JP3870434B2 - 光走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系にプラスチック製の長尺レンズを使用した光走査装置に係り、特に長尺のシリンドリカルレンズの変形を(反り)矯正する手段を備えた光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10および図11に従来から使用されているレーザプリンタの構成を示す。レーザプリンタは光源101から出射されたレーザ光を変調、偏向して感光体102上に光パターン(潜像)を形成するための走査光学系(図10)と、走査光学系で感光体102上に形成された光パターンを電子写真プロセスを用いてハードコピー化(顕像化)するための画像形成系(図11)とから構成されている。
【0003】
光学走査系では、光源101には、ガスレーザかまたは半導体レーザが一般的に用いられる。また、変調器103としては、音響光学(A/O)素子を利用したA/O変調器が一般に用いられている。A/O変調器はA/O素子内に超音波を通過させ、これにより生じた屈折率の同期的変化により、入射したレーザ光を回折させて強度変調を行う。A/O素子による変調速度を高くとるために、入射ビーム径を絞るビームコンプレッサ104が光源101と変調器103との間に設けられ、感光体102上で小さな結像スポットを得るために用いられるビームエキスパンダ105が変調器103と回転多面鏡106との間に配置される。ビームエキスパンダ105と回転多面鏡106との間には、光源101から出射される発散ビームを平行ビームに変換するコリメータレンズ(シリンドリカルレンズ)107が配され、光偏向器としての前記回転多面鏡106によってレーザ光で感光体102を走査する。なお、回転多面鏡106の代りに、ホログラムを使用する場合もある。
【0004】
回転多面鏡106は定速回転しているため、当該回転多面鏡106から反射されてくるレーザ光は等角速度で偏向される。そこで、感光体102と回転多面鏡106との間には結像レンズ(Fθレンズ)108が設けられ、偏向されたレーザ光を感光体102面上の一平面内に結像させるとともに、等角速度の入射光に光学的ディストーションを与えて等速度で感光体102面上を走査するように変換させる。これを一般にfθ特性という。
【0005】
感光体102は、導電性の支持体の上に光導電体層を設けた二層構造で、あらかじめ、暗所で感光体102表面をプラスコロナ(帯電器)109の放電等により均一に帯電しておき、これに回転多面鏡106からのレーザ光を与えると、光の当った部分の光導体の抵抗が低下し、帯電していた電荷がアースに流れて、感光体102の表面に電荷の残っている部分と残っていない部分が生じる。このようにして潜像が形成される。感光体102上に形成された潜像は、プラスまたはマイナスに帯電されたトナーにより現像される。図11に示すように、感光体102に対して、コロナ放電により絶縁層表面を除電すると同時に、レーザ光を(Fθ)結像レンズ108を通して照射する。レーザ光が照射した明部は、光導電層の抵抗が低下して導電性になり、絶縁層表面および裏面の電荷は速やかに減衰する。レーザ光が照射しない暗部は、絶縁層表面の電位が交流コロナ放電110にさらされることにより、ほぼ0電位となるが、絶縁層と光導電層の界面に形成されている電荷は保持される。
【0006】
このようにして、一次帯電により、絶縁層と光導電層の界面に帯電層を形成した後、コロナ除電により絶縁層表面を除電すると同時に、レーザ光を照射して露光する。次に、全面露光器111により感光体102の全面を一様に露光し、これにより暗部の表面電位を増大させる。感光体102上に形成された潜像は、プラスまたはマイナスに帯電された現像器112のトナーにより現像される。現像工程の後、感光体102上のトナー像は、給紙カセット113から給紙ローラ114を介して送られてきた普通紙に静電的に転写チャージャ115によって転写され、定着器116による定着工程により安定した永久像となる。転写された普通紙は、スタッカ117に送り込まれる。転写工程後、感光体は転写しきれなかった残留トナーをクリーナ118およびクリーニングブレード119によるクリーニング工程によって除去し、除電ランプ120を照射して除電し、再び潜像形成プロセスに備える。なお、この電子写真プロセス自体は公知なので、これ以上の説明は、ここでは割愛する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように構成された電子写真プロセスを使用するプリンタや複写機などの装置の光学系において、最近では、低コスト化を図るために走査光学系を構成しているレンズにプラスチックレンズが多く用いられるようになっているが(例えば、特開昭59−204001号公報参照)、プラスチックで製作されたレンズはガラスに比べて材料費が安い、軽量である、成形性に優れる等の利点が多い反面、温湿度の変化により材料の諸特性が変化し易いことや成形品内部の屈折率の均一性がガラスに比べて得にくいこと等の欠点がある。
【0008】
一方、カメラ、レーザプリンタ装置などの製品の光学系には、非球面レンズの導入が盛んである。レーザプリンタ装置では、上述のように従来からFθレンズ108及び回転多面鏡106の組合せにより、レーザ光を感光体ドラムや感光体ベルトのような感光体102上に偏向走査することが行なわれているが、レーザ光を走査する上での問題点の1つに、回転多面鏡106の反射面の傾きにより、走査ピッチムラが生じる、いわゆる面倒れの問題がある。
【0009】
それを解決する方法としては、シリンダレンズとトーリックレンズとの組合せ(特開昭48ー98844号)、トーリックレンズとシリンダレンズもしくは球面レンズとの組合せ(特開昭48ー49315)等によって、回転多面鏡の傾き誤差(面倒れ)による影響を低減しようとするものが知られている。さらに光学特性の向上を図ったレンズとしてFθレンズの面倒れ方向の曲率半径を、偏向方向に応じて変化させるものも知られている。これは、面倒れ方向(副走査方向)の曲率半径が光軸から離れるにつれて大きくなるようにFθレンズの形状を非軸対称非球面形状とすることで、収差を低減するようにしたものである。
【0010】
非軸対称非球面Fθレンズは光学特性に優れたレンズであるが、レンズ材質にプラスチックを選んだ場合は温湿度や屈折率の不均一性の影響により光学特性が変化する可能性がある。したがって非軸対称非球面プラスチックFθレンズと長尺のプラスチックシリンドリカルレンズを組み合わせて用い光学倍率を小さくすることにより温湿度及び屈折率不均一性の影響を低減する方法が有効である。
【0011】
ところで射出成形法によりレンズ成形を行う場合シリンドリカルレンズはレンズ長が長いため図6に示すようにレンズ長手方向中央部で反り変形が生じる場合がある。図では反り量(歪み量)をδで示している。このように「反り」が生じると、反り変形によってレンズの長手方向(主走査方向)の曲率半径が変化するため、レンズの結像位置が変動する。すなわちシリンドリカルレンズの反り変形を低減させることは低価格かつ高性能な走査光学系を実現するために必要な技術課題となる。
【0012】
本発明は、このような技術課題に鑑みてなされたもので、その目的は、長尺形状に成形されるシリンドリカルレンズの反り変形を矯正し、高精度な書き込みが可能な光走査装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、シリンドリカルレンズ長手方向中央部に突起部を設けレンズを光学ユニットに組み込む際に突起部を反りと反対方向に押すことによりレンズの反り変形を低減させる。突起部を押す手段は最も簡便な方法としては突起部の近傍にネジを設け、ネジの押しつけ力でレンズを変形させ反りを矯正する。すなわち、シリンドリカルレンズを光学ユニットに組み込む際に、レンズの反りを低減させる方向にネジを押し込む。その際、レーザビームの結像位置を監視しながら作業を行い、レンズ全域で所定の結像位置に達した段階で調整作業を終了しネジを固定する。
【0014】
また、レンズの長手方向と直交する方向(副走査方向)すなわちレンズの上下端2か所をそれぞれ独立に押すことによりレンズの面倒れ方向の変形も矯正することができる。
【0015】
すなわち、上記目的を達成するため、本発明は、長尺のプラスチックレンズを含んで構成された光学系を備えた走査手段を介し、光源から出射された光を被走査媒体上に走査する光走査装置において、前記プラスチックレンズの反りを外力により矯正する手段を前記プラスチックレンズの長手方向の中央部に備え、前記矯正する手段は、前記プラスチックレンズの反りの凸側から凹側に外力を付与するようになっていることを特徴としている。
【0016】
この場合、矯正する手段は、前記プラスチックレンズの反りの凸側から凹側に外力を付与するようにするとよい。また、前記矯正する手段を前記長手方向の中央部で当該プラスチックレンズの本体部を挟んで副走査方向にそれぞれ設けてもよい。
【0017】
前記矯正する手段としては、前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニットに設けられた支持部に支持されたネジ部材、あるいはピエゾアクチュエータが適用できる。その際、前記ピエゾアクチュエータによって前記プラスチックレンズの反りを矯正した後、その状態を保持させる手段を設けてもよい。なお、前記保持させる手段としては、前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニットに設けられた支持部に支持されたネジ部材を用いることができる。また、前記保持させる手段として、前記プラスチックレンズ側および前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニット側にそれぞれ噛合部を設け、両者の相対的な位置を一定に保持させるようにすることもできる。噛合手段としては、例えば断面3角形の組み合わせのものを使用することがき、その場合、力が加わる面が力が作用する方向に対して垂直に形成されていることが好ましい。
【0018】
さらに、前記ピエゾアクチュエータを使用した場合には、前記プラスチックレンズの反りを検出する手段と、この反りを検出する手段によって検出された反りの量に応じて前記ピエゾアクチュエータへの通電を制御してプラスチックレンスの反りを矯正させる制御手段を設け、自動的に反りを矯正することも可能である。この場合、前記反りを検出する手段として歪みゲージを使用することができる。また、前記外力を付与する手段によって付与される外力を受ける部分は、前記プラスチックレンズ本体に一体に成形するとよい。
【0019】
ここで、上記構成の作用について説明する。
図6にレンズ長手方向中央部で反りが発生し、主軸方向にゆるやかな曲率を有するようにレンズが変形した様子を示す。これは両端支持梁の中央部に集中荷重が働き、梁の中央部で最大の撓みが生じた場合とほぼ等価である。そこで反りを矯正するのに要するレンズ押し付け力は次のように計算できる。図5に示すように実際のレンズには副走査方向(図中15mmの長さ方向)にある曲率を有しているが、ここでは簡単のためレンズの断面形状は矩形形状とする。レンズの各寸法は図に示すように、
レンズ長:300mm
レンズ幅:15mm
レンズ肉厚:5mm
とすると、断面二次モーメントは、
となる。ここでプラスチック材料の曲げ弾性係数を
E=24000kg/cm2
とすると、レンズの曲げ剛性EIは、
となる。図7に示すように長さLの梁の中央に集中荷重Wが作用した場合の荷重点における梁の撓み量yは、
y=WL3 /48EI ・・・(1)
となる。したがって(1)式は、
W=48EIy/L3 ・・・(2)
と変形できる。
【0020】
すなわち、(2)式を用いればレンズ中央部でyの大きさを持つ反り変形を補正するのに要するレンズ押し付け力の大きさを求めることができる。図6に示したレンズの場合、レンズの曲げ剛性は、上記の計算によりEI=1512kg・cm2 、レンズ長さはL=300mm=30cm、レンズ中央部における反り量は最大350μm=0.035cmである。したがって、レンズ反り変形補正に要するレンズ押しつけ力Wの大きさは、上記(2)式より、
となる。
【0021】
このことは、レンズ中央部に94gの押しつけ力を与えることで、成形時に生じた反りによるレンズ変形を矯正できることを示している。したがって、ビスのような小さなネジの押し付け力でも十分にレンズ変形を矯正することが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、前述の従来例と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0023】
〔第1の実施形態〕
図5に第1の実施形態に係るレンズ形状を示す。このレンズは前述のように長さが300mm、副走査方向のレンズ幅が15mm、副走査方向の曲率半径が100mm、主走査方向の曲率半径が∞であるシリンドリカル形状を有するレンズである。レンズ材料にはアクリル系合成樹脂を用いており、射出成形機を用いて成形した。主な成形条件は最大射出圧力850kg/cm2 、射出時間20秒、射出速度10mm/s、保圧500kg/cm2 、保圧時間10秒である。成形したレンズの反り量を測定した結果、レンズ中央部で0.35mm(=δ)の反りが発生していた。この反りのδ=0.35mmというのは、図6からも分かるように最大値である。このようにレンズ中央部で0.35mmの反りを発生しているということは、シリンドリカルレンズの主走査方向に、或る大きさの曲率半径を有することと等価となる。この場合、前記0.35mmの反りの大きさは、主走査方向の曲率半径で32143mmに相当する。
【0024】
0.35mmの反りが生じたシリンドリカルレンズを、反りを矯正しない状態で光学ユニットにレンズを組み込むと、副走査方向ではレンズ両端部に0.2mm、主走査方向ではレンズ中央部に0.15mmの像面湾曲が発生した。そこでレンズの反りを矯正し、像面湾曲を低減させることにした。
【0025】
図1および図2にこの実施形態に係るシリンドリカルレンズ1の反り変形補正機構を示す。この実施形態では、Fθレンズ108と感光体102との間にシリドリカルレンズ1を設けてある。シリンドリカルレンズ1には中央部の下部に突起部2が一体に設けられ、その突起部2の凸側の表面2aを調節ネジ3で押すことができるようになっている。調節ネジ3は装置本体側(光学ユニットの本体ベース側)に設けられた支持部4に螺合し、進出後退可能に設けられている。シリンドリカルレンズ1は両側に設置されたレンズホールド部5に両端部を組み込んで位置を固定し、前記調節ネジ3で前記突起部2を押すことになる。
【0026】
すなわち、図1に示すように、シリンドリカルレンズ1に若干の反り変形があるために上述の通り、像面湾曲が生じている。そこで調節ネジ3を廻して先端を表面2cに当接させ、さらに廻して反りと反対方向に突起部2を押し、図2に示すように像面湾曲がなくなるまで廻す。この像面湾曲の有無は、シリンドリカルレンズ1によって結像される結像位置によって判断する。すなわち、図1の湾曲した状態でレーザ光を集光させて結像位置を調べ、調節ネジ3を廻しながら結像位置を観察して、前述のようにレンズ全域で所定の結像位置に達したかどうかで判断し、達した時点で調整を終了する。調整が終了すれば調整ネジ3が緩まないように接着剤4aで調整ネジ3を固定する。固定手段としては接着剤4aで固定する以外に、ナットを用いて固定するようにすることもできる。なお、突起部2は一体成形する代わりに別部品とし、シリンドリカルレンズ1の本体成形後にレンズ1本体に取り付けても良い。
【0027】
また。シリンドリカルレンズ1の反り変形を補正後、レンズ1を補正位置で固定するためのロック機構をレンズ1本体と一体成形しても良い。この例を図3に示す。この例では、レンズ1の長手方向中央の底部にレンズの反り変形を補正調整する突起部6を設け、さらにこの突起部6にはレンズ1を変形補正位置で固定するための爪7を設けている。このレンズ固定用爪7の断面形状は本実施形態では図3に示すようにレンズ底面に垂直な1辺を有する直角三角形形状をしており、ベース8側に、これらの爪7と噛み合う爪9が形成され、位置ずれを防止している。
【0028】
表1にレンズの反り変形補正前後での像面湾曲量の状態を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表から分かるように、像面湾曲がなくなるまでシリンドリカルレンズ1の反り変形を補正するため、当然のことながらレンズ変形補正後は像面湾曲はなくなっている。なお、補正前および補正後として数字で示してあるのはフォーカス位置からのずれ量をmmで示したもので、(−)は手前側のずれ、(+)は奥側のずれを表している。
【0031】
なお、このようなシリンドリカルレンズ1の反り(歪み)の矯正は、高精細なレーザプリンタの画像品質の向上に特に有効で、フルカラーのレーザプリンタの色ずれの防止にも多大の効果がある。
【0032】
〔第2の実施形態〕
この実施形態は、シリンドリカルレンズを光学ユニットに組み込む際に生ずるレンズの面倒れ誤差を低減する例である。
【0033】
シリンドリカルレンズ1の面倒れ誤差が0.5°生じた場合、本光学系では副走査方向でレンズ全域の範囲に渡り1.3mm程度結像位置がずれる。結像位置のずれは光の走査範囲内でほぼ一様にずれているので感光ドラム(感光体102)上に集光したレーザビーム径の大きさはほぼ一様になる。しかし結像位置がずれた分だけ集光したレーザビーム径の大きさは設計値より大きくなるため、レーザビームプリンタとして高解像度の印字結果を得ようとする場合、結像位置のずれを低減させる必要がある。そこで本実施形態では、シリンドリカルレンズ1の上下端(副走査方向)に突起部2a,2bを設け、それぞれの凸側の表面2d,2eに下側および上側のベース8a,8bに突設された支持台4a,4bに螺合した調節ネジ3a,3bの先端を当接させ、調節ネジ3a,3bのストロークをそれぞれ変えて独立に調整し、シリンドリカルレンズ1の面倒れ補正を行う。例えば図4のようにレンズが0.5°傾いて装着されている場合、レンズの上端は本来の設定位置から130μmずれているためレンズ上端についている突起部2bを調節ネジ3bを用いて130μm押すと、面倒れ誤差は解消される。
【0034】
その他、特に説明しない各部は全て前述の従来例および第1の実施形態と同等に構成されている。
【0035】
なお、この実施形態ではレンズの面倒れ誤差を低減するようにしているが、回転多面鏡106の回転軸の傾きによって生じる面倒れ誤差も、回転多面鏡106の回転軸の調整では補正できないような微細な誤差は、光学系だけで簡単に調整することができる。
【0036】
〔第3の実施形態〕
この実施形態は、シリンドリカルレンズの反りの矯正を電気的に行う例である。
【0037】
図8はレンズの変形を自動的に矯正するための制御ブロック図であり、図9は矯正の対象となるシリンダレンズの斜視図である。この例では、シリンダレンズ1の下部に突起部2を設けるとともに、シリドリカルレンズ1の感光体102側の面に検出器として歪みゲージ10を貼付する。また、前記突起部2の凸側の面2cにピエゾアクチュエータ11の作動面を当接させている。歪みゲージ(検出器)10の検出出力は図8に示すようにサーボ系の処理回路12に入力され、この処理回路12からの指示出力によってピエゾアクチュエータ11を作動させ、当該アクチュエータ11の作動面で前記面2cを押圧することによってシリンドリカルレンズ1の曲率を変える。この曲率、言い換えればレンズの変形量13は歪みゲージ10によってリアルタイムに監視され、必要量の補正が自動的に実行される。なお、反り(歪み量)と歪みゲージ10の出力の関係はあらかじめキャリブレーションを行って両者の関係を前記処理装置12に記憶させておけば、シリンダレンズ1の反りの補正は、任意のタイミングで実行できる。なお、光走査を行わない場合には、ピエゾアクチュエータ11への通電も断たれ、シリンダレンズ1は元の変形状態に自身の弾性によって戻ることになる。その他、特に説明しない各部は、前述の従来例、第1の実施形態および第2の実施形態と同等に構成されている。
【0038】
この実施形態では、ピエゾアクチュエータ11は1個しが設けられていないが、第2の実施形態のようにシリンドリカルレンズ1の副走査方向の上下に突出部を設けて、それぞれ別途設けたピエゾアクチュエータ11によって面倒れ補正を行うこともできる。また、ピエゾアクチュエータ11を前記突出部2を挟むように1対に設けてシリンドリカルレンズ1の歪みを矯正することも可能である。
【0039】
なお、この実施形態では、ピエゾアクチュエータ11に制御電流を流してピエゾアクチュエータ11の変形量を一定に保持するように構成しているが、第1の実施形態における調整ネジと組み合わせて反り(歪みδ)が0になった時点で、調節ネジによってシリンドリカルレンズ1を押さえるように構成することもできる。この場合には、前述のように結像位置を監視することなく、反り(歪み)の矯正が自動的に行える。
【0040】
また、この実施形態では、シリンドリカルレンズ1の歪み量の検出に歪みゲージを使用しているが、その他、うず電流を使用したり、静電容量によって検出したり、レーザ変位計を使用することも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば以下のように効果を奏する。
【0042】
長尺のプラスチックレンズの反りを外力により矯正する手段を前記プラスチックレンズの長手方向の中央部に備えた請求項1記載の発明によれば、1個所で簡単かつ精度よく長尺のプラスチックレンズの反りを矯正することができる。また、長尺のプラスチックレンズを組み込んだ後で反りを矯正することが可能になり、1個所で簡単かつ精度よく長尺の安価なプラスチックレンズによって精度のよい書き込みが可能となる。
【0043】
矯正する手段がプラスチックレンズの反りの凸側から凹側に外力を付与するようにした請求項2記載の発明によれば、プラスチックレンズを凸側から押圧するだけの機構で反りを矯正することができる。
【0044】
外力を付与する手段がプラスチックレンズを挟んで副走査方向にそれぞれ設けられた請求項3記載の発明によれば、プラスチックレンズの副走査方向の傾きを調整することが可能になるので、面倒れ補正が簡単に実行でき、高精度な書き込みが可能になる。
【0045】
外力を付与する手段が、前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニットに設けられた支持部に支持されたネジ部材からなる請求項4記載の発明によれば、ネジ部材を廻すことによって簡単にプラスチックレンズの反りの矯正を行うことができ、低コストで高精度な書き込みが可能になる。
【0046】
外力を付与する手段が、前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニットに設けられた支持部に支持されたピエゾアクチュエータからなる請求項5記載の発明によれば、電気的な操作によってプラスチックレンズの反りの矯正が可能となる。
【0047】
ピエゾアクチュエータによって前記プラスチックレンズの反りを矯正した後、その状態を保持させる手段を備えた請求項6記載の発明によれば、調整時のみ電気的に調整し、保持を機械的に行うことで調整作業が簡単になる。
【0048】
保持させる手段が前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニットに設けられた支持部に支持されたネジ部材からなる請求項7記載の発明、および保持させる手段が前記プラスチックレンズ側および前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニット側にそれぞれ設けられた噛合手段からなる請求項8記載の発明によれば、簡単な機械的構成で反りを矯正した状態を保持することができる。
【0049】
プラスチックレンズの反りを検出する手段と、この反りを検出する手段によって検出された反りの量に応じて前記ピエゾアクチュエータへの通電を制御してプラスチックレンスの反りを矯正させる制御手段を備えた請求項9記載の発明によれば、プラスチックレンズの反りを自動的に矯正することができ、調整作業をきわめて簡単に行うことができる。
【0050】
反りを検出する手段が歪みゲージからなる請求項10記載の発明によれば、安価な検出要素でプラスチックレンズの反りを確実に検出することができる。
【0051】
外力を付与する手段によって付与される外力を受ける部分が前記プラスチックレンズ本体に一体に成形されていることを特徴とする請求項11記載の発明によれば、プラスチックレンズ側に加わる外力によってプラスチックレンズの光学的性能を劣化させることなく、反りを矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシリンドリカルレンズの反り矯正機構を有する光学系の矯正前の状態を示す概略構成図である。
【図2】図1の光学系の矯正後の状態を示す概略構成図である。
【図3】シリンドリカルレンズの反りを矯正した後、矯正した状態を保持する機構を示す概略図である。
【図4】シリンドリカルレンズの面倒れの矯正機構を示す概略図である。
【図5】シリンドリカルレンズの外形および外形寸法を示す斜視図である。
【図6】シリンドリカルレンズの反りによる変形の状態を示す平面図である。
【図7】シリンドリカルレンズの反り変形の状態を示すモデル図である。
【図8】シリンドリカルレンズの矯正機構を電気的に作動させるための制御ブロック図である。
【図9】シリンドリカルレンズをピエゾアクチュエータによって矯正する例を示す斜視図である。
【図10】一般的なレーザビームプリンタの光学系を示す概略構成図である。
【図11】一般的なレーザビームプリンタの画像形成系を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 シリンドリカルレンズ
2,2b,2c 突起部
3,3a,3b 調節ネジ
4 支持部
4a 接着剤
5 ホールド部
6 突起部
7,9 爪
8,8a,8b ベース
9 爪
10 歪みゲージ
11 ピエゾアクチュエータ
12 処理装置
13 レンズ変形量
101 光源
102 感光体
106 回転多面鏡
108 Fθレンズ
Claims (10)
- 長尺のプラスチックレンズを含んで構成された光学系を備えた走査手段を介し、光源から出射された光を被走査媒体上に走査する光走査装置において、
前記プラスチックレンズの反りを外力により矯正する手段を前記プラスチックレンズの長手方向の中央部に備え、
前記矯正する手段は、前記プラスチックレンズの反りの凸側から凹側に外力を付与するようになっていることを特徴とする光走査装置。 - 前記矯正する手段が、前記プラスチックレンズを挟んで副走査方向にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
- 前記矯正する手段が、前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニットに設けられた支持部に支持されたネジ部材からなることを特徴とする請求項1または2記載の光走査装置。
- 前記矯正する手段が、前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニットに設けられた支持部に支持されたピエゾアクチュエータからなることを特徴とする請求項1または2記載の光走査装置。
- 前記ピエゾアクチュエータによって前記プラスチックレンズの反りを矯正した後、その状態を保持させる手段を備えていることを特徴とする請求項4記載の光走査装置。
- 前記保持させる手段が、前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニットに設けられた支持部に支持されたネジ部材であることを特徴とする請求項5記載の光走査装置。
- 前記保持させる手段が、前記プラスチックレンズ側および前記プラスチックレンズを搭載する光学ユニット側にそれぞれ設けられた噛合手段からなることを特徴とする請求項5記載の光走査装置。
- 前記プラスチックレンズの反りを検出する手段と、この反りを検出する手段によって検出された反りの量に応じて前記ピエゾアクチュエータへの通電を制御してプラスチックレンスの反りを矯正させる制御手段を備えていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項記載の光走査装置。
- 前記反りを検出する手段が歪みゲージからなることを特徴とする請求項8記載の光走査装置。
- 前記矯正する手段によって付与される外力を受ける部分が前記プラスチックレンズ本体に一体に成形されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の光走査装置。
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