JP2011137871A - 光学走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】揺動軸周りに揺動する偏向子に対して、その揺動軸のおじぎ方向への姿勢を精度良く調整し、コンパクトな構成で高品位な画像品質を得ることが可能な光学走査装置、及びそれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】光源ユニット41から射出されるレーザ光を偏向する偏向面を有する偏向子62、ねじりバネ64によって偏向子62と同軸上に連結される可動子63、及びねじりバネ65を介して偏向子62を保持する固定部72とを備え、偏向子62が揺動軸O周りに揺動し、レーザ光を揺動軸Oに直交する平面内で偏向走査する光学走査装置であって、固定部72は、電圧が印加されることで撓み変形する圧電バイモルフ1に支持されており、圧電バイモルフ1が撓み変形することにより、揺動軸Oの姿勢を変化させることが可能に構成されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、レーザ光によって感光体ドラム上を偏向走査する光学走査装置、及びそれを備える画像形成装置に関する。
従来、レーザ光を偏向する偏向子(例えばMEMSミラー)を揺動軸周りに揺動可能な構成とし、偏向子の揺動軸の姿勢をステッピングモータとギアを用いて調整する光学走査装置、及びそれを備える画像形成装置が知られている(特許文献1)。
特開2006−243126号公報
しかし、上記従来の光学走査装置、及びそれを備える画像形成装置には以下の課題がある。
特許文献1に記載の光学走査装置は、偏向子として用いられているMEMSミラーの揺動軸の傾きを補正し、感光体ドラム上での走査線傾きを補正するものである。画像品質への影響を考えると、偏向子の揺動軸は精度良くその姿勢が決められることが望ましく、そのためには、偏向子の揺動軸のおじぎ方向への傾きを補正することが重要になる。なお、「おじぎ方向」とは、偏向子の静止状態(揺動していない状態)における偏向面の法線方向と、揺動軸とによって形成される面内にある直線の方向であって、すなわち、揺動軸を含む面内において揺動軸が倒れる方向を指す。
偏向子の揺動軸が「おじぎ方向」に傾く場合、偏向されたレーザ光の走査レンズ等の結像光学系における通過位置がずれ、感光体ドラム上でスポットが回転したり、スポット形状が崩れるといった事態が起こる。この場合、レーザ光を偏向走査する際に、走査線が副走査方向にずれ、感光体ドラムの表面に所定の静電潜像を形成することが困難になるので、画像品質の劣化を招く。なお、以下ではここで説明した「揺動軸おじぎ方向への傾き」を、「揺動軸の倒れ」又は「揺動軸の姿勢変化」と称して説明を行う。
このように、偏向子としてMEMSミラーのような微小電気機械デバイスを用いてレーザ光の偏向を行う場合、所望の画像品質を安定して得るためには、揺動軸の倒れを補正する手段を設ける必要がある。これに対して、例えば特許文献1には、揺動軸の姿勢変化をカメラによって検知する構成が開示されているが、カメラによる検知では「おじぎ方向」の姿勢変化を検知することができない。また、特許文献1には、ギアとステッピングモータとを用いて揺動軸の姿勢変化を補正する構成が開示されているが、かかる構成によって揺動軸の姿勢変化を補正しようとすると、光学走査装置が大型化し、また、製造コストが増加する。
そこで本発明は、揺動軸周りに揺動する偏向子に対して、その揺動軸のおじぎ方向への姿勢を精度良く調整し、コンパクトな構成で高品位な画像品質を得ることが可能な光学走査装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明にあっては、レーザ光を射出する光源ユニットと、前記光源ユニットから射出されるレーザ光を偏向走査する偏向走査ユニットと、を備える光学走査装置において、前記偏向走査ユニットは、ねじれ方向に揺動し、その揺動軸が同軸上にある複数のねじりバネと、前記光源ユニットから射出されるレーザ光を偏向する偏向面を有する偏向子と、前記ねじりバネを介して前記偏向子と連結されている可動子と、前記ねじりバネを介して前記偏向子または前記可動子の少なくとも一方を保持している保持部材と、を備え、前記可動子が前記ねじりバネの揺動軸周りに揺動することに伴い、前記偏向子が前記揺動軸周りに揺動し、レーザ光を前記揺動軸に直交する平面内で偏向走査することが可能な構成であって、前記保持部材は、電圧が印加されることで変形する圧電体によって構成される支持部材に支持されており、前記圧電体に電圧が印加されて前記支持部材が変形することにより、前記偏向子が揺動していない静止状態における前記偏向面の法線方向と、前記揺動軸とで形成される面であって、前記揺動軸を含む面内において、前記揺動軸の姿勢が変化するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記に記載の光学走査装置と、前記光学走査装置によって偏向走査されるレーザ光が照射されることで、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記静電潜像をトナー像として現像する現像器と、前記トナー像をシート材に転写する転写部材と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、揺動軸周りに揺動する偏向子に対して、その揺動軸のおじぎ方向への姿勢変化を精度良く補正し、コンパクトな構成で高品位な画像品質を得ることが可能な光学走査装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。 実施形態に係る光学走査装置の概略構成図。 実施形態における偏向走査ユニットの概略構成図。 実施形態における偏向子の揺動のメカニズムを説明する図。 実施形態における偏向走査ユニットの概略構成図。 実施形態における圧電バイモルフの概略構成図。 実施形態における圧電バイモルフの概略構成図。 実施形態における圧電バイモルフの動作を説明する図。 実施形態に係る光学走査装置の概略構成図。 実施形態における揺動軸の倒れを検知する方法を説明する図。 実施形態に係る光学走査装置の概略構成図。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[実施形態]
(画像形成装置の概略構成)
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式を採用するレーザビームプリンタである。画像を形成する際は、画像情報に基づいて変調されたレーザ光Lが光学走査装置31から射出され、レーザ光が、一次帯電器33によって一様に帯電している感光体ドラム32(像担持体)の表面に照射されることで、該表面に静電潜像が形成される。そして形成された静
電潜像に対して現像器34からトナー(現像剤)が供給され、静電潜像がトナー像として現像される。その後、転写ローラ35(転写部材)に転写電圧が印加され、トナー像がシート材36に転写され、定着器37においてトナー像がシート材上に熱定着され、画像が形成されたシート材が排出ローラ38によって画像形成装置本体外に排出される。
(光学走査装置の基本構成)
図2を参照して、本実施形態に係る光学走査装置31の基本構成について説明する。レーザ光によって感光体ドラム32の偏向走査を行う際は、まず、光源ユニット41からレーザ光Lが射出され、シリンドリカルレンズ47を通過したコリメート光を偏向走査ユニット42によって偏向走査する。その後、偏向走査ユニット42において偏向されたレーザ光Lは、順に走査レンズ43、折り返しミラー44を通過し、最終的に感光体ドラム32の表面に到達する(図中一点鎖線)。
走査レンズ43は、偏向走査の際に、偏向走査ユニット42によって偏向されたレーザ光Lが感光体ドラム32の長手方向の幅内に照射されるように設けられるものである。また、偏向されたレーザ光Lの一部は、BDミラー45によって反射され、BDセンサ46により光検知されている。このようなBDミラー45、及びBDセンサ46を設けることにより、BDセンサ46で検知した出力信号を基準に、走査回毎の書き込み信号を同期させ、走査方向のレーザ光Lの書き込み位置ズレを防止することができる。
また、偏向走査ユニット42の偏向面の倒れ誤差によって生じる、感光体ドラム32上の副走査方向の走査位置ズレ、所謂面倒れを防止するために、光学走査装置31にはシリンドリカルレンズ47が設けられている。ここで副走査方向とは、光軸方向及び走査方向のいずれにも直交する方向を指し、所謂シート材36の送り方向に相当する。シリンドリカルレンズ47を用いることにより、光源ユニット41から射出されたレーザ光を偏向走査ユニット42の偏向面上で副走査方向に圧縮して線像とすることができる。よって、偏向走査ユニット42の偏向面、及び感光体ドラム32の表面上では、レーザ光Lの走査方向が副走査方向に対して共役関係となる。なお、ここで説明した各光学部材、部品は、光学箱の所定の位置に高精度に組み付けられている。
(偏向走査ユニットの基本構成)
図3を参照して、本実施形態における偏向走査ユニット42の基本構成について説明する。図3は、図2に示す偏向走査ユニット42を拡大した図である。偏向走査ユニット42は、単結晶シリコンのウェハをエッチング加工して製作されるプレート部材(素子、或いはMEMSミラーともいう)61を備えている。プレート部材61には、レーザ光を偏向する偏向面が形成された偏向子62と、揺動軸O周りに揺動する可動子63と、ねじれ方向に揺動する複数のねじりバネ64、65とが形成されている。なお、このねじりバネ64、65は、それぞれの揺動軸が同軸上にくるように配置されている。
可動子63には棒状の永久磁石(マグネット)66が接着固定されており、偏向子62の表面にはアルミ等が蒸着され、偏向面が形成されている。また、可動子63にはねじりバネ65が連結され、ねじりバネ65の一端が固定部72(保持部材)に保持されている。なお、図3中の二点鎖線は、レーザ光Laの偏向方向(進行方向)を示している。ここでは固定部72がねじりバネ65を介して可動子63を保持しているが、偏向子62を固定部72によって直接保持する構成であってもよい。また、枠形状の保持部材を用いて、ねじりバネを介して偏向子62と可動子63を上下両方から保持する構成であってもよい。つまり、偏向子62と可動子63とが共振的に揺動可能な構成であれば、偏向子62または可動子63のうち少なくとも一方をねじりバネを介して固定部72で保持する構成であればよい。
かかる構成を有する偏向走査ユニット42では、可動子63が揺動軸O周りに揺動(ねじり振動)することで、ねじりバネ64、65の作用によって偏向子62が揺動し、レーザ光Laを揺動軸Oに略直交する平面内で偏向走査することが可能になる。以下、可動子63、偏向子62が共振的に揺動するメカニズムについて補足的に説明する。
偏向子62、可動子63、及びねじりバネ64,65からなるプレート部材61は、複数の固有振動モードを有している。本実施形態では、走査周期に応じた基本周波数の振動モードと、その2倍の周波数の振動モードとを有している。これらの振動モードの下で、偏向子62、及び可動子63が揺動軸O周りに共振的に揺動(ねじり振動)する。
可動子63は、プレート部材61に対向配置されているアクチュエータ67によって揺動されている。アクチュエータ67は、鉄心(コア)68に巻線(コイル)69を巻回させたものである。偏向走査ユニット42の駆動時に、巻線69に通電することによって、可動子63に設けられた永久磁石66にはローレンツ力が生じ、可動子63にトルクが働く。この性質を利用し、電流をプレート部材61の振動モードに合わせて変調させることにより、偏向子62、可動子63、及びねじりバネ64、65が共振的に揺動する。図4を参照して、この現象についてさらに詳しく説明する。図4は、本実施形態における偏向子62の揺動のメカニズムを説明する図である。
上述したように、偏向走査ユニット42は、プレート部材61の複数の固有振動数(基本と2倍)を重ね合わせて駆動する。ここで、レーザ光の偏向走査に用いられる偏向子62の振幅角度をθ、時間をtとすると、偏向子62は次式に示す挙動をとる。
θ(t)=A1sin(ωt)+A2sin(2ωt+φ)+A3
A1:基本周波数(基本波)における振幅
A2:基本周波数の2倍(倍波)における振幅
ω:基本周波数
φ:基本波と倍波の位相差
A3:静的な角度誤差、例えば偏向子62が振動していない時の姿勢の角度誤差
なお、図4ではφ=0、A3=0の場合を図示している。ここでは、偏向子62、可動子63が同じ方向へ同位相で振動する基本波成分と、これらが互い違いに逆位相で且つ基本波の2倍の周波数で振動する倍波成分、この2つを重ね合わせた時の偏向子62の実際の挙動である3種の合成波を示している。ここで、各パラメータを適切に設定することにより、1周期内のある時間的な範囲では次式に示す挙動をとる。
θ(t)≒kt+α
k、α:いずれも定数
上式ではdθ(t)/dt=kが成り立つので、偏向子62は略等角速度で振動することになり、図3におけるレーザ光Laは、ある時間範囲では略等角速度で偏向走査されていることがわかる。
(圧電バイモルフの構成、挙動)
図5〜図8を参照して、本実施形態における圧電バイモルフ1(圧電体によって構成される支持部材)の構成、及びその挙動について説明する。図5に示すように、プレート部材61は固定部72において圧電バイモルフ1に接着剤などにより固定され、支持されている。また、圧電バイモルフ1はホルダ部材70に対し同様に接着剤などにより固定されている。さらにアクチュエータ67もホルダ部材70に対し圧入等の方法により固定されている。ホルダ部材70はねじ穴71を具備しており、偏向走査ユニット42は、このねじ穴71を介して光学箱(不図示)に固定されている。
図6(b)は圧電バイモルフ1の分解斜視図である。圧電バイモルフ1は2枚の圧電素子2a、2b(圧電体)、金属板3、及び2枚の電極4からなり、2枚の圧電素子2a、2b、及び、2枚の電極4を金属板3に対し矢印A或いは矢印B方向に貼り合わせた構成となっている。図6(a)に、完成後の圧電バイモルフ1の構成を示す。図示するように、圧電バイモルフ1の電極4には外部から電圧を供給するためのハーネス5がハンダなどによって取り付けられている。
次に図7を参照して、圧電バイモルフ1の動作について説明する。圧電素子2a、2bは、その厚み方向、すなわち、矢印P方向に分極されている。このような構造の圧電バイモルフ1に対し、図示するように金属板3と電極4間に電圧を印加する。すると、図中上側の圧電素子2aは圧電横効果によって縮み、下側の圧電素子2bは伸びる。これによって圧電バイモルフ1は全体として矢印C方向に撓み変形する。なお、この撓み具合は印加される電圧に略比例し、印加される電圧が大きいほど、変形量が大きくなり、圧電バイモルフ1の先端の移動距離が大きくなる。
図8を参照して、圧電バイモルフ1が偏向走査ユニット42においてどのように動作するかについて説明する。なお、図8(a)が動作前の状態であり、図8(b)が動作後の状態である。圧電バイモルフ1に電圧を印加することにより、図8(b)に示すように、圧電バイモルフ1が撓み変形する。すると圧電バイモルフ1に固定されているプレート部材61もそれに伴って矢印E方向に傾く。これによってプレート部材61の揺動軸Oの姿勢が変化し、揺動軸O´の状態になる。
この性質を利用すると、揺動軸Oが初期の組み立て時に傾いていた場合、圧電バイモルフ1に電圧を印加することによって、この揺動軸Oの姿勢を調整することができる。つまり「おじぎ方向」の揺動軸Oの倒れ、副走査方向の走査ズレを補正することができる。このように圧電バイモルフ1は、「おじぎ方向」つまり、偏向子62の静止状態における偏向面の法線方向と、揺動軸O方向とによって形成される面であって、揺動軸Oを含む面内をその先端が移動するように撓み変形する。
より具体的に説明すると、図5のようにX、Y、Z軸を定めた場合、プレート部材61によって偏向されるレーザ光の走査方向がZ軸まわりの回転方向であるのに対し、圧電バイモルフ1の撓み方向はY軸まわりの回転方向となる。言い換えれば、プレート部材61によって走査されるレーザ光の走査方向はX軸とY軸のなす平面内方向であるのに対し、圧電バイモルフ1の撓み方向はX軸とZ軸のなす平面内であり、これらは互いに直交している。
このように電圧を印加してプレート部材61の揺動軸Oの姿勢変化を補正し、その後はその電圧を維持して印加しつづけることで、揺動軸Oの姿勢を高精度に保つことができる。つまり、結像性能を良好に保ち、ひいてはコンパクトな構成で高品位の画像品質を得ることが可能になる。
また、画像形成装置の駆動中に、画像形成装置が高温環境、低温環境、或いは高湿度環境などに晒された場合、揺動軸Oが姿勢変化を起こす可能性がある。例えば、高温環境でプレート部材61を保持するホルダ部材70が熱変形したり、プレート部材61などの固定に用いる接着剤が膨張したりすることで、揺動軸Oが「おじぎ方向」に傾いてしまう。または、偏向走査ユニット42を保持する光学箱が高温環境で変形し、偏向走査ユニット42を保持する座面が相対的に傾くことも考えられる。
このような場合は、電圧を一定に維持するのではなく、揺動軸Oの姿勢の変化量に応じて圧電バイモルフ1に印加する電圧を変更することで、揺動軸Oの姿勢を最適な状態に戻
すことが可能になる。また、揺動軸Oの姿勢の変化量を検知する構成を設けることも可能である。この場合は、揺動軸Oの姿勢の変化量を検知し、それに基づいて圧電バイモルフ1に印加する電圧を変更するといったフィードバック制御を行うことができる。以下、揺動軸Oの姿勢の変化量を検知する構成について説明する。
(揺動軸Oの姿勢の変化量を検知する構成)
図9、図10を参照して、揺動軸Oの姿勢の変化量を検知する方法について説明する。図9(a)は光学走査装置の斜視図であり、図2とは異なり、揺動軸Oの姿勢の変化量を検知する検知手段を含めた構成を示している。図9(b)は、図9(a)の偏向走査ユニット42の周辺を拡大して示した図である。
図9(a)に示すように、光学走査装置には、揺動軸Oの姿勢の変化量を検知する為のレーザユニット6が設けられている。揺動軸Oの姿勢の変化量を検知する際は、レーザユニット6からレーザ光(破線)を射出し、そのレーザ光を偏向走査ユニット42によって偏向走査し、Vスリット7を通過させて、レーザ光をフォトダイオード8(受光部)に入射する。なお、姿勢変化量の検知に用いられるレーザ光は、偏向走査ユニット42の偏向子62の裏面で偏向されたものである。また、ここでいうレーザユニット6、Vスリット7及びフォトダイオード8を合わせて「検知部材」と称する。
図9(b)において、Laは光書き込みに用いられるレーザ光、Lcは姿勢変化量の検知に用いられるレーザ光を示しており、図示するようにレーザ光Lcは、偏向子62のアクチュエータ67側の偏向面14で偏向されている。一方で、光書き込みに用いられるレーザ光Laは、それとは反対側の偏向面15で偏向されている。このように、姿勢の変化量を検知する際に、光書き込みに用いられる側と反対の偏向面14を使うことで、光書き込み時に姿勢変化量の検知用のレーザ光Lcが感光体ドラム32に到達しないようにしている。
偏向面14で偏向されたレーザ光Lcは、Vスリット7上を走査する。Vスリット7とは、三角穴9が空いたスリットであり、この三角穴9を通過したレーザ光がフォトダイオード8で検知されるように構成されている。仮にVスリット7上を走査されるレーザ光の高さが変化すると、フォトダイオード8でレーザ光を検知する時間も変化する。つまり、揺動軸Oの姿勢変化によりレーザ光の高さが変わる(位置変化が生じる)ので、これにより揺動軸Oの姿勢の変化量を検知することができる。以下、図10を参照して、Vスリット7上をレーザ光が走査し、そのレーザ光の高さを検知する方法について説明する。
図10に示すように、レーザ光は矢印Fの方向に走査される。三角穴9を通ったレーザ光はフォトダイオード8で検知されるので、区間Tを通過している間はフォトダイオード8から出力信号が取り出される。この時のレーザ光の高さをHとし、二等辺三角形に形成されている三角穴9のうちの、レーザ光が通過する2辺のなす角をθとすると、次式の関係が得られる。
H=(T/2)tan(θ/2)
この関係に基づくと、区間Tを通過している時間と走査速度との積で区間Tは凡そ表されるので、区間Tを通過している時間を測定することで、レーザ光の高さHが求まり、レーザ光の位置変化を求めることができる。仮に揺動軸Oが傾いている場合には、この高さHが所定の値から異なる値を示すので、圧電バイモルフ1に対する印加電圧を制御し、レーザ光の高さHを所定の高さにすることで、揺動軸Oの姿勢の変化量を補正することができる。
(出荷時に揺動軸Oの倒れを補正する方法)
図11を参照して、出荷時に揺動軸Oの倒れ(姿勢変化)を補正する方法について説明する。図11は、プレート部材61の揺動軸Oの姿勢を、出荷時前の光学走査装置組み立て時に調整する工程を説明する斜視図である。図11において、16は半導体レーザ、17はコリメータレンズ、12は治具ミラー、11はVスリット、10はフォトダイオードを示している。これらは治具筐体13(二点鎖線)にて一体に保持されている。なお、これらは光学走査装置に具備されておらず、治工具に具備されている。この治具筐体13に一体に保持されている部材群を総称して、「軸倒れ検知ユニット」と称する。
まず「軸倒れ検知ユニット」は、光学走査装置の組み立て後に、光学走査装置内に矢印G方向に降ろされ、所定位置に位置決めされる。この状態で「軸倒れ検知ユニット」の半導体レーザ16を発光させる。
半導体レーザ16から射出されたレーザ光(一点鎖線)は、コリメータレンズ17によってコリメート化され、その後、治具ミラー12によって反射される。このレーザ光が偏向走査ユニット42に入射し、偏向され、軸倒れ検知ユニットに戻る。この時、偏向走査ユニット42のプレート部材61は揺動している。偏向走査ユニット42で偏向されたレーザ光は、軸倒れ検知ユニットの治具ミラー12に再び反射され、Vスリット11を通過し、フォトダイオード10によって検知される。この軸倒れ検知ユニットのVスリット11、フォトダイオード10は、光学走査装置31に具備されたVスリット7、フォトダイオード8と同様の方法で、光線高さHを検知するものである。
このように軸倒れ検知ユニットで偏向走査ユニット42の揺動軸Oの姿勢変化量を検知し、軸倒れが無くなるまで圧電バイモルフ1を撓ませ、揺動軸Oの姿勢を調整する。その後、揺動軸Oの姿勢を維持したままの状態で、光学走査装置31に具備されたレーザユニット6を点灯させ、同様に光学走査装置31に具備されたVスリット7とフォトダイオード8でレーザ光の高さHを検知する。この時のレーザ光の高さHが、それ以後のフィードバック制御を行なう際の基準となる。つまり、基準となるレーザ光の高さを維持するように、圧電バイモルフ1に印加する電圧を制御することで、出荷時(組み立て時)に補正した揺動軸Oの姿勢状態をその後も維持することができる。
なお、治工具に具備された軸倒れ検知ユニットで軸倒れを測定する際、軸倒れがない場合の測定値をゼロ基準として軸倒れ量を検知しているが、軸倒れが無いワーク、所謂マスターワークを予め測定しておき、この時の測定値をゼロとしてもよい。
本実施形態では、このように軸倒れ検知ユニットによって、軸倒れが無くなるまで圧電バイモルフ1への印加電圧を調整し、偏向走査ユニット42の揺動軸Oの姿勢変化を補正している。また、補正後は、光学走査装置31に具備されたVスリット7、フォトダイオード8を用いて姿勢変化量を検知し、出荷時(組み立て時)の検知結果が維持されるように圧電バイモルフ1に印加する電圧を制御する。つまり、光学走査装置31で揺動軸Oの姿勢変化量を検知し、その値を元にフィードバック制御を行って、軸倒れの無い状態を維持している。なお、軸倒れ検知ユニットは、組み立て時の揺動軸Oの補正を行った後に取り除かれる。
上記のプロセスでは、光学走査装置31の組み立て調整工程においては、軸倒れを補正して基準値を得るプロセスを行い、具体的なフィードック制御は、光学走査装置31が画像形成装置に組み込まれた後に行っている。そして画像形成装置の駆動中にフィードバック制御を行うことにより、画像形成装置が設置された環境が変化した場合にも、軸倒れのない状態を高精度に維持しながら、高品位の画像品質を得ることができる。
なお、光学走査装置の組み立て調整工程で、軸倒れの無い状態での測定値が導出された
ら、その値を光学走査装置31の光学箱等に2次元バーコードシール等を用いて一対一で添付してもよい。この情報を元に画像形成装置の駆動中において、軸倒れフィードバック制御を圧電バイモルフ1に対して行うことが可能になる。このように光学走査装置31に情報を一対一で添付することによって、1つ1つのワークのばらつきに応じた軸倒れ制御を、画像形成装置によって行うことができる。
また、上記フィードバック制御を行う制御回路手段(制御部)は画像形成装置に設けられている。また、上記のフィードバック制御は、画像形成装置の起動時、画像形成装置の駆動中においてシート材にトナー像の転写を行なっていない間、または画像形成装置の駆動中において感光体ドラム32の表面に対してレーザ光を偏向走査していない間等に行われるとよい。具体的には、紙間(シート材36が連続で印刷される場合、印刷と印刷の合間)、或いは、ライン間(レーザ光が走査され、次のレーザ光が走査されるまでの間)等に相当する。
例えば、画像形成装置の起動時に、偏向走査ユニット42を駆動し、光学走査装置31内に具備した光源ユニット6、Vスリット7、フォトダイオード8を用いて揺動軸Oの軸倒れを検知する。そして、この時の測定値が、光学走査装置の組み立て調整工程で測定された基準値と一致するように、圧電バイモルフ1の印加電圧を可変し調整する。
その後、所定の軸倒れ精度を達成したら、レーザユニット6を消灯し、圧電バイモルフ1に印加される電圧を、初期値を保つように制御し、画像形成を行う。紙間、ライン間に行う場合も同様であって、揺動軸Oの姿勢変化量を検知し、その値を元にフィードバック制御して姿勢変化量を所定精度に追い込み、その後は圧電バイモルフ1への印加電圧を一定として、姿勢を維持する作業を、紙間、或いは、ライン間で行う。
なお、本実施形態では、レーザ光の高さHを検知する手段として、Vスリット7とフォトダイオード8を用いたが、例えばラインセンサ等の手段を用いてレーザ光の高さを検知してもよい。
また、本実施形態では、電圧が印加されることで変形する圧電体によって構成される支持部材として圧電バイモルフ1を用いた場合について説明した。しかし、本発明における支持部材の構成はこれに限定されるものではなく、例えば圧電モノモルフ等を支持部材として用いることも可能である。
以下、本実施形態の効果を列挙する。
圧電バイモルフ1を用い、それが撓み変形方向を、偏向子62、可動子63のおじぎ方向(副走査方向)とすることで、組立精度の厳しいおじぎ方向の揺動軸Oの姿勢変化を補正することができる。これにより、走査レンズ43等の結像光学系の通過位置を必要精度内に高精度に設定でき、印刷画質を向上させることが可能になる。
また、圧電バイモルフ1をプレート部材61とホルダ70の間に配置するという簡便な構成であるため、装置全体を大型化することなくコンパクトで簡潔な構成で高品位の画像品質を得ることができる。
また、圧電バイモルフ1の撓み変形量は、圧電バイモルフ1に印加される電圧の大きさで制御することができるので、揺動軸Oの姿勢の変化量が大きい場合であっても、電圧の大きさを変えることで、その姿勢変化の調整に対処することができる。
また、揺動軸Oの姿勢変化量を検知する検知部材を具備し、その検知量に基づいてフィ
ードバック制御を行っているので、画像形成プロセスにおいて変化量を必要なタイミングで随時補正できる。これにより、画像形成プロセスを行なっている間に揺動軸Oの姿勢を高精度に補正することができるので、初期の組み立て精度は比較的ラフな構成とすることができる。
また、揺動軸Oの姿勢変化のフィードバック制御を、画像形成装置の駆動中においてシート材にトナー像の転写を行なっていない間、または画像形成装置の駆動中においてレーザ光を偏向走査していない間等に行うので、画像形成動作に影響を与えることはない。
また、揺動軸Oの姿勢を光学走査装置31の組み立て時に軸倒れ検知ユニットを用いることにより、揺動軸Oの初期姿勢を高精度に決めることができる。
また、揺動軸Oの姿勢変化を検知するレーザ光は、光書き込みに用いる偏向面の裏面を用いて偏向されるので、姿勢変化を検知するレーザ光が感光体ドラム32の表面にまで到達して画像品質を劣化させる虞がない。
以上より、本実施形態によれば、揺動軸周りに揺動する偏向子に対して、その揺動軸のおじぎ方向への姿勢変化を精度良く補正し、コンパクトな構成で高品位な画像品質を得ることが可能な光学走査装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することができる。
1:圧電バイモルフ 32:感光体ドラム 41:光源ユニット 42:偏向走査ユニット 62:偏向子 63:可動子 64、65:ねじりバネ 72:固定部(保持部材)

Claims (7)

  1. レーザ光を射出する光源ユニットと、
    前記光源ユニットから射出されるレーザ光を偏向走査する偏向走査ユニットと、
    を備える光学走査装置において、
    前記偏向走査ユニットは、
    ねじれ方向に揺動し、その揺動軸が同軸上にある複数のねじりバネと、
    前記光源ユニットから射出されるレーザ光を偏向する偏向面を有する偏向子と、
    前記ねじりバネを介して前記偏向子と連結されている可動子と、
    前記ねじりバネを介して前記偏向子または前記可動子の少なくとも一方を保持している保持部材と、を備え、
    前記可動子が前記ねじりバネの揺動軸周りに揺動することに伴い、前記偏向子が前記揺動軸周りに揺動し、レーザ光を前記揺動軸に直交する平面内で偏向走査することが可能な構成であって、
    前記保持部材は、
    電圧が印加されることで変形する圧電体によって構成される支持部材に支持されており、
    前記圧電体に電圧が印加されて前記支持部材が変形することにより、
    前記偏向子が揺動していない静止状態における前記偏向面の法線方向と、前記揺動軸とで形成される面であって、前記揺動軸を含む面内において、前記揺動軸の姿勢が変化するように構成されていることを特徴とする光学走査装置。
  2. 前記面内における前記揺動軸の姿勢の変化量を検知する検知部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学走査装置。
  3. 前記検知部材は、
    前記偏向子における前記偏向面の裏面において偏向されたレーザ光を受光する受光部を備えており、前記偏向子が揺動している間に前記受光部で受光するレーザ光の位置変化に基づいて前記揺動軸の姿勢の変化量を検知していることを特徴とする請求項2に記載の光学走査装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学走査装置と、
    前記光学走査装置によって偏向走査されるレーザ光が照射されることで、表面に静電潜像が形成される像担持体と、
    前記静電潜像をトナー像として現像する現像器と、
    前記トナー像をシート材に転写する転写部材と、
    を備えていることを特徴とする画像形成装置。
  5. 前記圧電体に印加する電圧を制御する制御部を有し、
    前記制御部は、
    前記検知部材が検知する前記揺動軸の姿勢の変化量に基づいて、前記揺動軸の姿勢の変化を補正するように前記圧電体に印加する電圧を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記変化量とは、前記光学走査装置または前記画像形成装置の組み立て時における前記揺動軸の姿勢を基準とした変化量であり、前記制御部は、前記組み立て時における前記揺動軸の姿勢からの変化を補正するように前記圧電体に印加する電圧を制御していることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御部による電圧の制御は、
    画像形成装置の起動時、画像形成装置の駆動中においてシート材にトナー像の転写を行なっていない間、または画像形成装置の駆動中において前記像担持体の表面に対してレーザ光を偏向走査していない間、に行なっていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2606520C1 (ru) * 2015-07-07 2017-01-10 Закрытое акционерное общество "Научно-технический центр "Реагент" Пьезоэлектрический двухкоординатный однозеркальный оптический дефлектор

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