JP4737837B2 - 水溶性固形描画材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、描画後に水により水彩絵の具状の描画面が得られる水溶性固形描画材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来水溶性の固形描画材は、水溶性樹脂および顔料を主体としたものや、ワックス、顔料に界面活性剤を加えて水溶性としたもの、あるいはこれらの材料を適宜組み合わせたものなどが知られ、油脂、ワックス、高級脂肪酸などの滑材、あるいはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性の結合材などが、強度、書き味などに大きく寄与する材料として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記材料を用いた固形描画材は水溶性および紙面に対する定着性などは良好であるものの、描画材がもろく、強度が低いという問題があり、強度を高くしようとすると書き味がざらついたり、着色性が劣化し、描線の水による溶解性も十分なものではなくなる。また、製造時水によって混練、成形するので、水分量調整のため製造条件が微妙に変わったりして、得られた描画材の成形性や品質の安定性にも問題が生ずる。さらに長時間の乾燥工程も必要となるなど、工程管理上にも問題を有する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題について鋭意検討した結果完成したものであって、水溶性固形描画材において、結合材としてケン化度がビニルアルコール単位で60〜80モル%のポリ酢酸ビニルの部分ケン化物と着色材から少なくともなり、前記ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物の使用量が水溶性固形描画材全量に対して1.0〜14重量%であることを特徴とするものである。
【0005】
本発明の水溶性固形描画材に用いる着色材としては、従来水溶性の固形描画材に用いられているものであれば何でもよく、例えばカーボンブラック、酸化チタン、ピグメントイエロー、フタロシアニンブルー、レーキレッド、ハンザイエロー、マイカなどの無機顔料、有機顔料、パール顔料あるいは蛍光顔料および公知の染料が挙げられ、透明性、隠蔽性など目的とする品質に応じて適宜これらを単独もしくは組み合わせて用いる。着色材の使用量は、その種類によって大きく異なるが、発色および描画性より水溶性固形描画材全量に対して、1〜50重量%が好ましい。
【0006】
本発明の水溶性固形描画材に使用する結合材として、熱可塑性の水溶性樹脂であるポリ酢酸ビニルの部分ケン化物を用いる。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物は、化学式が−(CH2−CHOCOCH3)−で表される酢酸ビニル単位と、化学式が−(CH2−CHOH)−で表されるビニルアルコール単位による二元共重合体であって、この二つの単位式の組み合わせから成るものである。
【0007】
酢酸ビニル樹脂を部分ケン化させることにより、本発明の使用する二元共重合体樹脂が得られるのである。この時その組み合わせ比率すなわちケン化度は、要求される性能に応じて適宜設定すればよいが、好ましくはビニルアルコール単位で50〜95モル%の範囲、特には50〜80モル%が良好である。50モル%以下であると、描かれた筆記線が水に溶けにくくなり、95モル%以上だと熱に対し溶融しにくくなる。また重合度は、500以下が良好である。500以上だと、熱に対し溶融しにくくなる。
【0008】
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物の使用量は、水溶性固形描画材全量に対して、1.0〜15重量%が好ましい。1.0重量%より少ないと、目的とする効果が充分に得られない場合があり、15重量%より多いと描画材が硬くなり、書き味や着色性が劣化する恐れが大きくなる。
【0009】
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物は、熱可塑性の水溶性樹脂であり、水に溶けると同時に熱にも溶融する。従って製造時に、熱による混練、成形を行うことにより、水による混練、成形と比べ、経時変化が少ないと共に、長時間の乾燥工程も必要としないため、ロット間、ロット内の寸法安定性に優れ、結果として安定した品質を有する水溶性固形描画材が得られるのである。特に本発明の樹脂は、成形強度が高いため押出成形性が良好であると共に、得られた描画材の強度は高く、さらに理由は定かでないが書き味的にも滑らかであると同時に、着色性の良好なバランスのとれた性能が得られるのである。
【0010】
上記材料以外に、塗布性能を向上するために必要に応じて滑材を併用してもよく、滑材としては従来公知の油脂、ワックス、高級脂肪酸などが挙げられ、例えば木ロウ、蜜ロウ、カルナバロウ、モンタンワックス、パラフィンワックス、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、パルミチン酸、高級アルコール類、そのエステルなどが挙げられる。また、アニオン系、ノニオン系、カチオン系などの界面活性剤、さらには増量材あるいは充填材としてタルク、クレー、シリカ、カオリン、炭酸カルシウムなどの体質材を併用してもよい。
【0011】
また結合材として、本発明で使用するポリ酢酸ビニルの部分ケン化物以外に、熱で溶融するポリエチレン、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリルなどの熱可塑性樹脂を単独または組み合わせて併用することもできる。
【0012】
本発明の水溶性固形描画材は、従来公知の製造方法を用いて製造することができ、たとえば上記各成分をニーダー、三本ロールなどで加熱混練し、得られた混練物をそのままあるいはペレット化して、加熱下において射出、流し込み又は押出しにより水溶性固形描画材を作製するといった方法が挙げられる。
次に、本発明の実施例を示す。なお「部」は、「重量部」である。
【0013】
【実施例】
(実施例1)
タルク(体質材) 60部
酸化チタン(着色材) 5部
ピグメントブルー15:3(着色材) 5部
ステアリン酸(滑材) 3部
脂肪酸カリウム(界面活性剤) 13部
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物(結合材) 14部
(ケン化度 60モル%)
以上を加熱ニーダー、加熱三本ロールで練合した後、加熱押出しにより直径3mmの青色の水溶性固形描画材を得た。
【0014】
(実施例2)
タルク(体質材) 50部
酸化チタン(着色材) 10部
ピグメントイエロー14(着色材) 10部
ポリエチレングリコール(滑材) 5部
ステアリン酸(滑材) 4部
アルキル硫酸ナトリウム(界面活性剤) 12部
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物(結合材) 9部
(ケン化度 80モル%)
以上を実施例1と同様の方法にて、黄色の水溶性固形描画材を得た。
【0015】
(実施例3)
タルク(体質材) 65部
酸化チタン(着色材) 3部
ピグメントレッド122(着色材) 3部
パラフィンワックス(滑材) 4部
脂肪酸カリウム(界面活性剤) 13部
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物(結合材) 12部
(ケン化度 70モル%)
以上を実施例1と同様の方法にて、赤紫色の水溶性固形描画材を得た。
【0016】
(比較例1)
実施例1で、結合材であるポリ酢酸ビニルの部分ケン化物の代わりに、カルボキシメチルセルロースを用い、さらに水100部を添加したものをニーダー、三本ロールで混練したのち、適宜の水分量で押し出して水溶性固形描画材を得た。
【0017】
(比較例2)
実施例2で、結合材であるポリ酢酸ビニルの部分ケン化物の代わりに、ポリビニルアルコールを用い、さらに水100部を添加したものをニーダー、三本ロールで混練したのち、適宜の水分量で押し出して、水溶性固形描画材を得た。
【0018】
上記各実施例1、2、3および比較例1、2の水溶性固形描画材を用いて、曲げ強度、水による溶解性、書き味、着色性、寸法安定性の評価を行った。結果を、表1に示す。
【0019】
曲げ強度試験は、レオメーターを用いてスパン30mmで3点曲げの測定比較。書き味、着色性は、筆記した時の感覚による判定。水による溶解性は、水を含んだ絵筆で着色面を摩擦し、溶け具合を判定。寸法安定性は、10本のサンプルの外径の最大と最小の差である(単位はmmである)。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】
本発明の水溶性固形描画材は、従来の描画材と比べ次のような種々の特徴を有する。
1.強度が高く、かつ着色性の良好なバランスのとれた描画材となる。
2.べとつきがなく、書き味が滑らかである。さらに描線は水により容易に溶解して、紙面に浸透することなく良好に分散する。
3.水を使わず、熱によって成形するため、成形性や品質安定性に優れた描画材が得られる。
Claims (1)
- 少なくとも着色材およびケン化度がビニルアルコール単位で60〜80モル%のポリ酢酸ビニルの部分ケン化物よりなる水溶性固形描画材であり、前記ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物の使用量が水溶性固形描画材全量に対して1.0〜14重量%である水溶性固形描画材。
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