JP4736193B2 - 疲労特性に優れるすみ肉溶接継手およびガスシールドアークすみ肉溶接方法 - Google Patents

疲労特性に優れるすみ肉溶接継手およびガスシールドアークすみ肉溶接方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄鋼板などの鋼材のガスシールドアークすみ肉溶接技術に関わり、とくに自動車用高張力薄鋼板のガスシールドアークすみ肉溶接に適用して好適な溶接継手の疲労特性改善技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車車体などの鋼製の軽構造物には、軽量化を図るために、より高強度の薄鋼板が使用される傾向にある。これら軽構造物が、例えば自動車などのように、振動を伴う環境で使用される場合には、通常の静的な引張強度だけでなく、十分な疲労強度も具備していることが必要となる。
ところが、高張力鋼板の溶接継手においては、静的な引張強度は鋼板の引張強度の増大とともに増すのに対して、疲労強度は、鋼板の疲労強度の増大に対応して増加しないという大きな問題が指摘されている。このような問題は、特に自動車用鋼板としての利用価値の高い、引張強度440MPa以上の強度を有する高張力鋼板において、その重要性が大きい。したがって、溶接継手の疲労強度をより高める技術の出現が強く望まれている。
【0003】
ところで、溶接継手の疲労特性を向上させるには、一般に、溶接止端部の曲率半径を大きくして、止端部での応力集中を低減することが有効であることが知られている。このような観点から、特開平 8−25080 号公報には、溶接ワイヤの化学組成および溶接電圧を規定することにより、溶接ビード止端部の曲率半径を大きくして、すみ肉溶接部の疲労特性を向上させる溶接方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発明者らが高張力鋼板の溶接に多く利用されるガスシールドアーク溶接によるすみ肉溶接継手について詳細に調査したところ、単に溶接ワイヤの化学組成や溶接電圧のみを規定しただけでは、すみ肉溶接継手の疲労特性を十分に確保できない場合があることが分かった。
そこで、本発明は、疲労特性に優れるすみ肉溶接継手、およびすみ肉溶接継手の疲労特性を改善するに好適なガスシールドアークすみ肉溶接方法を提案することを目的とする。なお、本発明は、特に高張力薄鋼板の重ねすみ肉溶接継手に適用して有用であり、このすみ肉溶接継手の疲労限が200MPa以上であることを具体的目標とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題を解決するために、ガスシールドアーク溶接に用いた溶接ワイヤ、薄鋼板および溶接金属それぞれの化学組成が、高張力薄鋼板のすみ肉溶接継手の疲労強度に与える影響をさらに検討した。その結果、前記疲労強度(疲労限)は、溶接金属の化学組成を適正範囲に制御して初めて向上することを見いだした。また、疲労強度に優れたすみ肉溶接継手を製造するためには、鋼板中の固溶窒素量を適切に制御する必要があることも見いだした。
【0006】
本発明は、このような知見に基いて完成したものであり、その要旨構成は次のとおりである。
1)質量%で、
C:0.01〜0.15%、 Si:0.3〜2.0%、
Mn:1.0〜3.0%、 P:0.05%以下、
S:0.005%以下、 Al:0.005〜0.05%、
Ti:0.005〜0.08%、 N:0.003〜0.025%
を含み、かつ、前記Al、TiおよびNは下記(1)式を満たして含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成の板厚が0.3〜5mmの薄鋼板と、該薄鋼板をガスシールドアークすみ肉溶接して得られた、下記(2)〜(5)式を満足する組成の溶接金属とからなり、溶接金属における鋼材希釈率が40%以上80%以下であることを特徴とするガスシールドアークすみ肉溶接継手。

N−(14/48)Ti−0.2Al≧0 ・・・(1)
0.30≦C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4≦0.55
・・・(2)
0.10≦C+4S+2O≦0.35 ・・・(3)
1.6≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.2 ・・・(4)
0.003≦N≦0.020 ・・・(5)
但し、(1)〜(5)式中、N,Ti,Al,C,Si,Mn,Cr,Mo,S,Oはそれぞれ、各元素の含有量(質量%)を表わす。
【0007】
2)上記1)に記載の薄鋼板の組成に加えて、質量%で、
Ni:0.1〜2.0%、 Cr:0.1〜1.0%、
Mo:0.05〜1.0%、 Nb:0.01〜0.1%、
V:0.01〜0.1%、 B:0.0005〜0.005%、
Cu:0.1〜1.0%、 Ca:0.0005〜0.005%、
およびREM:0.0005〜0.005%
から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とするガスシールドアークすみ肉溶接継手。
【0008】
3)質量%で、
C:0.01〜0.15%、 Si:0.3〜2.0%、
Mn:1.0〜3.0%、 P:0.05%以下、
S:0.005%以下、 Al:0.005〜0.05%、
Ti:0.005〜0.08%、 N:0.003〜0.025%
を含み、かつ、前記Al、TiおよびNは下記(1)式を満たして含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成の板厚が0.3〜5mmの薄鋼板を溶接ワイヤを用いてガスシールドアークすみ肉溶接するに当たり、溶接金属の組成が下記(2)〜(5)式を満足するように、溶接ワイヤおよび溶接条件を定めるとともに、溶接金属における鋼材希釈率が40%以上80%以下となるよう、溶接することを特徴とするガスシールドアークすみ肉溶接方法。

N−(14/48)Ti−0.2Al≧0 ・・・(1)
0.30≦C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4≦0.55
・・・(2)
0.10≦C+4S+2O≦0.35 ・・・(3)
1.6≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.2 ・・・(4)
0.003≦N≦0.020 ・・・(5)
但し、(1)〜(5)式中、N,Ti,Al,C,Si,Mn,Cr,Mo,S,Oはそれぞれ、各元素の含有量(質量%)を表わす。
【0009】
4)上記3)に記載の薄鋼板の組成に加えて、質量%で、
Ni:0.1〜2.0%、 Cr:0.1〜1.0%、
Mo:0.05〜1.0%、 Nb:0.01〜0.1%、
V:0.01〜0.1%、 B:0.0005〜0.005%、
Cu:0.1〜1.0%、 Ca:0.0005〜0.005%、
およびREM:0.0005〜0.005%
から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とするガスシールドアークすみ肉溶接方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明のすみ肉溶接継手の一部を構成する鋼材の化学組成について説明する。なお、以下の成分含有量の%は質量%を表すものとする。
C:0.01〜0.15%
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を得るために0.01%以上含有することが必要である。一方、0.15%を超えると鋼中の疲労特性に優れる炭化物の分率が増加することに起因して鋼板の延性、さらには成形性が顕著に悪化する。
【0012】
Si:0.3 〜2.0 %
Siは、脱酸材として不可欠な元素であるが、0.3 %未満の含有ではその効果が発揮されず、ピットやブローホールなどの欠陥が発生する。一方、2.0 %を超えると、鋼板の表面性状を劣化させて、美麗性を損なう。
【0013】
Mn:1.0 〜3.0 %
Mnは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を得るためには1.0 %以上含有することが必要である。一方、3.0 %を超えると、鋼板硬さが過度に上昇して、成形性を劣化させる。
【0014】
P:0.05%以下
Pは、鋼の固溶強化元素として有効であるが、過度に含有すると、鋼板の延性および表面処理性を劣化させる。このため上限を0.05%とした。なお、Pの強化作用を効果的に引き出すには0.010 %以上含有させることが好ましい。
【0015】
S:0.005 %以下
Sは、少ないほど鋼中の析出物が減少し、加工性が向上する。このため上限を0.005 %とした。なお、必要以上のS低減はコストを増大させるため、0.0005%を下限とすることが好ましい。
【0016】
Al:0.005 〜0.05%
Alは、鋼の脱酸のために必要な元素であり、0.005 %未満の含有では十分な脱酸効果を確保することができない。一方、0.05%を超えるとクラスタ状の介在物が多くなり、加工性を劣化させるとともに、鋼板中の固溶Nを確保することが困難になる。
【0017】
Ti:0.005 〜0.08%
TiはNを強力に固定する元素で、その窒化物は高温まで安定であるために、溶接熱影響部の組織の粗大化を防止するために有効な元素である。その効果は0.005 %以上の含有により発揮される。一方、0.08%を超えると、鋼板中の固溶Nを確保することが困難になる。
【0018】
N:0.003 〜0.025 %、N−(14/48)Ti −0.2Al ≧0
Nは、本発明において特に重要な添加元素である。すなわち、適正範囲のN含有量とともに、Al,Tiを適正範囲に制御して、固溶状態のNを確保することにて、大きな溶接継手の疲労強度が得られる。上記の効果を得るには、鋼材中に0.003 %以上含有させることが必要である。しかし、0.025 %を超えて含有させた場合には、鋼板の内部欠陥の発生率が高くなるとともに、溶接金属中にもポロシティ等の内部欠陥の発生率も高まり、疲労強度も低下するので、その上限を0.025%とした。
鋼材中のNの一部は、鋼材中のAl,Tiと結合して窒化物を形成するので固溶状態のNが低下する。そこで、固溶状態のNを確保するために、 (1)式:N−(14/48)Ti −0.2Al ≧0 を満たすように各含有量を調整することが必要である。
【0019】
薄鋼板の化学組成は上述した元素を基本含有成分として、必要に応じてさらにNi:0.1 〜2.0 %、Cr:0.1 〜1.0 %、Mo:0.05〜1.0 %、Nb:0.01〜0.1 %、V:0.01〜0.1 %、B:0.0005〜0.005 %、Cu:0.1 〜1.0 %、Ca:0.0005〜0.005 %、REM:0.0005〜0.005 %
から選ばれるいずれか1種または2種以上を含有することができる。
Ni:0.1 〜2.0 %
Niは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を得るためには0.1 %以上含有させる。一方、含有量の上限は経済性を考慮して2.0 %までである。
【0020】
Cr:0.1 〜1.0 %
Crは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を得るためには0.1 %以上含有させる。一方、含有量の上限は経済性を考慮して1.0 %とする。
【0021】
Mo:0.05〜1.0 %
Moは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を得るためには0.05%以上含有させる。一方、含有量の上限は経済性を考慮して1.0 %とする。
【0022】
Nb:0.01〜0.1
Nbは、鋼の強度を増加させる元素であり、溶接熱影響部での軟化を抑制する効果があるが、0.01%未満では期待する効果が十分に発揮されない。一方、0.1 %を超えて含有すると、溶接熱影響部が過度に硬化して溶接割れが生じやすくなるので、0.1 %を上限とする。
【0023】
V:0.01〜0.1 %
Vは、鋼の強度を増加させる元素であり、溶接熱影響部での軟化を抑制する効果があるが、0.01%未満では期待する効果が十分に発揮されない。一方、0.1 %を超えて含有すると、溶接熱影響部が過度に硬化して溶接割れが生じやすくなるので、0.1 %を上限とする。
【0024】
B:0.0005〜0.005 %
Bは、微量で鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を得るためには0.0005%以上含有させる。一方、0.005 %を超えて含有すると、溶接性を劣化させるので、0.005 %を上限とする。
【0025】
Cu:0.1 〜1.0 %
Cuは、鋼板および溶接金属に防食効果を付与する元素であり、この効果を発揮させるには0.1 %以上含有させる。一方、含有量が1.0 %を超えると、防食効果が飽和するほか、高温割れも生じやすくなるので、1.0 %を上限とする。
【0026】
Ca:0.0005〜0.005 %、REM (希土類元素:Rare Earth Material):0.0005〜0.005 %
Ca、REMは、いずれも鋼板中の介在物の形態を制御し、成形性、特に伸びフランジ性を改善するのに有効な元素であるが、0.0005%未満の含有では、期待する効果が十分に発揮されない。一方、0.005 %を超えて含有すると、溶接性を劣化させるので、0.005 %を上限とする。REMとしては、La, Ceが入手のし易さから好ましい。ただし、Sc, Y および原子番号57のLaから原子番号71のLuまでのいずれを用いてもよい。
【0027】
また、本発明のすみ肉継手を構成する溶接金属の化学組成(いずれの成分も質量%で表す)は、(2),(3),(4) および(5) 式を満足することが必要である。
(2) 0.30≦C+Si/24 +Mn/6+Ni/40 +Cr/5+Mo/4≦0.55
(3) 0.10≦C+ 4S+ 2O≦0.35
(4) 1.6 ≦Si+Mn+ 4Ti+ 2Al≦3.2
(5) 0.003 ≦N≦0.020
【0028】
各式の限定理由を説明する。
溶接金属のC+Si/24 +Mn/6+Ni/40 +Cr/5+Mo/4 (以下、Ceqで表わす) の値が、0.30%に満たないと、溶接金属の引張強度が不足し、溶接継手の強度を確保できなくなる。一方、Ceqが0.55%を超えると、溶接金属の延性が低下するとともに、溶接割れも生じやすくなる。さらに、疲労き裂が生じ易くなり、疲労強度は低下する。このため、溶接金属のCeqは(2) 式を満足することが必要である。
【0029】
また、溶接金属のC+4S+2Oが、0.10%未満では、溶接中のアーク直下の溶融池の粘性が大きくなるため、溶接ビード止端部で鋼板とのぬれが悪くなり、止端部曲率半径が小さくなる。結果として、継手疲労強度を劣化させる。また、この値が0.35%を超えると、溶接ビード溶融池の表面張力の温度勾配dγ/dTが負となる。そのため、溶接中のアーク直下の溶融池の流動状態は表面流から求心流となり、溶接ビードは深溶け込みの凸型ビードとなる。さらには、溶融池の粘性が小さくなりすぎ、アーク力により溶鋼が溶融池後方に押しやられて凸型ビードとなる。以上の2点により、溶接ビード止端部の曲率半径は小さくなり継手疲労強度は劣化する。以上のことから、溶接金属のC、S、Oの含有量は(3) 式を満足するように調整することが必要である。
【0030】
さらに、溶接金属のSi+Mn+4Ti+2Alが1.6 %未満では、溶接アーク状態が不安定になり、溶接作業性が劣化する。また、溶接ビード形状が不規則となり、溶接止端部での曲率半径は小さくなるので継手疲労強度は劣化する。一方、この値が3.2 %を超えると、溶接金属の延性が低下するとともに、溶接割れが生じやすくなる。このため、溶接金属のSi、Mn、Ti、Alの含有量は(4) 式を満足するように調整することが必要である。
【0031】
そしてまた、溶接金属のNが0.003 %未満では、固溶窒素量が不足して高い継手疲労強度が得られない。一方、Nが0.020 %を超えると、溶接金属中にポロシティ等の内部欠陥が生じやすくなり、継手疲労強度は劣化する。このため、溶接金属中のNは(5) 式を満足するように調整することが必要である。
【0032】
上記化学成分を満足する溶接金属は、鋼材の成分組成に応じて、溶接ワイヤの成分組成と溶接条件を、鋼材希釈率を考慮しつつ決定することにより達成できる。
【0033】
また、すみ肉溶接の際に、溶接金属中への鋼材希釈率 (溶接金属中に占める鋼材溶融部の比率) は40%以上80%以下とすることが好ましい。
ここに、鋼材希釈率は次のように決定する。すなわち、溶接前の鋼材形状を記録した後に溶接を実施し、溶接部の断面部をエッチングすることにより形状測定し、図1に示す各領域を算出する。Aは溶接金属に含まれる図中で下方に示す鋼材の溶融領域、Bは溶接金属に含まれる図中で上方に示す鋼材の溶融領域でかつ溶接金属と重ならない領域である。さらに、溶接金属に含まれる鋼材溶融比率を (A+B+D)/(A+B+C)で算出し、これをパーセントで表示した値を鋼材希釈率とする。
こうして求めた溶接金属中への鋼材希釈率が、40%未満では、溶接ビード断面の溶け込み形状が浅くなり、すみ肉溶接継手の静的引張強さが鋼材より低下する。一方、鋼材希釈率が80%を超えると、溶け込みが深くなりすぎ、鋼材が溶け落ちるあるいは鋼材が大きく変形するなどの欠陥がすみ肉溶接継手に生じ、静的引張強さおよび疲労強度の低下が生じる。このため、溶接金属中への鋼材希釈率は40%以上80%以下であることが好ましい。
【0034】
なお、本発明のすみ肉溶接継手の溶接方法としては、ガスシールドアーク溶接のうち、MAG溶接、COアーク溶接いずれも好適であるが、なかでもMAG溶接が好ましい。
また、本発明は、自動車車体などに使用される高強度の薄鋼板であって、引張強度 440 MPa以上の強度を有する鋼板をガスシールドアーク溶接したすみ肉溶接継手の場合に、十分な疲労強度が得られて、発明の利点が最大限に発揮される。特に、厚さ 0.3〜5 mm程度の薄鋼板を重ねすみ肉溶接して得られるすみ肉溶接継手は、自動車などの振動を伴う環境で使用され、かつ軽量化の求められる構造物に有利に適用できる。
【0035】
【実施例】
表1に示す引張強度の薄鋼板 (板厚3.0 mm)を、表2に示す1.2 mmφの溶接ワイヤと溶接条件の組み合わせによりガスシールドアーク溶接して、すみ肉重ね溶接継手を作製した。
得られた、すみ肉溶接継手から試験片を採取し、平面曲げ疲労試験を行った。なお、平面曲げ疲労試験は完全両振り (R=−1) にて行った。
その結果を表3、表4に示す。これらの表から、発明例はいずれも 200MPa以上の高い疲労限が得られた。これに対して、本発明の範囲を外れる比較例は低い疲労限しか得られなかった。
【0036】
【表1】
Figure 0004736193
【0037】
【表2】
Figure 0004736193
【0038】
【表3】
Figure 0004736193
【0039】
【表4】
Figure 0004736193
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、疲労強度に優れた鋼材のガスシールドアークすみ肉溶接継手を提供できる。とくに、本発明は、引張強度 440 MPa以上の強度を有する高張力薄鋼板のガスシールドアークすみ肉溶接に適用されたとき、200MPa以上の高い疲労限を安定して達成できるので、自動車などの構造物の耐久性、安全性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼材希釈率を説明するための、すみ肉溶接ビード止端部の模式図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.3〜2.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.08%、N:0.003〜0.025%を含み、かつ、前記Al、TiおよびNは下記(1)式を満たして含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成の板厚が0.3〜5mmの薄鋼板と、該薄鋼板をガスシールドアークすみ肉溶接して得られた、下記(2)〜(5)式を満足する組成の溶接金属とからなり、溶接金属における鋼材希釈率が40%以上80%以下であることを特徴とするガスシールドアークすみ肉溶接継手。

    N−(14/48)Ti−0.2Al≧0 ・・・(1)
    0.30≦C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4≦0.55
    ・・・(2)
    0.10≦C+4S+2O≦0.35 ・・・(3)
    1.6≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.2 ・・・(4)
    0.003≦N≦0.020 ・・・(5)
    但し、(1)〜(5)式中、N,Ti,Al,C,Si,Mn,Cr,Mo,S,Oはそれぞれ、各元素の含有量(質量%)を表わす。
  2. 請求項1に記載の薄鋼板の組成に加えて、質量%で、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.1%、B:0.0005〜0.005%、Cu:0.1〜1.0%、Ca:0.0005〜0.005%、およびREM:0.0005〜0.005%から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とするガスシールドアークすみ肉溶接継手。
  3. 質量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.3〜2.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.05%、Ti:0.005〜0.08%、N:0.003〜0.025%を含み、かつ、前記Al、TiおよびNは下記(1)式を満たして含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成の板厚が0.3〜5mmの薄鋼板を溶接ワイヤを用いてガスシールドアークすみ肉溶接するに当たり、溶接金属の組成が下記(2)〜(5)式を満足するように、溶接ワイヤおよび溶接条件を定めるとともに、溶接金属における鋼材希釈率が40%以上80%以下となるよう、溶接することを特徴とするガスシールドアークすみ肉溶接方法。

    N−(14/48)Ti−0.2Al≧0 ・・・(1)
    0.30≦C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4≦0.55
    ・・・(2)
    0.10≦C+4S+2O≦0.35 ・・・(3)
    1.6≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.2 ・・・(4)
    0.003≦N≦0.020 ・・・(5)
    但し、(1)〜(5)式中、N,Ti,Al,C,Si,Mn,Cr,Mo,S,Oはそれぞれ、各元素の含有量(質量%)を表わす。
  4. 請求項3に記載の薄鋼板の組成に加えて、質量%で、Ni:0.1〜2.0%、Cr:0.1〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.1%、B:0.0005〜0.005%、Cu:0.1〜1.0%、Ca:0.0005〜0.005%、およびREM:0.0005〜0.005%から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とするガスシールドアークすみ肉溶接方法。
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