JP4736009B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4736009B2
JP4736009B2 JP2000610025A JP2000610025A JP4736009B2 JP 4736009 B2 JP4736009 B2 JP 4736009B2 JP 2000610025 A JP2000610025 A JP 2000610025A JP 2000610025 A JP2000610025 A JP 2000610025A JP 4736009 B2 JP4736009 B2 JP 4736009B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
electrolytic capacitor
solid electrolytic
conductive polymer
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000610025A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002541659A (ja
Inventor
厚 坂井
隆二 門田
徹 澤口
勝彦 山崎
雄司 吉田
英樹 大旗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2000610025A priority Critical patent/JP4736009B2/ja
Priority claimed from PCT/JP2000/002192 external-priority patent/WO2000060620A1/en
Publication of JP2002541659A publication Critical patent/JP2002541659A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4736009B2 publication Critical patent/JP4736009B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/0029Processes of manufacture
    • H01G9/0036Formation of the solid electrolyte layer
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/022Electrolytes; Absorbents
    • H01G9/025Solid electrolytes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/022Electrolytes; Absorbents
    • H01G9/025Solid electrolytes
    • H01G9/028Organic semiconducting electrolytes, e.g. TCNQ
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/04Electrodes or formation of dielectric layers thereon
    • H01G9/042Electrodes or formation of dielectric layers thereon characterised by the material

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものであり、詳しくはその固体電解質を形成するために必要な酸化剤溶液及びモノマー溶液に関する。さらに、本発明は酸化剤溶液またはモノマー溶液の粘性を規定して得られた導電性重合体組成物を固体電解質として具備した固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、酸化剤とモノマー溶液の重合条件での湿度を規定して得られた導電性重合体組成物を固体電解質として具備した固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
【0003】
またさらに、本発明は、固体電解コンデンサ、詳しくは陽極体外表面に形成される固体電解質が層状構造を形成している導電性重合体である固体電解コンデンサに関するものであり、弁作用を有する金属上に形成された誘電体皮膜上に形成される固体電解質が前記電極の細孔内空間を10%乃至95%の範囲で占有することによって金属酸化物皮膜上に形成される固体電解質と誘電体層との密着性が向上し、固体電解コンデンサの高容量化、低インピーダンス化、漏れ電流の改善そして良好な耐湿負荷特性及び優れた耐熱性が達成されることに関する。
【0004】
また本発明は、固体電解コンデンサ、詳しくは陽極体外表面に形成される固体電解質が層状構造を含む導電性重合体である固体電解コンデンサに関するものであり、弁作用を有する金属上に形成された誘電体皮膜上に形成される固体電解質が前記誘電体皮膜の60%以上を被覆し、金属酸化物皮膜と固体電解質との密着性が向上することにより、固体電解コンデンサの高容量化、低インピーダンス化そして良好な耐湿負荷特性及び優れた耐熱性が達成されることに関する。
【0005】
【背景技術】
固体電解コンデンサは、エッチング等の処理がなされた金属箔の陽極基体表面に誘電体の酸化皮膜層が形成され、この外側に対向する電極として固体の半導体層(以下、固体電解質と略する)が形成され、そしてさらに導電ペーストなどの導電体層が形成されている。実際のコンデンサ素子はこの素子全体がエポキシ樹脂等で完全に封止され、それぞれの電極から端子を引き出し、製品としている。
【0006】
近年、電気機器のディジタル化、パーソナルコンピュータの高速化に伴い、これらの用途に対しては小型で大容量のコンデンサ、また高周波領域において低インピーダンスのコンデンサが要求されている。小型で大容量のコンデンサとしてアルミ電解コンデンサやタンタル電解コンデンサ等の電解コンデンサがある。しかし、アルミ電解コンデンサでは低コストで大容量のものが得られるという利点があるものの、電解質としてイオン伝導性の液状電解質を用いている場合は高周波領域でのインピーダンスが高く、経時的に電解液が蒸発することに伴う容量劣化があり、また温度特性も悪いという問題点を有している。一方タンタル電解コンデンサでは一般的にマンガン酸化物を電解質として用いているが、このマンガン酸化物は主として硝酸マンガンの熱分解よって産生されるものであり、熱分解時の誘電体皮膜損傷の可能性が避けられず、また比抵抗が比較的高いことから高周波領域でのインピーダンスが高いという問題点を有している。
【0007】
前記固体電解質として、従来から例えば、二酸化マンガンや二酸化鉛といった無機半導体材料、TCNQ錯塩、導電率が10-3〜5×103s/cmの範囲である真性導電性高分子(特開平1-169914号公報(米国特許第4,803,596号))やπ共役系のポリアニリン(特開昭61-239617号公報)、ポリピロール(特開昭61-240625号公報)、ポリチオフェン誘導体(特開平2-15611号公報)、ポリイソチアナフテン(特開昭62-118511号公報)等が知られている。これらのπ共役系構造からなる導電性高分子の多くはドーパントを含んだ組成物として使用される。さらに昨今では、ドーパントの添加だけではなく、例えば二酸化マンガン(特公平6-101418号公報(米国特許第4,959,753号))やフィラー(特開平9-320901号公報)の併用も行われている。
【0008】
二酸化鉛を用いる場合は、更に環境への配慮が必要である。
TCNQ錯塩を固体電解質として使用するコンデンサは、熱溶融加工性や導電性に優れているが、TCNQ錯塩自体の耐熱性に問題があり、ハンダ接合時における耐熱性(ハンダ耐熱性)の信頼性が悪いと言われている。
導電性重合体を固体電解質とするコンデンサは、誘電体皮膜の破壊の恐れがなく、またインピーダンス特性も高い反面、耐熱性、耐熱衝撃性、耐震性に欠けるといった難点がある。
【0009】
固体電解質としての導電性高分子層は、導電率が高く陰極内部の細孔内表面をもれなく覆うようにして形成されるが、その際、漏れ電流、耐熱特性等のコンデンサとしての基本特性を満足するために、箔細孔内で形成される構造や被覆率等を考慮しなければならない。
【0010】
導電性高分子成形体の構造を制御するものとして、特開平8-53566号公報に、導電性高分子を連続相とするスポンジ状の導電性高分子成形体が開示されている。その成形体の製造方法としては、溶剤を含むポリアニリンもしくはその誘導体を任意の成形容器中で冷却し溶剤を凍結させた後に溶剤を取り除く方法、モノマーであるアニリンもしくはアニリン誘導体及びプロトン酸/酸化剤を含む溶液を冷却して溶剤を凍結させた後に溶剤の融点温度以下で重合する方法が開示されている。
【0011】
特にコンデンサの構成要素である、弁作用を有する金属上に形成された誘電体皮膜上に形成される固体電解質に関して、微細孔内に形成される導電性高分子の構造については、特開平7-122464号公報において、タンタル粉末の焼結体、この焼結体表面に形成された誘電体酸化皮膜及び固体電解質として前記誘電体酸化皮膜を覆う導電性高分子化合物からなるタンタル固体電解コンデンサについて開示されている。前記公報におけるタンタル固体電解コンデンサでは、導電性高分子化合物が前記焼結体表面を形づくる細孔内に空洞を残して前記誘電体酸化皮膜を覆い、細孔中に占める導電性高分子化合物の割合が体積で表わしたとき細孔体積の70%より小さいことを特徴とすることが開示されている。
【0012】
特開平8-53566号公報におけるスポンジ状の導電性高分子成形体は、固体電解コンデンサへの適用例が開示されておらず、またこの発明によるスポンジ状導電性高分子成形体の製造方法は、導電性高分子溶液を冷却して溶剤を凍結させて重合を行なった後、溶剤を凍結乾燥あるいは融解させて除去するという方法であるため操作性に問題があり、さらに凍結及び融解の際に誘電体酸化皮膜が損傷を受けやすいことから、固体電解コンデンサに適用できるとは言い難い。
【0013】
特開平7-122464号公報に開示されている、導電性高分子化合物を細孔内に空洞を残して誘電体酸化皮膜を覆う構造とする方法では、酸化重合の繰り返しにより細孔内に占める空洞の割合を調節するため、細孔内に空洞を残して導電性高分子を形成した後に陽極体の外部表面に導電性高分子層を厚く形成しようとすると、既に微細孔内に存在している空洞が塞がれてしまい、外部表面への一定厚の導電性高分子層の形成と微細孔内の空洞の確保を両立させることができないと言う問題点がある。また高分子層の表面に凹凸が形成されないため、導電ペースト層との密着性が悪いという問題もある。さらに、固体電解質としての導電性高分子化合物の割合は、体積のみ規定されており、コンデンサ特性を左右する重要な因子である誘電体皮膜と、固体電解質である導電性高分子との密着性に係わる被覆面積については何ら記述がない。
【0014】
このように弁作用を有する金属上に酸化物皮膜が形成されている固体電解コンデンサ用電極箔の誘電体皮膜上に導電性高分子を形成させて固体電解質とする固体電解コンデンサおいて、誘電体皮膜を被覆する最適な割合についての技術はこれまでに知られていなかった。
【0015】
これら従来技術における例えばチオフェン等の複素五員環式化合物を化学重合する際の酸化剤としては、塩化鉄(III)、Fe(ClO43や有機酸鉄(III)塩、無機酸鉄(III)塩、アルキル過硫酸塩、過硫酸アンモニウム(以下、APSと略す)、過酸化水素、K2Cr27等(特開平2-15611号公報)や、第二銅化合物、銀化合物等(特開平10-32145号公報)が知られている。
【0016】
導電性重合体を用いた固体電解質の形成方法としては、例えば微細な空隙構造を有する弁作用金属表面の誘電体層上に、前記のような導電性重合体(固体電解質)を融解して導電性重合体層を形成する方法、あるいは誘電体層上で前記の導電性重合体を析出させる方法等が知られている。
【0017】
具体的には例えば、ピロールやチオフェン等の複素五員環式化合物の重合体を固体電解質として使用する場合、誘電体皮膜を形成した陽極箔を複素五員環式化合物モノマーの低級アルコール及び/または水系溶液に浸漬した後取り出し、次いで酸化剤と電解質を溶かした水溶液に浸漬してモノマーを化学重合させ導電性重合体層を形成する方法(特開平5-175082号公報)、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態において、前後して別々にまたは一緒に金属箔の酸化被膜層に塗布して導電性重合体を形成する方法(特開平2-15611号公報や特開平10-32145号公報)等が知られている。
【0018】
前記欠点を改善するために、電解重合法または化学的重合法によって前記ポリピロール等の導電性重合体を形成し固体電解コンデンサの固体電解質に使用しているが、導電重合体皮膜の均一性や電解コンデンサとした時のハンダ耐熱性、インピーダンス特性等は充分とは言えない。
【0019】
最近では導電性高分子、特にポリピロールを形成する方法としてドデシルベンゼンスルホン酸鉄塩のメタノール溶液を酸化剤として、生産効率を考慮に入れ、系の粘度を100cp未満とした化学重合方法(特開平4-94110号公報)が開示されている。しかしながら、チオフェン、アニリン及びその誘導体に関する記載がなく、使用している酸化剤が有機酸の金属塩であるために、この濃度を重合に有効な程度にするには、粘度上昇が避けられない。
【0020】
また、芳香族スルホン酸金属塩を用いた酸化剤の粘性を100cp〜500cpにして、酸化剤溶液と単量体との浸漬の繰り返し回数を減らすことを特徴としている導電性重合体、特にポリピロールを形成する方法(特開平10-149954号公報)が開示されている。ここでは、酸化剤の粘度を100cp以下にすることでモノマーの重合効率が低下してしまい、結果として、形成される導電性重合体量が減少する問題が生じている。
【0021】
最近では、モノマーとして3,4−エチレンジオキシチオフェンと、酸化剤としてパラトルエンスルホン酸鉄(III)を含むイソプロピルアルコール混合溶液を、約30℃から約50℃で湿度が約60%以上の空気中に約30分間放置して化学酸化重合させ、導電性高分子を形成する方法(特開平10-64761号公報)が開示されている。
【0022】
しかしながら、モノマー、酸化剤及びイソプロピルアルコールの混合溶液にすることにより、モノマー及び酸化剤の回収が困難になり製品歩留りが悪くなる。また、イソプロピルアルコールを使用しているので蒸発しやすく、その結果、重合反応が促進され重合体が早く形成されるために、得られる重合体の形態が非常に粗になると考えられる。そのために、十分に高い導電性を示す高分子を形成するためには、系の湿度を60%以上にする必要がある。
【0023】
【発明の開示】
本発明においては、小型、軽量、高容量、高周波特性、tanδ(損失角の正接)、漏洩電流、耐熱性(リフローはんだ性)や耐久性等に優れた固体電解コンデンサを提供することを課題とする。
特に、本発明においては、酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘性を規定して得られた導電性重合体を用いて、低インピーダンス特性に優れ、火花電圧試験に耐久のある耐熱性固体電解コンデンサを提供することを課題とする。
【0024】
まず第一に、酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘度を上げることは、コンデンサの容量低下を引き起こす。
詳しくは、表面をエッチングして誘電体形成したアルミナ箔を酸化剤溶液またはモノマー溶液に含浸し乾燥する。すると多孔質体の表面に粘性の高い酸化剤またはモノマーの皮膜が形成するため、多孔質体の表面に存在する微細孔入り口が塞がれてしまう。さらにこの表面上でモノマーもしくは酸化剤との接触からポリマーが形成するため、細孔内部でポリマーが形成されず容量が低下する。
【0025】
第二に、酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘性を下げることで、1回あたりに付着形成する固体電解質が減少する。よって、重合回数を増やさなくては十分な固体電解質が形成されない。即ち酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘度を低下させることにより、モノマーを酸化する能力が低下し、モノマー量が減少して形成されるポリマー量が減少する。
従って、少ない重合回数でコンデンサ特性を得るには、酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液がある程度の粘度を有し、コンデンサ容量が増加する必要がある。
【0026】
本発明の目的は、導電性重合体を用いて、固体電解コンデンサの固体電解質を形成する際に使用する酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘度を規定することにより、モノマーの酸化効率を上昇させ、酸化剤溶液とモノマー溶液との浸漬回数が少なくてもコンデンサ特性を出現させる固体電解質の製造方法を提供することである。
特に、本発明においては、重合工程での湿度を規定して得られた導電性重合体を用いることで、漏れ電流が小さく、tanδが優れた固体電解コンデンサを提供することを課題とする。
【0027】
モノマーと酸化剤の混合溶液は、重合工程での湿度管理及び歩留まりにおいて問題を有している。
エッチング処理した弁作用金属表面に誘電体皮膜を形成し、これをモノマー及び酸化剤の混合液へ含浸し、低湿度で重合する場合、多孔質体の表面にモノマーと酸化剤が分散共存するために粘性の高い被膜が形成される。このため、多孔質体の表面に存在する微細孔入り口が塞さがれてしまい、細孔内部で重合体が十分に形成されず、容量低下がおきてしまう。従って重合する条件としては、約60%以上に湿度を管理する必要がある。
さらに、モノマーと酸化剤とが共存することで、重合が経時的に進行し、オリゴマー比率が高まる。その結果、混合溶液自体が重合し、モノマー及び酸化剤の回収が不可能となり歩留まりが悪くなる。
【0028】
一方、重合体を形成するモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液を交互に繰り返しコーティングし、導電性重合体組成物皮膜を形成する場合でも、高導電性、高信頼性を確保するためには重合工程の湿度管理が必要とされる。
ここで、重合工程で湿度を上げすぎると、重合がゆっくり進行し重合体の収量が少なくなる。また、湿度を下げすぎると、付着水及びモノマーが蒸発するため重合体の収量が少なくなる。
【0029】
本発明の目的は、導電性重合体を用いて、固体電解コンデンサの固体電解質を形成する際の重合工程において湿度範囲を規定することにより、モノマーの酸化効率を上昇させ、良好なコンデンサ特性を出現させる固体電解質の製造方法を提供することにある。
【0030】
本発明者らは前記課題解決のために、固体電解質の導電性重合体組成に必要な酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液について鋭意検討を重ねた。その結果、対向する電極のうち一方の電極である弁作用金属箔表面に金属酸化物からなる微細構造の誘電体層、及びその誘電体層上に導電性重合体組成物からなる固体電解質を形成した固体電解コンデンサにおいて、固体電解質を形成する導電性重合体が、粘度が100cp未満である酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液から形成される場合は、小型で低インピーダンスかつ火花電圧試験に耐久性のある高性能な固体電解コンデンサが得られることを見いだした。
【0031】
また、対向する電極のうち一方の電極として弁作用金属箔表面に形成された金属酸化物からなる微細構造の誘電体層、及びその誘電体層上に形成された導電性重合体組成物からなる固体電解質を具備した固体電解コンデンサにおいて、重合工程の湿度雰囲気が10%以上60%未満で形成された導電性重合体を固体電解質とすると、小型で漏れ電流が小さくtanδが優れた高性能な固体電解コンデンサが得られることを見いだした。
【0032】
本発明者らは、上記課題に鑑み、更なる鋭意検討を行なった結果、固体電解コンデンサ、詳しくは陽極体外表面に層状構造を形成する、導電性重合体を固体電解質とする固体電解コンデンサにおいて、固体電解質が弁作用を有する金属上に形成された前記電極の細孔内空間を10%乃至95%の範囲で占有するように誘電体皮膜上に形成される場合、得られる固体電解コンデンサは、固体電解質と弁作用金属上に形成される誘電体層との密着性が向上し、また容量、誘電損失(tanδ)等の基本諸特性、さらにはリフローはんだ耐熱性や耐湿負荷特性等の安定性に優れていることを初めて見い出した。
【0033】
また、本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、固体コンデンサ、さらに詳しくは固体電解質が層状構造を含む導電性重合体である固体電解コンデンサにおいて、弁作用を有する金属上に形成された誘電体皮膜上に形成される固体電解質が、前記誘電体皮膜を60%以上被覆する場合、このようにして得られた固体電解コンデンサは、容量、誘電損失(tanδ)等の基本諸特性、またリフローはんだ耐熱性や耐湿負荷特性等の安定性に優れていることを見い出した。
以上のことにより、本発明を完成するに至った。
【0034】
より詳細には、本発明は、
1.表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁作用を有する金属陽極箔に、導電性重合体のモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液を交互に繰り返し塗布し、ついで重合して前記誘電体皮膜上に導電性重合体組成物皮膜を形成させる固体電解コンデンサの製造方法において、導電性重合体のモノマーを含む溶液及び/または酸化剤を含む溶液の粘度が100cp未満であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
2.前記組成物中の導電性重合体が、下記一般式(1a)
【化10】
Figure 0004736009
(式中、置換基R1及びR2は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わし、
1及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよく、
XaはS、O、Se及びTeからなる群から選ばれるヘテロ原子を表わし、R1及びR2が表わすアルキル基及びアルコキシ基は、各々鎖中にカルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合またはイミノ結合を任意に含有してもよく、δは0〜1の範囲の数である。)
で示される構造単位を繰り返し化学構造として含む前記1記載の方法で製造される誘電体酸化皮膜上に導電性重合体組成物層を有する固体電解コンデンサ。
3.一般式(1a)で示される構造単位が、下記一般式(2)
【化11】
Figure 0004736009
(式中、置換基R4及びR5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、式(2)に示される2つの酸素原子を含む少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する置換基を表わし、
前記環状構造は置換ビニレン基及び置換o−フェニレン基からなる群から選ばれる化学構造を含み、δは0〜1の範囲の数である。)
で示される化学構造である前記2記載の固体電解コンデンサ。
4.誘電体酸化皮膜上でモノマー化合物を酸化剤により重合させて誘電体酸化皮膜上に導電性重合体組成物層を設ける固体電解コンデンサの製造方法において、モノマー化合物が、下記一般式(3a)
【化12】
Figure 0004736009
(式中、置換基R1及びR2は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わし、
1及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよく、
XaはS、O、Se及びTeからなる群より選ばれるヘテロ原子を表わし、
1及びR2が表わすアルキル基、アルコキシ基は各々、鎖中にカルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、またはイミノ結合を任意に含有してもよい。)
で示される化合物であり、重合がドーパント能を有する有機スルホン酸化合物のアニオンまたはスルホン酸アニオンを供出できる化合物の存在下で行われる前記1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
5.一般式(3a)で示されるモノマー化合物が、下記一般式(4)
【化13】
Figure 0004736009
(式中、置換基R4及びR5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状しくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、式中の2つの酸素原子を含む少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する置換基を表わし、
前記環状構造は、置換ビニレン基及び置換o−フェニレン基からなる群から選ばれる化学構造を含む。)
で示される化合物である前記4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
6.前記酸化剤が、酸化性無機酸の金属塩溶液である前記1、4または5記載の固体電解コンデンサの製造方法。
7.前記酸化性無機酸の金属塩が、過硫酸塩である前記6記載の固体電解コンデンサの製造方法。
8.前記モノマー化合物が、導電性を有する重合体のモノマー化合物であって、チオフェン、アニリンまたはそれらの誘導体である前記1、4または5記載の固体電解コンデンサの製造方法。
9.前記チオフェン誘導体が3,4−エチレンジオキシチオフェンである前記8記載の固体電解コンデンサの製造方法。
10.表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁作用を有する金属陽極体の誘電体皮膜上に、導電性重合体のモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液を交互に繰り返し塗布し、雰囲気中の湿度を10%以上60%未満に設定して重合し導電性重合体を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
11.前記組成物中の導電性重合体が、下記一般式(1b)
【化14】
Figure 0004736009
(式中、置換基R1及びR2は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わし、
前記置換基R1及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよく、
bはS、O、Se、Te及びNR3からなる群より選ばれるヘテロ原子を表わし、
3は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、フェニル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基を表わし、
1、R2及びR3が表わすアルキル基、アルコキシ基は各々、鎖中にカルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、またはイミノ結合を任意に有してもよく、δは0〜1の範囲の数である。)
で示される構造単位を繰り返し化学構造として含む前記10記載の方法で製造される誘電体酸化皮膜上に導電性重合体組成物層を有する固体電解コンデンサ。
12.一般式(1b)で示される構造単位が、下記一般式(2)
【化15】
Figure 0004736009
(式中、置換基R4及びR5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、または炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、式中記載の2つの酸素原子を含む少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する置換基を表わし、
前記環状構造は、置換ビニレン基及び置換o−フェニレン基からなる群から選ばれる化学構造を含み、δは0〜1の範囲の数である。)
で示される化学構造である前記11記載の固体電解コンデンサ。
13.モノマー化合物を誘電体酸化皮膜上で酸化剤により重合させ、誘電体酸化皮膜上に導電性重合体組成物層を設ける前記固体電解コンデンサの製造方法において、モノマー化合物が下記一般式(3b)
【化16】
Figure 0004736009
(式中、置換基R1及びR2は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わし、
前記置換基R1及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよく、
bはS、O、Se、Te及びNR3からなる群より選ばれるヘテロ原子を表わし、
3は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、フェニル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基を表わし、
1、R2及びR3が表わすアルキル基、アルコキシ基は各々、鎖中にカルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合またはイミノ結合を任意に有してもよい。)
で示される化合物であり、重合がドーパント能を有するスルホン酸アニオンまたは有機スルホン酸のアニオンを供出できる化合物の存在下で行われる前記10記載の固体電解コンデンサの製造方法。
14.前記一般式(1b)のモノマー化合物が、下記一般式(4)
【化17】
Figure 0004736009
(式中、置換基R4及びR5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、式中記載の2つの酸素原子を含む少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する置換基を表わし、
前記環状構造は、置換ビニレン基及び置換o−フェニレン基からなる群から選ばれる化学構造を含み、δは0〜1の範囲の数である。)
で示される化合物である前記13記載の固体電解コンデンサの製造方法。
15.前記酸化剤が、酸化性無機酸の金属塩またはアンモニウム塩である前記10、13または14記載の固体電解コンデンサの製造方法。
16.前記酸化性無機酸の金属塩またはアンモニウム塩が過硫酸塩である前記10、13または14記載の固体電解コンデンサの製造方法。
17.前記モノマー化合物が導電性を有する重合体のモノマー化合物であって、ピロール、チオフェン、アニリンまたはそれらの誘導体である前記10、13または14記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【0035】
18.前記チオフェン誘導体が3,4−エチレンジオキシチオフェンである前記17記載の固体電解コンデンサの製造方法。
19.弁作用を有する多孔質金属上に誘電体皮膜が形成され、その上に固体電解質が形成された固体電解コンデンサにおいて、固体電解質が前記多孔質金属の細孔内空間の10%乃至95%の範囲を占有していることを特徴とする固体電解コンデンサ。
20.固体電解質が、層状構造を含む導電性重合体である前記19記載の固体電解コンデンサ。
21.弁作用を有する多孔質金属上に誘電体皮膜が形成され、その誘電体皮膜上に固体電解質が形成された固体電解コンデンサにおいて、固体電解質が前記誘電体皮膜の60%以上を被覆していることを特徴とする固体電解コンデンサ。
22.固体電解質が、層状構造を含む導電性重合体である前記21記載の固体電解コンデンサ。
23.前記層状構造における層間の少なくとも一部に空間部を有する前記20または22記載の固体電解コンデンサ。
24.前記固体電解質によって一部占有された細孔内空間が、独立または連通した気泡状の空隙である前記19または21記載の固体電解質コンデンサ。
25.前記固体電解質が複素五員環を含む化合物もしくはその誘導体からなる二価基を繰り返し単位として含む導電性重合体である前記19または21記載の固体電解コンデンサ。
26.複素五員環を含む化合物もしくはその誘導体からなる二価基を繰り返し単位として含む前記導電性重合体が、下記一般式(5)
【化18】
Figure 0004736009
(式中、置換基R6及びR7はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1乃至10の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルキルエステル基、ハロゲン、ニトロ基、シアソ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価の基を表わし、
6及びR7の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、R6及びR7により置換を受けている炭素原子とともに少なくとも1つの3、4、5、6または7員環の飽和または不飽和の炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよく、
前記環状結合鎖は、カルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル及びイミノからなる群から選ばれる結合を含んでもよく、
δは0〜1の範囲の数であり、Zは陰イオンを表わし、jはZの価数を表わし、1または2である。)
で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体である前記25記載の固体電解コンデンサ。
27.前記導電性重合体の電気伝導度が0.1 〜200S/cmである前記26記載の固体電解コンデンサ。
28.弁作用を有する金属が、アルミニウム、タンタル及びニオブ、チタンのいずれかである前記19または21記載の固体電解コンデンサ。
29.弁作用を有する多孔質金属上に誘電体皮膜が形成され、この誘電体皮膜上に固体電解質が形成された固体電解コンデンサの製造方法において、固体電解質が前記多孔質金属の細孔内空間の10%乃至95%の範囲を占めていることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
30.弁作用を有する多孔質金属上に誘電体皮膜が形成され、この誘電体皮膜上に固体電解質が形成された固体電解コンデンサの製造方法において、固体電解質が誘電体皮膜の60%以上を被覆していることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
31.表面に誘電体酸化皮膜が形成された弁作用を有する金属陽極箔に、導電性重合体のモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液で交互に繰り返し塗布し、ついで重合して前記誘電体皮膜上に導電性重合体組成物皮膜を形成させる固体電解コンデンサの製造方法において、導電性重合体のモノマーを含む溶液及び/または酸化剤を含む溶液の粘度が23℃において100cp未満であり、導電性重合体組成物皮膜が重合工程の雰囲気中の湿度を10%以上60%未満に設定して形成され、固体電解質が弁作用を有する金属の細孔内空間の10%乃至95%の範囲を占めるように誘電体皮膜上に形成されることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
32.表面に誘電体酸化皮膜が形成された弁作用を有する金属陽極箔に、導電性重合体のモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液で交互に繰り返し塗布し、ついで重合して前記誘電体皮膜上に導電性重合体組成物皮膜を形成させる固体電解コンデンサの製造方法において、導電性重合体のモノマーを含む溶液及び/または酸化剤を含む溶液の粘度が23℃において100cp未満であり、導電性重合体組成物皮膜が重合工程の雰囲気中の湿度を10%以上60%未満に設定して形成され、固体電解質が誘電体皮膜上に形成されるに際し、前記誘電体皮膜の60%以上を被覆することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
33.前記31記載の方法により製造された固体電解コンデンサ。
34.前記32記載の方法により製造された固体電解コンデンサを開発することにより上記目的を達成した。
【0036】
【好ましい具体例の詳細な説明】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明によれば、前記の如く導電性重合体組成物中の酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘度を規定することにより、コンデンサ特性が改善された導電性重合体組成物層(電荷移動錯体)を都合よく形成することができ、この結果、低インピーダンス特性に優れ及び火花電圧試験などに耐久性のある高性能な固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができた。
【0037】
さらに本発明によれば、前記の如く導電性重合体組成物を酸化剤溶液及びモノマー溶液から重合する工程における湿度を規定することにより、コンデンサ特性が改善された導電性重合体組成物層(電荷移動錯体)を都合よく形成することができ、この結果、小型で漏れ電流が小さくtanδが優れた高性能な固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができた。
【0038】
本発明のコンデンサに適する導電性重合体組成物中の導電性重合体は、ポリマー主鎖にπ電子共役構造を有する重合体であり、その重合度は2以上1000以下、より好ましくは5以上500以下である。具体例としてはポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリヘテロ五員環式重合体及びその置換誘導体が挙げられる。また、前記重合体を生成するモノマー化合物を少なくとも2種以上用いて共重合した共重合体を用いることもできる。
【0039】
好ましい具体例として用いられるポリヘテロ環式重合体は、一般式(1)で表される構造単位を含むπ電子共役重合体であり、さらに好ましくは一般式(2)で表される構造単位を含むπ電子共役重合体である。
上記一般式(1)、(3)及び(5)において、置換基Rl、R2、R3、R6およびR7は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状で飽和または不飽和の炭化水素基であって、有用な例としては、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、アリル基、イソプロピル基、ブチル基、1−ブテニル基が挙げられる。また、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状で飽和または不飽和のアルコキシ基の有用な例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基が挙げられる。
【0040】
さらに前記炭化水素基やアルコキシ基以外の有用な置換基としては、ニトロ基、シアノ基、フェニル基及び置換フェニル(Cl、Br、F等のハロゲン基置換フェニル)基が挙げられる。前記のRl、R2、R6およびR7で表わされるアルキル基、アルコキシ基の鎖中には、カルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミノ結合等を任意に含有してもよく、特に有用な例としてはメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基が挙げられる。
【0041】
前記置換基Rl、R2、R6およびR7が、互いに任意の位置で結合して少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよい。一般式(1b)または一般式(3b)の置換基の例としては、3,4−プロピレン置換構造[一般式(a)]、3,4−ブチレン置換構造[一般式(b)]、3,4−ブテニレン置換構造[一般式(c)]、3,4−ブタジエニレン置換構造[一般式(d)]およびナフト[2,3−c]縮合構造[一般式(e)]などが挙げられる。
【0042】
【化19】
Figure 0004736009
【0043】
【化20】
Figure 0004736009
【0044】
【化21】
Figure 0004736009
【0045】
【化22】
Figure 0004736009
【0046】
【化23】
Figure 0004736009
【0047】
上記一般式において、Xbはヘテロ原子を表わし、例としては、S、O、Se、TeまたはNR3である。XbがSである前記3、4−ブタジエニレン置換構造(一般式(d))は、一般式(1b)の繰り返し構造単位ではイソチアナフテニレン構造と呼ばれ、また一般式(3b)のモノマー化合物構造ではイソチアナフテンと呼ばれる。同様に、ナフト[2,3−c]縮合構造(一般式(e))は、一般式(1b)の場合はナフト[2,3−c]チエニレン構造と呼ばれ、一般式(3b)のモノマー化合物構造ではナフト[2,3−c]チオフェンと呼ばれる。式中、δは繰り返し構造単位当りの荷電数を表わし、0〜1の範囲の値である。
【0048】
一般式(2)または一般式(4)中のR4及びR5の有用な置換基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。さらに、R4及びR5の炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、一般式(2)または一般式(4)中記載の2つの酸素原子を含む、少なくとも1つの5、6または7員環の複素環構造を形成する置換基であり、例えば1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,2−ジメチルエチレンが好ましい。
【0049】
さらに、R4及びR5で表わされる、前記の炭素数1〜6の炭化水素基は互いに任意の位置で結合して、置換ビニレン基または置換o−フェニレン基等の不飽和炭化水素の環状構造を形成してもよく、例えば、1,2−ビニレン[一般式(f)]、1,2−プロペニレン[一般式(g)]、2,3−ブチレン−2−エン[一般式(h)]、1,2−シクロへキシレン[一般式(i)]、メチル−o−フェニレン[一般式(j)]、1,2−ジメチル−o−フェニレン[一般式(k)]およびエチル−o−フェニレン[一般式(l)]が挙げられる。
【0050】
【化24】
Figure 0004736009
【0051】
【化25】
Figure 0004736009
【0052】
【化26】
Figure 0004736009
【0053】
【化27】
Figure 0004736009
【0054】
【化28】
Figure 0004736009
【0055】
【化29】
Figure 0004736009
【0056】
【化30】
Figure 0004736009
【0057】
本発明の固体電解コンデンサ及びその製造方法において使用される、前記一般式(3b)で表されるモノマー化合物のうち、例えばチオフェン(Rl=R2=H、Xb=S)、ピロール(R1=R2=R3=H、Xb=NR3)または前記一般式(4)で表されるチオフェン類のうち3、4−エチレンジオキシチオフェンが適している。また、これらのモノマー化合物を重合し得る酸化剤の多くは公知である。
【0058】
本発明の導電性重合体組成物において、酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘性を規定することにより、コンデンサ特性が向上した導電性重合体を有利に形成することができる。酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘度(ここでの全ての粘度は23℃における値である。)は100cp未満、好ましくは20cp以下、さらに好ましくは1〜10cpの範囲に設定される。この組成物から形成される固体電解質を具備したコンデンサは、前記問題を有さず、しかも低インピーダンス特性に優れている。このようなコンデンサは、これまで知られていなかった。
【0059】
粘度が100cpを越える場合は、表面をエッチングして得られた誘電体を形成したアルミナ箔を、酸化剤溶液またはモノマー溶液に浸し乾燥した際に多孔質体の表面に粘性の高い酸化剤またはモノマーの皮膜が形成され、多孔質体の表面に存在する微細孔の入り口が塞がれる。さらにこの表面上で、モノマーもしくは酸化剤との接触によりポリマーを形成するため、微細孔内部においてポリマーが形成されず、コンデンサの容量が低下する。
【0060】
粘度を100cp未満、好ましくは20cp以下、さらに好ましくは1〜10cpの範囲に設定すると、多孔質体の表面に存在する微細孔内部まで導電性重合体を充填でき、高容量で低インピーダンス特性等に優れたコンデンサが得られる。
【0061】
本発明においては、モノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液の二つの溶液を用いる系を採用することで、酸化剤とモノマーの混合溶液の一液系に比べモノマー及び酸化剤の回収が可能になり、歩留りが向上した。
また、重合工程で、湿度を上げ過ぎると、低濃度の溶液状態が長く続き、重合がゆっくり進行するため、得られる重合体の収量は減少する。
一方、重合工程で、湿度を下げ過ぎると、誘電体皮膜上の付着水が短時間に蒸発するため、酸化剤は固化し、モノマーは蒸発する。よって重合体の収量は低下する。
【0062】
従って、本発明においては、導電性重合体組成物の重合工程における湿度を規定することにより、溶液状態での反応及び固液状態での反応がバランスよく調製され、コンデンサ特性が向上した導電性重合体が有利に形成される。
重合工程での雰囲気中の好ましい湿度は、10%以上60%未満の範囲、さらに好ましくは20〜50%の範囲である。また、雰囲気中の温度、圧力は重合体組成物の種類、重合方法等によって変わるもので、特に限定されるものでないが、一般的には、−70℃〜250℃の温度、常圧下が好ましい。
【0063】
ドーパントとしては、ドーピンク能を有していれば、如何なる化合物でも良い。例えば有機スルホン酸、無機スルホン酸、有機カルボン酸及びこれらの塩である金属塩、アンモニウム塩等を使用することができる。ドーパントの添加方法は制限されず、酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液に添加したり、重合時に共存させてもよい、あるいは他の方法により添加してもよい。
【0064】
一般的に、固体電解コンデンサの製造方法において、高容量及び高周波特性を達成し、tanδ、漏洩電流、耐熱性(リフローはんだ性)、インピーダンス特性、耐久性等を改善するためには、前記固体電解質の製造(形成)方法が重要である。そのためには、固体電解質を構成するπ電子共役構造、ドーパントと組み合さった導電性重合体組成物の構造、そして導電性重合体組成物層を誘電体層上に密に充填形成して導電パスの均一性を向上または改善することが重要である。その中でも特に、導電性重合体組成物の構造がコンデンサ特性に大きな影響を与える。
【0065】
本発明の製造方法においては、酸化剤溶液またはドーパントとモノマーの混合溶液の粘度が、π電子共役構造を有する重合体の形成および導電性の付与に大きく寄与している。
【0066】
本発明の製造方法においては、π電子共役構造を有する重合体を形成する重合工程における湿度がコンデンサ特性に影響を与える。さらに、ドーパントとして前記有機スルホン酸アニオンまたは有機スルホン酸アニオンとそれ以外の他のアニオンを併含させる製造方法に特徴がある。
【0067】
より具体的な例としては、前記一般式(3b)または(4)で表されるモノマー化合物が、粘度を規定した酸化剤溶液を用いて、陽極基板の微細孔を有する誘電体皮膜上で酸化的重合し、生成した重合体組成物は固体電解質として誘電体表面上に形成される。そして、前記製造工程を1つの陽極基板に対して少なくとも1回、好ましくは3〜30回繰り返すことによって緻密な固体電解質層を容易に形成することができる。
【0068】
さらには、前記一般式(3b)または(4)で表されるモノマーはドーパントを供与できる化合物の存在下、酸化剤と空気中の水分の作用によって、陽極基板の微細孔を有する誘電体皮膜上で酸化的重合し、生成した重合体組成物は固体電解質として誘電体表面上に形成される。そして、前記製造工程を1つの陽極基板に対して1回以上、好ましくは3〜30回繰り返すことによって高密度で、均一な被覆性の高い固体電解質層を容易に形成することができる。
【0069】
さらに、本発明に使用する誘電体皮膜は上記弁作用を有する金属の多孔質成形体を化成すること等により形成される。化成に用いる化成液、化成電圧等の化成条件は、前記電極を使用して製造される固体電解コンデンサに必要な容量、耐電圧等に応じて任意に設定され、実験において詳細に検証されるべきものであり、一概には決めることはできない。
【0070】
本発明において使用する電極の細孔直径は固体電解質層の均質な形成を左右する因子であり、誘電体皮膜を形成して成る多孔質成形体の微細構造、細孔形状、細孔分布は通常のコンデンサに使用できるものであればよいが、本発明の導電性重合体による被覆率または細孔占有率による効果をより引き出すには、弁作用金属上に形成された細孔分布、比表面積などが規定されたものが好ましい。例えば、細孔直径が2×10-7m以下の細孔において、細孔容積の単位質量当たりの容積総和が5×10-3cm3/g以上であるもの、好ましくは細孔直径が1.2×10-7m以下の細孔において、細孔容積の単位質量当たりの容積総和が5×10-3cm3/g以上であるものを使用することができる。
【0071】
一般的に、誘電体皮膜上、例えば、誘電体酸化皮膜上に導電性高分子を形成する手法としては、溶液化学酸化重合法、気相化学酸化重合法、電解重合等が用いられる。しかし溶液の表面張力の大小の如何によっては、酸化皮膜への塗れ性等の影響から細孔内部にまで固体電解質層を形成することが妨げられることがある。
【0072】
例えば、溶液化学酸化重合法では、導電性高分子のドーパントとなりうる化合物の存在下、モノマーが酸化剤の作用により陽極基体の微細孔を有する誘電体皮膜上で酸化的重合し、誘電体表面上に形成された重合体組成物が固体電解質となる。そして、前記製造工程を1つの陽極基体に対して1回以上、好ましくは3〜30回繰り返すことによって、占有率(細孔の体積に占める導電性重合体の体積の割合)が10%〜95%の範囲に、または被覆率を60%以上に精度良くコントロールでき、所望の固体電解質層を容易に形成することができる。
【0073】
例えば、好ましい製造工程の1つとして、重合反応工程は誘電体皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を酸化剤を含む粘度が規定された溶液(溶液1)に浸漬する工程と、モノマー及びドーパントを含む粘度が規定された溶液(溶液2)に浸漬する工程とを含む。弁作用金属は前記工程の正順に前記溶液1に浸漬した後で前記溶液2に浸漬してもよく、また逆順に前記溶液2に浸漬した後で前記溶液1に浸漬してもよい。
【0074】
別の実施形態としては、前記陽極箔を、酸化剤とドーパントを含む粘度が規定された溶液(溶液3)に浸漬する工程、及びモノマーを含む粘度が規定された溶液(溶液4)に浸漬する工程を含むものであってもよい。この場合も陽極箔は、正順に前記溶液3に浸漬した後で前記溶液4に浸漬してもよく、または逆順に前記溶液4に浸漬した後で前記溶液3に浸漬してもよい。前記溶液1乃至4はそれぞれ懸濁状態で用いても良い。
【0075】
例えば、別の好ましい製造工程としては、重合工程が誘電体皮膜が形成された弁作用を有する陽極箔を、酸化剤を含む溶液(溶液1)に浸漬する工程とモノマー及びドーパントを含む溶液(溶液2)に浸漬する工程を含むものであってもよい。弁作用を有する金属陽極箔は、正順に前記溶液1に浸漬した後で前記溶液2に浸漬するか、または逆順に前記陽極箔を前記溶液2に浸漬した後で前記溶液1に浸漬してもよい。
【0076】
さらには、前記浸漬工程を塗布法、吹きつけ法あるいは流延法など、陽極箔上において上記の重合反応を進行可能な被覆法に代えることができる。
溶液1乃至4の溶媒は同じでも、あるいは異なっていてもよい。溶媒の種類に応じて、溶液1と溶液2あるいは溶液3と溶液4の被覆工程の間に乾燥工程を入れても良い。
前記固体電解質形成後には、コンデンサ素子を有機溶媒洗浄または水洗にて洗浄する工程を加えても良い。洗浄用有機溶媒には好ましくは溶液1乃至4で使用した溶媒で行うのが簡便で好ましいが、単にモノマー化合物やドーパント能を有するアニオンを保持する化合物を溶解する溶媒であれば何でも良い。
【0077】
前記溶媒による洗浄工程により、導電性重合体組成物中のドーパントの含量は低減される。しかし本発明の固体電解コンデンサの特性においては酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘性を規定することが必要である。そしてこれらの粘度を規定する事が固体電解コンデンサ特性に寄与する。
さらに前記酸化的重合の繰り返し処理により固体電解質層を厚くする時は、はんだ耐熱性(熱安定性)の優れた固体電解質を容易に生成することができる。本発明の導電性重合体組成物からなる固体電解質を使用した固体電解コンデンサは熱安定性に優れ、かつドープ状態の安定性がよい。
【0078】
本発明において、酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘性を規定することで、酸化効率が向上し、結果としてドーパントアニオンを併含する導電性重合体組成物が誘電体表面および細孔内部まで充填性よく段階的に析出し、前記重合体組成物の薄い皮膜を形成する。また特にそれが何層にも重なった構造を形成した場合は、上記の特性が発揮でき、前記重合体が誘電体皮膜に対しダメージを与えないほど、熱安定性に優れたコンデンサを提供することができる。
【0079】
さらに、本発明においては、重合工程の湿度を規定し、モノマーの酸化効率を上昇させることにより、ドーパントアニオンを併含する導電性重合体組成物が誘電体表面および細孔内部まで充填性よく段階的に析出し、前記重合体組成物の薄い皮膜を作ることができる。特に、膜が何層にも重なった構造を形成した場合は、上記の特性が発揮でき、前記重合体が誘電体皮膜に対しダメージを与えない程、熱安定性に優れたコンデンサを提供することができる。
【0080】
また、本発明で使用するドーパントは、従来既知のドーパント(例えば、ClO4 -、BF4 -、Cl-、SO4 2-、ベンゼンスルホン酸アニオン等)、さらに複素環骨格の持つ高い芳香族性を有するもの、及びスルホン酸基を有するものであれば、ほとんど全てのドーパントが使用できる。
【0081】
また、前記アニオンを供出する化合物として、スルホン酸化合物のナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等の第4級窒素系化合物塩が好適に使用可能である。
本発明で使用される酸化剤としては、アニリンやチオフェン類の酸化重合に適する酸化剤であれば使用可能であり、例えば、特開平2-15611号公報記載の、塩化鉄(III)、Fe(ClO43、有機酸鉄(III)、無機酸鉄(III)、アルキル過硫酸塩、過硫酸塩、過酸化水素、K2Cr27等が挙げられる。
【0082】
前記有機酸鉄(III)の有機酸の例としては、メタンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸のような炭素数1〜20のアルキルスルホン酸や同じく脂肪族カルボン酸が挙げられる。しかしながら、前記酸化剤の使用範囲は詳細には前記一般式(3b)で表されるモノマー化合物の化学構造、酸化剤および反応条件等の制限を受けることがある。
【0083】
例えば、Hand book of Conducting Polymers誌(Marcel Dekker, Inc. 社発行、1987年、99頁、図5参照)の説明によると、置換基の種類により酸化電位(重合の起こり易さを示す1つの尺度)が大きくかわり、チオフェン類の酸化(重合)が左右される(酸化電位は約1.8〜約2.7Vの範囲に広範に広がっている)。従って、具体的には使用するモノマー化合物と酸化剤の組み合わせが重要であることが知られている。本発明ではコンデンサ特性を向上できる組み合わせを見出し、前記課題を解決した。
【0084】
またドーパントに使用できるアニオンとしては、上記酸化剤の反応後の還元体アニオンから誘導できるものであればよい。具体的には、塩素イオン、ClO4 -、炭素数1〜12の脂肪族有機カルボン酸アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、炭素数1〜12の脂肪族有機リン酸アニオン、ほう酸アニオンが挙げられる。また、NO+,NO2 +塩(例えば、NOBF4、NOPF6、NOSbF6、NOAsF6、NOCH3SO3、NO2BF4、NO2PF6、NO2CF3SO3等)の電子受容体ドーパントを使用しても良い。
【0085】
本発明では、芳香族系化合物(例えば、スルホキノン、アントラセンモノスルホン酸、置換ナフタレンモノスルホン酸)あるいは複素環式スルホン酸を用いても良い。これらは従来既知の分子アニオン(例えば、ClO4 -,BF4 -)とはドーパント能力(電荷移動錯体の安定性、導電性等)及び化学的性質が異なり、また従来既知の前記分子アニオン(例えば、ClO4 -、BF4 -)単独で使用する系に比べて優位な効果を示す。すなわち、これらは複数のコンデンサ素子を製作した時のコンデンサ性能で比較した場合、特に優れた効果を引き出すことができる化合物である。
【0086】
本発明において使用するスルホキノンとは、分子内に一つ以上のスルホン酸基とキノン構造を有する化合物の総称であり、スルホン酸アニオンの形態でドーパントとして有効に働く化学構造であれば良い。例えば、スルホキノンの基本骨格としては、p−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキノン、9,10−アントラキノン(以下、単にアントラキノンと略する。)、1,4−アントラキノン、1,2−アントラキノン、1,4−クリセンキノン、5,6−クリセンキノン、6,12−クリセンキノン、アセナフトキノン、アセナフテンキノン、カンホルキノン、2,3−ボルナンジオン、9,10−フェナントレンキノン、2,7−ピレンキノンを挙げることができる。
【0087】
さらにまた、前記スルホキノンにおけるスルホン酸基には、キノン化合物の水素が一つ以上、スルホン酸基で置換された芳香族スルホン酸構造、及び炭素数l〜12の飽和または不飽和炭化水素基の2価基を介するスルホアルキレン基で少なくとも一つの水素が置換された脂肪族スルホン酸構造が含まれる。さらに、前記スルホキノンにおける一つ以上の水素が、炭素数l〜12、好ましくは炭素数l〜6の飽和または不飽和アルキル基、炭素数l〜12、好ましくは炭素数l〜6のアルコキシ基、またはF、Cl、Brから選ばれる置換基で置換された化学構造であってもよい。
【0088】
中でも本発明で使用するスルホキノンとしては、好ましくは、アントラキノン骨格、1,4−ナフトキノン骨格または2,6−ナフトキノン骨格を有するスルホキノンである。アントラキノン類の例としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸、アントラキノン−1,4−ジスルホン酸、アントラキノン−1,3−ジスルホン酸、アントラキノン−1,6−ジスルホン酸、アントラキノン−1,7−ジスルホン酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、アントラキノン−2,3−ジスルホン酸、アントラキノン−2,7−ジスルホン酸、アントラキノン−1,4,5トリスルホン酸、アントラキノン−2,3,6,7−テトラスルホン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩等が挙げられる。
【0089】
1,4−ナフトキノン類の例としては、1,4−ナフトキノン−5−スルホン酸、1,4−ナフトキノン−6−スルホン酸、1,4−ナフトキノン−5,7−ジスルホン酸、1,4−ナフトキノン−5,8−ジスルホン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩等が挙げられる。
2,6−ナフトキノン類の例としては、2,6−ナフトキノン−1−スルホン酸、2,6−ナフトキノン−3−スルホン酸、2,6−ナフトキノン−4−スルホン酸、2,6−ナフトキノン−3,7−ジスルホン酸、2,6−ナフトキノン−4,8−ジスルホン酸、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩等が挙げられる。
【0090】
また、スルホキノンは工業的な染料の中から選択してもよい。これらの例としては、アントラキノン アイリス R及びアントラキノン バイオレット RN−3RNが挙げられる。これら工業的染料は利用価値の高いスルホキノン系のドーパントであり、各々が上記した塩と同じ形態で使用される。
本発明で使用されるいくつかのスルホキノン化合物は、モノマーの重合反応に関与し、酸化脱水素剤として働く。その結果、スルホキノンは還元され、生成したキノン構造のプロトン付加体、つまりハイドロキノン構造またはキンヒドリンが、固体電解質中にドーパントとしてそのまま残留する。
【0091】
本発明で使用されるアントラセンモノスルホン酸とはアントラセン骨格が一つのスルホン酸で置換されたアントラセンモノスルホン酸の総称である。この化合物の好ましい例としては、無置換アントラセンスルホン酸またはアントラセンスルホン酸のアントラセン環における少なくとも一つの水素原子が、炭素数1〜12好ましくは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和の炭化水素基またはアルコキシ基で置換された置換化合物が挙げられる。
【0092】
無置換アントラセンモノスルホン酸アニオンを供出する化合物としては、アントラセン−1−スルホン酸、アントラセン−2−スルホン酸、アントラセン−9−スルホン酸、これらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩がある。アントラセン環の水素原子が更に置換された、置換アントラセンモノスルホン酸化合物の置換基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、及びドデシルなどのアルキル基;ビニル、アリル、3−ブテニル及び5−ヘキセニルなどの不飽和基;メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシなどのアルコキシ基が挙げられる。
【0093】
置換ナフタレンモノスルホン酸アニオンを供出する化合物の具体例としては、ナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機第4級アンモニウム塩等の骨格を有する化合物、及びナフタレン環上の少なくとも一つの水素原子がアルコキシ基に置換された化合物が挙げられる。
【0094】
本発明において使用する置換ベンゼンスルホン酸は、1つ以上のスルホン酸基がベンゼン骨格に置換したベンゼンスルホン酸及びアルキル置換ベンゼンスルホン酸の総称である。好ましい化合物としては、無置換のベンゼンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸のベンゼン環の少なくとも一つの水素原子が、炭素数がl〜20、好ましくは1〜12の直鎖もしくは分岐鎖、飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換された置換化合物が挙げられる。
【0095】
本発明において使用できる複素環式スルホン酸アニオンは、少なくとも一つのスルホン酸基が複素環に直接またはアルキレン基を介して間接的に置換した化学構造を有する複素環式スルホン酸化合物アニオンの総称である。好ましい複素環化合物の骨格としては、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール、フラン、1,4−ジオキサン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾリルチオ、べンゾイソオキサゾール、ベンゾトリアゾール及びベンゾフラン置換骨格が挙げられる。
【0096】
前記複素環式スルホン酸アニオンを供出する化合物の具体例としては、2−イミダゾールスルホン酸、4−モルホリノプロパンスルホン酸、フラン−3−スルホン酸、2−ベンズイミダゾールスルホン酸、2−べンズイミダゾールプロパンスルホン酸、4−メチル−1−ピペラジノメタンスルホン酸、2,3−ベンゾフラン−3−スルホン酸、それら化合物のナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0097】
必ずしも限定されるものでないが、好ましくは、芳香族系スルホン酸化合物(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸アンモニウム、1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウム、3−メチル−2−アントラキノリルメタンスルホン酸ナトリウム、アントラセン−1−スルホン酸ナトリウム、アントラセン−2−スルホン酸ナトリウム、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸テトラブチルアンモニウム塩、9,10−ジヘキシルアントラセン−2−スルホン酸テトラブチルアンモニウム塩、2−プロピルオキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−プロピルオキシナフタレン−6−スルホン酸テトラブチルアンモニウム塩、2−メトキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2,3−ジメトキシナフタレン−6−スルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等)、複素環式スルホン酸(4−モルホリノプロパンスルホン酸ナトリウム、2−ペンズイミダゾールプロパンスルホン酸ナトリウム、4−メチル−1−ピペラジノメタンスルホン酸ナトリウム、2,3−ベンゾフラン−3−スルホン酸ナトリウム等)が用いられる。
【0098】
本発明の固体電解コンデンサの製造方法において、前記一般式(4)で表されるチオフェン類モノマー化合物の化学重合における酸化剤としては、過硫酸塩が適している。一般式(4)で表されるチオフェン類の化学重合において特に好適に使用できる過硫酸塩の例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。これに対し、鉄(III)塩系酸化剤の使用は、導電性重合体組成物中に鉄(元素)が残存し、コンデンサ特性に対して不利な影響を与え、好ましくない。
【0099】
しかし、前記一般式(4)で表わされるモノマー化合物の重合に適した過硫酸塩は、前記一般式(3b)で表わされるチオフェン(Rl=R2=H、Xb=S)モノマーの重合には適していない。このように、過硫酸塩はモノマーの種類によっては好適に使用できないという制限を有している。
次に導電性重合体組成物層の形成(重合反応)における好ましい条件を以下に示す。
【0100】
本発明のコンデンサの製造方法において用いられる、前記一般式(3b)または一般式(4)で表わされるモノマー化合物、酸化剤及びスルホン酸のそれぞれの使用濃度は、モノマー、酸化剤及びスルホン酸化合物の種類(置換基の種類も含む)または溶媒等との組合せによって異なるが、一般に、濃度は1×10-4〜10モル/リットルの範囲であり、好ましくは1×10-3〜5モル/リットルの範囲である。
【0101】
また反応温度は、それぞれの反応組成物の種類、反応方法等によって変化するので、特に限定できるものでないが、一般的には−70℃〜250℃の範囲であり、好ましくは−20℃〜150℃の範囲であり、さらに好ましくは0℃〜100℃の範囲である。
【0102】
本発明の製造方法において用いられる溶媒または重合後の洗浄用溶媒の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン及びジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン等の非芳香族性塩素系溶媒;ニトロメタン、ニトロエタン及びニトロベンゼン等のニトロ化合物;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;蟻酸、酢酸及びプロピオン酸等の有機酸;前記有機酸の酸無水物(例、無水酢酸等);水及びこれらの混合溶媒が挙げられる。これらの中では、水、アルコール類、ケトン類及び/またはこれらの混合系が好ましい。
【0103】
このようにして製造された固体電解質の電導度は、0.1〜200S/cmの範囲であり、好ましくは1〜100S/cmの範囲であり、さらに好ましくは10〜100S/cmの範囲である。
【0104】
例えば、モノマーまたは酸化剤に用いられる溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を用いると、重合雰囲気中の湿度を調節することによって、酸化剤溶液の取り込み速度を調節できる。その結果、1回の重合あたりの固体電解質の形成量を調節することができる。これは、一定量の固体電解質を形成する場合、湿度を規定することで重合回数を増減できることを示している。従って、重合雰囲気中の湿度範囲を規定することで、高容量で漏れ電流が少ない等の優れたコンデンサ特性を発現させるために必要な形態及び量のポリマーを形成できる。
【0105】
本発明においては、固体電解質層と誘電体層との密着性はコンデンサの容量、容量安定性、耐湿負荷特性等の重要な性能を左右する因子である。より微細な細孔が形成されるにつれて導電性高分子と誘電体皮膜の間の密着点が増加し、上記の特性の発現にとって有利な状況となる。前記電極表面に形成される固体電解質の微細孔内空間の占有率については、10%以下であると容量安定性に欠け、またその非占有空間は水分侵入等による耐湿負荷特性、またコンデンサの機械的強度特性に悪影響を及ぼす要因となる。また前記電極表面に形成される固体電解質の微細孔内空間の占有率が95%以上を越えると、容量安定性及び耐湿負荷特性の安定にはつながるものの、その占有する空間比率が大きすぎ、導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサの特徴の一つである、空間内に存在する酸素等を使用した自己修復性に悪影響を与える。好ましくは、占有率が20〜90%、より好ましくは30%〜85%である。
【0106】
陽極体外表面を覆う固体電解質が層状構造を有することによって相対的に生ずる連続的あるいは独立した空間は、封止工程等のコンデンサ製造プロセスにおいて受ける熱応力や機械的応力等の影響を緩和することができる。またこの構造は製造プロセスのみならず、実際にコンデンサが使用される際の環境から受ける種々の応力にも対応できる構造であると言える。
【0107】
誘電体皮膜を固体電解質層が被覆する割合はコンデンサの容量、容量安定性、耐湿負荷特性等の重要な性能を左右する因子である。本発明においては、固体電解質が誘電体皮膜の60%以上を被覆しているが、これは、これ以下であると最終的に暴露されることで、誘電体皮膜が劣化し、耐湿特性の悪化が懸念されるからである。また所定の容量を得るために、面積を増加させなければならないが、必要以上のエッチング等による弁作用金属の多孔質化は金属電極そのものの強度を低下させる。また容量を得るためにさらに大きな電極を用いたならば、昨今の小型化の傾向に反する。
被覆率は好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
【0108】
誘電体皮膜を直接被覆する固体電解質として用いる導電性高分子の形状としては、フィブリル構造及びラメラ構造が好ましい。フィブリル構造及びラメラ構造においては、高分子鎖は折りたたみ構造をとっており、広範囲に渡って重なっている。そしてこれは電気伝導度を向上させる好要因であり、そのため昨今の傾向である低インピーダンス等の特性を向上させることができる。
【0109】
図1を参照して本発明の固体電解コンデンサの構成の概要を示す。
接続用端子7に結合した、細孔2が全面に設けられた一方の電極(陽極)1には、アルミニウム、チタン、タンタル、ニオブあるいはこれらを基質とする合金系等の弁作用を有する金属箔または棒あるいはこれらを主成分とする焼結体等の公知な材料が使用される。これらの金属電極表面は、誘電体層の形成と比表面積を大きくする目的で公知の方法によってエッチング処理や化成処理される。このように金属酸化皮膜(誘電体皮膜)3が表面に形成された金属箔が用いられる。
固体電解質(導電性重合体組成物)4は、好ましくは誘電体層上でモノマー化合物を重合することにより形成され、より好ましくは本発明の耐熱性の優れた導電性重合体組成物を細孔あるいは空隙構造を有する誘電体層上に化学的に析出する方法により形成される。
【0110】
このように形成した導電性重合体組成物層上にさらに電気的接触をよくするために他の導電体層を設けることが好ましく、例えば導電ペースト層、メッキ、金属蒸着または導電樹脂フィルム等により導電体層5が形成される。
このように、本発明の製造方法により製造される固体電解コンデンサは、上記導電体層の上を樹脂モールドし、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂ディッピング等による外装6で覆い、これに接続用端子7を設けることにより各種の用途に適した固体電解コンデンサ製品とすることができる。
また、粘度はJIS K7117-1987に記載されている方法に準じて測定し、粘度計はJIS Z 8809の記載に従い校正した。使用条件を下記に示す。
【0111】
装 置 東機産業株式会社 DB型粘度計
使用容器: D法
温 度: 23℃
湿 度: 40%
また、湿度は相対湿度を表わし、デジタル温湿度計(Sato社製、SK-110 TRH TYPE l)で測定した。
【0112】
【発明を実施するための最良の形態】
実施例と比較例によって、以下に本発明を詳細に説明する。別記する場合を除き、全ての単位(部、パーセント、比率など)は重量換算単位である。
【0113】
実施例1
規定面積に加工したアルミニウム化成箔を10wt%のアジピン酸アンモニウム水溶液中、13Vで化成し、箔表面に誘電体層を形成させた。このアルミニウム化成箔(基板)を、2モル/リットルの過硫酸アンモニウム(以下、APSと略する)及び0.7wt%の2−アントラキノンスルホン酸ナトリウム(東京化成社製)を含む水溶液(溶液3:粘度2.5cp)に浸漬し、次いで3,4−エチレンジオキシチオフェンを5g溶解した1.2モル/リットルのイソプロピルアルコール(以下IPAと略する)溶液(溶液4:粘度1.8cp)に浸漬した。
この基板を取り出して60℃の環境下で10分放置することで酸化的重合を完成させ、その後基板を水で洗浄した。この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ10回繰り返した。
【0114】
導電性重合体組成物中の硫酸イオン及び2−アントラキノンスルホン酸ナトリウムイオンの含量は、先ず前記重合処理した基板を水/IPA溶媒中でヒドラジン還元して注意深く抽出し、イオンクロマトグラフィー法で求めたところ、硫酸イオン含量は導電性重合体組成物中の重合体の全繰り返し構造単位当り1.5モル%、2−アントラキノンスルホン酸イオン含量は、14.0モル%であった。さらに、この基板の付着重量は添加しないものに比べて15%増加し、固体電解質層の電導度は73S/cmであった。
次に、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン重合体組成物を蓄積させたアルミニウム箔基板を、10wt%アジピン酸アンモニウム水溶液中で処理して、火花電圧試験を行った。素子特性を比較するため、素子数を増やして試験を行った(以下の実施例も同じ)。すなわち、50℃環境下、電流密度10mA/cm2の条件でn=5回行ない表1の結果を得た。
【0115】
次いで、基板のアルミニウム芯部をプラス側リード端子に溶接することにより陽極からの集電を行ない、またカーボンペーストと銀ペーストを介してマイナス側リード端子に接続する事により陰極からの集電を行う。最後にエポキシ樹脂で封止してコンデンサ素子が作製される。このようにして得られたコンデンサ素子は125℃で2時間エージングされ、初期特性が測定される。これらの結果を表2にまとめた。
ここで、表中初期特性のCは容量を表わし、DFは損失角の正接(DF=tanδ×100%)を意味する。いずれも120Hzで測定したものである。Z(インピーダンス)は共振周波数での値を示した。LC(漏れ電流)は、定格電圧を印加して1分後に測定した。各測定値は30個の試料の平均値であり、LCについては1μA以上を不良品に、また10μA以上をショート品として表示し、これらを除いてLC値の平均を算出した。
【0116】
実施例2
実施例1のドーパントを4−モルホリンプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成社製)の0.07wt%水溶液(粘度2.7cp)に変更した以外は実施例1の記載と同様に処理して得たコンデンサ素子を実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
なお重合体組成物中の硫酸イオン及び4−モルホリンプロパンスルホン酸イオンの含量は実施例1記載の方法で求めたところ、硫酸イオン含量は1.2モル%、4−モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は13.0モル%であった。固体電解質層の電導度は70S/cmであった。
【0117】
実施例3
実施例1記載の方法で準備した誘電体表面を、APSの20wt%水溶液(溶液1)に含浸し、次いで3,4−エチレンジオキシチオフェンを5g溶解した1.2モル/リットルのIPA溶液に4−モルホリンプロパンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩(以下、MOPSTBと略する)を加えて該濃度が0.1wt%になるよう調製したIPA/水混合溶液(溶液2:粘度1.9cp)に浸漬した。この時、前記MOPSTB塩は、4−モルホリンプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成社製)をテトラブチルアンモニウムブロマイドと混合反応して再結晶して得たものを使用した。次に、基板を取り出して60℃で10分放置することで酸化重合を完成させ、その後水で洗浄した。この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ10回繰り返して、該コンデンサ素子を実施例1と同様に測定及び評価した。結果を表1及び表2に示した。
なお重合体組成物中の硫酸イオン及び4−モルホリンプロパンスルホン酸イオンの含量は実施例1記載と同様な方法で求めたところ、硫酸イオン含量は1.6モル%、4−モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、8.1モル%であり、固体電解質層の電導度は、56S/cmであった。
【0118】
実施例4
実施例1と同様な方法で準備した誘電体を形成したアルミニウム化成箔を、3,4−エチレンジオキシチオフェンを5g溶解した1.2モル/リットルのIPA溶液(溶液4)に浸漬した後、APS濃度が20wt%であり2−アントラキノンスルホン酸ナトリウム濃度が0.06モル/リットルになるように調製したIPA/水混合溶液(溶液3:粘度2.1cp)を含浸させ、次いで取り出してこの基板を60℃で10分放置することで酸化重合を完成させ、その後水で洗浄した。
この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ10回繰り返して得たコンデンサ素子を実施例1と同様に評価した。結果を表1及び表2に示す。なお重合体組成物中の硫酸イオン及び2−アントラキノンスルホン酸イオンの含量は、実施例1記載の方法で求めたところ硫酸イオン含量は2.0モル%、2−アントラキノンスルホン酸イオン含量は0.6モル%であり、固体電解質層の電導度は80S/cmであった。
【0119】
比較例1
実施例1で使用したモノマー化合物の3,4−エチレンジオキシチオフェンの代わりにチオフェンを、そしてAPSの代わりに粘度200cpのp−トルエンスルホン酸鉄塩のブタノール溶液を用いた以外は実施例2と同様にして得たコンデンサ素子を実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。なお、固体電解質層の電導度は5S/cmであった。
また、重合組成物中のp−トルエンスルホン酸イオンの含量は、実施例1記載の方法で求めたところ2.5モル%であった。しかしながら、鉄イオンが8モル%存在すること、及び硫酸イオン含量が10モル%以上であるために、コンデンサの不良率が高かった。
実施例1〜4での火花電圧試験では、電圧低下はほとんど無く反応終了時の火花電圧はいずれも19V以上であった。しかし、比較例1においてp−トルエンスルホン酸鉄塩を用いた場合は、鉄イオンが8モル%も残存するために火花電圧は大きく低下し、規定の反応終了前に火花電圧が低下するため、固体電解質の充填が不十分なままで終了し好ましくなかった。
【0120】
【表1】
Figure 0004736009
【0121】
【表2】
Figure 0004736009
【0122】
実施例5
規定の面積に加工したアルミニウム化成箔を10wt%のアジピン酸アンモニウム水溶液中において、13Vで化成を行い、箔表面に誘電体層を形成させた。このアルミニウム化成箔(基板)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン5gを溶解した1.2モル/リットルのイソプロピルアルコール(以下IPAと略する)溶液に浸漬し、次いで過硫酸アンモニウム(以下、APSと略する)が2モル/リットル及び2−アントラキノンスルホン酸ナトリウム(東京化成社製)が0.07モル/リットルとなるように調製した水溶液に浸漬した。
この基板を取り出して40℃で湿度40%の雰囲気で10分放置することで酸化重合を完成させ、この重合反応処理工程を25回繰り返し、次に基板を水で洗浄した。固体電解質層の電導度は80S/cmであった。
次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン組成物を蓄積させたコンデンサ素子に一般的な公知のカーボンペーストと銀ペーストを順に塗布後、得られた素子を4枚重ねてリードフレーム上に積載し、陰極リード端子に接着した。基板のアルミニウム芯部を陽極側リード端子に溶接することによって、素子の陽極からの集電を行なった。最後にエポキシ樹脂で全体を封止してコンデンサを作製した。このようにして得たコンデンサを125℃で定格電圧を印加して、2時間エージングした後に初期特性を測定した。これらの結果を表3にまとめた。
ここで、表3に示す初期特性のCは容量を表わし、DFは損失角の正接(DF=tanδ×100%)を意味する。いずれも120Hzで測定したものである。LC(漏れ電流)及びショートの試験は、定格電圧(13V)を印加して1分後に測定した。各測定値は50個の試料の平均値であり、LCについては1μA以上を不良品に、また10μA以上をショート品として表示し、ショート品がある場合はこれを除いてLCの平均値を算出した。
【0123】
実施例6
実施例5の重合工程での湿度を10%にした以外は実施例5の記載と同様に処理して得たコンデンサ素子を実施例5と同様に評価した。固体電解質層の電導度は70S/cmであった。結果を表3に示す。
【0124】
実施例7
実施例5の重合工程での湿度を60%にした以外は実施例5の記載と同様に処理して得たコンデンサ素子を、実施例5と同様に評価した。固体電解質層の電導度は40S/cmであった。結果を表3に示す。
【0125】
実施例8
実施例5と同様な方法で準備した誘電体を形成したアルミニウム化成箔を、過硫酸アンモニウム(以下、APSと略する)が2モル/リットル及び2−アントラキノンスルホン酸ナトリウム(東京化成社製)が0.07モル/リットルに濃度を調製した水溶液に浸漬し、次いで3,4−エチレンジオキシチオフェン5gを溶解した1.2モル/リットルのイソプロピルアルコール(以下IPAと略する)溶液に浸漬した。
この基板を取り出して40℃で湿度40%の雰囲気中、10分間放置することで酸化重合を完成させ、この重合反応処理工程を20回繰り返し、次に基板を水洗及び乾燥して得られた該コンデンサ素子を実施例5と同様に評価した。固体電解質層の電導度は70S/cmであった。結果は表3に示す。
【0126】
実施例9
実施例5と同様な方法で誘電体を形成したアルミニウム化成箔を準備した。この誘電体表面を、ピロールを5g溶解した1.2モル/リットルのIPA溶液に浸漬し、次いでAPSが2モル/リットル及び2−アントラキノンスルホン酸ナトリウムが0.07モル/リットルに濃度を調製した水溶液に浸漬した。
この基板を取り出して5℃で湿度40%の雰囲気中、10分間放置することで酸化的重合を完成させた。この浸漬工程をそれぞれ20回繰り返した後で、水洗及び乾燥して得られた該コンデンサ素子を実施例5と同様に評価した。固体電解質層の電導度は65S/cmであった。結果は表3に示す。
【0127】
比較例2
実施例5の重合工程での湿度を65%に変更した以外は実施例5の記載と同様に処理して得たコンデンサ素子を、実施例5と同様に評価した。固体電解質層の電導度は18S/cmであった。結果を表3に示す。
【0128】
比較例3
実施例5の重合工程での湿度を5%に変更した以外は実施例5の記載と同様に処理して得たコンデンサ素子を、実施例5と同様に評価した。固体電解質層の電導度は15S/cmであった。結果を表3に示す。
【0129】
【表3】
Figure 0004736009
【0130】
実施例10
規定容量が119μF/cm2のエッチング処理されたアルミニウム箔を3mm×10mmに切り出し、長軸方向を4mmと5mmの部分に区切るように、両面に幅1mmのポリイミド溶液を周状に塗布及び乾燥させマスキングを形成した。このエッチング処理されたアルミニウム化成箔の3mm×4mmの部分を、10wt%のアジピン酸アンモニウム水溶液で13Vの電圧を印加して化成し、切り口部分に誘電体酸化皮膜を形成した。次に、この化成箔の細孔分布を自動比表面積測定装置(島津−マイクロメリティックス社製;ジェミニ2375)及びサンプル脱ガス装置(同社製;Vacprep 061)を使用(前処理として200℃で2時間処理)して測定したところ、単位質量当たりの細孔容量は1.83cm3/gであった。また、このアルミニウム箔の3mm×4mmの部分を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(バイエル社製)を溶解させた1.2mol/Lのイソプロピルアルコール(以下IPAと略する)溶液に含浸し、次いで懸濁させた2−アントラキノンスルホン酸ナトリウムが0.07重量%となるように調製した2mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬した。続いてこのアルミニウム箔を約40℃で約10分間放置することで酸化重合を行った。エッチング処理されたアルミニウム箔の微細孔内部に所望の導電性高分子を形成した後、上記と同様に再度、単位質量当たりの細孔容量を測定したところ、1.04cm3/gであり、微細孔空間を導電性高分子が占める割合である占有率は、次式(II)
【数1】
Figure 0004736009
で算出すると43%であった。この含侵工程及び重合工程を25回繰り返し、導電性高分子の固体電解質層をエッチング処理されたアルミニウム箔の外表面に形成した。最終的に生成したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を50℃の温水中で洗浄し、その後100℃で30分乾燥を行い、固体電解質層を形成した。このときに再度細孔容量を測定すると、0.64cm3/gであり、細孔占有率は65%であった。なお、占有率の誤差は別途断面を観察することにより最大5%であることが分かった。
【0131】
次に、上記アルミニウム箔の導電性高分子組成物層を形成した部分にカーボンペーストと銀ペーストを塗布し、上記アルミニウム箔を4枚積層して、これに陰極リード端子を接続した。また、導電性高分子組成物層の形成されていない部分には陽極リード端子を溶接により接続した。更に、この素子をエポキシ樹脂で封止した後、125℃で定格電圧を印加して2時間エージングを行い合計30個のコンデンサを完成させた。
これら30個のコンデンサ素子について、初期特性として120Hzにおける容量と損失係数(DF=tanδ×100%)、共振周波数におけるインピーダンス、及び漏れ電流を測定した。尚、漏れ電流は定格電圧を印加して1分後に測定した。表4にこれらの測定値の平均値と、0.592μA(0.002CV)以上の漏れ電流を不良品としたときの不良率およびショート品の数を示した。ここで、漏れ電流の平均値は不良品を除いて計算した値である。エッチング処理されたアルミニウム箔の規定容量と固体電解質形成後の容量から計算して求めた被覆率は次式(III)
【数2】
Figure 0004736009
から91%であった。
また、表5に、リフローはんだ試験およびこれに続いて行った耐湿試験における結果を示した。但し耐湿試験において、漏れ電流値が11.8μA(0.04CV)以上のコンデンサ素子を不良とした。ここで、リフローはんだ試験は230℃の温度領域を30秒間通過させることにより行い、耐湿試験は85℃、85%RHの高温高湿下に240時間放置することにより行った。
【0132】
実施例11
実施例10において、過硫酸アンモニウムに代えて硫酸第2鉄を、また3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えてジヒドロイソチアナフテンを用いた以外は、実施例10と同様にして30個のコンデンサを完成させた。これらコンデンサ素子の特性を実施例10と同様に評価し、その結果を表4および表5に示す。
【0133】
実施例12
実施例10において、3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えてピロールを用いた以外は、実施例10と同様にして30個のコンデンサを製作した。これらコンデンサ素子の特性評価を実施例10と同様に行い、その結果を表4および表5に示す。
【0134】
実施例13
実施例10において、3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えてフランを用いることとした以外は、実施例10と同様にして30個のコンデンサを製作した。これらコンデンサ素子の特性を実施例10と同様に評価し、その結果を表4および表5に示した。
【0135】
実施例14
実施例10において、3,4−エチレンジオキシチオフェンに代えてアニリンとした以外は、実施例10と同様にして30個のコンデンサを製作した。これらコンデンサ素子の特性を実施例10と同様に評価し、その結果を表4および表5に示す。
【0136】
比較例4
微細孔空間を導電性高分子が占める割合が8%となるように固体電解質を作成した以外は実施例10と同様にして30個のコンデンサを製作した。これらコンデンサ素子の特性を実施例10と同様に評価し、その結果を表4及び表5に示す。
【0137】
比較例5
微細孔空間を導電性高分子が占める割合が97%となるように固体電解質を作成した以外は実施例10と同様にして30個のコンデンサを製作した。これらコンデンサ素子の特性を実施例10と同様に評価し、その結果を表4及び表5に示す。
【0138】
比較例6
重合回数を5回にして誘電体皮膜の被覆率が55%となるように固体電解質を形成した以外は実施例10と同様にして30個のコンデンサを製作した。これらコンデンサ素子の特性を実施例10と同様に評価し、その結果を表4及び表5に示す。
【0139】
【表4】
Figure 0004736009
【0140】
【表5】
Figure 0004736009
【0141】
【産業上の利用可能性】
以上詳細に説明したように、本発明の固体電解コンデンサでは、固体電解質である導電性重合体を形成する際に、酸化剤溶液及び/またはモノマー溶液の粘度を規定することでコンデンサ特性が向上した好ましい導電性重合体組成物を形成することができ、小型でより低インピーダンスであるより高性能な固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することができた。
【0142】
さらに、本発明の固体電解コンデンサでは、前記方法により固体電解質に特定のポリヘテロ五員環式化合物をπ電子共役重合体として使用することによって、耐電圧特性(火花電圧試験)、高周波特性、tanδ、インピーダンス特性、漏洩電流、耐熱性(リフローはんだ性)及び容量等が大幅に向上する効果を見い出した。
特に、前記導電性重合体のモノマーを含む溶液及び/または酸化剤溶液の粘度を100cp未満にすることによって、より高性能なコンデンサ特性を有する固体電解コンデンサを提供することができる。
【0143】
さらに本発明によれば、モノマーまたはその誘導体を繰り返し単位とし、かつアニオン系ドーパントを含む導電性重合体層を、酸化剤を含む溶液とモノマーを含む溶液の二液を用いる系を採用し、重合工程での雰囲気中の湿度を10%以上60%未満になるようにして重合させることによって、モノマー及び酸化剤の回収を可能にして、より高性能なコンデンサ特性を有する固体電解コンデンサを歩留り良く提供することができる。
【0144】
また本発明によれば、陽極体外表面に導電性重合体を層状構造に形成した固体電解質を有する固体電解コンデンサにおいて、弁作用を有する金属上に形成された誘電体皮膜上に固体電解質が形成される際に、前記電極の細孔内空間を10%乃至95%の範囲で占有させることによって、金属酸化物皮膜上に形成される固体電解質の密着性が向上し、また容量及び誘電損失(tanδ)等の基本諸特性、さらにはリフローはんだ耐熱性及び耐湿負荷特性等の安定性に優れたコンデンサを提供することができる。
【0145】
さらに、本発明によれば、表面に酸化物皮膜が形成された弁作用金属を、固体電解コンデンサ用陽極体として用い、誘電体皮膜を一定の比率(60%)以上で被覆するように導電性高分子の固体電解質層を形成することにより、容量、誘電損失(tanδ)等の基本諸特性、またリフローはんだ耐熱性や耐湿負荷特性等の安定性に優れた固体電解コンデンサ素子を提供することができる。
以上、特定実施例に沿って発明を詳細に記述してきたが、当業者にとって明らかなように、当業者が考えられる程度の範囲内で、様々な変更及び修飾が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の固体電解コンデンサの一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 弁作用金属の電極
2 細孔(微細孔)
3 誘電体皮膜
4 導電性重合体組成物
5 導電性ペースト
6 外装
7 接続用端子

Claims (22)

  1. 表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁作用を有する金属陽極箔に、導電性重合体のモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液を交互に繰り返し塗布し、ついで重合して前記誘電体皮膜上に導電性重合体組成物皮膜を形成させる固体電解コンデンサの製造方法において、雰囲気中の湿度を20%以上50%以下に設定して重合し、導電性重合体のモノマーを含む溶液及び/または酸化剤を含む溶液の粘度が23℃において100cp未満であることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記組成物中の導電性重合体が、下記一般式(1a)
    Figure 0004736009
    (式中、置換基R1及びR2は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わし、
    1及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよく、
    XaはS、O、Se及びTeからなる群から選ばれるヘテロ原子を表わし、R1及びR2が表わすアルキル基及びアルコキシ基は、各々鎖中にカルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合またはイミノ結合を任意に含有してもよく、δは0〜1の範囲の数である。)
    で示される構造単位を繰り返し化学構造として含む請求項1記載の方法で製造される誘電体酸化皮膜上に導電性重合体組成物層を有する固体電解コンデンサ。
  3. 一般式(1a)で示される構造単位が、下記一般式(2)
    Figure 0004736009
    (式中、置換基R4及びR5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、式(2)に示される2つの酸素原子を含む少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する置換基を表わし、
    前記環状構造は置換ビニレン基及び置換o−フェニレン基からなる群から選ばれる化学構造を含み、δは0〜1の範囲の数である。)
    で示される化学構造である請求項2記載の固体電解コンデンサ。
  4. 誘電体酸化皮膜上でモノマー化合物を酸化剤により重合させて誘電体酸化皮膜上に導電性重合体組成物層を設ける固体電解コンデンサの製造方法において、モノマー化合物が、下記一般式(3a)
    Figure 0004736009
    (式中、置換基R1及びR2は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わし、
    1及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよく、
    XaはS、O、Se及びTeからなる群より選ばれるヘテロ原子を表わし、
    1及びR2が表わすアルキル基、アルコキシ基は各々、鎖中にカルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、またはイミノ結合を任意に含有してもよい。)
    で示される化合物であり、重合がドーパント能を有する有機スルホン酸化合物のアニオンまたはスルホン酸アニオンを供出できる化合物の存在下で行われる請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 一般式(3a)で示されるモノマー化合物が、下記一般式(4)
    Figure 0004736009
    (式中、置換基R4及びR5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状しくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、式中の2つの酸素原子を含む少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する置換基を表わし、
    前記環状構造は、置換ビニレン基及び置換o−フェニレン基からなる群から選ばれる化学構造を含む。)
    で示される化合物である請求項4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記酸化剤が、酸化性無機酸の金属塩溶液である請求項1、4または5記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記酸化性無機酸の金属塩が、過硫酸塩である請求項6記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記モノマー化合物が、導電性を有する重合体のモノマー化合物であって、チオフェン、アニリンまたはそれらの誘導体である請求項1、4または5記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記チオフェン誘導体が3,4−エチレンジオキシチオフェンである請求項8記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 表面に誘電体酸化皮膜を形成した弁作用を有する金属陽極体の誘電体皮膜上に、導電性重合体のモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液を交互に繰り返し塗布し、雰囲気中の湿度を20%以上50%以下に設定して重合し導電性重合体を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 前記組成物中の導電性重合体が、下記一般式(1b)
    Figure 0004736009
    (式中、置換基R1及びR2は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わし、
    前記置換基R1及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよく、
    bはS、O、Se、Te及びNR3からなる群より選ばれるヘテロ原子を表わし、
    3は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、フェニル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基を表わし、
    1、R2及びR3が表わすアルキル基、アルコキシ基は各々、鎖中にカルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、またはイミノ結合を任意に有してもよく、δは0〜1の範囲の数である。)
    で示される構造単位を繰り返し化学構造として含む請求項10記載の方法で製造される誘電体酸化皮膜上に導電性重合体組成物層を有する固体電解コンデンサ。
  12. 一般式(1b)で示される構造単位が、下記一般式(2)
    Figure 0004736009
    (式中、置換基R4及びR5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、または炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、式中記載の2つの酸素原子を含む少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する置換基を表わし、
    前記環状構造は、置換ビニレン基及び置換o−フェニレン基からなる群から選ばれる化学構造を含み、δは0〜1の範囲の数である。)
    で示される化学構造である請求項11記載の固体電解コンデンサ。
  13. モノマー化合物を誘電体酸化皮膜上で酸化剤により重合させ、誘電体酸化皮膜上に導電性重合体組成物層を設ける前記固体電解コンデンサの製造方法において、モノマー化合物が下記一般式(3b)
    Figure 0004736009
    (式中、置換基R1及びR2は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わし、
    前記置換基R1及びR2は互いに任意の位置で結合して、少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも1つ形成してもよく、
    bはS、O、Se、Te及びNR3からなる群より選ばれるヘテロ原子を表わし、
    3は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、フェニル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基を表わし、
    1、R2及びR3が表わすアルキル基、アルコキシ基は各々、鎖中にカルボニル結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合またはイミノ結合を任意に有してもよい。)
    で示される化合物であり、重合がドーパント能を有するスルホン酸アニオンまたは有機スルホン酸のアニオンを供出できる化合物の存在下で行われる請求項10記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  14. 前記一般式(1b)のモノマー化合物が、下記一般式(4)
    Figure 0004736009
    (式中、置換基R4及びR5は各々独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは炭素数1〜6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、式中記載の2つの酸素原子を含む少なくとも1つの5、6または7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する置換基を表わし、
    前記環状構造は、置換ビニレン基及び置換o−フェニレン基からなる群から選ばれる化学構造を含み、δは0〜1の範囲の数である。)
    で示される化合物である請求項13記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  15. 前記酸化剤が、酸化性無機酸の金属塩またはアンモニウム塩である請求項10、13または14記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  16. 前記酸化性無機酸の金属塩またはアンモニウム塩が過硫酸塩である請求項10、13または14記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  17. 前記モノマー化合物が導電性を有する重合体のモノマー化合物であって、ピロール、チオフェン、アニリンまたはそれらの誘導体である請求項10、13または14記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  18. 前記チオフェン誘導体が3,4−エチレンジオキシチオフェンである請求項17記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  19. 表面に誘電体酸化皮膜が形成された弁作用を有する金属陽極箔に、導電性重合体のモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液で交互に繰り返し塗布し、ついで重合して前記誘電体皮膜上に導電性重合体組成物皮膜を形成させる固体電解コンデンサの製造方法において、導電性重合体のモノマーを含む溶液及び/または酸化剤を含む溶液の粘度が23℃において100cp未満であり、導電性重合体組成物皮膜が重合工程の雰囲気中の湿度を20%以上50%以下に設定して形成され、固体電解質が弁作用を有する金属の細孔内空間の10%乃至95%の範囲を占めており、固体電解質の細孔内空間の占有率が、ガス吸着法により測定可能な状態にあるように誘電体皮膜上に形成されることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  20. 表面に誘電体酸化皮膜が形成された弁作用を有する金属陽極箔に、導電性重合体のモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液で交互に繰り返し塗布し、ついで重合して前記誘電体皮膜上に導電性重合体組成物皮膜を形成させる固体電解コンデンサの製造方法において、導電性重合体のモノマーを含む溶液及び/または酸化剤を含む溶液の粘度が23℃において100cp未満であり、導電性重合体組成物皮膜が重合工程の雰囲気中の湿度を20%以上50%以下に設定して形成され、固体電解質が誘電体皮膜上に形成されるに際し、前記誘電体皮膜の60%以上を被覆することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  21. 請求項19記載の方法により製造された固体電解コンデンサ。
  22. 請求項20記載の方法により製造された固体電解コンデンサ。
JP2000610025A 1999-04-06 2000-04-05 固体電解コンデンサ及びその製造方法 Expired - Lifetime JP4736009B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000610025A JP4736009B2 (ja) 1999-04-06 2000-04-05 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (20)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1999098394 1999-04-06
JP9839499 1999-04-06
US13584599P 1999-05-24 1999-05-24
US60/135,845 1999-05-24
JP11-252371 1999-09-07
JP1999252371 1999-09-07
JP25237199 1999-09-07
US15707499P 1999-10-01 1999-10-01
US60/157,074 1999-10-01
JP11-98394 1999-12-27
JP60/182,191 1999-12-27
JP11-370296 1999-12-27
JP60/135,845 1999-12-27
JP60/157,074 1999-12-27
JP1999370296 1999-12-27
JP37029699 1999-12-27
US18219100P 2000-02-14 2000-02-14
US60/182,191 2000-02-14
PCT/JP2000/002192 WO2000060620A1 (en) 1999-04-06 2000-04-05 Solid electrolytic capacitor and method for producing the same
JP2000610025A JP4736009B2 (ja) 1999-04-06 2000-04-05 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002541659A JP2002541659A (ja) 2002-12-03
JP4736009B2 true JP4736009B2 (ja) 2011-07-27

Family

ID=27308662

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000610025A Expired - Lifetime JP4736009B2 (ja) 1999-04-06 2000-04-05 固体電解コンデンサ及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP1811532A3 (ja)
JP (1) JP4736009B2 (ja)
TW (1) TW502266B (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4608865B2 (ja) * 2003-09-30 2011-01-12 日本ケミコン株式会社 固体電解コンデンサの製造方法
JP2006156903A (ja) * 2004-12-01 2006-06-15 Tdk Corp 固体電解コンデンサの製造方法
WO2006068302A1 (ja) * 2004-12-24 2006-06-29 Showa Denko K.K. 固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ及びその製造方法
US7811338B2 (en) * 2005-03-30 2010-10-12 Murata Manufacturing Co., Ltd. Solid electrolytic capacitor element, method for manufacturing same, and solid electrolytic capacitor
JP4637700B2 (ja) * 2005-06-24 2011-02-23 ニチコン株式会社 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4826198B2 (ja) * 2005-10-11 2011-11-30 株式会社村田製作所 固体電解コンデンサ素子及びその製造方法
US20090303665A1 (en) * 2005-12-27 2009-12-10 Showa Denko K.K. Solid electrolytic capacitor and method for producing same
DE102008024805A1 (de) * 2008-05-23 2009-12-03 H.C. Starck Gmbh Verfahren zur Herstellung von Elektrolytkondensatoren
JP5321964B2 (ja) * 2009-05-29 2013-10-23 エルナー株式会社 固体電解コンデンサおよびその製造方法
CN111521957B (zh) * 2020-03-24 2023-01-10 航天科工防御技术研究试验中心 一种内置保险丝固体钽电解电容的失效分析方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0494110A (ja) * 1990-08-09 1992-03-26 Kao Corp 固体電解コンデンサの製造方法
JPH0745481A (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 Nec Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPH07122464A (ja) * 1993-10-20 1995-05-12 Nec Corp タンタル固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPH07135126A (ja) * 1993-11-10 1995-05-23 Nec Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPH1032145A (ja) * 1996-07-16 1998-02-03 Nec Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPH1064761A (ja) * 1996-08-22 1998-03-06 Sanyo Electric Co Ltd 固体電解コンデンサの製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4029110A1 (de) * 1989-10-02 1991-04-11 Roederstein Kondensatoren Verfahren zur herstellung von kondensatoren sowie nach diesem verfahren hergestellte kondensatoren
JP3251208B2 (ja) * 1997-07-24 2002-01-28 富山日本電気株式会社 固体電解コンデンサの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0494110A (ja) * 1990-08-09 1992-03-26 Kao Corp 固体電解コンデンサの製造方法
JPH0745481A (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 Nec Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPH07122464A (ja) * 1993-10-20 1995-05-12 Nec Corp タンタル固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPH07135126A (ja) * 1993-11-10 1995-05-23 Nec Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPH1032145A (ja) * 1996-07-16 1998-02-03 Nec Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JPH1064761A (ja) * 1996-08-22 1998-03-06 Sanyo Electric Co Ltd 固体電解コンデンサの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002541659A (ja) 2002-12-03
EP1811532A3 (en) 2007-08-08
EP1811532A2 (en) 2007-07-25
TW502266B (en) 2002-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6696138B2 (en) Solid electrolytic capacitor and method for producing the same
JP4908672B2 (ja) 固体電解コンデンサ
US6783703B2 (en) Solid electrolytic capacitor and method for producing the same
US6351370B1 (en) Solid electrolytic capacitor and method for producing the same
EP1158551A1 (en) Solid electrolytic capacitor and its production method
JP4736009B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4236719B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP4267825B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
WO2011052237A1 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP3846760B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
EP1190426B1 (en) Solid electrolytic capacitor and method for producing the same
JPH11312626A (ja) コンデンサ及びその製造方法
JP2007180260A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
WO2007074869A1 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JPWO2007074869A1 (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JPH06325984A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091125

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110304

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110401

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110414

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4736009

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513

Year of fee payment: 3

EXPY Cancellation because of completion of term