JP4739316B2 - 電子写真用キャリアの製造方法及び該製造方法を用いて製造した電子写真用キャリア - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤で現像して、静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像方法に用いられる電子写真用キャリアの製造方法、及び該製造方法を用いた電子写真用キャリアに関するものである。
近年、電子写真法に用いられる二成分系現像剤は、オフィスユースの加速度的なカラーシフト、グラフィック市場対応の高精彩化、軽印刷対応の高速化といった市場ニーズを満たすため、性能面での更なる高画質、高安定性が求められている。
現状、二成分系現像剤を構成する電子写真用キャリアは、フェライト粒子や磁性体分散型樹脂コア表面に被覆樹脂をコートしたコートキャリアが主流である。コート層は、トナーの帯電量分布を安定化させるためや、電子写真用キャリアから感光体への電荷の注入を抑制するといった役割を果たしている。しかし、電子写真用キャリアコア表面への被覆樹脂のコートに関しては未だ検討が不十分であり、コートを均一に行うことに関わる課題は未だ多い。
従来の電子写真用キャリアの製造方法には、電子写真用キャリアコアと被覆樹脂溶液を攪拌しながら溶剤を揮発させ、電子写真用キャリアコア表面に被覆樹脂をコートする所謂浸漬法がある。又、電子写真用キャリアコアにより流動層を形成しながらスプレーノズルにより被覆樹脂溶液を吹き付け、電子写真用キャリアコア表面に被覆樹脂をコートする方法といった、湿式コート法によるものが多かった。
しかしながら、湿式コート法には、溶剤が揮発する際に電子写真用キャリア粒子の合一が発生しやすいという課題があった。一度合一が発生した電子写真用キャリアが攪拌によって解砕されると、その解砕面には電子写真用キャリアコア表面が露出し、前述した電子写真用キャリアから感光体への電荷の注入現象である所謂リークが発生し易くなる。このリークが発生すると、感光体の表面電位が現像バイアスに収束して現像コントラストが確保できなくなり、白抜け画像が発生する場合がある。又、電子写真用キャリアコア表面が露出することで、特に高温高湿下ではトナーの電荷も保持できなくなり、長期放置後のトナーの電荷が低いことによる、画像不良等も発生しやすくなる。
又、湿式コート法では、電子写真用キャリア粒子の合一が発生すると、収率も悪化する傾向にある。通常電子写真用キャリア製造工程の最終段階で分級を行うが、合一化し、且つ解砕されない電子写真用キャリアは除去されることになるからである。更には溶剤を完全に除去するための乾燥工程も必要であり、タクトアップの要因ともなることで、生産面からも湿式法に関しては未だ多くの課題が残る。
そこで、上記湿式コート法の課題を克服するものとして、乾式コート法が提案されている。例えば、高速攪拌混合機を用いて、粉体状の処理物を攪拌羽根で混合攪拌しながら、処理物に含有される被覆樹脂のガラス転移点(Tg)以上で熱的に被覆処理してキャリアを得る方法が開示されている(特許文献1)。しかし、この方法では、装置内全体をジャケットで加熱し、処理物全体の温度が処理物に含有される被覆樹脂のTg以上となるため、上述したような電子写真用キャリア粒子の合一が発生しやすく、均一なコートを行うという点では未だ不十分である。
又、機械的衝撃力によって乾式コートを行う方法も提案されている(特許文献2)。例えば、ローターとライナーを有する表面処理装置を用いて、磁性体粒子表面に磁性体粒子の1/10以下の粒径である樹脂粒子を被覆させる方法が開示されている。この方法では、キャリア表面に被覆処理用の装置とは別の装置を用いて樹脂粒子を分散させており、分散用の装置が別に必要になるという不便さがある。分散用の装置を用いない場合には、樹脂粒子が遊離した状態のままとなり、キャリアコア表面への樹脂粒子の被覆処理を良好に行うことは困難である。又、被覆処理用の装置とは別の装置を用いて樹脂粒子をキャリアコア表面に付着させても、付着しきれない量の樹脂粒子を添加した場合、余剰の樹脂粒子は遊離した状態となってしまうため、均一なコートを行うことは困難である。よって、この方法ではコート量が制限され、トナーの帯電量制御や、電子写真用キャリアから感光体への電荷の注入を抑制することは困難となってしまう場合がある。
又、機械的衝撃力を用いた粉体処理方法として、回転翼型の装置の利点を生かしつつ、従来にない強力な力を処理物に与える粉体処理方法が提案されている(特許文献3)。この方法によれば、混合、乾燥処理のみならず、複合化(融合化)、表面改質、平滑化、形状制御(球形化等)などの各処理を行うことができる。しかし、この方法を、電子写真用キャリアコアの表面に樹脂組成物を乾式で被覆処理するための方法として用いるためには、処理条件等に関する検討が未だ不十分であった。
特開平09−160307号公報 特開昭63−235959号公報 特開2005−270955号公報
本発明の目的は、電子写真用キャリアコア表面への被覆樹脂のコートをより均一に行うことである。そして、電子写真用キャリアコアから感光体への電荷の注入現象であるリークを防止することができ、高温高湿下に放置した後であっても、帯電量低下を抑制し得る電子写真用キャリアを得ることである。
上記の課題は、下記の本発明の構成により達成される。
即ち、本発明は、[1]電子写真用キャリアコアが樹脂組成物被覆されている電子写真用キャリアの製造方法であって、
数の攪拌羽根を表面に有する回転体と、該攪拌羽根と間隙を有して設けられたケーシングとを有する装置を用い、
該回転体を回転させて、処理物である電子写真用キャリアコアと樹脂組成物とを混合しながら、該電子写真用キャリアコアの表面に該樹脂組成物を被覆する工程を有し
該工程において、
該回転体と該ケーシングとの間の空間に対して、該処理物の充填率が、50体積%以上、98体積%以下となるように該処理物を投入し
複数の攪拌羽根の一部の攪拌羽根により、該回転体の軸方向の一方向に送る、送りと複数の攪拌羽根の他の一部の攪拌羽根により、該回転体の軸方向の逆方向に戻す、戻し、とを行いながら該電子写真用キャリアコアの表面に該樹脂組成物を被覆し、かつ、
該電子写真用キャリアコアの該樹脂組成物による被覆時の温度T(℃)が、下記式(1)を満たす範囲に制御されていることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法に関する。
T≦Tg+20 (1)
(Tg:該樹脂組成物に含まれる樹脂成分のガラス転移温度(℃))
[2]該樹脂組成物は粉体状で該装置に投入され、被覆処理に供される前の該樹脂組成物の体積基準の50%粒径(D50)をDb(μm)、該電子写真用キャリアコアの体積基準の50%粒径(D50)をDc(μm)としたとき、Db/Dcが下記式(2)を満たすことを特徴とする[1]に記載の電子写真用キャリアの製造方法に関する。
0.10≦Db/Dc≦50 (2)
[3]該樹脂組成物が、少なくとも樹脂成分と個数平均粒径(D1)が0.01μm以上、3.00μm以下の微粒子を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の電子写真用キャリアの製造方法に関する。
[4][1]乃至[3]のいずれかに記載の製造方法により製造された電子写真用キャリアに関する。
[5]該電子写真用キャリアは、体積基準の50%粒径(D50)が15.0μm以上、100μm以下であり、真比重が2.5g/cm以上、5.2g/cm以下であることを特徴とする[4]に記載の電子写真用キャリアに関する。
本発明によれば、電位写真用キャリアコア表面への被覆樹脂のコートをより均一に近い状態で行うことができる。又、それによって、電子写真用キャリアコアから感光体への電荷の注入現象であるリークの発生を抑制することができ、高温高湿下における放置後のトナー帯電量低下を抑制することができる電子写真用キャリアを得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
まず、本発明の電子写真用キャリアの製造方法について詳しく説明する。
本発明の電子写真用キャリアの製造方法は、所謂乾式コート法である。以下、図1及び図2(a)に示す乾式コート装置の模式図に従って、本発明を説明する。
まず、図中の投入口5より、電子写真用キャリアコア及び被覆用の樹脂組成物を有する処理物を投入する。ケーシング1と回転体2との間の空間9に対して投入する処理物の充填率としては50体積%以上、98体積%以下であることが、電子写真用キャリア表面への樹脂組成物の被覆が均一且つ迅速に行えるという点で好ましい。より好ましくは70体積%以上、96体積%以下である。ここで充填率とは、ケーシング1と回転体2との間の空間9の容積に対する処理物の体積の割合である。処理物の充填率が50体積%以上である場合には、回転体2表面に設けられた攪拌羽根3と処理物との衝突に加えて、処理物同士の衝突が次々と発生する。そのため、処理物の表面が適度に昇温して処理されやすい状態となり、結果、ケーシング1と攪拌羽根3の微小間隙における被覆処理が効率よく、且つ均一に行われる。又、処理物の充填率が高いため、処理量が多く好ましい。処理物の充填率が50体積%未満である場合には、処理物同士の衝突が不十分となり、均一な処理を行うことが困難となる。尚、処理物の充填率が50体積%以上という条件は、機械式衝撃力を利用した処理おける一般的な条件に比べて、より高い充填率であり、通常はこのような充填率で処理は行われていない。また、処理物の充填率が98体積%を超えると、処理物の混合が困難となったり、装置の運転に要するトルクが多大になったりする傾向にある。
又、処理物の投入の仕方としては、電子写真用キャリアコアと被覆用の樹脂組成物は別々に投入してもよく、投入前にミキサーやミルで混合した状態にしてもよい。本発明の乾式コート法においては、処理物同士の衝突が十分であることから、処理物を別々に投入しても良好な処理が可能であることが利点である。
次に、処理物は、回転体2表面に複数設けられた攪拌羽根3により攪拌・混合されながら、ケーシング1と攪拌羽根3との微小間隙において被覆処理された後、排出口6から排出される。尚、図1においては、回転体2は、下方に位置する攪拌羽根が紙面の前面を通って上方へと移動する方向に回転する。この際、回転体2表面の攪拌羽根3aは、回転体2の軸方向(投入口5側→排出口6側)に処理物を送るための送り攪拌機構として働き、攪拌羽根3bは、回転体2の軸方向で逆方向(排出口6→投入口5)に処理物を送るための戻し攪拌機構として働く。これらの機構により、処理物は送りと戻しが繰り返され、ケーシング1内での処理物の移動経路が複雑で且つ長くなる。この送りと戻しにより、攪拌羽根3と処理物の衝突、また処理物同士の衝突をより十分に生じさせ、ケーシング1と攪拌羽根3の微小間隙における被覆処理をより効率よく行うことができる。その結果、電子写真用キャリアコア表面への樹脂組成物の被覆を均一且つ迅速に行うことができるようになった。
更に、被覆処理中のケーシング1と回転体2との間の空間9における処理物の温度T(℃)は、下記式(1)を満たす範囲に温度制御されている。
T≦Tg+20 (1)
(Tg:該樹脂組成物に含まれる樹脂成分のガラス転移温度(℃))尚、被覆処理中の処理物の温度(品温)とは、被覆処理中のケーシング内の雰囲気温度のことである。具体的には、ケーシング1の内壁表面に熱電対を装着して被覆処理時の熱履歴を測定した際の最高温度のことである。
従来の熱的な乾式コート法の場合、被覆処理時の品温は、樹脂成分のTgよりもある程度高いことが必要であり、そのために装置全体を加熱していた。しかしながら、品温を高くすればするほど、処理物の偏在や滞留が生じやすくなり、電子写真用キャリアの合一が促進されてしまう。一方で、品温を低くすれば、コア粒子への樹脂組成物の被覆処理は不十分となってしまい、合一の抑制と均一な被覆処理を両立することは非常に困難であった。
これに対して、本発明では、品温(ケーシング内の雰囲気温度)を樹脂成分のTgより低くしても均一な被覆処理が可能となった。この理由としては、本発明の処理物の充填率と送り/戻しの機構により、ケーシング1や攪拌羽根3と処理物との衝突に加えて、処理物同士の衝突が効果的に頻繁に生じることで、処理物の温度が局所的でのみTg以上となっていることが考えられる。そして、処理物同士の衝突が効果的に頻繁に生じさせることで、品温(ケーシング内の雰囲気温度)を樹脂成分のTgよりもあまり高くしなくとも、良好な被覆処理が可能となり、粒子の合一をより抑制することができるようになった。
よって本発明では、品温T(℃)をTg+20(℃)以下に制御することにより、電子写真用キャリア粒子の合一を抑制することと均一且つ迅速な被覆処理を行うことが高いレベルで両立できるようになった。それでも、品温T(℃)をTg+20(℃)よりも高く設定してしまうと、従来の熱的な乾式コート法と同様に、電子写真用キャリア粒子の合一が発生しやすくなってしまう。又、ケーシング1内や攪拌羽根3表面への樹脂成分の融着や固着が発生してしまう場合もある。品温T(℃)の更に好ましい範囲は、樹脂成分のTg以下である。品温T(℃)の下限値は、特に厳密に定められるものではないが、温度制御の容易さを考慮すると−20℃程度である。
処理物の品温を制御するためには、熱媒体を流すことのできるジャケット4を有している回転体やケーシングを用いることが好ましく、熱媒体としては、冷却水や熱水、スチーム、オイル等の流体を用いることができる。
又、回転体2表面に設けられた攪拌羽根3の位置関係としては、以下の例のように配置されていることが好ましい。例えば攪拌羽根3aは、投入口5側の端部位置が、投入口5側の隣接する他の攪拌羽根3bの排出口6側の端部位置と、軸方向の位置において、重なっていることが好ましい。つまり、図2(a)において、攪拌羽根3aの端部位置から垂直方向に線を引くと、隣接する攪拌羽根3aと攪拌羽根3bとが幅dだけ重なる位置関係にあることが好ましい。他の攪拌羽根においても位置関係は同様である。攪拌羽根3aと攪拌羽根3bがこの位置関係にあると、処理物が攪拌羽根3aの端部から攪拌羽根3bの端部へと移動しやすくなり、回転体2の回転に伴い、処理物の送りと戻しをより効果的に行うことができる。
又、本発明の電子写真用キャリアの製造方法に用いられる攪拌羽根3の形状としては、図2に示したようなものを用いることができる。図2(a)に示されるように、攪拌羽根3aもしくは3bといった、送り・戻しの攪拌羽根の他に、図2(b)及び(c)に示されるように回転体の軸方向と同方向に配置された攪拌羽根3cがあっても良い。また、攪拌羽根3の形状としては、図2(d)に示されるように、パドル形状のものであってもよい。又、攪拌羽根の角度に関しては、処理物の粒径、真比重、流動性に応じて適宜調整可能である。
電子写真用キャリアの製造においては、樹脂組成物は粉体状で該装置に投入されることが好ましい。また、従来の乾式コート法の場合、被覆処理に供される前の樹脂組成物の体積基準の50%粒径(D50)をDb(μm)、電子写真用キャリアコアの体積基準の50%粒径(D50)をDc(μm)としたとき、Db/Dcは0.10以下であることが一般的であった。これは、樹脂組成物を電子写真用キャリアコアに比べて大幅に小さくし、電子写真用キャリアコアと樹脂組成物との付着力を高めておかないと、機械式衝撃力を用いる場合には、良好な被覆処理が行われず、遊離した状態の樹脂組成物が多く残ってしまうためである。又、熱的な被覆処理を行う場合であっても、相対的に大きな粒径を有する樹脂組成物の偏在や滞留が起こり、それを基点として電子写真用キャリア粒子の合一が促進されてしまう。即ち、従来の方法では、電子写真用キャリアコア表面に固着することができる粒子サイズには限界があった。
しかしながら、本件に係る装置を用いる場合には、Db/Dcが下記式(2)を満たす条件でも良好な処理を行うことができる。
0.10≦Db/Dc≦50 (2)
従来の乾式コート法のように樹脂組成物の粒子サイズに限定要件が加わってしまうと、樹脂粒子を製造する際に不便が生じてしまう。例えば、Dcが40μmであった場合、Dbは4.0μm以下でなければならない。4.0μm以下の樹脂組成物を作製する方法としては、重合法で樹脂粒子を作製するか、粉砕して4.0μm以下の樹脂粒子とする方法が挙げられる。重合法で樹脂粒子を作製する場合、乳化重合や懸濁重合法が挙げられるが、いずれも樹脂組成が限定されてしまう。又、粉砕法で樹脂粒子を作製する場合は、Dbが小さくなればなるほど、微粒子化するためのエネルギーが必要となり、コストアップやCO排出量の増加の原因となる。
これに対して、本発明では処理物の充填率が高いこと、送りと戻しの機構があることにより、処理物同士の衝突が効果的に生じるので、予め樹脂組成物を固着させる必要性は低く、また樹脂組成物の選択性も広い。
上述した通り、Db/Dcは0.10以上でも良いが、Db/Dcが50を超えると、電子写真用キャリアコア粒子が樹脂組成物中に取り込まれやすくなってしまい、処理の効率が低下してしまう。本発明におけるDb/Dcの更に好ましい範囲は、10以下である。
又、本発明の製造方法によると、電子写真用キャリコア粒子に樹脂組成物を固着させるに際して、コート量を多くすることが可能となった。コート量としては、電子写真用キャリアコア100質量部に対して、樹脂組成物0.1〜20質量部が好ましい。樹脂組成物が20質量部を超えると、遊離したままの樹脂組成物が多く残ってしまう傾向にある。コート量のより好ましい範囲は、0.3〜15質量部、更に好ましい範囲は0.5〜10質量部である。この範囲での被覆処理が可能となったことから、本発明の製造方法は、トナーの帯電量制御や電子写真用キャリアから感光体への電荷の注入を抑制するための材料設計の幅を広げることのできる製造方法であるといえる。
又、電子写真用キャリアコアの真比重をA(g/cm)、被覆用の樹脂組成物の真比重をB(g/cm)としたとき、下記式(1)
0.20≦B/A≦0.80 (1)
(但し、2.5≦A≦5.2、1.0≦B≦2.0)
を満たすことが好ましい。上記真比重の比(B/A)が0.80以下であると、処理時において、母粒子と子粒子の粒子間の衝突による過度の負荷を受けることも無く、電子写真用キャリアコアの割れ・欠けの発生を抑制できる。一方、B/Aが0.20以上であると、母粒子と子粒子との比重差の影響が小さく、攪拌・混合を良好に行うことができる。
次に、上記乾式コート手法に関わる製造条件について図1を参照して説明する。
攪拌羽根3の好ましい周速としては最外端部で5m/sec以上、50m/sec以下であることが、電子写真用キャリア表面への樹脂組成物の被覆をより均一且つ迅速に行えるという点で好ましい。より好ましくは10m/sec以上、20m/sec以下である。
攪拌羽根3の周速が上記の範囲内であれば、被覆されない樹脂組成物の残存が低減され、また、キャリアコアの割れや欠けを発生が抑制され、より安定して良好な処理を行うことができる。
又、ケーシング1と攪拌羽根3との間隙としては0.5mm以上、30.0mm以下であることが、電子写真用キャリア表面への樹脂組成物の被覆が均一且つ迅速に行えるという点で好ましい。より好ましくは、1.0mm以上、10mm以下である。
ケーシング1と攪拌羽根3の間隙が上記の範囲内であれば、周速が前記範囲にある場合と同じく、安定して良好な処理を行うことができる。
また、本発明の製法により得られる電子写真用キャリアは、体積基準の50%粒径(D50)が15.0μm以上、100.0μm以下であり、真比重が2.5g/cm以上、5.2g/cm以下であることが好ましい。本発明の電子写真用キャリアは、D50が15.0μm以上、100μm以下であることで、現像極での磁気ブラシの密度が最適化されるとともに、トナーの帯電量分布をシャープにすることができるので、高画質化を図ることができる。より好ましくは、D50が20.0μm以上、80.0μm以下である。
また、真比重を2.5g/cm以上、5.2g/cm以下とした場合、トナーとキャリアとの真比重の差が好適な範囲となり、トナーに対する帯電の付与性をより良好にすることができる。より好ましくは、2.5g/cm以上、4.2g/cm以下である。即ち、現像器内でのトナーと電子写真用キャリアとの攪拌が最適化されるので、トナーの帯電が迅速に行われるようになる。また、トナーの劣化を抑制でき、更に補給用現像剤用のキャリアとして用いた場合、補強用現像剤が補給されても、長期にわたって良好な画像を得ることができる。
また、電子写真用キャリアは、電界強度5000V/cmにおける比抵抗値が、1.0×10Ω・cm以上、1.0×1015Ω・cm以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0×10Ω・cm以上、1.0×1012Ω・cm以下であることが現像性を高める上で好ましい。比抵抗値が1.0×10Ω・cmより低くなると、リークの可能性が高まる。比抵抗値が1.0×1015Ω・cmを超える場合は、低電界強度において現像性が低下する場合がある。本発明の製造方法を用いる場合、均一なコート性と合一が発生しにくいということから、電子写真用キャリアコアの抵抗値が上記範囲のものを使用することで、十分な現像性が得られ、高い画像濃度が得られる。
電子写真用キャリアコアとしては、公知のフェライト粒子、マグネタイト粒子、磁性体分散型樹脂キャリアコア等の磁性キャリアコアが使用できる。
電子写真用キャリアコアは、例えば以下に記載するように製造される。
電子写真用キャリアコアは、磁性体を用いて製造される。磁性体としては、鉄、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム及びチタンから選ばれる一種または二種以上の元素を含む磁性フェライト粒子、又はマグネタイト粒子が挙げられる。好ましくは、マグネタイト粒子、又は、銅、亜鉛、マンガン、カルシウム、リチウム及びマグネシウムから選ばれる一種または二種以上の元素を少なくとも有する磁性フェライト粒子である。
フェライト用磁性体としては以下のものが挙げられる。Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Be−Fe系フェライト、Mn−Mg−Sr−Fe系フェライト、Li−Mg−Fe系フェライト及びLi−Rb−Fe系フェライトの如き鉄系酸化物のフェライト磁性体。
鉄系酸化物のフェライトは、それぞれ金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩を湿式あるいは乾式にて混合し、所望のフェライト組成となるよう仮焼成することにより得られる。次いで、得られた鉄系酸化物のフェライトを、サブミクロンまで粉砕する。粉砕されたフェライトに、粒径を調整するための水を20〜50質量%加え、結着樹脂として例えばポリビニルアルコール(分子量500〜10,000)を0.1〜10質量%加えて、スラリーを調製する。このスラリーを、スプレードライヤーを用いて造粒を行い、焼成することでフェライトコアを得ることができる。
又、ポーラス状のフェライトコアは、造粒時に、空孔密度をコントロールするための炭酸ナトリウムや炭酸カルシウム、及び各種の有機物の如き空孔調整剤を添加してスラリーを形成し、スプレードライヤーを用いて造粒を行い、焼成することで得ることができる。また、フェライト化反応中の粒子成長を阻害させるような材料を添加することにより、フェライト内部に複雑な空隙を形成することもできる。このような材料としては、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
また、磁性体分散型樹脂キャリアコアを製造するには、例えばビニル系または非ビニル系の熱可塑性樹脂、および磁性体ならびにその他の添加剤を、混合機により十分に混合する。得られた混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き混練機を用いて溶融・混練する。冷却された溶融・混練物を粉砕して、さらに分級することにより、磁性体分散型樹脂キャリアコアを得ることができる。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコアは、さらに熱又は機械的に球形化してもよい。さらに他の方法としては、磁性体分散型樹脂キャリアコアの結着樹脂を形成するためのモノマーを磁性体存在下で重合して得ることもできる。ここで結着樹脂を形成するためのモノマーとしては以下のものが挙げられる。ビニル系モノマー、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を生成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類が含まれる。
フェノール類とアルデヒド類からフェノール樹脂を合成する方法が特に好ましい。この場合は、水性媒体に磁性体およびフェノール類とアルデヒド類を添加し、水性媒体中のフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合させることにより、磁性体分散型樹脂キャリアコアを製造することができる。
フェノール樹脂を生成するためのフェノール類は、フェノール(ヒドロキシベンゼン)のほか、フェノール性水酸基を有する化合物であればよい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAの如きアルキルフェノール類;芳香環(例えばベンゼン環)の水素またはアルキル基の水素の一部または全部が、塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類が挙げられる。
フェノール樹脂を生成するためのアルデヒド類としては以下のものが挙げられる。例えばホルマリン、パラホルムアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド、およびフルフラールであり、より好ましくはホルムアルデヒドである。
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は1:1〜1:4であることが好ましく、1:1.2〜1:3であることがより好ましい。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、粒子が生成しにくかったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行しにくいために、生成する粒子の強度が弱くなったりする傾向がある。一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
フェノール類とアルデヒド類との縮合は、塩基性触媒を用いて行うことができる。該塩基性触媒は通常のレゾール型樹脂の製造に使用されている触媒であればよく、該塩基性触媒の例にはアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアルキルアミンが含まれる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は1:0.02〜0.3であることが好ましい。
次に電子写真用キャリアコア表面を被覆する樹脂組成物に関して説明する。
本発明に用いる樹脂組成物は少なくとも樹脂成分を含有する。被覆用樹脂成分としては、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。また、樹脂成分としては、一種類の樹脂であってもよく、二種以上の樹脂の組み合わせでもよい。
被覆用樹脂成分としての熱可塑性樹脂の例には、ポリスチレン;ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル;ポリ酢酸ビニル;ポリフッ化ビニリデン樹脂;フルオロカーボン樹脂;パーフロロカーボン樹脂;溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;ポリビニルピロリドン;石油樹脂;セルロース;酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;ノボラック樹脂;低分子量ポリエチレン;飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートといったポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエーテルケトン樹脂が含まれる。
樹脂組成物に含まれる樹脂成分のTHF可溶分の重量平均分子量Mwは、15,000〜300,000であることが、電子写真用キャリアコアとの密着性や、被覆する際に特に均一に電子写真用キャリアコア表面を被覆することができるという点で好ましい。
又、電子写真用キャリコア粒子の被覆処理に用いられる樹脂組成物は、少なくとも樹脂成分と個数平均粒径(D1)0.01μm以上、3.00μm以下の微粒子を有していることが好ましい。これは、樹脂成分が電子写真用キャリアコア表面に被覆される際に、前記微粒子が電子写真用キャリアコア粒子間に介在しスペーサー効果を発揮することで、電子写真キャリア粒子の合一の発生を更に良好に抑制し、コート均一性を更に向上することができるからである。微粒子の個数平均粒径が0.01μmより小さい場合は、スペーサー効果が十分に得られず、コート均一性の改善効果を十分に得ることができない。一方、微粒子の個数平均粒径が3.00μmを超える場合は、スペーサー効果は得られるものの、微粒子の分散が不均一となってしまうために、トナーへの帯電付与にバラつきが生じる場合がある。また、樹脂成分における該微粒子の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、微粒子2乃至100質量部の割合で含有されることが好ましい。微粒子の含有量が上記範囲内にある場合には、微粒子の添加効果であるスペーサー効果が十分に発揮される。また、樹脂組成物とコア粒子とが衝突、摺擦し、樹脂組成物がの一部がコア粒子表面に被覆された後の両者の離れを良くすることもできる。これらの効果により、より良好な樹脂被覆を行うことが可能となる。一方、被覆層の耐久性を損なうこともない。
樹脂組成物に含まれる微粒子としては、有機材料および無機材料のいずれの微粒子であってもよいが、被覆する際に微粒子の形状を保持することができる強度を有している架橋樹脂微粒子、無機微粒子が好ましい。架橋樹脂微粒子を形成する架橋樹脂としては、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂及びナイロン樹脂が挙げられる。また、無機微粒子としては、マグネタイト、ヘマタイト、シリカ、アルミナ、チタニアが挙げられる。特に、上記の無機微粒子は、トナーへの帯電付与の促進、チャージアップの低減、及びトナーとの離型性の向上の点で好ましい。又、微粒子の形状としては、被覆処理時のスペーサー効果を得るために、球状のものが好ましく用いられる。
又、樹脂組成物に含まれる微粒子は、被覆処理後の電子写真用キャリアの表面に凹凸を形成するので、トナーに対する帯電付与性を高めるようにも作用する。この点から、体積抵抗は1×10Ω・cm以上であることが好ましい。
また、被覆用の樹脂組成物には、更に導電性微粒子が含まれていてもよい。導電性微粒子は、体積抵抗が1×10Ω・cm以下であることが好ましく、1×10−6Ω・cm以上、1×10Ω・cm未満であることがより好ましい。
導電性微粒子は、カーボンブラック微粒子、グラファイト微粒子、酸化亜鉛微粒子、および酸化錫微粒子が挙げられる。特に導電性微粒子としてカーボンブラック微粒子が好ましい。これらの導電性微粒子は、その良導電性により、少ない添加量で電子写真用キャリアの比抵抗を適宜コントロールすることができる。
被覆用樹脂組成物に含有される樹脂成分の製法の例としては、溶液重合法や乳化重合法、懸濁重合法といったいずれの重合法も適用可能である。樹脂組成物は、上述した如く、樹脂組成物のD50をDb(μm)、電子写真用キャリアコアのD50をDc(μm)としたとき、Db/Dcが0.10以上、50以下を満たす微粒子状にて装置に導入されることが好ましい。この粒径範囲の樹脂組成物は、重合反応時の条件変更や、重合反応後、乾燥させた後に結着樹脂を粉砕することで、得ることができる。又、樹脂組成物に微粒子を添加する場合は、重合反応時に添加しても、粉砕後にミキサーで混合しても良い。又、樹脂成分を溶媒に溶解させた樹脂溶液をスプレードライ法でドライアップして、樹脂組成物として用いることも可能である。スプレードライにより樹脂組成物を得る際に、微粒子を添加する場合は、メディアを用いたビーズミルで樹脂溶液中に微粒子を分散させた後に、スプレードライ法でドライアップしても、ドライアップ後にミキサーで混合しても良い。更には、樹脂組成物に用いられる樹脂成分が粒径の大きな固形物である場合は、樹脂成分と微粒子とを混合し、樹脂成分と微粒子とを二軸式押出機にて混練し、粉砕機にて粉砕することにより樹脂組成物を得る方法も好ましく用いられる。
本発明の電子写真用キャリアと共に用いられるトナーとしては、公知のものが使用でき、粉砕法、重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法等のいずれの方法で製造されたものであってもよい。又、結着樹脂の主たる成分としては、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、又はハイブリッド樹脂を用いることが好ましい。
以下に、本発明に関わる測定方法について詳細に述べる。
<充填率の計算方法>
まず、パウダーテスタPT−R(ホソカワミクロン社製)を用い、処理物(電子写真用キャリアコアと樹脂組成物等の混合物)の固め見掛け密度(g/cm)の測定を行った。測定環境は、23℃、50%RHで行った。先ず、目開き150μmの篩を用いて、振幅を1mmで振動させながら容積100mlの金属性カップに処理物を補給した。そして、金属製カップを振幅18mmにて、タッピングによって減少した量に応じて処理物を補給しながら、上下往復180回のタッピングを行った。タッピング後、金属性カップの処理物をすり切り、残った処理物の質量から、固め見掛け密度P(g/cm)を計算した。
次に、装置の処理空間(ケーシングと回転体との間)へ水を満たして空間体積を測定した。
処理物の固め見掛け密度にケーシングと回転体の空間体積を掛け合わせた質量分の処理物を充填させた状態を充填率100%とし、仕込みの充填率に応じて混合物の質量を調整した。
<被覆用樹脂組成物に含有される樹脂成分のガラス転移点(Tg)測定>
樹脂組成物に含有される樹脂成分のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂組成物を約10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂組成物に含有される樹脂成分のガラス転移温度Tgとする。
<被覆用樹脂組成物に含有される微粒子の個数平均粒径(D1)測定>
微粒子の粒度分布測定は、樹脂組成物に含有される樹脂成分が可溶な有機溶媒中に溶解し、微粒子が溶液中に分散した状態で行った。測定装置としては、レーザー回折粒度分布計LS−230型(ベックマンコールター製)を用いて少量モジュールを取り付けて測定した。測定の際に用いた光学モデルは、実数部1.5、虚数部0.3とし、溶媒の屈折率は使用した有機溶媒の屈折率を入力した。
<被覆用樹脂組成物、電子写真用キャリアコア、及び電子写真用キャリアの体積基準の50%粒径(D50)測定>
粒度分布測定は、マイクロトラックMT3300EX(日機装社製)にて測定を行った。測定には、乾式測定用のTurbotrac試料供給機を装着して行った。
<電子写真用キャリアコア、被覆用樹脂組成物、及び電子写真用キャリアの真比重測定>
サンプルの準備としては、電子写真用キャリアはそのまま測定できるが、電子写真用キャリアコア及び樹脂組成物は電子写真用キャリアからの分離が必要となる。分離は以下の方法で行った。先ず、電子写真用キャリア100質量部を蓋つきのガラス瓶に量り取り、トルエン200質量部を添加し、振とう機(YS−8D型:(株)ヤヨイ製)にて振とうした。振とう機の振幅条件は200rpm、2分間とした。振とう後は、ビンの外側から電子写真用キャリアコアをマグネットにて捕集しつつ、トルエン溶液を分離した。これを5回繰り返した後、真空乾燥機にて50℃、8時間乾燥させ、常温に冷却し、電子写真用キャリアコアを得、一方でトルエン溶液より、トルエンを除去することにより樹脂組成物を得て、それらを測定試料とした。
真比重の測定法としては、ヘリウムによるガス置換式の測定法を用いた。測定装置はアキュピック1330(島津製作所社製)を用いた。測定条件は、ステンレス製の内径18.5mm,長さ39.5mm,容量10cmのセルに、測定サンプルを4g入れる。次いで、試料セル中のサンプルの容積をヘリウムの圧力変化によって測定し、求められた容積とサンプルの質量から真比重を求める。
<被覆用樹脂組成物に含有される樹脂成分の分子量測定>
樹脂組成物に含有される樹脂成分のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、樹脂組成物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<電子写真用キャリアの比抵抗測定>
電子写真用キャリアの比抵抗は、図3に概略される測定装置を用いて測定される。抵抗測定セルAは、断面積2.4cmの穴の開いた円筒状のPTFE樹脂容器25、下部電極(ステンレス製)21、支持台座(PTFE樹脂製)24、上部電極(ステンレス製)22から構成される。支持台座24上に円筒状のPTFE樹脂容器25を載せ、試料(例えば、キャリア)23を約0.7g充填し、充填された試料23に上部電極22を載せ、試料の厚みを測定する。予め試料のないときの厚みをd’(ブランク)、約0.7g充填したときの実際の試料の厚みd、試料を充填したときの厚みd’(試料)とすると、試料の厚みは下記式で表せる。
d=d’(試料)−d’(ブランク)
電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによってキャリア及びキャリアコアの比抵抗を求めることができる。測定には、エレクトロメーター26(ケスレー6517 ケスレー社製)及び制御用にコンピュータ27を用いる。
測定条件は、磁性成分と電極との接触面積S=2.4cm、上部電極の荷重240gとする。
電圧の印加条件は、エレクトロメーターの内部プログラムを利用し、まず最大1000V印加可能かどうか(電流のリミッターを超えない範囲)をエレクトロメーター自身が判断し、印加電圧の最大値を自動的に決める。その最大電圧値を5分割した電圧をステップとして30秒間保持させた後の電流値を測定する。例えば、最大印加電圧が1000Vの場合には、1000V、800V、600V、400V、200Vを印加し、それぞれのステップで30秒保持後の電流値を測定する。それをコンピュータにより処理することで、電界強度、比抵抗を算出して、グラフにプロットする。比抵抗、電界強度は、下記式にて求められる。
比抵抗(Ω・cm)=(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm)/d(cm)
電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
電子写真用キャリアの5000V/cmにおける比抵抗は、グラフ上5000V/cmにおける比抵抗をグラフから読み取る。グラフ上の5000V/cmの縦線と実測した比抵抗のラインの交点をもって、5000V/cm時の比抵抗値とする。また、交点が存在しない場合には、測定点の外挿を行い、5000V/cmの縦線の交点をもって、5000V/cm時の比抵抗値とする。
以下、具体的製造例及び実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
<電子写真用キャリアコア製造例1乃至4>
下記の材料を用いて、フェライトキャリアコアを作製した。
Fe 66.5質量%
MnCO 28.1質量%
Mg(OH) 4.8質量%
SrCO 0.6質量%
となるようにフェライト組成物を湿式混合した後、900℃で2時間仮焼し、仮焼されたフェライト組成物をボールミルで粉砕した。得られた粉砕物の個数平均粒径は0.4μmであった。
得られた粉砕物に、水(粉砕物に対して300質量%)と重量平均分子量5,000のポリビニルアルコール(粉砕物に対して3質量%)を加え、スプレードライヤーにより造粒した。電気炉にて、酸素濃度1.0%の窒素雰囲気下、造粒物を1300℃で6時間焼結した後に粉砕し、さらに分級することによりMn−Mg−Sr−Feフェライト組成の電子写真用キャリアコア(a−1)を得た。得られた電子写真用キャリアコア(a−1)の物性を表1に示す。又、分級条件を変えることにより、粒径違いの電子写真用キャリアコア(a−2)乃至(a−4)を得た。得られた電子写真用キャリアコア(a−2)乃至(a−4)の物性を表1に示す。
<電子写真用キャリアコア製造例5>
下記の材料を用いて、フェライトキャリアコアを作製した。
Fe 66.5質量%
MnCO 28.1質量%
Mg(OH) 4.8質量%
SrCO 0.6質量%
となるようにフェライト組成物を湿式混合した後、900℃で2時間仮焼し、仮焼されたフェライト組成物をボールミルで粉砕した。得られた粉砕物の平均粒径は0.4μmであった。
得られた粉砕物に、水(粉砕物に対して300質量%)と重量平均分子量5,000のポリビニルアルコール(粉砕物に対して2質量%)、空孔形成剤として炭酸ナトリウム(個数平均粒径2μm)を5%を加え、スプレードライヤーにより造粒した。電気炉にて、酸素濃度1.0%の窒素雰囲気下、1200℃で4時間焼成し、更に酸素を含まない窒素雰囲気下で、750℃、30分間焼結した後に粉砕し、さらに分級することによりポーラス状のMn−Mg−Sr−Feフェライト組成の電子写真用キャリアコア(a−5)を得た。得られた電子写真用キャリアコア(a−5)の物性を表1に示す。
<電子写真用キャリアコア製造例6>
マグネタイト粒子(個数平均粒径0.3μm)と水(マグネタイト粒子100質量%に対して300質量%)と重量平均分子量5,000のポリビニルアルコール(粉砕物に対して3質量%)を加え、スプレードライヤーにより造粒した。電気炉にて、酸素濃度1.0%の窒素雰囲気下、造粒物を1300℃で6時間焼結した後に粉砕し、さらに分級することによりマグネタイト組成の電子写真用キャリアコア(a−6)を得た。得られた電子写真用キャリアコア(a−6)の物性を表1に示す。
<電子写真用キャリアコア製造例7>
下記に示す材料を用いて電子写真用キャリアコア(a−7)を作製した。
架橋性アクリル樹脂 30質量部
マグネタイト粒子(個数平均粒径0.3μm) 70質量部
上記材料をヘンシェルミキサー等で混合した後、二軸式押出機にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、更に機械式粉砕機を用いて微粉砕した。次に、微粉砕物を風力式分級機により分級した後、ハイブリタイザー(奈良機械社製)を用いて表面改質処理を行うことにより電子写真用キャリアコア(a−7)を得た。得られた電子写真用キャリアコア(a−7)の物性を表1に示す。
<電子写真用キャリアコア製造例8>
下記に示す材料を用いて電子写真用キャリアコア(a−8)を作製した。
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液(37質量%水溶液) 6質量部
マグネタイト粒子(個数平均粒径0.3μm) 84質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水25質量部をフラスコに入れ、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、マグネタイト粒子がフェノール樹脂中に分散された磁性微粒子分散型の電子写真用キャリアコア(a−8)を得た。得られた電子写真用キャリアコア(a−8)の物性を表1に示す。
Figure 0004739316
<樹脂組成物の製造例1>
メタクリル酸メチルモノマー75質量部とスチレンモノマー25質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を有する四つ口フラスコに加えた。さらにトルエン90質量部、メチルエチルケトン110質量部、及びアゾビスイソバレロニトリル2.0質量部を上記フラスコに加えた。得られた混合物を、窒素気流下70℃で10時間保持し、St−MMA重合体溶液を得た。この溶液から溶剤を除去し、得られた固形物をハンマーミルにて粗粉砕することにより樹脂成分のみの樹脂組成物(b−1)を得た。得られた樹脂組成物の重量平均分子量Mwは72000であり、Tgは90℃であった。
<樹脂組成物の製造例2〜5>
メタクリル酸メチルモノマー100質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を有する四つ口フラスコに加えた。さらにトルエン90質量部、メチルエチルケトン110質量部、及びアゾビスイソバレロニトリル2.0質量部を加えた。得られた混合物を、窒素気流下70℃で10時間保持し、MMA重合体溶液を得た。この溶液から溶剤を除去し、得られた固形物をハンマーミルにて粗粉砕することにより粒径の異なる樹脂組成物(b−2)及び(b−3)を得た。又、樹脂組成物(b−2)に対して機械式粉砕機を用いて微粉砕を行うことにより樹脂組成物(b−4)及び(b−5)を得た。得られた樹脂組成物(b−2)乃至(b−5)はいずれも樹脂成分のみであり、その物性を表2に示す。
<樹脂組成物の製造例6>
樹脂組成物(b−4):100質量部
カーボンブラック(c−1)(平均一次粒径20nm、体積抵抗値9.8×10−2Ω・cm):10質量部
架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(d−1);個数平均粒径0.3μm):15質量部
以上の材料をヘンシェルミキサーを用いて2分間攪拌・混合を行い、樹脂成分と微粒子の混合物であるである樹脂組成物(b−6)を得た。得られた樹脂組成物(b−6)の物性を表2に示す。
<樹脂組成物の製造例7>
樹脂組成物(b−4):100質量部
カーボンブラック(c−1):10質量部
架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(d−1):15質量部
トルエン:900質量部
以上の材料をペイントシェーカーを用いてメディア分散し樹脂溶液を得た。メディアとしては直径2mmのガラスビーズを用い、2時間混合した。得られた樹脂溶液をスプレードライヤー(CL−8i型:大川原化工機製)を用いて微粒子化しスプレードライ品である樹脂組成物(b−7)を得た。スプレードライの条件としては、給気温度90℃とし、二流体ノズルを用いて、窒素噴霧圧力0.25MPa、原液処理量0.8kg/h、出口温度68℃とした。得られた樹脂組成物(b−7)の物性を表2に示す。
<樹脂組成物の製造例8>
樹脂組成物(b−4):100質量部
カーボンブラック(c−1):10質量部
架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(d−1):15質量部
以上の材料を二軸式押出機(PCM−30:池貝工業製)を用いて、混練温度を160℃で混練し、ハンマーミルにて粗粉砕した。その後、機械式粉砕機(ターボミル250型:ターボ工業製)を用いて回転数8000rpmで微粉砕して混練粉砕品である樹脂組成物(b−8)を得た。得られた樹脂組成物(b−8)の物性を表2に示す。
Figure 0004739316
<トナー製造例>
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン30質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20質量部、テレフタル酸20質量部、無水トリメリット酸3質量部、フマル酸27質量部及び酸化ジブチル錫をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。そして、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を四つ口フラスコに取り付け、この四つ口フラスコをマントルヒーター内に設置した。窒素雰囲気下210℃で3時間反応を進め、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂のピーク分子量Mpは6500、Tgは65℃であった。
次に下記に示す材料及び製法を用いて評価用トナーを作製した。
上記ポリエステル樹脂 100質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
パラフィンワックス(融点75℃) 5質量部
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、トナー粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、機械式粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機により分級し、トナー分級品を得た。得られたトナー分級品100質量部に対して、BET比表面積100m/gのアナターゼ型の酸化チタンを1.0質量部、BET比表面積130m/gの疎水性シリカ1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合して、評価用トナーを得た。得られたトナーの重量平均粒径(D4)は6.8μmであった。
<実施例1>
下記に示した材料及び製法を用いて電子写真用キャリアを作製した。
キャリアコア(a−1) 100質量部
樹脂組成物(b−1) 2質量部
上記材料を図1に示したコート装置を用いて電子写真用キャリアコア表面への樹脂組成物の被覆を行った。コート条件としては、充填率を95体積%、攪拌羽根の最外端部周速を10m/sec、攪拌羽根とケーシングの間隙を3.0mm、処理時間を20分間とした。尚、ジャケットには15℃の冷却水を導入した。被覆処理時の品温は76℃であった。コート条件を表3、得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。尚、電子写真用キャリアの物性評価及び現像性評価の基準を以下に示す。
<評価項目>
[合一度合いの評価]
得られた電子写真用キャリアをSEMで観察を行った。一視野に100個程度入るように、倍率としては250倍程度で観察した。この観察を10回行い、以下の基準で判断した。
A:合一粒子が3個数%未満。
B:合一粒子が3個数%以上、6個数%未満。
C:合一粒子が6個数%以上、10個数%未満。
D:合一粒子が10個数%以上、15個数%未満。
E:合一粒子が15個数%以上。
[実効コート量]
得られた電子写真用キャリアを10gを蓋つきのガラス瓶に量り取り、トルエン20gを添加し、振とう機(YS−8D型:(株)ヤヨイ)にて振とうした。振とう機の振幅条件は200rpm、2分間とした。振とう後は、ビンの外側から電子写真用キャリア粒子をマグネットにて捕集しつつ、トルエン及び樹脂組成物を除去した。これを5回繰り返した後、真空乾燥機にて50℃、8時間乾燥させ、常温に冷却した後、残りの質量M2を測定し、下式より実効コート量(%)を算出した。
実効コート量(%)=(10−M2)/(樹脂組成物の仕込み割合/10)×100
尚、実効コート量が100%に近いほど、コート性が良好なものと判断した。又、100%にならない理由としては、被覆処理しきれない樹脂組成物の偏在や合一粒子の偏在によるもの、装置への融着や付着によるものと考えられる。
[画像濃度]
電子写真用キャリア90質量部と前記評価用トナー10質量部をV型混合機にて混合し二成分現像剤を調製した。得られた二成分現像剤をキヤノン製フルカラー複写機iRC3220Nを用いて、通常の画像濃度が得られるかどうか評価した。評価は、高温高湿下(H/H;30℃、80RH)にて、感光体上のトナーの載り量が0.6g/cmとなるように現像バイアスを調整し、ベタ画像を出力した。得られた画像に対して、濃度計X−Rite500型により濃度測定を行い、6点の平均値をとって画像濃度とした。
[感光体上Q/M(mC/kg)]
上記画像濃度評価の際、感光体上のトナーの載り量が0.6g/cmとなった時点で、感光体上のトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集されたトナー質量Mとを測定し、それより単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を計算し、感光体上Q/M(mC/kg)とした。
[リーク性]
上記画像濃度評価の際、感光体上のトナーの載り量が0.6g/cmとなった時点の感光体上のトナー層と、出力したベタ画像を目視により評価し、以下の基準で判断した。尚、リークはキャリアから感光体表面に電荷が移動する現象で、リークが発生すると潜像の電位が現像電位に収束し、現像されなくなる。その結果、感光体上のトナー層にリーク跡(白く抜ける箇所)が発生したり、リークが顕著な場合にはベタ画像にもリーク跡が発生したりする。
A:感光体上のトナー層にリーク跡が見られない。
B:感光体上のトナー層に若干のリーク跡が見られる。
C:感光体上にはリーク跡はあるが、ベタ画像には見られない。
D:ベタ画像にも若干リーク跡が見られる。
E:ベタ画像一面に多数のリーク跡が見られる。
[放置後△Q/M]
上記現像性評価の終了後、現像器を機外に取り外し、高温高湿下H/H(30℃、80RH)にて72時間放置後、再度現像器を機内に装着し、感光体上の単位質量当たりの電荷量Q/Mを測定した。初期と72時間放置後の感光体上Q/Mから以下の基準で判断した。
A:放置後Q/Mが、初期Q/Mの90%以上。
B:放置後Q/Mが、初期Q/Mの80%以上、90%未満。
C:放置後Q/Mが、初期Q/Mの70%以上、80%未満。
D:放置後Q/Mが、初期Q/Mの60%以上、70%未満。
E:放置後Q/Mが、初期Q/Mの50%以上、60%未満。
<実施例2及び3>
実施例1において、樹脂組成物を表3に示したように変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例4及び5>
実施例3において、充填率を表3に示したように変えた以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例6>
実施例3において、冷却水を流さなかった以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例7>
実施例3において、冷却水を70℃の温水に変えた以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例8及び9>
実施例3において、樹脂組成物を表3に示したように変えた以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例10乃至12>
実施例3において、電子写真用キャリアコアを表3に示したように変えた以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例13>
実施例3において、樹脂組成物(b−4)と共に架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(d−1)0.3質量部を装置に投入した以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例14>
実施例13において、樹脂組成物(b−4)及び架橋ポリメチルメタクリレート微粒子(d−1)と共にカーボンブラック(c−1)0.2質量部を装置に投入した以外は、実施例13と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例15乃至17>
実施例3において、樹脂組成物を表3に示したように変えた以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例18>
実施例15において、電子写真用キャリアコアを(a−5)に変更し、樹脂組成物を8質量部に変えた以外は、実施例15と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<実施例19乃至22>
実施例15において、電子写真用キャリアコアを表3に示したように変えた以外は、実施例15と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<比較例1>
実施例3において、コート装置を熱的に被覆処理を行う高速攪拌混合機であるスチームジャケットを装着したハイフレックスグラル(LFS−GS−2J型:深江パウテック製)に変更した。コート条件は、充填率を30体積%、品温を105℃、アジテータの回転数を620rpm、チョッパーの回転数を1000rpmとし、処理時間を10分とした。それ以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアの各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<比較例2>
実施例3において、コート装置を機械的衝撃力により被覆処理を行う表面改質装置であるハイブリダイゼーションシステム(NHS−3型:奈良機械製)に変更した。コート条件は、充填率を10体積%、品温を70℃、ローターの回転数を2000rpmとし、処理時間を3分とした。それ以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアの各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<比較例3>
実施例3において、樹脂組成物(B−2)にトルエンを900質量部加えて樹脂溶液とし、コート装置を湿式コート装置である万能混合攪拌機(5DM型:不二パウダル製)に変更した。コート条件は、処理温度を60℃とし、樹脂溶液を5回に分けて投入し、処理時間を3時間とした。それ以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアの各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表6、現像性の評価結果を表7に示す。
<比較例4>
実施例3において、充填率を40体積%に変えた以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<比較例5>
実施例3において、冷却水を90℃の温水に変えた以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
<比較例6>
実施例3において、充填率を99体積%に変えた以外は、実施例3と同様にして電子写真用キャリアを作製し、各評価を行った。得られた電子写真用キャリアの物性を表4、現像性の評価結果を表5に示す。
Figure 0004739316
Figure 0004739316
Figure 0004739316
本発明の電子写真用キャリアの製造方法に用いることができるコート装置の一例を示す模式図である。 本発明の電子写真用キャリアの製造方法に用いることのできるコート装置に使用される攪拌羽根の構成を示す模式図である。 本発明の電子写真用キャリアの比抵抗を測定する測定装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 ケーシング
2 回転体
3、3a、3b、3c 攪拌羽根
4 ジャケット
5 投入口
6 排出口
7 支持体
8 駆動部
9 空間
d 攪拌羽根の位置関係を示す間隔
11 下部電極
12 上部電極
13 サンプル
14 下部電極台座
15 ホルダ
16 エレクトロンメーター
17 処理コンピュータ
A 抵抗測定セル
d サンプル高さ

Claims (5)

  1. 電子写真用キャリアコアが樹脂組成物被覆されている電子写真用キャリアの製造方法であって、
    数の攪拌羽根を表面に有する回転体と、該攪拌羽根と間隙を有して設けられたケーシングとを有する装置を用い、
    該回転体を回転させて、処理物である電子写真用キャリアコアと樹脂組成物とを混合しながら、該電子写真用キャリアコアの表面に該樹脂組成物を被覆する工程を有し
    該工程において、
    該回転体と該ケーシングとの間の空間に対して、該処理物の充填率が、50体積%以上、98体積%以下となるように該処理物を投入し
    複数の攪拌羽根の一部の攪拌羽根により、該回転体の軸方向の一方向に送る、送りと複数の攪拌羽根の他の一部の攪拌羽根により、該回転体の軸方向の逆方向に戻す、戻し、とを行いながら該電子写真用キャリアコアの表面に該樹脂組成物を被覆し、かつ、
    該電子写真用キャリアコアの該樹脂組成物による被覆時の温度T(℃)が、下記式(1)を満たす範囲に制御されていることを特徴とする電子写真用キャリアの製造方法。
    T≦Tg+20 (1)
    (Tg:該樹脂組成物に含まれる樹脂成分のガラス転移温度(℃))
  2. 該樹脂組成物は粉体状で該装置に投入され、被覆処理に供される前の該樹脂組成物の体積基準の50%粒径(D50)をDb(μm)、該電子写真用キャリアコアの体積基準の50%粒径(D50)をDc(μm)としたとき、Db/Dcが下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用キャリアの製造方法。
    0.10≦Db/Dc≦50 (2)
  3. 該樹脂組成物が、少なくとも樹脂成分と個数平均粒径(D1)が0.01μm以上、3.00μm以下の微粒子を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用キャリアの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法により製造された電子写真用キャリア。
  5. 該電子写真用キャリアは、体積基準の50%粒径(D50)が15.0μm以上、100.0μm以下であり、真比重が2.5g/cm以上、5.2g/cm以下であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真用キャリア。
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