JPH10147839A - 溶接部の疲労強度が高い鋼板 - Google Patents

溶接部の疲労強度が高い鋼板

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JPH10147839A
JPH10147839A JP30824896A JP30824896A JPH10147839A JP H10147839 A JPH10147839 A JP H10147839A JP 30824896 A JP30824896 A JP 30824896A JP 30824896 A JP30824896 A JP 30824896A JP H10147839 A JPH10147839 A JP H10147839A
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fatigue
fatigue strength
haz
strength
steel sheet
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Katsumi Kurebayashi
勝己 榑林
Shuji Aihara
周二 粟飯原
Naoki Saito
直樹 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、HAZのミクロ組織制御によりH
AZにおけるき裂の発生と伝播を抑制した、溶接部の疲
労強度が高い鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%で、0.015≦C≦0.10、
0.05≦Si≦2.0、0.1≦Mn≦1.5、P≦
0.05、S≦0.02、0.001≦Al≦0.0
8、0.002≦N≦0.015を含有し、必要に応じ
てCu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、REM、
Caの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物よりなり、下式に示すCeq(f)の値が
Ceq(f)≦0.11を満足することを特徴とする。 Ceq(f)=C−Si/57+Mn/13+(Cu+
Ni)/26+Cr/5+Mo/6+V/5+Nb/
1.5

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建設機械・造船・
海洋構造物・橋梁、さらには自動車などの溶接構造物
で、長い疲労寿命が要求される構造部材に使用され、溶
接部から発生する疲労破壊のくり返し寿命が長い鋼板に
関するものである。特に鋼板として、厚鋼板、中板、薄
板(熱延、冷延鋼板)を対象とする。
【0002】
【従来の技術】環境保全に対する要求の高まり、人命の
尊重により、構造物は従来にも増した信頼性が要求され
るようになってきている。過酷な条件で使用される大型
の溶接構造物では疲労破壊、脆性破壊、延性破壊などの
破壊が生じる可能性があるが、このなかでも疲労破壊は
低いくり返し応力が作用することにより生じる破壊であ
り、最も頻繁に発生しやすいものである。疲労寿命を長
くするための対策として、現状では部材に生じる負荷応
力が高くならないように板厚を厚くするなどの設計的な
配慮によるところが大きく、その結果、構造物の軽量化
が進まないなどの問題点が指摘されている。
【0003】これまでに、疲労強度向上に関する技術が
多数公開されているが、そのほとんどは母材に関するも
のであり、本発明が対象とする溶接部の疲労強度向上を
目的としたものは少ない。また、薄鋼板で広く用いられ
るスポット溶接は応力集中・残留応力など応力状態が突
き合わせ溶接のそれとは非常に異なるために、本発明が
対象とする鋼板突き合わせ溶接部の疲労強度向上には適
用できない。
【0004】特開昭57−108241号公報には、ベ
イナイト面積率5〜70%、マルテンサイト面積率1〜
30%とすることで伸びフランジ性と疲労強度向上が図
れることが記載されている。また、特許第161080
8号明細書には、熱延鋼板の冷却速度と巻き取り温度を
限定することによりベイナイトの面積率を5〜60%と
し、疲労強度を向上できることが記載されている。
【0005】また、特開平4−24418号公報には、
フェライト・ベイナイト・マルテンサイトの3相混合組
織でベイナイトの面積率を5〜60%、マルテンサイト
面積率を1〜15%とすることで伸びフランジ性と疲労
強度向上が図れることが記載されている。また、厚鋼板
の疲労強度を向上させるものとしては、特開平3−31
5648号公報に、オーステナイト・フェライト2相域
で圧延を行うことにより、アスペクト比が4以上で、短
径が10μm以下のフェライトを生成させ、疲労き裂の
成長に伴って板面に平行なセパレーションを生ぜしめ、
疲労き裂の伝播を抑制する技術が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらのうち、特開昭
57−108241号公報記載のものは、ベイナイトと
マルテンサイトの面積率を特定範囲に限定することによ
り疲労強度を向上させるものであるが、これは薄鋼板母
材の疲労強度向上に関するものであり、本発明が対象と
する溶接部では残留応力が生じているなど応力条件が全
く異なるために、これを適用できない。
【0007】特許第1610808号明細書記載のもの
は、母材の組織を制御することにより疲労強度向上を図
るものであり、鋼板溶接部の疲労強度向上には効果が限
られる。特開平4−24418号公報が対象とするの
は、主に伸びフランジ性向上を目的としたものであり、
疲労強度に関しては応力集中の低いフラッシュバット溶
接部の硬さ低下を抑制することにより疲労強度向上を図
るものであり、応力集中が高い溶接部の疲労強度向上に
は効果を期待できない。
【0008】特開平3−315648号公報記載のもの
は、疲労き裂の伝播を板面に平行なセパレーションを生
成させることにより疲労き裂の伝播を抑制しようとする
ものであり、本発明のような溶接部の疲労き裂発生を抑
制する効果は全くなく、溶接部から発生したき裂が母材
部に突入した後に効果を発揮するだけであり、溶接部の
疲労強度向上には限度がある。
【0009】本発明は、鋼板溶接部の疲労強度を向上す
ることを目的とするものである。疲労き裂は最も応力集
中の厳しい溶接部、特に、溶接熱影響部(以下、HAZ
と称する)から発生する。発生したき裂はHAZ内を伝
播し、母材に突入し伝播する。従って、溶接部の疲労強
度を向上させるためには、HAZにおけるき裂発生・伝
播と母材部におけるき裂伝播のうち、少なくともどちら
か一方を制御することが必要である。本発明は、HAZ
の組織制御によりき裂の発生と伝播を抑制し、溶接部材
の疲労強度向上を図るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶接部の
疲労き裂発生と伝播の形態をミクロ的に詳細に観察した
結果、溶接部の疲労強度を向上させるためには、HAZ
における疲労き裂発生と伝播の抑制によって溶接部の疲
労強度を向上できることを見出した。すなわち、HAZ
におけるき裂発生・伝播の抑制にはHAZのフェライト
面積率を高くすることが効果的であることを新たに知見
した。本発明の要旨とするところは、下記のとおりであ
る。
【0011】(1)重量%で、 0.015≦C≦0.10、 0.05≦Si≦2.0、 0.1≦Mn≦1.5、 P≦0.05、 S≦0.02、 0.001≦Al≦0.08、 0.002≦N≦0.015 を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなり、下
式に示すCeq(f)の値が Ceq(f)≦0.11 を満足することを特徴とする溶接部の疲労強度が高い鋼
板。
【0012】ただし、 Ceq(f)=C−Si/57+Mn/13+(Cu+
Ni)/26+Cr/5+Mo/6+V/5+Nb/
1.5 (2)重量%で、母材強度上昇元素群の 0.1≦Cu≦2.0、 0.1≦Ni≦2.0、 0.05≦Cr≦0.5、 0.05≦Mo≦0.5、 0.005≦Nb≦0.10、 0.005≦V≦0.10 の1種または2種以上を含有することを特徴とする前項
(1)記載の溶接部の疲労強度が高い鋼板。
【0013】(3)重量%で、 0.005≦Ti≦0.05 を含有し、さらに、Ti/Nが2.0〜3.4であるこ
とを特徴とする前項(1)または(2)記載の溶接部の
疲労強度が高い鋼板。 (4)重量%で、 0.0005≦REM≦0.0050、 0.0005≦Ca≦0.0050 の1種または2種を含有することを特徴とする前項
(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の溶接部の疲
労強度が高い鋼板。
【0014】
【作用】疲労破壊はき裂の発生と伝播から構成される。
き裂発生寿命とき裂伝播寿命の合計が疲労破壊に至る全
寿命となる。溶接部においてはき裂発生は最も応力集中
が厳しい溶接止端部に一致するHAZから発生する場合
が多い。発生したき裂はHAZ内を伝播した後に母材部
へ突入し、さらに伝播を継続し、最終的に部材の破断に
至る。溶接部の疲労破壊寿命を向上させるためには、H
AZ内のき裂発生・伝播と母材における伝播のうち、少
なくともどちらか一方を抑制することが必要である。
【0015】本発明者らは、まず、HAZの疲労強度に
及ぼす組織の効果について系統的な実験を実施し、極め
て有効な知見を得た。すなわち、HAZの組織を熱サイ
クル再現装置で再現した試験片を疲労試験に供し、HA
Z組織の影響を調査したところ、高温変態組織ほど疲労
限応力と引張強さの比(以下、疲労限度比と称する)が
向上することを知見した。図1にその試験結果を示す。
【0016】合金元素含有量を変化させた各種の鋼に最
高加熱温度が1400℃の溶接再現熱サイクルを与え、
この再現HAZ材より応力集中係数が2.6の切欠きを
有する3点曲げ試験片を加工し、疲労試験に供した。横
軸に再現HAZ材のフェライト組織分率をとり、縦軸に
疲労限度比をとってプロットした。HAZ組織中のフェ
ライト分率を高くすることにより疲労き裂の発生と伝播
を抑制できることが明らかとなった。一般的な溶接構造
用軟鋼および高張力鋼では入熱が1.0〜2.0kJ/
mm程度の低入熱溶接を行うと、HAZはベイナイトと
マルテンサイト主体の組織となる。従って、HAZ内の
疲労き裂発生と伝播の観点からは好ましくない組織とな
る。これに対して、HAZのフェライト組織面積率を6
0%以上にするとHAZの疲労限度比が高くなり、これ
に伴って疲労寿命も長くなる。
【0017】HAZのフェライト組織分率が高いほど疲
労限度比が高くなる理由は必ずしも明確でないが、軟ら
かい組織ほどき裂閉口が顕著となり、ミクロき裂伝播が
遅延すること、逆に転位密度が高いベイナイト・マルテ
ンサイト組織では、くり返し変形により転位再配列が生
じ、転位強化が無効化されるために疲労限度比が低くな
るためと考えられる。
【0018】本発明者らは、さらに鋼材化学成分とHA
Z組織の関係を詳細に検討した結果、図2に示す結果を
得た。すなわち、下式で表わされる炭素当量式でHAZ
のフェライト面積率を表わすことができる。 Ceq(f)=C−Si/57+Mn/13+(Cu+
Ni)/26+Cr/5+Mo/6+V/5+Nb/
1.5 ここで、溶接入熱は1.7kJ/mmとし、溶接融合線
(以下FLと称する)近傍の粗粒域HAZの組織を20
0倍の光学顕微鏡で観察してフェライト組織の面積率を
求めた。図2から明らかなように、Ceq(f)を0.
11以下とすることによりHAZのフェライト面積率を
60%以上とすることができる。
【0019】以上のような新知見に基づき、本発明は構
成された。上記の知見を実現するために、以下に説明す
るような限定が必要である。Cは母材の強度上昇に効果
がある。0.015%未満では鋼板としての強度を確保
できないので、Cの下限を0.015%とした。一方、
0.10%を超えて含有すると、Ar3 変態温度が著し
く低下して圧延温度が低下し、圧延荷重が上昇するため
に圧延が極めて困難となり、さらに、パーライト分率が
増加して疲労き裂伝播抑制効果が低下し、また靱性低下
も著しくなる。従って、Cの上限値を0.10%とし
た。
【0020】Siは母材強度上昇に効果があるだけでな
く、脱酸元素として重要な元素である。0.05%未満
では強度上昇が得られないし、脱酸が弱く、介在物を増
やし、これが疲労破壊の起点となりやすくなる。従っ
て、Siの下限値を0.05%とした。さらに、Siは
変態温度を上昇させてHAZのフェライト組織分率を上
昇させる。0.05%未満ではこの効果が顕著でない。
母材強度上昇とHAZフェライト分率上昇のためにはS
i含有量を高くすることが望ましいが、2.0%を超え
て含有すると靱性低下が著しくなる。従って、Siの上
限値を2.0%、好ましくは1.0%とした。
【0021】Mnは母材の強度を上昇させる効果を有す
る。0.1%未満では強度上昇効果が得られないので、
Mnの下限値を0.1%とした。逆に、1.5%超含有
すると、Ar3 変態温度が低下しすぎて圧延が困難とな
り、加えて靱性低下が著しくなるので、Mnの上限値を
1.5%とした。Pは不純物元素で粒界破壊を生じやす
くするため、低いほうが好ましい。0.05%超含有す
ると粒界破壊による靱性低下が顕著となるので、Pの上
限値を0.05%とした。
【0022】SはMnSを生成して延性、特に、板厚方
向の伸びを低下させる上に、疲労破壊の起点となって疲
労強度のバラツキを大きくするので、低いほうが好まし
い。0.02%超含有するとこの影響が顕著となるの
で、Sの上限値を0.02%とした。Alは脱酸元素と
して用いられる。脱酸元素として他の元素を用いた場合
にも、Alは通常0.001%以上含有されるため、そ
の下限値を0.001%とした。また、0.08%超添
加すると、Al酸化物や窒化物が多量に生成して、溶接
部の靱性を劣化させるため、Alの上限値を0.08%
とした。
【0023】Nは鋼中に不純物として含有されるが、T
iを添加することによりTiNを生成する。その効果は
Tiの欄で詳述する。Nは不純物としては最低でも0.
002%含有されるため、下限値を0.002%とし
た。逆に、0.015%超含有すると、フェライト中に
固溶して靱性低下を来すので、Nの上限値を0.015
%とした。
【0024】選択的に含有するCu、Ni、Cr、M
o、Nb、V、Ti、REM、Caは、以下の理由で含
有量を制限する。Cuは固溶強化と焼き入れ性増加で母
材強度上昇に効果を示す元素である。0.1%未満では
この効果が顕著でないので、Cuの下限値を0.1%と
した。逆に、2.0%超添加すると、Ar3 変態温度が
低下しすぎて圧延が困難となり、加えて靱性低下が著し
くなるので、Cuの上限値を2.0%とした。
【0025】Niは焼き入れ性増加で母材強度を上昇さ
せるとともに靱性向上に効果を示す。0.1%未満では
この効果が顕著でないので、Niの下限値を0.1%と
した。逆に、2.0%超添加すると、Ar3 変態温度が
低下しすぎて圧延が困難となるので、Niの上限値を
2.0%とした。Crは焼き入れ性増加で母材強度を上
昇させる効果を示す。0.05%未満ではこの効果が顕
著でないので、Crの下限値を0.05%とした。逆
に、0.5%超添加すると、Ar3 変態温度が低下しす
ぎて圧延が困難となり、加えて靱性低下が著しくなるの
で、Crの上限値を0.5%とした。
【0026】Moは焼き入れ性増加で母材強度を上昇さ
せる効果を示す。0.05%未満ではこの効果が顕著で
ないので、Moの下限値を0.05%とした。逆に、
0.5%超添加すると、高温の変形抵抗が上昇して圧延
が困難となり、加えて靱性低下が著しくなるので、Mo
の上限値を0.5%とした。Nbは焼き入れ性増加と析
出硬化により母材強度を上昇させる効果を示す。0.0
05%未満ではこの効果が顕著でないので、Nbの下限
値を0.005%とした。逆に、0.10%超含有する
と、析出物を多量に生成して靱性を著しく低下させるの
で、Nbの上限値を0.10%とした。
【0027】Vは焼き入れ性増加と析出硬化により母材
強度を上昇させる効果を示す。0.005%未満ではこ
の効果が顕著でないので、Vの下限値を0.005%と
した。逆に、0.10%超含有すると、析出物を多量に
生成して靱性を著しく低下させるので、Vの上限値を
0.10%とした。TiはAlが少ない場合に、脱酸元
素として働くだけでなく、TiNを生成し、これが圧延
に先立つスラブ加熱においてオーステナイト粒成長を抑
制し、圧延後のフェライト粒微細化に効果がある。0.
005%未満ではこの効果が顕著でないので、Tiの下
限値を0.005%とした。逆に、0.05%超含有す
ると、析出物を多量に生成して靱性を著しく低下させる
ので、Tiの上限値を0.05%とした。
【0028】また、Ti/N比は、2.0〜3.4の範
囲とする必要がある。2.0未満ではN過剰でフェライ
ト中のN量が増加し、逆に、3.4超ではTi過剰でT
i炭化物生成量が増加する。従って、この範囲外では靱
性低下が顕著となる。REMはSを固定してMnS生成
を抑制し、延性向上と疲労強度バラツキ低下に効果を有
する。REMとしてはランタノイド系、アクチノイド系
ともに同様な効果を有するが、代表的なものはランタノ
イド系のLa、Ceである。0.0005%未満ではこ
の効果が顕著でないので、REMの下限値を0.000
5%とした。逆に、0.0050%超では粗大なREM
酸化物・硫化物を生成して延性を低下し、さらに疲労き
裂の起点となって疲労強度のバラツキを増やす。従っ
て、REMの上限値を0.0050%とした。
【0029】CaはREMと同様にSを固定してMnS
生成を抑制し、延性向上と疲労強度バラツキ低下に効果
を有する。0.0005%未満ではこの効果が顕著でな
いので、Caの下限値を0.0005%とした。逆に、
0.0050%超では粗大なCa酸化物・硫化物を生成
して延性を低下し、さらに疲労き裂の起点となって疲労
強度のバラツキを増やす。従って、Caの上限値を0.
0050%とした。
【0030】上記各成分を限定した上で、下式で示され
るCeq(f)の値を0.11以下とする必要がある。 Ceq(f)=C−Si/57+Mn/13+(Cu+
Ni)/26+Cr/5+Mo/6+V/5+Nb/
1.5 この範囲でHAZのフェライト面積率が60%以上とな
り、HAZの疲労き裂発生・伝播の抑制効果が顕著とな
るためである。
【0031】上に述べたHAZの組織制御による溶接部
の疲労寿命向上の効果は、溶接部において特に顕著であ
る。
【0032】
【発明の実施の形態】
【0033】
【実施例】以下に、本発明の実施例を述べる。工場の転
炉により鋼を溶製し、連続鋳造により240mm厚のス
ラブに鋳造した。表1、表2(表1のつづき−1)、表
3(表1のつづき−2)に発明鋼および比較鋼の化学成
分、Ceq(f)およびTi/Nの比を示す。このよう
な成分を有するスラブを960〜1150℃の範囲で加
熱し、板厚15〜25mmに熱間圧延を行うことにより
鋼板を製造した。表4、表5(表4のつづき−1)、表
6(表4のつづき−2)に母材の引張特性、シャルピー
衝撃特性を示す。さらに、入熱が1.7kJ/mmの炭
酸ガス溶接でT字隅肉溶接継手を作成し、FL近傍HA
Zのフェライト分率を測定した。その結果を表5に示
す。HAZフェライト分率は本発明範囲内の化学成分を
有する発明鋼1〜16で60%以上となっていた。
【0034】さらに、この溶接継手から図3に示す疲労
試験片を作成し、疲労試験に供した。溶接止端部位置に
おける曲げ応力範囲が25kgf/mm2 における試験
片破断寿命を測定し、これと止端部から10mm離れた
位置に歪みゲージを貼付し、歪みゲージ出力が初期値か
ら5%低下した時点をき裂発生寿命と定義した値を測定
して、この破断寿命からき裂発生寿命を差し引いたもの
をき裂伝播寿命とした。なお、この定義によるき裂発生
寿命は、大略、HAZ内のき裂発生と伝播に対応し、き
裂伝播寿命はき裂が母材に突入した後の伝播に対応す
る。
【0035】発明鋼1〜16ではき裂発生寿命か長くな
ったことにより破断寿命が長くなっており、しかも、疲
労限が高いことが確認された。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明鋼では溶接
継手のHAZのき裂発生寿命が長いために、破断に至る
寿命が従来鋼に比べて長く、溶接継手の疲労強度を高め
ることが可能となった。本発明鋼を用いれば、疲労破壊
に対する溶接構造物の信頼性を向上できるだけでなく、
疲労寿命を短くすることなく、板厚を薄くして設計応力
を高くすることが可能であり、構造物の軽量化も可能と
なる。従って、本発明は工業上極めて効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】疲労限度比に及ぼすHAZのフェライト組織分
率の影響を示す図である。
【図2】HAZのフェライト分率と炭素当量値の関係を
示す図である。
【図3】T字隅肉溶接継手の形状を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 0.015≦C≦0.10、 0.05≦Si≦2.0、 0.1≦Mn≦1.5、 P≦0.05、 S≦0.02、 0.001≦Al≦0.08、 0.002≦N≦0.015 を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなり、下
    式に示すCeq(f)の値が Ceq(f)≦0.11 を満足することを特徴とする溶接部の疲労強度が高い鋼
    板。ただし、 Ceq(f)=C−Si/57+Mn/13+(Cu+
    Ni)/26+Cr/5+Mo/6+V/5+Nb/
    1.5
  2. 【請求項2】 重量%で、母材強度上昇元素群の 0.1≦Cu≦2.0、 0.1≦Ni≦2.0、 0.05≦Cr≦0.5、 0.05≦Mo≦0.5、 0.005≦Nb≦0.10、 0.005≦V≦0.10 の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
    項1記載の溶接部の疲労強度が高い鋼板。
  3. 【請求項3】 重量%で、 0.005≦Ti≦0.05 を含有し、さらに、Ti/Nが2.0〜3.4であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の溶接部の疲労強
    度が高い鋼板。
  4. 【請求項4】 重量%で、 0.0005≦REM≦0.0050、 0.0005≦Ca≦0.0050 の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれか1項に記載の溶接部の疲労強度が高
    い鋼板。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1516938A4 (en) * 2002-06-19 2005-07-13 Nippon Steel Corp STEEL FOR RAW OIL TANK AND METHOD OF MANUFACTURE, RAW OIL TANK OBTAINED AND CORROSION PROTECTION METHOD

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