JP4826198B2 - 固体電解コンデンサ素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性重合体を固体電解質層として用いた固体電解コンデンサ素子及びその製造方法並びに前記固体電解コンデンサを用いた固体電解コンデンサ、前記製造方法に用いる装置に関する。
近年、電気機器のディジタル化、パーソナルコンピュータの高速化に伴い、小型で大容量のコンデンサ、高周波領域において低インピーダンスのコンデンサが要求されている。最近では、電子伝導性を有する導電性重合体を固体電解質として用いた固体電解コンデンサが提案されている。
固体電解コンデンサの基本素子(6)は、一般に、図1に示すようにエッチング処理された比表面積の大きな金属箔からなる陽極基体(1)に誘電体の酸化皮膜層(2)を形成し、この外側に対向する電極として固体の半導体層(以下、固体電解質という。)(3)を形成し、望ましくはさらに導電ペーストなどの導電体層(4)を形成して作製される。通常は固体電解質(3)(陰極部分)と陽極基体(1)との絶縁を確実とするためにさらにマスキング層(5)が設けられ、適宜、電極が付加される。これらは全体が樹脂(9)で封止されコンデンサとなる。
一般に、誘電体酸化皮膜上に導電性重合体を形成する手法として電解酸化重合法及び化学酸化重合法が知られている。化学酸化重合法は、反応の制御あるいは重合膜形態の制御が難しいが、固体電解質の形成が容易で、短時間に大量生産が可能であるため種々の方法が提案されている。例えば、陽極基体をモノマーを含む溶液に浸漬する工程と酸化剤を含む溶液に浸漬する工程を交互に繰り返すことにより層状構造を有する固体電解質を形成する方法が開示されている(特許文献1:特許第3187380号公報)。この方法によれば、膜厚が0.01〜5μmの層状構造の固体電解質層を形成することによって、高容量、低インピーダンス、かつ耐熱性に優れた固体電解コンデンサを製造することができるが、固体電解質層を形成する層状構造部の層間の空間部分が大きいため、コンデンサ素子を複数積層する積層型コンデンサ用の素子として、固体電解質層全体の一層の薄膜化が求められている。
また、層状構造の固体電解質層を形成することなく、コンデンサ素子の細孔内及び外表面に固体電解質を形成する方法として、モノマー化合物を含む溶液に陽極基体を浸漬した後、酸化剤溶液中で重合し、酸化剤を洗浄した後に乾燥するサイクルを繰り返す方法が開示されている(特許文献2:特開平9-306788号公報)。
このように、いずれの製造方法でも固体電解コンデンサ素子用導体(陽極基体)をモノマー含有溶液及び酸化剤含有溶液に浸漬し引き上げる操作を含むため、浸漬及び引き上げ操作を効率的に行なう必要がある。このため、通常、固体電解コンデンサ素子の製造においてはテンポラリーバーと称される支持板とこの支持板を複数本保持できるハンドリングフレームと称される枠を用いて複数の素子を同時に処理している。また、一般的に浸漬操作に係る時間より、重合反応に係る時間の方が長いため、複数のハンドリングフレームを準備し、順番に浸漬操作を行い、順次反応炉に投入することで同一時間内に多数の固体コンデンサ素子を得られるように工夫されている。
特許第3187380号公報 特開平9-306788号公報
得られた素子から所定の容量の固体電解コンデンサを得るためには、図2に示すように、通常、コンデンサ素子(6)を複数個積層して陽極端子に陽極リード線(7)を接合し、固体電解質層を含む導電体層には陰極リード線(8)を接続し、さらに全体をエポキシ樹脂(9)等で完全に封止してコンデンサ部品とする。このため、個々のコンデンサ素子の固体電解質層(3)の厚さが厚すぎたり不均一であると、積層時に素子ずれなどの不具合を生じたり、積層後の厚さが厚くなり過ぎて封止の際の未封止につながるという問題がある。従って、コンデンサ素子の陰極部分の固体電解質の重合条件を綿密に制御して固体電解質層の厚さを調節する必要がある。しかし、テンポラリーバーとハンドリングフレームを用いた方法で製造されるコンデンサ用素子では、同一条件で製造しているにも拘わらず、製造バッチ間で、固体電解質層(3)の厚さが異なる場合がある。その理由としては、処理室内の温度及び湿度、素子材料の曲がりや傷などの要因が関与していると考えられるが、完全に解明し管理することが困難(現実的には不可能)であり、このような管理困難な不均一化条件の存在下で素子の均一化を実現するための解決策が求められていた。
従って、本発明の課題は、上記の問題点を解決し、厚さのバラツキが小さい積層型固体電解コンデンサ素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ハンドリングフレームにセットした複数の固体コンデンサ素子用導体を、モノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液に順次浸漬して引き上げる工程を繰り返す固体電解コンデンサの製造方法において、(1) 導体上に形成される固体電解層の質量は重合工程の繰り返し回数に応じてほぼ直線的に増加していくこと、(2)最終重合質量と素子の厚さには相関があること、(3)重合の諸条件(モノマー溶液濃度、酸化剤濃度、重合炉温湿度など)を一定にしてもバッチ間で最終質量のバラツキが生じることを見出し、さらに(4)1または複数重合工程ごとに質量の増加量を確認し、重合途中で酸化剤からの引き上げ速度を変えること、及び最終重合回数を増減させる等の制御を行なうことによって最終重合質量を制御し得ることを確認し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下に示す固体電解コンデンサ素子の製造方法、その製造方法により製造される固体電解コンデンサ素子、並びにこの固体電解コンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサ及び前記製造方法を採用する製造装置に関する。
1.モノマー含有液を付着させた導体を酸化剤含有液に浸漬する重合工程を繰り返して導体表面上に固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、前記重合工程のいずれかの時点で重合質量を測定して以後の操作を制御することを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
2.重合工程を1回または複数回行なうごとに前記重合質量の測定を行なう前記1に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
3.測定した重合質量から最終重合質量を推定し、酸化剤含有液からの引き上げ速度を変えて、最終重合質量を制御する前記1または2に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
4.測定した重合質量から最終重合質量を推定し、重合工程を実施する回数を変えて、最終重合質量を制御する前記1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
5.複数の導体を導体支持板に固定し、導体のみにモノマー含有液を付着させ、導体のみを酸化剤含有液に浸漬し、導体を固定した状態で支持板重量を測定することにより、支持板上の導体に形成された重合体質量の合計を測定する前記1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
6.複数の前記導体支持板を支持枠に固定し、導体のみにモノマー含有液を付着させ、導体のみを酸化剤含有液に浸漬し、導体を固定した状態で支持枠重量を測定することにより、支持枠上の導体に形成された重合体質量の合計を測定する前記5に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
7.導体が、表面に誘電体皮膜を形成した微細孔を有する弁作用金属材料である前記1〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
8.前記1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造される固体電解コンデンサ素子。
9.前記8の固体電解コンデンサ素子を複数積層してなる積層型固体電解コンデンサ。
10.前記1〜7のいずれかに記載の製造方法を採用する固体電解コンデンサ製造装置。
本発明によれば、固体電解質層厚のバラツキが少ないコンデンサ素子を安定して効率的に作製でき、積層時の箔ずれ等の不具合が発生しにくく、封止時の未封止が発生しにくい積層型固体電解コンデンサに適した固体電解コンデンサ素子を提供することができる。
本発明は、モノマー含有液を付着させた導体を酸化剤含有液に浸漬する重合工程を繰り返して導体表面上に固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、前記重合工程のいずれかの時点で重合質量を測定して以後の操作を制御することを特徴とする(図3参照)。
重合質量(固体導電体層の質量)の測定は、各重合工程による重合層形成の評価をなし得るものであれば、重合工程のどの時点で行なってもよいが、通常は、図3に示すように、モノマー含有液を付着させた導体を酸化剤含有液に浸漬する重合工程が完了した後に行なう。重合工程は、モノマー含有液付着操作及び酸化剤含有液浸漬操作以外の操作(図に示すように、乾燥等の操作)を含んでもよい。図3では、酸化剤含有液浸漬後の乾燥のみ示しているが、モノマー付着後にも乾燥を行なってもよい。
測定は、重合工程を1回または複数回行なうごとに行なう。重合工程を1回行なうごとに測定を行なうことが好ましい。
測定方法は特に限定されないが、本発明は、複数の導体を固定した支持板またはそうした支持板を複数まとめた支持枠ごと操作を行なう固体電解コンデンサ素子の製造方法に好適に適用され、このような製造方法では、支持板または支持枠をレール上において移動させるか、適当な掴持手段によって保持して移動させて順次処理を行なうため、これらの移動手段の特定区画に計量手段を設けるか移動手段自体に計量機能を持たせて測定すればよい。
一般に固体電解コンデンサ素子の製造では、1導体1工程あたりに形成される固体電解質層の質量は数μg程度であり、その精密測定には困難が伴う。また、テンポリラリーバーやハンドリングフレーム上の位置により形成される固体電解質層の質量が異なる場合も多く、個別の導体をサンプリングして測定しても重合操作の適否を的確に判断できない。これに対し、複数の導体を固定した支持板または支持板を複数まとめた支持枠ごと質量を測定する本発明の好適実施態様では、1工程あたりに形成される固体電解質層の総質量は数mg程度に及び、かつその値はテンポリラリーバーやハンドリングフレーム上の位置によらない値であるため、重合操作の適否を的確に判断できる。さらに、個別の導体を系から取り出して測定するのではないため、サンプリングによる損失もない。
本発明では、好ましくは、測定した重合質量から最終重合質量を推定し、最終重合質量を制御する。すなわち、導体上に形成される固体電解層の質量は重合工程の繰り返し回数に応じてほぼ直線的に増加しており、その増加量/回は製造ロット間ではバラツキを有するが、同一ロットではほぼ一定である。このため、1回または複数回の重合工程ごとに測定を行なうことにより、予定する回数の重合工程を経た最終重合質量を予測することが可能となる。
すなわち、重合操作終了毎に質量増加量を測定し、質量増加曲線を確認しながら、重合を継続する。その際、質量はほぼ直線的に増加していくので、最終重合質量を推定し所定の最終重合質量になるように条件を制御して重合を継続する。
最終重合質量を制御する手法は特に限定されず、重合操作に関する諸条件、例えばモノマー濃度、酸化剤濃度、浸漬時間、浸漬速度、引き上げ速度、重合炉温度、湿度、保持時間などを変更すればよいが、好ましくは、酸化剤含有液からの引き上げ速度を変える。例えば、重合質量を減少させるためには、通常、引き上げ速度を増大させる。反対に、重合質量を増加させるためには、通常、引き上げ速度を減少させる。速度調整の具体的な値は用いる製造システムやロットにより異なり、変更後の質量増加量を測定して最適値になるようにさらに制御すればよい。
あるいは、重合工程を実施する回数を変更してもよい。例えば、目標最終重合回数より3回程度前の重合質量を確認し、最終重合回数を変更する。
本発明の方法は、モノマー含有液を付着させた導体を酸化剤含有液に浸漬する重合工程を繰り返して導体表面上に固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法であれば、いずれの方法にも適用できるが、特にモノマーを含む溶液に浸漬して引き上げを行なった後乾燥させ、次いで、酸化剤を含む溶液に浸漬して引き上げて乾燥させる方法に好適に適用される。また、通常、この浸漬から固体電解質形成操作は実験的、経験的に数回から数十回の中で最適と思われる回数に固定して行われる。その典型的な条件は以下の通りである(但し、これらは例示であって本発明を限定するものではない)。
本発明における質量測定に供される素子数は、質量測定装置の精度、各溶液の種類、処理条件に依存し特に限定されないが、概ね300〜100000素子の間さらに好ましくは、3000〜10000素子が望ましい。同時に計量される素子数が少ないと、測定のバラツキが増え増加量の信頼性が低下する。
固体電解コンデンサ素子用導体は一般的には、弁作用を有する金属である。本発明に使用できる弁作用を有する金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、珪素などの金属単体、またはこれらの合金である。また多孔質の形態については、圧延箔のエッチング物、微粉焼結体などの多孔質成形体の形態であればいずれでもよい。さらに、この金属多孔体の表面に誘電体酸化皮膜を形成する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、アルミニウム箔を使用する場合には、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、またはそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩などを含む水溶液中で陽極酸化して酸化皮膜を形成することができる。また、タンタル粉末の焼結体を使用する場合には、リン酸水溶液中で陽極酸化して、焼結体に酸化皮膜を形成することができる。
次に陰極としての固体電解質を形成する。そのための各溶液への浸漬及び溶液の成分は特に限定されないが、典型的には以下の通りである。
モノマーを含む溶液に浸漬後乾燥し、誘電体表面上及び重合体組成物上にモノマーを供給する。さらに、誘電体表面上及び重合体組成物上にモノマーを均一に付着させるためにモノマー含有液を含浸後、一定の時間空気中で放置し溶媒を気化させる。この条件は溶媒の種類によって変わるが、概ね0℃以上から溶媒の沸点までの温度で行う。放置時間は、溶媒の種類によって変わるが、概ね5秒〜15分、例えばアルコール系溶媒では、5分以内でよい。この放置時間を設けることによりモノマーが誘電体表面上に均一に付着し、さらに次工程の酸化剤含有液への浸漬時の汚れを少なくすることができる。
次の工程として適用される酸化剤溶液の浸漬時間は、酸化剤成分が金属箔基板の誘電体表面上に付着するに十分な時間以上であればよく、通常15分未満、好ましくは0.1秒〜10分、より好ましくは1秒〜7分とする。また、酸化剤溶液からの引き上げ速度は、酸化剤の付着量に関係する。このため通常1.0mm/sec〜20mm/sec、好ましくは2.0mm/sec〜1.0mm/secに設定する。
酸化剤としては、水溶液系の酸化剤と有機溶剤系の酸化剤が挙げられる。本発明で好ましく使用される水溶液系の酸化剤としては、ペルオキソ二硫酸及びそのNa塩、K塩、NH4塩、硝酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)等が挙げられる。また、有機溶剤系の酸化剤としては、有機スルホン酸の第二鉄塩、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)等が挙げられる。
本発明の酸化剤溶液の溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、または水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは、水、アルコール類またはケトン類あるいはそれらの混合系が望ましい。
なお、酸化剤溶液の濃度は特に限定されないが5〜50質量%が好ましく、また酸化剤溶液の温度は−15〜60℃が好ましい。
本発明に用いられる固体電解質を形成する導電性重合体はπ電子共役構造を有する有機重合体モノマーの重合体であり、重合度2以上2000以下、より好ましくは3以上1000以下、さらに好ましくは5以上200以下である。具体例としては、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられる。
モノマーとしては、チオフェン骨格または多環状スルフィド骨格を有する化合物が好ましい。これら化合物の重合条件等には特に制限はなく、簡単な実験により予め好ましい条件を確認した上で容易に実施することができる。
また、上記モノマー群から選ばれる化合物を併用し、共重合体として固体電解質を形成させても良い。その時の重合性単量体の組成比などは重合条件等に依存するものであり、好ましい組成比、重合条件は簡単なテストにより確認できる。
こうして形成された導電性重合体組成物層の上に、陰極リード端子との電気的接触を良くするために導電体層を設けることが好ましい。導電体層は例えば導電ペースト、メッキや蒸着、導電樹脂フィルムの貼付等により形成される。
かくして得られる固体電解コンデンサ素子は、通常、リード端子を接続して、例えば樹脂モールド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂ディッピング等による外装を施すことにより、各種用途のコンデンサ製品とする。図2に示すように複数のコンデンサ素子を積層して積層型コンデンサとしてもよい。
また、本発明は、上述した製造方法を実施するための製造装置を含む。
この製造装置は、導体にモノマー含有液を付着させる手段(例えば、モノマー含有液液槽)、酸化剤含有液槽、必要に応じて設けられる加熱及び/または気流による乾燥装置、及び、複数の導体を保持した支持板または支持枠を移動させ、その導体のみにモノマー含有液を付着させ、酸化剤含有液に浸漬する移動手段、及び導体上、好ましくは支持板または支持枠ごとのその質量を計量する手段を含む。計量手段は好ましくは自動計量手段であり、支持板または支持枠が所定の位置に搬送されてきたときにその計量を行なう。
製造装置は制御手段を含んでもよい。制御手段は、支持板または支持枠が所定の位置に搬送されてきたときにその計量を行ない、その値を記憶して質量増加曲線を形成して最終重合質量を予測し、予め指示された手法により最終重合質量を所定の範囲内に調整する。
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
実施例1
(a)支持板への導体の取り付け
アルミニウム箔表面に慣用の方法により化成処理を施して形成したアルミニウム化成箔(厚み100μm)を1片が3mm×10mmの矩形状となるように切り出した。この化成箔30枚を短辺(3mm)側の端部から2mm迄がステンレス鋼製支持板(224mm×15mm×1.0mm(SUS304製)。以下、テンポラリーバーという。)に重なるように4mm間隔で1列にハンダ付けした。次いで、各化成箔について、長軸方向を4mmと5mmの部分に区切るように、両面に幅1mmのフッ素樹脂を周状に塗布、乾燥させマスキングを作成した。このテンポラリーバー100本を一つの支持枠(以下ハンドリングフレームという)にセットした。
(b)導体表面への皮膜形成
上記のハンドリングフレームを、5質量%アジピン酸アンモニウム水溶液上に移動させ、前記溶液に向けて垂直に降下させることにより、各化成箔の3mm×4mmの部分を溶液に浸漬させ、そのまま、4Vの電圧を印加して切り口部分に化成し、誘電体酸化皮膜を形成した。
(c)モノマー溶液への浸漬と引き上げ
次に、このハンドリングフレーム全体の質量を測定し、その後3,4−エチレンジオキシチオフェンを溶解させた2.0mol/Lのイソプロピルアルコール(IPA)溶液(モノマー溶液)上に移動させ、前記溶液に向けて垂直に降下させることにより、各化成箔の3mm×4mmの部分を溶液に3秒間浸漬させた。引き続き室温で2分間乾燥した。
(d)酸化剤溶液への浸漬とその後の処理
一方、20質量%の過硫酸アンモニウム水溶液(酸化剤溶液)を調整し、酸化剤槽に所定量を張り込み、前記のハンドリングフレームをこの溶液上に移動し、各化成箔の3mm×4mmの部分を前記溶液に5秒間浸漬させた。引き上げ速度は5.0mm/secで実施した。その後、10分間重合促進槽に保持し、重合膜を形成させた。引き続き、ハンドリングフレーム全体の質量を測定し、(c)で測定した重合前質量を差し引いて増加量を計算、一回目の重合質量とした。
(e)繰り返し操作
次に、重合質量測定が完了したハンドリングフレームに固定した化成箔をモノマー溶液に浸漬し、室温で2分間乾燥後、酸化剤溶液に浸漬させた後、再度重合促進槽に投入した。その後ハンドリングフレーム全体の質量を測定し、(c)で測定した重合前質量を差し引いて2回目の質量増加量とした。
同様に、3回目〜6回目までハンドリングフレームに固定した化成箔を処理するごとに質量を測定し、重合前質量から差し引いた値を各重合回の増加量とした。
(d)質量の調整その1
6回目の重合質量が標準の質量に比べて多かったので、酸化剤からの引き上げ速度を4.0mm/secに変更し、7回目以降の重合を継続した。重合質量増加量は引き続き同様に計量・計算を行った。
(e)質量の調整その2
12回目の重合質量から最終重合質量を推定すると、最終重合質量が重くなると推定されたので、更に酸化剤からの引き上げ速度を、3.0mm/secに変更し、最終20回までの重合を実施した。最終的に生成したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を50℃温水中で洗浄し、その後、110℃で10分乾燥を行い、固体電解質層を形成した。
上記の重合後のハンドリングフレームからテンポラリーバー20本をサンプリングし600個の素子の平均厚みを算出した。引き上げ速度調整による重合質量増加量の変化と最終重合質量および素子厚の結果を表1にまとめて示す。
(f)コンデンサの製造
次に、固体電解質層を形成した3mm×4mmの部分を、5質量%アジピン酸アンモニウム溶液中に浸漬し、再化成を行なった。
さらに、上記アルミニウム箔の導電性重合体組成物層を形成した部分にカーボンペーストと銀ペーストを付着させて上記アルミニウム箔を4枚積層し、陰極リード端子を接続した。また、導電性重合体組成物層の形成されていない部分には陽極リード端子を溶接により接続した。この素子をエポキシ樹脂で封止した後、125℃で定格電圧(2V)を印加して2時間エージングを行い、コンデンサを完成させた。この時の未封止率と電気特性歩留まりを表2にまとめて示す。
実施例2
実施例1と同一条件で重合質量を確認しながら、重合を実施した。6回目及び12回目で酸化剤溶液からの引き上げ速度を実施例1と同じに変えて重合を継続した。19回目の重合質量が所定の重合質量の範囲に入ったので、重合を19回で完了した。実施例1と同様にして測定した結果を表1、2にまとめて示す。
実施例3
最初の酸化剤溶液からの引き上げ速度を4.0mm/secに設定した以外は、実施例1と同一条件で重合質量を確認しながら、重合を実施した。6回目の重合質量を確認後、酸化剤溶液からの引き上げ速度を5.0mm/secに変更して重合を継続し、更に12回目以降酸化剤溶液からの引き上げ速度を6.0mm/secに変更して最終20回まで重合継続した。実施例1と同様にして測定した結果を表1、2にまとめて示す。
比較例1
酸化剤溶液からの引き上げ速度を5.0mm/secに固定し、また重合回数も20回に固定して重合操作を実施した。その他の条件は実施例1と同様に設定して、固体電解質層を形成した。同様にして測定した結果を表1、2に示す。
比較例2、3
比較例1とまったく同一の条件で、日を変えて重合を実施した。同様にして測定した結果を表1、2に示す。
Figure 0004826198
Figure 0004826198
上記表に示すように、重合途中の重合質量により、引き上げ速度を調整又は重合回数を調整した実施例では、調整しないで重合させた場合と比べてロット間の固体電解質層の膜厚が平均化される。また、実施例では比較例に対して未封止率が低減しているとともに、電気特性歩留まりも改善されている。これは、製造途中でのフィードバックにより、最終層厚が調整されるだけでなく、極端に薄い電解質層や極端に厚い電解質層が形成されることも避けられることによると考えられる。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、従来法では管理困難な不均一化を解消ないし防止するものであり、重合質量の増加量の測定と、酸化剤からの引き上げ速度の調整、最終重合回数の変更の組み合わせ等により管理外要因の影響にかかわらず素子へのモノマー付着量を均一化する。本発明によれば、固体電解質層の層厚の制御、特に層厚の平均化が可能になるため、電気特性の均一化された固体電解コンデンサを得ることができる。特に積層時に素子ずれなどの不具合の少ない、封止時に未封止が起きにくい積層型固体電解コンデンサの製造方法が提供される。
固体電解コンデンサ用コンデンサ素子の典型的な構造を示す断面図。 コンデンサ素子を積層して得られる固体電解コンデンサの典型的な構造を示す断面図。 本発明の製造方法の特徴部分を模式的に示すブロック図。
符号の説明
1 陽極基体
2 酸化皮膜層
3 固体電解質層
4 導電体層
5 マスキング層
6 固体電解コンデンサ素子
7 陽極リード
8 陰極リード
9 封止樹脂

Claims (10)

  1. モノマー含有液を付着させた導体を酸化剤含有液に浸漬する重合工程を繰り返して導体表面上に固体電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、前記重合工程のいずれかの時点で重合質量を測定して、最終重合質量を推定し以後の操作により最終重合質量を制御することを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  2. 重合工程を1回または複数回行なうごとに前記重合質量の測定を行なう請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  3. 測定した重合質量から最終重合質量を推定し、酸化剤含有液からの引き上げ速度を変えて、最終重合質量を制御する請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  4. 測定した重合質量から最終重合質量を推定し、重合工程を実施する回数を変えて、最終重合質量を制御する請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  5. 複数の導体を導体支持板に固定し、導体のみにモノマー含有液を付着させ、導体のみを酸化剤含有液に浸漬し、導体を固定した状態で支持板重量を測定することにより、支持板上の導体に形成された重合体質量の合計を測定する請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  6. 複数の前記導体支持板を支持枠に固定し、導体のみにモノマー含有液を付着させ、導体のみを酸化剤含有液に浸漬し、導体を固定した状態で支持枠重量を測定することにより、支持枠上の導体に形成された重合体質量の合計を測定する請求項5に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  7. 導体が、表面に誘電体皮膜を形成した微細孔を有する弁作用金属材料である請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造される固体電解コンデンサ素子。
  9. 請求項8の固体電解コンデンサ素子を複数積層してなる積層型固体電解コンデンサ。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法を採用する固体電解コンデンサ製造装置。
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