JP2006324656A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDF

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博 小沼
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Abstract

【課題】 素子膜厚のバラツキが少なく、積層時に素子ずれなどの不具合の少ない、封止時に未封止が起きにくい積層型固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 固体電解コンデンサ素子用導体を複数個、支持板に列状に取り付け、この導体列をモノマー含有溶液と酸化剤含有溶液に順次浸漬し引き上げることにより各導体表面上に固体電解質層を形成するに際し、各導体の高さが異なるように支持板を引き上げる工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法、それにより製造される固体電解コンデンサ素子、その固体電解コンデンサ素子を複数積層してなる積層型固体電解コンデンサ。
【選択図】図4

Description

本発明は、導電性重合体を固体電解質層として用いた固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
近年、電気機器のディジタル化、パーソナルコンピュータの高速化に伴い、小型で大容量のコンデンサ、高周波領域において低インピーダンスのコンデンサが要求されている。最近では、電子伝導性を有する導電性重合体を固体電解質として用いた固体電解コンデンサが提案されている。
固体電解コンデンサの基本素子(6)は、一般に、図1に示すようにエッチング処理された比表面積の大きな金属箔からなる陽極基体(1)に誘電体の酸化皮膜層(2)を形成し、この外側に対向する電極として固体の半導体層(以下、固体電解質という。)(4)を形成し、望ましくはさらに導電ペーストなどの導電体層(5)を形成して作製される。通常は固体電解質(4)(陰極部分)と陽極基体(1)との絶縁を確実とするためにさらにマスキング層(3)が設けられ、適宜、電極が付加される。
一般に、誘電体酸化皮膜上に導電性重合体を形成する手法として電解酸化重合法及び化学酸化重合法が知られている。化学酸化重合法は、反応の制御あるいは重合膜形態の制御が難しいが、固体電解質の形成が容易で、短時間に大量生産が可能であるため種々の方法が提案されている。例えば、陽極基体をモノマーを含む溶液に浸漬する工程と酸化剤を含む溶液に浸漬する工程を交互に繰り返すことにより層状構造を有する固体電解質を形成する方法が開示されている(特許文献1:特許第3187380号公報)。この方法によれば、膜厚が0.01〜5μmの層状構造の固体電解質層を形成することによって、高容量、低インピーダンス、かつ耐熱性に優れた固体電解コンデンサを製造することができるが、固体電解質層を形成する層状構造部の層間の空間部分が大きいため、コンデンサ素子を複数積層する積層型コンデンサ用の素子として、固体電解質層全体の一層の薄膜化が求められている。
また、層状構造の固体電解質層を形成することなく、コンデンサ素子の細孔内及び外表面に固体電解質を形成する方法として、モノマー化合物を含む溶液に陽極基体を浸漬した後、酸化剤溶液中で重合し、酸化剤を洗浄した後に乾燥するサイクルを繰り返す方法が開示されている(特許文献2:特開平9-306788号公報)。
このように、いずれの製造方法でも固体電解コンデンサ素子用導体(陽極基体)をモノマー含有溶液及び酸化剤含有溶液に浸漬し引き上げる操作を含むため、浸漬及び引き上げ操作を効率的に行なう必要がある。このため、通常、固体電解コンデンサ素子の製造においてはテンポラリーバーと称される支持板を用いて複数の固体電解コンデンサ素子用導体を同時に処理している。すなわち、図2に示すように、支持板(テンポラリーバー)(10)に複数の固体電解コンデンサ素子用導体(1)をハンダ付け等により取り付け、テンポラリーバーの上下動により、処理液(11)への浸漬及び引き上げ操作を行ない、必要な厚みの固体電解質層を形成した後、そのコンデンサ素子用導体をテンポラリーバーから分離してコンデンサ用素子を得ている。
特許第3187380号公報 特開平9-306788号公報
得られた素子から所定の容量の固体電解コンデンサを得るためには、図3に示すように、通常、コンデンサ素子(6)を複数個積層して陽極端子に陽極リード線(7)を接合し、固体電解質層(4)上の導電体層(図示せず)には陰極リード線(8)を接続し、さらに全体をエポキシ樹脂(9)等で完全に封止してコンデンサ部品とする。このため、個々のコンデンサ素子(6)の固体電解質層(4)の厚さが不均一であると、積層時に素子ずれなどの不具合を生じたり、積層後の厚さが厚くなり過ぎて封止の際の未封止につながるという問題がある。従って、コンデンサ素子の陰極部分の固体電解質の重合条件を綿密にコントロールして固体電解質層の厚さを調節する必要がある。しかし、テンポラリーバーを用いた方法で製造されるコンデンサ用素子では、同一のテンポラリーバーに取り付けて製造しているにも拘わらず、固体電解質層(4)の厚さが十分に均一にならない場合があり、その解決策が求められていた。
従って、本発明の課題は、上記の問題点を解決し、厚さのバラツキが小さい積層型固体電解コンデンサ用素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、テンポラリーバーに複数の固体電解コンデンサ素子用導体を取り付け、前記導体をモノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液に順次浸漬して引き上げる工程を有する固体電解コンデンサ素子の製造方法において、
(1)従来、溶液からの引き上げは導体列が水平になるように行なわれているが、この場合、各導体上の固体電解質層は、テンポラリーバーの中央部に取り付けた導体で最も厚く、両端に行くに従い層厚が低下していること、
(2)この層厚分布はテンポラリーバーを傾斜させて引き上げを行なうことによって制御し得ること、特に、
(3)モノマーを含む溶液と酸化剤を含む溶液への浸漬及び引き上げを複数回繰り返してモノマーを重合させ固体電解質層を形成する際、テンポラリーバーを傾斜させて引き上げを行ない、かつ、その傾け方(傾斜の向き)を引き上げごとに変化させること、特にその傾斜の向きを引き上げごとに左右逆転することで、素子間の固体電解質層の厚さを均一化させ得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下に示す固体電解コンデンサ素子の製造方法、これにより製造される固体電解コンデンサ素子、その固体電解コンデンサ素子を複数積層してなる積層型固体電解コンデンサ、前記製造方法を採用する固体電解コンデンサ素子製造装置、及び前記積層型固体電解コンデンサを備えた電気機器に関する。
1.固体電解コンデンサ素子用導体を複数個、支持板に列状に取り付け、この導体列をモノマー含有溶液と酸化剤含有溶液に順次浸漬し引き上げることにより各導体表面上に固体電解質層を形成するに際し、各導体の高さが異なるように支持板を引き上げる工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
2.支持板を液面に対して傾斜させて引き上げることを特徴とする前記1に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
3.引き上げ操作を複数回繰り返し、引き上げごとに前記傾斜の向きを変化させる前記1または2に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
4.酸化剤を含む溶液からの引き上げを前記傾斜の向きを変化させて行なう前記3に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
5.表面に微細孔を有する弁作用金属の薄板または箔を誘電体層形成溶液に浸漬して通電を行なうことにより誘電体酸化皮膜を形成する工程を含む前記1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
6.傾斜度(傾斜時における支持板両端の導体の高さの差/両導体間の距離)が0.05〜2.5%となるように傾斜させて引き上げを行なう前記1〜5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
7.傾斜度が0.3〜1.5%となるように傾斜させて引き上げを行なう前記6に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
8.固体電解コンデンサ素子用導体を取り付けた複数の支持板を枠体に保持し、枠体の傾斜度を制御しつつ処理液上で上下させて前記浸漬及び引き上げ操作を行なう前記1〜7のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
9.前記1〜8のいずれかに記載の製造方法により製造される固体電解コンデンサ素子。
10.前記9に記載の固体電解コンデンサ素子を複数積層してなる積層型固体電解コンデンサ。
11.前記1〜8のいずれかに記載の製造方法を採用する固体電解コンデンサ素子製造装置。
12.前記10に記載の積層型固体電解コンデンサを備えた電気機器。
本発明によれば、固体電解質層厚のバラツキが少ないコンデンサ素子を安定して作製でき、積層時の箔ずれ等の不具合が発生しにくく、封止時の未封止が発生しにくい積層型固体電解コンデンサに適した固体電解コンデンサ素子を提供することができる。
以下、添付の図面を参照しつつ本発明を説明する。
本発明の好ましい実施形態は、支持板(テンポラリーバー)(10)に取り付けた複数の導体(誘電体の酸化被膜層(2)を形成していてもよい陽極基体)(1)を処理液(11)から引き上げるに際し、各導体(1)の高さが異なるように支持板(10)を引き上げる工程を含むものであり、特に好ましくは、複数の固体電解コンデンサ素子用導体(1)を支持板(10)にその下辺に沿って列状に取り付け、この導体(1)の列をモノマー含有溶液と酸化剤含有溶液に順次浸漬し引き上げることにより各導体上に固体電解質層を形成する固体電解コンデンサ素子の製造方法において、処理液(11)からの引き上げを、列の両端の導体(1)の高さが異なるように支持板(10)を傾斜させて行なうことを特徴とする。
すなわち、従来法では、図2に示すように、十〜数十個の導体(1)を支持板(テンポラリーバー)(10)に取り付け、導体列を水平に保ったまま処理液(11)への浸漬及び引き上げを行なっているが、本発明の好ましい実施形態では、図4または図5に示すように、支持板(テンポラリーバー)(10)に複数の固体電解コンデンサ素子用導体(1)を取り付け、前記引き上げの際に支持板の端部a及びbの高さが異なるように支持板(10)を処理液(11)面に対して傾斜(但し、図4〜5では傾きを誇張して示してある。)させて引き上げを行なう。
従来法において層厚分布が中央で厚く両端で薄くなる理由の詳細は定かではないが、従来法では引き上げ時に導体に付着した溶液は、支持板(テンポラリーバー)の中央部の導体に集まって液切れし、このような液切れが起こる結果、中央部の導体厚さが厚く、両端の導体の固体電解層が厚さは薄くなると考えられる。一方、本発明の好ましい実施形態では、導体列を傾けて引き上げるため、端部aの高さが低いときには、液切れは端部aであるいは中央より端部a寄りの位置で起こり、端部bの高さが低いときには、液切れは端部bであるいは中央より端部b寄りの位置で起こる。この結果、層厚分布の制御が可能であり、傾斜の向きを引き上げごとに変える(図4〜5の操作を繰り返す)ことにより、液切れの起こる位置が平均化され、結果として、各素子間の固体電解質層の厚みが均一化するものと考えられる。
従って、本発明は、固体電解コンデンサ素子用導体を複数個、支持板に列状に取り付け、この導体列をモノマー含有溶液と酸化剤含有溶液に順次浸漬し引き上げることにより各導体表面上に固体電解質層を形成する方法・工程を含む固体電解コンデンサ素子の製造方法であれば、いずれの方法・工程にも適用できるが、モノマーを含む溶液に浸漬して引き上げを行なった後乾燥させ、次いで、酸化剤を含む溶液に浸漬して引き上げて乾燥させる前記方法・工程に好適に適用される(この態様における具体的操作の詳細は後述する。)。
また、傾きを持たせた引き上げ(以下、傾斜引き上げともいう。)は、モノマーを含む溶液からの引き上げ時にのみ行なってもよいし、酸化剤を含む溶液からの引き上げ時にのみ行なってもよく、これら両者において行なってもよい。もっとも、実際に重合が進行するのはモノマー及び酸化剤を含む溶液と空気の接触時であるため、酸化剤を含む溶液からの引き上げ時に傾斜引き上げを行なうのが好ましい。また、通常は、図4と図5で示されるように、傾斜の向きを左右交互に変化させるのが好ましい。
本発明における傾斜引き上げは、例えば、浸漬完了までは支持板を水平に保ち、酸化剤を含む溶液から引き上げる際に支持板の片側を持ち上げることにより行なってもよい。
傾斜の度合い(傾斜時における支持板両端の導体の高さの差/両導体間の距離、すなわち、傾斜時における支持板の両端の高さの差/支持板の長手方向の長さ)は、支持板や導体の大きさ及び材質、溶液の成分、粘度及び温度、支持板上の導体の間隔、引き上げ速度等にもよるが、通常は、前記定義における傾斜度が0.05〜2.5%、好ましくは0.3〜1.5%の範囲である。例えば、約225mmの長さを有する支持板を用いた場合、両端の高さの差を、通常0.1mm〜5mmの範囲内、好ましくは1mm〜3mmに設定する。傾斜が小さ過ぎると本発明の効果がない。傾斜が大き過ぎると液切れ位置が極端に偏ってしまい、却って制御が困難になる。
好適な引き上げ速度は、各溶液の種類等に依存し特に限定されないが、一般に引き上げが遅いと層厚が薄くなり、引き上げが速いと層厚が厚くなる傾向があり、例えば、500〜20,000μm/sec(好ましくは2,000〜8,000μm/sec)である。
支持板の材質や大きさ等は固体電解コンデンサ素子用導体を取り付け得るものであれば特に限定されないが、誘電体皮膜を形成する便宜を考慮して導電性の支持体が好ましい。通常、テンポラリーバーとして慣用されている材料(例えば、SUS)が使用できる。なお、支持板は固体電解コンデンサ素子用導体を一列に保持できるものであればよい(例えば、棒状であってもよい。)。
支持板に取り付ける固体電解コンデンサ素子用導体は、誘電体の酸化被膜層を形成していてもよく、酸化被膜層が形成される陽極基体として用いられる材料は、すべての慣用の材料及び陽極基体として利用可能なものを含むが、一般的には、弁作用を有する金属である。本発明に使用できる弁作用を有する金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、珪素などの金属単体、またはこれらの合金である。また多孔質の形態については、圧延箔のエッチング物、微粉焼結体などの多孔質成形体の形態であればいずれでもよい。
導体は、これら金属の多孔質焼結体、エッチング等で表面処理された板(リボン、箔等を含む。)、線等が使用できるが、好ましくは平板状、箔状のものである。さらに、この金属多孔体の表面に誘電体酸化皮膜を形成する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、アルミニウム箔を使用する場合には、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、またはそれらのナトリウム塩、アンモニウム塩などを含む水溶液中で陽極酸化して酸化皮膜を形成することができる。また、タンタル粉末の焼結体を使用する場合には、リン酸水溶液中で陽極酸化して、焼結体に酸化皮膜を形成することができる。
前記のように支持板を導電性の支持板とした場合、例えば、モノマー含有溶液への浸漬に先立ち、表面に微細孔を有する弁作用金属の薄板または箔を支持板に取り付け、これを誘電体層形成溶液に浸漬して通電を行なうことにより誘電体酸化皮膜を形成することが好ましい。
導体の厚さは、使用目的によって異なるが、例えば、厚みが約40〜300μmの箔が使用される。薄型の固体電解コンデンサとするためには、例えばアルミニウム箔では、80〜250μmのものを使用し、固体電解コンデンサを設けた素子の最大高さを250μm以下となるようにすることが好ましい。金属箔の大きさ及び形状も用途により異なるが、平板状素子単位として幅約1〜50mm、長さ約1〜50mmの矩形のものが好ましく、より好ましくは幅約2〜15mm、長さ約2〜25mmである。
このような導体を支持板に10〜50個程度取り付けることで、これらを支持板の下辺に沿って平行に列状に配置する。取り付け方法は特に限定されず、通常は、ハンダ付け、溶接等により行なう。支持板をさらにハンドリングフレームと称される支持枠に数10〜数100枚ずつをセットし処理してもよい。
化成に用いる化成液、化成電圧等の化成条件は、製造される固体電解コンデンサに必要な容量、耐電圧等に応じて、予め実験により確認し適当な値に設定する。好適な態様について後に詳述する。なお、前述の通り、化成処理に際しては、化成液が固体電解コンデンサの陽極となる部分に滲み上がるのを防止し、かつ固体電解質層形成工程で形成される固体電解質(4)(陰極部分)との絶縁を確実とするために一般的にマスキング(3)が設けられる。
マスキング材としては一般的な耐熱性樹脂、好ましくは溶剤に可溶あるいは膨潤しうる耐熱性樹脂またはその前駆体、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物などが使用できるが、材料は制限されない。具体例としてはポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、低分子量ポリイミド及びそれらの誘導体及びその前駆体などが挙げられ、特に低分子量ポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂及びそれらの前駆体が好ましい。
本発明によって形成される導電性重合体の固体電解質層は、好ましくは、フィブリル構造あるいはラメラ(薄い層状)構造をなしており、このような構造では広範囲に亘る重合体鎖間の重なりがある。本発明では、固体電解質層の全体の厚さを40〜150μmの範囲にすることが可能である。
本発明は、前記方法・工程を含む固体電解コンデンサ素子の製造方法であれば、いずれの方法・工程にも適用できるが、特に、弁作用金属多孔体基板を酸化剤溶液に浸漬した後乾燥して、酸化剤溶液濃度を基板上で徐々に高める工程を含む有機重合体モノマーの化学酸化重合に好適に適用できる。より詳細に言えば、モノマーを陽極基体の微細孔を有する誘電体皮膜上に付着させ、導電性重合体のドーパントとなり得る化合物の存在下、酸化的重合を生起させ、生じた重合体組成物を該固体電解質として誘電体表面上に形成させる。
この態様における各溶液への浸漬及び溶液の成分は特に限定されないが、典型的には以下の通りである。
本発明におけるモノマーを含む溶液に浸漬後乾燥する工程1は、誘電体表面上及び重合体組成物上にモノマーを供給するために実施される。さらに、誘電体表面上及び重合体組成物上にモノマーを均一に付着させるためにモノマー含有液を含浸後、一定の時間空気中で放置し溶媒を気化させる。この条件は溶媒の種類によって変わるが、概ね0℃以上から溶媒の沸点までの温度で行う。放置時間は、溶媒の種類によって変わるが、概ね5秒〜15分、例えばアルコール系溶媒では、5分以内でよい。この放置時間を設けることによりモノマーが誘電体表面上に均一に付着し、さらに次工程の酸化剤含有液への浸漬時の汚れを少なくすることができる。
モノマーの供給は、モノマーを含有する溶液に用いられる溶剤の種類、モノマー含有液の濃度、溶液温度、浸漬時間等によって制御することができる。
工程1で適用される浸漬時間は、含有液中のモノマー成分が金属箔基板の誘電体表面上に付着するに十分な時間以上15分未満の時間、好ましくは0.1秒〜10分、より好ましくは1秒〜7分とする。
また、浸漬温度は、−10〜60℃が好ましく、0〜40℃が特に好ましい。−10℃未満では、溶剤が揮発するのに時間がかかり反応時間が長くなることから好ましくなく、60℃を超えると、溶剤及びモノマーの揮発を無視することができず濃度管理が困難になる。
モノマー含有液の濃度は特に限定されず、任意の濃度のものを用いることができるが、弁作用金属の微細孔内への含浸性が優れた3〜70質量%が好ましく、より好ましくは25〜45質量%で使用される。
工程1で使用される溶液の溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン等の非芳香族性の塩素系溶媒;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類または水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは、アルコール類またはケトン類あるいはそれらの混合系が望ましい。
本発明においてモノマーは、酸化剤含有液への浸漬及び一定の温度範囲において所定時間空気中で保持する工程2により酸化重合されるが、重合膜の形態をより緻密にするためには、空気中で保持する酸化重合を主とする方法が好ましい。空気中で保持する温度は、モノマーの種類により異なるが、例えばピロールでは5℃以下でよく、チオフェン系では約30〜60℃を必要とする。
重合時間は浸漬時のモノマーの付着量による。付着量はモノマー及び酸化剤含有液の濃度や粘度等で変わるので一概に規定できないが、一般に1回の付着量を少なくすると重合時間を短くすることができ、また1回の付着量を多くするとより長い重合時間が必要となる。本発明では、一回の重合時間は10秒〜30分、好ましくは3〜15分とする。
工程2として適用される浸漬時間は、酸化剤成分が金属箔基板の誘電体表面上に付着するに十分な時間以上15分未満の時間、好ましくは0.1秒〜10分、より好ましくは1秒〜7分とする。
工程2において用いられる酸化剤としては、水溶液系の酸化剤と有機溶剤系の酸化剤が挙げられる。本発明で好ましく使用される水溶液系の酸化剤としては、ペルオキソ二硫酸及びそのNa塩、K塩、NH4塩、硝酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)等が挙げられる。また、有機溶剤系の酸化剤としては、有機スルホン酸の第二鉄塩、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸鉄(III)、p−トルエンスルホン酸鉄(III)等が挙げられる。
本発明の工程2において用いられる溶液の溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、または水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは、水、アルコール類またはケトン類あるいはそれらの混合系が望ましい。
なお、酸化剤溶液の濃度は5〜50質量%が好ましく、また酸化剤溶液の温度は−15〜60℃が好ましい。
本発明によれば、後述の実施例に示すように、誘電体酸化皮膜を有するアルミニウム箔を、例えば3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)のイソプロピルアルコール(IPA)溶液に含浸し、これを風乾してIPAを殆ど除去した後、約20質量%の酸化剤(過硫酸アンモニウム)水溶液に含浸後、40℃程度で10分間加熱することで、また、本工程を繰り返し実施することでポリマー(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の重合体を得ることができる。
本発明に用いられる固体電解質を形成する導電性重合体はπ電子共役構造を有する有機重合体モノマーの重合体であり、重合度2以上2000以下、より好ましくは3以上1000以下、さらに好ましくは5以上200以下である。具体例としては、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられる。
チオフェン骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルチオフェン、3−エチルオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−フルオロチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シアノチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3,4−ブチレンチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、一般には市販されている化合物または公知の方法(例えばSynthetic Metals誌, 1986年, 15巻, 169頁)で準備できる。
多環状スルフィド骨格を有するモノマーの具体例としては、1,3−ジヒドロ多環状スルフィド(別名、1,3−ジヒドロベンゾ[c]チオフェン)骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフト[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が使用できる。さらには1,3−ジヒドロアントラ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物、1,3−ジヒドロナフタセノ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物を挙げることができる。これらは公知の方法、例えば特開平8-3156号公報記載の方法により準備することができる。
また、1,3−ジヒドロナフト[1,2−c]チオフェン骨格を有する化合物が、1,3−ジヒドロフェナントラ[2,3−c]チオフェン誘導体や、1,3−ジヒドロトリフェニロ[2,3−c]チオフェン骨格を有する化合物が、1,3−ジヒドロベンゾ[a]アントラセノ[7,8−c]チオフェン誘導体なども使用できる。
縮合環に窒素またはN−オキシドを任意に含んでいる化合物も使用でき、例えば、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリンや、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4−オキシド、1,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]キノキサリン−4,9−ジオキシド等を挙げることができる。
ピロール骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−ブチレンピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレンジオキシピロール等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
フラン骨格を有するモノマーとしては、例えば、3−メチルフラン、3−エチルフラン、3−プロピルフラン、3−ブチルフラン、3−ペンチルフラン、3−ヘキシルフラン、3−ヘプチルフラン、3−オクチルフラン、3−ノニルフラン、3−デシルフラン、3−フルオロフラン、3−クロロフラン、3−ブロモフラン、3−シアノフラン、3,4−ジメチルフラン、3,4−ジエチルフラン、3,4−ブチレンフラン、3,4−メチレンジオキシフラン、3,4−エチレンジオキシフラン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は市販品または公知の方法で準備できる。
アニリン骨格を有するモノマーとしては、例えば、2−メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、2−ブチルアニリン、2−ペンチルアニリン、2−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、2−オクチルアニリン、2−ノニルアニリン、2−デシルアニリン、2−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、2−シアノアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,3−ブチレンアニリン、2,3−メチレンジオキシアニリン、2,3−エチレンジオキシアニリン等の誘導体を挙げることができる。これらの化合物は、市販品または公知の方法で準備できる。
これらの中でも、チオフェン骨格または多環状スルフィド骨格を有する化合物が好ましく、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)、1,3−ジヒドロイソチアナフテンが特に好ましい。
上記化合物群から選ばれる化合物の重合条件等には特に制限はなく、簡単な実験により予め好ましい条件を確認した上で容易に実施することができる。
また、上記モノマー群から選ばれる化合物を併用し、共重合体として固体電解質(4)を形成させても良い。その時の重合性単量体の組成比などは重合条件等に依存するものであり、好ましい組成比、重合条件は簡単なテストにより確認できる。
例えば、EDTモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態において、前後して別々にまたは一緒に金属箔の酸化皮膜層に付着させて形成する方法等が利用できる(特許第3040113号公報、米国特許第6229689号公報)。
また、モノマーを含む溶液もしくは酸化剤を含む溶液を微粒子を含む懸濁液として、導電性重合体膜の形成を促進する方法が提案されており、微粒子として導電性ポリマー粒子を添加する方法(特許第3478987号公報)、ポリマー微粒子を含むコロイド粒子を添加する方法(特開平9-306788号公報)、無機微粒子を添加する方法(特開平11-283875号公報)が開示されている。本発明でもこれらの方法を用いることができる。
本発明において好ましく使用される3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)は、上記の一価アルコールによく溶けるが、水とはなじみが良くないため高濃度の酸化剤水溶液と接触させたときには、EDTはその界面において重合が良好に進行して、フィブリル構造あるいはラメラ(薄い層状)構造の導電性重合体固体電解質層が形成される。
このようにして製造された固体電解質の電気伝導度は、約0.1〜約200S/cmの範囲であるが、好ましくは約1〜約150S/cm、さらに好ましくは約10〜約100S/cmの範囲である。
こうして形成された導電性重合体組成物層の上に、陰極リード端子との電気的接触を良くするために導電体層を設けることが好ましい。導電体層は例えば導電ペースト、メッキや蒸着、導電樹脂フィルムの貼付等により形成される。
本発明では、導電体層を形成した後に圧縮することもできる。例えば弾性体を含む導電体層の場合には圧縮により塑性変形してさらに薄くさせることができ、かつ導電体層表面を平滑化させる効果もある。
かくして得られる固体電解コンデンサ素子は、通常、リード端子を接続して、例えば樹脂モールド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂ディッピング等による外装を施すことにより、各種用途のコンデンサ製品とする。
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
実施例1
(a)支持板への導体の取り付け
アルミニウム箔表面に慣用の方法により化成処理を施して形成したアルミニウム化成箔(厚み100μm)を1片が3mm×10mmの矩形状となるように切り出した。この化成箔30枚を短辺(3mm)側の端部から2mm迄がステンレス鋼製支持板(224mm×15mm×1.0mm(SUS304製)。以下、テンポラリーバーという。)に重なるように4mm間隔で1列にハンダ付けした。次いで、各化成箔について、長軸方向を4mmと5mmの部分に区切るように、両面に幅1mmのフッ素樹脂を周状に塗布、乾燥させマスキングを作成した。
(b)導体表面への皮膜形成
アルミニウム化成箔を列状に取り付けたこのテンポラリーバーを、5質量%アジピン酸アンモニウム水溶液上に移動させ、前記溶液に向けて垂直に降下させることにより、各化成箔の3mm×4mmの部分を溶液に浸漬させ、そのまま、4Vの電圧を印加して切り口部分に化成し、誘電体酸化皮膜を形成した。
(c)モノマー溶液への浸漬と引き上げ
次に、このテンポラリーバーを3,4−エチレンジオキシチオフェンを溶解させた2.0mol/Lのイソプロピルアルコール(IPA)溶液(モノマー溶液)上に移動させ、前記溶液に向けて垂直に降下させることにより、各化成箔の3mm×4mmの部分を前記溶液に3秒間浸漬させた。これを化成箔列を水平に保ったまま引き上げ、室温で2分間乾燥した。
(d)酸化剤溶液への浸漬と引き上げ
一方、20質量%の過硫酸アンモニウム水溶液(酸化剤溶液)を調整し、前記のテンポラリーバーをこの溶液上に移動し、前記溶液に向けて垂直に降下させることにより、各化成箔の3mm×4mmの部分を前記溶液に浸漬させた。5秒経過後、テンポラリーバーの右側だけを2mm上昇させ、続いて全体を過硫酸アンモニウム水溶液から引き上げた。この時の引き上げ速度は3200μm/secで実施した。続いてこのアルミニウム箔を40℃の大気中で10分間放置して酸化的重合を進行させた。
(e)繰り返し処理
以上の(c)〜(d)の各浸漬工程及び重合工程を全体で20回実施したが、(d)工程の過硫酸アンモニウム水溶液への浸漬では、奇数回はテンポラリーバーの右側、偶数回はテンポラリーバーの左側を2mmだけ、それぞれ引き上げ前に上昇させた後テンポラリーバーの全体を引き上げた。最終的に生成したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を50℃温水中で洗浄し、その後、110℃で10分乾燥を行い、固体電解質層を形成した。
上記の実験を同一条件で行ない、合計で600個の素子を作成した。この素子(アルミニウム箔)を膜厚計(Peacock社製:デジタルダイヤルゲージ DG-205,精度3μm)の測定部にゆっくりと挟んで厚みを測定した。600素子の平均膜厚及び標準偏差(σ/平均膜厚)を、製造条件とともに表1にまとめて示す。
(f)コンデンサの製造
次に、固体電解質層を形成した3mm×4mmの部分を、5質量%アジピン酸アンモニウム溶液中に浸漬し、再化成を行なった。
さらに、上記アルミニウム箔の導電性重合体組成物層を形成した部分にカーボンペーストと銀ペーストを付着させて上記アルミニウム箔を4枚積層し、陰極リード端子を接続した。また、導電性重合体組成物層の形成されていない部分には陽極リード端子を溶接により接続した。この素子をエポキシ樹脂で封止した後、125℃で定格電圧(2V)を印加して2時間エージングを行い、コンデンサを完成させた。
実施例2
実施例1の引き上げ速度を3000μm/secにした以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を形成した。実施例1と同様にして測定したアルミニウム箔の厚みを測定した。素子の平均膜厚及び標準偏差(σ/平均膜厚)を、製造条件とともに表1にまとめて示す。
実施例3
実施例1の引き上げ速度を2500μm/secにしたこと以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を形成した。実施例1と同様にして測定したアルミニウム箔の厚みを測定した。素子の平均膜厚及び標準偏差(σ/平均膜厚)を、製造条件とともに表1にまとめて示す。
比較例1
実施例1において、いずれの溶液からの引き上げもテンポラリーバーを水平のまま(すなわち、斜め引き上げを実施せず)行なった以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を形成した。同様にして測定したアルミニウム箔の厚みを測定したところ、平均膜厚は201μm、標準偏差は33.6μmであった。テンポラリーバーの中央部分と両端部分のアルミニウム箔の厚みを測定したところ、それぞれ358μm、135μmであり、著しく大きな差が生じていることが確認できた。
比較例2
実施例2において、引き上げ時にテンポラリーバーの傾斜引き上げを実施しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、固体電解質層を形成した。テンポラリーバーの中央部分と両端部分のアルミニウム箔の厚みを測定したところ、それぞれ317μm、128μmであり、著しく大きな差が生じていることが確認できた。
Figure 2006324656
上記表1に示すように、テンポラリーバーを左右交互に傾斜させて処理液から引き上げた実施例1〜3では、水平引き上げの比較例1,2の場合と比べ固体電解質層の層厚が全体として平均化される(σ/平均欄)。また、表1には示さなかったが、実施例1〜3では、テンポラリーバーの中央部における導体と両端部の導体で層厚の変動が比較例1,2よりもそれぞれ数十%程度改善されており、比較例1,2に見られる中央部が極端に厚くなる現象が緩和されている。また、実施例1〜3では、引き上げ速度に関わらず最小層厚がほぼ一定になっている。従って、実施例1〜3では、異常に層厚が厚い/薄い素子が生じる問題が解消され、全体としての歩留まり向上につながる。
実施例4、比較例3
150枚のテンポラリーバーを4mm間隔で、SUSステンレス製枠体(ハンドリングフレーム)に収容し、ハンドリングフレームごと上昇・下降・傾斜を行なうことにより、実施例1及び比較例1と同様の処理を行った(本実施例4及び本比較例3)ところ、実施例4では、実施例1〜3及び比較例1,2の場合と同様に、テンポラリーバーの中央部における層厚と両端部の層厚の差が比較例3よりもそれぞれ数十%程度低減されており、比較例3に見られる中央部が極端に厚くなる現象が緩和された。
さらに、上記各実施例及び比較例について、完成したコンデンサ(素子4枚積層)を任意に抽出し、初期特性として120Hzにおける容量と損失係数(tanδ×100(%))、等価直列抵抗(ESR)及び漏れ電流を測定した。なお、漏れ電流は定格電圧を印加して1分後に測定した。その結果、いずれの場合も、本発明の製品(実施例製品)は比較例製品に対して優っていた。
本発明によれば、固体電解質層の層厚の制御、特に層厚の平均化が可能になるため、電気特性の均一化された固体電解コンデンサを得ることができる。特に積層時に素子ずれなどの不具合の少ない、封止時に未封止が起きにくい積層型固体電解コンデンサ及びその製造方法が提供される。
固体電解コンデンサ用コンデンサ素子の典型的な構造を示す断面図。 従来法における固体電解コンデンサ素子の製造プロセスを示す模式図。 コンデンサ素子を積層して得られる固体電解コンデンサの典型的な構造を示す断面図。 本発明における固体電解コンデンサ素子の製造プロセスの一部を示す模式図。 本発明における固体電解コンデンサ素子の製造プロセスの一部を示す模式図。
符号の説明
1 固体電解コンデンサ素子用導体(陽極基体)
2 誘電体(酸化皮膜)層
3 マスキング層
4 半導体(固体電解質)層
5 導電体層
6 コンデンサ素子
7 陽極リード線
8 陰極リード線
9 封止樹脂
10 支持板(テンポラリーバー)
11 処理液

Claims (12)

  1. 固体電解コンデンサ素子用導体を複数個、支持板に列状に取り付け、この導体列をモノマー含有溶液と酸化剤含有溶液に順次浸漬し引き上げることにより各導体表面上に固体電解質層を形成するに際し、各導体の高さが異なるように支持板を引き上げる工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  2. 支持板を液面に対して傾斜させて引き上げることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  3. 引き上げ操作を複数回繰り返し、引き上げごとに前記傾斜の向きを変化させる請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  4. 酸化剤を含む溶液からの引き上げを前記傾斜の向きを変化させて行なう請求項3に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  5. 表面に微細孔を有する弁作用金属の薄板または箔を誘電体層形成溶液に浸漬して通電を行なうことにより誘電体酸化皮膜を形成する工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  6. 傾斜度(傾斜時における支持板両端の導体の高さの差/両導体間の距離)が0.05〜2.5%となるように傾斜させて引き上げを行なう請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  7. 傾斜度が0.3〜1.5%となるように傾斜させて引き上げを行なう請求項6に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  8. 固体電解コンデンサ素子用導体を取り付けた複数の支持板を枠体に保持し、枠体の傾斜度を制御しつつ処理液上で上下させて前記浸漬及び引き上げ操作を行なう請求項1〜7のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により製造される固体電解コンデンサ素子。
  10. 請求項9に記載の固体電解コンデンサ素子を複数積層してなる積層型固体電解コンデンサ。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法を採用する固体電解コンデンサ素子製造装置。
  12. 請求項10に記載の積層型固体電解コンデンサを備えた電気機器。
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