発明の詳細な説明
分野
本発明は、細胞学および組織学の分野に属する。特に、本発明は、免疫組織化学および分子細胞遺伝学の分野、特に、細胞、組織および器官中などの検出可能な存在物の存在または量を測定する標準の規定に関連する。
背景
組織学的および細胞学的技術は、医学的診断への助けとして、生検および他の組織試料を分析するために使用されてきた。細胞学とは細胞のすべての正常なおよび異常な要素の構造、並びにこのような要素の変化、運動、および形質転換の構造の研究である。細胞を、生きた状態で直接検査するか、または殺して(固定して)、例えば、明視野もしくは電子顕微鏡で調査するために、包埋、切片作製、または染色によって、準備する。
1つのよく知られた細胞学的手順は、子宮頚部癌を検出するために使用されるパパニコロー試験医学的手順である。擦過、ブラッシングまたは塗抹標本は、膣または子宮頚部表面から採取され、スライド上に調装され、顕微鏡検査および細胞学的分析のために染色される。それらが正常、疑わしい、または癌性であるかどうかを細胞の出現によって決定する。
組織学とは、ほとんどの多細胞の植物および動物中で見られる組織と呼ばれる分化した細胞の群についての研究である。組織学的調査は、組織の死および再生の研究並びに損傷する組織または生体に侵入する反応を含む。正常の組織は特徴的な外観を有するので、組織学的調査は、病的な組織を同定するのによく利用される。免疫組織化学(IHC)およびインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)分析は、組織学的診断および組織形態の研究において役立つツールである。
免疫組織化学(IHC)およびインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)の両方は、検出可能な存在物に結合可能な特定の結合剤を使用して、試料中の検出可能な存在物を検出しようとする。免疫組織化学(IHC)では、特定の結合剤は抗体を含み、該検出可能な存在物は、ポリペプチド、タンパク質、またはその中に含んだエピトープを含む。インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)では、検出可能な存在物は、試料中に核酸(DNAおよびRNAを含む)を含み、該特定の結合剤は、核酸プローブなどのプローブを含む。このような抗体およびプローブの増加する有効性は、病的なおよび正常の組織の鑑別診断中で役立ち得る。インサイチュハイブリダイゼーションおよび免疫化学の方法は、HarlowおよびLane(Antibodies: A Laboratory Manual)中に詳細に記載されている。
IHCおよびISH技術は、疾患状態のある形態学的指示薬の選択的染色によって目立たせるためにスライドガラス上、または他の平面支持体上に載せた組織切片上で行われる、一連の処置工程を必要とする。
かくして、例えばIHCでは、試料を個体から採取して、固定し、重要な抗原に対する抗体に曝露する。さらなる進行工程(例えば、抗原回復、二次抗体(通常、適した酵素に結合した)への曝露、洗浄、および発色酵素基質まで等)は、抗原結合のパターンを明らかにするのに必要であり得る。一般的に、組織学的物質の2つのカテゴリー:(a)一般的にアルデヒドベース固定剤に固定されない、新鮮な組織および/または細胞を含む調装、および(b)固定および、包埋された組織標本、しばしばアーカイブ物質が存在する。
ISHでは、試料を、個体から採取し、固定し、重要な核酸に対するプローブに曝露する。検出可能な存在物は、典型的には、検出可能な核酸(DNAおよびRNAなど)を含み、メッセンジャーRNAおよびsiRNA(スモール干渉RNAまたはショート干渉RNA)を含む。DNA/RNAレベルの検出は、特定の遺伝子の発現のレベルを示し、それゆえ、細胞、組織、器官または生体の状態(疾患状態など)を検出するのに使用され得る。核酸である検出可能な存在物は、典型的には変性され、結合部位を曝露する。プローブは、典型的には、DNAもしくはRNAなどの二本または一本の鎖の核酸であり、31P、33Pまたは32Sなどの放射性標識を使用して標識され、または公知である数多くのジゴキシゲニン等の標識もしくは公知である数多くのものである蛍光標識を使用して、非放射性的に標識される。
組織標本を固定および包埋する数多くの方法として、例えば、アルコール固定が知られる。しかしながら、もっとも広く使用される固定/包埋技術は、ホルマリン固定および二次的パラフィン包埋(FFPE)を使用する。「典型的」FFPE IHC染色手順は、組織の切断および切り取り、固定、脱水、パラフィン湿潤、薄切片への切断、スライドガラス上への載物、ベーキング、脱パラフィン、再水和、抗原回復、ブロッキング工程、一次抗体の適用、洗浄、二次抗体-酵素コンジュゲートの適用、洗浄、酵素発色基質の適用、洗浄、対比染色、カバースリッピング、および顕微鏡検査の工程を含み得る。類似した工程はISH中で起こる。次いで、関連抗原の量または他の検出可能な存在物(このような技術で検出された核酸などの)の量は、それが一定の予め決定した最小閾値より大きいかどうかを決定するために評価され、それゆえ、診断上関連がある。次いで、適切な処置は、必要であれば、個体に対して計画されうる。
診断に対する免疫組織化学的の例は、図1に示され、ここで組織は乳癌抗原HER2に対して染色される。抗原を発現しない組織は、抗−HER2抗体(図1A)によって実質的に染色されず、一方タンパク質を発現するものは、抗−HER2抗体(図1D)により実質的な程度まで染色される。
しかしながら、このようなIHCおよびISH技術中における大きな問題は、検査されている組織中の細胞が、抗原または診断上著しいレベルの核酸などの検出可能な存在物を発現するかしないか(すなわち、細胞が、抗原の発現に対して「陽性」であるか「陰性」であるか)について、正確な判断を行う必要性から起こる。実験室技術の標準化の一般的な欠落があり、結果の主観的判断に対する要求をもたらす。いくら小さな手順の違いでさえも最終染色結果に影響し得、同じ細胞母集団の染色の最終解釈は、実験室から実験室まで、正確に同じでなくともよい。内部対照(陽性もしくは陰性対照、または両方を含む)が手順に含まれる時でさえ、異なる作業者の間での処置前の変化および染色プロトコルが、内部対照中の変化を引き起こす。誤りの他の分析的原因は、試薬の質および量、抗原回復の効率性ならびに器具使用の差異を含む。
これらの問題は、新しい、代替的な、予後の要因の評価を妨げ、予後の評価に関する予後の要因のほとんどに対する矛盾した結果となる。
類別および標準化に対する必要性が、多くの方法における先行技術中で扱われる。例えば、診断キットは、染色の様々なレベルでの細胞の異なるセットの顕微鏡写真を含み得る。該キットは、細胞の特定のセットがカットオフまたは閾値を表し、その染色と一致又は超えている細胞が「陽性」であり、より少ない染色を有するそれらの細胞が「陰性」であるという指標を含む。より精巧なキットは組織または細胞の実際の試料を含み得、これはすでに対照スライド上で、染色される。例えば、キットは、乳房特異的タンパク質発現の異なるレベルを表すFFPE乳癌細胞株の切片を有する、いくつかの参照スライドを含み得る。HER2抗原についてのこのような類別システムの例を、図1中に示し、ここで、0または1+の参照染色レベルは陰性とみなされ(それぞれ図1Aと1B)、一方、2+または3+の参照染色レベルは、抗原に対して陽性とみなされる(それぞれ図1Cと1D)。
染色のパターンまたは分布に関する記述を、分析を助けるために含み得る。例えば、スコア0(陰性):染色が観察されない、または膜染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。スコア1+(陰性):かすかな、またはかろうじて認知できる膜染色が、腫瘍細胞の10%より大きい値で検出される。該細胞が膜の一部で唯一染色される。スコア2+(弱陽性):弱くから穏やかな完全膜染色が、腫瘍細胞の10%より大きい値で観察される。スコア3+(強陽性):強い完全膜染色が、腫瘍細胞の10%より大きい値で観察される。
しかしながら、このようなキットで、染色の参照レベルを確立するのは可能であるが、試料自身の染色の一貫した品質を確立することにおいてかなりの困難が存在する。これは、種々の要因の多様性から起こり、不均質な組織物質、手順の困難で複雑な性質、試薬品質の変異性(抗体/プローブの親和性および特異性を含む)、並びに担当者により実行される解釈の主観的な性質を含む。さらに、試料染色における変異の他の原因は、組織試料を収集し、処理し、保存するもとでの状態、エピトープ回復手順における多変異、および酵素触媒の発色沈殿を含む。
これらの問題を解決する試みとして、診断用キットでの関連のある抗原(または核酸)の発現の異なるレベルを有する無染色の組織または細胞の参照セットを含むことが先行技術中で知られている。参照を構成する細胞は、公知の疾患および非疾患の個体、または抗原もしくは普通のレベルより高いが、臨床上疾患ではない関連する検出可能な核酸を発現する個体からの生検試料(すなわち組織試料)を含み得る。さらに、組織培養細胞(様々なレベルで抗原または検出可能な核酸を発現させることを可能にする発現ベクターによって移入させ得る)はまた、参照標準として使用させ得る。該参照セットは、ホルマリン固定されおよびパラフィン包埋細胞を有するスライド、を含むが、一方無染色である場合、これはパラフィン中に包埋される。次いで、スライドを試料と平行して処理して、抗原(または検出可能な核酸)染色のレベルおよびパターンを明らかにする。最終的に、試料は、タンパク質または核酸発現レベルが診断上重要であるかどうかを決定するために、参照セットと比較される。
細胞化学で、参照細胞として一般的に使用された細胞株の例は、HER2陽性細胞株SK-BR-3、エストロゲン受容体、ER、陽性およびプロゲステロン受容体、PR、陰性およびP53陽性HCC70細胞株、PR陽性およびER陰性HCC2218細胞株、表皮成長因子受容体、(EGFR)陽性NCI-H23細胞株、前立腺特異的抗原(PSA)およびアンドロゲン受容体陽性MDA PCA 2b細胞株、並びにサイトケラチン19およびP53陽性、HCC38細胞株を含む。多くのヒトおよび非ヒト細胞株は、様々な生体から得られうる。
しかしながら、様々な類別レベルで抗原および検出可能な核酸を発現する組織および細胞を特異的に同定し、使用するためにそれらを得る必要があるという点で、このような参照標準には問題が存在する。組織培養細胞を使用する場合、初めに、問題の遺伝子をクローン化し、次いで適切な発現ベクター設計し、構築する必要がある。次いで、これらのベクターを細胞に移入させる必要があり、遺伝子の発現が正常なレベルに調節される細胞の発現中に移入することが必要となる。継続的におよび多くの実験室で細胞株が成長するにつれ、タンパク質発現のレベルが経時的に変化し得、実験室から実験室で、同じタンパク質またはmRNAの発現を有さなくてもよい。トランジエント(transient)およびいわゆる安定な移入された細胞株の両者は、成長の間不安定で、標的の発現変化および、結果として染色レベルおよびパターンの変化を生じる。
更に、診断キットに対して、潜在的に有害な生物学的物質を含む要件についての議論がある。規制および倫理的問題は、ヒト起始の物質の使用に関連し、このようなヒト物質は1つの供給源から大量に得ることは容易ではなく、貯蔵される必要があり得、さらなる変異性を導く。
公知の他の技術は、スライドグラスに付着するポリマーゲルから成る参照ドットの使用を含む。ポリマー物質は、染色すべき、関連エピトープを含む。WO 00/62064およびSompuramら.Clin.Chem.,48(3),p.410,2002中に記載された品質制御デバイスは、代理分析標的を使用し、抗体が結びつくエピトープの3D構造と似た合成ペプチドを含み、これをスライドグラスの表面箇所に適用し結合させる。
フローサイトメトリーを校正する使用のための人工物質であるポリスチレンから成るビーズに色素を結合することが知られる。支持媒体(パラフィンまたは固体もしくは半固体物)によって支持される、かかるポリスチレンビーズ開示は、しかしながら存在しない。
妊娠試験で使用するために、妊娠指標ホルモンに対する抗体をヒツジ細胞に結合させることもまた、知られている。試験被検体からの尿の試料をヒツジ細胞に加え、細胞の凝集を、視覚的に観察する。ヒツジ細胞の凝集は、試料中の妊娠指標ホルモンの存在、それゆえに個体の妊娠を示す。
EP0345953(Shandon Scientific Limited)は、免疫染色技術の標準化(standadisation)を促進するために試験物質の使用を記載する。試験物質は、重要な抗原を吸収させ、固定される吸収ゲルのペレットを含む。該ペレットは、直径1.5または2.5mmのウェルカッター(well cuter)を使用して、凝固した寒天ゲルから切り取られ、ゲルの塊中として個々のウェル中に据え付ける。
WO91/05263(Battifora)は、媒体の切片またはスライドである対照について記載し、その中で、標的分子の規定量を発現する細胞を包埋する。該細胞は組織培養細胞(例えば、乳癌細胞株または移入された細胞)を含み得る。
概要
本発明者は一般的に、本発明に従って、検出可能な存在物についての参照標準を提供する。検出可能な存在物は好ましくは試料中で立証することが望ましい存在または量の実体である参照標準は、好ましくは、検出可能な存在物の、公知の、または予め決定前の量を含み、これは直接的または間接的に明らかになる。
本明細書に記載の参照標準は、検出可能な存在物を含有する疑いのある試料またはその中での検出可能な存在物の量が未知である試料に対する比較使用には適切である。試料に対する参照標準の比較は、かくして、試料中の検出可能な存在物の量または存在を測定するために使用され得る。参照標準は、それゆえ、比較で使用するための、検出可能な存在物の参照量、参照濃度、参照シグナルなどを提供するために使用され得る。
本発明の1つの態様では、参照標準は、生物学的、好ましくは細胞のコンパクト粒子であるコンパクト粒子を含む。本発明者は、それゆえ本発明の第1局面に従って、検出可能な存在物に対する参照標準、支持媒体、好ましくは包埋媒体を含む参照標準、そこへ結合され、および媒体によって支持される検出可能な存在物の量と共にコンパクト形状を有するコンパクト粒子を提供し、その中で、コンパクト粒子は細胞のコンパクト粒子である。
試料中で、ヒツジ細胞が妊娠指標ホルモンと反応するという点で、この態様は上記のヒツジ細胞と区別され、それによって、YES/NO結果を提供することによってその存在を示す。対照的に、本発明者の参照標準は、それ自体が検出のために使用されないが、どのアッセイが判断されるべきかに対する受動的標準または対照を提供する。さらに、本発明者の参照標準の検出可能な存在物は、生物学的、好ましくは細胞、由来のコンパクト粒子に付着、好ましくは化学的に結合させる。対照的に、先行技術における、検出されるべき存在物(すなわち妊娠指標ホルモン)は試料中にあり、ヒツジ細胞へは付着または結合されない。該ヒツジ細胞は、それゆえ参照標準を提供する機能を果たさないし、かつ果たし得ない。
本発明の第2の態様では、参照標準は、支持媒体により支持されるコンパクト粒子を含む。本発明者は、それゆえ、本発明の第2局面に従って、検出可能な存在物に対する参照標準、支持媒体好ましくは包埋媒体を含む参照標準、結合されおよび媒体によって支持される検出可能な存在物の量と共にコンパクト形状を有するコンパクト粒子を提供し、その中で、コンパクト粒子は、細胞様寸法を有する非細胞コンパクト粒子、好ましくはコンパクト粒子が1500マイクロメートルより小さい最大寸法を有するように存在する。
用語「細胞様寸法」は、本文章で後に、詳細に説明するが、1nmから1500マイクロメートル未満、好ましくは100μm付近の範囲であり得る。
好ましくは、検出可能な存在物の検出可能な量は、参照標準の断面図中の規定領域に存在する。好ましくは、検出可能な存在物は、支持媒体中で、コンパクト形状、好ましくは、拡張のないまたは非伸長の形状を採る。好ましくは、コンパクト形状は、最も長い寸法と最も短い寸法の比が、5:1より小さい、好ましくは2:1より小さいように存在する。
好ましい態様では、コンパクト形状は、粒状、均一または規則的な形状を含む。該コンパクト形状は、球形状、卵形状、楕円形状、円板状、細胞形状、ピル形状、またはカプセル形状を含み得る。
より好ましくは、検出可能な存在物は、細胞などのコンパクト粒子が自然に発現しないものである。好ましい態様では、検出可能な存在物は、コンパクト粒子に非相同である。検出可能な存在物は、化学的に、コンパクト粒子に結合されうる。
好ましくは、該コンパクト粒子は細胞を含む。好ましくは、該細胞は、検出可能な存在物を発現しない。該細胞は、ウイルス、微生物、細菌、酵母菌、真核生物細胞、昆虫細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、マウス細胞、およびヒト細胞からなる群より選ばれ得る。該細胞は、好ましくは昆虫細胞、好ましくはSF9細胞、または哺乳動物細胞、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む。
あるいはまたは更に、コンパクト粒子は、細胞小器官を含み得る。該小器官は、ミトコンドリア、プラスチド、葉緑体、または細胞核を含み得る。該検出可能な存在物は、好ましくは実質的に細胞物質を含まない。
あるいはまたは更に、コンパクト粒子は、ミクロビーズまたはミセルを含み得る。
大いに好ましい態様では、コンパクト形状は、1500μm未満、好ましくは1000μm未満、500μm未満、250μm未満、100μm未満、好ましくは50μm未満、より好ましくは20μm未満、最も好ましくは10μm未満の寸法を有する。
規定領域は、参照標準の少なくとも1つの他の断面図中に存在し得、好ましくは、類似量の検出可能な存在物を含む。該支持媒体は、包埋媒体を含み得、その中で、検出可能な存在物を包埋する。
好ましい態様では、検出可能な存在物は、診断によって関連する標的を含む。検出可能な存在物は、抗原、エピトープ、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、上記のいずれかの2つ以上もしくは複数、または上記の1つ以上の組み合わせを含み得る。
検出可能な存在物は、好ましくは、ハプテン、生物学的に活性な分子、抗原、エピトープ、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、核酸、ウイルス、ウイルス様粒子、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、ヘテロ二本鎖、ナノ粒子、ヌクレオチドの合成アナログ、リボヌクレオチドの合成アナログ、修飾ヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、アミノ酸、アミノ酸アナログ、修飾アミノ酸、修飾アミノ酸アナログ、ステロイド、プロテオグリカン、脂質、炭水化物、色素、および上記の混合物、融合物、組み合わせまたはコンジュゲートからなる群より選ばれる。
好ましくは、検出可能な存在物は、ハプテン、生物学的に活性な分子、抗原、エピトープ、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、核酸、ウイルス、ウイルス様粒子、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾されたデオキシリボヌクレオチド、ヘテロ2本鎖、ナノ粒子、ヌクレオチドの合成アナログ、リボヌクレオチドの合成アナログ、修飾ヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、アミノ酸、アミノ酸アナログ、修飾アミノ酸、修飾アミノ酸アナログ、ステロイド、プロテオグリカン、脂質、炭水化物、色素、診断によって関連する標的からなる群より選ばれ、好ましくは、抗原、エピトープ、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、上記のいずれかの2つ以上もしくは複数、または上記の1つ以上の混合物、融合物、組み合わせもしくはコンジュゲートから成る群より選ばれる。
好ましい態様では、検出可能な存在物は、1つ以上のHER2、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)、p16、Ki-67、c-kit、ラミニン5ガンマ2鎖および上皮成長因子受容体(EGFR)タンパク質、このようなものをコードする核酸、および翻訳後の修飾形態、好ましくは、このようなもののリン酸化形態の1つ以上を含む。
検出可能な存在物の存在および/または質は、結合剤、好ましくは標識された結合剤によって明らかにされ得、抗体、好ましくは検出可能な存在物に対して特異的に結合できる抗体、DNAまたはRNAなどの核酸、好ましくは検出可能な存在物に対して特異的に結合できる核酸、タンパク質核酸(PNA)、色素、特別な染色、塩化金、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)、ゴモリメテナミン銀染色液(GMS)、過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色液、トリクロムブルー、マソントリクロム、プルシアンブルー、ギムザ、ディフ−クイック、Reticulum、コンゴレッド、アルシアンブルー、ステイナー(Stainer)、AFB、PAP、グラム(Gram)、ムチカルミン、Verhoeff-van Gieson、Elastic、石炭酸(Carbol)フクシン、およびゴルジ(Golgi)の染色液からなる群より選択され得る。
細胞、組織、器官、または生体内の検出可能な存在物の存在は、疾患または状態を示す大いに好ましい態様においてである。規定領域は、参照エリアを含み得、該参照エリアは、予め決定した量で、検出可能な存在物を含む。参照エリア中の検出可能な存在物の量は、好ましくは、試料中の検出可能な存在物の量と比較され、試料中の検出可能な存在物の存在、量、または濃度を決定する。
参照標準は、好ましくは、長方形の箱の形状にある。
本発明の第3局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物に対して、参照標準を提供し、(a)実質的に好ましい長方形の箱の形状中の包埋媒体;および(b)そこへ結合する検出可能な存在物の量を有する細胞を含む。
参照標準は、2つ以上のコンパクト粒子を含み得、それぞれは、そこへ検出可能な存在物を付着させる。それは、2つ以上の異なる検出可能な存在物を含み得、それぞれは同じまたは異なるコンパクト粒子に付着する。それは、それぞれの上に異なる量の検出可能な存在物を含む2つ以上のコンパクト粒子を含み得る。
好ましい態様では、参照標準の平面図は、異なる密度で検出可能な存在物を表す複数の区域を含む。参照標準の平面図は、診断によって有意な密度で検出可能な存在物を実質的に含む第一区域を含み得る。
参照標準は、実質的に検出可能な存在物を含まないコンパクト粒子を含む対照を更に含み得る。
包埋媒体は、好ましい態様において、氷、ワックス、パラフィン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ、エポン、アラルダイト(Araldite)、ロイクリル、K4MおよびLR WhiteおよびDurcupanからなる群より選択される。
本発明の第4局面によれば、本発明者は、規定された量の周囲の媒体中に位置した検出可能な存在物の量と共に周囲の媒体を含む検出可能な存在物に対する参照標準を提供し、その中で検出可能な存在物は、周囲の媒体においてコンパクト形状を採る。
本発明の第5局面によれば、本発明者は記載の参照標準の、好ましくは実質的に均一な厚みの平面図、好ましくは横断平面図、を提供する。
本発明の第6局面によれば、本発明者は、支持体、好ましくは顕微鏡スライドなどのスライドを提供し、その上にマウントした、かかる平面図を含む。
本発明の第7局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物に特異的に結合可能な結合剤と共に、任意に使用の指示と共に、示した参照標準を含むキットを提供する。
本発明の第8局面によれば、本発明者は記載の参照標準、キットまたは平面図を提供し、その中で参照標準は、好ましくは抗体または核酸プローブによって染色された。
本発明の第9局面によれば、本発明者は生物学的試料における検出可能な存在物の存在または量を検出するための診断用キットを提供し、(a)記載の参照標準、平面図またはスライド;(b)検出可能な存在物に特異的に結合可能な結合剤;および任意に(c)使用の指示を含む。
本発明の第10局面によれば、本発明者は、参照標準、平面図、支持体、キットまたは個体中の疾患または状態の症状の少なくとも1つを治療または緩和可能な治療剤と共に記載の診断用キットの組み合わせを提供する。
好ましくは、生物学的試料または要素中の検出可能な存在物の量または要素が、参照標準中のものと類似または、より大きい場合、該個体は、該疾患または状態を被るまたは疑いのあるものを診断される。好ましくは、結合剤または治療剤は、検出可能な存在物に対する抗体を含む。
本発明の第11局面によれば、本発明者は、生物学的試料中の検出可能な存在物の存在または量を決定するための、記載の参照標準、平面図、またはキットの使用を提供する。
本発明の第12局面によれば、本発明者は、参照標準と生物学的試料中の検出可能な存在物の量とを比較する方法を提供し、該方法は(a)生物学的試料を提供し、生物学的試料もしくはその要素中の検出可能な存在物中の量、を示す第1信号を得る工程;(b)上記に示した参照標準、平面図、支持体、キットまたは診断用キットを提供する工程;(c)参照標準またはその平面図中の検出可能な存在物の量を示す第2の参照信号を得る工程、および(d)参照信号に対して、(a)で、得られた第1信号を比較する工程を含む。
好ましくは、検出可能な信号は、放射、光学密度、反射率、放射能、蛍光、酵素活性からなる群より選ばれる。
好ましくは、参照標準またはその平面図は、スライドガラス上へのマウント、ベーキング、脱パラフィン、再水和、抗原回復、ブロッキング、抗体への曝露、一次抗体への曝露、核酸プローブへの曝露、洗浄、二次抗体酵素コンジュゲートへの曝露、酵素基質への曝露、発色基質への曝露、および対比染色などの生物学的試料として、好ましくは実質的にすべての、同様な1つ以上の工程または状態に供される。
生物学的試料は、細胞、組織、または器官、好ましくは、疾患もしくは状態を被る疑いがある生体の細胞、組織、または器官を含み得る。
本発明の第13局面によれば、本発明者は、個体中の疾患または状態の診断の方法を提供し、該方法は、(a)個体から生物学的試料を得る工程;および(b)本発明の第12局面による方法では、参照標準と生物学的試料またはその要素中の検出可能な存在物の量を比較する工程を含む。好ましくは、生物的試料または要素中の検出可能な存在物の量または要素が、参照標準中のものと類似またはより大きい場合、該個体は、該疾患または状態を被るまたは疑いのあるものとして診断される。
本発明の第14局面によれば、本発明者は個体中の疾患または状態の治療方法を提供し、該方法は、本発明の第13局面による方法で、個体中の疾患または状態を診断する、および治療的薬剤を個体に投与する工程を含む。
好ましくは、治療剤は検出可能な存在物へ結合できる抗体を含む。
本発明の第15局面によれば、本発明者は、手順の有効性または成功を評価する方法を提供し、該方法は、(a)上記に示した参照標準を提供し、その中で、手順の結果として、検出可能な存在物の検出可能な特性が変化する工程;(b)参照標準上で手順を行う工程;および(c)検出可能な存在物の検出可能な特性での変化を検出する工程を含む。
好ましくは、検出可能な存在物の検出可能な特性は、成功の手順の結果として変化し、検出可能な存在物の検出可能な特性中のその変化を検出し、手順が成功であることを確認する。
好ましくは、検出可能な存在物の検出可能な特性は、不成功の手順の結果として変化し、検出可能な存在物の検出可能な特性中のその変化を検出し、手順が不成功であることを確認する。該手順は、インサイチュハイブリダイゼーション手順、免疫組織化学手順、脱パラフィン、抗原回復、ブロッキング、内因性ビオチンブロッキング、内因性酵素ブロッキング、洗浄工程、一次抗体などの視覚化成分での培養、二次視覚化成分とのインキュベーション、発色体染色、染色情報取得および分析からなる群より選ばれ得る。
好ましくは、該手順は、抗原回復手順であり、その中で、検出可能な存在物の検出可能な特性は、1つ以上のエピトープをマスクするまたは曝露することを含む。好ましくは、参照標準中の検出可能な存在物を、1つ以上のエピトープをマスクするために修飾し、そのいくつかまたは全てを、成功である抗原回復手順中で曝露する。
好ましくは、該手順は脱パラフィン手順であり、その中で検出可能な存在物の検出可能な特性は、参照標準中の検出可能な存在物の存在または量を含んで、脱パラフィン手順を行なう。参照標準中の検出可能な存在物は、好ましくは脱パラフィン媒体中で可溶であり、その中で検出可能な存在物の少なくとも一部、好ましくは全てを取り除いて、成功の脱パラフィン手順を行なう。
本発明の第16局面によれば、本発明者は、抗原回復確認標準、脱パラフィン化標準、ブロッキング確認標準、洗浄確認標準、一次抗体確認標準、二次抗体確認標準、校正標準、または診断標準として記載の参照標準の使用を提供する。
本発明の第17局面によれば、本発明者は検出可能な存在物に対して参照標準を作製する方法を提供し、該方法は、(a)支持媒体、好ましくは包埋媒体を提供する工程;(b)コンパクト形状を有するコンパクト粒子を提供する工程;(c)検出可能な存在物の量をコンパクト粒子に付着する工程および(d)媒体中のコンパクト粒子を支持するまたは包埋する工程を含む。
本発明の第18局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物に対する参照標準を作製する方法を提供し、該方法は、生物学的、好ましくは細胞由来のコンパクト粒子を提供し、検出可能な存在物の量をコンパクト粒子に付着する工程を含む。
本発明の第19局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物に対する参照標準を作製する方法を提供し、該方法は、支持媒体中に、コンパクト形状およびそこに付着された検出可能な存在物の量を有するコンパクト粒子を支持することを含む。
本発明の第20局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物に対する参照標準を作製する方法を提供し、該方法は、(a)包埋媒体を提供する工程;(b)コンパクト粒子への付着によって、一般的にコンパクト形状中で検出可能な存在物の量を形成する工程;および(c)包埋媒体中の検出可能な存在物を包埋する工程を含む。
該方法は、コンパクト粒子または第二のコンパクト粒子に、第二の検出可能な存在物の量を付着することを、更に含み得る。それは、該またはそれぞれのコンパクト粒子に、該またはそれぞれの検出可能な存在物の第二の異なる量を付着することを、更に含み得る。該支持媒体は、包埋媒体を含み得、該またはそれぞれのコンパクト粒子を、包埋媒体中で包埋することによって、支持する。
該またはそれぞれの検出可能な存在物は、そのそれぞれのコンパクト粒子に、共有的に結合され得る。
本発明の第21局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物に対する参照標準を提供し、細胞に付着されるまたは支持媒体により支持される検出可能な存在物を含む。
本発明の第22局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物に対する参照標準を作製する方法を提供し、該方法は、細胞を提供する、該細胞に検出可能な存在物の量を付着させるまたは共有結合させる、および包埋媒体中に該細胞を包埋する工程を含む。
該細胞は、好ましくは、検出可能な存在物を発現しない。好ましくは、該細胞は、ウイルス、細菌、真核生物の細胞、昆虫細胞、好ましくはSF9細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、マウス細胞およびヒト細胞からなる群より選ばれる。
本発明の第23局面によれば、本発明者は、人工細胞またはコンパクト形状を有するコンパクト粒子に付着する検出可能な存在物を含む人工細胞または小器官を提供する。
本発明の第24局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物を有する人工細胞または小器官を作る方法を提供し、該方法は、コンパクト形状を有するコンパクト粒子を提供すること、およびコンパクト粒子に検出可能な存在物の量を付着させることを含む。
本発明の第25局面によれば、本発明者は、細胞またはその要素に結合する検出可能な存在物を含む修飾細胞または小器官を提供し、これは好ましくは検出可能な存在物を発現しない。
本発明の第26局面によれば、本発明者は、検出可能な存在物を有する修飾細胞または小器官を作る方法を提供し、該方法は、検出可能な存在物を発現しない、細胞またはその要素を提供する、および該細胞または要素に検出可能な存在物の量を結合することを含む。
本発明の第27局面によれば、本発明者は、参照標準中の検出可能な存在物の細胞の分布を確立する方法を提供し、該方法は検出可能な存在物を発現しない細胞またはその要素を提供すること、細胞または要素に検出可能な存在物の量を結合すること、および支持媒体中の該細胞または要素を支持することを含む。
本明細書に記載の参照標準は、通常、「反射細胞(Reflector Cell)」と呼ばれうる。
本発明の態様は、添付の図面の例の方法によって、参照により詳細に記載されている。
詳細な説明
本発明の実施は、指示されない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の一般的な技術を使用し、これは当業者の能力の範囲内である。このような技術は、文献中で説明される。例えば、J.Sambrook,E.F.Fritsch,およびT.Maniatis,1989,「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」,第2版,Books 1-3,Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F. M.ら. (1995 および 年報; 「Current Protocols in Molecular Biology」, ch. 9,13, および 16, John Wiley & Sons, New York, N. Y. ) ; B. Roe, J. Crabtree, および A. Kahn, 1996, 「DNA Isolation and Sequencing : Essential Techniques」, John Wiley & Sons; J. M. Polak および James O'D. McGee, 1990,「In situ Hybridization : Principles and Practice」; Oxford University Press; M. J. Gait (Editor), 1984, 「Oligonucleotide Synthesis : A Practical Approach」, Irl Press; D. M. J. Lilley および J. E. Dahlberg, 1992, 「Methods of Enzymology : DNA Structure Part A. Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology」, Academic Press; Using Antibodies: A Laboratory Manual: Portable Protocol NO. I by Edward Harlow, David Lane, Ed Harlow (1999, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-544-7); Antibodies: A Laboratory Manual by Ed Harlow (Editor), David Lane (Editor) (1988, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN 0-87969-314-2), 1855. Handbook of Drug Screening, edited by Ramakrishna Seethala, Prabhavathi B. Fernandes (2001, New York, NY, Marcel Dekker, ISBN 0-8247-0562-9); and Lab Ref : A Handbook of Recipes, Reagents, and Other Reference Tools for Use at the Bench, Edited Jane Roskams および Linda Rodgers, 2002, Cold Spring Harbor Laboratory, ISBN 0-87969-630-3を参照する。これらの一般的な文のそれぞれは、本明細書に参照として援用される。
参照標準
我々は、免疫組織化学(IHC)またはインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)手順、およびフローサイトメトリー手順、ならびに本明細書に記載の参照標準を使用および作製する方法を含むいずれの染色手順で試料を標準化し、類別するために使用され得る新規の参照標準について記載する。本発明者の参照システムは、比較的単純な手順を使用して製造され得る。
本明細書に記載の参照標準は、少なくとも以下の要素:(i)関連する検出可能な存在物の量、および(ii)コンパクト形状を有するコンパクト粒子、を含む。検出可能な存在物は、コンパクト粒子に結合する。該コンパクト粒子は、ある態様中で生物学的、好ましくは細胞のコンパクト粒子を含み得る。他の態様では、コンパクト粒子は、非生物学的、好ましくは非細胞のコンパクト粒子を含む。該参照標準は、コンパクト粒子を支持する支持媒体を更に含み、好ましくは、ブロックの形状で含み得る。
生物学的コンパクト粒子は、自然における、構造、組織、または細胞である。
それらは、一般的にはウイルス、細胞、組織、小器官などの一般的存在物である。それらは、一般的には、生物学的物質から直接得られ、このような状態で使用され得る。しかしながら、いくつかの制限された過程が起こり得る。典型的に、他の同様な存在物からの単離(例えば、他の細胞から重要な細胞を分離すること)、洗浄、浸透性の向上などの単純な工程に限定される。生物学的コンパクト粒子は、重要なまたは実質的な純化または精製を経なかった。生物学的物質は、起始物質の、いくつかの、または更なる特徴、一般的には実質的に全ての特徴(大きさ、形状、色、組成物など)を有する。好ましい態様では、生物学的コンパクト粒子は、起始物質の、少なくとも構造、好ましくは細胞骨格の構造を保持する。生物学的コンパクト粒子は、参照標準として、フローサイトメトリーで使用するなどの、好ましい態様であり、ここで分析は光を散乱させる能力に依存し、合成物質を使用する真正な細胞の特徴の分散を模倣することは困難である。
生物学的コンパクト粒子は、それらの成分が、互いに分離されるという任意の実質的な程度にまで、純化されない。このように、生物学的コンパクト粒子は、寒天、アガロースなどの生物学的物質の部分を一度形成し得る、純化された成分を特に含まない。生物学的コンパクト粒子は、それゆえ組成物中で一般的に複雑で、組成物中で異種である。
非生物学的コンパクト粒子は、一方で、自然中で分子である。それらは、一般的に、分子、または化合物などの化学的または生物学的な存在物であり、ポリペプチド、核酸などの複雑な分子および巨大分子を含む。非生物学的コンパクト粒子の例は、ミクロビーズ、寒天塊、シリカ粒子などを含む。それらは、一般的に組成物中で同種であり、たいてい純粋でありまたは他の化学的もしくは生化学的存在物から単離される。
非生物学的コンパクト粒子は、安く、作製および扱いやすい。それらは生物学的物質よりも、より少ないリスクを作業者にもたらし得る。非生物学的コンパクト粒子が好ましい態様は、手順的確認標準としての使用を含み、ここで細胞特徴の模倣は、いわばフローサイトメトリーよりも重要ではない。
いくつかの態様では、コンパクト粒子は細胞様寸法を有し、それによって、本発明者は、コンパクト粒子が少なくともいくつかの局面で、細胞の1つ以上の特徴において有することを意味する。このような特徴は、好ましくは細胞の外面的な特徴、好ましくは寸法(大きさ、形状、ジオメトリーなど)と一致する。大いに好ましい態様では、該寸法は、長さ、高さ、幅、半径などを含む。好ましくは、該寸法は、コンパクト粒子のいずれか2点間での最大距離である。従って、好ましい態様では、該コンパクト粒子は、典型的な細胞のものと一致する最大寸法を有する。特に、該コンパクト粒子は、好ましくは細胞または組織の寸法の特徴を有し、すなわち、該コンパクト粒子は、該細胞または組織への、大きさで比較できる。好ましい特定の寸法を、以下で示す。
好ましくは、コンパクト粒子中の細胞様寸法の存在は、それを少なくともいくつかの点で、該細胞を模倣することを可能にするので、細胞または組織の隣で調べられるとき、こういう場合はおそらく、コンパクト粒子は、その細胞または組織と似ていることが明らかになる。該類似は、検出可能な存在物の存在または不在を包含または含まないが、拡大する。そうであることによってコンパクト粒子および細胞または組織の間の比較は、観察者が、該2つの間の最小の違いを決定することを可能にし、この違いは細胞中もしくは組織中または細胞上もしくは組織上で検出可能な存在物の存在または不在である。
検出可能な存在物を付着し、好ましくはコンパクト形状に化学的に結合する。該コンパクト粒子は、コンパクト、非伸長、非拡長である形状を有する。これは、細胞、組織、小器官などの「生物学的」コンパクト粒子を含み得、もしくはミクロビーズ、アガロースビーズ、またはラテックスビーズなどの「非生物的」コンパクト粒子を含み得る。「生物学的」および「非生物学的」コンパクト粒子は、以下で更に詳細に記載される。好ましい態様では、該コンパクト粒子は細胞を含む。大いに好ましい態様では、該細胞は、検出可能な存在物を発現しない。このようなコンパクト粒子の例は、より詳細に、以下に提供される。
図によれば、図2Aは、立方体形状を有し、この文章に従う参照標準を示す。該参照標準は、コンパクト形状、この場合、支持媒体によって支持された球形を有するコンパクト粒子を含む。図2Cは、平円形または平円柱の形状で、コンパクト粒子を有する立方体での参照標準を示す。以下で更に詳細に記載されるように、検出可能な存在物の量を、コンパクト粒子に付着する。(図2中では示されない。)
該参照標準は、1つのコンパクト粒子を含み得(図2Aおよび2C)、または1つ以上のコンパクト粒子(例えば、複数のコンパクト粒子)を含み得(図2Bおよび2D)。後者の場合では、コンパクト粒子が非対称、または形状において不均一である場合、該コンパクト粒子は、お互いに関して同じ定位中向きにあり得、または図2Dに示されるように、異なる方向にあり得る。1つ以上のコンパクト粒子が、支持媒体により支持される場合、該コンパクト粒子は同じ形状、または異なる形状を有し得る(例えば、球形コンパクト粒子および平円形または平円筒形状のコンパクト粒子を含む参照標準)。2つの異なって形づくられたコンパクト粒子を含む参照標準を、図9A中および図9B中のこのような標準の断面図中に示す。
該コンパクト粒子は、これが「コンパクト」形状である限り、以下に定めるように、いずれの形状でもあり得る。コンパクト粒子の形状の例を、以下で詳細に提供する。該形状は、規則的または非規則的、無定形または均一であり得る。
図3は、このような形状の例を示す。図3Aは、球形を有するコンパクト粒子を示し、これは全てのあり得る形状の中で最も「コンパクト」な形状である。図3Bは、円筒型のコンパクト粒子を示し、平円筒型を含む。図3Cは、タイル型または直方体、立方体もしくは立方体の形のコンパクト粒子を示す。図3Dおよび3Eは不規則な形状のコンパクト粒子を示す。
該コンパクト粒子は、同じ検出可能な存在物または異なる検出可能な存在物を含み得る。参照標準中に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上、または複数の検出可能な存在物が存在し得る。これらは同じコンパクト粒子または異なるコンパクト粒子に結合させ得る。同じまたは異なる検出可能な存在物は同じまたは種々の量で該または各コンパクト粒子と結合させ得る。様々な組み合わせが当業の読み手により認識され得る。
好ましい態様では、参照標準は、検出可能な存在物の量、好ましくは検出可能な存在物の検出可能な量が、参照標準の断面図における、規定領域、好ましくは参照領域中に存在するような状態である。これを、図4に示す。
図4を参照すると、図4Aは、ここでは長方形の箱の形状における参照標準の態様を示す。図4Bは、参照標準の横断図を示す。検出可能な存在物の量(好ましくは検出可能な量)は、断面図中の規定領域中に位置される。1つ以上のコンパクト粒子を、支持媒体中で懸濁する場合、該またはそれぞれの検出可能な存在物の量を含む1つ以上の規定し得る領域が、図4Cで示されるように、該またはそれぞれの断面図中に存在し得る。
検出可能な存在物または存在物等がそこに付着するコンパクト粒子を、支持媒体中に配列する。かくして、該コンパクト粒子は、束もしくは群、または参照標準中のいずれの種類の規定パターンを形成し得る。図5Aに示されるように、例えば、該コンパクト粒子は、線状、頭−尾(head to tail)、または列状に配列され得る。コンパクト粒子の複数の線または列を形成し得る。図9Aはまた、線状に配列した多くのコンパクト粒子(ここでは2つの異なる形状で)を含む参照標準を示す。
参照標準の長軸に沿ったこのような参照標準の異なる横断図は、図5A(下部)中に示されるように、検出可能な存在物の量を含む規定された領域または参照領域の類似パターンを示す。これはまた、図9Bに示され、ここで2つの異なって形成された規定領域または参照領域(ここで、正方形および円形)は、2つの異なって形成されたコンパクト粒子を含む参照標準の結果によって、断面図中に作製される。
コンパクト粒子の配列のパターンが参照標準の長さに沿って均一である場合、これは、それぞれの薄片または断片が参照領域の同じまたは類似パターンを与える配置になる。これは、製造目的に対して好適であり得る。
あるいは、または更に、該コンパクト粒子は、参照標準中で、より緩んだパターンでまたは更にランダムに、配置され得る。図5B中に示されるように、均一でない方法の参照中で、該コンパクト粒子は支持媒体によって支持される。この場合、参照標準から採取された該3つの試料断片または薄片は、断面図中の参照領域の異なるパターンを示す。
該検出可能な存在物は、その存在および好ましくは量が明らかであるものであり、すなわち、直接的もしくは間接的に、その存在を実証できる、またはその量を測定できる。それは、裸眼で認識でき得、または顕微鏡の使用などの拡大の助けによって見える。検出可能な存在物は、染料により染色された時にのみ認識され得る。包埋され、支持される検出可能な存在物は、以下に詳細に記載されるように、様々な形態をとり得る。該検出可能な存在物は、好ましくは、結合剤の使用によって検出できるものであり、これは検出可能な存在物に結合する、およびその存在を明らかにすることが出来る。検出可能な存在物は、特に、タンパク質、ペプチドもしくはポリペプチド、またはヌクレオチド、核酸、特に、DNAおよびRNAを含み得る。
本明細書に記載の参照標準において、使用に適した検出可能な存在物についての更なる詳細をこの文章中で後に提供する。
好ましくは、参照標準は、その断面図が、公知の、または予め決定した検出可能な存在物の量を含む規定された領域を含むように存在する。参照標準中の検出可能な存在物の量が公知の場合、それは試料または好ましくは該試料中に含まれる細胞中のものと比較され得、その試料中の検出可能な存在物の量もしくは質、を確立する。
大いに好ましい態様では、参照標準中の薄片または切片は採取される。これらの薄片または切片は、本明細書に記載の発明の一部として扱われるべきである。
このような薄片または切片は、図4B、4C、5Aおよび5B中で示されるように、検出可能な存在物を含む規定される領域を含む。複数の薄片または切片は、参照標準から作られ得る。該薄片または切片は、FFPE物質からの任意の切片のように処理され得、検出可能な存在物を明らかにする。該試料と共に(好ましくは平行して)参照標準の薄片または断片の処理は、均一性を保証し、本文章中の前方で議論されているように、プロトコル、物質等における違いによって変化を減少させる、または取り除く。
好ましい態様では、該断片または薄片は、これらの工程の1つ以上、好ましくは全てによって、好ましくは関連するFFPE断片と平行して採取される。図6は、どのようにして該参照標準、またはその薄片もしくは断片(例えば、上記の図4B、4C、5A、5B、8F、9および10で生じた平面薄片)が、好ましくは、固定され包埋され、切り分けられた生物学的試料と平行して処理され得るかの例を示す。該平面薄片を、顕微鏡スライドガラス上にマウントし、およびパラフィン包埋媒体を取り除く。マウントされた平面薄片を有するスライドを、次に再水和し、標準の抗原回復技術に供し得る。次いで、該スライドを、特異的な抗体を使用して染色し、抗原の存在および分布を明らかにする。対比染色および第二染色はまた、任意に第二染色が酵素連結(enzyme linked)である発色基質で、実行され得る。
薄片または断片は、均一な厚さである必要はないが、そのようであり得る。染色強度が、薄片の厚さによって変化され得ることはまた、明らかである。例えば、様々な染色強度は、異なる厚さの薄片を使用することにより得られうる。かくして、染色レベルは、断片の厚さ、それゆえの領域あたりの検出可能な存在物を含む物質の量を変化させることによって、変化され得る。評価されるであろうように、これは染色強度を制御する、とても単純な方法である。
本明細書に記載される参照標準は、単純な意味を提供し、「標準」、言い換えれば、測定できる特性の確立された値を確立し、それにより試料または試験品目を判断し得る。それらは、蛍光標準および化学ルミネセンス標準等の色調標準、位置標準、量標準、質標準、または診断標準として使用され得る。
特に、本明細書に記載の参照標準は、試料の現状もしくは状態、または試料のいずれかの成分を、決定させる。いくつかの好ましい態様では、それらは、試料が、特に関連する抗原の診断上関連するレベルを含むかどうかの検出を可能にする。好ましくは、本明細書に記載の参照標準を、生物学的試料中に含まれた組織、もしくは好ましくは細胞中の検出可能な存在物のレベルまたは量を測定するために、本明細書に記載の参照標準を、使用する。
試料中の検出可能な存在物のレベル、量などは、好ましい態様中で、そこに含まれる細胞もしくは組織の「状態」または現状の指標であり得る。このようなレベル、量などは、それゆえ好ましくは、細胞または組織が由来である生体の状態を表示する。該状態は、細胞、組織、器官または生体のいずれかの現状であり得、その検出は所望であり得る。発生のまたは分化のプログラムの部分などの正常の生物学的プロセスの一部として、細胞などが取り得る状態を含む。用語「状態」は、生理学的に正常なまたは平静な状態を含むが、それは、好ましくは非生理学的標準状態のことを言う。
好ましくは、非生理学的標準状態は、疾患状態、または疾患につながるいずれかの状態を含む。好ましくは、用語「診断によって関連するレベル」、「診断によって関連する量(quantity)」および「診断によって関連する量(amount)」は、試料中の検出可能な存在物のレベル、量(quantity)または量(amount)を意味するために使用されるべきであり、これは、試料が採取された個体中の状態または疾患の指標である。
検出可能な存在物の診断による相関量は、問題の特定の当疾患または状態に依存し、標準として確立され得る。当業者は、このような標準を気づき、該疾患または状態に依存する診断による相関量を決定することができることを、理解されるであろう。
コンパクト形状
本明細書に記載の参照標準は、支持媒体中の一般的なコンパクト形状における、検出可能な存在物を含む。これは、好ましくは、コンパクト形状を有するコンパクト粒子へ検出可能な存在物を付着させること、および支持媒体中にこれを支持することによってなされる。該検出可能な存在物は、それゆえ、本明細書に記載の参照標準中の一般的なコンパクト形状を有しまたは取る。
コンパクト形状を有するコンパクト粒子の例は、ここおよび以下の部分で与えられる。
これらはいずれの形態であり得るので、「コンパクト形状」が、検出可能な存在物を作りあげる分子もしくは原子の特定の形状を指さないことは、上記より認識されるであろう。むしろ、該用語は、支持媒体中の検出可能な存在物の一般的な配置または局在化のことを言うために挙げられるべきである。例えば、検出可能な存在物の塊またはかさは、それが支持媒体中に配置されるので、例えば、接触する状態で、好ましくは「コンパクト形状」を有する。
「コンパクト」によって、本発明者は、一般的に伸張でない形状を意味する。言い換えれば、「コンパクト」形状は、一般的に、非伸張もしくは非拡張であり、または、好ましくはいずれの寸法でも拡張されない。該コンパクト形状は、一般的に広がらない、または長くないもしくはひょろ長くないものであり得る。それゆえ、このような「コンパクト形状」は、一般的に類似し得る、または大きな量では異ならない線状の寸法を一般的に有する。
好ましくは、コンパクト形状のいずれか2つの寸法の比は、5:1以下、より好ましくは4:1以下、最も好ましくは3:1、2.5:1、2.4:1、2.3:1、2.2:1、2.1:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、それ以下である。好ましくは、寸法の2つの対は、5:1以上の比を有さない。
大いに好ましい態様では、コンパクト形状の最も長い寸法は、コンパクト形状の最も短い寸法の5倍より小さい。いくつかの態様では、コンパクト形状の最も長い寸法は、最も短い寸法よりも、著しく大きくない(すなわち、形状は相対的に均一である)。
本文章中で使用される「最も長い寸法」という用語は、主要な軸(すなわち、コンパクト粒子より引き出され得る、もっとも長い線を含む軸)の長さを意味するために採用されるべきである。同様に、「最も短い寸法」とは、主要でない軸の長さであり、これはコンパクト粒子より引き出され得る最も短い線を含む軸である。
図3に示されるコンパクト粒子の形状の例では、例えば、それぞれの形状は、最も短い寸法の5倍より小さい最も長い寸法を有する。
特に、線状の寸法がおよそ同じ、もしくは比較できる、または最も長い寸法と最も短い寸法の比が、5:1より小さい、規則的な形状は、本明細書中に記載の参照標準中に含まれる。大いに好ましい態様では、それゆえ、上記の比は、最も長い寸法と最も短い寸法の比に関する。いくつかの態様では、2つの寸法の比(好ましくは、最も長い寸法対最も短い寸法)は、1.1:1より小さく、好ましくは1:1(すなわち、規則的または均一の形状)である。
それゆえ、適切な場合、好ましくは、該形状の長さは、その幅または直径の5倍より小さく、好ましくは、その幅または直径の4倍より小さく、好ましくは、3倍より小さく、最も好ましくは、2倍以下である。
あるいは、または更に、「コンパクト形状」は、以下に記載されるいずれか1つ以上の基準を使用して、数学的に規定され得る。
円度比(Circularity Ratio)
2次元的形状の「コンパクトさ」の1つの基準は、円度比(4×π×領域)対(周長)2で与えられ、すなわち:
大いに好ましい態様では、該コンパクト粒子および/または検出可能な存在物は、以下に議論されるように、円度比により決定されるコンパクト形状を有する。
コンパクトさの基準として、円度比を使用して、円(最もコンパクトな2次元形状である)は、コンパクトさ1を有する。より伸張した、またはさらに複雑、もしくはより少し複雑でないもしくは不規則の境界線を有する対象は、より低いコンパクトさを有する。例えば、この基準を使用すると、楕円は円よりもより小さいコンパクトさを有し、正方形は、コンパクトさ:π/4を有する。長さがその幅の5倍である長方形は、コンパクトさ:π/7.2を有する。
円度比を使用しての、コンパクトさのこの基準は、3次元形状の1つ以上の断面図に対して適用され得、形状の全てにわたるコンパクトさを決定する。かくして、この基準を使用して、断面図のいずれもが、円度比π/7.2以上で測定されるコンパクトさを有さない場合、形状は、「コンパクト」である。好ましくは、円度比により測定されるような、最も大きいコンパクトさを有する断面図は、実質的にπ/7.2より小さいコンパクトさを有する。大いに好ましい態様では、断面図の大多数、または好ましくは、実質的に全ては、π/7.2より小さい円度比で測定されたコンパクトさを有する。
円度比が使用されているが、大いに好ましい態様では、コンパクト粒子のコンパクトさの測定として、他のコンパクトさの基準、例えば、形状比(Form Ratio)、C比、および半径比は、代わりの態様として使用され得る。
形状比
2次元的形状の「コンパクトさ」の代わりの基準は、形状比(4×領域)対(π*長さ2)で与えられ、すなわち:
ここで、Lは、該領域の2つの最も遠い地点をつなぐ線の長さ(すなわち、最も長い寸法)である。コンパクトさの基準としての形状比を使用して、円(最もコンパクトな2次元形状である)は、コンパクトさ1を有する。より伸張した、またはより複雑、もしくは複雑でないもしくは不規則である境界線を有する対象は、より低いコンパクトさを有する。例えば、この基準を使用すると、楕円は円よりもより小さいコンパクトさを有し、正方形は、コンパクトさ:2/πを有する。長さがその幅の5倍である長方形は、コンパクトさ:10/13πを有する。
形状比を使用しての、コンパクトさのこの基準は、3次元形状の1つ以上の断面図に対して適用され得、形状の全てにわたるコンパクトさを決定する。かくして、この基準を使用して、断面図のいずれもが、形状比10/13π以上で測定されるコンパクトさを有さない場合、形状は、「コンパクト」である。好ましくは、形状比により測定されるような、最も大きいコンパクトさを有する断面図は、実質的に10/13πより小さいコンパクトさを有する。大いに好ましい態様では、断面図の大多数、または、好ましくは、実質的に全ては、10/13πより小さい形状比で測定されたコンパクトさを有する。
C比
2次元的形状の「コンパクトさ」の代わりの基準は、C比(領域)対(π*半径2)で与えられ、すなわち:
ここで、Rは、該形状を取り囲む最も小さい円の半径である。コンパクトさの基準としてのC比を使用して、円(最もコンパクトな2次元形状である)は、コンパクトさ1を有する。より伸張した、またはより複雑、もしくは複雑でないもしくは不規則である境界線を有する対象は、より低いコンパクトさを有する。例えば、この基準を使用すると、楕円は円よりもより小さいコンパクトさを有し、正方形は、コンパクトさ:2/πを有する。長さがその幅の5倍である長方形は、コンパクトさ:10/13πを有する。
C比を使用しての、コンパクトさのこの基準は、3次元形状の1つ以上の断面図に対して適用され得、形状の全てにわたるコンパクトさを決定する。かくして、この基準を使用して、断面図のいずれもが、C比10/13π以上で測定されるコンパクトさを有さない場合、該形状は、「コンパクト」である。好ましくは、C比で測定されるような、最も大きいコンパクトさを有する断面図は、実質的に10/13πより小さいコンパクトさを有する。大いに好ましい態様では、断面図の大多数、好ましくは、実質的に全ては、10/13πより小さいC比で測定されたコンパクトさを有する。
半径比
2次元的形状の「コンパクトさ」の代わりの基準は、半径比(r)対(R)で与えられ、すなわち:
ここで、rは、該形状の内部にはまる最も大きい円の半径であり、Rは、該形状を取り囲む最も小さい円の半径である。コンパクトさの基準としての半径比を使用して、円(最もコンパクトな2次元形状である)は、コンパクトさ1を有する。より伸張した、またはさらに複雑、もしくは複雑でないもしくは不規則である境界線を有する対象は、より低いコンパクトさを有する。例えば、この基準を使用すると、楕円は、円よりもより小さいコンパクトさを有し、正方形は、コンパクトさ:√2/2を有する。長さがその幅の5倍である長方形は、コンパクトさ:1/√26を有する。
半径比を使用しての、コンパクトさのこの基準は、3次元形状の1つ以上の断面図に対して適用され得、形状の全てにわたるコンパクトさを決定する。かくして、この基準を使用して、断面図のいずれもが、半径比1/√26以上で測定されるコンパクトさを有さない場合、形状は、「コンパクト」である。好ましくは、半径比により測定されるような、最も大きいコンパクトさを有する断面図は、実質的に1/√26より小さいコンパクトさを有する。大いに好ましい態様では、断面図の大多数、または好ましくは、実質的に全ては、1/√26より小さい半径比で測定されたコンパクトさを有する。
形状
コンパクト形状は、正多面体(regular solid)、球、長球、扁球、扁平長球、楕円、立方体、円錐体、円柱または多面体(polyhedron)を含み得る。好ましい多面体としては、単純な多面体または正多面体(regular polyhedra)が挙げられる。多面体としては、例えば、六面体、ホリヘドロン(holyhedron)、直方体、三面体(deltahedron)、五面体、十四面体(tetradecahedron)、多面体、テトラフレクサゴン(tetraflexagon)、偏方多面体、切断多面体、ジオデシックドーム、七面体およびヘキセコンタヘドロン(hexecontahedron)が挙げられる。上記形状はいずれも、好ましくは、上記の定義にしたがう「コンパクト」なものである。例えば形状が扁球で構成される場合、これは、長球がコンパクトで細長くならないような適切な扁平率を有する。
好ましい態様において、コンパクト形状は、寸法が上記のとおりであれば、気球形状、葉巻形状、ソーセージ形状、円板形状、涙珠形状、ボール形状または楕円形状を含み得る。コンパクト形状はまた、球形状、立方体形状、直方体形状、タイル形状、卵形状、楕円形状、円板形状、細胞(cell)形状、ピル形状、カプセル形状、平坦(flat)円柱形状、豆形状、液滴形状、小球形状、小粒形状、ペレット形状などを含み得る。
コンパクト粒子形状のいくつかの例を図3に示す。
コンパクト形状は非線形であってもよく、1つ以上の湾曲した部分を含む湾曲した位置(配向)を有してもよい。形状は、ねじれていても波型であってもよいが、コンパクト形状は維持されたままである。
コンパクト形状は、断面が均一であってもよく、断面が不均一であってもよい。例えば、コンパクト形状は、レンズ形状またはソーセージ形状を含み得る。いくつかの態様では、コンパクト形状は、コンパクト形状の少なくとも大部分、好ましくはコンパクト形状の実質的に全長において均一な断面を有する。したがって、かかる態様におけるコンパクト形状の断面積は、検出可能な存在物のすべての部分で実質的に同一である。しかしながら、検出可能な存在物がコンパクト形状の端から端まで均一に分布していない態様も想定され得る。
コンパクト形状の断面プロフィール、すなわち、断面に検出可能な存在物を含む規定の領域は、多様な立体構造を有し得る。好ましくは、規定の領域は、形状が円形または楕円形(elliptical)または楕円形(ellipsoid)である。しかしながら、規定の領域は、ピル形状、規則的な形状または不規則な形状を有してもよい。種々の断面プロフィールは、適切なプロフィールにしたコンパクト形状の使用によって確立され得る。好ましくは、断面プロフィールは、細胞(例えば原核生物細胞または真核生物細胞、好ましくは動物細胞、最も好ましくはヒト細胞)の大きさもしくは形状または両方に類似する。換言すると、断面プロフィールは、好ましくは、細胞様寸法の断面プロフィールを有する。
好ましくは、コンパクト形状の断面プロフィール、またはコンパクト形状の最も小さい寸法は、1500μm、1400μm、1300μm、1200μm、1000μm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm未満、好ましくは、400μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm未満、より好ましくは約0.5μm〜100μm、より好ましくは1μm〜100μm、さらにより好ましくは10μm〜20μm、最も好ましくは2μm〜20μmの直径(または最大寸法)を有する。特に好ましい態様は、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μmまたは20μmの直径もしくは最大(または実質的にこれらの)寸法を有するものである。
非常に好ましい態様では、コンパクト形状の断面プロフィールは、典型的な真核生物細胞または原核生物細胞の大きさ程度、換言すると、1μm〜100μmである。
これらの大きさは限定的なものではなく、適用用途に応じて大きさが異なることがユーザーにはわかることは認識されよう。さらにまた、参照標準が1つより多い検出可能な存在物もしくは1つより多いコンパクト形状または両方を含む場合、これらの各々が独立して上記の特徴および性質を有し得ることが認識されよう。さらにまた、参照標準が2つ以上のコンパクト形状を含む場合、これらは、同じ密度または異なる密度で染色され得る。
コンパクト粒子
上記のように、参照標準は、コンパクト粒子に結合した検出可能な存在物を含む。コンパクト粒子は、検出可能な存在物の枠組み、基材または支持体の機能を果たし、検出可能な存在物が支持媒体内においてコンパクト形状を維持することを可能にする。コンパクト粒子はまた、支持媒体内において、検出可能な存在物の形態、またはその形態学、分布もしくは濃度が一定に保持されることを補助し得る。検出可能な存在物の分布または配置は、一般的に、コンパクト粒子の形状に従い得る。コンパクト粒子はまた、検出のための検出可能な存在物を提示する。
用語「コンパクト粒子」を本文書中で使用する場合、この表現中の用語「粒子」は、「コンパクト粒子」が必ずしも非常に小さいこと、もしくは微小であること、またはある程度大きな存在物の一部分であることが意図されるべきではない。実際、「粒子」は、本文書中のどこかに記載したような参照標準における機能を果たす限り、必要なだけ大きいものであり得る。しかしながら、粒子は、上記のような「コンパクト」形状を有することが必要とされる。好ましくは、コンパクト粒子は、参照標準において支持媒体により支持されたときコンパクト形状を有するが、好ましくは、支持されていないとき(例えば、連結、固定などの前後)もコンパクト形状を有する。
コンパクト粒子は、上記の目的(例えば、検出可能な存在物の結合点または支持点として)を果たすことを可能にする物性を有する限り、任意の材料を含み得る。コンパクト粒子は、したがって、この目的のために堅固、剛性、可鍛性、固形、またはその他のものである材料を含み得る。固体材料もしくは半固体、ゲルなどの材料が含まれ得る。材料は、検出可能な存在物の結合が可能になるよう少なくとも反応性であるか、または活性化物質により反応性となり得るものであるが、そうでなければ、一般的に不活性な物質を含んでいてもよい。コンパクト粒子は、1つより多い材料がコンパクト粒子を構成し得るような複合体を含み得る。例えば、コンパクト粒子のコアが表面部分と異なる材料を含み得る。したがって、コンパクト粒子のコアは一般的に不活性な材料を含むが、表面部分は、検出可能な存在物の結合または化学的連結に反応性である材料を含み得る。
コンパクト粒子は、天然起源であってもよく、合成であってもよい。これらを得るための天然または合成の材料および原料は当該技術分野で周知である。好ましくは、コンパクト粒子は、少なくともある程度の機械抵抗、化学的破壊もしくは熱処理に対する少なくともある程度の抵抗、またはこれらの任意の組合せを有する。
好ましい態様において、1つ以上の検出可能な存在物を同じまたは異なる濃度で有するコンパクト粒子をパラフィン包埋媒体内に包埋する。この態様の参照標準がどのように作製されうるのかを示すフローチャートを図11および12に示す。以下にさらに詳細に示すアガロース包埋工程は任意である。
1つより多いコンパクト粒子が参照標準内に存在し得る。例えば、2つ以上のコンパクト粒子(各々は異なる検出可能な存在物を含む)を用い得る。さらにまた、異なる量の同じ検出可能な存在物が異なるコンパクト粒子に提供されてもよい。最後に、1つより多い検出可能な存在物をコンパクト粒子に接合または結合させてもよい。多数のコンパクト粒子(各々は、1つ、2つ、またはそれより多い検出可能な存在物を同一または異なる量で含む)を使用してもよい。
検出可能な存在物を含むコンパクト粒子または各検出可能な存在物を含む各コンパクト粒子は、実質的に参照標準全体に、またはその一部の少なくとも全体に配置され得る。例えば、参照標準が長方形の箱型形態である場合、コンパクト粒子または各コンパクト粒子は一端から他端までの複数の地点(すなわち、長方形の箱の実質的に全長にわたって)に配置され得る。
好ましくは、コンパクト粒子は、約0.5μm〜100μm、より好ましくは1μm〜100μm、さらにより好ましくは10μm〜20μm、最も好ましくは2μm〜20μmの直径を有する。他の直径、例えば、1500μm未満、1000μm未満、500μm未満、200μm未満なども可能である。
より容易な同定および/または位置決定のため、検出可能な存在物または各コンパクト粒子を、当該技術分野で公知の種々の染料のいずれかを用いて染色し得る。2つ以上のコンパクト粒子が参照標準に含まれる場合、コンパクト粒子間のより容易な区別を可能にするため、染色されるコンパクト粒子の各々を、好ましくは異なる色を用いて染色する。
上記のように、コンパクト粒子または各コンパクト粒子は、試料(例えば、解析対象の細胞または組織)自体と同じ包埋媒体内に、試料が該媒体内に包埋されるのと同時、その前または後に包埋され得る。好ましい態様において、コンパクト粒子または各コンパクト粒子は、パラフィン含有包埋媒体内に同時包埋される。好ましくは、かかるコンパクト粒子の包埋は、試料のFFPE内へのパラフィン包埋プロセスの一部として行なわれる。
コンパクト粒子は、「生物学的」物質または「非生物学的」物質を含み得る。好ましい態様において、コンパクト粒子は、生物学的コンパクト粒子を含む。
生物学的コンパクト粒子/細胞性コンパクト粒子
いくつかの態様では、コンパクト粒子は、生物学的コンパクト粒子に由来するか、または生物学的コンパクト粒子からなる。
「生物学的」コンパクト粒子により、本発明者らは、以下の一般的特徴:合成または人造でないこと、生物学的物質由来であること、および生存しているか、かつて生存していた物質を含むか、これらに由来するか、またはこれらからなることの1つ以上を有するものを意味する。
好ましくは、生物学的コンパクト粒子は、ウイルス、細胞、組織などのいずれかの生体組織体の解剖学的、組織学的または細胞の部分である。好ましくは、コンパクト粒子が、生存しているまたは生存していた何かあるものに由来する場合、コンパクト粒子は、好ましくは、その生体物質の形態学を維持する。換言すると、誘導体化またはプロセッシングが起こる場合、その誘導体化またはプロセッシングは、好ましくは、性質がシンプルまたは最小限である。特に、生物学的コンパクト粒子は、生物学的物質または生体物質の精製されたまたは半精製された化学的または生化学的成分を含まず、例えば、精製されたタンパク質または巨大分子などを含まない。
生物学的コンパクト粒子の例としては、組織、細胞や、小器官、核、ミトコンドリア、プラスチド、葉緑体などの細胞の任意の部分または産物が挙げられる。生物学的コンパクト(c biological ompact)粒子のさらなる例としては、組織または細胞凝集群が挙げられる。
生物学的コンパクト粒子は、好ましい態様において、細胞性コンパクト粒子(この用語により、細胞に由来するか、または細胞を含むことを意図する)を含み得る。細胞性コンパクト粒子は、細胞全体、または小器官もしくは任意の他の亜細胞成分などの細胞の部分を含むか、またはこれらに由来し得る。これらの例としては、核、ミトコンドリア、小胞、細胞壁、細胞膜、小器官、細胞骨格などの細胞構造体が挙げられる。
好ましくは、細胞性コンパクト粒子は、該検出可能な存在物を天然または他の状態で発現しない。
細胞性コンパクト粒子は、身体の任意の部分および任意の種の任意の生物体に由来し得る。非常に好ましい態様において、細胞性コンパクト粒子は細胞を含む。細胞は、原核生物細胞であっても真核生物細胞であってもよい。一般的に微生物と呼ばれる単細胞生物体も含まれる。したがって、使用され得るコンパクト粒子としては、細菌、酵母、真菌、原生動物、アメーバ、藻類などが挙げられる。細胞性コンパクト粒子としてはまた、バクテリオファージ、レトロウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルスなどの様々な種類のウイルスが挙げられる。
多細胞生物体由来で、いかなる部分由来の細胞もまた使用され得る。細胞性コンパクト粒子としては、植物細胞、動物細胞、昆虫細胞、魚類細胞、哺乳動物細胞、マウス細胞、霊長類細胞、ヒト細胞などが挙げられる。細胞は、生物体の任意の部分(任意の組織または器官)、例えば皮膚、心臓、脳、筋肉、乳房、骨、線維芽細胞、脈管系、血液系、リンパ系などに由来し得る。細胞を生物体から単離して直接使用してもよく、細胞は、初代培養または二次培養のいずれかの培養細胞であってもよい。組織培養細胞の初代培養または二次培養の方法は当該技術分野で周知である。
本明細書に記載の参照標準における使用に好適な細胞性コンパクト粒子の例を図7に示す:バクテリオファージまたはウイルス、細菌(図7A)、細菌細胞、細菌細胞のコロニー(図7B)、赤血球(図7C)、動物細胞(図7D)および植物細胞(図7E)。
コンパクト粒子は、好ましくは、検出可能な存在物をその天然状態で含まないが、むしろ検出可能な存在物は、参照標準における使用のためにこれに結合させる。例えば、コンパクト粒子が細胞を含むか、または細胞に由来する場合、細胞は、検出可能な存在物を通常は含まないものである。したがって、細胞は、好ましくは、検出可能な存在物の遺伝子が発現されない(検出可能な存在物がポリペプチドまたは核酸を含む場合)、または検出可能な存在物がかかる細胞の通常の産物ではない(例えば、検出可能な存在物が代謝産物を含む場合)、または細胞が異なる生物体(例えば異なる種)、検出可能な存在物を通常含まない細胞に由来する、のいずれかの理由により、検出可能な存在物を発現しないものである。
細胞またはその部分は、そのまま使用してもよく、検出可能な存在物の結合の前または後に処理または加工してもよい。好ましくは、細胞性コンパクト粒子は、処理後に細胞形態学を維持している。例えば、細胞性コンパクト粒子は、例えば洗浄剤の使用により透過性としてもよく、固定剤を用いることにより固定してもよい。細胞透過性化の手段は、当該技術分野で周知であり、ジギトニン、Triton X100などの使用が挙げられる。細胞性コンパクト粒子は、細胞骨格構造体を含み得る。検出可能な存在物は、細胞性コンパクト粒子の表面または内部などの任意の適合した部分に結合し得る。検出可能な存在物は、好ましくは、細胞の表面、例えば、脂質、リン脂質、細胞表面タンパク質、レセプター、膜結合レセプターなどの原形質膜分子などの細胞性コンパクト粒子の表面に結合し得る。
検出可能な存在物は、所望される位置に、結合部分(これは、好ましくは、所望の位置を認識、標的化または結合することができる)により標的化され得る。結合部分は、電荷、pH、イオン性相互作用、非イオン性相互作用、疎水性相互作用、能動輸送などにより認識、結合または標的化し得る。結合部分には、該位置に、または該位置内に存在する別の核酸を認識またはこれに結合し得る核酸プローブなどのプローブが含まれ得る。例えば、検出可能な存在物は、抗体などの細胞表面存在物に結合し得る結合部分を含めることにより細胞表面に結合し得る。
結合部分は、所望の位置内または所望の位置で発現されたタンパク質(例えば、レセプターなどの細胞表面タンパク質)に特異的に結合し得る抗体またはその部分を含み得る。抗体またはその部分は、任意のいくつかの方法(例えば、以下に記載するもの)により、または検出可能な存在物との融合タンパク質として、検出可能な存在物に結合または連結し得る。
検出可能な存在物はまた、膜貫通タンパク質と同様に原形質膜内に挿入されることによって細胞に結合し得る。この目的のため、検出可能な存在物を、膜挿入配列、例えば、7TM配列またはバクテリオロドプシン膜配列と結合または連結することによって改変し得る。
あるいはまたさらに、検出可能な存在物は、特に、透過性化が起こった場合、細胞の他の部分、例えば、内部または任意の細胞成分に結合していてもよい。細胞は、好ましくは、結合の前に固定される。場合によっては、支持媒体内に固定、結合または支持する前に細胞の形状をいくぶん変形させる余地がある。例えば、形状を変えるのを可能にするため、化学的または生物学的シグナルを細胞に提供してもよい。他の処理、例えば、単層細胞培養物のプロテアーゼ処理により、細胞が一般的にコンパクト形状に集結し得る。
特に好ましい細胞の例としては、シロナヤガ Spodoptera frugiperda由来の昆虫細胞株であるSf9細胞が挙げられる。Sf9細胞は、バキュロウイルス発現宿主としての使用で当該技術分野で周知であり、かかる細胞の培養、処理およびプロセッシングの方法もまた、一般的に知られている(例えば、O'Reilly, D. R., L. K. MillerおよびV. A. Luckow, (1994). Baculovirus Expression Vectors参照のこと)。
Sf9は、G. E. SmithおよびC. L. Cherryにより1983年に、親株IPLB-SF 21 AE(これは、1977年のVaughnらによるシロナヤガSpodoptera frugiperdaの蛹卵巣組織に由来する(Vaughn JLら、The establishment of two cell lines from the insect Spodoptera frugiperda (Lepidoptera; Noctuidae), In Vitro 13:213-217, 1977))からクローン化された。Sf9細胞を、L-グルタミンを含み、500mg/L塩化カルシウム、2800mg/L塩化カリウム、3330mg/Lラクトアルブミン水解物、3330mg/Lイーストレート(yeastolate)、10%熱不活化ウシ胎児血清(昆虫細胞培養物で以前に試験した)を添加したグレース昆虫用培地を含む増殖培地中で、28℃の温度で培養し得る。細胞は、単層全体にピペッティングすること、またはフラスコを手のひらに当てること(後者は、大きなフラスコで作業する場合にのみ好ましい)によって細胞を静かにスペント培養培地中に再懸濁することにより継代培養され得る。継代培養前に多くの浮遊細胞が存在する場合は、古い培地および浮遊細胞を廃棄し、継代培養前に培地を交換してもよい。細胞は、28℃でインキュベートするのがよい。1:5より大きい継代培養比が推奨される。
Sf9 昆虫細胞は、American Type Culture Collectionのカタログ番号CRL-1711から入手し得る。また、かかる細胞は、例えば、BD Biosciences Phアームingen (カタログ番号551407)から、また、Ready-PlaqueTM Sf9細胞としてNovagen (カタログ番号70033-3)から、およびTriExTMSf9細胞として、これもNovagen (カタログ番号71023-3)から市販されている。Sf9細胞を成長させるための培地としては、EX-CELLTM420 (JRH Biosciences, Inc.)、Sf-900 II SFM (Life Technologies, Inc.)、HyQSFX-InsectTM(HyClone Laboratories, Inc.)およびHigh FiveTM (Invitrogen Corporation)が挙げられる。
また、細胞性コンパクト粒子は、マウス細胞などの動物細胞を含み得る。好ましい態様において、コンパクト粒子は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む。チャイニーズハムスター卵巣細胞株は、接着上皮細胞を含み、1957年のT. T. Puckによる成体チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)の卵巣の生検材料を起源とする(Puck TTら, Genetics of somatic mammalian cells III. Long-term cultivation of euploid cells from human and animal subjects. J. Exp. Med. 108:945-956, 1958)。
この細胞株由来の細胞およびその任意の誘導体を、本明細書に記載の方法および組成物にしたがうコンパクト粒子として使用し得る。したがって、例えば、細胞株CHO-K1 (American Type Tissue Collection カタログ番号:CCL-61)を、親Puck CHO細胞株由来のサブクローンとして誘導し、成長用培地にはプロリンが必要とされる。CHO-K1を、2mM L-グルタミンを含み、1.5g/L炭酸水素ナトリウム90%; ウシ胎児血清、37℃の温度で10%を含むように調整したHam's F12K培地内で増殖させ得る。細胞は、培地を除去し、0.25%トリプシン、0.03%EDTA溶液でリンスすることにより継代培養し得る。溶液を除き、さらなる1〜2mlのトリプシン-EDTA溶液を添加する。フラスコを室温で(または37℃で)細胞が剥落するまで放置する。新たな培養培地を添加し、吸引し、新しい培養フラスコ内に分配する。この細胞株には1:4〜1:8の継代培養比が推奨される。
図8は、細胞性コンパクト粒子が用いられた本明細書に記載の参照標準の作製のプロセスを示す。図8Aに示すように、ある量の検出可能な存在物1は、好適な任意の手段、例えば、天然源からの精製、組換え発現などにより提供される。また、細胞2または1つより多い細胞を含む図8Bに示すコンパクト存在物は、任意の適切な手段(例えば、当該技術分野で周知である、細胞の培養、精製またはクローン化方法)によって提供される。
その量の検出可能な存在物1を、次いで、細胞2に結合させ、検出可能な存在物が細胞に結合した状態で該細胞を含むコンパクト存在物をもたらす(図8C)。非常に好ましい態様では、検出可能な存在物は、化学的な結合、例えば、以下にさらに詳細に記載する架橋剤を用いることにより細胞に結合させる。また、以下にさらに詳細に記載するように、検出可能な存在物を細胞に直接結合させてもよく、あるいは図に示すように、検出可能な存在物をスペーサー12を介して細胞に結合させてもよい。
検出可能な存在物が結合した細胞は、それ自体を参照標準として使用してもい。あるいはまたさらに、検出可能な存在物が結合した細胞性コンパクト粒子を支持媒体内に支持または包埋してもよい(図8D)。好ましい態様の参照標準において、いくつかの細胞性コンパクト粒子を支持媒体内に支持させる(図8E参照)。かかる参照標準の薄片または切片を取り、本明細書に記載の目的に使用してもよい。かかる薄片または切片は、検出可能な量の検出可能な存在物を、参照標準の断面の規定領域内に含む(図8F)。
非生物学的コンパクト粒子
別の態様において、コンパクト粒子は「非生物学的」物質を含む。
非生物学的コンパクト粒子は、生物学的コンパクト粒子の組織学的または細胞性の性質とは対象的に、性質が分子性である。これらは、典型的には、化学的または生化学的存在物、例えば複合体分子および巨大分子(例えば、ポリペプチド、核酸)などの分子または化合物などである。非生物学的コンパクト粒子の例としては、マイクロビーズ、寒天塊、シリカ粒子などが挙げられる。これらは、典型的には、組成が均質で、通常、純粋で、他の化学的または生化学的存在物から単離されている。
非生物学的コンパクト粒子は、安価で作製および取り扱いが容易である。これらは、生物学的材料よりも、取扱い者に対して低い危険性をもたらし得る。非生物学的コンパクト粒子が好ましい態様としては、手順上の確認標準としての使用が挙げられ、この場合、細胞の特徴の模倣は、例えばフローサイトメトリーよりも重要でない。
非生物学的コンパクト粒子は、最終的に生物学的起源を有してもよく、したがって、例えば、血清タンパク質、セルロース、アガロースなどの生物学的材料の精製された成分であり得る。非生物学的物質は、寒天およびアガロースなどの生物学的供給源から精製または純化されたものを含み得る。しかしながら、なんら実質的な組織学的または細胞性の特徴、特に、細胞形状および細胞の大きさなどの起源材料の構造的特徴を保持しない。したがって、好ましい態様における「非生物学的」コンパクト粒子は、組織などの細胞材料を含まないか、または実質的に含まない。
非常に好ましい態様では、非生物学的コンパクト粒子は、「非細胞性コンパクト粒子」、すなわち、細胞を含まないか、または細胞に由来するものであり得る。
かかる非生物学的または非細胞性コンパクト粒子は、したがって、合成材料または非天然材料を含み得る。種々の形状の種々のコンパクト粒子が当該技術分野で公知であり、例えば、多様な種類のビーズが挙げられる。コンパクト粒子の特に好ましい態様としては、例えば、アガロースビーズ、ポリアクリルアミドビーズ、シリカゲルビーズなどのマイクロビーズが挙げられる。
ビーズ
使用に適するビーズまたはマイクロビーズとしては、ゲルクロマトグラフィーに使用されるもの、例えばSephadexなどのゲル濾過媒体が挙げられる。この種の好適なマイクロビーズとしては、40〜120のビーズサイズを有するSephadex G-10 (Sigma Aldrich カタログ番号27,103-9)、40〜120μmのビーズサイズを有するSephadex G-15 (Sigma Aldrich カタログ番号27,104-7)、20〜50μmのビーズサイズを有するSephadex G-25 (Sigma Aldrich カタログ番号27,106-3)、20〜80μmのビーズサイズを有するSephadex G-25 (Sigma Aldrich カタログ番号27,107-1)、50〜150μmのビーズサイズを有するSephadex G-25 (Sigma Aldrich カタログ番号27,109-8)、100〜300μmのビーズサイズを有するSephadex G-25 (Sigma Aldrich カタログ番号27,110-1)、20〜50μmのビーズサイズを有するSephadex G-50 (Sigma Aldrich カタログ番号27,112-8)、20〜80μmのビーズサイズを有するSephadex G-50 (Sigma Aldrich カタログ番号27,113-6)、50〜150μmのビーズサイズを有するSephadex G-50 (Sigma Aldrich カタログ番号27,114-4)、100〜300μmのビーズサイズを有するSephadex G-50 (Sigma Aldrich カタログ番号27,115-2)、20〜50μmのビーズサイズを有するSephadex G-75 (Sigma Aldrich カタログ番号27,116-0)、40〜120μmのビーズサイズを有するSephadex G-75 (Sigma Aldrich カタログ番号27,117-9)、20〜50μmのビーズサイズを有するSephadex G-100 (Sigma Aldrich カタログ番号27,118-7)、40〜120μmのビーズサイズを有するSephadex G-100 (Sigma Aldrich カタログ番号27,119-5)、40〜120μmのビーズサイズを有するSephadex G-150 (Sigma Aldrich カタログ番号27,121-7)、および40〜120μmのビーズサイズを有するSephadex G-200 (Sigma Aldrich カタログ番号27,123-3)が挙げられる。
また、例えば、液体クロマトグラフィーにおいて使用されるSepharoseビーズも使用され得る。例は、Q-Sepharose、S-SepharoseおよびSP-Sepharoseビーズであり、例えばAmersham Biosciences Europe GmbH (Freiburg, Germ任意の)からQ Sepharose XL (カタログ番号17-5072-01)、Q Sepharose XL (カタログ番号17-5072-04)、Q Sepharose XL (カタログ番号17-5072-60)、SP Sepharose XL (カタログ番号17-5073-01)、SP Sepharose XL (カタログ番号17-5073-04)およびSP Sepharose XL (カタログ番号117-5073-60)などとして入手し得る。
ミセル
また、非生物学的または非細胞性コンパクト粒子は、ミセルを含み得る。ミセルは、単層または二重層を有し得る。これは、コンパクト粒子の結合の部分としての機能を果たし得る、内部に挿入されたタンパク質または他の分子を有してもよい。ミセルは、まず1つ以上の界面活性剤を選択することにより作製され得る。例えば、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックコポリマーおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸塩などの2種の異なる界面活性剤を使用し得る。しかしながら、1、2、3またはそれ以上の界面活性剤を用い得る。また、好適な界面活性剤としては、カプリルイミダゾリンの誘導体、アルキルポリグリコールエーテル、ポリオキシアルキレンラノリン、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックコポリマー、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートが挙げられる。
次いで、界面活性剤を水基剤中に分散させる。本発明の組成物に選択される界面活性剤は、親水性末端基および疎水性炭水化物テイルを有する分子で構成される。親水性基は水を好む傾向を有するが、疎水性テイルは水嫌悪性を有する。したがって、ある濃度より上では、界面活性剤分子は、ある基において互いに会合する傾向にあり、それにより、親水性基が水に曝露され、一般的には円形または球状に構造を形成するが、疎水性テイルは内方に延び、互いに会合する(おそらく内部で絡み合う関係で)ように構成される。効果的には、これは、ミセルと呼ばれる界面活性剤分子のクラスターを形成する。
ミセルの親水性部分は、界面活性剤分子の疎水性テイルによって占められる内部領域の周囲に殻または連続的混合物を形成することを前提とする。したがって、これは、殻型構造体を、形成または生成する。
検出可能な存在物
非常に好ましい態様では、検出可能な存在物は、コンパクト粒子に対して非相同のものである。換言すると、コンパクト粒子は、天然の状態で、検出可能な存在物と会合していない。
したがって、例えば、コンパクト粒子が細胞性コンパクト粒子を含む場合、検出可能な存在物は、通常は該細胞によって発現されないが、例えば化学的連結などの操作またはヒト介入により結合させたものである。本明細書に記載の方法および組成物は、したがって、癌細胞株などの、特定の検出可能な存在物を天然で発現する細胞を利用するものではなく、トランスフェクションにより特定の検出可能な存在物を発現するように誘導された細胞を含むものでもない。
好ましくは、細胞は、その天然状態では、細胞周期または発生段階のいかなる部分においても検出可能な存在物を含まず、検出可能な存在物の発現は、好ましくは誘導性ではない。好ましくは、細胞はトランスフェクト細胞ではない、すなわち、細胞は、内部に人工的に導入された遺伝子材料を含まない。したがって、検出可能な存在物は、トランスフェクトされていることにより細胞によって発現されないが、むしろ操作により細胞のコンテクスト(context)に外部から添加される。
検出可能な存在物は、その存在および好ましくは量が、顕在化され得るもの、すなわち、直接または間接的に、その存在が実証され得るか、またはその量が測定可能なものである。一般的に、検出可能な存在物は、それ自体により、自然に、または刺激することのいずれかにより、検出可能なシグナルまたは顕在化可能なシグナルを生成することができる任意のものであり得る。
検出可能な存在物は、単独で、または1つ以上の他の存在物との組合せで(例えば、抗体および/または二次抗体などの顕在化剤と接触させたとき)シグナルを生成し得る。検出可能な存在物は、別途記載のように、当該技術分野で公知の任意の多様な標識、例えば、放射能標識および非放射能標識を用いてそれ自体が標識されてもよい。この局面のさらなる記載は、以下の「検出および可視化」のセクションに含まれる。
参照標準は、好ましくは、比較的純粋な状態、すなわち、他の分子または化合物から実質的に単離された検出可能な存在物を含む。検出可能な存在物は、好ましくは、通常は会合し得る細胞成分を含まないか、または実質的に含まない。例えば、検出可能な存在物は、単離された形態であり得る。
検出可能な存在物は、好ましくは性質が非細胞性であるが、必ずしも起源が非細胞のものではない。このことにより、本発明者らは、検出可能な存在物が、細胞に由来するが、好ましくは、検出可能な存在物を少なくとも1種の他の細胞成分から単離するためにある種の処理、例えば、精製または濃縮を受けたものであることを意味する。特に、検出可能な存在物は、例えば、原料細胞材料または細胞全体を含まない。好ましくは、検出可能な存在物は、例えば細胞壁、細胞膜、小器官、細胞骨格などの実質的な量の細胞構造体を含まない。好ましくは、かかる態様では、検出可能な存在物は、細胞内環境と比べて、比較的純粋な状態の「分子性」成分を含む。
換言すると、検出可能な存在物は、好ましくは、非細胞材料および/または非細胞成分を含む。これは、好ましくは、実質的な量の細胞材料を含まず、例えば、これは「細胞無含有」である。この目的のためには、検出可能な存在物の化学合成または組換え産生が好ましい。
結合剤の性質は、検出可能な存在物に依存するが、非特異的結合剤または好ましくは特異的結合剤を含む。したがって、染料、例えば、典型的には織物の染色に使用される染料などの非特異的結合剤を結合剤として使用し得る。しかしながら、特異的結合剤が好ましい。
検出可能な存在物は、単純な無機系または有機系化合物などの「低分子」を含み得る。検出可能な存在物は、特に、ジニトロフェノール(DNP)などのハプテンを含み得る。検出可能な存在物として、蛍光染料などの染料が挙げられ得る。
非常に好ましい態様では、検出可能な存在物は、DNA、RNA、PNAもしくはLNAなどの核酸、またはタンパク質もしくは抗原などのポリペプチド、または他のエピトープ含有ポリペプチドを含む。検出可能な存在物は、修飾ペプチド(アセチル化、メチル化、欠失変異ペプチドなどが挙げられる)などのペプチドをさらに含み得る。タンパク質などの検出可能な存在物を含む参照標準は、免疫組織学的検査(IHC)に好ましいが、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)には、核酸などを含む参照標準が好ましい。
検出可能な存在物が核酸を含む場合、結合剤は、特に、核酸プローブを含み得る。この目的のため、これは、DNAもしくはRNAなどの核酸またはその誘導体(例えば、ペプチド核酸、PNAもしくはロックド(locked)核酸、LNA)を含み得る。核酸プローブは、好ましくは、検出可能な存在物内の配列に、好ましくはストリンジェントな条件下で、特異的にハイブリダイズすることができる。特に、核酸プローブは、検出可能な存在物内の配列に相補的な配列を少なくとも含み得る。好ましくは、核酸結合剤またはプローブは、単鎖部分を含むか、または変性されて結合部位を露出している。
検出可能な存在物が抗原などのタンパク質を含む場合、結合剤は、好ましくは、タンパク質に特異的に結合することができる任意の分子を含む。特に、結合剤は、抗原に特異的に結合することができる抗体(モノクローナルまたはポリクローナルのいずれか)を含み得る。
上記例では、核酸は、典型的には、核酸を含む結合剤によって検出されるが、タンパク質は、典型的には、抗体によって検出される。しかしながら、検出可能な存在物-結合剤のペアは、タンパク質核酸相互作用に基づいて選択され得ることが理解されよう。したがって、例えば、亜鉛フィンガータンパク質(HLHタンパク質)などの核酸結合タンパク質などは特異的核酸配列に結合し得ることが知られている。したがって、核酸結合タンパク質は、コグネイト核酸を含む検出可能な存在物を検出するための結合剤として使用され得、核酸は、コグネイト核酸結合タンパク質を含む検出可能な存在物を検出するための結合剤として使用され得る。
好ましくは、検出可能な存在物は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、リン酸化ペプチド、リン酸化ペプチド、グルケート(glucated)ペプチド、グリコペプチド、核酸、ウイルス、ウイルス様粒子、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、ヌクレオチドの合成アナログ、リボヌクレオチドの合成アナログ、修飾ヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、アミノ酸、アミノ酸アナログ、修飾アミノ酸、修飾アミノ酸 アナログ、ステロイド、プロテオグリカン、脂質および炭水化物またはその組合せ(例えば、タンパク質成分とDNA成分の両方を含む染色体材料、または1対もしくは1組のエフェクター(ここで1種以上が別ものに、例えば触媒的に変換されて活性形態となる))からなる群より選択される。
好ましい態様において、検出可能な存在物は、ポリペプチドまたは核酸を含む。非常に好ましい態様では、検出可能な存在物は、好適には、細胞の健康または疾患の状態のインジケータなどの細胞の状態のインジケータを含む。
例えば、検出可能な存在物の存在または量は、細胞が、健康、正常または機能性の状態であることを示す役割を果たし得る。しかしながら、好ましくは、検出可能な存在物は、細胞の異常な状態、例えば疾患状態のインジケータとなるようなものである。換言すると、検出可能な存在物が細胞または組織に存在する場合、これを含む細胞または組織または器官または個体は、疾患状態であることが推察され得る。検出可能な存在物は、単一の疾患、またはいくつかの疾患、またはAIDSなどの症候群、または医学的状態の診断用のものであり得る。好ましくは、疾患、症候群または状態は治療可能なものである。
好ましくは、細胞または組織中の検出可能な存在物の存在、量または濃度を検出して、細胞または組織の状態、好ましくは、細胞または組織の病理学的状態の指標を提供する。したがって、参照標準が診断用標準として用いられる態様において、検出可能な存在物は、任意の診断上関連性のある存在物を含み得る。
したがって、この好ましい態様において、検出可能な存在物は、本質的に、病理学的状態のマーカーまたは疾患マーカーであり、細胞中のその存在または量は、細胞が疾患状態であるか、または疾患状態の可能性があることを示す。検出可能な存在物の存在は診断用であってもよく、単にインジケータとしての機能を果たし、他のインジケータ、例えば一群のインジケータとともに疾患の可能性を示すものであってもよい。細胞または組織中の検出可能な存在物の量は、有意水準(すなわち、疾患を表示する閾値レベルより上か否か)であり得る。
好ましくは、疾患は癌を含む。したがって、検出可能な存在物は、好ましくは、癌マーカーまたは癌タンパク質または癌核酸である。いくつかの癌および癌関連タンパク質は、当該技術分野で公知であり、例えば、ras、BRCA1、HER2、ATM、RhoC、テロメアーゼなどである。癌胎児性抗原(CEA)は、消化管癌(例えば、結腸の癌)ならびに他の悪性および非悪性疾患と関連している。他の癌マーカーの例を以下に記載するが、これらをコードする核酸もまた検出可能な存在物として使用され得ることが認識されよう。
前立腺特異的抗原(PSA)レベルは、前立腺癌において、および場合によっては肥大前立腺状態(例えば、BPH)または前立腺症において上昇する。
CA 19.9は、主に胃腸管癌と関連する。場合によっては、値の増大はまた、転移を伴う患者および非悪性状態、例えば肝炎、肝硬変、膵炎の患者において観察される。
HER2は、乳癌と関連する。HER2タンパク質の値の増大、過剰発現は、しばしば、転移性状態をもたらし得る腫瘍細胞の急速な成長と関連する。HER2タンパク質を過剰発現する転移性患者(patent)は、HERCEPTIN治療(抗HER2 抗体による治療)の恩恵を被り得る。
CA 125値上昇は、しばしば、卵巣の癌と関連する。しかしながら、子宮内膜症、妊娠前期、卵巣嚢または骨盤腹膜炎などの非悪性状態もまた、CA 125レベル上昇の原因となり得る。家族歴と癌の発症との関連は、たくさん報告されている。
CA 15.3値は、しばしば、乳癌の患者において上昇する。家族構成員において癌の既往歴がある場合、患者は、また乳房マンモグラフィーを行なうことを助言され得る。乳癌の他、他の非悪性状態(例えば、肝硬変、卵巣および乳房の良性疾患)もまた、CA 15.3 レベルの上昇の原因であることが知られている。
αフェトプロテイン(AFP)レベルは、しばしば、肝臓癌(肝細胞)および精巣癌(非精上皮腫)において上昇する。レベルの上昇はまた、妊娠中またはいくつかの胃腸管癌に存在する。AFPはまた、開放神経管欠陥のスクリーニング試験としての他の試験との組合せで使用される。
鼻咽腔癌(NPC)は、鼻咽頭の上皮細胞から生じる非リンパ系(lymphatous)、非腺系、鱗状細胞癌である。これは、鼻咽腔癌癌の最も一般的な形態であり、成人において好発する。いくつかの臨床症状としては、耳または鼻の問題、鼻粘膜の出血、頚部しこり、リンパ節肥大(通常、頚部)および鼻づまりの感覚が挙げられる。エプスタイン-バーウイルス(EBV)は、NPCとの直接的な因果関係を有することが示されており、ここで、これがNPC腫瘍において検出され得る場合はNPCの患者は、一般集団よりも高いEBV特異的抗体価を有する傾向がある。スクリーニングによる初期検出は、通常、良好な予後をもたらす。
メタロプロテアーゼ-1(TIMP-1)の組織インヒビターは、メタロプロテアーゼ インヒビター1、線維芽細胞コラゲナーゼインヒビター、コラゲナーゼインヒビターおよび赤血球増強活性(EPA)としても知られる。肝臓TIMP-1の過剰発現は、成長および脈管形成を抑制することにより、TAg誘導性肝細胞癌の発生を阻止することが報告されている。TIMP-1は、例えば、非小細胞肺癌(NSCLS)、悪性黒色腫および軟骨肉腫と関連する。
p53およびRbなどの腫瘍抑制タンパク質もまた、検出可能な存在物として使用し得る。
検出可能な存在物は、免疫グロブリンκおよびλ軽鎖を含み得る。検出可能な存在物(1つまたは複数)は、エストロゲンレセプター(ER)αおよびβならびにプロゲステロンレセプター(PR)、p53 タンパク質、Ki-67および増殖性細胞核抗原(PCNA)などの増殖関連タンパク質などの1種以上の予後マーカーを含み得る。検出可能な存在物(1つまたは複数)は、カドヘリンEなどの1種以上の細胞接着分子、ならびにpl6、p21、p27およびRbなどの腫瘍抑制タンパク質を含み得る。検出可能な存在物(1つまたは複数)は、CD3、CD15、CD20、CD30、CD34、CD45、CD45RO、CD99、κおよびλ軽鎖および第VIII因子などの1種以上の血液学的因子を含み得る。さらにまた、以下:CD3、CD4、CD5、CD8、CD13、CD14、CD19; CD34クラスI、CD34クラスII、CD34クラスIII、CD45、CD45RO、CD64、CD117、pl6、pl9、p21、p53 タンパク質、増殖性細胞核抗原、Ki67抗原、上皮抗原、上皮膜抗原、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、グリコホリンA、HLA-ABC抗原、HLA-DP/DQ/DR抗原、単純ヘルペス1および2(HSV 1および2)、パピローマウイルス抗原、HIV-1、2抗原、アデノウイルス抗原、B型肝炎ウイルス表面抗原、ヘリコバクターピロリ抗原、クラミジア抗原、クラミジア肺炎病原体抗原ならびにCMV抗原のいずれかを検出可能な存在物として使用し得る。
検出可能な存在物(1つまたは複数)は、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的アルカリホスファターゼ(PSAP)、サイトケラチン、上皮膜抗原、癌胎児性抗原(CEA)、多型性上皮ムチン、間葉分化マーカー、デスミン、アクチン、ビメンチン、IV型コラーゲンなどの1種以上の上皮分化マーカーを含み得る。検出可能な存在物(1つまたは複数)は、S-100、HMB45などの1種以上の褐色細胞腫マーカーを含み得る。検出可能な存在物(1つまたは複数)は、CD117、CD133、CD45、CD4、CD8、CD19、CD20、CD56、CD13、CD33、CD235a、CD15、BerEP4、ニューロン特異的エノラーゼ、グリア線維酸性タンパク質、クロモグラニン、シナプトフィシン、c-Kit、上皮成長因子レセプター(EGFR)、HER2/neu、HER3およびHER4、ならびにそのリガンド(例えば、EGFおよびTGF-αおよびインスリンレセプター(IR)、血小板誘導性成長因子レセプター(PDGFR)などの他のレセプタータンパク質-チロシンキナーゼ、ならびに血管内皮成長因子レセプター(VEGFR-1、VEGFR-2およびVEGFR-3)、M30、Bcl-2、p53、カスパーゼおよびFasなどのアポトーシス関連タンパク質)などの1種以上のマーカーを含み得る。
一態様において、検出可能な存在物は、c-kitを含む。CD117抗原、c-kitまたはKITは、クラスIIIレセプターチロシンキナーゼファミリーに属する145 kDaの膜貫通タンパク質である。細胞質内チロシンキナーゼドメインは、ATP-結合領域とホスホトランスフェラーゼ活性部位間の長い親水性挿入物により分断されている(Fleishman RA. Trends Genet 1993; 9:285-90)。細胞外領域は、5つの免疫グロブリン様ドメインからなり、第2および第3ループがリガンド結合に関与していると考えられている(Blechman JMら, J Biol Chem 1993; 268:4399-4406)。c-kitの天然リガンドは、幹細胞因子、スティール(steel)因子(SLF)またはマスト細胞成長因子と呼ばれている。c-kitは、正常骨髄細胞の1〜4%において発現される(Papayannopoulouら, Blood 1991; 78:1403-12; Buehring H-J, Ullrich A, Schaudt K, Mueller CA, Busch FW. The product of the proto-oncogene c-kit)。
陽性骨髄細胞の大部分(50〜70%)は、CD34を同時発現し、あらゆる造血系統の先祖細胞およびその前駆細胞を含む(Kikutaniら:Sch喪失manら編. Leukocyte typing V. White cell differentiation antgens. Proceedings of 5th International Workshop and Conference; 1993 Nov 3-7; Boston, USA. Oxford, New York, Tokyo:Oxford University Press; 1995. p.1855-64; Buehringら, in:Sch喪失man SF, Boumsell L, Gilks W, Harlan JM, Kishimoto T, Morimoto Cら編. Leukocyte typing V. White cell differentiation antigens. Proceedings of 5th International Workshop and Conference; 1993 Nov 3-7; Boston, USA. Oxford, New York, Tokyo:Oxford University Press; 1995. p.1882-8)。c-kitは、造血の未成熟段階、メラニン細胞の発生、破骨細胞分化およびランゲルハンス細胞分化と、ほぼ排他的に関連する。c-kitは、マスト細胞で発現され、AMLの患者の芽細胞で発現されるが、ほとんどのすべての芽細胞には存在しないことがわかっている(Buehringら, Br J Haematol 1992; 82:287-94.)。
別の態様において、検出可能な存在物は、ラミニン、好ましくはラミニン5γ2鎖を含む。
ラミニンは、α、βおよびγ鎖から構成される大きなヘテロ三量体(heterotrimeric)基底膜糖タンパク質である。現在では、5つのα鎖、3つのβ鎖および3つのγ鎖が、少なくとも15種類の異なるイソフォームを形成することが知られている。α3、β3およびγ2鎖からなるラミニン-5タンパク質は、最初に、460kDa前駆体として合成し、これを特異的タンパク質分解プロセッシングに供すると、細胞外マトリックス内への分泌後、より小さい形態になる。ラミニン-5γ2鎖は、そのサブユニットの発現が上皮組織(ここでは上皮固着(anchoring)系および細胞運動(locomotion)の一部である)に限定されるため、特有のイソフォームである。ラミニン-5γ2鎖タンパク質は、基底ケラチノサイトの下層基底膜への接着に必須であり、インテグリンα3β1、α6β1およびα6β4の接着リガンドとしての機能を果たす(Declineら, J Cell Sci 2000; 114:811-231; Salo, S, Function of the γ2 chain in epitherial adhesion and migration, and expression in epithelial cells and carcinomas (学位論文). Oulu:Oulu Univ.; 1999)。データの蓄積により、いくつかの異なるヒト癌においてラミニン-5γ2鎖タンパク質発現の増加が示され、その発現は、分芽細胞表現型を有する癌細胞に特徴的である(Salo, S前出)。いくつかの研究は、ラミニン-5γ2鎖タンパク質発現が、種々のタイプの鱗状細胞癌における侵襲性癌(Skyldbergら, J Natl Cancer Inst 1999; 91:1882-7; Nordstroemら, Int J Gynecol Cancer 2002; 12:105-9)、結腸腺癌(Pykeら, Cancer Res 1995; 55:4132-9)、および肺腺癌(Maeaettaeら, J Pathol 1999; 188:361-8)のマーカーの機能を果たし得ることを示す。
好ましい態様において、検出可能な存在物は、任意の1つ以上のHER2、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)、p16、Ki-67、c-kit、ラミニン5γ2鎖および上皮成長因子レセプター(EGFR)タンパク質、かかる物質をコードする核酸、およびかかる物質の翻訳後修飾形態(好ましくは、リン酸化形態)を含む。
HER2(NEWおよびERBB2としても知られる)は、Coussensら, Science. 1985 Dec 6; 230 (4730):1132-9; Spivak-Kroizmanら, J Biol Chem. 1992 Apr 25; 267 (12):8056-63; Kingら, J Biol Chem. 1986 Aug 5; 261 (22):10073-8;および Plowmanら, Proc Natl Acad Sci U S A. 1990 Ju1; 87 (13):4905-9に詳細に記載されている。
エストロゲンレセプターは、当該技術分野で公知であり、例えば、Ponglikitmongkolら, EMBO J. 1988 Nov; 7 (11):3385-8; Lazennecら, Gene. 1995 Dec 12; 166 (2):243-7; Watermanら, Mol Endocrinol. 1988 Jan; 2 (1):14-21; Greenら, Nature 320:134-139,1986; Greeneら, Science 231:1150-1154,1986に詳細に記載されている。
プロゲステロンレセプターであるPGRまたはPRは、例えば、Misrahiら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 143:740-748,1987; Conneelyら, J Soc Gynecol Investig. 2000 Jan-Feb; 7 (1 Suppl):S25-32; Moteら, J Clin Endocrinol Metab. 1999 Aug; 84 (8):2963-71に詳細に記載されている。
P16はまた、CDKN2、CDK4インヒビター、多癌抑制1; MTS1、TP16、pl6(INK4)、pl6 (INK4A)、pl9 (ARF)およびpl4 (ARF)としても知られている。これは、例えば、Bogenriederら, Hautarzt. 1998 Feb; 49 (2):91-100; Uchidaら, Leuk Lymphoma. 1998 Mar; 29 (1-2):27-35およびGeradtsら, Cancer Res. 1995 Dec 15; 55 (24):6006-11に詳細に記載されている。
Ki-67は、例えば、Schluterら, J. Cell. Biol. 123:513-522,1993に詳細に記載されている。
上皮成長因子レセプター(EGFR)は、V-ERB-B AVIAN ERYTHROBLASTIC LEUKEMIA VIRAL ONCOGENE HOMOLOG; ONCOGENE ERBB; ERBB1; SPECIES抗原7およびS7としても知られている。これは、例えば、
Carlinら, Proc Natl Acad Sci U S A. 1982 Aug; 79 (16):5026-30; Kondoら, Cytogenet Cell Genet. 1983; 35 (1):9-14; Revis-Guptaら, Proc Natl Acad Sci U S A. 1991 Jul 15; 88 (14):5954-8; Huangら, J Biol Chem. 2003 May 23; 278 (21):18902-13. Epub 2003 Mar 14に詳細に記載されている。
これらのいずれかをコードする核酸もまた、検出可能な存在物として使用され得る。
本明細書に記載の参照標準において上記の検出可能な存在物のタンパク質を使用することが厳密に必要とされるわけではないこと、および該ンパク質をコードする核酸の使用によって抗原を検出するのが可能であることは認識されよう。したがって、参照標準は、上記のような、任意のポリペプチドである検出可能な存在物をコードし得る核酸である検出可能な存在物を含み得ることを認識されたい。言うまでもなく、この場合の結合剤または顕在化剤は、好ましくは、核酸、好ましくは検出可能な存在物である核酸の少なくとも一部に特異的に結合することができる核酸、好ましくは相補的核酸を含み得る。
検出可能な存在物がポリペプチドを含む場合、これは、非修飾であり得るか、または1つ以上の翻訳後修飾(例えば、炭水化物(グリコシル化)、ADP-リボシル(ADPリボシル化)、脂肪酸(プレニル化(ミリストイル化およびパルミチル化が挙げられるが、これらに限定されない)、ユビキチン(ユビキチン化)タンパク質リン酸化および脱リン酸化ならびにセントリン(sentrin)(セントリン化;ユビキチン化様タンパク質修飾)の付加)を含み得る。
好ましくは、翻訳後修飾はリン酸化を含む。例えば、検出可能な存在物は、リン酸化HER2またはリン酸化上皮成長因子レセプター(EGFR)を含み得る。検出可能な存在物は、リン酸化c-kit、リン酸化ラミニン5γ2鎖、リン酸化エストロゲンレセプター(ER)、リン酸化プロゲステロンレセプター(ER)、リン酸化p16および/またはリン酸化Ki-67をさらに含み得る。リン酸化検出可能な存在物は、参照標準がフローサイトメトリー適用において使用される場合に特に好ましい。
検出可能な存在物は、好適には、抗原、好ましくは診断上関連性のある抗原(これは、関連する抗体への結合によって検出可能である)を含み得る。任意の適当な抗原が使用され得、当業者には、どの抗原がどの診断目的に適するかがわかる。
本明細書で使用する場合、用語「検出可能な存在物」は、原子または分子(分子は無機系または有機系であり得る)、ハプテン、生物学的エフェクター分子および/または生物学的エフェクター分子などの剤をコードする核酸、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、修飾ペプチド、アセチル化ペプチド、メチル化ペプチド、変異ペプチド、欠損ペプチド、リン酸化ペプチド、リン酸化ペプチド、グルケートペプチド、グリコペプチド、核酸、ウイルス、ウイルス様粒子、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、核酸、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ヌクレオチドの合成アナログ、リボヌクレオチドの合成アナログ、改変ヌクレオチド、改変リボヌクレオチド、アミノ酸、アミノ酸アナログ、改変アミノ酸、改変アミノ酸アナログ、ステロイド、プロテオグリカン、脂質および炭水化物を含むが、これらに限定されない。検出可能な存在物は、溶液または懸濁液(例えば、結晶性、コロイド状または他の粒子状形態)の状態であり得る。検出可能な存在物は、モノマー、ダイマー、オリゴマーなどの形態であり得、そうでなければ、複合体の状態であり得る。
単一の検出可能な存在物を使用する必要はないこと、および参照標準において2つ以上の検出可能な存在物を使用するのが可能であることが認識されよう。したがって、用語「検出可能な存在物」はまた、本明細書に記載のような、原子、分子などの混合物、融合体、組合せおよびコンジュゲートを含む。例えば、検出可能な存在物としては、ポリペプチドと結合した核酸;互いにコンジュゲートした2つ以上のポリペプチド;生物学的に活性な分子(プロドラッグなどの低分子であり得る)にコンジュゲートしたタンパク質;または、これらの任意のものと生物学的に活性な分子との組合せが挙げられ得るが、これらに限定されない。
好ましい態様において、検出可能な存在物は、「生物学的エフェクター分子」または「生物学的に活性な分子」を含む。これらの用語は、生物学的系において活性を有する存在物、限定されないが、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド(限定されないが、構造タンパク質、酵素、サイトカイン(インターフェロンおよび/またはインターロイキンなど))、抗生物質、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、またはその効力のある部分(F(ab)2、F(ab')またはFv 断片など、該抗体またはその部分は天然、合成またはヒト化されたものであり得る)、ペプチドホルモン、レセプター、シグナル伝達分子もしくは他のタンパク質;核酸(以下に規定するような、オリゴヌクレオチドもしくは改変オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくは改変アンチセンスオリゴヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、人工もしくは天然染色体(例えば、酵母人工染色体)またはその部分、RNA(mRNA、tRNA、rRNAもしくはリボザイム)またはペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ウイルスもしくはウイルス様粒子;ヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドもしくはその合成アナログ(修飾されていても非修飾であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない);アミノ酸またはそのアナログ(修飾されていても非修飾であってもよい);非ペプチド(例えば、ステロイド)ホルモン;プロテオグリカン;脂質;または炭水化物をいう。低分子(無機系および有機系化学物質を含む)もまた、検出可能な存在物として有用である。特に好ましい態様では、生物学的に活性な分子は、医薬的に活性な検出可能な存在物、例えば同位体である。
検出可能な存在物は、光または他の電磁放射線などの検出可能なシグナルを発し得る。検出可能な存在物は、当該技術分野で公知の放射性同位体、例えば、32Pもしくは35Sもしくは99Tc、または(以下に説明するような、かかる放射性同位体とコンジュゲートした)核酸、ポリペプチドなどの分子、または他の分子であり得る。検出可能な存在物は、X線放射などの放射に対して不伝導性であり得る。検出可能な存在物はまた、これを特定の細胞、組織、器官または動物の身体内の他の区画に指向させる標的化手段を含み得る。例えば、検出可能な存在物は、生物体内の規定の分子、組織または細胞に特異的な放射標識抗体を含み得る。
検出可能な存在物は、染料(アゾ染料、有機系顔料、シバクロン(cibacron)ブルーなど)を含み得る。
検出可能な存在物は、上記記載のような1つ以上の存在物含み得、特に、2種以上もしくは複数の任意の前記存在物、または前記存在物の1つ以上の組合せを含み得ることは認識されよう。
検出可能な存在物の結合
好ましい態様において、検出可能な存在物は、コンパクト形状を有するコンパクト粒子に結合させ、該存在物を含む該コンパクト粒子を、支持媒体内に支持させる。好ましい態様において包埋媒体が用いられる場合、検出可能な存在物を含むコンパクト粒子は、包埋媒体内に包埋する。
検出可能な存在物は、コンパクト粒子に、結合、連結、融合、混合、組合せ、または、そうでなければ、接合させ得る。例えば検出可能な存在物とコンパクト粒子の間の結合は、永久または一時的であり得、共有または非共有相互作用(水素結合、イオン性相互作用、疎水性力、ファンデルワールス相互作用など)を含み得る。
非常に好ましい態様では、検出可能な存在物を、コンパクト粒子に、当該技術分野で公知であり、以下にさらに詳細に記載するリンカーによって化学的に連結させる。かかる化学的連結の使用により、検出可能な存在物の量をコンパクト粒子に正確に連結させることが可能になる。
用語「結合した」は、コンパクト粒子と検出可能な存在物間の永久的または半永久的会合を含意し、好ましくは、検出可能な存在物が、好ましくは化学的にコンパクト粒子に連結される。とは言うものの、これらの可能性に限定するように解釈すべきではない。それよりも、結合は、検出可能な存在物とコンパクト粒子との任意の会合を指すよう解釈されるべきであるが、会合が、検出可能な存在物が支持または包埋中およびその後のコンパクト粒子の配置および/または形状によって実質的に規定される形状をとるのに充分であれば、一時的または緩いものを指すよう解釈されてもよい。支持する(好ましくは、媒体中に包埋する)工程(1つまたは複数)中に、コンパクト粒子が検出可能な存在物を所定の位置に保持することが、重要なのである。
コンパクト粒子は、単に、検出可能な存在物を保持し、そうでなければ、これを拡散または洗浄除去されるのを妨げ得る。保持時間は、一時的であってもよく、支持または包埋工程の実質的部分、好ましくは該工程の過程全体を通して持続し得る。
好ましい態様において、検出可能な存在物は、共有結合によりコンパクト粒子に結合させる。かかる好ましい態様では、検出可能な存在物は、コンパクト粒子を構成する1つ以上の分子に化学的に連結または架橋させる。化学的連結の好ましい方法を、以下に、表題「連結」のセクションにさらに詳細に記載する。言うまでもなく、この態様におけるコンパクト粒子に連結された検出可能な存在物の量は、どれだけ多くの検出可能な存在物が断面に提示され、したがって染色レベル達成されるかを制御する。
スペーサー
さらにまた、ある態様において、検出可能な存在物とコンパクト粒子の成分またはコンパクト粒子との間にスペーサー手段を含めることが望ましい場合がある。かかるスペーサー手段は、好適には、当該技術分野で公知のリンカーまたはスペーサーを含み得る。スペーサー手段の目的は、例えば立体障害を回避し、検出可能な存在物の検出を促進するために、検出可能な存在物をコンパクト粒子(またはコンパクト粒子の他の成分)から隔てることである。したがって、適用用途に応じて、短い、または長いスペーサーの使用が好ましかろう。
スペーサー手段は、異なる長さ(その長さは、重合度を制御することにより制御され得る)のポリマーであるリンカーまたはスペーサー含み得る。数多くのスペーサーおよびリンカーが当該技術分野で公知であり、適用用途に応じて、これらをどのように選択および使用するかは当業者にはわかるであろう。また、どれだけのスペーサー長さを使用するかも当業者にはわかるであろう。
スペーサーは、例えば、ポリエチレングリコール、PEG誘導体またはポリアルカンまたはホモポリアミノ酸で作られたものであり得る。当該技術分野で公知のデキストランおよびデンドリマーもまた使用され得る。特に、リンカーまたはスペーサーは、ヌクレオチドポリマー(核酸、ポリヌクレオチドなど)またはアミノ酸ポリマー(タンパク質、ペプチド、ポリペプチドなど)を含み得る。
例えば、検出可能な存在物がペプチドまたはポリペプチドを含む場合、これは、さらなるアミノ酸残基(これらはスペーサーまたはリンカーを構成する)と一緒に合成または発現(例えば、融合タンパク質として)され得る。スペーサーまたはリンカーは、検出可能な存在物と隣接している必要はない。しかしながら、それ自体がそれに連結してもよく、任意の適切な手段により、例えば以下に記載する架橋剤の使用により共有または非共有(前記のように)結合させてもよい。
ペプチドがスペーサーとして使用される場合、ペプチドスペーサーの立体構造および長さは、ペプチド合成法自体のみによって制限されることが認識されよう。したがって、例えば、ペプチド合成法の自由度は、長鎖、短鎖および分枝鎖ペプチド(天然および非天然アミノ酸を有するペプチド)の合成を許容する。特に、分枝鎖スペーサー、例えば分枝鎖ペプチド構造体の使用は、1分子より多い検出可能な存在物をスペーサーまたはリンカーに結合させるのを可能にするため望ましい。さらにまた、分枝鎖またはツリー構造体を有するスペーサーは、1種類より多い検出可能な存在物の連結または結合を可能にする。例えば、第1の検出可能な存在物をスペーサーの一方のアームに連結し、第2の検出可能な存在物を第2のアームに連結させ得るなどである。さらにまた、異なる量の同じまたは異なる検出可能な存在物を各アームに連結させ得る。
プロトコルの例
このセクションは、検出可能な存在物が、コンパクト形状を有するコンパクト粒子に結合され得る好ましい非限定的な手順の簡潔な概要を示す。
例えば、インタクト昆虫sf9細胞ならびにホルマリン固定およびパラフィン包埋(FFPE)手順を用いて参照標準を作製するプロセスは、以下の手順工程の1つ以上を含む。(1)遠心分離により培地から単離および洗浄する前に、細胞を懸濁培養物としてスピナーフラスコ内の培地で、制御された環境にて培養させる(図14A、BおよびC)。(2)懸濁液中の細胞を血球計で計測する(図14D)。
(3)FFPE調製物として加工する前に、懸濁液中の細胞をヘテロ二官能性架橋剤で活性化させ(図14E)、遠心分離および再懸濁の反復により洗浄し、ペプチドで連結し、再び洗浄し、計測する。(4)細胞をアガロースシリンダー内に包埋し、一晩固定した後、レンズクリーニングペーパーに包み、取扱いを容易にするため組織カプセル(histocapsule)内に入れる(図14F)。(5)ゲル包埋細胞を、エタノール/水混合物の後キシレンでの逐次処理により脱水し、続いて溶融パラフィン中への浸透および最終ブロックに注ぐ。(6)パラフィンブロックをミクロトーム上で切断し、スライドに載せ、脱パラフィンし、免疫学的可視化(immunovizualize)し、標準組織試料として顕微鏡で評価する。
細胞学的調製物には、工程3後の細胞懸濁液を、Cytospin、Autocyte/TriPathまたはThinPrepTM手順を用いてスライド上に載せた後、免疫学的可視化し、標準試料として顕微鏡で評価する。フローサイトメーターで評価した細胞学的調製物では、希釈細胞懸濁液を蛍光標識試薬を用いて免疫学的可視化し、常套的フローサイトメーターで評価する。
膨潤
いくつかの態様では、コンパクト粒子は、検出可能な存在物との会合前または会合中に少なくとも部分的に膨潤し得る。好ましい態様において、コンパクト粒子を、検出可能な存在物への化学的連結前または化学的連結中に、部分的または完全に膨潤させ得る。
用語「膨潤」は、文脈によっては、不溶性ポリマーゲル中への溶媒の取込みへの言及と解釈され得るが、本発明者らの用語の使用はより一般的であり、具体的には、マイクロビーズなどのコンパクト粒子の体積もしくは表面積または部位(好ましくは内部部位)への接近性を増加させるための機械的、物理的または化学的処理を含むことを意味するものとする。
コンパクト粒子の膨潤は、検出可能な存在物が表面部分に加えてコンパクト粒子の内部に接近するのを可能にする。次いで、検出可能な存在物のコンパクト粒子のコア部分への浸透度、したがってそれとの連結を、調節または制御し得る。コンパクト粒子内の検出可能な存在物の得られた異なる調節分布パターンを、細胞内でのその分布に応じて異なる検出可能な存在物に使用し得る。
コンパクト粒子は、種々の手段によって膨潤させ得る。例えば、コンパクト粒子を機械的に処理し得る。コンパクト粒子は、引き裂くこと(teasing apart)などによって機械的に切開し得る。膨潤または収縮の程度は、場合によっては機械的作用または引き裂きの量を制御することにより制御され得る。
しかしながら、好ましくは、コンパクト粒子を、膨潤剤に曝露することによって膨潤させ、その吸収または吸着によりコンパクト粒子の体積を変化させる(好ましくは増加する)ことが可能になる。膨潤剤の好ましい例は水である。膨潤剤を使用する場合、膨潤の程度は種々の方法によって調節し得る。例えば、一定量のコンパクト粒子に曝露される水などの膨潤剤の量は種々であり得る。さらにまた、膨潤剤または水のコンパクト粒子への曝露の時間もしくは温度または両者も、曝露される量の制御とともに、または無関係(instead of)で変わり得る。
好ましい態様において、検出可能な存在物とコンパクト粒子との連結は、最適には有機系媒体などの非水性媒体中で起こるものである。好ましい有機系媒体は、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、アセトンまたはジメチルホルムアミドであり、これらは、好ましい連結および活性化試薬、例えば、ビニルスルホン、アズラクトン、塩化シアヌル、ジクロロトリアジン、クロロトリアジン、イソシアネート、N-ヒドロキシルスクシンイミドエステル、アルデヒド、エポキシド、カルボニルジイミダゾール、シアノゲンブロミド(cyanogenbromide)、トレシルクロリド(tresylchloride)、ブロモアセチルおよびアルキルブロミドと相溶性である。
かかる場合では、膨潤の量または程度は、ある量の異なる溶媒を非水性媒体中に添加することによって簡便に制御され得る。換言すると、膨潤の程度は、種々の比率の非水性媒体と水の混合物中での連結を許容することによって、またはトルエンとアルコールなどの異なる非水性溶媒を混合することによって制御され得る。
有機系、無機系、水混和性、水非混和性などのいずれかの(whether)溶媒の混合物もまた使用され得る。溶媒混合物は、任意の混合可能な溶媒(例えば、好ましいアルコールと水、アセトンと水、アルコールとトルエン、トルエンとジメチルホルムアミド)またはその任意の混合物でであり得、これらはコンパクト粒子および使用される連結化学反応に適合性である。
かかる場合では、膨潤の量または程度は、ある量の水を非水性媒体中に添加することによって簡便に制御され得る。換言すると、膨潤の程度は、種々の比率の非水性媒体と水の混合物中での連結を許容することによって制御され得る。存在する水が多いほど膨潤の量は大きくなる。
コンパクト粒子は、連結中または連結前に実質的に完全に膨潤させてもよい。すると、検出可能な存在物は、コンパクト粒子の内部またはコアに接近し、そこに連結することができ、かかるコア部分に少なくともある程度の染色をもたらす。極端な場合では、検出可能な存在物は、コンパクト粒子の断面の実質的にすべての部分に連結される。関連する抗体への曝露は、均一な染色(すなわち、コンパクト粒子のコア領域と周縁領域の両方における染色)をもたらす。コンパクト粒子および参照標準の断面プロフィールは、したがって、検出可能な存在物の均一な分布を有する。かかる態様は、検出可能な存在物が、細胞膜および細胞質の両方に、あるいは細胞の実質的にすべての部分にわたって分布を有することがわかっている場合に好ましい。
検出可能な存在物が、細胞質中にある程度の分布を有するが、おそらく大部分は細胞膜に存在することがわかっている場合、またはそう思われる場合、染色のかかる分布またはパターンは、連結中または連結後にコンパクト粒子が部分的に膨潤するのを可能にすること、またはこれを許容することによって模倣され得る。部分的膨潤により、断面はコア部分と比べて表面部分に実質的により多くの検出可能な存在物を有するコンパクト粒子が生成する。抗体染色は不均一であり、コンパクト粒子の周縁または表面領域に集中し、限定的な内部染色を伴う。
膨潤が起こるのが許容されない場合、検出可能な存在物の分子は、コンパクト粒子の表面部分と反応および連結するだけである。検出可能な存在物は、コンパクト粒子の周縁または表面部分と接近および連結することができるだけである。コンパクト粒子の内部またはコア部分において連結が起こらない場合、実質的に表面に限定された染色がもたらされる(濃い表面染色、内部染色なし)。
このことは、実質的にコンパクト粒子の外側部分に限定され、コンパクト粒子の内部またはコア部分に実質的に染色のない、検出可能な存在物の断面分布を伴うコンパクト粒子をもたらす。得られるプロフィールは、したがって「環」形状を有する。かかる環形状は、検出可能な存在物が細胞の細胞表面に限定されることがわかっている場合に有用であり得、染色パターンは両方の場合で類似する。膨潤が起こるのが許容されない記載の参照標準は、したがって、例えば膜タンパク質または細胞表面レセプターである検出可能な存在物の存在、量および/または分布を測定するための標準として実用的に用いられ得る。
さらにまた、膨潤を調節することにより前記のようにして達成される異なる分布は、剤の細胞侵入をモニターする目的に用いられ得ることは認識されよう。したがって、例えば、これらは、薬物などの特定の剤が細胞膜を通過し、細胞内に浸透することができるかどうかを追跡するために使用され得る。Drosophila Antennapaediaタンパク質またはHIV TAT(またはその断片)などの膜転位配列(MTS)の効率をこのようにモニターしてもよい。
コンパクト粒子のコンパクト形状、したがって検出可能な存在物は、いくつかの方法により媒体中で確立される。最も単純には、媒体は、検出可能な存在物が結合した状態で含有するコンパクト粒子の周囲に形成される。例えば、パラフィンなどの包埋媒体を熱で処理し、溶融し、溶融包埋媒体をコンパクト粒子周囲に注ぎ、いったん固化すると包埋媒体はコンパクト粒子を内部に包み込む。かかる状況では、プロセス中に、コンパクト粒子を、例えば骨格(scaffold)または他の支持体によって所定の位置に保持させることが望ましかろう。かかる骨格は、1つより多いコンパクト粒子、好ましくは多数のコンパクト粒子を特定のパターンで保有する機能を有し得る。いったん包埋媒体が固化したら、骨格をコンパクト粒子またはコンパクト粒子群から除いてもよい。
さらにまた、コンパクト粒子は、包埋媒体内に包埋する前に別の媒体内に包埋または支持させてもよい。かかる態様を、図11および12に示すフローチャートに図示するが、これは、アガロース包埋工程を含む。この態様では、コンパクト粒子をアガロースゲル(これを溶融してコンパクト粒子の周囲に注ぎ、内包させてもよい)のコンテクスト内の所定の位置に保持する。コンパクト粒子は、この手順の間に、前記のような骨格によって所定の位置に保持させてもよい。次いで、内包されたコンパクト粒子を含むアガロースゲルの細片または部分または塊をカットしてもよい。次いで、アガロース塊自体を、例えば、前記のように包埋媒体を溶融する、注ぐおよび固化させることにより、包埋媒体内に包埋する。かかる態様の利点は、アガロースゲルが、そのままのコンパクト粒子と比べ、より容易に取り扱えることである。言うまでもなく、アガロースゲルは充分な剛性を有するべきであり、0.5%〜1%、2%、3%、4%、5%またはそれ以上のアガロース濃度が必要とされ得る。
また、アガロース内に包埋されたコンパクト粒子(パラフィン包埋なし)は、それ自体を参照標準として使用し得ることは明白であろう。かかる態様では、包埋媒体はアガロース自体である。包埋コンパクト粒子を含むアガロース塊を、本文書中で別途記載のようにして切片に切断し、後の固定および染色手順のための薄片または切片を作製する。この目的のため、アガロースブロックを凍結させてもよく、その結果、スライスするのがより容易になる。
参照標準の用途
上記のように、本明細書に記載の参照標準は、「標準」を確立するための簡単な手段、換言すると、検出可能な存在物の測定可能な性質の確立された値を提供する。また、試料または試験項目における同じか、類似するか、または異なる存在物の同じまたは別の性質を測定し、値を比較し得る。
最も一般的な意味では、参照標準は、検出可能な存在物の存在が顕在化されるのを可能にする。したがって、ある目的には、しばしば、参照標準内の検出可能な存在物の存在に関する情報を単に得ることで充分である。しかしながら、別の目的には、検出可能な存在物の1つ以上の特徴に関する情報が所望されることがある。したがって、例えば、寸法、量、質、色、配向、位置、反応性 (またはこれらの任意の2つ以上の任意の組合せ)などの特徴などが測定され得る。また、参照標準は、単一の方法の1つ以上の手順を確認(validate)するためにも使用され得る。
色標準
一態様において、検出可能な存在物の色を検出または測定する。したがって、例えば、一連の染色実験において色標準を有することが望ましいことがある。この場合、本明細書に記載の参照標準を、予備測定された色を有するか、またはこれを提供するために染色された検出可能な存在物を含めることによって、「標準」色を提供するために使用し得る。
かかる「色標準」の使用は、作業者が、試料(染色されていてもよい)が「標準」色と類似するのか異なるのかを判断することを可能にする。例えば、染色するとき、試料が陽性であれば、ある程度の青色を生じることが期待され得、参照標準は、したがって、かかる青色を生じるように染色されるか、または染色され得る検出可能な存在物を含む。試料の色は、このように、参照標準により提供される青色と比較され、試料が陽性とみなわされるか否かが確立され得る。
さらにまた、「色標準」は、例えば、光学機器の較正用としても使用され得る。光学機器の使用中に生じる色検出における色ずれまたは誤差は、したがって、機器の標準色に対する応答を比較すること、および必要であれば適当な調整によって抑制または調整され得る。より正確な較正のため、例えば異なる波長の2つ以上の「標準」色を参照標準に含めてもよい。
位置標準
参照標準内の検出可能な存在物の位置が検出または測定され得る。したがって、期待される色を含む領域が作業者または機器によって検出され得、例えば、試料内のグリッド位置の参照点を確立することができる。かかる参照点と試料内の点間の間隔は容易に測定され得、参照標準または試料内の距離、面積または容積に関する情報が提供される。参照標準または位置標準は、2つ以上のかかる位置標準、好ましくは3つ以上の位置標準を含み得る。同じまたは異なる色の多数の色位置の使用は、三角測量による寸法決め、位置決めおよびナビゲーション(navigation)のより高い正確性を可能にする。
量/質標準
他の態様においては、検出可能な存在物の量が検出または測定される。これは、結合剤との反応によって最も容易に達成され、この目的のために結合剤を標識し得る。好ましくは、結合剤は、検出可能な存在物に化学量論的に結合する。次いで、結合剤による染色の強度は、検出可能な存在物の分量または量に関する情報をもたらす。しかしながら、強度だけでなく、染色の他の特徴も同時に重要または有用であり得ることは認識されよう。
確認標準
本文書中で別途記載した他の用途に加えて、本明細書に記載の参照標準は、単一の方法の1つ以上の手順工程を確認または検証するために使用され得る。確認および検証により、本発明者らは、具体的には手順工程の成功、有効性または効率が測定されるプロセスをいう。
一般的に、本発明者らは、本明細書に開示した検出可能な存在物用の参照標準を提供すること、該手順を参照標準またはその部分(特に、その薄片または切片)に適用すること、および手順の結果としての検出可能な存在物の性質の変化を検出することを含む、手順の確認方法を開示する。変化する検出可能な存在物の性質は、好ましくは、手順の成功または不成功(または相対的な成功もしくは不成功)を示すものである。特に、検出可能な存在物は、成功の場合には手順によって修飾が除去されるような様式で修飾されてもよい。あるいはまたさらに、検出可能な存在物は、該手順によって修飾されてもよい。各場合において、修飾は、手順の成功または不成功を検出するための手段として容易に検出可能なものである。
したがって、本発明者らは、(a)検出可能な存在物の検出可能な性質が手順の結果として変化する、本文書中に記載の参照標準を提供する工程、(b)参照標準に対して該手順を実施する工程、および(c)検出可能な存在物の検出可能な性質における変化を検出する工程を含む、手順の有効性または成功の評価方法を開示する。
一態様において、検出可能な存在物の検出可能な性質は、成功裡の手順の結果として変化し、検出可能な存在物の検出可能な性質におけるこの変化を検出し、該手順が成功裡であることを確立する。あるいはまたさらに、検出可能な存在物の検出可能な性質は、成功裡でない手順の結果として変化し、検出可能な存在物の検出可能な性質のこの変化を検出し、該手順が成功裡でないことを確立する。
本発明者らはまた、本文書中に記載する参照標準の抗原回復確認標準、脱パラフィン化標準、ブロッキング確認標準、洗浄確認標準、一次抗体確認標準、二次抗体確認標準、較正標準または診断用標準としての使用を開示する。検出可能な存在物は、好ましくは、検出可能であり、手順の結果として変化する、すなわち、手順が成功裡か成功裡でないかの属性を含む。
特に、本明細書に記載の参照標準は、伝統的なIHC染色手順において用いられる工程の任意の1つ以上を確認するために使用され得る。かかる工程には、パラフィンの除去、抗原回復(AR)、ブロッキング、内因性ビオチンブロッキング(例えば、ビオチン系可視化系を使用する場合)、内因性酵素ブロッキング(例えば、ホスファターゼまたはペルオキシダーゼ活性)、1つ以上の洗浄工程、一次抗体などの顕在化剤とのインキュベーション、二次可視化成分とのインキュベーション、色原体染色(例えば、酵素触媒された)、染色情報の取得および解析が含まれ得る。
特に、参照標準は、i)特定の染色手順における細胞集団を染色する可視化系の能力または機能性の検証、ii)特定の染色手順における細胞集団を染色する一次抗体の能力または機能性の検証、iii)陽性染色細胞を計測するための染色閾値強度の規定、iv)2つ以上の染色集団間の診断用閾値強度比の規定またはv)染色プロトコルにおける個々の試薬(例えば、抗原回復、洗浄効率、ペルオキシダーゼ活性のブロッキングおよび二次可視化試薬)の機能の検証を確認するために使用され得る。
非常に好ましい態様では、参照標準は、一次抗体の添加、抗原回復工程、二次可視化試薬の添加および染色情報の取得および解析の工程のための確認標準として使用され得る。
一般手順の確認標準
特定の一態様において、検出可能な存在物は、ストレプトアビジンまたはアビジンを含み得る。ストレプトアビジンまたはビオチンは、コンパクト粒子に結合させ得る。得られた参照標準を、次いで、ある特定の試薬の正確な添加(例えば、正確な一次抗体とのインキュベーション)のための簡単なインジケータとして使用し得る。例えば、少量のビオチン化マウス抗体を他の欠陥(vice)非標識一次抗体溶液に添加することにより、可視化系は、特定のスライドにおいて正確な一次抗体が使用されたとき、参照標準を陽性に染色する。
別の特定の態様において、検出可能な存在物は、免疫グロブリン、例えば、ウサギまたはマウス免疫グロブリンまたは抗体を含み得る。免疫グロブリンは、例えば、これらを用いる態様においてコンパクト粒子に結合し得る。二次可視化系がウサギまたはマウス抗体を認識および染色する能力は、これにより確認され得る。
抗原回復確認標準
参照標準は、抗原回復確認標準として使用され得る。この目的のため、本発明者らは、(a)検出可能な存在物の検出可能な性質が抗原回復手順の結果として変化し、検出可能な存在物の検出可能な性質として1つ以上のエピトープのマスキングまたは脱マスキングを含む、本文書中に記載する参照標準を提供する工程、(b)参照標準に対して抗原回復手順を実施する工程、および(c)検出可能な存在物の検出可能な性質における変化を検出する工程を含む、抗原回復手順の有効性または成功の評価方法を開示する。
非常に好ましい態様では、参照標準内の検出可能な存在物は、1つ以上のエピトープ(これらの一部またはすべては、成功裡である抗原回復手順において脱マスクされる)をマスクするために修飾する。
抗原回復(「AR」)手順は、通常は染色され得ないか、または染色レベルが抗原回復プロセスに強く依存する検出可能な存在物を含有する参照標準を用いることによって標準化またはモニターすることができる。
検出可能な存在物は、完全または部分的にその抗原性を喪失するように修飾され得る。換言すると、検出可能な存在物の1つ以上のエピトープを人工的または自然にマスクし得る。正確な抗原回復は、エピトープ(1つまたは複数)または抗原を脱マスクし、後の手順において検出可能な存在物の正確な染色により顕在化される。
抗原性のマスキングまたは喪失(これは、1つ以上のエピトープに影響し得る)は化学的に行なわれ得る。例えば、上記のような同じ免疫グロブリンで修飾されたコンパクト粒子は、例えばホルムアルデヒドで固定され得る。特に、検出可能な存在物は、ホルムアルデヒドによる過剰(over)固定によって「マスクされ」得、ほとんどまたはすべてののエピトープの喪失および参照材料内での低拡散をもたらす。
パラホルムアルデヒドまたは当該技術分野で公知の任意の他の固定剤もまた使用され得る。アセチル化、アルキル化または、そうでなければマスキング試薬による誘導体もまた、この目的のために使用され得る。数多くの方法が、有機系化学反応文献からわかる(例えば、シッフ塩基、エステル、エーテルまたはヘミアセタール誘導体)を用いるマスキング。
マスキングはまた、例えば、好適なマスキング抗体または他の結合剤の使用により免疫学的に行なわれる。参照材料は、したがって、一次抗体または二次可視化系のいずれかのための、化学的および/または免疫学的にマスクされた標的を含み得る。
脱マスキングまたは脱保護は、化学選択的(chemoselective)抗原回復またはランダム抗原回復のいずれかによって達成され得る。マスクされた標的(これは、過剰な抗原回復手順が使用された場合にのみ染色される)もまた用いられ得る。
かかる参照標準は、正確な抗原回復のインジケータとして使用することができる。正確な抗原回復手順は、免疫グロブリンを脱マスクし、この態様の参照標準を染色する。他のタンパク質またはペプチドを有するコンパクト粒子は、例えばホルムアルデヒドで固定され得、それにより全体としてその抗原性を喪失する。かかる参照標準は正確な抗原回復を示す。正確な抗原回復手順は、免疫グロブリンを脱マスクし、この態様の参照標準を染色する。
脱パラフィン化標準
参照標準は、脱パラフィン化のため、すなわちパラフィンの除去工程のための確認標準として使用し得る。
この目的のため、本発明者らは、(a)検出可能な存在物の検出可能な性質が脱パラフィン化手順の結果として変化し、検出可能な存在物の検出可能な性質として脱パラフィン化手順後の参照標準内の検出可能な存在物の存在または量を含む、本文書中に記載する参照標準を提供する工程、(b)参照標準に対して抗原回復手順を実施する工程、および(c)検出可能な存在物の検出可能な性質の変化を検出する工程を含む、脱パラフィン化手順の有効性または成功の評価方法を開示する。
非常に好ましい態様では、参照標準内の検出可能な存在物は、脱パラフィン化媒体中に溶解性であり、検出可能な存在物の少なくとも一部、好ましくは全部が、成功裡の脱パラフィン化手順後に除去される。
したがって、例えば二次可視化系によって検出される非共有結合し、水不溶性の標的を有する参照材料は、染色された場合は、不十分な脱パラフィン化を示し得る。
例えば、伝統的なIHC手順において、脱パラフィン化は、トルエンまたは例えば柑橘類またはココナッツ油で洗浄した後、アルコール/水溶液中での再水和によって行なわれる。したがって、かかる目的に使用される参照標準は、支持媒体内のその位置から容易に分離または除去または遊離(dislodge)される検出可能な存在物を含み得る。例えば、これらは、ある特定の態様において、例えば非共有手段によりコンパクト粒子に緩く結合し得る。かかる目的のためには、検出可能な存在物は水不溶性であることが望ましい。脱パラフィン化工程が、正しく行なわれると、検出可能な存在物は、二次可視化系などの試薬によって顕在化されないはずである。
さらにまた、染料などのマーカーをパラフィンに添加してもよい。かかる染料は、好ましくは、検出可能な存在物、または上面に検出可能な存在物が結合したコンパクト粒子を染色し得る。不十分な脱パラフィン化が起こった場合は、染料の存在が容易にヒトの目に見える(または画像解析システムなどの機器により容易に検出される)。これは、不十分な脱パラフィン化が起こったことを示す。
ブロッキング確認標準
本明細書中に記載される参照標準はまた、任意のブロッキング工程、例えば、内在性ビオチン活性または酵素活性等の内在性の活性のブロッキングを確認するために使用してもよい。
かくして、例えば、ビオチンまたは他のハプテンは、組織中に天然に蓄積されており、ビオチンまたは他のハプテンを用いた可視化システムを用い得る前に、ブロッキングする必要がある。内在性ビオチンの存在のために、二次(例えばヤギ抗マウスまたはヤギ抗ウサギ)可視化システムが、より少ない「バックグラウンド」ノイズを生じるので好ましい。ブロッキングを確認するために、参照物質は、可視化システムで用いられる、存在する場合にコンパクト粒子に合し得るビオチン(またはジゴキシゲニンもしくはDNPのような他のハプテン)を含み得る。この参照物質の陽性染色は、不十分なビオチンブロッキング−例えば非反応性試薬、スライド上での不十分な混合/拡散または短すぎるインキュベーション時間による−を示す。
参照物質はまた、検出可能な存在物として、酵素触媒染色系で用いられる共有結合した酵素を含んでもよい。用いられる典型的な酵素は、ペルオキシダーゼまたはホスファターゼである。例えば、検出可能な存在物は、ホースラディッシュペルオキシダーゼを含んでもよい。あるいは、またはさらに、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼで修飾されたコンパクト粒子を、正確で効率のよい内在性過酸化物ブロッキングを確認するために用いてもよい。最後の過酸化物色素原工程の後にまだ参照標準が染色されていない場合は、ブロッキングは効率的であると判定される。
かくして、この参照標準物質の陽性染色は、不十分な、潜在性の酵素ブロッキング−例えば非反応性試薬、可逆性ブロッキング、スライド上での不十分な混合/拡散または短すぎるインキュベーション時間による−を示す。該物質は、抗原回復参照物質と組み合わせ得る。
洗浄確認標準
また、参照標準を用いて、任意の数の洗浄工程、例えばバッファーでの洗浄の効率を確認してもよい。参照物質は、一次または二次可視化システムのいずれかのために、有機溶媒に不溶性(例えば、トルエン不溶性)で部分的に水不溶性の検出可能な存在物を含み得る。標的は、参照物質において共有結合するべきではない。これは、イオン対形成もしくは金属錯体結合によって、または単純に吸着によって結合し得る。
標的は、洗浄バッファーが物質中に拡散し、標的を除去する能力を試験するために、高分子量を有し得る。参照物質の分子量カットオフ(「MwCO」)は、例えば孔サイズまたは固定の程度の選択によって、標的のMwに合わされるべきである。
この参照物質の陽性染色は、不十分な洗浄−例えば洗浄工程の数、用いられるバッファーのタイプ、スライド上での不十分な混合または低すぎる温度もしくは拡散時間のいずれかによる−を示す。この目的のために、マウントされた試料組織切片および参照物質は、好ましくは同じ厚さを有する。
あるいは、標的は、参照物質にトラップされた、検出可能な高分子量色素と置換され得る。色素は、効率的な洗浄によって除去され−洗浄が不十分または効果的でない場合だけ、存在する。あるいは、部分的に水溶性の物質でできたコンパクト粒子(または検出可能な存在物)を含む参照標準が用いられ得る。コンパクト粒子または検出可能な存在物が消失した場合、洗浄は効率的である。
一次抗体確認標準
参照標準は、任意のインキュベーション工程、例えば、正しい一次抗体を用いたインキュベーションの工程に対する標準として用いてもよい。IHC染色における、最も重要な人為的ミスは、誤った抗体を用いたインキュベーションである。
したがって、正しい一次抗体の添加またはインキュベーションの確認における使用のための参照標準は、結合パートナーに結合(好ましくは特異的に結合)できる検出可能な存在物を含み得る。結合パートナーは、一次抗体溶液に「マーカー」として加えられ、検出可能な存在物に結合または特異的に接着し、そのため正しい一次抗体が用いられたことを示す。一次抗体は「マーカー」を含む形態の固体であり得ることが理解されよう。
特定の例として、検出可能な存在物は、ストレプトアビジンを含むか、ストレプトアビジンからなってもよく、「マーカー」はビオチンを含むか、ビオチンからなってもよい。例えば、一次抗体は、参照標準中の検出可能な存在物、例えばビオチンを含むか、ビオチンからなる検出可能な存在物に特異的に接着するビオチン化された関連性のないマウス抗体を補足されてもよい。参照標準の薄片または切片を採取した場合(好ましくは)、参照ドットは、正しい抗体が用いられた場合に、可視化システムによって陽性染色される。一次抗体はそれ自体、ビオチン、および「マーカー」としての機能で修飾され得、さらなる「マーカー」が厳密に必要なわけではないことが理解されよう。
二次抗体確認標準
二次抗体の添加の確認における使用のために、参照物質は、共有結合したマウスもしくはウサギ抗体またはその断片を様々な密度で含み得る。この参照物質の陽性および段階的染色により、二次可視化システムの機能性が確認される。同じ参照物質は、抗原回復工程の確認に有用な参照物質と組み合され得る。
較正標準
段階的一次または二次染色の種々の参照物質の分析の他に、参照システムは、カメラ、光学機械およびソフトウエアアルゴリズムの較正に適した永続する色および物理的な形態からなるか、これらを含み得る。
したがって、さらに別の側面において、参照標準は任意の装置、例えばデジタル画像処理装置または任意の自動画像解析システムのためのキャリブレータとして働き得る。これは、例えば特定の色、強度または特定の数の事象を規定することによって達成され得る。これは、自動スキャナおよび顕微鏡において特に有用である。染色された物質を免疫学的染色または特殊な染色と組み合わせることによって、スライド顕微鏡上の方向付けおよびナビゲーションがより容易になり得る。
かかる参照物質は、大きさ、色、色スペクトル、染色領域間の境界、対比染色レベルおよびバックグラウンドの規定を助け得る。
上記のことから、1つ以上の手順の工程を確認するために用いることができる参照標準の構築が可能であることが理解されよう。例えば、任意の方法における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12以上の手順の工程を確認することができる参照標準が開示される。かかる参照標準は、上述のように、同じかまたは異なる、複数(または1つより多い)の検出可能な存在物を適切に含んでもよい。参照標準における検出可能な存在物の配列は、好ましくは、参照標準から採取した得られる薄片または切片が、アレイ中で適切に配列された1つより多い「ドット」または参照領域を含むものである。
かかる参照標準は、例えば9つの異なる参照物質の「スポットアレイ」を含む、薄片または切片を生じさせ得る。例えば、それらは一次抗体に対する標的を有するスポットを、異なる密度で含んでもよい−段階的染色レベルを生じる工程;二次可視化システムに対する軽く段階的に固定された標的を有するスポット−抗原回復工程の一般的な確認;一次抗体に対する軽く段階的に固定された標的を有するスポット−染色に必要な特異的標的抗原回復工程または「閾値」抗原回復の確認;二次可視化システムに対する「過剰に固定された」標的を有するスポット−抗原回復工程の一般的な確認;二次可視化システム(例えばマウスまたはウサギAb)に対する標的を異なる密度で有するスポット−二次可視化システムの一般的な確認;ペルオキシダーゼおよび/またはホスファターゼ活性を有するスポット−内生植物(endogen)酵素ブロッキング工程の確認;結合ビオチンを有するスポット−内生植物ビオチンブロッキング工程の確認(例えばLSAB型の可視化システムが用いられた場合;非共有結合した、二次可視化システムに対するいくらか高分子量の標的を有するスポット−洗浄工程の一般的な確認;別個の、同種のおよび永続的な形状、大きさおよび色を有するスポット−自動画像解析システムの較正。
大いに好ましい態様において、参照標準は、患者試料組織と同じスライド上に一連の参照「スポット」を含む。かかる態様において、画像解析ソフトウエアによって確認を自動的に行うことが可能である。
診断標準
大いに好ましい態様において、参照標準は、診断標準として用いられるか、用いられ得る。これにより、検出可能な存在物が細胞の状態、好ましくは細胞の生理学的または医学的状態を明らかにする目的のために検出されることを意味する。しかしながら、ある場合、またはそれより多い場合において、検出可能な存在物の性質の単なる検出は、医学的診断を提供するのに本質的に不十分であり得ることは理解されよう。したがって、ある場合においては、診断を確立するために他の試験を行うことが望ましくあり得ることが理解されよう。
参照標準が診断標準として使用される態様において、検出可能な存在物は、細胞の健康または疾患状態の指標等の細胞の状態の指標、例えば疾患マーカーを適切に含む。かくして、検出可能な存在物は、関連する試料中のその存在または量によって、試料が採取された器官の状態(健康の状態または疾患の状態等)を示し得る。疾患マーカー、特に癌マーカーは、下でより詳細に議論する。
好ましくは、参照標準は、その断面が、ある量の検出可能な領域を含む規定された領域を含むものである。これは、例証として、図4B、5A、5B、8F、9Bおよび10に示す。参照標準または断面中の検出可能な存在物の量は、試料中の量が同一もしくは同様な量、または標準中の量より少ない量、またはより多い量で存在するかどうかを確立するために、試料中の量と比較してもよい。しかしながら、試料中の検出可能な存在物の存在および/または量の検出には、本明細書中に記載される参照標準が最も有用であるが、これは試料中の検出可能な存在物が参照標準の検出可能な存在物と同じか異なるかを示すためにより単純に用いてもよいことが理解されよう。
参照標準または断面中の検出可能な存在物の量(quantity)または量(amount)は、好ましくは公知の、または予め決められた量である。該量は、下にさらに詳細に記載するように、コンパクト粒子に接着するか保持される量を制御することによって変化させ得る。参照標準の薄片または切片が採取される場合、量の変化はまた、切片または薄片の厚さ(およびそのため捕捉される検出可能な存在物の量)を変えることによって達成してもよい。
大いに好ましい態様において、参照標準中の検出可能な存在物の量は、診断的に関連性のある量を含む。
従来技術と対照的に、正確で既知の量の検出可能な存在物が、記載されるような参照標準中に組み込まれ得る。さらに、従来技術において存在するような試料対試料の変化が克服され得る。その結果は、より正確な段階付けシステムである。
ある態様において、種々の量の検出可能な存在物が参照標準中に存在する。好ましい態様において、参照標準は2つ以上の量の同じ検出可能な存在物を、別々のコンパクト粒子中に含む。好ましくは、ある範囲の量の、増大する量の検出可能な存在物が、好ましくは等差的、またはより好ましくは対数的範囲で提供される。好ましくは、該範囲は診断的または臨床的に関連性のある量の検出可能な存在物を包含し、すなわちある量の検出可能な存在物は、およそその量で、またはその量を越えて試料中に存在する場合、試料が、疾患にかかった、または疾患にかかりやすい細胞または組織を含むか、含むらしいということを示す。
細胞もしくは組織または他の生物学的試料中に存在する量と本発明の参照標準との比較によって、特定の試料が特定の検出可能な存在物に対して「陽性」か「陰性」かの指標が提供される。検出可能な存在物が、癌抗原等の疾患抗原を含む(またはメッセンジャーRNAを含む、癌抗原由来のDNA/RNAを発現する)場合、その存在または量は、関連性のある疾患の特殊症状として用いられ得る。したがって、個体由来の生物学的試料中の検出可能な存在物の存在または量(または両方)と本明細書中に記載されるような参照標準の量とを比較することを含む、個体における疾患の診断の方法が提供される。好ましくは、比較は、参照標準中の臨床的に関連性のある量の検出可能な存在物(すなわち、その量以上で疾患の存在が示されるか、疑われるか、または診断される、試料中のある量)に対して行われる。
特定の態様において、検出可能な存在物は、HER2抗原を含み、細胞または組織は乳房組織を含み、診断されるかその存在が示される疾患は、乳癌を含む。検出可能な存在物はまた、HER2の代わりに、またはHER2に加えて、好ましくはエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(ER)、p16、Ki-67または上皮成長因子受容体(EGFR)からなる群より選択される、他の抗原を含んでもよい(「検出可能な存在物」の節も参照)。これらの任意の2つ以上の混合物を用いてもよい。検出可能な存在物は、上述の任意のものをコードする核酸、または「検出可能な存在物」の節で特定されるような任意の検出可能な存在物を含んでもよい;特に、核酸を含む参照標準が、インサイチュハイブリダイゼーションの標準化に有用である。特に、参照標準はDNA/RNA癌マーカー等の核酸癌マーカー(例えば癌mRNAマーカー)を含んでもよい。
好ましくは、参照標準は、臨床的または診断的に関連性のある量の検出可能な存在物に加えて、陰性対照、すなわち検出可能な存在物を含まないか、または検出できない量で検出可能な存在物を含む、規定された領域または体積または経路を、例えば、コンパクトな、または細長い形態で含む。
診断される疾患は、適切な治療剤の投与によって、任意に治療され得る。かかる薬剤または薬物は、かかる疾患の治療に効果的であることが公知のものであってもよい。特に、治療剤は、抗体、好ましくは検出可能な存在物に対する抗体を含んでもよい。かかる抗体は、参照標準および/または生物学的試料中の検出可能な存在物の染色および検出に用いられたものと同じ抗体を含んでもよく、またはヒト化抗体等のそのバリアント、もしくはScFv等の単鎖抗体でもよい。
特に、検出可能な存在物はHER2を含んでもよく、結合剤は任意の抗HER2抗体を含んでもよく、治療剤はハーセプチン(トラスツマブ、Genentech)等のヒト化抗HER2抗体を含んでもよい。検出可能な存在物は、HER2 RNA、HER2 mRMAまたはHER2 DNA等のHER2核酸を含んでもよい。検出可能な存在物は、HER2核酸に結合できる核酸等の任意の分子を含んでもよく、特にHER2核酸の少なくとも一部に相補的な配列を含んでもよい。
HER2およびハーセプチンは、Pegram M, Hsu S, Lewis GらInhibitory effects of combinations of HER-2/neu antibody and chemotherapeutic agents used for treatment of human breast cancers. Oncogene. 1999; 18: 2241-2251;Argiris A, DiGiovanna M. Synergistic interactions between tamoxifen and Herceptin. Proc Am Assoc Cancer Res. 2000; 41: 718. Abstract 4565;Pietras RJ, Fendly BM, Chazin VRらAntibody to HER-2/neu receptor blocks DNA repair after cisplatin in human breast and ovarian cancer cells Oncogene. 1994; 9: 1829-1838;Baselga J, Norton L, Albanell JらRecombinant humanized anti-HER2 antibody (Herceptinu) enhances the antitumor activity of paclitaxel and doxorubicin against HER2/neu overexpressing human breast cancer xenografts. Cancer Res. 1998; 58: 2825-2831;Sliwkowski MX, Lofgren JA, Lewis GDらNonclinical studies addressing the mechanism of action of trastuzumab (Herceptin). Semin Oncol. 1999; 26 (suppl 12): 60-70;Lewis GD, Figari I, Fendly BらDifferential responses of human tumor cell lines to anti-p185HER2 monoclonal antibodies. Cancer Immunol Immunother. 1993; 37: 255-263およびPegram MD, Baly D, Wirth CらAntibody dependent cell-mediated cytotoxicity in breast cancer patients in Phase III clinical trials of a humanized anti-HER2 antibody. Proc Am Assoc Cancer Res. 1997; 38: 602. Abstract 4044を含む多くの刊行物に記載されている。
他の態様において、1つより多い検出可能な存在物が参照標準中に存在する。特に、単一の参照標準中の複数の異なる型の検出可能な存在物を考える。参照標準中に1つより多い検出可能な存在物が存在する場合、そのそれぞれは同じ一つのコンパクト粒子中にあるか、コンパクト粒子上にあるか、コンパクト粒子と接着してもよく、または1つより多いコンパクト粒子が存在してもよい。後者の場合において、そのコンパクト粒子または各々のコンパクト粒子は、1つ以上の異なる検出可能な存在物を含んでもよい。検出可能な存在物は、同じかまたは異なる量で、そのコンパクト粒子または各々のコンパクト粒子中に存在してもよい。
したがって、2つ以上の異なる検出可能な存在物が支持媒体中に、好ましくは少なくとも1つがコンパクト粒子に接着している包埋媒体中に包埋されて、支持されてもよい。好ましくは、全ての異なる検出可能な存在物は、コンパクト粒子に接着している。参照標準は、単一または1つより多い量の第一の検出可能な存在物および単一または1つより多い量の第二の検出可能な存在物を含んでもよい。複数の検出可能な存在物は、同じかまたは異なる量で、参照標準中に存在してもよい。1つより多い検出可能な存在物が存在する場合、参照媒体は、好ましくは少なくとも1つの検出可能な存在物を、診断的にまたは臨床的に有意な量(quantity)または量(amount)で含む。
したがって、参照標準は、コンパクト粒子に接着したある量の第一の検出可能な存在物を含んでもよい。参照標準は、同じコンパクト粒子に接着しているか、または第二のコンパクト粒子中にある、ある量の第二の検出可能な存在物をさらに含んでもよい。さらに、参照標準は、コンパクト粒子に接着しているか、第二のまたはさらなるコンパクト粒子中にある、第二の異なる量の該検出可能な存在物または各々の検出可能な存在物を含んでもよい。複数の、同じかまたは異なる検出可能な存在物および/またはその量が、空間的および/または時間的に混合または分離されてもよい。
例えば、検出可能な存在物はHER2を、ras、または特にBRCA1またはBRCA2タンパク質等の乳癌抗原等の別の癌抗原とともに含んでもよい。あるいは、またはさらに、参照標準はある量の、網膜芽(Rb)タンパク質等の腫瘍抑制タンパク質を含む。検出可能な存在物はまた、HER2核酸等の核酸および他の癌抗原核酸を含んでもよい。検出可能な存在物は1つ以上のポリペプチド検出可能な存在物を、1つ以上の核酸検出可能な存在物とともに含んでもよい。
複数の検出可能な存在物を含む参照標準の態様は、1つより多い結合剤を用いて試料の検査が行われる適用において有用である。かくして、例えば抗体/プローブの「バンク」または「パネル」を用いた検査におけるかかる参照標準の使用が考えられる。かかる検査は、各々診断的に関連性があり得る、試料中の異なる検出可能な存在物の有無または相対的もしくは絶対的レベルの検出に用いてもよい。かかる相対的または比較的情報は、典型的に単一の有/無検査よりも有用である。このような複合的な検査は、問題の患者または個体の「プロフィール」を生じるのに用いてもよい。疾患または状態を患っている(または患っている疑いがある)個体から生じたプロフィールは、「正常」または非罹患個体の対応するプロフィールに対して比較してもよい。プロフィール、またはプロフィールの比較によって生じた情報を用いて、最良の可能な治療(「個体に合わせた治療」)を選択する目的で、その個体における疾患または状態を診断して(または診断を助けて)もよい。
1つより多いコンパクト粒子が存在する態様において、コンパクト粒子を1つの束または1つより多い束にして配列するのが有利であり得る。コンパクト粒子は異なる参照ドットおよびクラスターを見つけるのが容易になるように配列してもよい。例えば、非対称パターンのコンパクト粒子の束は、使用者がスライドを正しく方向付けするのを助け得る。
言うまでもなく、参照標準中に1つより多い検出可能な存在物が存在する場合、2つ以上の検出可能な存在物が異なるコンパクト粒子中に存在してもよい。あるいは、1つより多い検出可能な存在物が単一のコンパクト粒子中に存在してもよい。例えば、1つより多い検出可能な存在物がコンパクト粒子に結合または接着してもよい。それぞれが単一の、2つの、またはそれより多い検出可能な存在物を含む複数のコンパクト粒子を用いてもよい。
その検出可能な存在物または各々の検出可能な存在物は、参照標準中のコンパクト粒子中に存在する;これはさらに下で詳述するような種々の手段によって達成してもよい。
参照標準、またはその薄片もしくは切片は、キット中にパッケージングしてもよい。キットは、検出可能な存在物に特異的に結合できる、抗体等の結合剤を含んでもよい。キットは、その上にマウントされる参照標準、薄片または切片とともにミクロトームブロックを含んでもよい。キットは、検出、洗浄または処理試薬等の他の試薬、および使用説明書をさらに含んでもよい。キットは、使用説明書または、例えば疾患のおよび/または正常な組織の図または写真等の補助に印をつける、他の料金別納郵便物の証印(indicia)をさらに含んでもよい。
キットはまた、疾患の症状の少なくとも1つを治療または少なくとも軽減することができる治療剤を含んでもよい。本明細書中に記載されるような参照標準、またはその切片もしくは薄片と、治療剤との組み合わせも提供される。
特定の態様において、疾患は、生物学的試料が診断的に関連性のある量の検出可能な存在物を含む場合に個体におけるその存在が示されるかまたは疑われるものである。特に、治療剤は、検出可能な存在物に対する抗体、または検出可能な存在物に結合できる核酸、疾患を治療または予防するのに効果的であることが公知の他の任意に治療剤を含んでもよい。例えば、乳癌を検出するためのキットまたは組み合わせは、検出可能な存在物がHER2抗原またはHER2核酸を含む参照標準を含んでもよい。キットはさらに、その抗原を検出するための抗HER2抗体を含んでもよく、またさらに任意の乳癌薬物、例えばハーセプチン(転移性乳癌患者におけるHER2タンパク質を標的とするヒト化モノクローナル抗体)を含んでもよい。キットの他の態様は、エストロゲン受容体(ER)、PR、p16、Ki-67または上皮成長因子受容体(EGFR)からなる群より選択される任意の抗原を含む(「検出可能な存在物」の節も参照)。
好ましい態様において、検出可能な存在物は、性質において分子状であり(下の記載参照)、したがって参照標準は実質的に細胞性物質を含まない。しかしながら、ある態様においては、細胞成分、例えば細胞の一部(例えば、任意の細胞内区画または核、ミトコンドリア、葉緑体、液胞等のオルガネラ)または細胞全体そのものが参照標準に組み込まれ得る。
フローサイトメトリー標準
本明細書中に記載される参照システムは、例えば、蛍光細胞分析分離装置(FACS)等の応用のための参照標準として用いてもよい。かかる応用において、参照標準が好ましくは細胞性または生物学的コンパクト粒子を含み得る場合、支持媒体は存在する必要がない。つまり、細胞または細胞成分が検出可能な存在物の接着のためのコンパクト粒子として用いられる場合、該細胞または細胞成分それ自体を参照標準と見なしてもよい。
フローサイトメトリーは、液体の流れの中、いわゆるフローセル中を移動するときに、感知領域を通過するレーザーまたは光線によって細胞、ビーズまたは粒子を測定するシステムである。粒子の相対的光散乱および色識別蛍光が測定される。フローサイトメーターにおいて、異なる細胞が、密度、形状および大きさのような、その別個の細胞形態によって識別され得る。このような組織形態は、細胞がばらばらになっているので、フローサイトメーターから得られたデータから見ることができない。
フローサイトメーターは一般的に光源、フローセル、異なる色の光の焦点を検出器に合わせる光学機械、シグナル増幅器および処理装置、ならびにデータを記録および分析するコンピュータからなる。レーザーは、最新のフローサイトメーターの好ましい光源として用いられる。用いられる最も一般的なレーザーは、アルゴンイオンレーザーである。これは、488 nmで主な線を生じ、これは、例えばフルオレセイン、フィコエリトリンおよびタンデム結合体の励起のためおよびDNA測定で用いられるヨー化プロピウム(propium iodide)のための青色光の光源を生じる。フローセルにおいて、細胞は、一度に1つレーザー光線を通過するように流体力学的集束によって配列される。
光散乱は、目的の細胞または粒子集団を同定するのに利用され、一方、蛍光強度の測定は、個々の細胞についての特定の情報を提供する。液体の流れの中に保持される個々の細胞が、1つ以上のレーザー光線を通過する。細胞はレーザー光を散乱し、同時に蛍光色素に種々の頻度で光を発させる。光電子増倍管(PMT)が光を電気信号に転換し、細胞データが収集される。
フローサイトメトリーをそれ程効果的な技術にするのは、非常に短い時間で何千個もの個々の細胞に関するいくつかのパラメータを、それらの蛍光およびそれらが散乱する光の経路の測定によって、測定する能力である。一例として、励起に青色光を用いて、数千個の集団における個々の細胞に関して、赤色、緑色および橙色蛍光、および光線に対して前方および直角に散乱した光の双方の量を測定することが可能である。
多くの機器は、少なくとも5つの異なるパラメータを測定し得る。全てのパラメータを組み合わせて相関させた様式で同時に表示することはできないので、ゲーティングと呼ばれるシステムを使用する。目的の領域−または「ゲート」−が規定され、さらなるパラメータの表示についての特定の細胞集団の選択を可能にする。フローサイトメーターを用いて、蛍光的に標識された細胞の部分集団を、高速かつ正確に分析し得る。他の特徴、例えば大きさに基づく分類もまた可能である。
フローサイトメトリー機器は、同時に3つのタイプのデータを生じる:1)前方散乱(FSc)はおよその細胞または粒子径を示し、2)側方または直交散乱(SSc)は細胞または粒子の複雑さまたは粒度を示し、かつ3)蛍光標識は、例えば細胞構造および機能を調べるのに用いられる。前方および側方散乱は、細胞の予備同定に用いられる。末梢血試料において、例えば白血球、単球および顆粒球集団を、前方および側方散乱に基づいて同定し得る。前方および側方散乱を用いて、残屑および死細胞を排除し得る。例えば、粒子は、その大きさおよび/またはその蛍光によって同定され得る。
細胞または粒子集団は、単一または二重パラメータのヒストグラムで表してもよい。光の散乱および蛍光シグナルは、線状または対数増殖の後に分析してもよい。分析される細胞または粒子の集団が同定されれば、バックグラウンド蛍光を確立した後に、結合抗体または色素と関連した蛍光が測定される。
一部のフローサイトメーターは、細胞または粒子を物理的に、特定の集団に分類することができる。これは、細胞を含む荷電した小滴の静電的な偏差によって行われるのが最も一般的である。フローセルを振動させ、出口ノズルを通過する際に液体の流れを小さい小滴に分割するようにする。ちょうどその時、目的の細胞または粒子が目下形成されている小滴のうちにあり、フローセルは荷電し、そのため小滴を荷電する。次いで小滴の流れが一対の電気的に荷電したプレートを通過し、荷電した小滴(目的の細胞または粒子を含んでいる)は、収集容器に偏向させられる。
プレートの間に生じた電場は、細胞または粒子を、いくつかの使用者仕様の収集容器の1つに向かわせ得る。荷電していない小滴は廃棄容器に流れる。細胞または細胞の部分集団の濃度の分析は、しばしば「絶対計数」と呼ばれ、医療的診断、または細胞培養物中の細胞の状態のモニタリング、もしくは他のバイオテクノロジーの方法に、さらに重要であり得る。
フローサイトメーターは、伝統的な病理学的または細胞学的方法の能力をはるかに超えて、多数の細胞を迅速にスクリーニングすることができる。得られる情報は、種々の疾患の診断、分類および予後を助ける。フローサイトメトリーを適用できる応用は、細胞分類から細胞表面抗原の測定、およびDNAの分析へと急速に拡張し、悪性疾患の判断を助けてきた。
日常の臨床検査室におけるフローサイトメトリーの一般的な使用としては、造血新生物の免疫表現型検査、免疫状態評価、特にHIV陽性患者におけるCD4+T細胞の定量、および充実性腫瘍のDNA細胞周期分析が挙げられる。造血系を構成する異なる細胞集団は、種々の成熟の段階ではっきりと異なる細胞表面抗原を発現する。これらの発現された抗原を検出および測定することによって、フローサイトメトリーは、白血病およびリンパ腫の細胞系統の分類を助け得る。
独立した診断様式であることを意図するものではないが、フローサイトメトリーは、伝統的な形態学的および細胞科学的技術の能力を超えて、しばしば造血系悪性腫瘍を下位分類することができる。
フローサイトメトリーの最も一般的な日常的使用は、モノクローナル抗体を用いた免疫蛍光標識による表面抗原(マーカー)の測定であった。一般的に用いられるマーカーは、全B細胞、全T細胞およびT細胞のサブセットである。全T細胞、ヘルパーT細胞およびサプレッサーT細胞に対するマーカーは、それぞれCD3、CD4およびCD8の分化クラスター(CD)カテゴリーに割り当てられてきた。このマーカーのスペクトルは、全部で45を超えるが、免疫欠損状態、リンパ性白血病、自己免疫疾患の臨床的分類に、ならびに治療に対するそれらの反応のモニタリングに用いられる。
例えば、CD4+細胞はHIVによる感染によって激減するがCD8+細胞は残るので、CD4およびCD8測定は、AIDSの進行のモニタリングに特に有用である。CD4+の絶対数もまた、HIV感染からより明白なAIDSへの進行のマーカーである。CD4/CD8比もまた、移植患者における、シクロスポリンAを用いた免疫抑制療法の成功の評価に用いられ得る。
免疫状態の評価のために、典型的には、リンパ球の部分集団が、種々の細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を利用することによって、フローサイトメーターによって同定および定量される。後天的または先天的免疫欠損疾患の患者および免疫抑制薬物治療中の患者は、リンパ球集団の特徴的な変化を示す。
フローサイトメトリーのための典型的な直接染色手順は、洗浄および混合工程の他に、以下の工程の1つまたはいくつかを含んでもよい:例えば緩衝化ホルムアルデヒドを用いた細胞の固定、透過性化、蛍光標識された標的特異的試薬の添加、インキュベーション、遠心分離、細胞ペレットからの上清の吸引、再懸濁、希釈およびフローサイトメーターによる分析。
フローサイトメトリーの利点は非常に多い;しかしながら、これは多くの不利益を有さず、主要なものは、各蛍光色についてのシグナル強度が、例えばPMT設定、正確なレーザーの状態および補正アルゴリズムに依存するので、得られるデータが絶対には量的でない、という事実である。別の不利益は、分析される細胞懸濁液の体積が直接には測定されないということである。したがって、絶対的濃度−すなわち体積当たりの細胞−は、直接には測定されない。
試料中の細胞の絶対的濃度は、例えば蛍光標識ポリマービーズの既知の体積の溶液を試料に加えることによって測定され得る。ポリマービーズの濃度または数は、別の方法によって確立された。フローサイトメーターにおいてポリマービーズおよび細胞の数を数えることによって、細胞の絶対的な濃度−またはしばしば呼ばれるように「絶対数」−が計算され得る。この技術の公知の例は、TrueCount(BD Bioscience)システムである。
蛍光色素から発せられる光は、FL1、FL2、FL3チャンネル等のチャンネルの1つまたはいくつかにおいて検出される。蛍光色素の一部はいくつかのチャンネルで検出され得る発光スペクトルを有するため、得られたデータを、いくつかのチャンネルへのシグナルのこぼれを補正することによって修正することが、しばしば必要である。
補正は、固体ポリマー材料、しばしばポリスチレンでできたビーズを用いることによって、従来技術で行われてきた。ポリスチレンビーズは問題の色素に包埋されるか、表面を色素で機能化される。次いで、検出チャンネル間のこぼれが測定され得、補正アルゴリズムは本機器設定に調節され得る。
フローサイトメトリーは、日常業務および研究実験室の双方において、欠かすことのできないものとなっている。新しい蛍光色素が見出され、モノクローナル抗体がさらにより多くの抗原に対して生成されれば、フローサイトメトリーが適用され得る応用は、増え続けるであろう。
上の記載に示されるように、該技術は複雑であり、特定の染色に対して高いアフィニティーを有する分子を利用する。標準化および参照の欠如のために、実験室間で診断結果の比較を解釈するのは難しくあり得るので、フローサイトメーター分析の全潜在能力が十分に利用されてきた。かくして、現存する手法の、特に内部参照物質に関する改良が、絶えず求められる。
この文書中に記載される参照標準を用いて、特定の診断標的についての染色レベルまたは診断標的の比率を較正し得る。内部対照の使用は、前処理および染色プロトコルにおける変化を反映し、説明する。
例えばIHCおよび細胞学のようなスライドベースの適用におけるように、染色手順、染色レベルおよび染色試薬の質を確認および較正する能力の他に、参照標準は、フローサイトメーター適用における使用についての、いくつかの特定の有利な特性を有する。以下に、これらを詳細に説明する:
二重適用
スライドベースの技術およびフローサイトメーター双方において、同じ参照標準を染色および測定し得る。2つの独立した技術からのデータを組み合わせて、分析の妥当性をさら強化し、互いに関連のある異なる技術を較正し得る。
参照標準は細胞の形状を採用し得るので、形状、大きさ、散乱能等のような細胞の特性の任意の1つ以上を模倣できることが理解されよう。したがって、本明細書中に記載されるような細胞の支持を用いた参照標準を用いて、ポリマービーズを用いることの技術的欠陥を避けることができよう。
以下に、いくつかのさらなる好ましい態様を説明する:
補正
参照標準を、補正標準として用いてもよい。固体ビーズ、例えばポリスチレンラテックス粒子の内部に包埋された色素は、例えば試料の染色の間に溶液中の抗体上の標識として用いた色素と比較して、ひずんだ蛍光スペクトルを有する。また、例えば、ポリマーまたは他の固体粒子の表面に接着または標識されたRPE、APCまたはそれらのタンデム結合体のような蛍光色素は、表面相互作用のために、ひずんだスペクトルを有し得る。したがって、それに続く試料分析の間に、補正設定はチャンネル間のシグナルの真のこぼれを表さない。
参照標準の基礎として細胞物質を用いることによって、すなわち生物学的または細胞性起源の支持体に接着した検出可能な存在物を使用することによって、色素を正しい環境で、かつ実際の分析と殆ど同一の条件で用い得る。
それに続く試料分析で用いられる同じロットまたはバッチの蛍光試薬で標識した補正標準を用いる可能性が特に興味深い。それによって、補正設定は、分析の間と同じ特性を有する色素補正参照に基づいて計算され得る。
分類
参照標準を、分類標準として用いてもよい。したがって、参照標準を用いて、フローサイトメーター分類の質を確認およびモニタリングしてもよい。参照物質は細胞様であり得、例えば真の患者試料として染色され得るので、分類の質は実施間および実験室間で比較され得る。
これは臨床的分類、例えば、分類の質が非常に重要であって標準に関して記録する必要がある特定のT細胞の分類に、特に重要であろう。また、低濃度での細胞の分類には、細胞標準を用いた非常に正確な最適化および確認が必要であろう。
例えばポリスチレンラテックス粒子のような固体ビーズは、例えば、分類実験の最適化および確認の間に患者細胞を正確には表さないという点で、本明細書中に記載される参照標準と比較して不利益を有する。
列挙または絶対計数
参照標準は、固体ビーズの使用と同様の方法で、絶対計数較正のために用いてもよい。したがって、これは、列挙標準として、または絶対計数標準として用いてもよい。
絶対的計数は、移植(CD34数)に関連した分析、および血小板計数または微小残存病変のような希少な事象の分析に特に重要である。例えば、蛍光標識した標的または参照標準に接着した標的を組み合わせることによって、例えば、フローサイトメトリーにおいて標的を免疫学的に標識することが可能であろう。
他の方法で参照細胞の数または濃度をさらに測定することによって、同じ参照標準は、例えば計数、染色レベルおよび補正に関して、フローサイトメトリー分析を較正し得る。
参照標準形状
本明細書中に記載される参照標準は、任意の適切な形状をとってもよい。
参照標準は、不定形な形状、例えば細長い不定形な形状を有してもよいが、好ましくは、明確な形状を有する。これは一般的に球の形態をとってもよいが、好ましくは、参照標準は多面体形状をとる。
より好ましくは、参照標準は実質的に、正多面体、角柱、直角柱、正直角柱、直平行六面体、長方形の箱および立方体からなる群より選択される形状を有する。参照標準は、好ましくは、それが長軸を有するように、細長い形状を有する。
大いに好ましい態様において、参照標準は、直平行六面体形状を有する。直平行六面体は、この用語が本明細書中で用いられる場合、直方体としても知られる、互いに反対に配置され、互いに直角につながれた3対の長方形面で構成される閉じられた箱をいう。直平行六面体はまた、直角柱、平行六面体の特別な場合ともいわれ、日常用語で(長方形の)「箱」として公知のものに相当する。
参照標準から薄片または切片を採取した場合、これらは、好ましくは参照標準の方向に対して実質的に直角な平面で、すなわち長軸方向で採取される。別法として、または組み合わせて、切片または薄片は参照標準の方向に関して横方向に採取してもよい。
支持媒体
一部の態様において、参照標準は、コンパクト粒子が支持される支持媒体を含む。他の態様において、特に生物学的または細胞性コンパクト粒子を含むコンパクト粒子は、それ自体で参照標準として用いてもよい。支持媒体が存在する場合、検出可能な存在物を支持することができる任意の物質または媒体を、「支持媒体」として用いてもよい。
好ましくは、かかる支持媒体は、その形状、位置または配置を実質的に維持するように、検出可能な存在物を支持することができる。好ましい態様において、支持媒体は検出可能な存在物をコンパクトな形状で支持する。好ましい態様において、検出可能な存在物は、支持媒体内の位置に維持され、すなわち、位置を移動または転換しない。支持媒体は、固体、半固体またはゲル等の剛体または半剛体の物質を含んでもよい。支持媒体は、ペーストまたは他の粘性の液体等の粘性物質を含んでもよい。しかしながら、大いに好ましい態様において、支持媒体は水または緩衝液等の液体を含まない。好ましくは、支持媒体は固体または半固体である。
支持媒体は、例えば、検出可能な存在物が支持される、マトリックスまたは織物、もしくは網状組織もしくは格子からなってもよい。マトリックス、織物等は、任意の適切な繊維性材料、例えば炭素繊維または繊維ガラスからなってもよい。実質的に開放した構造を提供する、ゆるいマトリックス、織物等を使用してもよい。あるいは、ある態様においては、より密度の高い構造が好ましくあり得る。
大いに好ましい態様において、支持媒体は包埋媒体を含む。包埋媒体は、好ましくは、検出可能な存在物の少なくとも一部、好ましくはその全体を囲むか、または包む。免疫組織化学的(IHC)またはインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)包埋媒体等の当該分野で公知のような任意の包埋媒体を、この目的のために使用してもよい。下記のように、ポリマー、好ましくはモノマーの重合によってできたポリマーを用いてもよい。かかる包埋媒体の好ましい例は、パラフィンおよびアガロースを含む。
支持または包埋媒体は均一であってもよく、あるいは不均一で他の物質を含んでもよい。この「他の物質」は、細胞、細胞の一部、組織断片、色素、顆粒物質等を含み得る。
この、他の物質を含む目的は、参照標準から採取した任意の薄片または切片において「グラウンド」または「バックグラウンド」を生じることである;「グラウンド」の存在は検出可能な存在物を含む明確な領域がより容易に検出または位置決定されるのを可能にする、すなわち、コントラストを増大させる。さらに、「グラウンド」の存在は、観察者が支持媒体内の検出可能な存在物の存在または量のより正確な決定を下すことを可能にする。これは、バックグラウンドに依存して眼が同一の強度の2つのシグナルを異なる強度であると知覚する、周知の「視覚的効果」による。かくして、例えば、臨床試料において、眼によって検出されるシグナル(例えば、染色された細胞)は、他の細胞、異なるタイプの、血管、骨組織等の他の細胞を含むバックグラウンドを有してもよい。したがって、支持媒体内の他の物質の使用は、眼が問題の試料からのものと同様の強度の参照標準からのシグナルを、異なる強度よりむしろ同様または同一であると知覚するのを確実にする。
支持または包埋媒体は、方向付け手段をさらに含んでもよい。方向付け手段は、媒体内に、使用者がその方位または配向または位置を決定するのを助ける、または可能にする、任意の可視指標を含んでもよい。方向付け手段は特に、媒体内に網目、または線の網状組織を含んでもよい。方向付け手段は、1つ以上の平面中に一般に平行な線を1つ以上含んでもよい。好ましくは、それぞれ平行な線を含む平面の三次元の網状組織が含まれる。したがって、マトリックスは、病理学者は「チキンワイヤー」構造を探す訓練がされているので、使用者がスライド上でナビゲートするのを助ける、例えばチキンワイヤーの網のような可視構造を含む。
支持または包埋媒体は、細胞、組織、器官等、または細胞小器官、細胞組織等のそれらの任意の一部のような生体物質を含んでもよい。生体物質は、検出可能な存在物を完全に囲んでもよく、または位置的にそれと間隔を空けてもよい。どちらの配置においても、平面の切片または薄片は、検出可能な存在物を含む明確な領域を、組織の切片等とともに含むであろう。前者の配置において、明確な領域は、組織の切片内に配置され、両者の間での比較を容易にし得る。
包埋媒体
大いに好ましい態様において、支持媒体は検出可能な存在物を包埋し、したがって「包埋媒体」と見なしてもよい。包埋媒体は任意の適切な物質、例えば、パラフィン等の、免疫組織化学において組織または試料を包埋するのに用いられる物質を含んでもよい。
好ましくは、包埋媒体は不活性である。より好ましくは、包埋媒体は放射に対して透明であり、好ましくは可視光に対して透明である。
パラフィンが最も一般的に用いられる包埋媒体であるが、任意の他のタイプの適切な包埋媒体を用いてもよい。アラルダイトM、ダマール樹脂、ジビニルベンゼン、Durcupan(Fluka)、エポキシ包埋媒体、エチレングリコールジメタクリレート、グリコールメタクリレート、Histocryl包埋樹脂、Lowicryl HM20、ブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、メチルメタクリレート、パラフィン蝋、Paraplast等の材料が挙げられる。包埋媒体は、メタクリル酸モノマーおよびスチレンモノマー等のモノマーの重合から形成されてもよい。重合による包埋媒体の形成のさらなる詳細は、下記の「ポリマー」の見出しの節に提供する。
包埋媒体は、氷、すなわち、組織等が包埋されている、凍結水を含む凍結切片を含んでもよい。したがって、ある態様において、それに接着した、検出可能な存在物を含むコンパクト粒子は、試料組織、細胞、器官自体と同じ包埋媒体中に支持される。かかる態様は有利である。なぜなら、あるものを参照標準として、あるものを試料とする代わりに、単一の切断切片を操作する必要があるだけだからである。
参照標準のかかる態様は、試料と同じ包埋媒体中に、コンパクト粒子を、下記のようにそれに接着した検出可能な存在物とともに包埋することによって、達成するようにしてもよい。コンパクト粒子は、媒体中に試料を包埋するのと同時、包埋する前、または後に支持媒体中に支持されてもよいことが理解されよう。言い換えれば、検出可能な存在物を有するコンパクト粒子は、支持媒体中への試料の包埋に関して任意の時点で支持媒体中に包埋または支持されてもよい。好ましくは、検出可能な存在物を有するコンパクト粒子は、FFPEにおけるパラフィン包埋プロセスの一部として包埋される。
切片およびマウント
参照標準は、単一の一片として提供されてもよく、さらなる処理なしに用いてもよい。しかしながら、好ましくは、参照標準は薄片または切片に切断されてもよく、これらの切片または薄片は標準そのものとして用いられる。図4B、4C、5A、5B、8F、9および10に図解するように、薄片または切片は、検出可能な存在物を含む明確な領域を含み、複数の薄片または切片が参照標準から作られてもよい。
検出可能な存在物を含む薄片または切片中の明確な領域がコンパクトな形状を有し、それ自体支持媒体によって支持され、薄片または切片は、この文書中に記載されるように、それ自体好ましくは「参照標準」として扱われてもよいことが理解されよう。
薄片または切片は任意の適切な手段(例えば、ベンチミクロトームまたはロッキングミクロトーム等のミクロトーム)を用いて採取してもよい。薄片または切片の厚さは、典型的には、標準的なミクロトーム薄片のものである。好ましくは、薄片または切片は、約0.5から300μmの間、好ましくは5から200μmの間、好ましくは約10から100μmの間、好ましくは約1から100μmの間、好ましくは約20から30μmの間、最も好ましくは約2から10μmの間の厚さである。大いに好ましい態様において、薄片または切片は5μmの厚さぐらいである。
参照標準の複数の切片または薄片は任意のFFPE試料と同様の方法で採取してもよい。参照標準の、得られる切片または薄片は、任意の他の固定および包埋組織または細胞試料と同じ方法で処理され得る。
参照標準の薄片または切片は、操作を助けるために適切な支持体上にマウントしてもよい。かかる支持体は、適切に、ガラスまたは他の材料でできた、顕微鏡スライド等のスライドを含んでもよい。参照標準の切片または薄片は、FFPE包埋物質の切片と同様の方法でマウントしてもよい。かかるマウント技術は、当該分野で公知である。切片または薄片は、一時的、永続的または半永続的方法でマウントしてもよく、例えば接着剤または表面張力によって、特に支持体に固定してもよい。
薄片または切片また、典型的には薄片または切片を支持することができる物質の薄い平面の一片である、裏地上に配置されてもよい。薄片または切片は、単一片の裏地上の1つの薄片または切片、または複数の薄片または切片のいずれかで、裏地とともに輸送または販売されてもよい。例えば、かかる裏地は紙、厚紙、プラスチック、酢酸セルロース等でできていてもよい。裏地の表面は薄片または切片の付着を防ぐように、例えばシリコーンによって処理されてもよい。したがって、かかる裏地の好ましい態様は、シリコーン処理をした紙を含む。かかる裏地の使用によって、薄片または切片を、顕微鏡スライド上に、好ましくは患者由来の試料の隣に、容易にマウントすることが可能になる。
切片または薄片をスライドに接着またはマウントする方法は、清潔なスライドを用いること、および毛管引力に頼って接着剤に頼らないことが含まれる。他の技術としては、卵白グリセリン、グリセリン−ゼラチン混合物、酢酸ポリビニル糊、クロムみょうばんゼラチンおよびポリリシンコーティング等の糊が挙げられる。切片のマウントを容易にする手段としての切片の加熱または「焼成」は、組織が破壊され得るので、注意して用いるべきである。
支持体は、検出可能な存在物を定量するのを助けるためのしるしを含んでもよい。かかるしるしは、好ましくは、検出可能な存在物を含む領域の付近に配置されてもよい。しるしは、検出可能な存在物の量、またはその量もしくは検出可能な存在物の性質に割り振られる段階に関し得る。
次いで、試料の染色のレベルの有意性の評価を提供するために、薄片または切片における染色の量を、試料における量と比較してもよい。薄片または切片は参照標準から採取されて処理過程に供されることが好ましいが、一部の態様においては参照標準自体が処理を通じて採取されることが望ましくあり得ることが理解されよう。
検出および可視化
参照標準は、検出可能な存在物を、すでに可視の状態で;言い換えれば、検出可能な存在物を、その存在または量を同定するためにさらなる処理を必要としない形態で含んでもよい。したがって、検出可能な標識は蛍光等の標識もしくは放射活性標識を含んでもよく、またはそうでなければ放射能を発することができる薬剤で標識されてもよい。好ましくは、標識は光を発する;最も好ましくは、光は蛍光の結果として発せられる。検出可能な存在物は、検出可能な標識によって、シグナル発光(またはシグナル発光の変化)の検出によって検出されてもよく、検出は、検出可能な標識の励起および蛍光発光のモニタリングをさらに含んでもよい。発せられるシグナルの量は、存在する検出可能な存在物の量を示すように測定してもよい。
しかしながら、好ましい態様において、参照標準は、実質的にその天然の形態から変更されていない、例えば標識されていない、検出可能な存在物を含む。かかる態様において、検出可能な存在物の存在および/または量は、例えば生物学的試料において検出可能な存在物を明らかにするために慣用的にとられてきた工程の適用によって、参照標準のさらなる処理に関してのみ明らかになる。
かくして、検出可能な存在物に、好ましくは特異的に結合する結合剤等の一次解明手段(primary revealing means)の適用を用いてもよい。検出可能な存在物、結合剤、または双方の組み合わせは、二次解明手段を用いることによって、さらに検出してもよい。結合剤が抗体を含み、検出可能な存在物が抗原を含む場合、抗体、抗原、または抗原抗体複合体は、二次抗体によって明らかにされてもよい。二次抗体は、色素原性の基質に反応した場合にシグナルを生じることのできる酵素に結合してもよい。生物学的試料中の検出可能な存在物を明らかにするか、検出するか、または定量するのに用いられ得る、任意の、工程または一連の工程を、参照標準またはその切片に適用してもよいことが理解されよう。好ましくは、かかる工程は、免疫組織化学において慣用的に使用されるもの、例えばFFPE切片において存在物を検出する検出工程である。
参照標準の切片または薄片は、特にFFPE包埋試料または切片自体の染色に用いられる任意の1つ以上の手順に供されてもよい。かくして、参照標準の薄片または切片は、抗原を明らかにするために、組織試料を染色するのに用いられる任意の1つ以上の典型的な包埋後手順に供されることを意図されるか、供されてもよい。好ましい態様において、切片または薄片は、かかる手順の全てまたは実質的に全てに供される。したがって、好ましくは、切片または薄片は以下の任意の1つ以上、好ましくは全てに供される:スライド上へのマウント、焼成、脱パラフィン化、再水和、抗原の回復、ブロッキング、抗体への曝露、一次抗体への曝露、洗浄、二次抗体−酵素結合体への曝露、酵素基質への曝露、色素原性基質への曝露および対比染色。
焼成とは、パラフィン薄片をその上に有するスライドを、穏やかに加熱することをいう。パラフィンは部分的に融解し、組織がガラス表面に密着する。
好ましい態様において、検出可能な存在物は抗体に曝露され、抗体の結合はいくつかの方法のいずれかで可視化される。種々の免疫細胞化学可視化技術への一般的な導入については、例えば、Lars-Inge Larsson「Immunocytochemistry: Theory and Practice」, CRC Press inc., Baca Raton, Florida, 1988, ISBN 0-8493-6078-1、およびJohn D. Pound(編);「Immunochemical Protocols, vol 80」, シリーズで:「Methods in Molecular Biology」, Humana Press, Totowa, New Jersey, 1998, ISBN 0-89603-493-3参照。
免疫組織化学において最も一般的に用いられる検出方法は、蛍光または金粒子の直接の可視化および酵素媒介比色検出である。
直接の蛍光の研究のために、標識は、例えば5-(および6-)カルボキシフルオレセイン、5-または6-カルボキシフルオレセイン、6-(フルオレセイン)-5-(および6)-カルボキサミドヘキサン酸、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テトラメチルローダミン、およびCy2、Cy3およびCy5等の色素、AMCA含む任意に置換されたクマリン、PerCP、R-フィコエリトリン(RPE)およびアロフィコエリトリン(APC)を含むフィコビリタンパク質、Texasレッド、Princestonレッド、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびそれらの類似物、ならびにR-フィコエリトリンまたはアロフィコエリトリンと、例えばCy5またはTexasレッドとの結合体、ならびにならびに(量子ドットおよびQdotTMナノ結晶のような)半導体ナノ結晶に基づく無機蛍光標識、ならびにEu3+およびSm3+のようなランタニドに基づく時間分解蛍光標識であり得る。
コロイド状金または銀は、電子顕微鏡および光学顕微鏡の免疫細胞化学的研究のための直接の標識として用いられ得る。シグナルの増幅は、コロイド状金粒子のさらなる銀増強によって得ることができる。
一般的な酵素的方法は、標識アビジンまたはストレプトアビジン−ビオチン(LABまたはLSAB)、アビジンまたはストレプトアビジン−ビオチン複合体(ABC)、酵素抗酵素複合体(PAPおよびAPAAP)、直接デキストランポリマーベースの抗体−酵素複合体(EPOS、DakoCytomation);間接デキストランポリマーベースの抗体−酵素複合体(EnVision、DakoCytomation)または二重架橋酵素抗酵素複合体を用いる。
酵素的染色は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータ−ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ベータ-N-アセチルグルコサミニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼおよびグルコースオキシダーゼ(GO)等の酵素標識を用いる。
ホースラディッシュペルオキシダーゼに対して一般的に用いられる基質の例としては、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、ニッケル増強を有するジアミノベンジジン、3-アミノ-9-エチル-カルバゾール(AEC)、二塩酸ベンジジン(BDHC)、Hanker-Yates試薬(HYR)、Indophaneブルー(IB)、テトラメチルベンジジン(TMB)、4-クロロ-1-ナフトール(CN)、□-ナフトールピロニン(□-NP)、o-ジアニシジン(OD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、2-(p-ヨードフェニル)-3-p-ニトロフェニル-5-フェニルテトラゾリウムクロリド(INT)、テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドキシル-ベータ-D-ガラクトシド/フェロ−フェリシアニド(BCIG/FF)が挙げられる。
アルカリホスファターゼの一般的に用いられる基質の例としては、ナフトール-AS-B1-ホスフェート/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール-AS-MX-ホスフェート/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール-AS-B1-リン酸塩/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール-AS-MX-リン酸塩/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール-AS-B1-リン酸塩/ニューフクシン(fuschin)(NABP/NF)、ブロモクロロインドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBP)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-b-d-ガラクトピラノシド(BCIG)が挙げられる。
最も強力な検出システムの1つは、触媒レポーター沈着法(CARD)である;この増幅方法は、HRPの酵素作用による組織上の標識チラミドの沈着に基づく。HRP免疫染色の後、標識チラミドが適用されて、HRP活性の部位の近くに結合する。結合して標識されたチラミドは、次いで伝統的な蛍光または比色酵素媒介検出によって可視化される。
上述の標識化合物は、一般に、プローブおよび抗体の双方(または所望の標的を検出するのに用いられる任意の他の基質)に適用され得る。
染色された標本を見る方法としては、明視野顕微鏡またはスキャナ、蛍光顕微鏡またはスキャナ、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)が挙げられる。
自動染色システムは、コストの減少、スライドプレパラートの一様性の増大、実験室の日常的作業の減少、および最も重大なことには手順上のヒトの失敗の減少のために導入されてきた。
現行の自動システムは、免疫蛍光、間接イムノアッセイ手順、酵素または金染色方法に頼ったアッセイを含む任意の免疫化学的アッセイを操作し得る。これらは、複雑性、またはこれらの順番に関係なく、規定された時間よび温度で、免疫組織化学的アッセイの全ての工程を行う。
免疫細胞化学技術は、伝統的に、特定の抗原の同定および可視化に、特異的な抗体を用いてきた。該技術は複雑であり、多くの工程、および特定の染色に高いアフィニティーを有する分子が必要である。
下記の別の節に説明されている「特別な染色」もまた、単独でまたは免疫組織化学的可視化と組み合わせてのいずれかで用いてもよい。
染色および免疫染色
以下に、染色手順におけるいくつかの各工程を説明する。これらの工程のそれぞれ、またはいくつか、または全ては、参照標準、またはその薄片もしくは切片に適用してもよい。
再生可能で生きているような方法で細胞および組織を保存するには、固定剤が必要である。これを達成するために、組織塊、切片またはスミアを固定剤液中に浸漬するか、またはスミアの場合は、乾燥させる。固定剤は細胞および組織を安定化し、それによってそれらを処理および染色技術の硬直から保護する。
任意の適切な固定剤、例えばエタノール、酢酸、ピクリン酸、2-プロパノール、3,3’-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド無水物、アセトイン(モノマーの混合物)および二量体、アクロレイン、クロトンアルデヒド((シス+トランス)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、重クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、四酸化オスミウム、パラホルムアルデヒド、塩化第二水銀、トリレン-2,4-ジイソシアナート、三塩化酢酸、タングステン酸を用いてもよい。好ましいタイプの固定剤としては、ホルマリン(水性ホルムアルデヒド)が挙げられ、中性緩衝ホルマリン(NBF)が最も一般的に用いられているものの1つである。他の好ましい固定剤としては、グルタルアルデヒド、アクロレイン、カルボジイミド、イミデート、ベンゾキノン、オスミウム酸および四酸化オスミウムが挙げられる。
免疫組織化学的分析のための新鮮な生検標本、細胞学的調製物(接触調製物および血液スミアを含む)、凍結切片および組織は、一般的には、エタノール、酢酸、メタノールおよび/またはアセトンを含む有機溶媒中で固定される。
抗体
好ましい態様において、検出可能な存在物に結合することができる抗体を使用してその存在が明らかにされる。
抗体は免疫グロブリン分子を含む。免疫グロブリン分子は、最も広い意味では、免疫グロブリンスーパーファミリー、2つのβシート、および通常、保存されたジスルフィド結合を含む、抗体分子のイムノグロブリン折りたたみ特性を含むポリペプチドのファミリーのメンバーである。イムノグロブリンスーパーファミリーのメンバーは、免疫系(例えば抗体、T細胞受容体分子等)における広くいきわたった役割、細胞接着(例えばICAM分子)への関与および細胞内シグナリング(例えば、PDGF受容体等の受容体分子)を含む、インビボでの細胞性および非細胞性相互作用の多くの側面に関与している。したがって、本明細書中に記載される、検出可能な存在物の検出および参照標準の使用の方法は、標的に結合できる任意の免疫グロブリンスーパーファミリー分子を利用する。免疫グロブリン由来のペプチドまたは断片もまた用いられ得る。
本明細書中で用いられる場合、抗体は、選択された標的に結合できる完全な抗体または抗体断片をいい、Fv、ScFv、F(ab’)およびF(ab’)2、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラ、CDR移植およびヒト化抗体を含む遺伝子工学で作り変えられた抗体、ならびにファージディスプレイまたは代替の技術を用いて生成された、人工的に選択された抗体を含む。FvおよびScFv等の小さい断片は、その小さい大きさおよび結果として生じる優れた組織分布のために、診断上および治療上の適用に有利な特性を有する。好ましくは、抗体は単鎖抗体またはScFvである。
抗体は、トキシンまたは標識等のエフェクタータンパク質を含む、改変された抗体であってもよい。標識された抗体の使用によって、インビボでの抗体の分布の画像化が可能になる。かかる標識は、患者の体内で容易に可視化できる、金属粒子等の、放射性標識または放射線不伝導性標識であってもよい。さらに、これらは(本明細書中に記載されるもの等の)蛍光標識、または患者から取り出された組織試料上で可視化できる他の標識であり得る。エフェクター基を有する抗体を、上述のような任意の結合手段に連結させてもよい。
抗体は、動物血清から得てもよく、またはモノクローナル抗体もしくはその断片の場合は、細胞培養物中で生成されてもよい。確立された手順にしたがって、細菌、酵母、昆虫、または好ましくは哺乳動物細胞培養物中で、組み換えDNA技術を用いて抗体を生成してもよい。選択された細胞培養系は、好ましくは抗体産物を分泌する。
インビトロでのハイブリドーマ細胞または哺乳動物宿主細胞の成長は、慣例的な標準的培養培地である、適切な培養培地、例えば、任意に哺乳動物血清、例えばウシ胎仔血清、または痕跡要素および成長維持補充物、例えば正常マウス腹腔滲出液細胞、脾細胞、骨髄マクロファージ等のフィーダー細胞、2-アミノエタノール、インスリン、トランスフェリン、低密度リポタンパク質、オレイン酸等を補充された、Dulbecco改変Eagle培地(DMEM)またはRPMI 1640中で行われる。細菌細胞または酵母細胞である宿主細胞の増殖は、当該分野で公知の適切な培養培地、例えば細菌については培地LB、NZCYM、NZYM、NZM、Terrific Broth、SOB、SOC、2 x YT、またはM9最小培地中で、酵母については培地YPD、YEPD、最小培地または完全最小脱落培地中で、同様に行われる。
タンパク質の発現のための宿主としての昆虫細胞の使用は、クローニングおよび発現過程が比較的容易で迅速であるという利点を有する。また、細菌または酵母の発現と比較して、正しく折りたたまれて生物学的に活性のあるタンパク質を得られる可能性が高い。昆虫細胞は、血清含有培地と比較してより安価で安全な、血清不含培地中で培養してもよい。組み換えバキュロウイルスを発現ベクター、および、当該分野で公知のような多数の鱗翅目細胞系のいずれか、特にSpodoptera Frugiperda Sf9である宿主細胞系をトランスフェクションするのに用いられる構築物として用いてもよい。昆虫宿主細胞中での組み換えタンパク質の発現の総説は、Altmannら(1999), Glycoconj J 1999, 16, 109-23およびKostおよびCondreay(1999), Curr Opin Biotechnol, 10, 428-33によって提供される。
インビトロ生成によって、比較的純粋な抗体調製物が提供され、大量の所望の抗体を生じるスケールアップが可能になる。細菌細胞、酵母、昆虫および哺乳動物細胞培養の技術は当該分野で公知であり、例えばエアリフトリアクター中の、または連続攪拌リアクター中の、または、例えばホロファイバー、マイクロカプセル中、アガロースマイクロビーズもしくはセラミックカートリッジ上で、細胞培養物中に固定または閉じ込められた一様な懸濁培養物を含む。
大量の所望の抗体はまた、哺乳動物細胞をインビボで増殖させることによって得ることができる。この目的のために、所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を、組織適合性の哺乳動物に注射し、抗体産生腫瘍の成長を生じさせる。任意に、該動物に炭化水素、特に、プリスタン(テトラメチル−ペンタデカン)等のミネラルオイルを注射に先立って提供する。1から3週間後、これらの哺乳動物の体液から抗体を単離する。例えば、適切なミエローマ細胞とBalb/cマウス由来の抗体産生脾細胞との融合によって得られたハイブリドーマ細胞、または所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞系Sp2/0由来のトランスフェクト細胞を、任意にプリスタンで前処理された、Balb/cマウスに腹腔内注射し、1から2週間後、該動物から腹水液を採取する。
前述の、および他の技術は、例えば、本明細書中に参照によって援用される、KohlerおよびMilstein, (1975) Nature 256: 495-497; US 4,376,110; HarlowおよびLane, Antibodies: a Laboratory Manual, (1988) Cold Spring Harborで議論されている。組み換え抗体分子の調製の技術は、上述の参考文献および、例えば、本明細書中に参照によって援用される、EP 0623679; EP 0368684およびEP 0436597にも記載されている。
細胞培養物上清は、選択的に、免疫ブロット法によって所望の標的を発現している細胞の免疫蛍光染色によって、酵素免疫法、例えばサンドイッチアッセイまたはドットアッセイ、またはラジオイムノアッセイによって、所望の抗体についてスクリーニングされる。
抗体の単離のために、培養物上清中または腹水液中の免疫グロブリンを、例えば硫酸アンモニウムを用いた沈殿、ポリエチレングリコール等の吸湿性物質に対する透析、選択膜を通した濾過等によって濃縮してもよい。必要に応じて、および/または所望により、抗体は、慣例的なクロマトグラフィー方法、例えばゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、DEAEセルロース上でのクロマトグラフィーおよび/または免疫アフィニティークロマトグラフィー、例えば標的を含むタンパク質またはプロテインAを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製される。
前述の手順に従って生じた抗体は、標準的な手順にしたがって、細胞からの核酸の単離によってクローニングしてもよい。有用なことに、抗体の核酸可変領域を単離して用いて、scFv等の抗体断片を構築してもよい。
本明細書中に記載される方法は、好ましくは、重鎖可変領域および/または抗体の軽鎖可変領域をコードする挿入を含む組み換え核酸を使用する。定義上、かかる核酸は、コード核酸およびそれに相補的な核酸からなるコード一本鎖核酸、二本鎖核酸、またはそれらの相補(一本鎖)核酸自体を含む。
さらに、重鎖可変領域および/または抗体の軽鎖可変領域をコードする核酸は、天然の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする真正の配列、またはその変異体を有する酵素的または化学的に合成された核酸であり得る。真正の配列の変異体は、1つ以上のアミノ酸が欠失しているか1つ以上の他のアミノ酸と置換されている上述の抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする核酸である。好ましくは、修飾は、抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)以外にある。かかる変異核酸はまた、1つ以上のヌクレオチドが他のヌクレオチドで置換されている、同じアミノ酸をコードする新しいコドンを有するサイレント変異であることが意図される。かかる変異配列はまた、変質した配列である。変質した配列は、元来コードされていたアミノ酸配列の変化を生じない、制限のない数のヌクレオチドが他のヌクレオチドに置換されている遺伝暗号の意味内において変質される。かかる変質された配列は、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域の最適な発現を得るために、その異なる制限部位および/または特定の宿主、特に酵母、細菌または哺乳動物細胞によって好まれる特定のコドンの頻度のために有用であり得る。
用語、変異体は、当該分野で公知の方法に従ってDNAのインビトロまたはインビボ変異誘発によって得られるDNA変異体を含むことが意図される。
組み換えDNA技術を用いて抗体を改良してもよい。かくして、診断または治療への適用においてその免疫原性を低下させるために、キメラ抗体を構築してもよい。さらに、免疫原性は、CDR移植 [欧州特許第0 239 400号(Winter)]、および任意に、フレームワーク装飾[欧州特許第0239400号;Riechmannら, (1988) Nature 322: 323-327;および国際特許出願WO 90/07861(Protein Design Labs)に概説されるように] によって抗体をヒト化することによって最小限にされ得る。
組み換え核酸は、ヒト定常領域γ、例えばγ1、γ2、γ3またはγ4、好ましくはγ1またはγ4に融合した抗体の重鎖可変領域をコードする挿入を含んで使用してもよい。同様に、ヒト定常領域κまたはλ、好ましくはκに融合した抗体の軽鎖可変領域をコードする挿入を含む組み換えDNAを用いてもよい。
さらに好ましくは、好ましくはCDR移植軽鎖および重鎖可変領域のみである、CDR移植抗体を用いてもよい。有利に、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、宿主細胞中で抗体のプロセシングを容易にするシグナル配列を任意に含むスペーサー基および/または抗体の精製を容易にするペプチドをコードするDNAおよび/または切断部位および/またはペプチドスペーサーおよび/またはエフェクター分子によって連結される。かかる抗体は、ScFvとして公知である。
抗体はさらに、抗体の人工受容体(receptoire)を生成するために、抗体遺伝子の変異誘発によって生成してもよい。この技術は、下記にさらに議論するように、抗体ライブラリーの調製を可能にする;抗体ライブラリーはまた、市販されている。このために、免疫グロブリンの人工受容体、好ましくは人工ScFv受容体が、免疫グロブリン供給源として用いられる。
単離またはクローニングされた抗体は、当該分野で公知のプロトコル(例えば、HarlowおよびLane, Antibodies: a Laboratory Manual, (1988) Cold Spring Harbor、およびManiatis, T., Fritsch, E.F.およびSambrook, J. (1991), Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor, New York, Cold Spring Harbor Laboratory Press)を用いて、化学的カップリングによって他の分子、例えば核酸またはタンパク質結合手段に連結してもよい。
核酸プローブ
上述のように、検出可能な存在物は、核酸を含んでもよく、核酸検出可能な存在物を含む参照標準態様は、インサイチュハイブリダイゼーションにおいて適切に用いられる。かかる態様において、核酸検出可能な存在物に結合できる核酸プローブが、その存在を明らかにするために使用される。
特に、核酸プローブは、好ましくは、少なくとも検出可能な存在物の中の配列にハイブリダイズできる配列を含む。特に、少なくとも、かかる配列に相補的な配列を含んでもよい。核酸プローブは、好ましくは一本鎖であり、特に一本鎖DNAまたは一本鎖RNAを含んでもよい。
この文書中で用いられる場合、用語「ハイブリダイズ」は、「核酸の鎖が塩基対形成を通して相補鎖と結合する過程」をいう。好ましくは、核酸プローブは、ストリンジェントな条件下(例えば50℃および0.2x SSC{1x SSC=0.15M NaCl、0.015M クエン酸Na3 pH 7.0})で、少なくとも検出可能な存在物中のヌクレオチド配列にハイブリダイズできる配列を含む。より好ましくは、核酸プローブは、高ストリンジェントな条件下(例えば65℃および0.1x SSC{1x SSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸Na3 pH7.0})でハイブリダイズできる配列を含む。
検出可能な存在物中の核酸配列に、またはそれらの相補物に選択的にハイブリダイズできる核酸プローブは、少なくとも20、好ましくは少なくとも25または30、例えば少なくとも40、60または100以上連続したヌクレオチドの領域にわたる、検出可能な存在物中の対応する相補ヌクレオチド配列に対して、一般的に少なくとも75%、好ましくは少なくとも85または90%、より好ましくは少なくとも95%または98%相同であろう。好ましいプローブは、検出可能な存在物中のヌクレオチド配列に対して少なくとも80または90%、より好ましくは少なくとも95%相同である、少なくとも1つの領域を含む
用語「選択的にハイブリダイズできる」は、核酸プローブが標的核酸配列に、バックグラウンドより有意に高いレベルでハイブリダイズできることを意味する。バックグラウンドハイブリダイゼーションは、例えばISHについて処理される試料中に存在する他のヌクレオチド配列のために起こり得る。この事象において、バックグラウンドは、標的DNAで見られる特異的相互作用の10倍未満、好ましくは100倍未満の強度の、プローブと、ライブラリーの非特異的DNAメンバーとの相互作用によって生じたあるレベルのシグナルを含意する。相互作用の強度は、例えばプローブを、例えば32Pで放射性同位元素標識することによって、測定し得る。
ハイブリダイゼーション条件は、BergerおよびKimmel(1987, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology, Vol 152, Academic Press, San Diego CA)に教示されるように、核酸結合複合体の融解温度(Tm)に基づき、下記に説明するように、規定された「ストリンジェンシー」を付与する。
最大ストリンジェンシーは、典型的には約Tm-5℃(プローブのTmの5℃下)で;高ストリンジェンシーはTmの約5℃から10℃下で;中ストリンジェンシーはTmの約10℃から20℃下で;低ストリンジェンシーはTmの約20℃から25℃下で起こる。当業者に理解されるように、最大ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを用いて、同一のヌクレオチド配列を含むプローブを同定し得、一方、中(または低)ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを用いて、同様の、または関連するポリヌクレオチド配列を含むプローブを同定し得る。
検出可能な存在物中の配列に対して100%相同ではないがプローブとして用い得るヌクレオチド配列は、多数の方法で得ることができる。保存配列を、例えばいくつかのバリアント/ホモログからアミノ酸配列をアラインメントすることによって予測し得る。配列アラインメントは、当該分野で公知のコンピュータソフトウエアを用いて行われ得る。例えば、GCG Wisconsin PileUpプログラムが広く用いられている。
プローブは組み換えによって、合成によって、または当業者が利用可能な任意の手段によって生成してもよい。一般に、プローブは、所望の核酸配列の、一度に1つのヌクレオチドの、段階的製造を含む合成の手段によって生成される。自動技術を用いた、これを達成するための技術は、当該分野で容易に利用可能である。
核酸プローブとして用いるための、より長いヌクレオチド配列は、一般的に、組み換え手段を用いて、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術を用いて生成されるであろう。これは、クローニングするのが望ましい標的配列の側面に位置する(例えば約15から30ヌクレオチドの)一対のプライマーを作る工程、プライマーを動物またはヒト細胞から得られたmRNAまたはcDNAと接触させる工程、所望の領域の増幅を引き起こすポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う工程、(例えば反応混合物をアガロースゲル上で精製することによって)増幅された断片を単離する工程、および増幅されたDNAを回収する工程を含むであろう。プライマーは、増幅されたDNAが適切なクローニングベクターにクローニングされ得るように、適切な制限酵素認識部位を含むように設計され得る。
核酸プローブは、当該分野で公知のように、種々の手段によって標識され得る。例えば、プローブは、31P、33Pもしくは32S等の放射性標識を用いて、または非放射活性的にジゴキシゲニン等の標識、もしくは蛍光標識を用いて標識されてもよく、これらの多くは当該分野で公知である。
染色および色素
抗体は、検出可能な存在物を明らかにすることにおける使用のための結合剤として好ましいが、他の適切な染色または色素を用いて標的を明らかにしてもよい。例えば、典型的には織物を着色するのに用いられる色素を用いて、標的または検出可能な存在物を染色してもよい。かかる色素は、典型的には、検出可能な存在物が多く存在すればする程より多くの色素が結合するように、化学量論的様式で結合するであろう。しかしながら、存在および/または位置を明らかにする単純な染色が、しばしば十分な情報を提供し得る。
「特殊な」染色および色素
したがって、本明細書中に記載される参照標準はまた、例えば抗体を用いた免疫学的認識を用いるだけでなく、化学的な、本発明者らが「特殊な染色」と呼ぶ手段によっても染色されてもよいことが理解されよう。
最も一般的に用いられるのは、一般的なヘマトキシリン−エオシン(H&E)染色、例えば真菌由来の炭水化物の同定に有用なゴモリのメテナミン−銀染色(GMS)、ならびに例えばグリコゲン、酸性および中性粘膜物質、真菌細胞壁、基底膜、膠原線維および細網線維の同定に有用な過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色である。
金−塩化物、トリクロームブルー、マッソントリクローム、プルシアンブルー、ギムザ、Diff-Quik、Reticulum、コンゴーレッド、アルシアンブルー、シュタイナー、AFB、PAP、グラム、ムシカルミン、ヴァーヘフ−ヴァンギーソン、Elastic、石炭酸フクシンおよびゴルジ染色を含む多数の特殊な染色の製剤、変形および組み合わせがある。
上述の特殊な染色のいくつかは、例えばいくつかの炭水化物または疎水性部分のような標的プローブを特異的に染色し、これらは本明細書中に記載される参照標準に容易に導入されることもまた、理解されよう。さらに、1つ以上の免疫学的染色および1つ以上の特殊な染色の任意の組み合わせもまた、行われ得る。
例えば、適切な染色および色素としては、以下のいずれかを挙げることができる:1,4-フェニレンジアミン、2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムクロリド、2,4-ジニトロ-5-フルオロアニリン、2-ナフトール(ベータ)、3,3’-ジアミノベンジジン、4-クロロ-1-ナフトール、4-クロロ-1-ナフトール、アクリジンオレンジ、塩酸アクリジンオレン水化物、銀タンパク質化合物、アルシアンブルー8GX、アリザリン、アリザリンレッドS、アルカリブルー4B、モリブデン酸アンモニウム四水化物、塩酸アニリン、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アゾフロキシン、アズールA、アズールB、アズールII、アズールII-エオシン、アズール混合物sicc.ギムザ染色、ベンガルローズB、ベンゾプルプリン4B、プルシアンブルー可溶性、プルシアンブルー不溶性、ビスマルクブラウンY(G)、ビスマルクブラウンR、硝酸ビスマス(III)塩基性、酢酸鉛(II)三水化物、クエン酸鉛(III)三水化物硝酸鉛(II)、硝酸鉛(II)、酒石酸鉛(II)、四酢酸鉛、ホウ砂カルミン溶液((Grenacherによる)、ブリリアントグリーン、ブリリアントクレシルブルー、「ブリリアントクレシルブルー」、ブリリアントクレシルブルー溶液、ブロモクレゾールグリーンおよびコンプレクソメトリー、ブロモクレゾールグリーンナトリウム塩、ブロモクレゾールパープル、ブロモフェノールブルー、ブロモスルファレン、ブロモチモールブルーナトリウム塩、石炭酸フクシン色素粉末、石炭酸フクシン溶液(Kinyounによる)、石炭酸フクシン溶液(Ziehl-Neelsenによる)、石炭酸ゲンチアナバイオレット溶液、石炭酸メチレンブルー溶液、カルミン、カルミン酸、セレスチンブルー、二塩酸キナクリンマスタード、キノリンイエロー、クロラゾールブラック、酸化クロム(VI)、酸化クロム(VI)、クロモトロープ2Rおよびコンプレクソメトリー、クリソイジンG、塩化コバルト無水、ナフテン酸コバルト、〜10%コバルト、Cyanosine、ウマ心臓由来シトクロムc凍結乾燥塩不含粉末、ウマ心臓由来シトクロムc、ウマ心臓由来シトクロムc、ウシ心臓由来シトクロムc、ハト胸筋由来シトクロムc、対比染色溶液、ダイレクトレッド80、ファストブルーB塩、ファストブルーBB塩、ファストブルーRR塩、ファストグリーンFCF、ファストレッド3GL塩、ファストレッドRC塩、ファストバイオレットB塩、エオシンアルコール可溶性、エオシンイエローイシュ、エオシンイエローイシュ溶液、エオシン−ヘマトキシリン溶液((Ehrlichによる)、エオシンメチレンブルー(Leishmanによる)、エオシンメチレンブルー(Wrightによる)、エオシンメチレンブルー、エオシンメチレンブルー溶液(Wrightによる)、エオシンメチレンブルー溶液(Wright-Lillieによる)、エオシンスカーレット、エリオクロームレッドB、エリスロシンエキストラブルーイシュ、酢酸溶液、エチルバイオレット、エバンスブルーFluka、色素溶液(Boroviczeny Aによる:トルイジンブルー−サフラニン固定)、色素溶液(Boroviczeny Bによる:エオシン溶液)、ウマ脾臓由来フェリチン、ファットレッドブルーイシュ、ファットブラック、フルオレセインイソチオシアネート、フクシン、フクシン溶液、ガロシアニン、ゲンチアナバイオレット、ギムザ溶液、塩化金水化物(〜52%金)、塩化金水化物(ACS、>49%金)、金溶液、コロイド状、ヘマラム、ヘマテイン、ヘマトキシリン、ヘマトキシリン溶液A(Weigertによる)、ヘマトキシリン溶液B(Weigertによる、ヘマトキシリン溶液(Boehmerによる)、ヘマトキシリン溶液(Delafieldによる)、ヘマトキシリン溶液(Mayerによる)、Hanker-Yates試薬、エヤン溶液、ヘスペリジン、インジゴカルミン、塩化インジウム(III)水化物、塩化インジウム(III)無水、ヨードニトロテトラゾリウムクロリド、イソクロリダゾン溶液、ヤーヌスグリーンB、重クロム酸カリウム、ヘキサヒドロキソアンチモン酸カリウム(V)、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カリウム(水銀<0.000005%、ACS)、カルミン溶液アンモニア性(Bestによる)、カルミン溶液酸性(Mayerによる)、ニュクリアファストレッド、コンゴーレッド、指示薬、クレゾール赤、クレゾールバイオレット酢酸塩、クリスタルバイオレット指示薬、クリスタルバイオレット溶液、ラクトフェノールブルー溶液、硝酸ランタン六水化物、ライトグリーンSFイエローイッシュ、リピッドクリムゾン、炭酸リチウム、ルゴール溶液、マラカイトグリーンシュウ酸塩、メイ−グリュンヴァルト溶液、メタニルイエロー、メチレンブルー塩化亜鉛複塩、メチレンブルー、メチレンブルー濃縮物(Ehr-lichによる)、メチレンブルー溶液アルカリ性(Lofflerによる)、メチレングリーン亜鉛複塩、メチルグリーン、メチルオレンジ、メチルバイオレット、モリン、ムシカルミン、N-(4-アミノ-2,5-ジエトキシフェニル)ベンザミド、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、ナフトールAS-酢酸塩、ナフトールAS-BI-ベータ-D-グルクロニド、(以下のナフトール誘導体は酵素(AP)基質である)、ナフトールAS-BI-リン酸塩二ナトリウム塩七水化物、ナフトールAS-BI-リン酸塩、ナフトールAS-BI-リン酸塩、ナフトールAS-BS-リン酸塩、ナフトールAS-クロロ酢酸塩、ナフトールAS-D-酢酸塩、ナフトールAS-D-クロロ酢酸、ナフトールAS-E-酢酸塩、ナフトールAS-E-リン酸塩、ナフトールAS-MX-酢酸塩、ナフトールAS-MX-リン酸塩二ナトリウム塩九水化物、ナフトールAS-MX-リン酸塩、組織学のために、ナフトールAS-リン酸塩、組織学のために、ナフトールAS-TR-リン酸塩、ナフトールAS-TR-リン酸塩、ナフトールブルーブラック、ナフトールイエローS、ナフトールグリーンBおよびコンプレクソメトリー、タングステン酸ナトリウム二水化物、チョウジ油、ネオテトラゾリウムクロリイド、ニューコクシン、ニューフクシン、ニューメチレンブルーN、ニュートラルレッド、ニグロシンBアルコール可溶性、ニグロシン水溶性、ナイルブルーA、ナイルブルークロリド、ニンヒドリン、ニンヒドリン、ニトラジンイエロー、ニトロテトラゾリウムブルークロリド、ニトロテトラゾリウムブルークロリド、ニトロテトラゾリウムブルークロリド、オレンジG、オレンジG溶液(アルコール性)、オルセイン、オルセイン、塩化パラジウム(II)無水、酸化パラジウム(II)水化物、パラフクシン、塩酸パラフクシン、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ(凍結乾燥粉末塩不含〜100 U/mg)、フェノサフラニン、ホスホモリブデン酸アンモニウム塩水化物、ホスホモリブデン酸水化物、ホスホモリブデン酸ナトリウム塩水化物、五酸化亜リン酸、リンタングステン酸無水物、フタロシアニン、水で湿らせたピクリン酸(H2O〜40%)、ヨウ化ピナシアノール、酸化白金(IV)無水物、ポンソーBS、ポンソーS、ピリジン、ピロニンY(G)、レゾルフィン、ローダミンB、塩化ルテニウム(III)無水、ルテニウムレッド、サフラニンT、サフラニン溶液(Oltによる)、酸性フクシンカルシウム塩、酸性フクシン指示薬、スカーレットR、アルデヒド用のシッフ試薬、銀、フランス薬局方、コロイド状、硝酸銀、シリウスローズBB、「ステイン−オール」、スダンブルーII、スダンオレンジG、スダンレッドB、スダンブラックB、スルホローダミンB酸塩化物、タルトラジン、テトラニトロブルーテトラゾリウムクロリド、テトラゾリウムブルークロリドテトラゾリウムバイオレット、硝酸タリウム(I)、チアゾールイエローG、吸着指示薬、チアゾリルブルーテトラゾリウムブロマイド、チオカルボヒドラジン、チオフラビンT、酢酸チオニン、トルイジンブルー、トロペオリン000 No.1、トロペオリン000 No.2、トリパンブルー、トリパンブルー溶液、0.4%、チュルク溶液、酢酸ウラニル二水化物、硝酸ウラニル六水化物、バリアミンブルーB塩、ベスービン溶液(Neisserによる)、ビクトリアブルーB、ウォーターブルー、ヴァイゲルト溶液、タングストケイ酸水化物、ライト染色、キシレンシアノールFF(酸化還元指示薬)。
抗原回復
固定組織で特異的な認識を容易にするために、標本の前処理から標的を回復または曝露することがしばしば必要となり、標的の大部分の反応性を増大させる。この手順は、「抗原回復」、「標的回復」または「エピトープ回復」、「標的曝露」または「抗原曝露」と呼ばれる。抗原回復(抗原曝露)の広範囲な概説は、Shi S-R、Cote RJ、Taylor CR. 抗原回復の免疫細胞化学:過去、現在、未来. J Histochem Cytochem 1997: 45(3);327-343に見出されうる。
抗原回復または標的回復は、特定の検出試薬を用いて相互作用に対する標的の有効性を最大にする様々な方法を含む。最も一般的な技術は、適切な緩衝液におけるタンパク分解性酵素(例えば、プロテイナーゼ、プロナーゼ、ペプシン、パパイン、トリプシンまたはノイラミニダーゼ)での酵素消化または通常、EDTA、EGTA、Tris-HCl、クエン酸、尿素、グリシン-HClまたはホウ酸を含む適切にpHを安定化した緩衝液におけるマイクロ波照射、通常のオーブンでの加熱、オートクレーブまたは圧力調理を用いた熱誘導のエピトープ回復(HIER)である。
界面活性剤は、エピトープ回復を増大させるためにHIER緩衝液に添加され、または非特異的な結合を低下させるために希釈した媒体および/または洗浄緩衝液に添加されうる。
加えて、信号対雑音比は、真空および超音波の適用、または試薬のインキュベーションの前または間での切片の凍結および解凍を含む、種々の物理的方法で増大させうる。
内在性のビオチン結合部位または内在性の酵素活性(例えばホスファターゼ、カタラーゼまたはペルオキシダーゼ)を染色手順で工程として除くことができる。
同様に、HSA、BSA、オブアルブミン、仔胎児血清もしくは他の血清のような不活性タンパク質、またはTween20、Triton X-100、Saponin、BrijもしくはPluronicsのような界面活性剤を用いた非特異的な結合部位の阻害が、広く使用されている。組織または細胞における非特異的部位を特異的試薬の非標識かつ標的非特異的なものでブロッキングする。
他の技術
いわゆる「フリーフローティング技術」を用いた染色手順において、組織切片を、適切な容器、例えばマイクロ遠心分離チューブ中の懸濁液またはフリーフローティングにおける種々の試薬および洗浄緩衝液と接触させる。
組織切片は、例えば「釣り針様」装置、スパチュラまたはガラスリングを用いた染色工程の間で、チューブから種々の試薬および緩衝液を有するチューブに移動させることができる。
種々の試薬および緩衝液をまた、穏やかなデカンテーションまたは真空吸引で交換することができる。また、組織切片を含む容器を、コーニング「ネットウェル」のような特別の染色網に移すことができ、次の染色工程のためにチューブに戻す前に組織切片を洗浄することができる。
全ての個々の染色手順工程が、例えば固定、抗原回復、洗浄、ブロッキング試薬でのインキュベーション、免疫特異的な試薬および例えば酵素触媒発色の着色染色を含み、行なわれる一方で組織切片は網上で自由に動けるかまたは動かさない。染色の発色後、対比染色される前に組織切片をスライド上に載せ、乾燥させ、例えば、顕微鏡で解析される前にカバーを載せる。
時折、組織切片をスライドに載せ、続けて免疫特異的な試薬を用いて重大なインキュベーションをする。残りの染色過程を次に組織切片を載せたスライド上で行なう。
フリーフローティング方法は厚い組織切片上で主に使用されている。染色過程中に切片が決して乾燥しないことが重要である。
フリーフローティング方法の利点は免疫組織化学染色試薬の均一のおよび優れた浸透を含む。フリーフローティング方法は高濃度の試薬および望ましい混合を可能にする。
組織学的物質、技術および解析
一般に組織学的物質の2つの分類がある。本明細書に記載の参照標準は各タイプの解析に対して適切に使用されうる。
第一のカテゴリーは調製物を含み、これは新しい組織および/または細胞であり、一般にアルデヒドベースの固定法で固定されない。これらの標本は生検体物質を一般に含み、解析されうる一方で外科的手順は、経過(凍結切片)、細胞学的調製(例えば接触調製および血液標本を含む)、および組織においてであり、これらは組織化学的に解析されるべきである。かかる標本はスライドまたはカバーガラス上に直接置かれるか、凍結およびスライド上へ切片を作製する。かかる標本は次に通常、アルコールまたはアセトンベースの固定法で固定され、染色される。
より一般の第二のカテゴリーは、固定されたパラフィン包埋組織標本、しばしばアーカイブ物質を含む。これらはしばしば「ホルマリン固定およびパラフィン包埋」(FFPE)標本と呼ばれる。これらの標本は、通常、ホルマリンベースの固定法を使用して固定され、例えばキシレンを使用して脱水され、パラフィンもしくはプラスチック(例えばエポン、アラルダイト、ロイクリル、LR Whiteまたはポリアクリルアミド)等の適切な包埋媒体中に包埋され、スライド上へ切片を作製され、脱パラフィン化され、または脱パラフィン化せずに、再水和させ、および染色される。
生物学的試料は、染色されおよび参照標準と比較される前に、本明細書に記載の細胞学的および組織学的技術を使用して処理されうる。
試料は精製もしくは濃縮されうるか、または細胞は解析の前に単離されうる。試料はまたパラフィンに包埋され、および解析前に切片を作製しうる。かかる手順は当業者に容易に公知である。
試料は支持体上に載せられうる。用語「載せる」は実質的に平面の支持体上に置かれまたは接着することを意味する。任意の適した支持体が使用されうる。例えば顕微鏡スライド上で観るために、支持体上に組織または細胞試料を置くことを含む。試料は、支持体の扱いの最中にさらに落下または滑り落ちないように、接着させることができる。支持体への接着方法は物理的、キャピラリー誘引、吸着および化学的結合に依存することを含む。試料は固定されまたは固定されなくともよい。
特に、支持体はガラススライド、膜、フィルター、ポリマースライド、チャンバースライド、ディッシュ、またはシャーレでありうる。
試料またはその一部は解析前に直接支持体上で適切に成長または培養されうる。適切な培養培地の例は、血液血清または組織抽出物等の生物学的由来の培養培地;化学的に定義した合成培地;またはそれらの混合物を含む。細胞培養は通常、フラスコにおいてまたはチャンバースライド上で例えばガラスまたはプラスチック表面上に単層の細胞としてか、または液体または半固体培地における懸濁液として成長させる。細胞を更に適切な支持体、例えばガラススライド上へ移動および載せることができる。例えば顕微鏡で見るために適切であるチャンバースライドで成長させる場合、細胞は支持体上に潜在的に残ることがある。
しかし、細胞は解析前に成長または培養させる必要は無い。しばしば、試料は培養無しで直接解析される。直接解析の試料は上記に記載の過程手順を行いうることが理解されるはずである。
試料は、直接かまたは1つ以上の過程工程を行った後に、主に2つの主要なタイプの方法、インサイチュ方法(インサイチュ解析)およびインビトロ方法(インビトロ解析)において解析されうる。
この状況で、インサイチュ方法はアッセイとして理解されるべきで、試料細胞の形態を実質的に保存する。「実質的に保存する」は、全体の形態を保存するということを意味し、組織または細胞の構造の成分のいくつかまたは全てを同定することができる。例としては塗布標本、生検試料、接触調製および支持体上への試料の散布の解析がある。試料は固定がなくとも、透過、または解析前の他の過程工程に供されうる。
インビトロ方法は、全体の形態を保存しない方法として理解されるべきである。インビトロ方法の場合、試料を細胞構造の形態を阻害する処理に供する。かかる処理は当業者に公知であり、有機媒体での処理、高濃度のグアニジンチオシアネート等の強力なカオトロピック試薬での処理、酵素処理、界面活性剤処理、ビーズ処理、熱処理、超音波処理および/またはフレンチプレスの適用を含む。
詳細な手順
以下のセクションはFFPE試料の作製、ならびに抗体染色および検出に対する手順の詳細な記載を提供する。それを Ed Harlow (編)、David Lane (編)による参考教科書 Antibodies : A Laboratory Manual (1988、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ISBN 0-87969-314-2)、1855から引用する。
パラホルムアルデヒドの調製
標準的な市販のホルムアルデヒドの37%の溶液は10〜15%のメタノールで安定化され、パラホルムアルデヒドへのホルムアルデヒドの重合を阻害する。ほとんどの固定剤にとって、パラホルムアルデヒドは市販用ホルムアルデヒドの代わりに使用されるはずである。パラホルムアルデヒドは水に溶解して、その過程においてホルムアルデヒドを放出する。パラホルムアルデヒドの4%溶液を調製するために、8 gを100 mLの水に添加する。換気フードで60℃に加熱する。溶解させるために数滴の1 N水酸化ナトリウムを添加する。固体が完全に溶解した時、溶液を室温まで冷却させ、100 mLの2 x PBSを添加する。このストック溶液は毎日新たに調製されるべきである。
パラフィン包埋組織切片の調製
1.小さな塊をおよそ1 cm2 x 0.4 cmにカットする。2.新たに調製した4%パラホルムアルデヒドかまたはブアン固定剤に置く(1 Lを調製するために、2 gのピクリン酸を500 mLの脱イオン水に溶解させる。ワットマン1番、または相当物で濾過する。20 gのパラホルムアルデヒドを添加し、換気フードで60℃に加熱する。溶解させるために数滴の1 N水酸化ナトリウムを添加する。冷却し500 mLの2 x PBSを添加する)。3.2時間からオーバーナイトの間インキュベートする。4.標準のパラフィン包埋手順に従う。5.清潔なガラススライド上へ4 μmの切片を集める。6.30分間60℃のオーブンに置く。7.キシレンで脱パラフィン化する。各3分2回、交換。8.段階的なアルコールを通して再水和する(各3分2回の交換、絶対エタノール、続いて95%エタノール、各3分2回交換)。9.水中で洗浄する。
以下に記載するように抗体を標本に適用することができる。
ペルオキシダーゼ標識の検出方法が使用されるべきである場合、抗体の適用前に標本中の内在性の酵素活性を妨害または阻害することが必要でありうる。内在性のペルオキシダーゼ活性を妨害するために、標本は、3%過酸化水素の1部に対して4部のメタノールの溶液で20分間インキュベートされる。過酸化水素は一般に30%溶液として供給され、約1ヶ月続けて4℃で保存されるべきである。脾臓または骨髄等の高いペルオキシダーゼ活性を含む標本に対して、リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)中の0.1%フェニルヒドラジン塩酸の溶液を使用して、優れた結果を得てもよい。
固定
全ての固定プロトコールは(1)抗原の漏出を防ぎ、(2)抗体の接近を可能にするために細胞を透過させ、(3)抗体によって効率的に認識されることができるような形式で抗原を保護し、および(4)細胞構造を維持しなければならない。
広範囲の固定法が一般使用の状態にあり、正しい方法の選択は調査される抗原の性質および抗体調製の特性に依存する。固定方法は一般に2つのクラス、有機媒体および架橋試薬にあてはまる。アルコールおよびアセトン等の有機媒体は脂質を取り除き、細胞を脱水化し、細胞構造上のタンパク質を沈殿させる。架橋試薬は通常、遊離アミノ基から分子内架橋を形成し、結合した抗原のネットワークを作り出す。両方法はタンパク質抗原を変性させてもよく、この理由で、変性タンパク質に対して調製した抗体は細胞染色により有用となりうる。いくつかの場合、抗変性タンパク質抗体は使用できる唯一の物である。
パラホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドにおける接着細胞の固定
パラホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒド等のタンパク質架橋試薬における固定は有機媒体よりも更に細胞構造を保存するが、いくつかの細胞成分の抗原性を低下させうる。パラホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドでの試料固定は標本に対する抗体の接近を可能にさせず、それゆえ有機媒体または非イオン界面活性剤を用いた透過工程の後に行なう。パラホルムアルデヒドでの前固定は細胞構造を保存するのに役立つけれども、有機媒体を使用することは容易であるが細胞構造のある要素を破壊することがある。細胞構造の保存が重要である場合、最良の第一選択は非イオン性界面活性剤を使用することであろう。
1.染色前に、パラホルムアルデヒドかまたはグルタルアルデヒド溶液を調製する。パラホルムアルデヒドについて、4%溶液を調製する。グルタルアルデヒドについて、PBSにおいて1%溶液(電子顕微鏡等級)を調製する。グルタルアルデヒドは毒性であり注意。換気フードで作業する。2.カバーガラス、スライド、またはプレートをPBS中で穏やかに洗浄する。3.パラホルムアルデヒドについて、4%溶液中10分間室温でインキュベートする。グルタルアルデヒドについて、換気フードにおいて1%溶液中室温で1時間インキュベートする。4.細胞をPBSで2回洗浄する。この段階で、グルタルアルデヒドで固定した細胞は、換気フードから移動させることができる。5.以下の任意のものでインキュベートすることで固定細胞を浸透する:(i)室温で2分間PBS中0.2%Triton X-100。いくつかの抗原は15分ほど長く必要としうる。各抗原に対してこれを調べる;(ii)室温で2分間メタノール;または(iii)室温で30秒間アセトン(組織培養プレート上で成長させた細胞について、50%アセトン/50%メタノールを使用する)。(任意)グルタルアルデヒドについて、室温で2時間0.2 M エタノールアミンpH 7.5を用いてインキュベートし、またはPBS中0.5 mg/mLの水素化ホウ素ナトリウムで各5分間の3回交換でインキュベートすることで遊離反応アルデヒド基を妨害する。いくつかの場合において、これはパラホルムアルデヒド固定の細胞に役立ちうる、が一般に必要ではない。6.PBS中5分間以上4回の交換で穏やかに洗浄する。
試料は以下に記載の抗体の適用に対して用意する。
プロテアーゼを用いた隠れたエピトープの曝露
ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドにおける固定は、いくつかのエピトープを覆いまたは変化させうる。これらのエピトープは、プロテアーゼにおける試料の穏やかなインキュベーションによってしばしば再曝露させることができる。トリプシンは充分に作用する。0.1% トリプシン、0.1% 塩化カルシウム、20 mM Tris pH 7.8の溶液中室温で2〜20分間、標本をインキュベートする。コールドタップ下で5分間標本を洗浄することで消化を停止する。
接着細胞への抗体の結合
抗体は一般に、研究される組織の細胞の領域へ直接適用される。
1.細胞を固定および洗浄する。カバーガラス、スライドまたはプレートを加湿チャンバー中に置く。スライドまたはカバーガラスを水飽和フィルターを含むシャーレに置くことができる。カバーガラスはパラフィルムの層上に最も良く置かれる;パラフィルムが圧縮性であるので、これが抗体の溶液がカバーガラスの端から落下するのを防止するのに役立ち、かつ鋭いピンセットでカバーガラスを容易に取り出せる。2.第一の抗体溶液を添加する。全ての希釈は、タンパク質含有溶液中で行なわなければならない。例えば、3%BSAを含むPBSを使用する。非標識の一次抗体について:モノクローナル抗体が組織培養上清として最も適用される(20〜50 mg/Lの特定の抗体濃度、適切に使用する)。腹水、精製モノクローナルおよびポリクローナル抗体、ならびに未精製ポリクローナル血清は、0.1〜10 mg/Lの間の特定の抗体濃度を産生することを目的とした希釈の範囲で試験されるべきである。抗体試料の特定の抗体濃度が未知である場合、開始物質の1/10、1/100、1/1000、及び1/10,000希釈を調製し、試験する。標識した一次抗体について:一次抗体を酵素、蛍光色素、またはヨウ素で標識することができる。それらは、適切な作用範囲を決定するために、予備検査においていくつかの希釈でアッセイされるべきである。あまりに高い濃度は高いバックグラウンドを生ずる;あまりに低い濃度は、研究下での抗原の存在量と抗体の特異性の両方に依存する。3.カバーガラス、スライド、またはプレートを加湿チャンバー中室温で30分間インキュベートする。いくつかの反応について、24時間まで延長されたインキュベーションは感度を増大させることができる。4.5分以上、PBSの3回交換で洗浄する。この緩衝液は、1 % Triton X-100またはNP-40を添加してもよく、任意のバックグラウンド問題に役立つ。
一次抗体を標識する場合は、標本は検出工程のために準備する。そうでない場合は:
5.標識した二次試薬を適用する。PBS中3 % BSAまたはPBS中1 % 免疫グロブリン等のタンパク質含有溶液において全ての希釈を行なうことが不可欠である(検出試薬と同じ種から調製する)。使用可能な二次試薬は、抗免疫グロブリン抗体、プロテインA、またはプロテインGを含む。それらを、酵素、蛍光色素、金、またはヨウ素で標識することができる。標識した二次試薬をいくつかの供給業者から購入することができ、または調製することができる。酵素標識試薬について:市販製品を使用する場合、二次抗体1/50から1/1000の希釈を試験する。アルカリホスファターゼ標識試薬はPBSでなく、Tris緩衝化生理食塩水を使用して取り扱われるべきである。蛍光色素標識した試薬について:市販製品を使用する場合、1/10から1/300の間での希釈を試験する。金標識した試薬について:金粒子を一度PBSで洗浄する。1 %ゼラチンを含むPBSで希釈し、標本に添加する。ヨウ素標識した試薬について:ヨウ素化抗体をおよそ0.1 mg/Lで添加する。通常、10 から100 Ci/gの間の特定の活性を使用する。
6.加湿チャンバー中室温で最小の20分間、標識二次抗体試薬と共にインキュベートする。金標識した試薬について、満足するシグナルを得るまで顕微鏡下で定期的に観察する。7.5分以上PBS(またはTris生理食塩水)の3回交換で洗浄する。
標本は検出工程のために準備する。
酵素標識試薬を使用した検出
酵素標識試薬は、酵素作用の後、沈殿する溶解性の発色基質を使用して検出され、酵素局在の部位で非溶解性の着色産物を生じる(AvrameasおよびUriel 1966; Nakane およびPierce 1967a、b; Avrameas 1972)。基質の範囲は各酵素に利用可能であり、かつ以下のプロトコールは最も有用な代替物のいくつかを表す。広範囲のコンジュゲート試薬が一般に入手可能であり、または記載のように調製されることができる。酵素は抗免疫グロブビン抗体、プロテインA、プロテインG、アビジン、またはストレプトアビジンと連結させることができる。
ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識試薬
基質の範囲は有用であり、ジアミノベンジジン、クロロナフトール、およびアミノエチルカルバゾールを含む。好ましい態様では、ジアミノベンジジンの使用を示す。
ジアミノベンジジン
ジアミノベンジジン(DAB)は、最も一般に使用される基質でありおよびホースラディッシュペルオキシダーゼに最も感度のあるものの1つである。水とアルコールの両方に非溶解性である強い茶色産物を生ずる。DAB染色は広範囲の通常の組織学的染色と両立できる。
1.10 mL の0.05 M Tris緩衝液pH 7.6中 6 mgのDAB(DABテトラハイドロクロライドを使用する)を溶解する。2.水に0.1 mLの3 % 過酸化水素溶液を添加する。過酸化水素は一般に30%溶液として供給され、約1ヶ月続けて4℃で保存されるべきである。3.沈殿が出現する場合、ワットマン1番のフィルター紙(または相当物)を通して濾過する。4.標本に適用し、1〜20分間インキュベートする。水で洗浄することで反応を停止する。(任意)必要である場合、対比染色する。5.DPXに載せる。
ジアミノベンジジン/金属
ホースラディッシュペルオキシダーゼに対するジアミノベンジジン基質を、コバルトまたはニッケル等の金属塩を基質溶液に添加することでさらに感度よくすることができる。反応産物はスレート灰色から黒色であり、産物は水とアルコールの両方に安定である。DAB/金属染色は広範囲の一般の組織学染色と両立できる。
1.9 mL の0.05 M Tris緩衝液pH 7.6中 6 mgのDAB(DABテトラハイドロクロライドを使用する)を溶解する。2.水に1 mLの0.3 % W/V塩化ニッケルのストック溶液を添加する(塩化コバルトの等量を代用物として使用することができる)。3.水に0.1 mLの3 % 過酸化水素を添加する。過酸化水素は一般に30%溶液として供給され、約1ヶ月続けて4℃で保存されるべきである。4.沈殿が出現する場合、ワットマン1番のフィルター紙(または相当物)を通して濾過する。5.標本に適用し、1〜20分間インキュベートする。水で洗浄することで反応を停止する。(任意)必要である場合、対比染色する。6.DPXに載せる。
連結
検出可能な存在物は多くの方法によってコンパクト粒子と結合または連結されうる。例えば、検出可能な存在物は、臭化シアンの使用によってコンパクト粒子に連結されうる。
化学架橋剤は、リガンドリセプターの相互作用、3次元構造におけるコンフォメーション変化の研究に対してまたはタンパク質標識に対して、タンパク質を共有修飾するために使用される。架橋剤は、2つの同一反応基を含むホモ型二官能基架橋剤、または2つの異なる反応基を含むヘテロ型二官能基架橋剤に分けられる。ヘテロ型二官能基架橋剤は連続コンジュゲートを可能にし、重合を最小化する。
これらの試薬のぞれぞれは、多くの製造業者、例えば、Calbiochem(第2欄におけるコード番号)、またはPiece Chemical Companyから得られうる。
コンパクト粒子は、連結前にその反応性を増大させるために活性化されうる。好ましい態様において、コンパクト粒子はクロロ酢酸を使用して活性化され、続いてEDAC/NHS-OHを使用して連結をおこなう。コンパクト粒子はまた第一級アミノ基を得るためにヘキサンジイソシアネートを使用して活性化されうる。かかる活性化コンパクト粒子は、任意のヘテロ型二官能基架橋剤との組み合わせで使用されうる。ある態様において、コンパクト粒子はジビニルスルホンを使用して活性化される。かかる活性化コンパクト粒子は、例えばペプチド上でアミノまたはチオール基と反応することができる部分を含む。
コンパクト粒子はまた、トレシル(tresyl)クロライドを使用して活性化され得、アミノまたはチオール基と反応可能である部分をもたらす。コンパクト粒子はまた塩化シアンを使用して活性化され得、アミノまたはチオール基と反応することができる部分を得る。
ぺプチドカップリング
好ましい態様において、検出可能な存在物はぺプチドを含む。コンパクト粒子へのペプチドの連結をこのセクションで詳細に記載する。
ぺプチドを固相合成方法で得ることができる。この技術の第一段階は、Merrifield(R.B. Merrifield、固相ぺプチド合成.テトラぺプチドの合成.、J. Am. Chem. Soc. 85、2149-2154ページ、(1963) および R.B. Merrifield、固相合成、Science 232、341-347ページ、(1986))によって最初に紹介され、重合支持体上で保護アミノ酸誘導体によるペプチド鎖合成からなる。この技術の第二段階は、全ての側鎖保護基の同時開裂を含む支持体からのペプチドの開裂であり、未精製遊離ぺプチドを得る。更に大きなペプチドを得るために、これらの過程を連続的に繰り返すことができる。
柔軟性のある方法が長い、短いおよび分岐したぺプチドの合成を可能にし、天然および非天然に生じるアミノ酸を有するぺプチド、種々のリンカーおよびいわゆるスペーサーを含む。スペーサーは典型的に、ポリエチレングリコール、PEG誘導体またはポリアルカンまたはホモポリアミノ酸である。固相合成方法は、反応機能特性、例えばコンパクト粒子物質の化学選択的連結スキームに対する、遊離チオールで終了したぺプチド調製を可能にする。
アミノ酸のある配列を最終のぺプチド配列のなかで繰り返すことができ、特定の抗体で免疫反応性を増大させる。反復および反応性の配列を線状ぺプチドにおいて無関係なアミノ酸配列と間隔を空けることができる。また、多抗原ぺプチド(MAP)のような、分岐または樹状ペプチド構築体を合成することで、免疫反応性を増強することができる。
種々の化学保護スキームおよび固相および可溶支持体を含む、一般の方法論の概説について、例えばG. Barany、N. Kneib-Cordonier、D. G. Mullen、固相ぺプチド合成:A silver anniversary report、Int. J. Peptide Protein Res. 30、 705-739ページ、(1987)、およびG.B. Fields、R. L. Noble、9-フルオレニルメトキシカルボニルアミノ酸を利用した固相ぺプチド合成、Int. J. Peptide Protein Res. 35、161-214ページ(1990)を参照。
ぺプチドを得るための他の方法は、酵素の断片消化、例えば部位特異的な変異導入法としての遺伝子工学技術を含む。標準のDNAクローニング技術を使用した遺伝子工学の関連するアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチド、PCR産物、またはDNA物質のクローン化した断片は、得られるポリペプチドの十分に確立した方法である。また、ぺプチドをタンパク質精製および消化による等の天然供給源からの単離後に得ることができる。
標的分子のコンジュゲート(例えば、ぺプチド)は、共有結合を形成しまたは強力な結合対、例えばイオン結合、ビオチン-アビジンを使用することで、達成されうる。ストレプトアビジン、アビジンおよび誘導体およびビオチンおよびビオチン類似物以外の他の結合物の例は、AP-1(Junおよびfos)のロイシンジッパー領域、ヘキサ-his(金属キレート部分)、ヘキサ-hat GST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)グルタチオンアフィニティー、三価バンコマイシン、D-Ala-D-Ala、多様の化合物に結合するレクチン、炭水化物、脂質およびタンパク質、例えばCon A(Canavalia ensiformis)、コンカナバリンAおよびWGA(小麦胚芽アグルチニン)およびテトラネクチンまたはプロテインAまたはGである。これらおよび他の方法はコンジュゲーションの当業者に十分公知である。
共有コンジュゲーションは、分解に対する増大した抵抗性を含む、いくつかの利点を付与する。
コンジュゲーションに有用な連結方法は、標的の化学構造および関わるコンパクト粒子に依存する。使用される典型的な化学試薬は、いわゆるゼロ長架橋剤、ホモ型二官能基、ヘテロ型二官能基又は重合架橋剤である。
1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)または1-シクロへキシル-3-(2-モルフォリノエチル)カルボジイミドメト-p-トルエンスルホン酸(CHMC)および他のカルボジイミドのようなゼロ長架橋剤は、例えばリジン残基に対してGluまたはAspと例えばぺプチドのN末端の間で直接連結を容易にすることができる。
グルタル(ジ)アルデヒド、イミデート、ビス-ジアゾ化ベンジジン、ビス(イミドエステル)、ビス(スクシニミジルエステル)、ジイソシアネート、二塩化酸、ジビニルスルホン酸または類似物のようなホモ型二官能基架橋剤は、アミノまたはヒドロキシル基が短いリンカー分子から共に共有結合されることを可能にする。ホルムアルデヒドまたはグルタル(ジ)アルデヒドはまた、コンパクト粒子とぺプチドの間の架橋を可能にすることができる。
ヘテロ型二官能基架橋剤の使用を、コンジュゲーションの当業者に公知の方法論によってペプチドをコンパクト粒子に架橋させるために、より詳細に記載する。
ヘテロ型二官能基架橋剤は、例えばホモ型二官能基架橋剤に依存する方法より架橋中のより大きな制御を提供する利点を有する。
ヘテロコンジュゲートを形成する最も一般のスキームは、通常、2または3つの工程反応シーケンスによって、第二の生物分子上のチオール基に対して第一の生物分子上のアミン基の間接的な連結を含む。チオールの高い反応性および多くの生物分子におけるそれらの相対的な希少性が、制御された化学架橋に対して、チオール基を理想的な標的とする。
チオール基が存在しない場合、チオール基をいくつかの方法で導入することができる。スクシニミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸(SPDP)の使用を含む1つの一般方法は、DTTまたはTCEPを用いた3-(2-ピリジルジチオ)プロピオニルコンジュゲートの減少が後に続く。減少は2-ピリジンチオン発色団を放出し、チオール化の程度を測定するのに使用することができる。
また、チオール化の程度を、5、5'-ジチオビス-(2-ニトロベンゼン酸)(DTNB、Ellman試薬)を使用して測定することができ、チオール基と反応して5-メルカプト-2-ニトロベンゼン酸発色団を化学量論的に生ずる。
ヘテロ型二官能基架橋剤は典型的に、アミノ基およびと反応することができる一方の端に、活性化カルボキシル基およびシステイン残基のスルフヒドリル基と容易に反応する反対側の端にマレイミドまたはヨウ化アセトアミド基を含む。
しばしば使用される2つのヘテロ型二官能基架橋剤は、N-ガンマ-マレイミドブチリルオキシスクシニミドエステル(GMBS)およびスクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロへキサン-1-カルボン酸(SMCC)である。
架橋剤は、光活性化した反応部分を含みうることが理解されるはずである。光反応部分は隠れた反応基として作用する。光活性化の連結方法を使用することで、共有結合に対する光反応基を使用する前に例えばコンパクト粒子の特定の部分に標的分子をもたらすことが可能である。
典型的には、ぺプチドは、N末端かあるいはC末端に単一のシステイン残基で合成される。また、内部システイン残基またはリンカー上のシステイン残基を使用することができる。ペプチドがチオール基を含まない場合、いくつかのチオール化方法のひとつを使用して、典型的にはアミノ基の1つを修飾することで、1つ以上を導入することができる。
例えばぺプチドのような標的プローブの連結は、チオール選択的連結スキームの使用によって制限されないことが理解されるはずである。
化学選択的またはランダムなコンジュゲーションスキームの両方に対する他の有用な化学部分は、カルボキシル、ヒドロキシル、芳香族、フェノールまたはアミノ基を含む。特にアミノ基は有用であり、それらは適切なpHで非常に反応するので、強力な化学結合を形成することができ、生物学的物質に広く分配されている。
リジンまたはポリリジンという側鎖のアミノ基を含む、ペプチドのN末端のアミノ基を使用したコンジュゲーションスキームを使う可能性は、本明細書に記載の化合物および方法と特別な相関性がある。
架橋剤は、コンパクト粒子上でアミノ基と最初に反応させ、続けて例えばデカントまたは遠心分離を使用することで未反応架橋剤の除去を行なう。活性化担体は次にシステイン含有ぺプチドと反応させる。過剰のぺプチドは例えば脱塩カラム、透析、濾過または遠心分離を使用して除去される。結合したぺプチドまたは架橋剤の量を、様々な直接または間接の解析方法で評価することができる。
コンパクト粒子上でチオールと結合させる前に、コンジュゲーションシーケンスはペプチドにヘテロ型二官能基架橋剤を最初に結合させることで逆にされ得る。
コンジュゲーション反応中、EDTA、EGTAあるいはトリブチルホスフィンまたは類似物の添加によってまたは保護雰囲気を使用することで、遊離チオールが、任意の酸化に対してしばしば保護される。
共有架橋の他の方法は、ホモまたはヘテロ型二官能基重合架橋剤の使用を含む。試薬の例は、トレシルもしくはビニルスルホン酸活性化デキストランまたは活性化ポリアクリル酸重合体または誘導体を含む。生ずる第二のビニルスルホン酸はチオールに対して非常に反応性であるので、特にジビニルは、例えばコンパクト粒子上のヒドロキシル基の活性化に好ましい。
連結したぺプチドの量を、ぺプチド上のシステイン残基と直に隣接する1つのβ-アラニン残基の取り込みを含むいくつかの方法で測定することができる。アミノ酸解析は、生ずるコンジュゲートの精製後、βアラニンの存在量を測定するのに使用されうる。
架橋剤は、トレーサーまたは検出可能な部分を含む可能性を提供しうる。この部分を、生物分子に結合する架橋剤の量を測定するのに使用することができる。トレーサーは、蛍光、放射性、ハプテンまたは任意の他の検出可能な分子でありことができる。
ポリマー
ある態様において、支持媒体は、包埋媒体の形態でありうる。このセクションで詳細に記載するように、かかる包埋媒体は、モノマーの重合化によって作製されうる。
重合化可能なモノマーから作製したポリマーは、広範な適用を有する。例えば、ポリマーは、塗料および吸着剤等の被覆適用の添加剤として使用される。
乳化重合、溶液重合、懸濁重合またはバルク重合による等により1つ以上の型の重合可能なモノマーを重合することによって、ポリマーを調製する。モノマーは、乳化剤、安定剤、表面活性剤、開始剤(光開始剤等)、阻害剤、分散剤、酸化剤、還元剤、粘度調製剤、触媒、結合剤、活性化剤、促進剤、粘着性付与剤、軟化剤、鹸化剤、連鎖移動剤、界面活性剤、充填剤、染料、金属塩、および溶剤のうちの任意のもの等の任意成分の存在下で重合されうる。
重合可能なモノマーの重合化について多くの参考文献がある。例えば、いくつかの教示が、D.C. Blackleyによる「乳化重合:理論および実践」(1975年にWileyによる出版)およびF. A. Boveyらによる「乳化重合」(1965年にInterscience Publishersによる出版)に見出されうる。例えば、ポリマーを、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、デシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニル酢酸、ビニルエステル、C9、C10およびC11第三級モノカルボン酸、塩化ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、クロロプレン、アクリレート、メタクリレート、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸等のモノマーから、調製することができる。
重合可能なモノマーの重合についての更なる教示の例は、C.E. Schildknecht(New York: John Wiley & Sons 1952)による「ビニルおよび関連ポリマー」ならびにE.H. Riddle(New York: Reinhold Publishing Corp. 1954)による「単量体アクリル酸エステル」において、ならびにA.G. Alexander (J Oil Colour Chemists' Association [1962] 45 12)およびG.G Greth およびJ.E. Wilson (J Appl Polymer Sci [1961]5 135)によって見出されうる。
重合化方法に関するより最近の教示が、EP-A-0622378、EP-A-0634428、 EP-A-0623632、EP-A-0635522、EP-A-0633273、EP-A-0632157、 EP-A-0630908、 EP-A-0630641、EP-A-0628614、EP-A-0628610、EP-A-0622449、EP-A-0626430およびEP-A-0625529に見出されうる。
用語「架橋剤」は、我々が、架橋剤の非存在下におけるモノマーの重合と比較した時、重合中のモノマーの架橋の程度を増大させる化合物を意味する。
モノマーは、重合可能な組成物の形態で提供されうる。重合可能な成分はまた、乳化剤、安定剤、表面活性剤、開始剤(光開始剤等)、阻害剤、分散剤、酸化剤、還元剤、粘度調製剤、触媒、結合剤、活性化剤、促進剤、粘着性付与剤、軟化剤、鹸化剤、連鎖移動剤、架橋剤、界面活性剤、充填剤、染料、金属塩、および溶剤の任意の1つ以上の等の慣例の付加成分を含みうる。
一例として、表面活性剤および分散剤は、脂肪酸樹脂およびナフテン酸の塩、ナフタレンスルホン酸および低分子量のホルムアルデヒドの縮合産物、適切な親水親油親和バランスのカルボンポリマー及びコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸、硫酸ドデシルベンゼン、イソプロピルベンゼンスルホン酸ナトリウムあるいはカリウムまたはイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムあるいはカリウム等の硫酸アリルアルキル;ジオクチルコハク酸アルカリ金属アルキル高級アルキルスルホコハク酸ナトリウム、例えばオクチルコハク酸ナトリウム、N-メチル-N-パルミトイル-タウリンナトリウム、オレイルイセチオン酸ナトリウム、硫酸アルキルアリルポリエトキシエタノールまたはアルキルアリルポリエトキシエタノール硫酸またはスルホン酸のアルカリ金属塩、例えば1〜5のオキシエチレンユニットを有するt-オクチルフェノキシ-ポリエトキシエチル硫酸ナトリウム等のスルホコハク酸であり得る。使用できる典型的な重合阻害剤は、ヒドロキノン、モノメチルエーテル、ベンゾキノン、フェノチアジンおよびメチレンブルーを含む。
好ましい態様において、染料は、2-ヒドロキシベンゾフェノン、オキシジアゾール、サリチル酸、レゾルシノールモノ安息香酸、ベンゾトリアゾール、好ましくは2H-ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾロアジン、好ましくは2N-ベンゾチアゾロアジン、α-シアノ-β-フェニルケイ皮酸、ポリアルキピペリジンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される。
好ましくは、染料はベンゾトリアゾール、特に2H-ベンゾトリアゾールおよびそれらの誘導体から選択される。
組成物は、1つ以上のさらなるコモノマーを含みうる。使用されることができる1つ以上のさらなるコモノマーの例は、以下の1つを含む:(アルキルおよびシクロアルキル)アクリレート;(アルキルおよびシクロアルキル)メタクリレート;アルコキシ-、アルキルフェノキシ-、アルキルフェノキシ-(ポリエチレンオキシド)-、ビニルエステル-、アミン置換(その第4級アンモニウム塩を含む)、ニトリル-、ハロ-、ヒドロキシ-を含むフリーラジカル重合可能なオレフィン酸、およびその酸置換(例えばホスフォ-またはスルフォ-)誘導体;ならびに他の適したエチレン性不飽和重合可能な部分;それらの組み合わせを含む。好ましくは、アルキルおよびシクロアルキル基は、20個の炭素原子まで、例えば(C1〜C20アルキルおよびC1〜C20シクロアルキル)アクリレート、ならびに(C1〜C20アルキルおよびC1〜C20シクロアルキル)メタクリレートを含む。より詳細に、典型的なコモノマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ペンチルアクリレート、へキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノニルアクリレート、ロイリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、へキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ビニルステアリン酸、ノニルフェノキシ-(エチレンオキシド)1-20アクリレート、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、ドデシン、ドデシルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリンメタクリレート、エイコシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ノニルフェノキシ(エチレンオキシド)1-20メタクリレート、アクリレート、メタクリレート、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸無水物、クロトン酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、ビニル酢酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリルアミド2-シアノエチルアクリレート、2-シアノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレートt-ブチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセリルアクリレート、グリセリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、シロキサン、シランおよびそれらの混合物の任意なものを含む。他の重合可能なモノマーを、US-A-2879178、US-A-3037006、US-A-3502627、US-A-3037969およびUS-A-3497485に開示する。
好ましいコモノマーは、グリセリルメタクリレート(GMA)、(2、2-ジメチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルメタクリレート(GMAK)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メタクリレート、アクリレート、GYMA、N-ビニルピロリドン、アルキルメタクリレート(C1-20アルキルメタクリレート、さらに好ましくはC1-15アルキルメタクリレート、さらに好ましくはC1-10アルキルメタクリレート、さらに好ましくはC1-5アルキルメタクリレート等、メチルメタクリレート等)、アルキルアクリレート(C1-20アルキルアクリレート、さらに好ましくはC1-15アルキルアクリレート、さらに好ましくはC1-10アルキルアクリレート、さらに好ましくはC1-5アルキルアクリレート等、メチルアクリレート等)、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド(C1-20N-アルキルアクリルアミド、さらに好ましくはC1-15 N-アルキルアクリルアミド、さらに好ましくはC1-10N-アルキルアクリルアミド、さらに好ましくはC1-5 N-アルキルアクリルアミド等、メチルアクリルアミド等)、N-アルキルメタクリルアミド(C1-20N-アルキルメタアクリルアミド、さらに好ましくはC1-15 N-アルキルメタクリルアミド、さらに好ましくはC1-10N-アルキルメタクリルアミド、さらに好ましくはC1-5 N-アルキルメタクリルアミド等、メチルメタクリルアミド等)、ビニル酢酸、ビニルエステル、スチレン、他の置換オレフィン、N-ジアルキルアクリルアミド(C1-20N-ジアルキルアクリルアミド、さらに好ましくはC1-15 N-ジアルキルアクリルアミド、さらに好ましくはC1-10N-ジアルキルアクリルアミド、さらに好ましくはC1-5 N-ジアルキルアクリルアミド等、N Nジメチルアクリルアミド等)、N-ジアルキルメタクリルアミド(C1-20N-ジアルキルメタクリルアミド、さらに好ましくはC1-15 N-ジアルキルメタクリルアミド、さらに好ましくはC1-10N-ジアルキルメタクリルアミド、さらに好ましくはC1-5 N-ジアルキルメタクリルアミド等、N Nジメチルメタクリルアミド等)、3-メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシリルシロキシ)シラン(TRISモノマー)、フルオロ置換アルキルおよびアリルアクリレートならびにメタクリレート(好ましくは、アルキルがC1-20アルキル、さらに好ましくはC1-15アルキル、さらに好ましくはC1-10アルキル、さらに好ましくはC1-5アルキルである)、およびこれらの組み合わせの任意のものを含む。
さらに好ましいコモノマーは、グリセリルメタクリレート(GMA)、(2、2ジメチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルメタクリレート(GMAK)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)、メタクリレート、アクリレートおよびグリシジルメタクリレート、またはこれらの組み合わせの任意のものを含む。
コモノマーのリストはまた、ハロゲン化モノマー、特にフッ素処理したモノマー誘導体、ならびにアセタールおよびケタール誘導体等のモノマー置換誘導体を含む。
重合可能なモノマーの成分および1つ以上のさらなるコモノマーは、成分が実質的にGMAおよびHEMAを含むように選択されうる。
任意の典型的な、適した重合方法が使用されうる。好ましい方法は、フリーラジカル重合、熱または紫外線開始系である。
更なる局面
本発明の更なる局面および態様を、以下の番号付けしたパラグラフに示す;本発明はこれらの局面を包括することが理解されるはずである:
パラグラフ1.検出可能な存在物の参照標準、前記参照標準は支持媒体、好ましくは包埋媒体、媒体によって支持されるコンパクト形状を有するコンパクト粒子、およびコンパクト粒子に結合したある量の検出可能な存在物を含む。
パラグラフ2.検出可能な存在物の参照標準、前記参照標準は結合した検出可能な存在物の量と共にコンパクト形状を有するコンパクト粒子を含み、前記コンパクト粒子が生物学的、好ましくは細胞由来である。
パラグラフ3.前記検出可能な存在物の検出可能な量が参照標準の横断断面中の規定領域に存在する、パラグラフ1または2に記載の参照標準。
パラグラフ4.前記検出可能な存在物が、支持媒体中で、コンパクト形状、好ましくは拡張されていないまたは引き延ばされていない形状を取る、パラグラフ1、2または3に記載の参照標準。
パラグラフ5.前記コンパクト形状が、最も短い大きさに対する最も長い大きさの割合が、5:1未満、好ましくは2:1未満であるような、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ6.前記コンパクト形状が、微粒子、一様のまたは規則的な形状を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ7.前記コンパクト形状が、球形、卵形、楕円形、円形、細胞形、錠剤形またはカプセル形を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ8.前記検出可能な存在物がコンパクト粒子と相同でない、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ9.前記検出可能な存在物がコンパクト粒子に化学的連結される、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ10.前記コンパクト粒子が細胞を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ11.前記細胞が検出可能な存在物を表さない、パラグラフ10に記載の参照標準。
パラグラフ12.前記細胞が、ウイルス、細菌、真核細胞、昆虫細胞、動物細胞、哺乳類動物細胞、マウス細胞およびヒト細胞からなる群から選択される、パラグラフ10または11に記載の参照標準。
パラグラフ13.前記細胞が、昆虫細胞、好ましくはSf9細胞、または哺乳類動物細胞、好ましくはチャイニーズハムスター卵(CHO)細胞を含む、パラグラフ10、11または12に記載の参照標準。
パラグラフ14.前記コンパクト粒子が細胞小器官を含む、パラグラフ1〜9のいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ15.前記細胞小器官が、好ましくはパラグラフ11〜13のいずれかに記載の細胞由来の、ミトコンドリア、色素体、クロロプラスト、または核を含む、パラグラフ14に記載の参照標準。
パラグラフ16.前記検出可能な存在物が実質的に細胞物質を含まない、パラグラフ1〜9のいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ17.前記コンパクト粒子が、マイクロビーズまたはミセルを含む、パラグラフ1〜9および16のいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ18.前記コンパクト形状が、100μm未満の大きさ、好ましくは50μm未満、より好ましくは20μm未満、最も好ましくは10μm未満の大きさを有する、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ19.前記規定領域が、少なくとも参照標準のある他の横断断面に存在し、好ましくは類似量の検出可能な存在物を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ20.前記支持媒体が包埋媒体を含み、そこに検出可能な存在物が包埋される、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ21.前記検出可能な存在物が診断上相関する標的を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ22.前記検出可能な存在物が、抗原、エピトープ、ぺプチド、ポリぺプチド、タンパク質、核酸、または上記の任意の2つ以上もしくは複数、または上記の1つ以上の組み合わせを含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ23.前記検出可能な存在物が、ハプテン、生物学的に活性な分子、抗原、エピトープ、タンパク質、ポリペプチド、ぺプチド、抗体、核酸、ウイルス、ウイルス様粒子、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、ヘテロ二本鎖、ナノ粒子、ヌクレオチドの合成アナログ、リボヌクレオチドの合成アナログ、修飾ヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、アミノ酸、アミノ酸アナログ、修飾アミノ酸、修飾アミノ酸アナログ、ステロイド、プロテオグリカン、脂質、炭水化物、染料、および混合物、融合物、上記の組み合わせまたはコンジュゲートからなる群から選択される、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ24.前記検出可能な存在物が、HER2、エストロゲンリセプター(ER)、PR、p16、 Ki-67および上皮成長因子リセプター(EGFR)タンパク質、およびかかるものをコードする核酸の任意の1つ以上を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ25.前記検出可能な存在物の存在および/または量が結合試薬、好ましくは標識結合試薬によって曝露される、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ26.前記結合試薬が、抗体、好ましくは検出可能な存在物に特異的に結合可能な抗体、DNAまたはRNA等の核酸、好ましくは検出可能な存在物に特異的に結合可能な核酸、タンパク質核酸(PNA)、染料、特定の染色、塩化金、ヘマトキシリン-エオシン(H & E)、ゴモリメセナミン銀染色(GMS)、過ヨウ素酸シッフ法(PAS)染色、トリクロムブルー、マソントリクロム、プルシアンブルー、ギムザ、ディフ-クイック、Reticulum、コンゴレッド、アルシアンブルー、Steiner、AFB、PAP、グラム、ムチカルミン、Verhoeff-van Gieson、Elastic、石炭酸(carbol)フクシンおよびゴルジ染色からなる群から選択される、パラグラフ25に記載の参照標準。
パラグラフ27.細胞、組織、器官または生物における前記検出可能な存在物の存在が、疾患または状態を指示する、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ28.前記規定領域が、予めの決定された量で検出可能な存在物を含んだ参照範囲を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ29.参照範囲中の前記検出可能な存在物の量が、試料中の検出可能な存在物の存在、量または濃度を測定するために、試料中の検出可能な存在物と比較される、パラグラフ28に記載の参照標準。
パラグラフ30.前記参照標準が長方形型の箱の形状である、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ31.(a)好ましくは実質的に長方形型の箱における包埋媒体、および(b)ある量の連結した検出可能な存在物を有する細胞、を含む検出可能な存在物の参照標準。
パラグラフ32.2つ以上のコンパクト粒子を含み、それぞれが結合した検出可能な存在物を有する、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ33.2つ以上の種々の検出可能な存在物を含み、それぞれが同じまたは異なるコンパクト粒子に結合される、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ34.2つ以上のコンパクト粒子を含み、ぞれぞれについて種々の量の検出可能な存在物を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ35.前記参照標準の平面切片が、異なる密度で検出可能な存在物を表した複数の領域を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ36.前記参照標準の平面切片が、診断上、重要な密度で実質的に検出可能な存在物を含んだ第一の領域を含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ37.実質的に検出可能な存在物を含まないコンパクト粒子を含んだ対照をさらに含む、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ38.前記包埋媒体が、氷、ワックス、パラフィン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ、エポン、アラルダイト、ロイクリル、K4RおよびLR WhiteおよびDurcupanからなる群から選択される、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準。
パラグラフ39.検出可能な存在物の量が規定量で隣接媒体内に位置すると共に隣接媒体を含み、検出存在物が隣接媒体においてコンパクト形状を取る、検出可能な存在物の参照標準。
パラグラフ40.前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準の、好ましくは実質的に一様の厚みの、平面切片、好ましくは横断平面切片。
パラグラフ41.上記パラグラフ40に記載の平面切片を含む支持体、好ましくは顕微鏡スライド等のスライド。
パラグラフ42.任意に使用指示書と共に、検出可能な存在物に特異的な結合が可能な結合試薬と共に、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準を含むキット。
パラグラフ43.前記参照標準が好ましくは抗体または核酸プローブで染色された、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準、キットまたは平面切片。
パラグラフ44.(a)前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準、平面切片またはスライド;(b)検出可能な存在物に特異的な結合が可能な結合試薬;ならびに任意に(c)使用指示書を含む、生物学的試料中の検出可能な存在物の存在または量を検出する診断キット。
パラグラフ45.個体における疾患または状態の症状の少なくとも1つを治療または緩和が可能な治療薬と共に、パラグラフ1〜44のいずれかに記載の参照標準、平面切片、支持体、キットまたは診断キットの組み合わせ。
パラグラフ46.生物学的な試料または成分における検出可能な存在物の量が、参照標準におけるものより同様またはより大きい場合、前記個体を疾患または状態を患いまたは疑いのあるものとして診断する、パラグラフ45に記載の組み合わせ。
パラグラフ47.前記結合試薬または治療薬が検出可能な存在物に対する抗体を含む、パラグラフ44に記載またはパラグラフ45または46に記載の組み合わせの診断キット。
パラグラフ48.生物学的試料における検出可能な存在物の存在または量を測定するための、前記パラグラフのいずれかに記載の参照標準、平面切片またはキットの使用。
パラグラフ49.生物学的試料における検出可能な存在物の量を参照標準と比較する方法、前記方法は以下の工程を含む:
パラグラフ(a)生物学的試料を提供し、生物学的試料、またはその成分における検出可能な存在物の量を最初に示すシグナルを得る工程;
パラグラフ(b)パラグラフ1〜44のいずれかに記載の参照標準、平面切片、支持体、キットまたは診断キットを提供する工程;
パラグラフ(c)参照標準またはその平面切片中の検出可能な存在物の量を示す第二の参照シグナルを得る工程;ならびに
パラグラフ(d)前記参照シグナルに対して(a)で得た最初のシグナルを比較する工程。
パラグラフ50.前記検出可能なシグナルが、放射線、光学密度、反射、放射性活性、蛍光、酵素活性からなる群から選択される、パラグラフ49に記載の方法。
パラグラフ51.前記参照標準またはその平面切片が、生物学的試料として同じ1つ以上の工程または状態、好ましくは実質的に全てに共される、パラグラフ49または50に記載の方法。
パラグラフ52.前記参照標準またはその平面切片が、以下の工程:スライド上へ載せる、ベーキング、脱パラフィン、再水和、抗原回復、ブロッキング、抗体への曝露、一次抗体への曝露、核酸プローブへの曝露、洗浄、二次抗体酵素コンジュゲートへの曝露、酵素基質への曝露、発色基質への曝露、および対比染色、の1つ以上、好ましくはすべてを経過する、パラグラフ49、50または51に記載の方法。
パラグラフ53.前記生物学的試料が、細胞、組織または器官、好ましくは疾患または状態を患っている疑いのある生物の細胞、組織または器官を含む、パラグラフ48〜52に記載の方法または使用。
パラグラフ54.個体における疾患または状態の診断の方法、前記方法は以下の工程を含む:
パラグラフ(a)前記個体から生物学的試料を得る工程;ならびに
パラグラフ(b)パラグラフ49に記載の方法における、生物学的試料またはその成分における検出可能な存在物の量を参照標準と比較する工程;
生物学的試料または成分中の検出可能な存在物の量が参照標準におけるものと類似またはより大きい場合、好ましくは前記個体が疾患または状態を患いまたは疑いのあるものとして診断されるパラグラフ。
パラグラフ55.個体における疾患または状態の治療方法、前記方法はパラグラフ54に記載の個体における疾患または状態を診断する、および治療剤を個体に投与する工程を含む。
パラグラフ56.前記治療剤が、検出可能な存在物に結合可能な抗体を含む、パラグラフ55に記載の治療方法。
パラグラフ57.手順の効率または成功を評価する方法、前記方法は以下の工程を含む:
パラグラフ(a)前記検出可能な存在物の検出可能な特性が手順の結果として変化する、パラグラフ1〜39のいずれかに記載の参照標準を提供する工程;
パラグラフ(b)前記手順を参照標準上に施す工程;ならびに
パラグラフ(c)前記検出可能な存在物の検出可能な特性における変化を検出する工程。
パラグラフ58.前記検出可能な存在物の検出可能な特性が、成功手順の結果として変化し、前記検出可能な存在物の検出可能な特性における変化を手順が成功であることを立証するために検出する、パラグラフ57に記載の方法。
パラグラフ59.前記検出可能な存在物の検出可能な特性が不成功の手順の結果として変化し、前記検出可能な存在物の検出可能な特性における変化は手順が不成功であることを確証するのに検出される、パラグラフ57に記載の方法。
パラグラフ60.前記手順がインサイチュハイブリダイゼーション手順、免疫組織化学手順、脱パラフィン、抗原回復、ブロッキング、内在性ビオチンブロッキング、内在性酵素ブロッキング、洗浄工程、一次抗体等の曝露試薬とのインキュベーション、二次可視化成分とのインキュベーション、発色染色、染色情報入手および解析、からなる群から選択される、パラグラフ57、58または59に記載の手順を確認する方法。
パラグラフ61.前記手順が抗原回復手順であり、かつ前記検出可能な存在物の検出可能な特性が1つ以上のエピトープの妨害または曝露を含む、パラグラフ57〜60のいずれかに記載の方法。
パラグラフ62.前記参照標準における検出可能な存在物が、1つ以上のエピトープを妨害するように修飾され、成功となる抗原回復手順においていくつかまたはすべてが曝露される、パラグラフ57〜61のいずれかに記載の方法。
パラグラフ63.前記手順が脱パラフィン手順であり、かつ前記検出可能な存在物の検出可能な特性が参照標準において検出可能な存在物の存在または質を含み、脱パラフィン手順を行なう、パラグラフ57〜60のいずれかに記載の方法。
パラグラフ64.前記参照標準における検出可能な存在物が脱パラフィン媒体において溶解性であり、かつ前記検出存在物の少なくとも一部分、好ましくはすべてが除去され続いて成功の脱パラフィン手順をおこなう、パラグラフ57〜60および63のいずれかに記載の方法。
パラグラフ65.抗原回復の有効基準、脱パラフィン基準、洗浄有効基準、一次抗体の有効基準、二次抗体の有効基準、校正基準、または診断基準としての前記パラグラフのいずれかにパラグラフ化した参照標準の使用。
パラグラフ66.検出可能な存在物の参照標準を産生する方法、前記方法は以下の工程からなる:(a)支持媒体、好ましくは包埋媒体を提供する工程;(b)コンパクト形状を有するコンパクト粒子を提供する工程;(c)検出可能な存在物の量をコンパクト粒子に結合させるおよび(d)媒体においてコンパクト粒子を支持体または包埋する工程。
パラグラフ67.検出可能な存在物の参照標準を作製する方法、前記方法は以下の工程を含む:生物学的、好ましくは細胞由来のコンパクト粒子を提供し、および検出可能な存在物の量をコンパクト粒子に結合させる工程。
パラグラフ68.検出可能な存在物の参照標準を産生する方法、前記方法はコンパクト形状および支持媒体で結合した検出可能な存在物の量を有するコンパクト粒子を支持することを含む。
パラグラフ69.検出可能な存在物の参照標準を産生する方法、前記方法は以下の工程:(a)包埋媒体を提供する工程;(b)一般にコンパクト粒子への結合によるコンパクト形状における検出可能な存在物の量を形成する工程;および(c)包埋媒体において検出存在物を包埋する工程を含む。
パラグラフ70.二次検出可能な存在物の量をコンパクト粒子、または第二のコンパクト粒子に結合させることをさらに含む、パラグラフ66〜69のいずれかに記載の方法。
パラグラフ71.前記検出可能な存在物または各検出可能な存在物の第二の異なる量を前記コンパクト粒子または各コンパクト粒子に結合させることをさらに含む、パラグラフ66〜70のいずれかに記載の方法。
パラグラフ72.前記支持媒体が包埋媒体を含み、かつ前記または各コンパクト粒子が包埋媒体中に包埋されることで支持される、パラグラフ66〜71のいずれかに記載の方法。
パラグラフ73.前記または各検出可能な存在物が、そのそれぞれのコンパクト粒子に共有連結される、パラグラフ66〜72のいずれかに記載の方法。
パラグラフ74.細胞に結合および支持媒体で支持された検出可能な存在物を含む、検出可能な存在物の参照標準。
パラグラフ75.検出可能な存在物の参照標準を産生する方法、前記方法は細胞を提供し、検出可能な存在物の量を細胞に結合または共有連結し、および包埋媒体において細胞を包埋する工程を含む。
パラグラフ76.前記細胞が検出可能な存在物を表さない、パラグラフ74またはパラグラフ75に記載の参照標準。
パラグラフ77.前記細胞が以下からなる群から選択される:ウイルス、細菌、真核細胞、昆虫細胞、好ましくはSf9細胞、動物細胞、哺乳類動物細胞、好ましくはチャイニーズハムスター卵(CHO)細胞、マウス細胞およびヒト細胞、パラグラフ74、75または76に記載の方法または参照標準。
パラグラフ78.コンパクト形状を有するコンパクト粒子に結合した検出可能な存在物を含む人工細胞または細胞小器官。
パラグラフ79.検出可能な存在物を含む人工細胞または細胞小器官を作製する方法、前記方法はコンパクト形状を有するコンパクト粒子を提供すること、および検出可能な存在物の量をコンパクト粒子に結合させることを含む。
パラグラフ80.好ましくは検出可能な存在物を表さない細胞またはその成分に連結した検出可能な存在物を含む修飾細胞または細胞小器官。
パラグラフ81.検出可能な存在物を含む修飾細胞または細胞小器官を作製する方法、前記方法は検出可能な存在物を表さない細胞またはその成分を提供し、および検出可能な存在物の量を細胞または成分に連結させることを含む。
パラグラフ82.参照標準において検出可能な存在物の細胞内の分布を確立する方法、前記方法は検出可能な存在物を表さない細胞またはその成分を提供し、検出可能な存在物の量を細胞または成分に連結しおよび支持媒体に細胞または成分を支持することを含む。
パラグラフ83.実質的に参照に前記記載および図に示したような参照標準。
パラグラフ84.実質的に参照に前記記載および図に示したような参照標準の実質的に一様の厚みの好ましくは平面切片。
パラグラフ85.実質的に参照に前記記載および図に示すように使用するような、生物学的試料における検出可能な存在物の存在または量を測定する参照標準または平面切片の使用。
パラグラフ86.実質的に参照に前記記載および図に示すように生物学的試料中の検出可能な存在物の量を測定する方法。
パラグラフ87.実質的に参照に前記記載および図に示すように個体における疾患または状態の診断の方法。
本発明の広くおよび一般的な有用性を示すために、いくつかの参照系が、種々の種類の細胞の使用、インタクトな全細胞または単離された核膜、前固定、非固定または透過、いくつかの種々の標的、相関しない標的との混合、および段階化した染色強度および様々な視覚化系を含んで、調製および評価されている。
参照系は、顕微鏡およびフローサイトメーターによる様々な細胞学的調製物として、ならびに明視野または蛍光顕微鏡で評価された、ホルマリン固定およびパラフィン包埋(FFPE)調製物として、評価されてきた。
実施例0.材料および方法
以下で、一般手順のいくつかを記載する:
A.CHO細胞の単離
チャイニーズハムスター卵細胞(CHO細胞)をATCC(カタログ番号:CLL-61)から得て、10%子牛血清(FCS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するGibco F-12K Nutrient Mixture培地中で成長させる。細胞を5%CO2と共に、37℃で培養する。コンフルエンスで、細胞をトリプシンEDTAの添加で取り除き、次にFCSを含まないF-12K培地で洗浄する。細胞をヘマサイトメーターで数える(NucleoCounter、Chemometec、Denmark)。
5〜10分間20〜24℃、800rpm(およそ90 x g)で穏やかに遠心分離することで、細胞を培地から単離する。10 mM NaH2PO4/Na2HPO4(MERCK カタログ番号 6580およびカタログ番号6346)pH7.2、0.145M NaCl MERCK カタログ番号 6404(PBS)(10 百万個の細胞に付き0.33 mL)で細胞のペレットを再懸濁し、続いて遠心分離を行なう。
インタクトな細胞を標的の連結に直接使用し、または核膜を得るためにさらに処理する。
B.sf9細胞の単離
CO2に対して特別な添加を含まない20%を超える酸素においてスピナーフラスコ中に10%FCS、グルタミンおよび抗生物質を含有する培地(Invitrogen カタログ番号11605-045 grace)でsf9昆虫細胞(シロナヤガ、Spodoptera frugiperda pupal ovary、ECACC89070101)を懸濁培養として27℃で成長させる。
CHO細胞に対して上記記載のように遠心分離および洗浄で細胞を培地から単離する。インタクトな細胞を標的の連結に対して直接使用し、または核膜を得るためにさらに処理される。
C.核膜の単離
核の調製をEdgar Schreiber ら(1989)、Nucleic Acids research、Vol. 17、Number 15、6419ページに従って行なう。
細胞の細胞質膜溶解液(核膜溶解液でない)を4〜8℃の冷却した10 mM HEPES(Sigma、カタログ番号 H-3375、pH7.9、10 mM KCl、0.2 mM EDTA (MERCK カタログ番号1.08418)、および1mM DDT(Sigma カタログ番号 D-0632)中、体積:体積の比が1:6における細胞ペレットの再懸濁によって、注意深くコントロールする。およそ150百万個細胞の懸濁液を10〜15分間の間隔で4.5mlの低浸透バッファー中で氷上に載せ、続いて10秒間の非常に穏やかなボルテックス混合を行なう。
Nonidet P-40界面活性剤(BDH、カタログ番号56009)を最終濃度の0.15 v/v%まで添加し、続けてさらに10秒間の穏やかなボルテックス混合を行なう。
核膜は、視覚的に90%以上インタクトであることを位相差明視野顕微鏡で検査し、5分間4〜8℃で1000rpm(およそ140 x g)でペレット化する。
ヘマサイトメーターにおける細胞カウントに従うと、インタクトな核膜の回収率は、130百万以上である。
核膜を種々の標的の連結に使用する。
D.インタクトな細胞または核膜にぺプチドエピトープを連結させる一般手順
およそ30百万の核または細胞ペレットを1.00 mLの冷却した25 mM Na2CO3、pH8.0、100 mM NaCl、5 mM MgCl2、および1 mg/mLのD-グルコース(MERCK カタログ番号 1.08342)(以後連結バッファーと呼ぶ)中で再懸濁する。
10分間20〜24℃で800 rpm(およそ90 x g)で遠心分離によって、核または細胞を2度洗浄する。続けて1 mL(10百万細胞に付き0.33 mL)の冷却した連結バッファー中で再懸濁する。
およそ30百万の核または細胞の懸濁液を20分間30〜37℃でヘテロ型二官能基架橋剤(N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)-スクシニミドエステル)(‘GMBS'、カタログ番号 22309、Pierce Chemical Company、ジメチルホルムアミド中0.84 mg/ml)で活性化する。
5〜10分間30〜37℃でヘテロ型二官能基リンカーに付き3倍モルを超えたL-グリシン(Merck カタログ番号 1.04210、1.0 mg/mL)の添加で反応を停止する。
10分間20〜24℃で800rpm(およそ90 x g)の遠心分離によって、核または細胞を、再度2度洗浄する。
洗浄工程の後、活性化した核を一般的な連結バッファーに再懸濁し、チオール官能基を含有する特別なぺプチドでコンジュゲートする。
選択ぺプチドの溶液を添加し、および20分間30〜37℃で活性化した細胞懸濁液とインキュベートする。
一般の連結バッファーで2度遠心分離および再懸濁で洗浄の後、再懸濁ペレットをさらにFFPEまたは細胞学的プロセシングおよび免疫細胞化学的評価に移す。
一般的なFFPE調製
アガロースゲルにおける包埋
細胞懸濁液の全体積を測定する。同量のアガロース溶液(脱イオン水中2.0重量%、HAS 1000タンパク質グレード、FMC BioPolymer/Litex、Medinova Scientific A/S、Hellerup、Denmarkから入手)を水浴で60℃に加熱する。アガロース溶液を添加する前に細胞懸濁液を数分間60℃に加熱する。加熱混合物を数秒間非常に穏やかに混合する。
加熱ゲルスラリー溶液をすばやく長い使い捨てのプラスチックピペット(トランスファーピペット、カタログ番号 262、Corning Samco Corporation、San Fernando、USA)に引き延ばした。如何なる空気の泡も水浴でピペットを冷却する前に流出させる。
プラスチックピペットの先端を切断し、固体化したゲルを冷水に絞り出す。およそ直径3 mmおよび長さ40 mmのゲルシリンダーを回収し、外科用ナイフを用いて長さおよそ15 mmの部分に切断する。
固定
各ゲル片を中性緩衝ホルマリン、NBF (20 mL、10 mM NaH2PO4/Na2HPO4(MERCK カタログ番号6580および カタログ番号6346)、0.145 M NaCl (Merck カタログ番号6404)、pH7.0、37%ホルムアルデヒド (Merck コード番号4003) から4%ホルムアルデヒドに調整を有する容器 (30 mLポリスチレンNunc/Nalgene試験管) に移し、換気している実験室フード内で一晩放置する (18時間、室温で)。
脱水およびパラフィン包埋
細胞を含むゲル片を脱水およびパラフィンに包埋する前に、顕微鏡レンズ洗浄紙 (Leica カタログ番号8060861) でゆるく包み、印のついたプラスチック組織カプセル (Sekura, Japan, ProHosp:Mega-cassetteコード番号59040およそ32×26×10 mm) 内に置く。
ゲルに包埋された細胞を、70%エタノールで2回45分間、96%エタノールで2回45分間、99%エタノールで2回45分間、キシレンで2回45分間の連続処理によって脱水し、その後、融解したパラフィン (Merck コード番号7337.9020、融点56〜58℃) に移し、一晩(12〜16時間) 60℃で放置する。鋳型 (Sekura, ProHosp 4166 mega、およそ31×23×13 mm) 内のパラフィンで包埋される前に、パラフィンが浸潤した一片を新しい温かいパラフィンに移し、そこでさらに60分間放置し、冷却して最終のパラフィンブロックを形成させる。
包埋した参照物質を含有する印をつけたパラフィンブロックを冷たく (2〜8℃) 暗い場所に保存し、切削、マウント、脱パラフィンおよび染色する。
切削、マウントおよび脱パラフィン
パラフィンブロックをマイクロトーム (Leica 0355 model RM2065, Feather S35 ナイフ、5.0マイクロメーターにセット) 内に実装する。最初の数mmを切り離し、パラフィン切片を室温で5マイクロメーターの厚さに切削し回収する。パラフィン切片を45〜60℃の湯浴で緩やかに引き伸ばし、回収し、印のついた顕微鏡ガラススライド (Superfrost plus, Menzel-glaeser コード番号041300) 上に載せる。スライドを乾燥し、60℃のオーブンで焼成し、過剰な融解したパラフィンをティシュで拭き取る。
スライドをキシレン中で2回2〜5分間、96%エタノール中で2回2〜5分間、70%エタノール中で2回2〜5分間、TBS (50 mM Tris-HCl (Tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン p.a., Crystal Chem. inc., Il, USA)、150 mM NaCl、pH7.6) 中で1回5分間、連続的にインキュベートすることによって脱パラフィンする。
抗原賦活およびブロッキング
スライドを95〜98℃の水浴中で40分間抗原賦活バッファー (DakoCytomation の組織学用のp16研究キットから、製品番号OA315) で処理し、さらに20分間室温まで冷却する。
スライドを洗浄バッファー(Dakocytomation、カタログ番号S3006、本明細書中では以降「洗浄バッファー」と言う) で5分間緩やかに洗浄し、その後、内因性の過酸化物活性を消失するために3%の過酸化水素溶液 (ペルオキシダーゼ-ブロッキング溶液 DakoCytomation コード番号S2023) で5分間インキュベーションし、TBSで1回5分間洗浄する。
物質上への試薬の良好な被覆率を確実にするために、参照物質のスライド上の領域をシリコーンゴムバリアー (「DakoPen」, DakoCytomation コード番号S2002) で取り囲む。
以下の手順工程中の乾燥を避けるために、スライドを小さな密閉したチャンバー内のラックに移す。
免疫視覚化
全般的な手順は、関連標的に対する一次抗体と最初にインキュベートする。その後、洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼおよび二次ヤギ抗体を含む高分子デキストランコンジュゲート混合物とインキュベートし、HRP色原体を用いて染色する。
より詳しくは、細胞の免疫視覚化は問題の標的に対する一次抗体を用いて行う (FFPE調製物についてはスライドにつき200マイクロリッター、細胞学的調製物についてはスライドにつき300マイクロリッター)。
全てのスライドを洗浄バッファー中で5分間洗浄する。その後、Envision+/HRPコンジュゲート (Dakocytomation, Envision、コード番号K4001、FFPE調製物からはスライドにつき200マイクロリッター、細胞学的調製物からはスライドにつき300マイクロリッター) と30分間インキュベートする。
スライドを洗浄バッファー中で5分間、3回緩やかに洗浄し、その後、製品取扱い説明書に従ってFFPE調製物について、ジアミノベンチジン発色基質系 (DAB+、DakoCytomation コード番号K3468) と10分間インキュベートする。
細胞学的調製物については、発色基質を5分間2回インキュベートする。
全てのスライドを5分間精製水で洗浄し、製品取扱い説明書 (DakoCytomation 製品番号S3301) に従って、5分間ヘマトキシリンで対比染色し、5分間水動水で洗浄する。
スライドを水性のマウント媒体、Faramount (DakoCytomation コード番号S3025) を用いてカバースリップし、8にセットした光強度を用いて10×または40×倍率で明視野顕微鏡 (Leica DM LB) で調べる。スライドをデジタル写真にとり (Olympus DP50-CU)、写真の白地を修正する。
細胞学的調製物は、Cytospin, Autocyte/TriPathまたはThinPrepTMの3つのスライドベースの方法の内の1つに従って行う。
"cytospin" 技術を用いた、一般的な細胞学的調製物
全細胞数を血球計算板を用いて得る。細胞懸濁液を1ミリリッターにつき50万から100万個の細胞に調整する。細胞のアリコートを"cytospin 2" (Shandon Scientific, Cheshire, United Kingdom) を用いてガラススライドの上にペレット化する。
ガラスの顕微鏡スライドをフィルターカードおよび最後に細胞ファンネルを付けてスライドクリップにマウントする。組み立てられたスライドシステムを、細胞懸濁液を添加する (スライドにつき50または100マイクロリッター) 前に遠心分離器内に置き、遠心分離器の蓋を閉め、1分間に800回転で5分間遠心分離を行う。
組み立てられたスライドシステムを遠心分離器から取り除き、細胞調製物を有するスライドをフィルターカードおよび細胞ファンネルから分離する。
スライドを室温で30分間乾燥する。スライド上にマウントされた細胞をMercofix含有のアルコールおよびグリセロール (Merck、製品番号77-323-2および77-323-1) で噴霧固定し、室温で10分間乾燥させる。
スライドはさらなる処理まで最大3週間凍結保存することが出来た。
FFPE調製物に関しては、上記の通りにスライドを抗原賦活、ブロッキングおよび免疫視覚化する。
Autocyte/Tripath技術を用いた一般的な細胞学的調製物
全般的な手順は、マニュアル"AutoCyte 原則に基づくLBCのマニュアル調製" (Cytyc Corporation, MA, USA) に指示されるように行う。試薬、遠心分離のチューブおよびフィルターは全てCytyc (Cytyc Corporation, MA, USA) から購入する。
細胞試料をフィルター装置上に回収し、スライド上にマウントし、緩衝アルコール溶液を用いて固定する前に、遠心分離によって残骸から分離する。
より詳しくは、スライド(Cytyc Thin Prep 顕微鏡スライド、製品番号70214-001) を「スライドコート試薬」で10分間処理し、空気中で30分間乾燥させる。
細胞懸濁液 (およそ2〜4 ml) および「濃度試薬」(4 ml) をボルテックスミキサーを用いて、遠心分離チューブ内で混合する。
フィルターポンプを試料容器内に入れ、ずっと下まで押し込む。ポンプ付き試料容器を濃度試薬を含む遠心分離チューブの先端に置く。チューブを200 rpmで2分間遠心分離する。
混合物は二層に分かれ、上層をピペットによって注意深く取り除き廃棄する。試料を再び500 rpmで2分間遠心分離し、チューブの底にある細胞ペレットから液体をデカントする。細胞ペレットを水 (2.00 ml) で再懸濁する。
被覆されたスライドをAutoCyte スライドラック内に置き、Prep Settling チャンバー装置をその上に実装する。
細胞懸濁液 (400 マイクロリッター) を各チャンバーに添加し、混合物を10分間沈殿させる。過剰な液体をデカントし、スライドをチャンバーから取り除く。
スライドを60分間乾燥させる。スライドにマウントされた細胞をMercofix含有のアルコールおよびグリセロール (Merck、製品番号77-323-2および77-323-1) で噴霧固定し、室温で10分間乾燥させる。スライドはさらなる処理まで最大3週間保存することができた。
FFPE調製物に関しては、上記の通りにスライドを抗原賦活、ブロッキングおよび免疫視覚化する。
Thin PrepTM技術を用いた一般的な細胞学的調製物
全般的な手順はThinPrep 2000 (Cytyc Corporation, MA, USA) についてのマニュアルに指示されるように行う。
要約すれば、細胞を含む試料バイアルを装置内に置く。機器のマイクロプロセッサの制御下にて、以下の工程を自動的に行う:最初に、緩やかな分散工程によって試料を破壊し、試料を完全に混合する。一連の陰圧パルスを発生させてTransCyt (登録商標) フィルターを通して液体を抜き取り、薄い、診断用の細胞物質の平らな層を回収する。その後、細胞物質を、コンピュータ制御の機械的な位置付けおよび陽性気圧を用いてガラススライドに移す。その後、緩衝メタノールを含有する細胞固定槽内にスライドを取り出し、染色し、評価する。
フローサイトメーターで評価される細胞学的調製物の一般的な蛍光染色
全細胞数を血球計算板を用いて得る。細胞を間接的または直接的な染色方法を用いて染色する。
懸濁液中のおよそ100万個の細胞をファルコンチューブ (Becton Dickinson 製品番号352052) 内で13Gで5分間、室温で遠心分離する。ペレットに陰性抗体対照、未標識の特異的抗体または蛍光標識された特異的抗体の溶液 (PBS中で1〜20に希釈された) のいずれか10マイクロリッターを添加する。
懸濁液を1分間につきおよそ3000回転で5〜10秒間ボルテックス混合し (MT2 Minishaker, IKA-Werke GmbH & Co., Staufen, Germany)、暗所にて4℃で30分間静的インキュベーションを行う。チューブに2ミリリッターのPBSを添加し、5〜10秒間ボルテックス混合し、室温で13Gで5分間遠心分離する。標識された細胞ペレットに400マイクロリッターのPBS緩衝液を添加し、5〜10秒間ボルテックス混合し、フローサイトメーター上で解析する。
直接標識された細胞を標準的なフローサイトメーター (FACS Calibur, Master description 4CS-E1822, Becton Dickinson Immunocytometry Systems, Erembodegem, Belgium) で解析する。
間接標識については、上記手順を繰返すことによって、蛍光標識二次抗体を添加し、フローサイトメーターで解析する。
参照細胞を標準的なソフトウェア (Becton Dickinson Cell Quest version 3.3) を用いて解析および評価する。データを、前方散乱 (FSC-H) に対する側方散乱 (SSC-H)、蛍光チャンネルの対数 (例えば、FL-1) に対する細胞数、および前方散乱 (FSH-H) に対する蛍光チャンネルの対数 (例えば、FL-1) をプロットすることによって表示する。
以下に、使用されるペプチドを記載する。
ペプチド
実施例において標的として用いられるペプチドは、全てNeoSystems, Strasbourg, FranceまたはNovartis, Basel, Switzerlandから取得する。
ペプチド番号1
Ki-67ペプチド (NeoSystems、ロット番号SP011749C) はMIB1TM抗体 (Dakocytomation Ki67 clone MIB-1、登録商標) に対するエピトープを含む。モノクローナル抗体MIB1TMについてのエピトープは、-Ala-Gly-Phe-Lys-Glu-Leu-Phe-Gln-Thr-Ala-Gly-Phe-Lys-Glu-Leu-Phe-Gln-Thrの18量体のアミノ酸配列を含むものと解明された。該ペプチドは2164.5Daの分子量を有する。
ペプチド番号2
ビオチン化Ki-67ペプチド (NeoSystems、ロット番号SP010864B) はペプチド番号1に類似してMIB1TM抗体に対するエピトープを含み、カップリング目的でC末端にシステインを、アミノ末端にビオチン誘導体を含有する。該ペプチドは分子量2390.8Daの分子量を有する。
ペプチド番号3
HER2ペプチド (NeoSystems、ロット番号991729) はHER2/neuに対するポリクローナル抗体 (DakoCytomation A0485 ウサギ抗体) に関するエピトープを含む。
該ウサギ抗体は、HER2/neu受容体チロシンキナーゼタンパク質の細胞内部分にある、アミノ酸1242Thrからアミノ酸1255Valまでを指定したいくつかの直鎖アミノ酸配列を認識し、該ペプチドはカップリング目的でC末端にさらなる空間をあけたシステインを含む。該ペプチドは1676.9Daの分子量を有する。
ペプチド番号4
p16ペプチド (NeoSystems、ロット番号SP021294) は、アミノ酸144Argからアミノ酸151Proまでに指定されるヒトp16-INK4タンパク質のC末端部分に含まれると解明されたモノクローナル抗体E6H4 (Swiss-Protein 受入番号P42771) に関するエピトープを含み、2回反復アミノ酸として合成され、アミノ末端に蛍光標識され、カップリング目的でC末端にさらなる空間をあけたシステインを含む。該ペプチドは分子量2201.3Daの分子量を有する。
ペプチド番号5
p16ペプチド (NeoSystems、ロット番号SP0010864) はペプチド番号4と同じアミノ酸配列で、アミノ末端にビオチン標識され、カップリング目的でC末端に空間をあけたシステインを含む。該ペプチドは分子量2390.3Daの分子量を有する。
ペプチド番号6
Ki-67ペプチド (NeoSystems、ロット番号SP0211991) はペプチド番号1に類似してMIB1TM抗体に対するエピトープを含み、2回反復アミノ酸として合成され、カップリング目的でC末端にシステインを含む。該ペプチドは分子量1817.2Daの分子量を有する。
ペプチド番号7
HER3ペプチド (NeoSystems、ロット番号SP000432) はHER3に対するポリクローナル抗体に関するエピトープを含む。
該抗体はHER3レセプターの細胞内部分にあるアミノ酸配列1289近くのいくつかの直鎖アミノ酸配列を認識する。該ペプチドは1617Daの分子量を有する。
ペプチド番号8
ホスホン酸化HER2ペプチド (Novartis, NVP-ABN-379-A1-1) はアミノ酸1242Thrからアミノ酸1255Valに指定されるHER2/neu受容体チロシンキナーゼタンパク質の細胞内部分に対するポリクローナル抗体に関するエピトープを含み、アミノ酸位1248チロシンでホスホン酸化され、カップリング目的でC末端にさらなる空間をあけたシステインを含む。該ペプチドは1753.8Daの分子量を有する。
以下の実施例において、本発明の種々の重要な技術的な側面および実施上の側面を詳細に記載する。
実施例1.Ki-67ペプチドの標的としての使用、およびcytospin細胞学的調製物におけるCHO細胞から単離された核のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) EnVision/DAB染色
1000万個のチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞核を一般的に上記の通りに単離し活性化する。
活性化は0.50μmol/lの"GMBS" (0.14 mg、10 mg/ml DMF) で行い、L-グリシンでクエンチングし、最終的にC末端にシステインを、およびアミノ末端にビオチン誘導体を含む0.125μmol/l (0.29 mg) のKi-67ペプチド (ペプチド番号2、MIB1TM抗体に対するエピトープ、分子量2390.8Da) と反応させる。
細胞を上記の一般的な手順に記載される通りに、cytospin細胞学的調製物として処理しスライド上にマウントする。
核の免疫視覚化は、上記の一般的な項目に記載される通りに行う。要約すると、一次モノクローナル抗体はクローンMIB1TM (DakoCytomation, 7240、希釈1:200) であり、次いで、ヤギ抗マウス免疫グロブリンおよびデキストランポリマー上に標識されたホースラディッシュペルオキシダーゼ (DakoCytomation Envision、コード番号K4001) とインキュベートし、最終的にジアミノベンチジン発色基質系 (DakoCytomation DABplus、コード番号3468) とインキュベートする。
免疫組織化学的に陰性なヘマトキシレン対比染色を並行して行い、核を明確に視覚化する。
図15Aは核小体の均一なヘマトキシリン染色を示す。
図15Bは細胞核膜および薄膜、染色体、並びに核小体に均一に分布したDAB免疫染色を示す。両写真は20倍の倍率で撮られている。
結論として、該標的ペプチドは単離された核と結合することができる。ヘマトキシリン染色は単離された核の特色をさらに説明する。
実施例2.Ki-67ペプチドの標的としての使用、およびホルマリン固定パラフィン包埋 (FFPE) 調製物におけるCHO細胞から単離された核のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) Envision/DAB染色
1000万個のチャイニーズ卵巣細胞核を前述の通りに単離し活性化する。活性化は1.0μmol/lの'GMBS'で行い、次いで3μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンを'GMBS'に反応させ、最終的にC末端にシステインを、アミノ末端にビオチン誘導体を含む0.1μmol/lのKi-67ペプチド (ペプチド番号2、MIB1TM抗体に対するエピトープ、分子量2390.8Da) と反応させる。
細胞を実施例1および一般的な手順に記載通りに、FFPE調製物として処理し、スライド上にマウントし、免疫視覚化する。
図16は20倍の倍率で撮られた染色されたCHO細胞の写真である。非常に強い免疫染色が細胞核膜および核ラミナの両方に、染色体に、ならびに核に観察される。この染色は、標準的なホルマリン固定パラフィン包埋 (FFPE) をした細胞全体を染色する可能性を明らかに説明する。
実施例3.Ki-67ペプチド標的の活性化およびコンジュゲーション中の添加洗浄剤の効果、ならびにFFPE組織調製物におけるCHO細胞から単離された核のHRP Envision/DAB染色
活性化された核をコンジュゲーション混合物に添加された、0.1 v/v% Nonidet P-40および0.1 v/v% Pluronics F-127 (BASF)を用いて、0.02μmol/l のKi-67ペプチド (ペプチド番号1、C末端にシステインを含有するMIB1TM抗体に対するエピトープ、分子量2164.5Da) と反応させる。
細胞を上記のように、FFPE調製物として処理し、スライド上にマウントし、免疫視覚化する。
図17は20倍の倍率で撮られた染色されたCHO細胞の写真である。
免疫染色の強度は、実施例2の染色に比較して著しく低下している。
この染色パターンから、コンジュゲーション中に洗浄剤を使用することによって、試薬の細胞内物質中への浸透が増大し、染色が個々の細胞間でより均一に分布されることが示される。さらに、細胞分布と染色の全般的な出現がより同一である。
実施例4.Ki-67ペプチドの標的としての使用、およびcytospin細胞学的組織調製物におけるCHO細胞から単離された核の、明視野および蛍光顕微鏡両方によって評価されるアルカリホスファターゼ(AP)/fast Red LSAB+ 免疫染色
手短に言えば、約3000万個のチャイニーズ卵巣細胞核が、前述のように単離され、活性化され、コンジュゲートされる。活性化は、3.0μmol/l の 'GMBS' (0.84 mg) で行い、次いで9.0μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンを'GMBS'に反応させ、最終的にC末端にシステインを含む0.06μmol/l (0.13 mg) のKi-67ペプチド (ペプチド番号1、MIB1TM抗体に対するエピトープ、分子量2164.5Da) と反応させる。
細胞を上記の一般的な手順に記載される通りに、cytospin細胞学的調製物として処理し、スライドにマウントする。
核の免疫視覚化を、一般的な手順通りに、クローンMIB1TM (Dakocytomation 7204) である一次モノクローナル抗体とインキュベーションすることによって行う。この後、全て製品取扱い説明書に従って、ビオチン化ヤギ抗マウス二次抗体およびアルカリホスファターゼコンジュゲートストレプトアビジン (DAKOcytomation LSAB+、コード番号K5005) と1時間インキュベーションし、最終的にベクターRed発色基質系 (DakoCytomation、コード番号SK-5100C) とインキュベーションする。
図18Aは20倍の倍率で撮られたベクターRedで染色されたCHO細胞の写真である。HRP Envision 染色系と同様に、AP LSAB ストレプトアビジン-ビオチン視覚化システムによって、期待される染色が得られた。
強く明快な赤い免疫染色が、細胞核膜および核ラミナ双方に、染色体に、ならびに核小体に観察される。
同じ調製物をTRITC Pinkel フィルターキット (Chroma Technology Corp.) を用いて、蛍光顕微鏡 (Leica DMRA, Sensys 光度測定用カメラ付き) で評価し、図18Bに表示する。
蛍光染色の使用によって、免疫染色の観察される強度が明視野顕微鏡に比較して著しく増強された。
実施例5.HER2ペプチド標的の活性化およびコンジュゲーションの前に、インタクトなCHO細胞をプレフィックスする効果
この実施例は、HER2ペプチド標的の活性化およびコンジュゲーションの前に、インタクトなCHO細胞をプレフィックスする効果を説明する。得られた細胞をcytospin細胞学的調製物またはFFPE調製物の双方として処理し、HerceptestTMプロトコールによってHRP Envision/DAB染色し、MDA-175およびSK-BR-3対照細胞株と比較する。
手短に言えば、約2000万個のチャイニーズ卵巣細胞を、溶解工程を除いて実施例1に前記の通りに単離する。
細胞を2つの均一な大きさの集団に分ける。第一の集団を終濃度0.7 v/v %のPBSバッファー中のパラホルムアルデヒド、pH7.2を用いてプレフィックスし、15分間氷上で放置し、GMBSを用いて活性化する。
プレフィックスした細胞集団およびプレフィックスしていない細胞集団を、この後並行して処理する。
活性化を1.0μmol/l の 'GMBS' で行い、3.0μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンを'GMBS'に反応させ、C末端にシステインを含む0.25μmol/l のHER2/neuペプチド (0.42 mg) (ペプチド番号3、DakoCytomation A0485抗体に対するエピトープ、分子量1674.8) と最終的に反応させる。
インタクトなCHO細胞およびペプチド修飾したCHO細胞を2つの集団に分け、それぞれ上記の一般的な手順に記載される通りに、cytospin細胞学的調製物またはFFPE調製物として処理し、スライド上にマウントする。
インタクトなCHO細胞を、HER2/neu受容体タンパク質に対する一次ポリクローナル抗体 (DakoCytomation A0485) を含むHercepTest免疫システム (DakoCytomation K5204) を用いて免疫視覚化する。
Herceptestキットに含まれるFFPE参照細胞 (MDA-175およびSK-BR-3細胞株) を並行して処理し、染色する。スライドは全て20倍倍率で写真にとる。
図19Aはプレフィックス工程なしのHRP/DAB染色されたcytospin調製物であり、図19Bはプレフィックス工程ありの調製物である。
図19Cはプレフィックス工程なしのHRP/DAB染色されたFFPE調製物であり、図19Dはプレフィックス工程ありの調製物である。
図19EはHRP/DAB染色されたMDA-175 (スコア+1) Herceptest FFPE参照細胞であり、図19FはHRP/DAB染色されたSK-BR-3 (スコア+3) Herceptest FFPE参照細胞である。
cytospin調製物およびFFPE調製物双方において、細胞物質の化学修飾前の固定による安定化によって、非固定細胞と比較して、結果として細胞成分がより明確に染色される。
増大した均一性と明確な染色は、参照細胞を用いて解釈者を正しいスコア付けに導くことが出来るので、細胞化学においていくつかの適用に有利であり得る。Dakocotymation Herceptest由来の染色された参照細胞と比較して、細胞間均一性がより良好で、調製物は細胞残骸をほとんど含まない。
実施例6.cytospin調製物におけるCHO細胞から単離された核の段階的な染色を得るために、コンジュゲーション中に異なるレベルの標的ペプチドを使用する効果
この実施例における標的はKi-67ペプチドであり、ホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) Envision/DAB染色によって免疫視覚化される。
手短に言えば、約1000万個のチャイニーズ卵巣細胞核を、実施例1および2の前述の通りに単離し、活性化する。
核集団を3つの集団に分ける。活性化を、0.5μmol/l の 'GMBS' との反応によって行い、次いで1.5μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンを'GMBS'に反応させ、(A) 0.125μmol/l のKi-67ペプチド (ペプチド番号5、分子量2390.3Da)、(B) 0.50μmol/l のKi-67ペプチド (ペプチド番号5、分子量2390.3Da) または(C) 0.50μmol/l の無関係なHER2ペプチド (ペプチド番号3、分子量1676.9Da) のいずれかと反応させる。両ペプチドはC末端にシステインを含む。
3つの核集団を一般的な手順の記載どおりに、cytospin細胞学的調製物として処理し、スライド上にマウントし、Ki-67に対する一次モノクローナル抗体 (クローン MIB-1、DakoCytomation 7240) を用いて免疫視覚化する。
図20は20倍倍率でとられた染色されたCHO核の写真である:無関係なHER2ペプチドと結合した核 (図20A)、低濃度のKi-67ペプチド (0.125μmol/l、図20B) と結合した核、および高濃度のKi-67ペプチド (0.50μmol/l、図20C) と結合した核。
図20Aは無関係なペプチドで修飾された核の低い非特異的な染色を示す。
図20Bおよび図20Cは異なる染色レベルを示す(それぞれ、約2+および3+)。調製物は少し不均一であり、残骸を多少含む。
二つの写真は免疫染色の強度を示し、このことから、細胞化学的なスコア付けはカップリング中のペプチドの濃度によって調整することができる。
核調製物は、顕微鏡で観察した場合、大きさと形態が同様であるので、核に通常局在する標的の参照として有用である。
実施例7.標的としての2つのp16エピトープモチーフペプチドの使用、およびFFPE調製物におけるプレフィックスしたインタクトなsf9細胞のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) Envision/DAB染色
この実施例では、化学的活性化の前に、透化性試薬である、DakoCytomation IntraStainTMで細胞を処理する。
2億個のインタクトなsf9細胞を前述の通り溶解工程なしに単離し、終濃度4.0 v/v %のPBSバッファー中のパラホルムアルデヒド、pH7.2を用いて氷上で20分間プレフィックスし、洗浄し、次いでDakoCytomation IntraStainTM (0.4 ml/100万個細胞) で20分間、室温で処理し、その後洗浄工程を1回行う。細胞を前述の通り一般的に活性化を行う。
活性化を、10μmol/l の 'GMBS' で行い、次いで30μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンと反応させ、p16抗体に対するエピトープを2個有し、N末端に蛍光部位を、C末端にシステインを含む0.01μmol/l のペプチド番号4 (分子量2201.3) と最終的に反応させる。
細胞を一般的な手順における記載の通り、FFPE調製物として処理し、スライド上にマウントし、p16に対する一次モノクローナル抗体 (クローン p16 E6H4、DakoCytomation、0.62μg/ml) を用いて免疫視覚化する。
図21は20倍倍率でとられた、染色されたsf9細胞の写真である。
免疫染色は個々の細胞のすみずみまで観察される。染色パターンは細胞の各種部分 (膜、細胞質および核) に対して均一である。細胞間の染色度は弱染色 (1+) 細胞から強染色 (4+) 細胞におよぶ。
染色パターンによって、intrastain試薬が試薬を細胞の様々な部分に送達するのを促進する陽性の効果が説明される。得られた染色は、例えば、細胞膜上に局在するのみではない。
実施例8.標的としてのp16ペプチドの使用、およびFFPE調製物におけるプレフィックスしたインタクトなsf9細胞のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) Envision/DAB染色
この実施例では、細胞をDakoCytomation IntraStainTMで処理し、関連のある2個のp16モチーフペプチドと関連がないペプチドの公知の混合物と結合させ、異なる強度を有する特異的な染色を得る。
2億個のsf9細胞を以前の実施例124のように単離し、プレフィックスし、intrastain処理をする。
細胞集団を2つの等しい大きさの集団 (AとB) に分け、前記のように並行して活性化する。活性化を、10μmol/l の 'GMBS' で行い、次いで30μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンと反応させる。
集団Aを0.01μmol/l のペプチド番号4 (上記実施例7と同様に) と0.30μmol/l (集団A) または0.10μmol/l (集団B) の無関連なペプチド (ペプチド番号6、2個のエピトープモチーフKI67 ペプチド (分子量1817.2Da)、両ペプチドはC末端にシステインを含む、の予備混合した溶液と反応させる。
細胞を一般的な手順に記載される通りに、FFPE調製物として処理し、スライド上にマウントし、p16に対する一次モノクローナル抗体 (クローンp16 E6H4、DakoCytomation) を用いて免疫視覚化する。
図22A (30等量の無関連なペプチドを用いた場合) と図22B (10等量の無関連なペプチドを用いた場合) は、20倍の倍率でとられた染色されたsf9細胞の写真である。
陰性対照抗体(DakoCytomation N1698) を用いた集団 (A) の染色では、検出可能なDAB染色は得られなかった。
染色度は、図22Aでは0.5〜1+に、図22Bでは1〜1.5+にスコア付けされる。
図22A (30等量の無関連なペプチド) と図22B 10等量の無関連なペプチド) を図21 (無関連なペプチド無し) と比較することによって、染色度は無関連なペプチドの添加によって減少することがわかる。
また、細胞間の染色レベル均一性は、反応混合物に無関連なペプチドを添加することによって向上する。
結論として、結合混合物に無関連なペプチドを添加することによって染色度を低下することが出来る。0.5〜1.0の得られた弱い染色レベルは、IHCアッセイがしばしばこの範囲の閾値を要するので、重要である。
実施例9.プレフィックスしintrastain処理を行った、標的として2個のp16ペプチドを有するインタクトなsf9細胞の全部で4バッチの調製物における再現性、および無関連なペプチドの使用
細胞をフローサイトメーターでペプチド密度について評価し、FFPE調製物として処理し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) Envision/DAB染色を行う。
3億個のインタクトなsf9細胞を実施例124のように、単離し、プレフィックスし、intrastain処理を行う。活性化を165μmol/l の 'GMBS' で行い、次いで400μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンと反応させ、p16抗体に対する二重エピトープを有し、N末端に蛍光部位を、C末端にシステインを含む0.015μmol/l のペプチド番号4 (分子量2201.3) と、C末端にシステインを含有する0.15μmol/l (10倍過剰) の無関連なペプチド (ペプチド番号6) 二重エピトープモチーフKI67ペプチド (1817.2 Da) とを予備混合した溶液と最終的に反応させる。
細胞集団の10分の1を固定し (PBSバッファー中に0.7 v/v%パラホルムアルデヒド、pH7.2、氷上に15分間)、フローサイトメトリーで蛍光ペプチドの結合のレベルについて評価する。細胞あたりの平均蛍光シグナル (FL1) は、100000回の事象後にプロットされる。
残りの細胞を一般的な手順に記載される通りに、FFPE調製物として処理し、スライド上にマウントし、p16に対する一次モノクローナル抗体 (クローンp16 E6H4、DakoCytomation) を用いて免疫視覚化する。
同じ研究室の人員が、最初の細胞の単離から染色および最後のカバースリッピングまでの全手順を4回並行して繰り返した。
図23A、B、CおよびDは、40倍の倍率でとられた染色されたsf9細胞の4つの調製物の写真である。
染色度は全4つの調製物において+1にスコア付けされ、染色パターンおよび局在は全ての調製物においてほぼ同一である。
4つの調製物について、フルオレセイン (FL1) の平均蛍光シグナル密度を図23Eに要約する。平均蛍光シグナルは、4つの調製物について133.9から192.8ユニットにおよぶ。
結論として、手順を4回再現して、同じDAB染色度を得ることが出来た。関連ペプチドからの蛍光シグナルの測定は、細胞上の平均標的密度を評価する独立した方法として用いることが出来る。
フローサイトメーター方法で見られるような、標的密度において観察される変化はDAB/HRP免疫染色によっては検出することが出来なかった。
実施例10.FFPE調製物における、標的としてのp16ペプチドの使用、およびプレフィックスされたインタクトなsf9細胞のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) Envision/DAB染色
この実施例では、細胞をDakoCytomation IntraStainTMで処理し、異なる架橋剤濃度ならびに、関連ある二重p16モチーフペプチドおよび無関連なKi76ペプチドの混合物と結合させ、異なる強度を有する特異的な染色を得る。架橋剤と全ペプチドの濃度間の比は一定に保たれていた。
3億個のsf9細胞を実施例124のように、単離し、プレフィックスしintrastain処理を行う。細胞集団を3つの等しいサイズの集団 (A、BおよびC) に分割し、前述のように並行して活性化する。
活性化を (A) は60μmol/l、(B) は105μmol/l,または (C) は165μmol/lの 'GMBS' で各々行い、次いで GMBSに関して3等量のL-グリシン:(A) は180μmol/l、(B) は325μmol/l,および (C) は495μmol/lのL-グリシンと反応させる。
マレイミド活性化細胞を、両者ともC末端にシステインを含む、関連あるp16 (ペプチド番号4 (分子量2201.3) と無関連Ki67ペプチド(番号6、1817.2Da) の異なる量比のものと反応させる。
(A) は0.015μmol/l のペプチド番号4および0.045μmol/l のペプチド番号6、(B) は0.015μmol/l のペプチド番号4および0.090μmol/l のペプチド番号6,ならびに (C) は0.015μmol/l のペプチド番号4および0.150μmol/l のペプチド番号6。
要約すると、GMBSに対するL-グリシンの濃度比および、全ペプチドに対するGMBSの濃度比は3で一定に保たれている。
関連p16ペプチド濃度を0.015μmol/l の一定に保ち、無関連ペプチドに対する関連ペプチドの濃度比は各々3、6および10である。
細胞をFFPE調製物として取扱い、一般的な手順に記載される通りに、スライド上にマウントし、p16に対する一次モノクローナル抗体 (クローンp16 E6H4、DakoCytomation) を用いて免疫視覚化する。
図24A、BおよびCは40倍倍率でとられたHRP/DAB染色のFFPE sf9細胞の写真であり、各々(A) 3倍過剰の無関連ペプチド、(B) 6倍過剰の無関連ペプチド、(C) 10倍過剰の無関連ペプチドを有する。
染色度は、顕微鏡で観察されるように、各々(A) 3+ (ほんのわずかについては、1+)、(B) 1.0〜2.0+および(C) 0.5〜1.0+にスコア付けされる。
また、染色パターンおよび局在は3つの調製物において同じである。
結論として、活性化および結合時の、架橋剤、特異的な標的および無関連ペプチドの濃度を単純に変化させることによって、染色レベルを調整することができる。診断上関連のあるレベルは0.5〜1.0+に調製され得、例えば、子宮頚部試料中のp16標的について診断的に望まれる染色の閾値となり得ると期待される。
実施例11.ThinPrepまたはAutocyte/TriPath 細胞学的調製物における、標的としてのp16ペプチドの使用、およびプレフィックスされたインタクトなsf9細胞のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) Envision/DAB染色
細胞をDakoCytomation IntraStainTMで処理し、関連のある二重p16モチーフペプチドおよび無関連Ki76ペプチドの混合物と結合させる。
2億個のインタクトなsf9細胞を実施例124のように単離し、プレフィックスし、intrastain処理を行う。活性化を20μmol/lの 'GMBS' で行い、次いで60μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンと反応させ、C末端にシステインを含む0.04μmol/l のペプチド番号4 (分子量2201.3) と0.4μmol/l の無関連KI67ペプチド (番号6、1817.2Da) との予備混合溶液と最終的に反応させる。
細胞を、一般的な項に記載されているようにThinPrep調製物または手動処理のAutocyte/TriPath調製物として処理する。
両調製物を、一般的な手順に記載される通りにp16に対する一次モノクローナル抗体 (クローンp16 E6H4、DakoCytomation) を用いて免疫視覚化する。
図25A、Bは20倍の倍率でとられた(A) ThinPrepまたは(B) Autocyte/TriPathで処理し染色されたsf9細胞の写真である。
図25Aで写真に撮られたThinPrep調製物は、高度に染色され3〜4+にスコア付けされる。
図25Bで写真に撮られたAutocyte/TriPath調製物は0〜2+にスコア付けされ、一部の細胞は2+にスコア付けされるが、一部はほとんど染色されない様である。
調製の2つの方法によって、非常に異なる細胞の全体外観および染色レベルが得られた。
結論として、幅広く使われている、細胞学的試料を扱うThinPrepまたはAutocyte/TriPathの一般的な方法によって、本発明の参照物質を取り扱うことができる。異なる手順によって、選択されたモデル系に関して異なる染色レベルおよび全体外観が得られた。
実施例12.標的としてのHER2 neuペプチドの使用、およびフローサイトメトリーによって評価されるプレフィックスしたチャイニーズ卵巣細胞 (CHO) 細胞全体の蛍光染色
3000万個のチャイニーズ卵巣細胞 (CHO) を、溶解工程を除いた試験1の前述通りに単離する。
PBSバッファー中終濃度0.7 v/v%、pH7.2のパラホルムアルデヒドを用いて細胞をプレフィックスし、GMBSを用いた活性化の前に氷上に15分間放置する。
活性化を1.0μmol/lの 'GMBS' で行い、次いでGMBSに対して3.0μmol/l (3倍モル濃度過剰) のL-グリシンと反応させ、C末端にシステインを含む0.25μmol/l のHER2 neuペプチド (ペプチド番号3、DakoCytomation A0485抗体に対するエピトープ、分子量1674.8) と最終的に反応させる。
細胞集団を前述の一般的なフローサイトメーター手順に従ってフローサイトメーターを用いて染色し、評価する。
図26A、BおよびCは染色していないCHO対照細胞を示す。
FL1チャンネルの蛍光は非常に弱い (図26C、右下)。
図27A、BおよびCはウサギF(ab)2陰性対照免疫グロブリンプール (DakoCytomation X0929) およびフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITC (DakoCytomation F0054) とインキュベートしたHER2修飾CHO細胞を示す。
FL1チャンネルの蛍光は非常に弱く (図27C、右下)、低い非特異的バックグラウンドを示す。
図28A、BおよびCはウサギ抗HER2/neu (DakoCytomation A0485) およびブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITC (DakoCytomation F0054) とインキュベートしたHER2修飾CHO細胞を示す。
図28C (右上) は、ウサギ抗HER2/neuおよびブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITCで免疫標識された陽性細胞のHER2/neuペプチド発現からの非常に高いFL1蛍光を示す。
結論として、本発明の細胞をフローサイトメトリーによって染色し、評価することができる。非特異的バックグラウンドは、特異的抗体と同じ由来の非特異的抗体を用いた染色によって示されるように非常に低い。また、細胞だけからの自己蛍光も低い。
実施例13.標的としてのHER2 neuペプチドの使用、およびフローサイトメトリーによって評価されるプレフィックスしたチャイニーズ卵巣細胞 (CHO) 細胞全体の蛍光染色
この実施例では、プレフィックスはより緩く、標的ペプチドの量は前実施例よりも少ない。細胞の均一性を比較する。
2000万個のチャイニーズ卵巣細胞 (CHO) を、溶解工程を除いて試験1の前述通りに単離する。細胞をPBSバッファー中の0.5 v/v%の終濃度のパラホルムアルデヒド、pH7.2を用いてプレフィックスし、氷上で15分間放置し、GMBSで活性化する。
活性化を1.0μmol/lの 'GMBS' で行い、次いで 'GMBS' に対して3.0μmol/l (3倍モル濃度過剰)のL-グリシンと反応させ、C末端にシステインを含む0.20μmol/l のHER2/neuペプチド (ペプチド番号3、DakoCytomation A0485抗体に対するエピトープ、分子量1674.8) と最終的に反応させる。
細胞集団を前述の一般的なフローサイトメーター手順に従って染色し、評価する。
図29は染色していない CHO 対照細胞を示す。
FL1 チャンネル蛍光は非常に弱い (図29C、右下)。
図30A、BおよびCはウサギF(ab)2陰性対照免疫グロブリンプール (DakoCytomation X0929) およびフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITC (DakoCytomation F0054) とインキュベートしたHER2修飾CHO細胞を示す。FL1チャンネルの蛍光は非常に弱く (図30C、右下)、前実施例と同様に低い非特異的バックグラウンドを示す。
図31A、BおよびCはウサギ抗HER2/neu (DakoCytomation A0485) およびブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITC (DakoCytomation F0054) とインキュベートしたHER2修飾CHO細胞を示す。
図31C (右上) は、ウサギ抗HER2/neuおよびブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITCで免疫標識された陽性細胞のHER2/neuペプチド発現からの高いFL1蛍光を示す。
図32は品質保証を確保し、フローサイトメトリーデータのバラツキを少なくするために使用される較正用マイクロビーズのフローセットからのヒストグラムを示す。
前実施例 (実施例13) に比較して、自動蛍光および非特異的バックグラウンドは、ほぼ同じ低いレベルである。特異的シグナルは少し高い。このことから、プレフィックスの条件が最終の蛍光シグナル強度に大いに影響することが示唆される。
前方および側方のスキャッタープロット (図29A、30A、31A) から、プレフィックス工程時により高い濃度を用いた調製物 (図26A、27A、28A) より、大きさおよび粒度に関してより不均一な細胞集団であることが示唆される。
実施例14.標的としてのHER2 neuペプチドの使用、およびフローサイトメトリーによって評価されるプレフィックスしたチャイニーズ卵巣細胞 (CHO) 細胞全体の蛍光染色
異なる架橋剤濃度を活性化時に用いる。非関連ペプチドを包含する。
手短に言えば、約2000万個のCHO細胞を、実験AおよびBに前述のように単離し、活性化を異なるレベルの'GMBS' (各々0.04μmol/l、0.20μmol/l、および1.00μmol/l) で行い、'GMBS' に対して3倍モル濃度過剰のL-グリシンと反応させ、双方C末端にシステインを含む、0.04μmol/l のHER2 neuペプチド (ペプチド番号3、Dakocytomation A0485抗体に対するエピトープ) または無関連なHER3ペプチド (ペプチド番号7、分子量1617 Da) と最終的に反応させる。
細胞集団を前述した一般的なフローサイトメーター手順に従って染色し、評価する。
図33は高GMBSレベル (1.00μmol/l) およびHER2標的を用いて調製した染色していないCHO対照細胞を示す。FL1チャンネル蛍光は弱い (図11C、右下)。
図34は高GMBSレベル (1.00μmol/l) およびHER2標的を用いて調製したCHO細胞を示す。ウサギF(ab)2陰性対照免疫グロブリンプール (DakoCytomation X0929) およびフルオレセインイソチオシアネート(FITC) 標識ブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITC (DakoCytomation F0054) とインキュベートした。
図35は高GMBSレベル (1.00μmol/l) および無関連なHER3標的を用いて調製し、HER2/neuタンパク質レセプター (DAKOCYTOMATION) に特異的なフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ウサギ抗体で直接免疫標識したCHO細胞からの低い蛍光を示す。
図36、37および38は、HER2/neuタンパク質レセプターに特異的なフルオレセインイソチオシアネート (FITC)標識ウサギ抗体 (FITC labeled Dakocytomation A40485) で3つの異なるHER2修飾細胞集団 (各々0.04μmol/l、0.20μmol/l、および1.00μmol/l GMBS) を直接免疫標識した後のフローサイトメーターのデータを示す。
要約すると、図36は低い染色シグナルを、図37は中程度の染色シグナルを、および図38は高い染色シグナルを示す。
結論として、活性化時の架橋剤の濃度を用いて、得られる特異的な蛍光染色シグナルを調整することができる。このことは、様々な染色度を有する参照細胞を得るために重要である。
自己蛍光は図11に示すように低い。非特異的なシグナルは図12および13で示すように低い。
しかし、集団が二分されるようであることは明らかにわかる (図34および35)。
実施例15.標的としてのHER2/neuペプチドまたはリン酸化HER2の使用、およびフローサイトメトリーによって評価されるプレフィックスされたsf9細胞全体の蛍光染色
4000万個のSf9細胞を前述のように単離し、0.5 v/v%の終濃度のパラホルムアルデヒドを用いてプレフィックスし、2.0μmol/l 'GMBS' で活性化し、'GMBS' に対して3倍モル濃度過剰のL-グリシンと反応させ、最終的に2つの集団に分割し、双方ともC末端にシステインを含む、(A) 0.08μmol/l のHER2/neuペプチド 'SP991729' (ペプチド番号3、1676.9Da、Dakocytomation A0485ウサギ抗体に対するエピトープ) または (B) 0.08μmol/l のHER2/neuペプチドを含有するリン酸化チロシン 'NVP-ABN-379-A1-1' (ペプチド番号8、分子量1753.8Da、Dakocytomation DAK-H2-PY-1248モノクローナル抗体に対するエピトープ) のどちらかと反応させる。
2つの細胞集団を前述のように一般的なフローサイトメーター手順に従って染色し、評価する。
図39は染色していないHER2 Sf9対照細胞 (集団A) を示す。
図40はウサギ陰性対照免疫グロブリンプール (DakoCytomation X0903) およびブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITC (DakoCytomation F0054) とインキュベートしたHER2 Sf9対照細胞 (集団A) を示す。
図41は染色していないリン酸HER2ペプチドSf9対照細胞 (集団B) を示す。
図42はマウスIgG1陰性対照免疫グロブリンプール (Dakocytomation X0931) およびウサギF(ab)2抗マウス免疫グロブリン/FITC (Dakocytomation F0313) とインキュベートしたリン酸HER2ペプチドSf9対照細胞 (B) を示す。
図43はHER2 Sf9対照細胞 (集団A) の特異的な染色を示す。
図43Aは前方散乱 (FSC-H) 対側方散乱 (SSC-H) のドットブロットにおける細胞の分布を示し、図43BはHER2/neuペプチドの異なる発現レベルを有する2つの集団を示す。
図43Cはウサギ抗HER2/neu (Dakocytomation A0485、0.1 g/L) およびブタF(ab)2抗ウサギ免疫グロブリン/FITC (DakoCytomation F0054) とインキュベートしたHER2/neuペプチド発現陽性細胞からの高い蛍光を示す。
図44はリン酸HER2ペプチドSf9対照細胞 (集団B) の特異的染色を示す。
図44Aは前方散乱 (FSC-H) 対側方散乱 (SSC-H) のドットブロットにおける細胞の分布を示し、図44BはHER2/neuペプチドを含有するリン酸化チロシンの異なる発現レベルを有する2つの集団を示す。
図44Cはモノクローナル抗リン酸化状態特異的HER2-PY1248 (Dakocytomation DAK-H2-PY-1248、0.1 g/L) およびウサギF(ab)2抗マウス免疫グロブリン/FITC (Dakocytomation F0313) とインキュベートした、発現陽性細胞のリン酸化HER2ペプチドからの高い蛍光を示す。
自己蛍光および非特異的染色は低い (図39、40、41および42)。特異的な染色によって、両者ともに診断目的を有する、2つのHER誘導体を特異的に染色する可能性を説明する。
実施例16.標的としてのFITCの使用、およびFFPE調製物における人工PEGA細胞のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) EnVision/DAB染色
この実施例では、人為的な人工樹脂を本発明の参照系として用いる。該樹脂はFITC修飾のアミノポリエチレングリコール (PEGA) 樹脂である。該樹脂は細胞様形状を有し、有機溶媒および水性溶媒の両者において膨張する特別な能力によって特徴付けられる。
アミノPEGA樹脂 (アミノポリエチレングリコール樹脂、Novabiochem, San Diego, USA、コード番号01-64-0100) は淡黄色の球形粒子である。FITC (フルオレセイン-5-イソチオシアネート、'異性体 I'、分子プローブコード番号F-1906) での修飾は、有機溶媒中でアミノ基の一部に直接結合させることによって行う。
手短に言えば、修飾は1.0 gのPEGA樹脂をトルエン (LabScan, Denmark, コード番号H6518、2分間、10 ml/g 室温) で3回洗浄し、次いで1 mMまたは10 mMのFITC (NMP中1%、LabScan, Denmark) および10 mM トリエチルアミン (Aldrichコード番号13,206-0) と反応させて行う。
上下逆さに回転させて17時間混合後、水で5回洗浄して反応を止める。並行して、未修飾のPEGA樹脂も洗浄する。
修飾および未修飾の洗浄したPEGA樹脂を別々にアガロース溶液 (2重量%のアガロース、HSA 1000 タンパク質グレード、0.05% PEI (Fluka コード番号03880) TBS溶液 (DakoCytomation, K5325, pH7.5、1lの水中) 中に包埋し、100 mgの樹脂を130μl の水と十分混合し、さらに400μl の60〜62℃の温かいアガロース溶液を添加し、その後素早く1 mlのシリンジに吸い上げる。アガロースが冷却した後、シリンジの先端を鋭利なナイフで切り落とし、固化したゲルを緩やかに水中に噴出させる。
ゲル片を以前一般に記載したように顕微鏡レンズ用洗浄紙で包む。
固定、脱水および一部のパラフィン包埋を自動組織処理装置Shandon Excelsior (Thermo Shandon, Ax-Lab, Vedbaer, Denmark) で自動的に行う。ゲル包埋樹脂を有する組織カプセルをチャンバー内に移し、室温で中性緩衝ホルマリン (PBS中に3.7%) 中にて4時間固定する。エタノール量を70%エタノールから99.9%エタノールに増加させる6工程における脱水は、各工程が30℃、真空で30分かかる。その後、ゲル包埋樹脂を30℃、真空でキシレンを用いて20分、3回処理する。この工程を終了するために、ゲルを真空で60〜62℃の融解したパラフィンを用いて80分、3回処理する。終了すると、それを60〜62℃の融解したパラフィン中で一晩放置する。
樹脂を有するヒストカプセルを新しい60〜62℃の融解したパラフィンに移し、前記一般に記載される通りにパラフィンブロック中に包埋する。
FITC修飾または未修飾のPEGA樹脂のFFPEブロックを切り、ポリ-L-リジン被覆顕微鏡ガラス (Electron Microscopy Sciences、コード番号63410-01) 上に載せ、前記一般に記載される通りに脱パラフィンを行う。
FITC修飾PEGA樹脂ならびに未修飾のPEGA樹脂の免疫視覚化を、一次抗体、視覚化システムおよび樹脂の対照を含む、一般的な手順に前述の通りに行う。要約すると、一次ポリクローナル抗体(F(ab')) はウサギ抗FITC-HRP (DakoCytomation、コード番号P5100、希釈1:50) であり、一次抗体の陰性対照はウサギIgG (DakoCytomation、コード番号X0936、希釈1:1000) である。その後、ヤギ抗マウス/ヤギ抗ウサギ免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼで標識したデキストランポリマー (DakoCytomation、コード番号K5007) 並びに、視覚化システムの陰性対照については、ヤギ抗マウス免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼで標識したデキストランポリマー(DakoCytomation、コード番号K4006) で処理する。最終的にジアミノベンチジン発色基質系 (DakoCytomation、コード番号K5007) で処理する。
図45A、45Bおよび45Cは、明視野顕微鏡で全て20倍の倍率でとられた、DAB染色されたPEGA樹脂の顕微鏡写真である。
図45Aおよび45Bは、各々1 mMおよび10 mMのFITCと結合したDAB染色されたPEGA樹脂である。
図45Cおよび45Dは、各々高度にFITC修飾されたPEGA樹脂上に陰性対照一次抗体および陰性EnVision対照を用いて染色したPEGAである。
図45Eは、抗FITCおよびEnVisionを用いてDAB染色した未修飾のPEGA樹脂である。
図45Fは10 mM FITCで修飾された樹脂の顕微鏡写真の典型であり (図45Bと同様)、図45Gは未修飾の樹脂であり、両者とも蛍光顕微鏡で16倍の倍率でとられたものである。
一般に、免疫染色は個々の樹脂のすみずみまで観察される。一部の樹脂ビーズは、中心にくぼみがあるようである。染色度は、図45A (1 mM FITC)では11/2〜2にスコア付けされ、図45A (10 mM FITC) では2〜21/2にスコア付けされる。
抗体の陰性対照および二次視覚化システムの対照は、両者とも1/2にスコア付けされ、未修飾樹脂の染色度は0にスコア付けされる。このことから、樹脂および修飾による一般的なバックグラウンドは非常に低いことが示唆される。
さらに、蛍光写真は樹脂のいくらかの不均一な修飾を示す。未修飾の樹脂は自己蛍光が非常に低かった。
結論として、人工細胞様樹脂を用いて、周知の一般的なハプテンを用いて修飾し、DAB染色を用いて免疫視覚化し、明視野顕微鏡で評価することは可能である。
染色度はハプテン修飾の程度の高低によって明らかに格付けされ (図45Aおよび45B)、バックグラウンドから明らかに区別できる、低い染色度を有する参照物質を作る可能性を示唆する。
該物質は、視覚化システムまたは全ての手動もしくは自動染色工程のバリデーションに有用であり得た。
実施例17.標的としてのウサギ免疫グロブリンの使用、およびFFPE調製物における人工アガロース細胞のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) EnVision/DAB染色
この実施例では、人為的な人工炭水化物マトリックスを視覚化システムの対照として用いる。該マトリックスは細胞様形状を有し、球形アガロースビーズのウサギIgG修飾ジビニルスルホン活性マトリックスである。
手短にいえば、アミノ、ヒドロキシルおよびチオール反応性ビニルスルホン活性化マトリックス (Mini Leak, Kem-En-Tec, Copenhagen、コード番号1012) のウサギIgG (DakoCytomation、コード番号X0936) を用いた修飾は、水性バッファー中での直接結合として行う。
より詳細には、1.7 gのMini Leakマトリックスを3回水で洗浄し (2分間、10 ml/g 室温)、次いで0.65 mg (0.50 mg/mlマトリックス) または1.95 mg (1.50 mg/mlマトリックス) の透析したウサギIgG (DakoCytomation、コード番号X0936、0.1 M NaCl、pH9.0の50 mM 炭酸塩) と反応させ、修飾を行う。
上下逆さまに回転することによって混合して室温で171/2時間後に、エタノールアミンでクエンチングする (全て0.010 M、pH9.0中)。30分後、マトリックスを水中で3回洗浄する (2分間、10 ml/g 室温)。並行して、未修飾のMini Leakマトリックスも水中で洗浄する。
IgG修飾の2つのMini Leakマトリックスおよび未修飾の洗浄した1つのMini Leakマトリックスを前述のように別々にアガロース溶液に包埋する。
ゲル片を前記一般に記載されたように顕微鏡レンズ洗浄紙で包む。
固定、脱水および一部のパラフィン包埋を前述の通りに、自動組織処理装置Shandon Excelsiorで自動的に行う。
該マトリックスを有する組織カプセルを新しい60〜62℃の融解したパラフィンに移し、前記一般に記載される通りにパラフィンブロック中に包埋する。
ウサギIgG修飾または未修飾のMini LeakマトリックスのFFPEブロックを切り、ポリ-L-リジン被覆顕微鏡ガラス (Electron Microscopy Sciences、コード番号63410-01) 上にマウントし、前記一般に記載される通りに脱パラフィンを行う。
ウサギIgG修飾のMini Leakマトリックスならびに未修飾のMini Leakマトリックスの免疫視覚化を、視覚化システムおよびマトリックスの対照を含む、前記一般的手順通りに行う。要約すると、一次抗体は用いない。ヤギ抗マウス/ヤギ抗ウサギ免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼで標識したデキストランポリマー (DakoCytomation、コード番号K5007) 並びに、視覚化システムの陰性対照については、ヤギ抗マウス免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼで標識したデキストランポリマー (DakoCytomation、コード番号K4006) で処理する。最終的にジアミノベンチジン発色基質系 (DakoCytomation、コード番号K5007) で処理する。
図46、47および48は、全て、明視野顕微鏡で見られたDAB染色されたMini Leakの顕微鏡写真である。
図46Aおよび46Bは、各々10および20倍の倍率でとられた、0.5 mgウサギIgG/mlで修飾したDAB染色されたMini Leakマトリックスの代表的な顕微鏡写真である。
図47Aおよび47Bは、各々10および20倍の倍率でとられた、1.5 mgウサギIgG/mlで修飾したDAB染色されたMini Leakマトリックスの代表的な顕微鏡写真である。
図48Aはヤギ抗マウスコンジュゲートを用いたEnVision陰性対照であり、図48BはEnVision HRPおよびDAB染色未修飾Mini Leakマトリックスの顕微鏡写真であり、全て10倍の倍率で撮られた。
染色度は、図46 (0.5 mg/ml マトリックスウサギIgG)では1/2〜1にスコア付けされ、図47 (1.5 mg ウサギIgG mg/ml マトリックス) では1/2〜1にスコア付けされる。全体的な染色度を、10倍倍率で評価する。
免疫染色は個々のマトリックスのすみずみまで観察される。低いスコアのマトリックス (図47) は、より高い染色度を有するビーズをほとんど持たないようである。
染色度は、ビーズの内部におけるより外表面上または端の方がわずかに高い。個々のビーズの異なる大きさは、切断過程によるもの、および元のビーズの不規則なサイズ分布による両方によるものであろう。数個のビーズは中心に小さな空洞を有する。顕著な残骸は見られず、ビーズは全て球形のように見え、パラフィン浸透およびその後の切断の良好な品質を示す。
図48Aおよび48B各々に、視覚化システムの対照は0にスコア付けされ、マトリックスの対照は1/2未満にスコア付けされる。
結論として、人工的細胞様参照として単純親和性物質を用い、ウサギ免疫グロブリンを用いて修飾し、DAB染色を用いて免疫視覚化および明視野顕微鏡で評価することは可能である。
ネイティブおよび未修飾のマトリックスにより、マトリックスの性質による非常に低いバックグラウンド染色度が得られる。
上記参照物質は、二次視覚化システムの機能性のバリデーションに有用であり得る。さらに、染色度は低く、多くのIHC診断キットに関して関連レベルにある。
実施例18.標的としてのHER2ペプチドの使用、およびFFPE調製物における人工細胞のホースラディッシュペルオキシダーゼ (HRP) EnVisoin/DAB染色
この実施例では、mini leakマトリックスをHER2ペプチドおよび無関連ペプチドと結合させ、一次試薬の参照として使用する特異的な染色を得る。
HER2ペプチド (ペプチド番号3、DakoCytomation A0485抗体に対するエピトープ) およびp16ペプチド (ペプチド番号4) を用いたMini Leakマトリックスの修飾は、水性溶媒中でチオール含有ペプチドとビニルスルホン活性マトリックス間で直接結合させることによって行う。
p16ペプチドは、この実施例では無関連ペプチドとして作用する。標的ペプチドの濃度は変化し、ペプチドの全濃度は結合について一定である。
より詳細に、0.85 gのMini Leakマトリックスを50 mM HEPES、2.5 mM EDTA pH8中で2回洗浄し(20分、10 ml/g 室温)、次いで
a) 0.0 g/l HER2 および0.0 g/l P16,
b) 0.01 g/l HER2 および0.19 g/l P16,
c) 0.05 g/l HER2 および0.15 g/l P16,
d) 0.10 g/l HER2 および0.10 g/l P16,
e) 0.15 g/l HER2 および0.05 g/l P16 または
f) 0.19 g/l HER2 および0.01 g/l P16
各々と反応させることによって6つの異なる修飾を行う。全体でHepesバッファー中 (100 mM HEPES、5 mM EDTA、5% DMF、pH8.0) に合わせたペプチドの濃度は0.20 g/lである。
室温で振盪による混合の17時間後に、1/10容量の0.1 Mエタノールアミン pH9.0でビーズをクエンチングさせる。30分後、マトリックスを50 mM HEPES、2.5 mM EDTA pH8中で2回洗浄する(20分、10 ml/g 室温)。並行して、未修飾のMini Leakマトリックスも洗浄する。
修飾および未修飾で洗浄したMini Leakマトリックスを、別々にアガロース溶液に包埋し、ゲル片を前記のように顕微鏡レンズ洗浄紙で包む。
固定、脱水およびパラフィン包埋の最初の部分は前述の通りに、自動組織処理装置Shandon Excelsiorで自動的に行う、しかし、3.7% NBF固定の代わりに0.4% NBF固定中で固定を行う。
該マトリックスを有する組織カプセルを新しい60〜62℃の融解したパラフィンに移し、前記一般に記載される通りにパラフィンブロック中に包埋する。
HER2ペプチド修飾または未修飾のMini LeakマトリックスのFFPEブロックを切り、ポリ-L-リジン被覆顕微鏡ガラス上にマウントし、前記一般に記載される通りに脱パラフィンを行う。
HER2ペプチド修飾Mini Leakマトリックスならびに未修飾Mini leakマトリックスの免疫視覚化はHercepTestTM (DakoCytomation コード番号K5205) のプロトコールに従って手動で行われる。
免疫視覚化は一次抗体ならびに視覚化システム、カップリング、マトリックスの対照を含み、異なるHER2参照細胞株を有する対照スライドはHercepTestTMキットを提供される。
要約すると、一次抗体はウサギ抗ヒトHER2タンパク質であり、ウサギIgGは陰性対照として用いられる。視覚化は、ヤギ抗ウサギ免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼで修飾したデキストランポリマーによって行われる。視覚化システムの陰性対照はヤギ抗マウス免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼで修飾したデキストランポリマー (DakoCytomation、コード番号K4006)によってなされる。最終的にはジアミノベンチジン発色基質系が用いられる。
図49Aから図49Fは全て、各々(a) 0.0 g/l、(b) 0.01 g/l、(c) 0.05 g/l、(d) 0.10 g/l、(e) 0.15 g/lまたは(f) 0.19 g/lのHER2標的ペプチドと結合させたDAB染色したMini Leakの顕微鏡写真である。全ての顕微鏡写真は、明視野顕微鏡で20倍の倍率でとられた。
図50は様々な対照染色:陰性一次抗体対照 (図50A) およびEnvision陰性対照(図50B) であり,両者とも0.19 g/l HER2 mini leakマトリックス上にある。図50CはHerceptestで染色した未修飾のMini leakマトリックスである。図50D、EおよびFはHercepTestTM対照スライドである。
均一な細胞質染色に非常に似ている免疫染色は、陽性染色された個々のマトリックス細胞のすみずみまで観察される。
染色度は図49B (0.01 g/l HER2) では0+に、図49C、D、EおよびF (0.05〜0.19 g/l HER2)ではおよそ1+にスコア付けされる。4つの1+のスライドは、より強い強度で染色された個々の細胞の数が増加した、しかし全体的な染色スコアはおよそ1+であった。
カップリング、視覚化システム、抗体およびマトリックスの対照は全て、図50A、BおよびCでは0+にスコア付けされる。HercepTestTM対照スライドはキット使用説明書において規定されるように、0、1+および3+にスコア付けされる。
天然および未修飾のマトリックスによって、マトリックスの性質による非常に低いバックグランド染色度が得られた。
結論として、人工細胞様マトリックスを用い、HER2ペプチドとして小さな標的を用いて異なる濃度で修飾し、DAB染色で免疫視覚化し、明視野光学顕微鏡で評価することができる。マトリックスの共有結合修飾時のペプチド濃度のレベルによって、段階的な免疫染色が得られた。
実施例19.標的としてのp16ペプチドの使用、およびFFPE調製物における人工細胞のホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP) EnVision/DAB染色
この実施例では、mini leakマトリックスをp16ペプチドと結合させ、前の実施例と同様に無関連HER2ペプチドと結合させる。
p16ペプチドおよび無関連ペプチド (HER2) を用いたMini Leakマトリックスの修飾、およびFFPE調製は前の実施例に記載されている。
p16ペプチド修飾のMini Leakマトリックス並びに未修飾のMini leakマトリックスの免疫視覚化は、CINtecTM p16INK4acytologyキット (DakoCytomation、コード番号K5339) のプロトコールに従って手動で行う。
免疫視覚化は、一次抗体ならびに視覚化システム、カップリングおよびマトリックスの対照を含む。
要約すると、一次抗体はマウス抗ヒトP16INK4aであり、陰性対照はマウスIgG2aである。視覚化はヤギ抗マウス免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼで標識されたデキストランポリマーによってなされる。視覚化システムの陰性対照はヤギ抗ウサギ免疫グロブリンおよびホースラディッシュペルオキシダーゼで標識されたデキストランポリマー (DakoCytomation、コード番号K4003)である。最終的には、ジアミノベンチジン発色基質系を用いる。
図51は明視野顕微鏡でのCINtecTMp16INK4a DAB染色のMini Leakマトリックスの写真であり、全て20倍の倍率でとられた。
図51Aから図51Fは全て、各々(a) 0.0 g/l、(b) 0.19 g/l、(c) 0.15 g/l、(d) 0.10 g/l、(e) 0.05 g/lまたは(f) 0.01 g/lのp16標的ペプチドと結合させたDAB染色したMini Leakの顕微鏡写真である。
図52は様々な対照染色:陰性一次抗体対照 (図52A) およびEnvision陰性対照 (図50B) であり、両者とも0.19 g/l HER2 mini leakマトリックス上にある。図52CはCINtecTMp16INK4aキットで染色した未修飾のMini leakマトリックスである。
前の実施例で見られるように、均一な免疫染色が個々のマトリックスのすみずみで観察される。
染色度は図51F (0.01 g/l p16) では1/2+〜3+に、図51B、C、DおよびE (0.19から0.05 g/l p16まで下がって) では1+から3+にスコア付けされる。染色度は個々の細胞間において少し不均一に分布する。
カップリング、視覚化システム、抗体およびマトリックスの対照は全て0+にスコア付けされる (図52A〜C)、しかし一部のバックグラウンド染色が個々のビーズ間のアガロースに観察された。
結論として、人工細胞様マトリックスを用い、p16ペプチドのような小さな標的を用いて修飾し、DAB染色を用いて免疫視覚化し、明視野光学顕微鏡で評価する。
実施例20.人工細胞のサイズ測定
以下の実施例は、実施例16および18で作られた人工細胞のサイズ測定を要約する。
より詳細には、Fitc修飾のPEGA樹脂を用いたFFPEブロック (実施例16、10 mM FITCで結合させた) およびp16/HER2修飾のMini leakマトリックス (実施例18、0.15 g/l HER2および0.05 g/l P16で修飾したMini leakマトリックス) は、前述のように切断、マウントおよび染色する。サイズは較正されたスケールバーに対して相対的に20倍の倍率で計算された。
5つのスライド上の最も大きいPEGAビーズの10個を双方向において(水平および垂直)測定した。最も大きいもので221マイクロメーターであり、10個の大きいビーズの平均値は173マイクロメーターであった。以下の表1Aは結果を要約する。
p16修飾のMini leakマトリックスの10枚のスライドを評価した。各個々の人工細胞のサイズが測定された。最も大きいものが152マイクロメーターであった。20細胞の平均値は123マイクロメーターであった。以下の表1Bは、10個のHER2 mini leakスライドについての結果を要約する。
個々のビーズが様々な場所で切断されるので、細胞の大きさは大きく異なる。最も大きいビーズまたは細胞は221マイクロメーターであり、明視野顕微鏡の視野において簡単に発見され得た。
この文書で述べた各出願および特許、ならびに上記の各出願および特許の各引用文書または参考文書、各出願および特許(「出願を引用した文書」)が審査中のものも含む、ならびに各出願および特許を引用した文書に引用または言及されたあらゆる製品に関するあらゆる製造業者の取扱い説明書またはカタログを、本明細書中に参照として援用する。さらに、この本文内で引用された全ての文書、およびこの本文内で引用された文書内に引用または参照された全ての文書、およびこの本文内で引用または言及されたあらゆる製品に関するあらゆる製造業者の取扱い説明書またはカタログを、本明細書中に参照として援用する。
本発明の記載方法およびシステムの種々の修飾および変化は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明は特定の好ましい態様と関連して記載されているが、請求項に係る発明はかかる特定の態様に過度に限定されるべきではないと理解されるだろう。実際に、分子生物学または関連分野の当業者に明らかである本発明を行うための記載された様式の種々の修飾は、請求項の範囲内であることを意図するものである。
図1はタンパク質発現の評価のための抗原染色の典型的な分類または評点するシステムを示す。ヒト乳房組織を、HercepTestTM、Dakocytomation(コード番号:K5204)を用いて抗-HER2抗体で、HER2抗原に対して染色する。図1A:スコア0(陰性).染色が観察されない、または膜染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。図1B:スコア1+(陰性).かすかな、またはかろうじて認知できる膜染色が、腫瘍細胞の10%より大きい値で検出される。該細胞が膜の部分で唯一染色される。図1C:スコア2+(弱く陽性).弱いから穏やかな完全膜染色が、腫瘍細胞の10%より大きい値で観察される。図1D:スコア3+(強く陽性).強い完全膜染色が、腫瘍細胞の10%より大きい値で観察される。
図2は本明細書に記載の参照標準の態様を示す。この態様では、コンパクト粒子は、例えば、化学的に、診断によって関連のある標的などの検出可能な存在物で修飾され、パラフィンブロック中で包埋される。図2A:1つの球形のコンパクト粒子を含む参照標準;図2B:多数の球形コンパクト粒子を含む参照標準;図2C:平円筒型に1つの球形コンパクト粒子を含む参照標準;図2D:無作為の方向に多数の円筒コンパクト粒子を含む参照標準。参照標準からの薄片は、他のいずれかの「組織」として、IHCまたはISHであり得る。
図3は、コンパクト粒子の形状の例を示す。図3A:球形を有するコンパクト粒子。図3B:平円筒型を含む、円筒型のコンパクト粒子。図3C:タイル型または直方体、立方体もしくは立方体の形を有するコンパクト粒子。図3Dおよび3Eは不規則な形状をしたコンパクト粒子を示す。
図4は、伸長した形状を有する参照標準の態様を示す。点線で示された参照標準の一部からの薄片および断片中の検出可能な存在物のパターンもまた示す。図4A:参照標準は、支持媒体中で支持され、ここでは平円筒形において、1つのまたは複数のコンパクト粒子を含み得る。該コンパクト粒子はそれらに付着する1つ以上の検出可能な存在物を有する。図4B:参照標準の断面図は、検出可能な存在物の量、好ましくは検出可能な存在物の規定量を含む規定領域を含む。図4C:該参照標準中に複数のコンパクト粒子を配置する場合、参照標準の1つ以上の薄片または断面は、検出可能な存在物の量または数を含む1つ以上の、規定領域を含む。
図5は、複数のコンパクト粒子が、切断方向と垂直な束で位置され、不均一な参照ドットを含む薄い薄片に切り出され得ることを示す。図5Aは、中で複数のコンパクト粒子が支持媒体中で均一なパターンで配置される、参照標準の態様を示す。図5Bは、その参照標準の態様を示し、その中で複数のコンパクト粒子が支持媒体中で不均一なパターンで配置される。点線で示される参照標準の一部からの薄片および断片中の検出可能な存在物のパターンを以下に示す。
図6は、どのようにして参照標準または薄片もしくはその断面を、好ましくは固定、包埋および切り分けた生物学的試料と平行して、処理し得るのかの例を示す。
図7は、細胞または生物学的由来のコンパクト粒子の多数の例を示す。図7A:バクテリオファージまたはウイルス、細菌;図7B:細菌、細菌のコロニー;図7C:赤血球,図7D:動物細胞;図7E:植物細胞。
図8は、細胞コンパクト粒子を含む参照標準の製造における工程を示し、唯一該細胞の表面に結合することを示す。図8A:検出可能な存在物;図8B:細胞;図8C:任意にリンカーまたはスペーサー(12)によって、そこの検出可能な存在物が付着した細胞;図8D:検出可能な存在物がそこへ付着し、支持媒体中で支持される細胞を含む参照標準;図8E:検出可能な存在物がそこへ付着し、および支持媒体中で支持される複数の細胞を含む参照標準;図8F:好ましくは検出可能な存在物の規定量を含む、規定領域を示す、点線で示された参照標準の一部からの断面または薄片。
図9Aは参照標準の更なる態様を示し、その中で該参照標準は、五角形の断面図を有する、一般的に伸長した形状を有する。異なる形をしたコンパクト粒子の2つのセットは、支持媒体により支持され、これらのそれぞれを線状の形で配置する。図9Bはこのような参照標準の断面図を示し、これは該またはそれぞれの検出可能な存在物の検出可能な量を含む2つの異なった形をした領域を含む。
図10は、本明細書に記載の参照標準の態様を示し、その中で細胞、組織などを含む試料は、コンパクト粒子上の検出可能な存在物と共に支持媒体中で支持される。例えば、検出可能な存在物が付着した組織試料およびコンパクト粒子は、同じ媒体中で包埋され得る。参照標準の薄片または断片は、組織などと共に検出可能な存在物の検出可能な量を含む。
図11は、本明細書に記載の参照の態様を作製および処理する方法のフローチャートを示す。「処理する」:細胞などのコンパクト粒子を、固定しおよび/または活性化し、検出可能な存在物を含む標的を、コンパクト粒子に結合し、およびコンパクト粒子を結合させて生じたものをアガロース中に包埋し、固定する。「標準IHC単位操作」:該コンパクト粒子をパラフィン中に包埋し、薄片に切り分ける。該薄片を顕微鏡のガラススライド上にマウントし、標準の免疫組織化学(IHC)染色手順に供する。
図12は、本明細書に記載の参照標準の態様を作製および処理する方法のフローチャートを示す。細胞などのコンパクト粒子を洗浄し、次いで、ペプチドまたは色素などの適した検出可能な存在物で化学的に修飾する。修飾したコンパクト粒子を任意にアガロースゲル中に包埋し、次いでホルマリンで固定する。次いで、アガロースブロックを長い円柱に切出し、脱水し、パラフィン中に包埋する。薄片を切り分け他のFFPE試料と共に処理する。
図13は、ヘテロ二官能性のクロスリンカー、N-(γ-マレイミドブチリルオキシ)-サクシンイミドエステル(GMBS)を使用してスルフヒドリル含有ペプチドを粒子(例えば細胞)に共有結合する描写図である。細胞上のアミノ基の一部(図13A)は、GMBS上のNHSエステルと反応し、マレイミド官能化粒子(図13B)となる。スルフヒドリル基を有するペプチドは、粒子中のマレイミド基と化学選択的に反応し、粒子にペプチドの共有結合したペプチドを生じる(図13C)。ペプチドは、結合の間の状態によって、粒子の様々な部分(図13D)に導入される。
図14は、例えば、インタクト(intact)の昆虫sf9細胞並びにホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)手順を使用して本発明の参照システム作製の単位操作の部分を示す写真イラスト部分を示す。該細胞を、制御された環境(図14A)中で、懸濁培養として成長させ、遠心容器に移し(図14B)、遠心分離により媒体から単離する(図14C)。懸濁液中の細胞を、ヘテロ二官能性のクロスリンカーで活性化(図14E)する前に、洗浄して血球計で計算し(図14D)、ペプチドを結合して洗浄し、FFPE調製として処理する。該細胞をアガロースの柱中で包埋し、一晩中固定し、レンズクレンジング紙に包み、脱水化およびパラフィン湿潤する前に、容易な扱いのために、継続用カプセルに置いた(図14F)。
図15は、cytospin調製として処理されたKi67ペプチド修飾CHO核の染色を示す。ヘマトキシリン対照染色(図15A)。Ki-67タンパク質、HRP/EnvisonおよびDABplus(図15B)に対して支持される単クローン抗体MIB1TMを使用して、免疫視覚化する。写真を20倍の倍率で撮る。
図16は、FFPE調製として処理されたKi67ペプチド修飾CHO核の染色を示す。Ki-67タンパク質、HRP/EnvisionおよびDABplusに対して指示される単クローン抗体MIB1TMを使用して、免疫視覚化する。写真を20倍の倍率で撮る。
図17は、FFPE調製として処理されたKi67ペプチド修飾CHO細胞の染色を示す。界面活性剤を、ペプチドコンジュゲートの間に使用した。Ki-67タンパク質、HRP/EnvisonおよびDABplusに対して指示される単クローン抗体MIB1TMを使用して、免疫視覚化する。写真を20倍の倍率で撮る。
図18は、cytopsin調製として処理されたKi67ペプチド修飾CHO細胞核の染色を示す。Ki-67タンパク質に対して指示される単クローン抗体MIB1TMを使用して免疫視覚化し、次いで、ビオチン化、ヤギ抗マウス二次抗体およびアルカリホスファターゼコンジュゲートストレプトアビジン(DAKOcytomation LSAB+)を使用し、最終的にVector Red発色基質系を使用する。染色された核は、明視野顕微鏡(図18A)および蛍光顕微鏡(図18B)で撮影した。
図19は、cytopsinまたはFFPE調製として処理され、HER2ペプチド修飾CHO細胞の染色およびHerceptest参照細胞を発現するHER2の染色を示す。HER2タンパク質、HRP/EnvisionおよびDABplusに対するウサギ抗体を使用して、免疫視覚化する。前固定しない細胞のcytospin調製物(図19A)、前固定した細胞(図19B)、前固定しない細胞のHFFPE調製物(図19C)、および前固定した細胞のFFPE調製物(図19D)。Herceptest 参照細胞MDA-175(図19E)およびSK-BR-3 (図19F) のFFPE調製物。写真を20倍の倍率で撮る。
図20は、cytopsin調製において処理されたKi67または無関係のペプチド修飾CHO核の染色を示す。Ki-67タンパク質、HRP/EnvisionおよびDABplus に対して指示される単クローン抗体MIB1TMを使用し、免疫視覚化する。無関係のHER2ペプチドで修飾された細胞(図20A)、低(図20B)および高(図20C)濃度のKi-67ペプチドで修飾された細胞(図20B)。写真を20倍の倍率で撮る。
図21は、FFPE調製物として処理された、p16ペプチド修飾および前固定したsf9細胞の染色を示す。該細胞を、透過(permeabilization)剤で処理する。それを単クローン抗体p16クローンE6H4、HRP/EnvisionおよびDABplus を使用し、免疫視覚化する。写真を20倍の倍率で撮る。
図22は、FFPE調製物として処理された、p16ペプチド修飾および前固定したsf9細胞の染色を示す。該細胞を、透過剤で処理し、関連のあるおよび無関係のペプチドの公知の混合物と合わせる。それを単クローン抗体p16クローンE6H4、HRP/EnvisonおよびDABplus を使用し、免疫視覚化する。30等量(図22A)、および10等量の無関係なペプチド(図22B)を使用した染色細胞。写真を20倍の倍率で撮る。
図23は、FFPE調製物として処理された、p16ペプチド修飾および前固定したsf9細胞の染色を示す。該細胞を、透過剤で処理し、関連のあるおよび無関係のペプチドの公知の混合物と合わせる。それを単クローン抗体p16クローンE6H4、HRP/EnvisonおよびDABplus を使用し、免疫視覚化する。4回再作製された(図23A、B、CおよびD)。写真を20倍の倍率で撮る。図23Eは、フローサイトメーターで測定された4つの調製物のそれぞれに対する細胞についてのフルオレセイン(flourescein)標識標的に対する平均蛍光シグナル密度である。
図24は、FFPE調製物として処理された、p16ペプチド修飾および前固定したsf9細胞の染色を示す。該細胞を、透過剤で処理し、クロスリンカー並びに関連のあるおよび無関係のペプチドの公知の混合物と合わせる。単クローン抗体p16クローンE6H4、HRP/EnvisionおよびDABplus を使用し、免疫視覚化する。図24A、B、およびCは、それぞれ、(A) 3倍を超えるの無関連ペプチド、(B) 6倍過剰の無関連ペプチド、および(C) 10倍過剰の無関連ペプチドを用いて、40倍の倍率で撮られた染色細胞の写真である。
図25は、ThinPrep(図25A)においておよびAutocyte/TriPath(図25B)細胞学的調製物として処理された、p16ペプチド修飾および前固定したsf9細胞の染色を示す。単クローン抗体p16クローンE6H4、HRP/EnvisonおよびDABplus を使用し、免疫視覚化する。写真を20倍の倍率で撮る。
図26は、無染色の前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフローサイトメーター図を示す。Forward Scatter(FSC-H)対Side Scatter(SSC-H)ドットプロット(図26A)、FL1-H対値(図26B)、およびFSC-H対FL-H(図26C)における細胞の分布。
図27は、前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフローサイトメーター図を示す。FITCコンジュゲート化ウサギF(ab)2陰性対照IgGプール(Dako X0929) およびフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ブタF(ab)2抗ウサギIg抗体で免疫標識された活性CHO細胞の分布。
図28は、前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフローサイトメーター図を示す。HER2/neuペプチドで標識され、ウサギ抗HER2/neu抗体 およびフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ブタF(ab)2抗ウサギIgで免疫標識された活性CHO細胞の分布。
図29は、穏やかに前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフローサイトメーター図を示す。前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフロー図を示す。Forward Scatter(FSC-H)対Side Scatter(SSC-H)ドットプロット(図29A)、FL1-H対値(図29B)、およびFSC-H対FL-H(図29C)中の細胞の分布である。
図30は、前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフローサイトメーター図を示す。これは、FITCコンジュゲート化ウサギF(ab)2陰性対照IgGプール(Dako X0929) およびフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ブタF(ab)2抗ウサギIg抗体で免疫標識された活性CHO細胞の分布。
図31は、前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフロー図を示す。HER2/neuペプチドで標識され、ウサギ抗HER2/neu抗体Fおよびフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ブタF(ab)2抗ウサギIgで免疫標識された活性CHO細胞の分布。
図32は、フローサイトメーターおよびシグナルの標準化を毎日モニタリングするために使用される6つの異なる蛍光強度を含む校正用ビーズ(Dakocytomation Fluorospheres)を示す、フローサイトメーター単パラメーターリニアーヒストグラムを示す。
図33は、高濃度のクロスリンカーを使用した、穏やかに前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフロー図を示す。Forward Scatter(FSC-H)対Side Scatter(SSC-H)ドットプロット(図33A)、FL1-H対値(図33B)、およびFSC-H対FL-H(図33C)中の細胞の分布である。
図34は、高(1.00μM GMBS)濃度クロスリンカーを使用し、前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフロー図を示す。ウサギF(ab)2陰性対照IgGプールおよびフルオレセインイソチオシアネート標識ブタF(ab)2抗ウサギIg抗体で免疫標識されたCHO細胞の分布。
図35は、高濃度クロスリンカーを使用し、前固定された無関連の(HER3)ペプチド修飾CHO細胞のフロー図を示す。フルオレセインイソチオシアネート標識ウサギ抗-HER2/neu抗体で免疫標識されたCHO細胞の分布。
図36は、低(0.04μM GMBS)濃度クロスリンカーを使用し、前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフロー図を示す。フルオレセインイソチオシアネート標識ウサギ抗-HER2/neu抗体で免疫標識されたCHO細胞の分布。
図37は、中(0.20μM GMBS)濃度クロスリンカーを使用し、前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフロー図を示す。フルオレセインイソチオシアネート標識ウサギ抗-HER2/neu抗体で免疫標識されたCHO細胞の分布。
図38は、高(1.00μM GMBS)濃度クロスリンカーを使用し、前固定されたHER2/neu修飾CHO細胞のフロー図を示す。フルオレセインイソチオシアネート標識ウサギ抗-HER2/neu抗体で免疫標識されたCHO細胞の分布。
図39は、無染色で前固定されたHER2/neuペプチド修飾sf9細胞のフローサイトメーター図を示す。Forward Scatter(FSC-H)対Side Scatter(SSC-H)ドットプロット(図39A)、FL1-H対値(図39B)、およびFSC-H対FL-H(図39C)中の細胞の分布。
図40は、無染色で前固定されたHER2/neuペプチド修飾sf9細胞のフローサイトメーター図を示す。ウサギF(ab)2陰性対照IgGプールおよびフルオレセインイソチオシアネート標識ブタF(ab)2抗ウサギIg抗体で免疫標識されたsf9細胞の分布。
図41は、無染色で前固定されたホスホHER2ペプチド修飾sf9細胞のフローサイトメーター図を示す。Forward Scatter(FSC-H)対Side Scatter(SSC-H)ドットプロット(図39A)、FL1-H対値(図39B)、およびFSC-H対FL-H(図39C)中の細胞の分布。
図42は、無染色で前固定されたホスホHER2ペプチド修飾sf9細胞のフローサイトメーター図を示す。ウサギF(ab)2陰性対照IgGプールおよびフルオレセインイソチオシアネート標識ブタF(ab)2抗ウサギIg抗体で免疫標識されたsf9細胞の分布。
図43は、無染色で前固定されたHER2/neuペプチド修飾sf9細胞のフローサイトメーター図を示す。HER2/neuペプチドで標識され、ウサギ抗HER2/neu抗体およびフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ブタF(ab)2抗ウサギIgで免疫標識された活性sf9細胞の分布。
図44は、無染色で前固定されたリン酸化HER2ペプチド修飾sf9細胞のフローサイトメーター図を示す。これは、HER2/neuペプチドで標識され、マウス抗リン酸HER2(DAK-H2-PY-1248)抗体およびフルオレセインイソチオシアネート (FITC) 標識ウサギF(ab)2抗マウスIgで免疫標識された活性sf9細胞の分布。
図45は、PEGA樹脂のDAB染色を示す:(A)1mM Fitcで結合、(B)10mM FITCで結合、(C)10mM Fitcで結合したPEGA上の陰性抗体対照、(D)陰性EnVision対照並びに(E)Fitc、HRP/EnvisionおよびDABplusに対して指示される抗体コンジュゲートを使用して免疫視覚化され、明視野顕微鏡中で20倍倍率で撮られる未修飾PEGA樹脂。(F)は10mM FITC修飾樹脂であり、(G)は未修飾樹脂であり、両方、蛍光顕微鏡中で10倍倍率で撮られる。
図46は、Fitc、HRP/EnvisionおよびDABplusに対して指示される抗体コンジュゲートを使用して免疫視覚化された0.5mgウサギIgG/mlで修飾され、(A)20倍および(B)10倍倍率で撮られたPEGA樹脂のDAB染色の複数の写真を示す。
図47は、Fitc、HRP/EnvisonおよびDABplusに対して指示された抗体コンジュゲートを使用して免疫視覚化された1.5mgウサギIgG/mlで修飾され、(A)20倍および(B)10倍倍率で撮られたPEGA樹脂のDAB染色の複数の写真を示す。
図48は、PEGA樹脂の対照DAB染色を示す。(A)ヤギ抗マウスコンジュゲートを使用したEnVision陰性対照、(B)未修飾Mini Leakマトリックス、全ては、10倍倍率で撮られた。
図49は、それぞれ(A)0.0g/l、(B)0.01g/l、(C)0.05g/l、(D)0.10g/l、(E)0.15g/lまたは(F)0.19g/l HER2標的ペプチドで結合されたMini LeakのDAB染色を示す。HER2タンパク質、HRP/EnvisionおよびDABplusに対して指示された単クローン抗体でHercepTestTMを使用して免疫視覚化された。全ての写真は、明視野顕微鏡で、20倍倍率で撮られた。
図50は、修飾されたMinileakマトリックス細胞および参照細胞の様々な対照染色を示す。(A)陰性一次抗体対照および(B)HER2/p16修飾Minileak細胞上のEnvision陰性対照、(C)Herceptestで染色された未修飾Mini leakマトリックスおよび(D)、(E)F並びに(F)HercepTestTM対照スライド。
図51は、それぞれ(A)0.0g/l、(B)0.19g/l、(C)0.15g/l、(D)0.10g/l、(E)0.05g/lまたは(F)0.01g/l p16標的ペプチドで結合されたMini LeakのDAB染色を示す。これは、p16タンパク質、HRP/EnvisionおよびDABplusに対して指示された単クローン抗体でCINtecTMp16INK4aを使用して免疫視覚化された。全ての写真は、明視野顕微鏡で、20倍倍率で撮られた。
図52は、修飾されたMinileakマトリックス細胞の様々な対照染色を示す。(A)陰性一次抗体対照および(B)HER2/p16修飾Minileak細胞上のEnvision陰性対照、並びに(C)CINtecTMp16INK4aキットで染色される未修飾Mini leakマトリックス。