JP4742490B2 - 磁気メモリ - Google Patents
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Description
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
しかし、磁気異方性を大きくすると、保磁力が増大して、記録に大きな電流が必要となるため、消費電力の増加や電流駆動回路の大型化が不可避となり、高密度メモリを実現する上で問題となる。
日経エレクトロニクス 2001.2.12号(第164頁−171頁)
本発明の第2の磁気メモリは、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、この記憶層の磁化状態の検出を行うための構成である、磁気トンネル接合素子、巨大磁気抵抗効果素子、ホール素子のいずれかとを含む磁気記憶素子と、この磁気記憶素子に磁場を印加する配線と、記憶層に対して偏在するように配置され、配線を兼ねる磁性体と、磁性体の両端部に接続され、磁性体に電流を流す導体配線とを含むものである。
本発明の第3の磁気メモリは、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、この記憶層の磁化状態の検出を行うための構成である、磁気トンネル接合素子、巨大磁気抵抗効果素子、ホール素子のいずれかとを含む磁気記憶素子と、この磁気記憶素子に磁場を印加する配線と、記憶層に対して偏在するように配置され、かつ、長手方向が記憶層の磁化容易軸方向と平行に、記憶層と配線との間に配置された磁性体とを含むものである。
これにより、記憶層の磁化容易軸方向の磁場と磁化困難軸方向の磁場とを印加して、記憶層の保磁力を大幅に低減することが可能になり、容易に記憶層の磁化の向きを反転させて記憶層に記録を行うことができる。そして、記憶層の保磁力の低減により、記録を行う際に必要となる磁場を小さくしても記録を行うことが可能になる。
さらに、磁性体の磁気特性を(配線からの磁場や加熱等により)変化させることによって、記憶層の保磁力を変えることも可能である。
一方、記憶層の磁化困難軸方向の磁場が無い場合には、記憶層の保磁力が高い状態となる。
また、本発明の第2の磁気メモリにおいて、記憶層の磁化容易軸の方向と、記憶層に磁場を印加する配線を兼ねる磁性体からの磁場の方向とが、鋭角をなすように配置されている構成としたときには、これらの方向が直角をなす構成よりも記憶層の保磁力の変化を増やすことが可能であり、磁化容易軸の方向と配線からの磁場の方向とのなす角度(鋭角)を適切に選定すれば、記憶層の保磁力の変化を大きく確保することができる。
これにより、容易に情報の記録を行うことが可能になる。
そして、配線に流す電流により発生した磁場を磁気記憶素子に印加して情報の記録を行う際に、必要となる電流を低減することができるため、磁気メモリの消費電流を低減することが可能になる。
記憶層1は、平面形状が楕円形であることから形状異方性を有しており、これにより、楕円形の長軸方向が記憶層1の磁化容易軸方向になる。
第1の導体配線3は記憶層1の長軸方向に平行に延びており、第2の導体配線4は記憶層1の短軸方向に平行に延びている。
磁性体2は、軟磁性体でもよいし、硬質磁性膜でもよいし、反強磁性体によって一方向に磁化が固定されている磁性体でもよい。また、磁性体2は、単層であっても積層膜であってもよい。
図2A及び図2Bにおいて、いずれも磁性体2の磁化M2の向きが図中上向きで同じになっている。また、磁性体2は外部磁場によって容易に磁化方向が変わらない硬質磁性膜か反強磁性体によって磁化が固定されたものとした。
まず、図2Aに示す状態は、記憶層1の磁化M1の向きの平均が、磁性体2の磁化M2の向き(上向き)と略平行である場合を示している。この場合、記憶層1の磁化M1の向き(磁化ベクトル)は、平均して上向きであるが、磁性体2からの磁場の作用が記憶層1の右半分では強く、左半分では弱くなっているため、磁化ベクトルが湾曲して、右側が凸の湾曲となっている。
また、図2Bに示す状態は、記憶層1の磁化M1の向きの平均が、磁性体2の磁化M2の向き(上向き)と略反平行(略下向き)である場合を示している。この場合、記憶層1の磁化M1の向き(磁化ベクトル)は、平均して下向きであるが、磁性体2からの磁場の作用が記憶層1の右半分では強く、左半分では弱くなっているため、磁化ベクトルが湾曲して、左側が凸の湾曲となっている。
そして、さらに、記憶層1の磁化困難軸方向(図2中左右方向)に磁場を印加することにより、比較的小さい磁場で記憶層1の磁化M1の湾曲がなくなって、磁化容易軸方向(図2中上下方向)の保磁力が大きく減少する。これにより、比較的小さい電流で記憶層1に情報を記録することが可能になる。
この磁性体2を軟磁性体とした場合も、磁化の湾曲により記憶層1の磁化容易軸方向の保磁力を大きくすることができると共に、記憶層1の磁化困難軸方向に磁場を印加すれば保磁力を低減することができる特性を有する。
これにより、記憶層1の磁化容易軸方向の保磁力を大きくして、記憶層1に記録された情報を安定して保持することができる。また、記憶層1の磁化困難軸方向の磁場を印加すれば、磁化容易軸方向の保磁力が大幅に低減されるため、比較的小さい記録電流で記憶層1に情報を記録することができる。
本実施の形態では、記憶層11上に、非磁性層12を介して磁性体13が積層されて、一体となった磁気記憶素子14が構成されている。
そして、磁気記憶素子14の図中左半分は、磁性体13及び非磁性層12の上部が除去された部分5となっている。一方、磁気記憶素子14の図中右半分は、磁性体13が残っている部分6となっている。
即ち、磁性体13の形状(楕円形の半分)が、磁気記憶素子14の形状(楕円形)の一部を除去した形状となっている。
さらに、図示しないが、図1の実施の形態と同様に、導体配線が設けられてメモリセルが構成される。
従って、図1の実施の形態と同様に、記憶層11の磁化容易軸方向の保磁力を大きくして、記憶層11に記録された情報を安定して保持することができる。また、記憶層11の磁化困難軸方向の磁場を印加すれば、磁化容易軸方向の保磁力が大幅に低減されるため、比較的小さい記録電流で記憶層11に情報を記録することができる。
これにより、磁性体13を薄い磁性膜で構成しても、大きな効果が得られる。
図4Aは、第1の導体配線3の下面即ち記憶層1に対向する側の面に磁性膜15を付着した場合である。この場合には、第1の導体配線3の中心を、記憶層1の中心から右にずらして配置している。
なお、第1の導体配線3の両側面に、厚さ或いはパターンの相異なる磁性膜を形成しても、図4Bの場合と同様の効果が得られる。
例えば、図4A及び図4Bに示す形態において、第1の導体配線3に電流を流すことにより、第1の導体配線3に付着する磁性膜15に直接電流を流して磁性膜15を加熱することができ、これにより磁性膜15の磁気特性を変化させて記憶層1の保磁力を制御することが可能となる。
また、例えば、非対称な磁化状態を記憶層に形成する磁性体を配線と兼用する構成として、この配線を兼ねる磁性体に電流を流すことにより、磁性体の磁気特性を変化させて記憶層の保磁力を制御することも可能である。その場合を次に示す。
本実施の形態のメモリセル20では、特に、記憶層1に対して中心線をずらして配置された磁性体16が配線を兼ねており、磁性体16の両端部に導体配線17が接続されて、この導体配線17を通じて磁性体16に直接電流を流すことができる構成となっている。
その他の構成(記憶層1及び第2の導体配線4)は、図1に示した実施の形態と同様であるので、同一符号を付して重複説明を省略する。
特に、図6中直線Cで示すような磁場を印加すれば、磁性体16の特性変化に対して最も記憶層1の保磁力の変化が大きくなり、効率的に記録電流を低下させることができる。この直線Cで示す磁場を実現するためには、磁性体16を加熱する際に流す電流によって発生する磁場を利用してもよいし、記憶層1の磁化容易軸の方向と導体配線17により磁性体16に発生する磁場の方向との間に適当な角度(鋭角)を持たせて配置してもよい。
なお、記憶層1の磁化容易軸方向は、図5に示すように形状異方性によって付与してもよいし、その他、例えば磁場中熱処理等によって付与してもよい。
従って、記憶層及び磁性体の形状が反転対称や鏡面対称、並びに回転対称である場合には、それぞれの対称軸または対称点が重ならないように配置すればよく、記憶層及び磁性体の形状が対称性がない場合には、それぞれの形状の重心点が重ならないように配置すればよい。
例えば、磁性体の厚さが一定ではなく、断続的又は連続的に変化する構成とした場合には、厚い側に磁性体の重心点がずれるため、記憶層の真上に磁性体を配置しても重心点が重ならないようにすることができる。
例えば、記憶層に非対称な磁化分布を発生する磁性体を、磁気特性の異なる2つの磁性体で構成することが考えられる。このような構成としては、2つの磁性体を横に並べて(接続しても離してもよい)配置した構成や、導体配線の一方の側面と他方の側面にそれぞれの磁性体を配置した構成等がある。
これにより、記録された情報を安定して保持することができると共に、記録電流を小さくすることができ、消費電流の少ない磁気メモリ(磁気記憶装置)を実現することができる。
ここで、本発明の磁気メモリの構成において、具体的に記憶層及び磁性体の寸法や磁化量を設定して、特性がどのようになるか検討を行った。
記憶層21は、長軸の長さを240nm、短軸の長さを200nm、厚さを5nm、飽和磁化量Msを800emu/cm3、材料の異方性磁場Hkを10Oeとした。磁性体22は、一辺の長さを400nm、飽和磁化量Msを800emu/cm3、材料の異方性磁場Hkを1kOeとして、図7Aに上向き矢印で示すように一方向に磁化された状態とした。磁性体22の異方性磁場Hkが1kOeあり、比較的大きくなっている。
そして、記憶層21の中心線と、磁性体22の中心線との平面距離dを、0(中心線の平面位置が一致する場合)、50nm、100nmと変えて、それぞれの平面距離dにおける、記憶層21の磁化容易軸方向の磁場Heasyと磁化困難軸方向の磁場Hhardとによるアステロイド曲線を、マイクロマグネティック計算により求めた。結果を図8に示す。
記憶層21の保磁力低下が起こりやすいと、外部磁場の影響を受けて動作が不安定になり、一方記憶層21の保磁力低下が起こりにくいと、動作電流が大きくなるので、磁性層21の保磁力の低下が起こりはじめる磁化困難軸方向の磁場が適当な大きさの磁場となるように、記憶層21及び磁性体22の寸法や磁気特性を調整するのが好ましい。
記憶層11は、厚さを5nm、飽和磁化量Msを800emu/cm3とした。
非磁性層12は、厚さを10nmとした。
磁気記憶素子14は、平面形状が直径150nmの円形状とした。
そして、磁性体13は、厚さを1nm、飽和磁化量Msを800emu/cm3として、軟磁性体により形成し、円形状の磁気記憶素子14の半分の半円形だけ残したパターンとした。
記憶層23は、長辺の長さを240nm、短辺の長さを180nm、厚さを5nm、飽和磁化量Msを800emu/cm3とした。磁性体24は、長辺の長さを270nm、短辺の長さを240nm、厚さを1nm、飽和磁化量Msを800emu/cm3として、軟磁性体により形成した。記憶層23及び磁性体24は、同じ長さ240nmの辺で重なるようにして、重なった部分の幅を90nmとした。
そして、記憶層23の磁化容易軸方向の磁場Heasyと磁化困難軸方向の磁場Hhardとによるアステロイド曲線を、マイクロマグネティック計算により求めた。結果を図12に示す。図12でも、磁化困難軸方向の磁場Hhardが正である部分だけ示しており、図示しない部分も同様の曲線となる。
図13に斜視図を示すように、平面形状が楕円形状の記憶層31と、記憶層31の上に配置され、記憶層31の磁化容易軸と平行に電流が流れる第1の導体配線33と、記憶層31の下に配置され、記憶層31の磁化困難軸と平行に電流が流れる第2の導体配線34とを有し、第1の導体配線33をワードラインWLとして、第2の導体配線34をビットラインBLとして、第1の導体配線33の下面に磁性膜32が形成された構成をモデルとして採用した。このモデルは、図4に示した形態に類似したモデルである。
記憶層31は、長軸の長さを240nm、短軸の長さを200nm、厚さを6nm、飽和磁化量Msを600emu/cm3とした。磁性膜32は、厚さを1nm、飽和磁化量Msを800emu/cm3とした。また、第1の導体配線33及び磁性膜33の幅は、記憶層31の短軸の長さと同じく200nmとした。また、磁性膜32と記憶層31との間隔D1を40nmとし、第2の導体配線34(BL)と記憶層31との間隔D2を100nmとした。
そして、記憶層31の中心線と、第1の導体配線33(WL)及び磁性膜32の中心線とについて、図14Aに示すように中心線の平面位置が一致する場合と、図14Bに示すように中心線の平面位置がずれている場合と、それぞれの場合における、第1の導体配線33(WL)の電流と第2の導体配線34(BL)の電流とによるアステロイド曲線を求めた。結果をそれぞれ図14A及び図14Bに示す。
これに対して、図14Bより、中心線をずらした場合には、図14Aに現れていたような乱れは観測されなくなり、第1の導体配線33(WL)の電流がゼロ付近で最も保磁力が大きくなり磁化が反転しにくくなる。
作製した磁気メモリの平面構造を図15Aに示し、断面構造を図15Bに示す。
図15Aに示すように、平面形状が楕円形状の磁気記憶素子25に対して、磁気記憶素子25の長軸方向に平行になるように、平面形状が長方形状の磁性体26を配置して、磁性体26の両端に導体配線27を接続した。
また、図15Bに示すように、磁気記憶素子25及び磁性体26は共通の基板28上に形成した。
磁気記憶素子25は、図15Bに示すように、基板上に、膜厚10nmのTa膜を介して、膜厚20nmのPtMn膜から成る反強磁性層44が形成され、その上に膜厚2nmのCoFe膜と、非磁性膜として膜厚0.8nmのRu膜と、膜厚2nmのCoFe膜との3層を積層させた構造の磁化固定層(参照層)43が形成され、その上に膜厚1nmのAl−O膜から成るトンネル絶縁層42が形成され、その上に膜厚10nmのNiFe膜と、非磁性膜として膜厚10nmのRu膜と、膜厚5nmのNiFe膜との3層を積層させた構造の記憶層41が形成され、さらにその上に膜厚10nmのTa膜が形成されて、構成されている。
磁性体26は、図15Bに示すように、基板上に、膜厚5nmのTa膜を介して、その上に膜厚10nmのNiFeCu膜と、非磁性膜として膜厚5nmのTa膜と、膜厚10nmのNiFeCu膜との3層を積層させた構造の軟磁性体層45が形成され、さらにその上に膜厚5nmのTa膜が形成されて、構成されている。
そして、磁化固定層(参照層)43の磁化の向きと、記憶層41の磁化の向きの相対的な方向により、トンネル絶縁層42を流れるトンネル電流の抵抗値が異なる。
従って、磁気記憶素子25では、素子の膜厚方向に電流を流し、トンネル絶縁層42にトンネル電流を流すことにより、記憶層41の磁化の向きを検知することができる。
これにより得られた、磁性体26に流した電流iに対する磁気記憶素子25の保磁力Hcの変化を、図16に示す。
Claims (7)
- 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、
前記記憶層の磁化状態の検出を行うための構成である、磁気トンネル接合素子、巨大磁気抵抗効果素子、ホール素子のいずれかとを含む磁気記憶素子と、
前記磁気記憶素子に磁場を印加する配線と、
前記記憶層と非磁性層を介して積層され、前記記憶層に対して偏在するように配置され、前記記憶層の平面形状の一部を除去した平面形状である磁性体とを含む
磁気メモリ。 - 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、
前記記憶層の磁化状態の検出を行うための構成である、磁気トンネル接合素子、巨大磁気抵抗効果素子、ホール素子のいずれかとを含む磁気記憶素子と、
前記磁気記憶素子に磁場を印加する配線と、
前記記憶層に対して偏在するように配置され、前記配線を兼ねる磁性体と、
前記磁性体の両端部に接続され、前記磁性体に電流を流す導体配線とを含む
磁気メモリ。 - 前記記憶層の磁化容易軸の方向と、前記記憶層に磁場を印加する前記配線を兼ねる前記磁性体からの磁場の方向とが、鋭角をなすように配置されている請求項2に記載の磁気メモリ。
- 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、
前記記憶層の磁化状態の検出を行うための構成である、磁気トンネル接合素子、巨大磁気抵抗効果素子、ホール素子のいずれかとを含む磁気記憶素子と、
前記磁気記憶素子に磁場を印加する配線と、
前記記憶層に対して偏在するように配置され、かつ、長手方向が前記記憶層の磁化容易軸方向と平行に、前記記憶層と前記配線との間に配置された磁性体とを含む
磁気メモリ。 - 前記配線として、選択されたメモリセルの前記記憶層に磁場を印加する、前記記憶層の磁化容易軸方向に延びる第1の配線及び前記記憶層の磁化困難軸方向に延びる第2の配線を有し、前記第1の配線により発生する磁場が主として前記磁性体を飽和するように作用し、前記第2の配線により発生する磁場は主として前記記憶層に前記磁化容易軸方向の磁場を印加するように作用する請求項4に記載の磁気メモリ。
- 前記磁性体が、前記第1の配線に接して形成されている請求項5に記載の磁気メモリ。
- 前記磁気記憶素子の前記記憶層の磁化状態の検出を行うための構成は、前記記憶層と、前記記憶層に対してトンネル絶縁層を介して積層された磁化固定層とから成る前記磁気トンネル接合素子である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の磁気メモリ。
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