、全長200[mm]程度の長尺レンズの場合、経験上、最大で、数十[μm]〜100数十[μm]程度の母線曲がりが発生する。さらには、2つの極値を有するN形状(図17(d)参照)や、3つの極値を有する形状、例えば、図17(c)に示すM形状、図17(f)に示すW形状となる場合もある。
上記長尺レンズの母線曲がりによる形状誤差の補正について説明する。図18(a)に示すように、長尺レンズ両端部上方を固定し、これに対向するように下方からスプリング等により弾性保持する構成を考える。長尺レンズの母線が1つの極値を有する形状(図18(b)又は(c)に示す形状)である場合には、長尺レンズ中央部付近を、例えば調整ねじからなる一つまたは複数の可動保持部により押圧することで、長尺レンズの母線を真直な理想形に近づけるように修正することができる。なお、可動保持部に対向する位置にも、下方からスプリング等の押圧手段が備えられている。
長尺レンズの「曲げ剛性:EI」(ヤング率Eと断面二次モーメントIの積)が、長尺レンズの長手方向に一定の場合、長さLの両端支持はりの中央部に荷重Wを付加した際のたわみvは、
v=(WL/48EI){(3x/L)−(4x/L)} ;0≦x≦L/2、
xは一端からの距離
で表される。すなわち、長尺レンズの長手方向中央部のみに調整ねじを設けた場合には、上記の式に従った補正が可能である。しかし、例えば、図18(c)〜(f)示すようなより複雑な形状誤差を取り除くことはできない。したがって、長尺レンズ形状が有する母線曲がりの極値の数が多くなるに従い、調整ねじの個数を増加させる必要があるが、一般には予測される極値の数と同数の調整ねじを設ければよい。
また、既述のように、長尺レンズの母線形状だけではなく、他の構成部品の形状誤差および/または組付誤差等の影響により、走査線曲がりおよび/または走査線傾きが発生する場合もある。このようにして発生した走査線曲がりおよび/または傾きも、長尺レンズの変形を調整することにより補正することができる。従って、母線が1つの極値を有する長尺レンズを用いた場合でも、複数個の調整ねじを設けておくことが望ましい。しかし、調整ねじ点数が増加するに伴い、
・調整工程が複雑化し調整時間が増加する恐れがあること、
・通常の光学系の場合、被走査面での走査線の極値の個数は、最大でも3程度であること、
等を考慮すれば、通常は、調整ねじは3〜4ヶ所に設定すれば十分である。
次に、長尺光学素子の保持機構の各種実施例について説明する。
実施例1
図6において、前述の第2走査レンズである長尺レンズ15−2は、基準面となるハウジング底面68の上に設置された3つの圧縮スプリング(弾性部材)61と、それらと対をなし、圧縮スプリング61からの押圧力に対向して、長尺レンズ15−2を下側から支持する3つの支持部材63により保持されている。弾性部材である圧縮スプリング61と支持部材63の組が3組あって、このうち2組は長尺レンズ15−2の長手方向両端部に配置され、1組は長手方向中央部に配置されている。本実施例においては、支持部材63は、鋼板等のプレス加工にて加工されたホルダ部材66の一部に曲げ加工あるいは切り起こし加工により形成されているが、これらの材料としては他に、アルミ等の金属の切削加工品又は焼結加工品や、樹脂モールド品等を採用しても構わない。
また長尺レンズ15−2に押圧力を付加する弾性部材としては、上述の圧縮スプリング61の他に、図15(a)〜(d)に示すような、板ばね65を採用しても構わない。図15において、長尺レンズ15−2は長手方向に沿い上下幅方向にそれぞれ突出縁部15−21,15−22を有し、光軸方向に平行な横断面形状が横向きの「H」形になっている。図15(c)に示す板ばね65は、その両端折り曲げ縁部がホルダ部材66の縁部と長尺レンズ15−2の上側の突出縁部15−21とにまたがって引っ掛けられ、長尺レンズ15−2をホルダ部材66側に引き寄せる向きに付勢している。ホルダ部材66には上記支持部材63に代わる調整ねじ62が捩じ込まれていて、調整ねじ62の先端が長尺レンズ15−2の上面に当接することにより、上記付勢力による長尺レンズ15−2の移動を規制している。図15(d)に示す板ばね65は、その両端折り曲げ縁部がホルダ部材66の縁部と長尺レンズ15−2の下側の突出縁部15−21とにまたがって引っ掛けられている点が、図15(c)に示す例と異なるのみで、長尺レンズ15−2に押圧力を付加するものであることに変わりはない。このように、板ばね65を採用することで、図6に示すような圧縮スプリング61を利用する構成と比較すると、無駄なスペースが発生せず、装置の小型化を図ることが可能となる。
実施例2
図7は、長尺光学素子の保持機構の実施例2を示す。図7において、ホルダ部材66は、その長手方向両端部がハウジング底面68上に設置された2つの間隔部材53上に固定され、このホルダ部材66に複数の調整ねじ62(本図では3本)が螺合されている。ハウジング底面68上には、各調整ねじ62に対向して弾性部材としての圧縮スプリング61が配置されている。各調整ねじ62と各圧縮スプリング61の間に長尺レンズ15−2が配置され、長尺レンズ15−2は圧縮スプリング61の押圧力によって調整ねじ62の下端に押し付けられている。調整ねじ62は、長尺レンズ15−2を支持する支持部材の機能を有し、各調整ねじ62の突出量を調整することで、長尺レンズ15−2の母線形状の「たわみ度合い」を補正することができる。調整ねじ62と圧縮スプリング61の組は、長尺レンズ15−2の長手方向両端部と中央部に、計3組配置されている。
支持部材を構成する調整ねじの別の構成として、図20に示す構成を採用しても構わない。図20において、調整ねじ62は、コロ70と、テーパ付調整ねじ71を有してなる。コロ70は円柱形で、ホルダ部材66に形成された窓孔に挿入されて長尺レンズ15−2の上面に載っている。テーパ付調整ねじ71は、その中心軸線が長尺レンズ15−2の長手方向に向くように、かつ、コロ70の軸線と交差する向きに配置され、ねじの部分がホルダ部材66から立ち上がった支持片73に螺合されている。テーパ付調整ねじ71はテーパ部72を有するとともに、先端部がホルダ部材66から立ち上がった軸受片によって保持されている。上記テーパ部72はコロ70の上に当接し、圧縮スプリング61の付勢力による長尺レンズ15−2の上方への移動を規制して、長尺レンズ15−2の支持部材として機能するように構成されている。このように構成された調整ねじ62と弾性部材としての圧縮スプリング61の組が、長尺レンズ15−2の長手方向両端部と中央部に合計3組配置されている。
図20に示す調整ねじ62の構成も、請求項に記載した「少なくともねじ要素から構成される」に該当する。テーパ付調整ねじ71を円柱形状または円筒形状のコロ70に当接させた状態でコロ70を押し込むことにより、コロ70で長尺レンズ15−2を押圧することができる。テーパ付調整ねじ71に設けられたテーパの角度に応じ、「調整感度」すなわち調整ねじの回転角度に対するコロ70による長尺レンズ15−2の押圧量を適切に設定することが可能となる。
図6に示す実施例1の場合、ホルダ部材66から切り起こした支持部材63はホルダ部材66に固定された状態であるため、長尺レンズ15−2の母線形状の「たわみ度合い」の補正を行うことはできない。また、長尺レンズ15−2を真直にしたい場合も、支持部材63に長尺レンズ15−2を当接して支持する構成であるため、3箇所の支持部材63の高さを高精度に維持する必要があるが、プレス加工にて必要な精度を確保することは一般には困難である。そのため、図7に示す実施例2のように、支持部材の少なくとも一つを可動できる構成とすることが、より望ましい。
図8〜図12は長尺光学素子の保持機構の実施例3〜7を示す。図8〜図12に示す実施例3〜7はいずれも、ハウジング底面68に上向きに突出させて形成された取り付け部としての支持部材64を備えている。また、図9、図10、図11に示す実施例4、5、6は、上記支持部材64と対向してホルダ部51に組み付けられた弾性部材としての圧縮スプリング61が、一対ずつ備えられている。さらに、図9及び図11に示す実施例の場合には、ハウジング底面68に取り付けられている弾性部材としての圧縮スプリング61とホルダ部材66に螺合された支持部材としての調整ねじ62の組が2組追加されており、図10に示す実施例5の場合には上記圧縮スプリング61と調整ねじ62の組が4組追加して備えられている。図8〜図10および図12に示す実施例では、支持部材64が長尺レンズ15−2の長手方向中央部に設けられ、図11に示す実施例では、支持部材64が長尺レンズ15−2の長手方向一端部に設けられている。
このような図8〜図12に示す構成の場合、長尺レンズ15−2を、取り付け部材としての支持部材64との接点を回転軸として、図中の矢印69で示すように、長尺レンズ15−2の光軸にほぼ平行な線を中心とする回転方向(『γ方向』と呼ぶ)に回転調整することができる。この長尺レンズ15−2のγ回転成分により、前記被走査面上の「走査線傾き」を補正することが可能となる。
なお、調整ねじ62を2本とした図9及び図11に示す実施例の場合でも、図17(b),(c)のような比較的単純な形状の長尺レンズの補正(真直に近づける補正)を行うことが可能であるが、図17(d)〜(f)に示すような、より複雑に歪んだ形状を補正するには、図10に示す実施例5のように4本(又はそれ以上)の調整ねじ62を追加することが必要である。
以上説明した実施例1、2、実施例4〜6および実施例7(図6、図7及び図9〜11参照)においては、ホルダ部材66は、長尺レンズ15−2の上側(副走査方向を上下方向とする)にのみ具備する構成となっている。かかる構成の場合、次に説明する図8(実施例3)に示すような、上側及び下側にホルダ部材66,67を具備する構成と比較して、低コスト化及び装置の小型および/または軽量化を図ることが可能となる。これらの実施例についてさらに説明する。
実施例3
図8に長尺光学素子の保持機構の実施例3を示す。図8において、長尺レンズ15−2の長手方向両端外方に設けられた2つの間隔部材53にて、2つのホルダ部材66及び67が間隔を保って間隔部材53とともに一体に形成されている。下側のホルダ部材67の上面に3つの圧縮スプリング(弾性部材)61が取り付けられ、上側のホルダ部材66には3つの調整ねじ(支持部材)62が圧縮スプリング61に対向するように螺合されて保持機構が構成されている。この保持機構によって、より具体的には、3組の調整ねじ62と圧縮スプリング61によって挟み込まれるようにして長尺レンズ15−2が保持されている。この保持機構は、ハウジング底面68に設けられた取り付け部64の上に(図中の矢印のγ方向に)回転可能に保持されている。この保持機構のγ回転に伴う長尺レンズ15−2のγ回転調整により、被走査面上の「走査線傾き」を補正することが可能となっている。
上述のように、図8、並びに図9〜図11に示す構成であっても、長尺レンズ15−2の実質的なγ回転調整による走査線傾き調整を行うことができる。しかし、走査線傾き調整の際、長尺レンズ15−2母線の曲がり(走査線曲がり)が発生しやすく、一般的には、走査線曲がりと走査線傾きを独立に補正するのは困難である。その点、図8に示す実施例3によれば、保持機構内で長尺レンズ15−2の母線曲がりを補正することができ、長尺レンズ15−2の保持機構をγ回転調整することにより、上記母線曲がりの補正とは独立に走査線傾きを調整することができ、調整工程の容易化、調整時間の短縮を図ることが可能となる。
実施例4〜6
図9〜図11は、それぞれ長尺光学素子の保持機構の実施例4〜6を示している。これらの実施例はすでに説明したとおりであるから、ここでの説明は省略する。
実施例7
図12は本発明に係る長尺光学素子の保持機構の実施例7を示す。図12に示す実施例は、図8に示す実施例3の構成に似ているが、図8に示す実施例3の構成と異なり、ホルダ部材66に設けられた支持部材のうち、両端側の2つの支持部材63が、ホルダ部材66と一体的に形成されていることを特徴としている。上記支持部材63は、例えば、板金部品からなるホルダ部材66の一部を折り曲げ加工ないしは切り起こし加工することによって形成することができる。この実施例における長尺レンズ15−2の保持機構は、長尺レンズ15−2を保持したままハウジング底面68に設けられた取り付け部63を中心にγ回転可能であり、これにより走査線傾き補正を行うことができる。そのため、調整ねじ62によるγ回転調整(走査線傾き補正)は不要であり、調整ねじ62では長尺レンズ15−2の母線形状の調整(走査線曲がり補正)のみの機能を付与することができる。すなわち、図12に示す実施例7の構成でも、走査線曲がり補正と走査線傾き補正を独立に行うことができる。従って、図8に示す実施例3よりも調整の自由度は低くなるが、実質的には同程度の調整時間及び調整精度にて走査線形状の補正を完了することが可能である。
実施例8
図13は、低コスト化及び装置の小型および/または軽量化のため、構成部品の点数を削減することができる長尺光学素子の保持機構の実施例8を示す。図13において、適宜の回転機構により長尺光学素子15−2の光軸と平行な軸を中心として回転可能にホルダ部材66が保持されている。長尺光学素子15−2は、長手方向両端部上面が、ホルダ部材66と一体に形成された取り付け部材63を介してホルダ部材66に取り付けられるようになっている。長尺光学素子15−2の下面とハウジング底面68との間には、長尺光学素子15−2の長手方向両端部と中央部において弾性部材としての圧縮スプリング61が介在している。上記中央部の圧縮スプリング61に対向する位置においてホルダ部材66に調整ねじ62が螺入され、調整ねじ62の先端が長尺光学素子15−2の上面に当接している。各圧縮スプリング61の押圧力で長尺光学素子15−2が上記取り付け部材63と調整ねじ62に押圧され、長尺光学素子15−2が実質的にホルダ部材66に取り付けられるようになっている。長尺光学素子15−2とともにホルダ部材66を回転させることにより傾き調整を行うことができ、これとは独立して、調整ねじ62により曲がり調整を行うことができる。
実施例9
図14は、より高精度に走査線形状を補正するため、調整ねじ62の本数を3本とした実施例を示す。図14(a)の例では、支持部材となる折曲部63が長尺状光学素子15−2の長手方向最外側に位置し、内側に3本の調整ねじ62が所定の間隔で配置されているが、図14(b)の例のように、支持部材となる折曲部63を内側に配置し、3本の調整ねじ62を長尺状光学素子15−2の長手方向両側の最外側と中央部に配置しても構わない。
長尺光学素子の保持機構の実施例2以下の各実施例においても、弾性部材として、圧縮スプリング61に代えて、図15について説明した板ばね65を使用してもよく、これによって、前述のような効果を得ることができる。
なお、図16(a)に示すように、板金の曲げ加工により右側および/または左側の支持部材63を加工する場合、加工誤差により左右の支持部材63の折り曲げ高さには、数百[μm]程度の偏差が発生し、長尺レンズ15−2が傾いた状態で組み付けられてしまう恐れがある。この程度の加工誤差が発生した場合でも、図16(b)に示すように、上下に対をなすホルダ部材66,67を有してなる保持機構をγ回転することで、加工誤差に起因する長尺レンズの取り付け誤差の影響を取り除くことが可能である。
長尺レンズの主走査断面(YZ平面)内の形状が比較的大きな曲率を有する場合には、このレンズの副走査断面(XZ平面)内の回転調整が可能な構成にするとよい。こうすることにより、走査線曲がりの補正を行うことが可能である。
本発明にかかる長尺光学素子の保持機構のさらに別の実施例について説明する。
実施例10
図19において、基準面となるハウジング底面68は上向きに突出させて形成された取り付け部としての支持部材64を備えている。支持部材64は三角形状になっていて、三角形の頂点に相当する支持部材64の頂点に、前述の第2走査レンズである長尺レンズ15−2の底面の長手方向中央が載せられている。図19(c)に示すように、長尺レンズ15−2は側面断面形状が横向きの「H」形をしていて、レンズ作用を有する部分を挟んで上下に突出縁部を有している。長尺レンズ15−2は、長手方向両端部に設けられた弾性部材である2個の板ばね65により、ホルダ部材としての上板金66の長手方向両端側に切り起こし等によって形成された折曲部(支持部)63に、後で詳細に説明する板ばね65の弾力により押圧固定されている。
上板金66の中央部には、調整部材である調整ねじ62が螺合されており、調整ネジ62の先端は長尺レンズ15−2の上面に当接して長尺レンズ15−2を押圧している。この調整ねじ62の押圧力に対向して、弾性部材としての3個目の板ばね65が配置されている。上記板ばね65は、図19(c)に示すように、ほぼ「M」字状に折り曲げて形成されており、その両端部が上記上板金66の上面と長尺レンズ15−2の上側突出縁部の下面とに掛けられ、板ばね65の弾力によって上板金66と長尺レンズ15−2が互いに引き付けられる向きに付勢されている。この付勢力により上記折曲部63が長尺レンズ15−2の上面に当接して、上板金66と長尺レンズ15−2とが実質一体となっている。また、上記調整ねじ62を回転調整して、上板金66に押し込みまたは引き抜くことにより、長尺レンズ15−2を押圧変形させることができ、これによって、長尺レンズ15−2の形状誤差を取り除くことができる。
図19(d)に示す板ばね65は、その両端折り曲げ縁部がホルダ部材としての上板金66の縁部と長尺レンズ15−2の下側の突出縁部15−21とにまたがって引っ掛けられている点が、図19(c)に示す例と異なるのみで、長尺レンズ15−2を上板金66に対する押圧力を付加するものであることに変わりはない。図19(e)に示す変形例は、図19(c)に示す例における板ばね65を2個一対として使用し、長尺レンズ15−2を側面から見て左右対称に配置したものである。同様に、図19(d)に示す板ばね65を2個一対として使用し、長尺レンズ15−2に対して対称に配置してもよい。このように、板ばね65を採用することで、後で説明する例のような圧縮スプリング61を利用する構成と比較し、無駄なスペースが発生せず、装置の小型化を図ることが可能となる。
実施例11
長尺レンズ15−2の形状誤差を取り除く際の調整分解能の向上を図るため、上記実施例に用いられている調整ねじ62の代替として、図20、図33に示す実施例のように、テーパ部72を有する調整ねじ71と、コロ70を有してなる調整部材67を採用することができる。図20に示す実施例についてはすでに説明したので、詳細な説明は省略する。
図20に示す実施例において、テーパ付調整ねじ71のテーパ部72のテーパ角度に応じ、調整感度すなわち調整ねじ71の回転角度に対するコロの移動距離を可変することができる。図示の実施例では、コロ70の形状が円筒形状となっているが、球形状など他の形状としても構わない。図19に示す実施例のように、光学ハウジング底面68上に設けられた取り付け部64の上に、上記長尺レンズ15−2を配備し、取り付け部64の頂点を回転軸76として、図示しないアクチュエータ手段、例えばステッピングモータ等を利用して、図19中の矢印69の方向(γ回転方向)に回転または傾きを調整するように構成してもよい。上記アクチュエータ手段によって、図20に示す実施例におけるテーパ付調整ねじ71を回転駆動するように構成することにより、機械的な自動調整が可能になる。なお、このγ回転方向の回転軸は、図19の実施例のように長尺レンズ15−2の底面に設定してもよいし、あるいは長尺レンズ15−2の底面に取り付け基準が設けられていない場合には、上板金66に配備しても構わない。但し、長尺レンズ15−2の光軸75の位置の移動を抑制するために、理想的には、長尺レンズ15−2の光軸近傍に回転軸を設けることが望ましい。
このような長尺レンズ15−2の形状誤差調整及び傾き調整、換言すれば、長尺レンズ15−2の「母線」の誤差調整及び傾き調整により、光走査装置の概要にて説明したように、感光体ドラム面などの被走査面における走査線形状を補正することが可能となる。
次に、長尺レンズ15−2の初期形状(成型加工後の形状)が、1個の極値をもつ曲線である場合の、前記図19に示す実施例における調整ねじ62の押圧による『曲がり調整』について検討する。以降、このような調整ねじ62の押圧により長尺レンズの形状(すなわち、その母線の形状)を補正することを、単に「曲がり調整」と呼ぶことにする。
図23(a)に示すように、長尺レンズ15−2の初期形状が「上に凸」の場合には、曲がり調整終了後、したがって、長尺レンズ15−2が真直になった状態では、図12(b)に示すように、調整ねじ62の押圧力により上板金66が「上に凸」となる。対照的に、図24(a)に示すように長尺レンズ15−2の初期形状が「下に凸」の場合、この曲がりを調整したは、図24(b)に示すように、板ばね65の弾性力により上板金が「下に凸」となる。いま、図21に示すように、長さLiだけ離れた2つの支持部にて、長尺レンズ15−2、及び上板金66を回転可能に支持し、中央部に荷重Wiを付加した場合のたわみ量をδiとしたとき、下側の長尺レンズ15−2及び上板金66の弾性係数Kiを下式にて定義する。
Ki=(Wi×L)/(48×δi) (式1)
[但し、添字i=1は長尺レンズ15−2、i=2は上板金66を表す]
本実施例の場合、荷重W1=W2であるため、式1より、たわみ量δiは「弾性係数」Kiに反比例することが分かる。すなわち、たわみ量の比は、弾性係数の逆数の比となる。
δ1/δ2=K2/K1 (式2)
(式2)において、δ1は曲がり調整前の長尺レンズ15−2のたわみ量、δ2は曲がり調整後の上板金66のたわみ量に相当する。すなわち、このδ2が大きくなることは、調整後の上板金66のたわみ量が大きくなることを意味する。調整後の上板金66のたわみが大きくなるに従い、
・γ回転調整の回転軸が上板金66に配備されている場合には、この回転軸の上下方向(副走査方向)への変位の影響が無視できなくなり、被走査面でのビームスポット径等他の光学性能に悪影響を及ぼす恐れがある。
・調整分解能の向上を図るため、図12に示す調整部材67を適用した場合には、調整ストロークが不足する恐れがある。
等の不具合が発生することが懸念される。そのため、δ1/δ2を少なくとも0.5以上とすることが望ましく、上記不具合をより効果的に回避するには、δ1/δ2を1.0以上とすることがさらに望ましい。
すなわち、(式2)より下式を導出することができる。
K2/K1≧0.5 (式3)
以上、1本の調整ねじによる長尺レンズの曲がり調整を用いて、弾性係数の比K2/K1の範囲を導出したが、図25に示す実施例のように、調整ねじの本数が複数の場合にも同様の関係が成立する。
実施例12
調整ねじを3本配備した実施例を図25に示す。前記図19、図20に示した実施例では、調整部材としての調整ねじ62または調整部材62が1組の構成であったのに対し、図25に示す実施例は、調整部材としての調整ねじ62と弾性部材としての板ばね65を2組追加した構成である。より具体的には、長尺レンズ15−2の長手方向中央部に、調整ねじ62(c)と板ばね65(c)の組を配置したほか、この中央部の調整ねじ62(c)と板ばね65(c)の組と、長尺レンズ15−2の長手方向両端部との間にも,調整ねじ62(b)と板ばね65(b)の組および調整ねじ62(d)と板ばね65(d)の組を配置したものである。また、長尺レンズ15−2の長手方向両端部にそれぞれ板ばね65(a),65(e)が配置されている。上記各調整ねじと板ばねの構成は、図19(c)などに示す構成と同じであるから、詳細な説明は省略する。なお、図20に示すような調整部材67を3組またはそれ以上配置してもよい。
このような構成を採用することにより、図19に示す実施例の構成と比較して、長尺レンズの初期形状がより複雑な場合の調整が可能となる。調整部材が1ヶ所の実施例9の場合には、「極値が1個」の初期形状の長尺レンズの調整のみ可能であるが、これに対し、調整部材を3ヶ所とした実施例12の場合には、「極値が3個」の長尺レンズにも対応可能となる。
図25に示す実施例のように、長尺レンズ15−2(及び上板金66)の長さをL(±L/2)とし、その中央部(Y=0)、及び中央部と周辺部の中間部(Y=±A)に、各々調整ねじ62(c)、(b)、(d)を配備する。長尺レンズ15−2の中央部付近の断面形状を図27に示す。いま、長尺レンズ15−2の初期形状として、図26(a)〜(c)に示す3通り、すなわち、各々極値の個数が、1〜3個である場合の仮想的な形状を想定する。これらの長尺レンズの初期形状に対し、調整ねじ62(b)及び62(d)の位置(±A)による曲がり調整の調整残差を導出したグラフを、まとめて図31に示す。温度変化時の曲がり形状の変化や感光体ドラム間の位置合わせ精度を考慮し、調整残差の許容値を10[μm]以下とすると、調整ねじ62(b)及び62(d)の位置は、Y=±40〜±90[mm]の範囲とする必要がある。本実施例3の長尺レンズ15−2の長さをL1とすると、L1=220[mm]なので、この数値にて基準化すれば、Y=±0.18L1〜±0.41L1となる。図31では、調整ねじ62(b)及び62(d)の配置位置がY=±30[mm]以下、またはY=±100[mm]以上になると、調整残差が10[μm]以上となって許容値から外れるため、これに該当するものは斜線を付した。
上記数値範囲(±0.2L1〜±0.4L1)は、長尺レンズを図27に示す断面一定の「はり」とみなしてモデル化して導出した。本検討においては、図28に示す長尺レンズを想定したが、この長尺レンズの『偏肉度』すなわち「長尺レンズ中央部の厚さ(光軸方向)d0を基準(1.0)とした場合の、長手方向の厚さd」の変化率=d/d0は、0.4〜1.2程度となっている(図29参照)。この程度の偏肉度を有する長尺レンズであっても、図30(a)(b)に示すように、断面一定、すなわち断面二次モーメント一定の「はり」とみなして計算した結果と、長尺レンズサンプルでの測定結果は、比較的良く一致しており、現在各メーカの製品に搭載されている樹脂製長尺光学素子に対して、上記数値範囲が一般性を有することは明らかである。
なお、一般的に、樹脂モールド製のいわゆる「長尺光学素子」の場合にはモールド成型により創成される光学面形状を維持するため、光学面の上下にリブ15−21,15−22が設けられている(図22参照)。このリブの副走査方向の高さは、光学面15−20の副走査方向の高さと比較して十分小さく、入射面側と出射面側の光学面15−20間の部分の断面二次モーメントが支配的に働くため、光学面間の偏肉度についてのみ考慮すれば十分である。
次に、上記板ばねの押圧力について検討する。プラスチックレンズからなる長尺レンズ形状の概要にて説明したとおり、調整ねじ点数が増加するに伴い、
・調整工程が複雑化し、調整時間が増加する恐れがあること、
・通常の光学系の場合、被走査面での走査線の極値の個数は、最大でも、3程度であること、
及び、長尺レンズ形状の極値の個数が増加するに従い、曲がり量は小さくなること、等を考慮すれば、調整ねじは中央部に1ヶ所、及び、中央部と周辺部との中間部に2ヶ所、合計3ヶ所に設定すれば十分である。
図31に示した、調整ねじ62を3ヶ所に配備した構成の場合の調整残差一覧表において、調整ねじ62(c)及び62(d)をY=±40[mm]に配置したときが、長尺レンズに対する調整ねじ(又は板ばね)の押圧力が最も大きく、30[N]程度の押圧力が必要である。そこで、あらゆる初期形状の長尺レンズの曲がりを補正するには、安全率(=1.33)を見込み、調整ねじの押圧力F0=40[N]程度が必要であると推定する。
一方、材料力学的な計算から周知の通り、断面二次モーメントI及び材質のヤング率が一定の場合、長さL、中央部への押圧力Fとすると、中央部のたわみδは、
δ=(F×L)/(48×EI) (式4)
で表される。すなわち、同じたわみδを発生させる初期曲がりを補正するためには、長尺レンズの断面二次モーメントIがM倍になると、押圧力FもM倍必要となる。また長さがN倍になった場合には、押圧力Fは1/N倍必要になる。但し、長さがN倍になると、長尺レンズ15−2の初期曲がりも(概ね長さに比例するため)N倍になり、このN倍になった曲がりを補正するには、押圧力はN倍必要となる。以上3項目の効果を乗算すると、次の式5で求められる押圧力が必要となる。
M×(1/N)×N=M×(1/N2)倍 (式5)
図31の検討においては、長さL=220[mm]、ヤング率E=2500[MPa]、中央部付近の断面二次モーメントI=2100[mm]にて検討したが、より一般的に、断面二次モーメントをI1[mm]、長さをL1[mm]とした場合、(式5)を係数として、M=I1/2100、N=L1/220と置くと、押圧力F1は最大で、
F1,max=F0×M×(1/N2
=40×(I1/2100)×(220/L1)2
=920×(I1/L1
あれば十分である。すなわち、長尺レンズ15−2の中央部付近の断面二次モーメントをI1、長さをL1とするとき、長尺レンズ15−2に対する弾性部材(板ばね)65の押圧力F1を、
F1≦920×(I1/L1) (式8)
の範囲とすることができる。
なお、光走査装置用の長尺光学素子(走査レンズ)として一般的に用いられるプラスチック材質の場合、ヤング率Eは、E=1500〜2500[MPa]程度であり、(式8)は、現在工業的に生産されているプラスチックレンズに対し、一般的に成立するものである。
次に、弾性部材の配置について検討する。上述の実施例10及び実施例11においては、ホルダ部材としての上板金に備えられた弾性部材(板ばね)にて長尺レンズを押圧固定する構成を採用した。別の構成(比較例)として、図32に示すような、長尺レンズ15−2と光学ハウジング底面68の間に、弾性部材としてのコイルばね65を配備する構成を採用することも可能である。この実施例では、3個のコイルばね65を使用している。但し、このような構成の場合には、コイルばね65の押圧力(上向き)に抗して、外部から下向きの押圧力を設定する必要があり、装置の複雑化、部品点数の増加、装置の大型化をもたらす恐れがある。従って、実施例10及び実施例11に示した構成が、より望ましい構成であるといえる。
また、図19(d)に示すように、ホルダ部材66の両端部に配備された支持部63に対応する板ばね65(a),65(e)は、長尺レンズ15−2の両端部を押圧しており、レーザビームの光路と干渉しないため、この図のように長尺レンズの底面を押圧する構成としても構わない。さらに、図19(e)に示すように、長尺レンズの入射面側及び出射面側に、板ばね65を備えることにより、図19(e)に示す面内、すなわち側面から見た面内の長尺レンズの回転モーメントの発生を抑制することが可能となり、安定した保持が可能となる。
次に、長尺レンズの断面二次モーメントI及び長さLの条件について検討する。板ばねの押圧力について説明したように、長尺レンズの曲がり調整に要する押圧力は、長尺レンズの断面二次モーメントIに比例し、長さLの二乗に反比例する。そこで、係数:P=I/Lを定義し、L=220[mm]、断面二次モーメントI=2100[mm]を代入すると、P=2100/220=0.0434[mm]となる。また、調整ねじを3箇所に備えた場合(長尺レンズの初期曲がりの極値数が3個に対応可能)には、調整ねじの押圧力は最大でF0=40[N]程度あれば十分であるが、より一般的な表現として、
P=I/L≦0.0434[mm] (式6)
の範囲とすれば、40[N]以下の押圧力にて調整することが可能となる。
次に、長尺レンズの初期曲がりの極値数が1個の場合に対応可能な構成、すなわち調整ねじが1ヶ所の構成の場合について検討する。各メーカにて製品に搭載されている長尺レンズにおいては、極値数が3個の場合には、曲がりの幅(PV)は最大で概ね40[μm]程度であるのに対し、極値数が1個の場合の曲がりの幅は最大で概ね100[μm]程度(すなわち100/40=2.5倍)になっていることが多い。また極値数が1個の場合には、3個の場合に比較して、曲がり調整する部分の実質的な長さは3倍となる。これらの効果を乗算して得られる係数[2.5×(1/3)=0.277]を、(式6)の右辺に乗じることにより、下式が得られる。
P=I/L≦0.012[mm] (式7)
この式は、調整ねじが1ヶ所の構成において、40[N]以下の押圧力にて調整することが可能な長尺レンズの断面二次モーメント及び長さの条件を示している。
次に、以上説明した長尺光学素子の保持機構を備えた光走査装置の例について説明する。上述説明した長尺光学素子の保持機構を搭載した光走査装置においては、その被走査面における走査線の形状を高精度化することが可能である。時間経過あるいは環境温湿度の変化の影響により、上記保持機構による長尺光学素子の形状が変化する恐れがある。このような場合には、その形状の変化を検知する検知手段を別途に設け、その検知手段による検出結果に基づき、例えば調整ねじからなる支持部材の突出量や、保持機構のγ回転角度を可変すればよい。調整ねじや保持機構のγ回転角度の可動には、例えばパルス信号により駆動可能なステッピングモータのようなアクチュエータを用いることで、長尺光学素子の保持機構およびこれを用いた光走査装置を小型化しまた低コスト化を図ることが可能となる。
また走査線の形状を検出することで、長尺光学素子の形状変化を予測することが可能である。従って長尺光学素子の形状ではなく、被走査面又はそれと光学的に等価な面における走査線形状を検出しても構わない。その手段として、例えば、図5に示す色ずれ検知用トナー像55を形成するようにし、このトナー像を検出する検出センサ56を用いればよい。
荷重による長尺レンズ曲がりの補正について、改めて検討する。いま、図35(a)に示すように、真直な長尺レンズ15−2の両端部を単純支持(回転支持)する構成を考える。図35(b)は、長尺レンズ15−2の左端からL1の位置(y=L1)に荷重Wを作用させた場合の長尺レンズ形状を示す。長尺レンズ左端から荷重位置までの領域(0≦y≦L1)においては、長尺レンズ形状(たわみ曲線:Vz)は下式にて表される。
ここで、I:断面二次モーメント
E:ヤング率
L:長尺レンズ15−2の長さ
Vz=(WL1L2/6EIL)
×{2(L−y)/L2+(L−y)/L1−(L−y)/L1L2
・・・(式11)
なお、長尺レンズ15−2の中央部(y=L1=L/2)に荷重Wを作用させた場合には、長尺レンズ15−2の左端から中央部までの領域(0≦y≦L/2)においては、長尺レンズ形状(たわみ曲線:Vz)は下式にて表される。
Vz=(WL/48EI)×{(3y/L)−(4y/L)} ・・・(式12)
長尺レンズ中央部から右端までの領域(L/2≦y≦L)においては、y=L/2に対して上式と左右対称形状である。
次に、外部から曲げモーメントを加えた場合の長尺レンズ15−2の曲がり補正について検討する。図35(c)は、長尺レンズ15−2の左右端部に各々曲げモーメントM1及びM2を作用させた場合の長尺レンズ形状を示す。長尺レンズ15−2の左端から右端部までの領域(0≦y≦L)において、長尺レンズ形状(たわみ曲線:Vz)は下式にて表される。
Vz=(y/6EIL)×
{(M1−M2)y−3M1・L・y+(2M1+M2)L} ・・・(式21)
なお、M1=M2=Mの場合は、下式のように変形できる。
Vz=(M/2EI)×y(L−y) ・・・(式22)
外力の作用による長尺レンズ15−2の曲がり補正の結果は次のとおりである。曲がり形状調整前の長尺レンズ(初期的な曲がりを有する長尺レンズ)15−2の中央部に荷重Wを作用させた場合の形状は、「長尺レンズの初期形状」と「(式11)又は(式12)の形状(三次多項式)」の重ね合わせ(加算)にて導出される。同様に曲がり形状調整前の長尺レンズ15−2の左右両端部に曲げモーメントM1及びM2を作用させた場合には、「長尺レンズの初期形状」と「(式21)又は(式22)の形状(二次多項式)」を重ね合わせた形状となる。
その一例を図34に示す。図34(a)(b)に示すように、長手方向に直交する断面の断面二次モーメントI=2123[mm]、全長L=220[mm]の樹脂製長尺レンズモデル(ヤング率E=2500[MPa])の両端部を回転支持し、中央部に荷重W=5.0[N]を作用させた場合について検討する。図34(c)に細実線にて表される長尺レンズの初期形状(補正前の形状)は、幅(PV)190μmの「上に凸」(極値数:1)の形状を呈している。この長尺レンズの中央部に荷重(外力)Wを作用させると、図34(c)に太実線で表されるM形状の曲線(PV40μm、極値数3)が得られる。図34(c)中の破線は、仮想的な真直な長尺レンズの中央部に荷重Wを作用させた場合のたわみ曲線であり、任意形状の長尺レンズに荷重を作用させたときの補正曲線、換言すれば、外力の作用による補正量を意味する。すなわち、長尺レンズの初期形状と補正曲線を重ね合わせることにより、上述のM形状の曲線を導出することができる。なお、この補正曲線は、(式12)から明らかなように三次曲線である。
長尺レンズの形状調整工程では、粗調整と微調整に分けるとよい。これまでの説明のように長尺レンズ15−2に1つの外力(荷重、曲げモーメント等)を作用させることにより、『粗調整』として、形状調整前の長尺レンズから「大きな曲がり成分」を除去することができる。その後の調整工程にて、『微調整』として、上記の「大きな曲がり成分を除去した後の長尺レンズの形状」の補正を行えばよい。この微調整を行う際には、粗調整に用いた外力に付加して、さらに別の外力を利用することができる。従って、一般には、形状調整終了後(微調整終了時)の調整精度(調整残差量)は、初期形状(粗調整前の形状)における幅(PV)ではなく、粗調整終了時の形状(特に極値数)に依存して決定される。極値数3以下の形状であれば、後述のように、調整作業を煩雑化させず、かつ高精度な調整精度を達成可能な調整が可能である。
上述のように、「長尺レンズ15−2の曲がり調整工程」の仮組立段階(調整作業を開始する前の段階)にて、外力を作用させることにより、調整前の長尺レンズ15−2が有する「大きな曲がり形状」成分を除去することが可能である。曲がり調整における初期段階にて大きな曲がり成分を除去することで、長尺レンズ15−2が有する曲がりの状態(傾向)を把握することができ、次工程以降の調整作業を効率的に行うことが可能となる。成型条件が安定し、初期形状の個体差が小さくなった後、あるいは初期形状を高精度に予測可能になった後には、初期形状すなわち極値数及びその位置に適合した外力を設定することが可能である。上記初期形状に適合した外力とは、外力による調整箇所数及び外力を加える位置を意味する。
長尺レンズの試作から量産に至る過程において、長尺レンズの成型条件(例えば、成型温度、成型圧力、冷却時間等)の最適化を図るが、生産管理の観点から、通常は長尺レンズの曲がりの大きさ(PV)を小さくすることより、各サンプル間のばらつき(個体差)を小さくすることを優先的に検討することが多い。そのため上述のように、仮組立段階における設定値にて、長尺レンズの大きな曲がり成分を除去することが可能であることが多い。
一方、成型材料の変更や金型の修正等により成型条件を変更した直後などの成型条件が十分に安定していない場合には、仮組立段階における設定値ではなく、調整工程の第一段階すなわち調整作業開始後の最初の調整作業にて、外力を加えることにより大きな曲がり成分を除去し、曲がりの状態(傾向)を把握すればよい。また、長尺レンズの初期曲がりが発生している場合、長尺レンズ中央部に対して対称形状に発生することが多い。そのため、長尺レンズに対し、左右対称に上記外力を作用させることが望ましい。
次に、上述の外力(荷重又は曲げモーメント)により大きな曲がり成分(すなわち、二次多項式又は三次多項式)を除去した後の、長尺レンズ形状および微調整について検討する。高精度な長尺レンズの曲がり調整を実現するには、調整箇所(長尺レンズに作用させる外力の数)が多いことが望ましいことは当然であるが、調整箇所数が増加するにつれ調整工程が複雑化/長時間化し、結果として調整コストの増加をもたらすことになる。調整箇所数が3ヶ所(あるいはそれ以下)であれば、各調整箇所が独立に動作しないような場合(一つの外力を作用させると、他の調整箇所にも影響を及ぼす場合)であっても、比較的容易に調整作業を完遂することが可能である。調整箇所数が3ヶ所であれば、後述のように、3個の極値を有する曲線形状の長尺レンズの高精度な形状調整を、比較的容易に行うことが可能である。なお、調整箇所が4ヶ所以上あり、各調整箇所が独立に動作しない場合には、調整作業が煩雑化するため、高精度な調整を短時間で完了させることが困難となる。
次に、上記の着想を採り入れた長尺レンズの形状調整機構の別の実施例について説明する。
実施例13
図37において、長尺レンズ15−2は、両端部下側に設けられた2個の弾性部材(圧縮スプリング)61a及び61eにより、上板金66の両端側に形成された折曲部(支持部)63に押圧固定されている。上板金66の中央部及び中間部には、3本の調整部材(調整ねじ)62b、62c、62dが螺合されており、この調整部材62b〜62dの押圧力に対抗できるように、3個の圧縮スプリング61b、61c、61dが配置されている。これらの調整ねじ62を押し込みまたは引き抜くことにより、長尺レンズ15−2を押圧変形させることができる。光学ハウジング底面上に設けられた取り付け部64の上に、上記の形状調整機構が配備され、取り付け部64の頂点を回転軸として、図示しないアクチュエータ手段(例えばステッピングモータ等)を利用して、図中の矢印の方向(γ回転方向)に回転(傾き)調整することが可能である。
このような長尺レンズ15−2より具体的には長尺レンズの「母線」の押圧変形及び傾きを調整することにより、上記長尺レンズ15−2を有する光走査装置において、被走査面(例えば、感光体ドラム面)における走査線形状(「走査線曲がり」及び「走査線傾き」)を補正することが可能となる。
調整分解能の向上を図るため、調整ねじ62の代替として、図20、図33について説明したような、「テーパ部を有する調整ねじ」71と「コロ(円筒形状)」70から構成される調整部材71を採用することができる。
次に、図38に模式的に示す長尺レンズのモデルにて、図37に示す形状調整機構を適用した場合の調整誤差について検討する。長さ方向両端から中心までの長さL=±110[mm]、全長:220[mm]の長尺レンズ15−2の両端を単純支持(回転支持)し、3つの荷重W1〜W3を、
W1→Y=−75[mm] (調整ねじ62b)
W2→Y= 0[mm] (調整ねじ62c)
W3→Y=+75[mm] (調整ねじ62d)
として作用させる。なお、断面二次モーメントI及び材料のヤング率Eは、I=2123[mm]、E=2500[MPa]とする。
いま、長尺レンズ15−2の初期形状として、図36(a)〜(c)に破線で示す3通り(各々極値の個数は1〜3個、PVは100μm)の仮想的な形状を仮定する。これらの初期形状の長尺レンズを、上記W1〜W3により曲がり調整した場合の調整残差を導出した結果を、図36(a)〜(c)に実線で示す。温度変化時の曲がり形状の変化や感光体ドラム間の位置合わせ精度を考慮し、調整残差は10[μm]程度以下とすることが望ましいが、本検討の範囲においては、7[μm]以下を達成可能であった。なお、表2は、この結果を示している。
表2

Figure 0004744125
表2において、(*1)で示す「調整前」とは、仮組立段階又は調整工程の第一段階にて、長尺レンズに外力を作用させ大きな曲がり(二次多項式又は三次多項式)成分を除去した状態(粗調整後)での長尺レンズ形状、すなわち「微調整前」を意味する。また、(*2)で示す部分の正号は下向きの押圧力であることを示し、負号は上向きの押圧力であることを示している。
なおこの例では、調整工程の第一段階(調整作業開始後の最初の調整作業)にて、長尺レンズ中央部の調整ねじ62cの押圧(荷重W2)にて、大きな曲がり成分(三次多項式)を除去することで、図36(a)〜(c)に破線で示す仮想的な形状になったことを想定している。
表2に示すように、極値数が3以下であれば、各押圧力は40[N]以下(より正確には33.2[N]以下)にて高精度な調整を実現することができる。なお押圧力が40[N]を超える場合には、押圧力を発生する弾性部材(コイルばね、板ばね等)が大型化し、また調整機構を構成する各構成部品の高剛性化が必要となるなど、メカニズムのレイアウト上の制約(小型/軽量化が困難となる)が発生し、また部品コストが高くなる原因となることが多い。
それに対して、微調整前の長尺レンズ形状の形状誤差(曲がり形状の幅:PV)が100[μm]以下である長尺レンズを用いれば、調整に要する外力(押圧力)を40[N]以下とすることが可能であり、調整機構の小型/軽量化、低コスト化を図ることが可能となる。
実施例14
図39は、長尺レンズの形状調整機構の実施例14を示す。図39(a)は、実施例14の構成部品の概要を示す。長尺レンズ15−2の上側及び下側に、この長尺レンズ15−2より長い板金部品である「上板金66」と「下板金67」を配置する。長尺レンズ15−2の左右両側に、上板金66と下板金67の間の間隔を保持するためのブロックからなる間隔保持部材68を配置する。この間隔保持部材68の上下方向の高さは、長尺レンズ15−2の高さより若干低く(例えば、数十μm〜数百μm程度)設定されている。上板金66には3本の調整部材(調整ねじ)62b、62c、62dが螺合されている。下板金67と長尺レンズ15−2の隙間には、2本の調整ねじ62b、62dの直下にそれぞれ、したがって2個のスペーサ部材69b,69dが配備されている。このスペーサ部材69b,69dの高さは、他の構成部品の諸元、例えば上下板金66,67の板厚及び幅や、間隔保持部材68の高さ等により、数十μm〜数百μm程度に設定すればよい。
また、上板金66には、弾性部材としての板ばね65が具備されている。この板ばね65の長尺レンズ15−2に作用する押圧力(弾性力)が、上記調整ねじの残り1本(62c)による押圧力に対向しており、調整ねじ62cの押し込み量に関わらず、常に上向き(上板金66に向かう側へ)の押圧力を長尺レンズ15−2に作用させている。
このように各構成部品を配置した後、4本の締結ねじ70a〜70dにより、上板金66及び下板金67を、2つの間隔保持部材68に締結する。このときの状態を図39(b)に示す。図39(b)に示すように、長尺レンズ15−2は上板金66及び下板金67により、上下両端部(記号D、E、F、Gで示す)において挟持され、本実施例にかかる長尺レンズ形状調整機構内部に保持(固定)される。間隔保持部材68の高さが長尺レンズ15−2の高さよりも低く設定されており、また長尺レンズ15−2と下板金67の間にスペーサ部材69が挿入されているため、この状態では、長尺レンズ15−2及び上板金66は「上に凸」、下板金67は「下に凸」の形状を呈する。このとき、上板金66及び下板金67は弾性体として機能しているが、特に下板金67は2個のスペーサ部材69を介して長尺レンズ15−2の下面を弾性的に押圧する機能を果たしている。なお形状調整におけるこの段階を、「仮組立段階」と呼んでいる。
図39(b)に示す仮組立段階の次工程として、調整ねじ62b、62c、62dの押し込み量又は引き抜き量を適宜調整しながら、長尺レンズ15−2の形状を補正すればよい。このとき長尺レンズ15−2の形状を直接モニタしても良いし、目的に応じて被走査面上の「走査線曲がり」をモニタした結果を用いて補正しても構わない。上述のように、中央部に設けられた調整ねじ62cに対しては、板ばね65が対向して配備されているため、調整ねじ62cは常に長尺レンズ15−2を押圧した状態とすることができる。一方、中間部に設けられた調整ねじ62b及び62dに対しては、弾性体である下板金67の弾性力によるスペーサ部材69の押圧力の作用により、常に長尺レンズ15−2を押圧した状態とすることができる。
このように、長尺レンズ15−2は上下方向から5ヶ所(A-J、B-H、C-I、D-F、E-G)を弾性的に押圧固定された状態となっており、経時的変化あるいは環境温度の変化が発生しても、形状の調整値の変動を抑制することが可能である。図39(c)は曲がり調整が終了した状態を示している。本図では長尺レンズ15−2が真直な形状となっている。長尺レンズ15−2の長さ方向両端部の記号DとEを結ぶ直線近傍まで3本の調整ねじ62b、62c、62dを押し込む(すなわち記号A〜Eを一直線上に並べる)ことにより、仮組立段階で「上に凸」形状の長尺レンズ15−2をほぼ真直の状態に調整することができる。もちろん、所望の(任意の)長尺レンズ形状(結果として走査線形状)を創成するには、3本の調整ねじの押し込み量を適宜調整すればよい。
本実施例14の構成を採用することにより、実施例13にかかる調整機構と比較し、長尺レンズの下側に弾性部材(圧縮スプリング等)を配備する必要がないため、小型化を図ることができ、低コスト化を実現可能である。
一方、中央部の調整ねじ62cに対応する板ばね65の代替として、図40(a)に示すように、長尺レンズ15−2と下板金67の間に第三のスペーサ部材69cを挿入する構成も考えられる。しかし、このような構成では下板金67が下に凸の形状となるため、図40(b)に示すように、中央部の調整ねじ62cに対応するスペーサ部材69cが長尺レンズ15−2と接触せず、押圧手段として機能しなくなる恐れがあり、望ましい構成ではない。
なお、図40に示す例おけるスペーサ部材69cの代替として、図41(a)に示すように、長尺レンズ15−2と下板金67の間に調整ねじ62cと対向する弾性力を発生する弾性部材61c(板ばね、コイルばね等)を配置すれば、図41(b)に示すように、長尺レンズ15−2に対し常に押圧力を作用させることが可能となり、望ましい構成となる。
以上説明してきた各実施例にかかる長尺光学素子の保持機構および長尺光学素子の形状調整方法は、これを例えば、すでに説明した図1に示すような光走査装置に搭載することができる。この光走査装置においては、その被走査面における走査線の形状を高精度化することが可能である。
時間経過および/または環境温湿度の変化の影響により、上記保持機構による長尺光学素子の形状が変化する恐れがある。このような場合には、その形状の変化を検知する検知手段を別途に設け、その検知手段による検出結果に基づき、前記支持部材(調整ねじ)の突出量や、前記保持機構のγ回転角度を可変すればよい。調整ねじによる調整や保持機構のγ回転角度の調整には、その駆動源として例えばパルス信号により駆動可能なステッピングモータのようなアクチュエータを用いることで、小型化、低コスト化を図ることが可能となる。
また、走査線の形状を検出することで、長尺光学素子の形状変化を予測することが可能である。従って、長尺光学素子の形状ではなく、被走査面、又はそれと光学的に等価な面における走査線形状を検出するようにしても構わない。走査線形状の検出手段は、任意の検出センサを選択して用いればよいので、詳細な説明は省略する。
上記光走査装置は、これを、電子写真プロセスを応用した画像形成装置及び4ドラムタンデム方式画像形成装置に適用するとよい。これらの画像形成装置については、既述の通りである。画像形成装置、特に4ドラムタンデム方式画像形成装置のように、異なる感光体ドラムにより形成された画像を重ね合わせて、カラー画像を得るような画像形成装置の場合には、各感光体ドラム上の走査線形状に偏差があると、副走査ドット位置ずれが生じ、結果として出力画像の色ずれなど、出力画像の品質を劣化させる要因となる。工場内で組み立て調整し、工場出荷後の画像形成装置の輸送時、あるいはユーザ先での設置時の振動や経時変動、又はユーザ先での使用中の連続プリント出力による機内温度の上昇等がその原因となる場合が多い。
前記本発明にかかる光走査装置を、電子写真プロセスを実行することによって画像を出力する画像形成装置の、露光プロセスを実行する装置として用いれば、感光体ドラム間の走査線形状の偏差を抑制することが可能となるため、高品位な(色ずれの少ない)出力画像を得ることができる。
また、図6に示す4ドラムタンデム方式画像形成装置のように、転写ベルト31に、感光体ドラム間の色ずれを検出するための色ずれ検知用トナー像55を形成し、これを色ずれ検知用センサ56で検知するように構成するとよい。このような構成とすることで、長尺レンズ(例えば、第二走査レンズ)の形状を導出することが可能であり、これに基づいて調整することができる。長尺レンズ自体の曲がりや傾き又は走査線曲がりではなく、より最終アウトプットである出力画像に近い転写ベルト31に検出手段を設けているため、より高精度なフィードバック調整を行うことが可能となり、より高品質の画像を形成することができる。
本発明にかかる光走査装置の実施例を示す斜視図である。 同上光走査装置中の長尺光学素子を示す斜視図である。 本発明にかかる光走査装置の別の実施例を示す正面図である。 本発明にかかる画像形成装置の実施例を示す正面図である。 本発明にかかる画像形成装置の別の実施例を示す斜視図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例1を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例2を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例3を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例4を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例5を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例6を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例7を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例8を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例9を示すもので、(a)と(b)は相互に一部の構成が異なるものの正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構のさらに別の実施例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は変形例の側面図である。 実施例9にかかる長尺光学素子の保持機構における(a)は長尺光学素子の傾きの様子を、(b)は長尺光学素子の傾きを調整する様子を示す正面図である。 長尺光学素子の各種変形例を示す正面図である。 長尺光学素子の各種変形例とそれに対する各種形状補正例を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例10を示す(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は上記保持機構を板ばねの例とともに示す側面図、(e)上記保持機構を板ばねの別の例とともに示す側面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例11を示す正面図である。 長尺光学素子の弾性係数の定義を説明するための正面図である。 本発明に用いられる長尺光学素子の外観の例を示す(a)は正面図、(b)は側面図である。 長尺光学素子の形状調整前と調整後の例を示す正面図である。 長尺光学素子の形状調整前と調整後の別の例を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例12を示す(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 長尺光学素子の各種変形例を仮想的形状で示すグラフである。 長尺光学素子の断面形状の例を示す側面断面図である。 長尺光学素子の面形状の例を示すグラフである。 長尺光学素子の厚さの例を示すグラフである。 長尺光学素子の両端部を回転可能に支持して荷重を掛けた場合の(a)はモデル図、(b)は変位を示すグラフである。 調整ネジの各種配置例に対する調整残差量の測定結果を示すグラフである。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構に対する比較例を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例13を示す正面図である。 外力の作用による長尺光学素子の曲がり補正の様子を示すもので、(a)は断面二次モーメントを示す側面図、(b)は加重をかける様子を示す正面図、(c)は外力の作用なしの場合の長尺光学素子形状、外力の作用による補正量、外力の作用ありの場合の長尺光学素子形状を示すグラフである。 外力の作用による長尺光学素子の変形の様子を示すもので、(a)は外力を作用させる前、(b)は外力を作用させた場合、(c)は両端部に曲げモーメントを作用させた場合のそれぞれ正面図である。 長尺光学素子の各種変形例と調整残差の例を仮想的に示すグラフである。 本発明にかかる長尺光学素子の保持機構の実施例14を示す正面図である。 本発明にかかる長尺光学素子の形状調整機構の数値例を示す正面図である。 長尺光学素子の形状調整前と調整後のさらに別の例を示す正面図である。 長尺光学素子の形状調整前と調整後のさらに別の例を示す正面図である。 長尺光学素子の形状調整前と調整後のさらに別の例を示す正面図である。
符号の説明
11 光源
12 カップリングレンズ
13 シリンドリカルレンズ
14 光偏向器としてのポリゴンミラー
15 走査光学系
15−2 長尺光学素子
16 感光体
20 光走査装置
61 弾性部材
62 調整ねじ
63 支持部材
65 弾性部材としての板ばね
66 ホルダ部材
67 ホルダ部材

Claims (10)

  1. 長尺光学素子の中央部の厚さd0を基準とした場合の前記長尺光学素子の長手方向の厚さdの変化率d/d0を偏肉度と定義したときの前記偏肉度が0.4〜1.2である前記長尺光学素子を、光軸方向に直交する方向でありかつ長手方向に直交する方向に弾性力により押圧する5つの弾性部材と、前記弾性部材と対をなし前記弾性部材からの押圧力に対向して前記長尺光学素子を支持する2つの支持部材および3つの調整部材を備え、
    前記2つの支持部材は、前記長尺光学素子の長手方向両端部を支持するとともに、ホルダ部材に固定され、または前記ホルダ部材と一体的に形成されていて、
    前記調整部材は、前記ホルダ部材に保持されており、前記弾性部材からの押圧力の方向に移動可能であり、前記長尺光学素子の長さをL1と定義したとき、前記長尺光学素子の中央部と、前記長尺光学素子の中央部から前記長尺光学素子の左右方向にそれぞれ±0.2L1〜±0.4L1の位置とを押圧するように、前記長尺光学素子の前記長手方向に沿って設けられていて、
    前記ホルダ部材は、前記長尺光学素子の上側または下側に具備される、
    長尺光学素子の保持機構において、
    前記長尺光学素子(添字i=1)および前記ホルダ部材(添字i=2)の両端部を、距離Lだけ離れた2つの支持部にて回転可能に支持し、前記長尺光学素子の中央部に荷重Wiを付加した場合のたわみをδiとし、弾性係数Kiを、
    Ki=(Wi×L)/(48×δi)
    にて規定し、
    前記長尺光学素子の弾性係数をK1、前記ホルダ部材の弾性係数をK2としたとき、
    K2/K1≧0.5であることを特徴とする長尺光学素子の保持機構。
  2. 前記長尺光学素子は樹脂製であり、前記長尺光学素子の中央部における前記長手方向に直交する断面の断面二次モーメントをI1[mm]、前記長尺光学素子の長さをL1[mm]とするとき、
    I1/L1≦0.012[mm
    であることを特徴とする請求項1記載の長尺光学素子の保持機構。
  3. 前記弾性部材は前記ホルダ部材に配備されていることを特徴とする請求項1記載の長尺光学素子の保持機構。
  4. 前記保持機構は前記長尺光学素子の光軸に略平行な回転軸回りに回転可能に保持されていることを特徴とする請求項1記載の長尺光学素子の保持機構。
  5. 前記長尺光学素子の中央部における長手方向に直交する断面の断面二次モーメントをI1[mm]、前記長尺光学素子の長さをL1[mm]とするとき、前記弾性部材による前記長尺光学素子の押圧力F1は、
    F1≦920×(I1/L1) [N]
    であることを特徴とする請求項1記載の長尺光学素子の保持機構。
  6. 前記長尺光学素子を押圧する調整部材が少なくとも前記長尺光学素子の中央部に配備され、前記長尺光学素子は樹脂製であり、前記長尺光学素子の中央部における断面二次モーメントをI1[mm]、前記長尺光学素子の長さをL1[mm]とするとき、
    I1/L1≦0.0434[mm
    であることを特徴とする請求項1記載の長尺光学素子の保持機構。
  7. 前記調整機構は、少なくともねじ要素から構成されることを特徴とする請求項1記載の長尺光学素子の保持機構。
  8. 前記長尺光学素子は、前記長尺光学素子の長手方向に略平行な回転軸回りに回動可能に保持されていることを特徴とする請求項1記載の長尺光学素子の保持機構。
  9. 光源から出射される光束を偏向反射する光偏向器と、偏向反射された前記光束を被走査面上にビームスポットとして収束させる少なくとも一つの光学素子からなる結像光学系を有してなる光走査装置であって、
    前記少なくとも一つの光学素子は長尺光学素子であって、前記長尺光学素子は請求項1〜のいずれかに記載の長尺光学素子の保持機構によって保持されていることを特徴とする光走査装置。
  10. 電子写真プロセスを実行することによって画像を形成する画像形成装置であって、電子写真プロセスの露光プロセスを実行する装置として請求項記載の光走査装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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