JP4720338B2 - 複合材料の製造方法 - Google Patents
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Description
1.複数の基材にモノマー含有液を付着させ、次いで酸化剤含有液に順次浸漬させる工程を繰り返し行なうことにより基材表面上に重合体層を形成する複合材料の製造方法において、モノマー含有液を付着させた基材の浸漬順序を変えて繰り返しを行なうことを特徴とする複合材料の製造方法。
2.前記工程の繰り返しごとに基材の浸漬順序の変更を行なう前記1に記載の複合材料の製造方法。
3.浸漬順序をランダムに並べ替えることで浸漬順序の変更を行なう前記1または2に記載の複合材料の製造方法。
4.浸漬順序をずらすことで浸漬順序の変更を行なう前記1または2に記載の複合材料の製造方法。
5.前記繰り返し工程のいずれかの途中で酸化剤含有液の一部又は全部を新液に交換する前記1〜4のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
6.前記繰り返し工程のいずれかの終了後、次の繰り返し工程の前に酸化剤含有液の一部又は全部を新液に交換する前記1〜4のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
7.モノマー含有液を付着させた複数の基材を複数の支持部材に保持し、前記浸漬操作を支持部材ごとに行なう請求項1〜6のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
8.基材が表面に多孔質層を有する弁作用金属であり、モノマーが導電性重合体のモノマーである前記1〜7のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
9.製造される複合材料が固体電解コンデンサ素子である前記8に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
10.前記9に記載の方法により製造される固体電解コンデンサ素子。
11.前記10に記載の固体電解コンデンサ素子を用いることを特徴とする固体電解コンデンサ。
12.前記10に記載のコンデンサ素子を複数積層してなる積層型固体電解コンデンサ。
13.前記9に記載の製造方法を採用する固体電解コンデンサ製造装置。
例えば、a=>b=>c=>d=>e=>fの6個の基材を処理する場合、6個以外、例えば、5個の基材の処理が終わった時点(すなわち、基材eと基材fの間)で酸化剤含有液の交換を行なうとすれば、fから新たな工程を開始したと同視できる。つまり、以後も5個の基材の処理が終わった時点酸化剤含有液の交換を行なうと、
1巡目 a=>b=>c=>d=>e=>*=>f
2巡目 a=>b=>c=>d=>*=>e=>f
3巡目 a=>b=>c=>*=>d=>e=>f
4巡目 a=>b=>*=>c=>d=>e=>f
・・・
(上記順列中、*は新液との交換を表わす。)、液組成は新液の交換で不連続的に変化しているから、実質的には
第1回 a=>b=>c=>d=>e=>*
第2回 f=>a=>b=>c=>d=>*
第3回 e=>f=>a=>b=>c=>*
第4回 d=>e=>f=>a=>b=>*
・・・
のように、各回ごとに基材の浸漬順序を1ずつシフトさせていることになる。本願において「浸漬順序をずらす」ことには、このような態様も含まれる。なお、この場合も、新液との交換を一定回数ごとに必ず行なう必要はなく、交換する間隔は任意である。一般的には、x個の基材の処理を1サイクルとする浸漬工程を繰り返す場合、少なくともそのいずれか1の工程の途中で(すなわち、x個未満またはx個を超える数の基材の処理が済んだ時点で)液の交換を行なえばよい。なお、上述のように繰り返し工程内で実際に浸漬順序を変更する場合は、繰り返し工程のいずれかの終了後、次の繰り返し工程の前に液の交換を行なってもよい。
もっとも、本発明は、特に、基材が表面に多孔質層を有する弁作用金属であり、モノマーが導電性重合体である複合材料、特に固体電解コンデンサ素子の製造方法において特に有用である。すなわち、前述したように、固体電解コンデンサ素子の製造においては、複数のコンデンサ素子製造用基材をテンポラリーバーと称される支持板に保持し、さらにこの支持板を複数本保持できるハンドリングフレームと称される枠を用いて複数の基材を同時に処理しているが、本発明は、このようにテンポラリーバーまたはハンドリングフレームを複数個用い、連続してモノマー含有の付着、酸化剤含有溶液への浸漬操作、重合促進炉への投入操作を行なう固体電解コンデンサの製造方法において、特に有用である。この態様は、上記の説明及び図4において基材として示したa〜fを、それぞれテンポラリーバーまたはハンドリングフレーム(正確にはこれらに保持された基材の集合体)に読み替えたものに相当する。
モノマーを含む溶液に浸漬後乾燥し、誘電体表面上及び重合体組成物上にモノマーを供給する。さらに、誘電体表面上及び重合体組成物上にモノマーを均一に付着させるためにモノマー含有液を含浸後、一定の時間空気中で放置し溶媒を気化させる。この条件は溶媒の種類によって変わるが、概ね0℃以上から溶媒の沸点までの温度で行う。放置時間は、溶媒の種類によって変わるが、概ね5秒〜15分、例えばアルコール系溶媒では、5分以内でよい。この放置時間を設けることによりモノマーが誘電体表面上に均一に付着し、さらに次工程の酸化剤含有液への浸漬時の汚れを少なくすることができる。
(a)支持板への導体の取り付け
アルミニウム箔表面に慣用の方法により化成処理を施して形成したアルミニウム化成箔(厚み100μm)を1片が3mm×10mmの矩形状となるように切り出した。この化成箔30枚を短辺(3mm)側の端部から2mm迄がステンレス鋼製支持板(224mm×15mm×1.0mm(SUS304製)。以下、テンポラリーバーという。)に重なるように4mm間隔で1列に溶接した。次いで、各化成箔について、長軸方向を4mmと5mmの部分に区切るように、両面に幅1mmのフッ素樹脂を周状に塗布、乾燥させマスキングを作成した。このテンポラリーバー100本を一つの支持枠(以下ハンドリングフレームという)にセットし、同様にテンポラリーバー入りのハンドリングフレームを25セット(No.1〜No.25)準備した。
上記のハンドリングフレームNo.1〜No.25を、順次、5質量%アジピン酸アンモニウム水溶液上に移動させ、前記溶液に向けて垂直に降下させることにより、各化成箔の3mm×4mmの部分を溶液に浸漬させ、そのまま、4Vの電圧を印加して切り口部分に化成し、誘電体酸化皮膜を形成した。
次に、これらのハンドリングフレームNo.1〜No.25を、順次、3,4−エチレンジオキシチオフェンを溶解させた2.0mol/Lのイソプロピルアルコール(IPA)溶液(モノマー溶液)上に移動させ、前記溶液に向けて垂直に降下させることにより、各化成箔の3mm×4mmの部分を溶液に3秒間浸漬させた。引き続き次々に25個のハンドリングフレームを連続処理し、室温で2分間乾燥した。
一方、20質量%の過硫酸アンモニウム水溶液(酸化剤溶液)を調整し、酸化剤槽に所定量を張り込み、前記のハンドリングフレームNo.1(先頭HF)をこの溶液上に移動し、各化成箔の3mm×4mmの部分を前記溶液に5秒間浸漬させた。その後、10分間重合促進槽に保持し、重合膜を形成させた。引き続き、No.2〜No.24までのハンドリングフレームを処理した。その後、酸化剤槽から酸化剤溶液を全量抜き出し、新液を補給したのち最終ハンドリングフレーム(No.25)を浸漬させ、重合促進槽に投入した。
次に、重合促進処理が完了した先頭ハンドリングフレーム以降をモノマー溶液に浸漬し、室温で2分間乾燥後、酸化剤溶液に浸漬させた。この2巡目の浸漬では、No.23のハンドリングフレーム処理後に酸化剤溶液を全量交換し、その後、No.24、No.25のハンドリングフレームの処理を実施した。酸化剤溶液への浸漬後、いずれも、再度重合促進槽に投入した
同様に、以下、酸化剤溶液の交換後、24個のハンドリングフレームを処理するごとに酸化剤溶液を新液と交換しながら、20巡目まで重合を終了した。最終的に生成したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を50℃温水中で洗浄し、その後、110℃で10分乾燥を行い、固体電解質層を形成した。
次に、固体電解質層を形成した3mm×4mmの部分を、5質量%アジピン酸アンモニウム溶液中に浸漬し、再化成を行なった。
さらに、上記アルミニウム箔の導電性重合体組成物層を形成した部分にカーボンペーストと銀ペーストを付着させて上記アルミニウム箔を4枚積層し、陰極リード端子を接続した。また、導電性重合体組成物層の形成されていない部分には陽極リード端子を溶接により接続した。この素子をエポキシ樹脂で封止した後、125℃で定格電圧(2V)を印加して2時間エージングを行い、コンデンサを完成させた。
実施例1の酸化剤溶液の置換量を全体の15%(使用後の酸化剤溶液のうち15%を廃棄し、新液を補給した)にした以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を形成した。実施例1と同様にして測定した結果を表1、図5にまとめて示す。
25個のハンドリングフレームを処理するごとに、実施例1と同様に酸化剤溶液全量交換を実施して、固体電解質層を形成した。同様にして測定した結果を表1、図5に示す。
25個のハンドリングフレームを処理するごとに、実施例2と同様に酸化剤溶液の15%を新液と交換して、固体電解質層を形成した。同様にして測定した結果を表1、図5に示す。
ハンドリングフレームの処理順序を各サイクルでランダムに変更し、25個のハンドリングフレームを処理するごとに酸化剤溶液全量交換を実施した以外は実施例1と同様にして固体電解質層を形成した。各サイクルの処理順序はコンピュータで適宜生成した乱数により決定した。実施例1と同様に素子のサンプリングを行ない、素子厚を測定した。同様の実験を3回繰り返した。ハンドリングフレーム間の平均素子厚のバラツキ(σ)は2.21であり、平均素子厚は210.5μmであった。
ハンドリングフレームの処理順序を各サイクルでランダムに変更し、25個のハンドリングフレームを処理するごとに酸化剤溶液を交換を実施した以外は実施例2と同様にして固体電解質層を形成した。各サイクルの処理順序はコンピュータで適宜生成した乱数により決定した。実施例2と同様に素子のサンプリングを行ない、素子厚を測定した。同様の実験を3回繰り返した。ハンドリングフレーム間の平均素子厚のバラツキ(σ)は2.83であり、平均素子厚は216.2μmであった。
2 酸化皮膜層
3 固体電解質層
4 導電体層
5 マスキング層
6 コンデンサ素子
7 陽極
8 陰極
9 封止剤
11 基材
12 酸化剤
Claims (9)
- 複数の基材にモノマー含有液を付着させ、次いで酸化剤含有液に順次浸漬させる工程を繰り返し行なうことにより基材表面上に重合体層を形成する複合材料の製造方法において、モノマー含有液を付着させた基材の浸漬順序を変えて繰り返しを行なうことを特徴とする複合材料の製造方法。
- 前記工程の繰り返しごとに基材の浸漬順序の変更を行なう請求項1に記載の複合材料の製造方法。
- 浸漬順序をランダムに並べ替えることで浸漬順序の変更を行なう請求項1または2に記載の複合材料の製造方法。
- 浸漬順序をずらすことで浸漬順序の変更を行なう請求項1または2に記載の複合材料の製造方法。
- 前記繰り返し工程のいずれかの途中で酸化剤含有液の一部又は全部を新液に交換する請求項1〜4のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
- 前記繰り返し工程のいずれかの終了後、次の繰り返し工程の前に酸化剤含有液の一部又は全部を新液に交換する請求項1〜4のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
- モノマー含有液を付着させた複数の基材を複数の支持部材に保持し、前記浸漬操作を支持部材ごとに行なう請求項1〜6のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
- 基材が表面に多孔質層を有する弁作用金属であり、モノマーが導電性重合体のモノマーである請求項1〜7のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
- 製造される複合材料が固体電解コンデンサ素子である請求項8に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
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