JP4735988B2 - 自動原稿搬送装置及び原稿読取装置 - Google Patents

自動原稿搬送装置及び原稿読取装置 Download PDF

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Description

本発明は、原稿読取装置に備えられる自動原稿搬送装置の構成に関する。詳細には、この種の自動原稿搬送装置において、紙詰まりによる原稿の損傷を防止するための構成に関する。
特許文献1に開示される複写機の給紙カセットには、給紙トレイからシートをピックアップするピックアップローラと、ピックアップローラによってピックアップされたシートを給紙する給紙ローラと、シートを1枚ずつに捌く捌きローラと、を備え、ピックアップローラと給紙ローラとの間にループ検出センサを設けた給紙装置が備えられる。そして、この給紙装置は、前記ループ検出センサがONしたときは、電磁クラッチを遮断してピックアップローラの回転を停止させるように制御手段によって制御される。特許文献1は、この構成により、シートのループが過大となってジャムが発生するおそれを防止できるとする。
特開2001−72268号公報
上記特許文献1の構成は画像形成装置の給紙装置に係るものであって、上記のような給紙カセットには通常は新品の用紙がセットされるので、当該用紙に折り目や反り等が生じていることは殆どない。
一方、イメージスキャナ等の原稿読取装置にセットされる原稿は、その保存状態によっては、折り目や反りが生じていることも多い。従って、特許文献1の給紙装置の構成を画像読取装置の自動原稿搬送装置にそのまま適用した場合、例えばジャムの原因とならない程度の軽度の反りが原稿の端部に生じていると、これを前記ループ検出センサが検知して原稿の搬送が中止されてしまう。従って、原稿の搬送が頻繁に止まって読取効率が低下するおそれがあり、この点で改善の余地が残されていた。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の自動原稿搬送装置が提供される。即ち、原稿を繰り込むピックアップローラと、このピックアップローラで繰り込まれた原稿を1枚ずつ分離するための分離ローラと、前記ピックアップローラと前記分離ローラとの間に設置される撓み検知センサと、この撓み検知センサの信号が入力される制御部と、を備える。前記撓み検知センサは、撓んだ原稿によって押し上げることが可能な接触片を備える。前記制御部は、前記接触片が押し上げられた状態が所定時間継続すると、原稿の搬送を中止するように制御する。
これにより、分離ローラに搬送ミスが生じた場合でも、分離ローラとピックアップローラとの間で生じる原稿の撓みを撓み検知センサの接触片の押上げによって検知し、重度の原稿詰まりとなる前に原稿の搬送を中止することができる。この結果、原稿の損傷を防止できる。一方、原稿に生じている反りが撓み検知センサを通過して接触片を短時間押し上げるだけの場合は、原稿の搬送が中止されず、原稿搬送効率を向上させることができる。
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の自動原稿搬送装置が提供される。即ち、原稿を繰り込むピックアップローラと、このピックアップローラで繰り込まれた原稿を1枚ずつ分離するための分離ローラと、前記ピックアップローラと前記分離ローラとの間に設置される撓み検知センサと、この撓み検知センサより原稿搬送方向下流側に配置される原稿検知センサと、前記撓み検知センサ及び前記原稿検知センサの信号が入力される制御部と、を備える。前記撓み検知センサは、撓んだ原稿によって押し上げることが可能な接触片を備える。前記制御部は、前記接触片が押し上げられ、その後の所定時間内に前記原稿検知センサが原稿の搬送方向先頭及び末尾の何れも検知しない場合は、原稿の搬送を中止するように制御する。
これにより、分離ローラに搬送ミスが生じた場合でも、分離ローラとピックアップローラとの間で生じる原稿の撓みを撓み検知センサの接触片の押上げによって検知し、重度の原稿詰まりとなる前に原稿の搬送を中止することができる。この結果、原稿の損傷を防止できる。一方、原稿の先頭又は末尾に生じている反りが撓み検知センサを通過して接触片を押し上げるだけの場合は、その後に原稿検知センサが原稿の先頭又は末尾を検出して原稿の搬送が継続されることになるので、原稿搬送効率を向上させることができる。
前記の自動原稿搬送装置においては、前記制御部は、前記接触片が押し上げられ、その後の所定時間内に前記原稿検知センサが原稿の搬送方向先頭及び末尾の何れも検知しない場合は、前記分離ローラの駆動を停止し、前記ピックアップローラを逆転させて原稿を逆搬送した後、再び前記分離ローラ及び前記ピックアップローラを駆動して原稿を正方向に搬送するように制御することが好ましい。
これにより、原稿の撓みが検知された場合、原稿の搬送を中止してユーザのメンテナンス作業等を待機することなく、原稿を自動的に逆搬送及び再繰込して搬送することができる。従って、搬送が中止される頻度を顕著に減らすことができ、原稿搬送効率を良好に向上させることができる。
前記の自動原稿搬送装置においては、前記制御部は、前記原稿を逆搬送した後、前記ピックアップローラと前記原稿とを離間させ、その後に再接触させてから原稿を正方向に搬送することが好ましい。
これにより、再繰込時における原稿のピックアップ位置や向き等が当初の繰込時から変化することが期待されるので、再繰込時の分離ローラの搬送成功率を高めることができ、原稿搬送効率が一層向上する。
前記の自動原稿搬送装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ピックアップローラは、前記分離ローラの軸心まわりに揺動自在な揺動アームに支持されている。前記ピックアップローラと前記原稿との離間及び再接触は、前記揺動アームを回動させることによって行われる。
これにより、再繰込時の分離ローラの搬送成功率を高めるための簡素な構成が実現される。
前記の自動原稿搬送装置においては、昇降可能な原稿トレイを備えるとともに、前記ピックアップローラと前記原稿との離間及び再接触は、前記原稿トレイの下降及び上昇によって行われることが好ましい。
これにより、原稿トレイを昇降させることで、大量の原稿を一度にセットして効率良く読み取るのに好適な構成とすることができる。また、原稿とピックアップローラとの離間及び再接触が原稿トレイの下降及び上昇によって行われるので、再繰込時の分離ローラの搬送成功率を高めるための簡素な構成が実現される。
本発明の他の観点によれば、前記自動原稿搬送装置を備える原稿読取装置、ファクシミリ装置及びイメージスキャナ装置が提供される。
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るコピーファクシミリ複合機を示す正面断面図、図2はオートドキュメントフィーダの分離部及びピックアップローラの構成を詳細に示す要部斜視図、図3は原稿の撓み検知のための電気的構成を示すブロック図である。
図1に示すように、画像読取装置及びファクシミリ装置としてのコピーファクシミリ複合機101は、読取原稿を載置するプラテンガラスが配設された原稿台102と、この読取原稿を前記プラテンガラス上に押圧して固定する原稿台カバー103と、原稿の読取開始等を指示するための図略の操作パネルと、を備えている。
前記原稿台102の下方には図示しない装置本体部が配置されており、この装置本体部は、記録媒体としての用紙に画像を記録する図略の画像記録部や、通信回線を介して画像データを伝送するための図略の送受信部等を内蔵している。
前記原稿台カバー103には、オートドキュメントフィーダ(自動原稿搬送装置)107が配設されている。このオートドキュメントフィーダ107は、原稿台カバー103の上部に設けられた原稿トレイ11と、この原稿トレイの下方に設けられた排紙トレイ12と、を備える。
前記原稿台カバー103の内部には、原稿トレイ11と排紙トレイ12とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路13が構成されている。そして、この前記原稿搬送経路13の途中部に原稿読取位置P1,P2が設定されている。この構成で、原稿トレイ11に重ねてセットされた原稿3は、1枚ずつ分離されて湾曲状の前記原稿搬送経路13に沿って搬送され、原稿読取位置P1,P2を通過した後、排紙トレイ12へ排出される。
前記原稿台102の内部にはスキャナユニット(原稿読取部)21が備えられる。このスキャナユニット21は、前記原稿読取位置P1に対して光を照射する光源22と、原稿3からの反射光を反射させる反射ミラー23,24,25と、反射光を収束させる集光レンズ26と、この収束光を電気信号に変換して出力する電荷結合素子(CCD)27と、を備えている。
この構成で、原稿搬送経路13を搬送される原稿3は原稿読取位置P1において走査され、この原稿3からの反射光はCCD27へ導かれて結像する。この結果、CCD27は読取内容に応じた電気信号を出力することができる。この信号及び後述の密着型イメージセンサ67の信号は、適宜の変換処理後に前記画像記録部に送られて印刷されたり、前記送受信部によって他のファクシミリ装置へ通信回線を介して送信されたりする。
次に、前記原稿搬送経路13の詳細な構成を説明する。図1に示すように、原稿トレイ11から原稿搬送経路13に原稿3が供給される箇所では、分離ローラ31及びピックアップローラ32が備えられている。分離ローラ31の軸心まわりに揺動自在に揺動アーム33が取り付けられ、この揺動アーム33の先端側にピックアップローラ32が支持されている。なお、分離ローラ31、ピックアップローラ32及び揺動アーム33を駆動するための構成は後述する。
前記分離ローラ31と対向する位置に分離パッド34が設置されて、この分離パッド34はスプリングによって前記分離ローラ31の周面に押し付けられている。これら分離ローラ31と分離パッド34により分離部28が構成されており、原稿3を分離ローラ31と分離パッド34との間でニップした状態で分離ローラ31を駆動することで、原稿3を1枚ずつ分離することができる。
前記分離ローラ31のすぐ下流の位置には原稿検知センサ68が設けられている。この原稿検知センサ68は、原稿トレイ11から供給されて分離ローラ31により搬送された原稿3の先頭が、原稿検知センサ68の検知領域を横切るとONし、原稿3の末尾が通過するとOFFするように構成されている。この原稿検知センサ68は、図3に示すように、後述の制御部85に電気的に接続されている。
前記分離ローラ31の下流には、複数の搬送ローラ61,62,63,64が設けられる。これにより、前記分離ローラ31の駆動によって下流側へ搬送された原稿3は、搬送ローラ61,62,63によりニップされて更に搬送され、原稿読取位置P1を通過する。そしてこのとき、原稿3の情報が前記スキャナユニット21によって読み取られる。
原稿3は更に搬送ローラ64の駆動によって搬送され、原稿読取位置P2を通過する。この原稿読取位置P2には密着型イメージセンサ67が備えられており、この密着型イメージセンサ67とプラテンローラ65との間で原稿3をニップしながら、当該原稿3の裏面側の内容を走査できるようになっている。2つの原稿読取位置P1,P2で表裏両面の内容を読み取られた原稿3は、排紙ローラ70によって搬送され、排紙トレイ12上に排出される。
前記原稿搬送経路13に配置されるローラ(分離ローラ31、搬送ローラ61,62,63,64、排紙ローラ70等)は、図3に示す駆動部87が備える図略の電動モータによって駆動される。この駆動部87の駆動/停止は、制御部85からの信号に基づいて制御される。
次に、前記分離ローラ31及びピックアップローラ32の周辺の構成について、図2の要部斜視図を参照して詳細に説明する。
図2に示すように、前記分離ローラ31と同心させて駆動軸41が配置され、この駆動軸41と分離ローラ31との間には、第1クラッチ51が介在されている。この第1クラッチ51は一方向クラッチとして構成されており、駆動軸41が図2の矢印方向に回転するときはそれを分離ローラ31に伝達する一方、駆動軸41が反対方向に回転するとき、および分離ローラ31が駆動軸41よりも高速で回転するときは自動的に切断されて、駆動軸41が分離ローラ31に対して空回りするように構成されている。
前記揺動アーム33は、分離ローラ31を挟むように一対で配置されたアーム体35,35をビーム部36により連結した構成となっている。それぞれのアーム体35の基部は前記駆動軸41に支持されるとともに、この揺動アーム33の先端部にローラ軸42が支持される。そして、このローラ軸42に前記ピックアップローラ32が回転自在に支持されている。ピックアップローラ32は、2つのアーム体35,35に挟まれるようにして配置される。
また、前記分離ローラ31の一側の位置において、前記駆動軸41には駆動プーリ43が一体的に固定される。一方、ピックアップローラ32の一側の位置において、前記ローラ軸42には従動プーリ44が回転自在に支持されている。そして、駆動プーリ43と従動プーリ44との間には無端状の伝動ベルト45が張架される。
前記従動プーリ44とピックアップローラ32との間には、第2クラッチ52が介在されている。この第2クラッチ52も前記第1クラッチ51と同様に一方向クラッチとして構成されており、従動プーリ44が図2の矢印方向に回転するときはそれをピックアップローラ32に伝達する一方、従動プーリ44が反対方向に回転するとき、および分離ローラ32が、従動プーリ44よりも高速で回転するときは自動的に切断されて、従動プーリ44がピックアップローラ32に対して空回りするように構成されている。
前記従動プーリ44と一側のアーム体35との間には、トルクリミッタ53が配置されている。このトルクリミッタ53は、従動プーリ44が図2の矢印方向に回転しているときは、そのトルクをアーム体35に伝達して揺動アーム33を下方へ回動させる一方、当該トルクが所定の値を上回ると、従動プーリ44がアーム体35に対して空回りするように構成されている。
以上の構成で、駆動部87(図3)の図略の電動モータによって駆動軸41が図2の矢印方向に回転すると、当該回転は第1クラッチ51により分離ローラ31に伝達され、分離ローラ31が回転する。また、駆動プーリ43が駆動軸41と一体的に回転するので、この回転が伝動ベルト45を介して従動プーリ44に伝達され、従動プーリ44が図2の矢印方向に回転する。従動プーリ44の回転は第2クラッチ52によりピックアップローラ32に伝達され、ピックアップローラ32が回転する。更に、従動プーリ44の回転はトルクリミッタ53を介してアーム体35に伝達されるので、揺動アーム33は図1の鎖線で示す位置(待機位置)から下方への回動を開始する。
ピックアップローラ32は前記揺動アーム33の下方回動に伴って下降し、原稿トレイ11上に重ねてセットされている原稿3のうち、最上層の原稿3に接触する(図1の実線で示す繰込位置)。これにより、当該原稿3はピックアップローラ32により繰り込まれ、分離ローラ31と分離パッド34との間のニップ部に送られる。なお、ピックアップローラ32が原稿3に接触した時点で揺動アーム33は反力を受けるので、前記トルクリミッタ53は従動プーリ44の回転をアーム体35へ伝達しなくなり、揺動アーム33は下方への回動を停止する。
原稿3は、分離ローラ31と分離パッド34とのニップ部で1枚ずつ分離された後、下流へ搬送されて搬送ローラ61(図1)に受け渡される。ここで、回転する搬送ローラ61の周面速度は前記分離ローラ31の周面速度よりも大きくなるように設定されているため、搬送ローラ61で搬送される原稿3に分離ローラ31が連れ回って、当該分離ローラ31の回転速度が駆動軸41の回転速度を上回る。この結果、前記第1クラッチ51が切断され、分離ローラ31は駆動軸41に対して空回りする。
その後、搬送ローラ61によって送られる原稿3が分離ローラ31と分離パッド34とのニップ部を通過すると、分離ローラ31は原稿3に連れ回らなくなるので、再び第1クラッチ51が接続される。これにより、分離ローラ31は駆動軸41によって再び駆動され、ピックアップローラ32で繰り込まれた次の原稿3の搬送を開始する。
次に、原稿トレイ11に原稿3がなくなったことが図略のセンサによって検出されると、図示しない駆動部の電動モータが駆動軸41を図2の矢印とは逆方向に駆動する。すると、この駆動軸41の逆回転が駆動プーリ43及び伝動ベルト45を介して従動プーリ44に伝達され、この従動プーリ44の逆回転がトルクリミッタ53を介してアーム体35に伝達される。この結果、揺動アーム33が上方向に回動して、ピックアップローラ32が図1の鎖線の位置(待機位置)まで上昇する。なお、この駆動軸41の逆回転時は、第1クラッチ51及び第2クラッチ52が切断されるので、分離ローラ31及びピックアップローラ32が逆方向に回転することはない。
次に、原稿3の撓みを検出するための構成を説明する。図1や図2に示すように、ピックアップローラ32と分離ローラ31との間の位置に、撓み検知センサ69が配置される。この撓み検知センサ69は、図2に示すように、センサハウジング81と、このセンサハウジング81に下方突出状に支持される接触片82と、を備えている。
前記撓み検知センサ69は、一対のアーム体35,35の間であって、前記ピックアップローラ32と分離ローラ31とに挟まれた位置に設置されている。前記接触片82はセンサハウジング81に上下動自在に支持されるとともに、図略の付勢バネにより下方へ付勢されている。そして、この接触片82が前記付勢バネに抗して押し上げられるとONし、撓み検知信号を制御部85(図3)に送信するように構成されている。
図3のブロック図に示すように、オートドキュメントフィーダ107は、マイクロコンピュータ式に構成された制御部85を備える。この制御部85には、撓み検知センサ69の信号や、前記原稿検知センサ68の信号が入力される。また、制御部85にはタイマ回路(計時手段)86が接続され、その計時機能によって、駆動部87により駆動される各ローラの駆動/停止のタイミング等を正確に制御できるようになっている。
そして、本実施形態の制御部85は、駆動部87により原稿3を搬送しているときに撓み検知センサ69がONすると、当該撓み検知センサ69がON状態を継続している時間を、タイマ回路86によって計測する。そして、このON状態が所定時間継続されると、制御部85は直ちに搬送中止信号を駆動部87に送り、原稿3の搬送(画像の読取)を中止するように制御するとともに、原稿搬送異常の旨を例えば前記操作パネルのディスプレイに表示する等して報知する。
以上の制御による効果を説明する。即ち、図4に示すように、原稿トレイ11上の原稿3がピックアップローラ32によって繰り込まれた後、分離ローラ31が原稿3を下流側に搬送できずに、原稿3に対して滑って空回りする場合がある。この分離ローラ31の搬送ミスの原因は様々であるが、例えば分離ローラ31の表面の摩耗や、分離ローラ31表面への紙粉の蓄積、原稿3のシワ等が考えられる。
この場合、下流側の分離ローラ31が原稿3に対して滑って空回りする一方、ピックアップローラ32は原稿3の繰込みを継続するので、原稿3は上側に凸となるように湾曲し、ループ部を形成する。この撓みがピックアップローラ32の駆動によって進行していくと、分離ローラ31とピックアップローラ32の間で重度の原稿詰まりを生じ、原稿3のシワや破れ等の破損の原因になる。
この点、本実施形態では、原稿3に撓み(湾曲)が発生した場合、図4のように原稿3の湾曲部分が接触片82を押し上げることで、撓み検知センサ69がONする。そして、この撓み検知センサ69のON状態が所定時間継続すると、前記制御部85が分離ローラ31やピックアップローラ32の駆動を停止させることになる。従って、原稿3に撓みが形成された段階で原稿3の搬送を早期に止めることができるので、原稿3の詰まりや破損を防止することができる。
一方で、原稿トレイ11にセットされる原稿3は、その保存状態等によっては反りや折り目等のクセが付いていることも多く、このクセによって前記撓み検知センサ69がONすることが考えられる。例えば、図5には、原稿3の先頭の反り(カール部)が撓み検知センサ69の接触片82を押し上げる様子が示されている。また、図6には、原稿3の末尾の反りが撓み検知センサ69の接触片82を押し上げる様子が示されている。
なお、図5に示すような軽度の反りであれば、ピックアップローラ32の搬送及び分離ローラ31の回転によって、原稿3の先頭部が図5の鎖線で示すように正常に分離部28に送り込まれてニップされ、下流側へ問題なく搬送できる場合が殆どである。また、図6に示すように原稿3の末尾部分が反っていた場合は、既に下流側の分離ローラ31や搬送ローラ61等で当該原稿3がニップされているので、原稿3の搬送には全く支障が無い。従って、図5や図6のような場合に原稿3の搬送を中止すると、かえって読取の効率を低下させてしまう。
この点に鑑み、本実施形態では、接触片82が押し上げられて撓み検知センサ69がONとなった状態が所定時間以上継続しない場合は、制御部85は駆動部87の駆動を中止せず、原稿3の搬送を継続するように構成されている。
即ち、図4のように原稿3が分離ローラ31によって搬送されないことにより撓みが生じている場合、撓み検知センサ69の接触片82は継続して押し上げられることになる。一方、図5や図6に示すように撓み検知センサ69の接触片82を原稿3の先頭や末尾の反りが押し上げただけの場合は、原稿3が更に搬送されて反り部分が通過することにより接触片82の押上げが解除されるので、撓み検知センサ69は短時間で再びOFF状態に戻ることになる。
従って、図4のような分離ローラ31の空転による原稿3の撓みに対しては原稿3の搬送を中止して原稿3の破損等を的確に防止できる一方で、図5や図6のような原稿3の反りに対しては搬送を中止せず、原稿読取の効率を過度に低下させないようにすることができる。
以上に示すように、本実施形態のコピーファクシミリ複合機101が備えるオートドキュメントフィーダ107は、原稿3を繰り込むピックアップローラ32と、このピックアップローラ32で繰り込まれた原稿3を1枚ずつ分離するための分離ローラ31と、前記ピックアップローラ32と前記分離ローラ31との間に設置される撓み検知センサ69と、この撓み検知センサ69の信号が入力される制御部85と、を備える。また、前記撓み検知センサ69は、撓んだ原稿によって押し上げることが可能な接触片82を備える。そして前記制御部85は、前記接触片82が押し上げられた状態が所定時間継続すると、原稿3の搬送を中止するように制御する。
これにより、分離ローラ31の搬送ミスによって当該分離ローラ31とピックアップローラ32との間で原稿3が撓んだ場合、それを撓み検知センサ69で検知して、重度の原稿詰まりとなる前に原稿3の搬送を停止できる。従って、原稿3の損傷を防止できる。一方、原稿3に生じている反りが撓み検知センサ69を通過するだけの場合は、原稿3の搬送が中止されないので、読取効率の低下を防止できる。
なお、前記制御部85は、前記接触片82が押し上げられ、その後の所定時間内に、撓み検知センサ69より下流側に配置された原稿検知センサ68が原稿3の搬送方向先頭及び末尾の何れも検知しない場合は、原稿の搬送を中止するように制御することもできる。
この場合も同様に、分離ローラ31の搬送ミスによる原稿3の撓みを検出して、重度の原稿詰まりを回避できる。一方、接触片82が押し上げられた後に原稿検知センサ68が原稿3の先頭又は末尾を検知した場合は搬送を継続するので、原稿3の先頭や末尾に生じている反りが接触片82を押し上げた場合に搬送を中止することがなく、読取効率の低下を防止できる。
また、前記接触片82が押し上げられ、その後の所定時間内に、撓み検知センサ69より下流側に配置された原稿検知センサ68が原稿3の搬送方向先頭及び末尾の何れも検知しない場合は、原稿3を図7に示すように逆搬送しても良い。
この場合の構成としては、図2に示す構成において第2クラッチ52を省略するとともに、ピックアップローラ32を駆動する電動モータを別途設け、ピックアップローラ32を正逆回転駆動できるようにする。そして、原稿3の撓み部分が撓み検知センサ69の接触片82を押し上げ、その後の所定時間内に原稿検知センサ68が原稿3の先頭も末尾も検出しない場合には、前記駆動軸41の駆動を停止して分離ローラ31を停止させるとともに、原稿3を原稿トレイ11側へ戻すようにピックアップローラ32を逆回転させるのである。なお、このとき、前記第1クラッチ51は自動的に切断されるので、逆搬送される原稿3に分離ローラ31が自由に連れ回ることができる。
この逆方向の搬送によって、原稿3は前記撓みを解消しつつ、上流側へ移動する。原稿3がほぼ元の位置まで戻されると、制御部85は駆動部87を駆動し、揺動アーム33を上方へ回動させてピックアップローラ32を原稿3からいったん離間させる。そして制御部85は、直ちに揺動アーム33を下方へ回動し、ピックアップローラ32を原稿3に再接触させて正方向に回転させ、再び原稿3を下流側へ向けて(正方向に)繰り込むように制御する。
この再度の繰込時に分離ローラ31が原稿3を正常に搬送できれば、搬送を中止してユーザのメンテナンス作業を待機することなく、原稿3を継続的に読み取ることができる。また、原稿3からピックアップローラ32をいったん離間させて再接触させることで、再度の繰込時における原稿3のピックアップ位置や向き等が1回目の繰込時と比べて変化し、分離ローラ31が今度は原稿3を正常に搬送することが期待できる。
以上に示すように、図7の構成においては、前記接触片82が押し上げられ、その後の所定時間内に前記原稿検知センサ68が原稿3の搬送方向先頭及び末尾の何れも検知しない場合、前記制御部85は前記分離ローラ31の駆動を停止し、前記ピックアップローラ32を逆転させて原稿3を逆搬送した後、再び前記分離ローラ31及び前記ピックアップローラ32を駆動して原稿3を正方向に搬送するように制御する。
これにより、原稿3の撓みが撓み検知センサ69により検出されると、原稿3は元の位置まで自動的に逆搬送された後、再び繰り込まれることになる。これにより、搬送が中止される頻度を顕著に減らすことができ、読取効率が向上する。
また、前記制御部85は、原稿3をほぼ元の位置まで逆搬送した後、前記ピックアップローラ32と前記原稿3とを離間させ、その後に再接触させてから原稿3を正方向に搬送するように制御する。
これにより、再度の繰込時における原稿3のピックアップ位置や向き等が当初の繰込時から変化することが期待されるので、分離ローラ31の搬送成功率を高めることができる。
また、本実施形態において、前記ピックアップローラ32は、前記分離ローラ31の軸心まわりに揺動自在な揺動アーム33に支持されている。そして、前記ピックアップローラ32と前記原稿3との離間及び再接触は、前記揺動アーム33を回動させることによって行われる。
これにより、再繰込時の分離ローラ31の搬送成功率を高めるための簡素な構成が実現される。
なお、原稿を逆搬送して再び繰り込む構成は図8のようなイメージスキャナ装置に適用することもできる。図8は、イメージスキャナ装置の全体的な構成を示す側面断面図である。なお、図8に示す実施形態において、前述の実施形態(図1)と同一又は類似の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すイメージスキャナ装置151は、原稿3をセットするための大容量の原稿トレイ11を本体下部に備えるとともに、読取後の原稿3を排出するための排紙トレイ12を本体上部に備える。
イメージスキャナ装置151の本体の内部には、原稿トレイ11側と排紙トレイ12側とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路13が形成される。また、イメージスキャナ装置151はオートドキュメントフィーダ157を備え、このオートドキュメントフィーダ157は、前記原稿搬送経路13に沿って配置された複数の搬送ローラ61,62,63,64を備えている。
また、原稿搬送経路13の中途部には2つの原稿読取位置P1,P2が設定され、それぞれの原稿読取位置P1,P2において、密着型イメージセンサ67,67が原稿の表裏に対応するよう配置される。これにより、原稿読取位置P1,P2を通過する原稿3の表面と裏面を密着型イメージセンサ67,67で読み取ることができる。
前記原稿トレイ11は、図略のガイドレールに沿って昇降自在となるように設けられている。また、前記オートドキュメントフィーダ157は、電動モータ91と、この電動モータ91によって駆動されるピニオン92と、このピニオン92と噛合するとともに前記原稿トレイ11に取り付けられるラック93と、を備える。これにより、ピニオン92を電動モータ91によって正逆回転駆動することで、原稿トレイ11を昇降させることができる。
オートドキュメントフィーダ157は、前述の実施形態と同様に、分離ローラ31と、分離パッド34と、ピックアップローラ32と、撓み検知センサ69と、原稿検知センサ68と、を備える。ただし、図1の実施形態で備えられていた揺動アーム33が本実施形態においては省略され、ピックアップローラ32は昇降しないように構成されている。
この構成で、原稿3を読み取るときは、図略の制御部が電動モータ91を駆動し、原稿トレイ11にセットされた原稿3の最上層がピックアップローラ32に接触するように原稿トレイ11を上昇させる。そして制御部は、分離部28の分離ローラ31及びピックアップローラ32を駆動して原稿3の供給を開始し、原稿3は1枚ずつ次々と搬送されながら、密着型イメージセンサ67,67によって読み取られ、排紙トレイ12へ排出される。
なお、制御部は、原稿トレイ11上の原稿3がピックアップローラ32や分離部28によって次々と送り出され、原稿3の残量が少なくなるにつれて、徐々に原稿トレイ11を上昇させるように電動モータ91を制御する。これにより、ピックアップローラ32と原稿3とが接触可能な状態を原稿3の残量の多少にかかわらず維持し、大量にセットされた原稿3が無くなるまで原稿3を次々と搬送することができる。
また、このイメージスキャナ装置151において、分離ローラ31の搬送ミスによりピックアップローラ32と分離ローラ31との間に撓みが生じて接触片82を押し上げ、撓み検知センサ69がONになった後の所定時間内に原稿検知センサ68が原稿3の先頭も末尾も検出しなかった場合は、以下のように制御される。
即ち、オートドキュメントフィーダ157の図略の制御部は、前記分離ローラ31の駆動を停止させるとともに、原稿3を原稿トレイ11側へ戻すようにピックアップローラ32を逆回転させる。そして、この逆方向の搬送によって原稿3がほぼ元の位置まで戻ると、制御部は電動モータ91を駆動し、原稿トレイ11を下降させてピックアップローラ32を原稿3からいったん離間させる。そして制御部85は、直ちに原稿トレイ11を上昇させ、ピックアップローラ32を原稿3に再接触させて正方向に回転させ、再び原稿3を下流側へ向けて(正方向に)繰り込むように制御する。
この再度の繰込時に分離ローラ31が原稿3を正常に搬送できれば、搬送を中止してユーザのメンテナンス作業を待機することなく、原稿3を継続的に読み取ることができる。また、原稿3からピックアップローラ32をいったん離間させて再接触させることで、再度の繰込時における原稿3のピックアップ位置や向き等が1回目の繰込時と比べて変化し、分離ローラ31が今度は原稿3を正常に搬送することが期待できる。
以上に示すように、本実施形態のイメージスキャナ装置151が備えるオートドキュメントフィーダ157は、昇降可能な原稿トレイ11を備える。そして、原稿3を再繰込する際に行われる前記ピックアップローラ32と前記原稿3との離間及び再接触は、前記原稿トレイ11の下降及び上昇によって行われる。
これにより、原稿トレイ11を昇降させることで、大量の原稿を一度にセットして効率良く読み取ることができる。また、分離ローラ31による搬送ミスが発生しても、重度の原稿詰まりとなる前に原稿3の撓みを撓み検知センサ69で検出し、原稿3を逆搬送して再繰込を行うので、原稿3の損傷を防止すると同時に読取効率を向上させることができる。更には、原稿3のピックアップローラ32に対する離間及び再接触が原稿トレイ11の下降及び上昇によって行われるので、再繰込時の分離ローラ31の搬送成功率を高めるための簡素な構成が実現される。
以上に本発明の複数の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
前記接触片82の個数及び形状は、事情に応じて適宜変更することができる。また、接触片82を付勢バネにより下方へ付勢する構成に代えて、当該接触片82が自重によってセンサハウジング81から下方へ突出する構成に変更することができる。
原稿検知センサ68は、分離ローラ31より原稿搬送方向下流側に配置することに代えて、例えば撓み検知センサ69と分離ローラ31の間の位置に配置することができる。
また、原稿検知センサ68を撓み検知センサ69より原稿搬送方向下流側でなく上流側に備える構成に変更することができる。この場合、例えば、当該原稿検知センサが原稿3の先頭又は末尾を検知してから所定時間内は、接触片82が押し上げられても原稿3の搬送を中止しないように制御することが考えられる。
前記分離部28は、分離ローラ31と分離パッド34とで構成される場合に限定されず、例えば分離ローラとリタードローラとを対向配置した構成に変更することができる。また、分離部28より下流側の搬送ローラ61,62,63,64の位置、個数については、事情に応じて任意に変更することができる。
上記の構成のオートドキュメントフィーダは、オートドキュメントフィーダ・フラットベッド兼用の画像読取部に限らず、オートドキュメントフィーダ専用の画像読取部に適用することができる。
上記の構成のオートドキュメントフィーダは、コピーファクシミリ複合機やイメージスキャナ装置に限定されず、例えばコピー機能やファクシミリ機能を単独で備えるコピー機やファクシミリ装置に適用することができる。
本発明の一実施形態に係るコピーファクシミリ複合機の全体的な構成を示した正面断面図。 オートドキュメントフィーダの分離部及びピックアップローラの構成を詳細に示す要部斜視図。。 原稿の撓み検知のための電気的構成を示すブロック図。 撓み検知センサが原稿の撓みを検出する様子を示す拡大断面図。 原稿の先頭の反りによって撓み検知センサがONする様子を示す説明図。 原稿の末尾の反りによって撓み検知センサがONする様子を示す説明図。 撓んだ原稿をピックアップローラの逆搬送により原稿トレイ側へ戻す様子を示す説明図。 他の実施形態に係るイメージスキャナ装置の全体的な構成を示す側面断面図。
符号の説明
3 原稿
31 分離ローラ
32 ピックアップローラ
68 原稿検知センサ
69 撓み検知センサ
82 接触片
85 制御部
101 コピーファクシミリ複合機(ファクシミリ装置、原稿読取装置)
107 オートドキュメントフィーダ(自動原稿搬送装置)
151 イメージスキャナ装置(原稿読取装置)
157 オートドキュメントフィーダ(自動原稿搬送装置)

Claims (9)

  1. 原稿を繰り込むピックアップローラと、
    このピックアップローラで繰り込まれた原稿を1枚ずつ分離するための分離ローラと、
    前記ピックアップローラと前記分離ローラとの間に設置される撓み検知センサと、
    この撓み検知センサの信号が入力される制御部と、
    を備え、
    前記撓み検知センサは、撓んだ原稿によって押し上げることが可能な接触片を備え、
    前記制御部は、前記接触片が押し上げられた状態が所定時間継続すると、原稿の搬送を中止するように制御することを特徴とする自動原稿搬送装置。
  2. 原稿を繰り込むピックアップローラと、
    このピックアップローラで繰り込まれた原稿を1枚ずつ分離するための分離ローラと、
    前記ピックアップローラと前記分離ローラとの間に設置される撓み検知センサと、
    この撓み検知センサより原稿搬送方向下流側に配置される原稿検知センサと、
    前記撓み検知センサ及び前記原稿検知センサの信号が入力される制御部と、
    を備え、
    前記撓み検知センサは、撓んだ原稿によって押し上げることが可能な接触片を備え、
    前記制御部は、前記接触片が押し上げられ、その後の所定時間内に前記原稿検知センサが原稿の搬送方向先頭及び末尾の何れも検知しない場合は、原稿の搬送を中止するように制御することを特徴とする自動原稿搬送装置。
  3. 請求項2に記載の自動原稿搬送装置であって、
    前記制御部は、前記接触片が押し上げられ、その後の所定時間内に前記原稿検知センサが原稿の搬送方向先頭及び末尾の何れも検知しない場合は、前記分離ローラの駆動を停止し、前記ピックアップローラを逆転させて原稿を逆搬送した後、再び前記分離ローラ及び前記ピックアップローラを駆動して原稿を正方向に搬送するように制御することを特徴とする自動原稿搬送装置。
  4. 請求項3に記載の自動原稿搬送装置であって、
    前記制御部は、前記原稿を逆搬送した後、前記ピックアップローラと前記原稿とを離間させ、その後に再接触させてから原稿を正方向に搬送することを特徴とする自動原稿搬送装置。
  5. 請求項4に記載の自動原稿搬送装置であって、
    前記ピックアップローラは、前記分離ローラの軸心まわりに揺動自在な揺動アームに支持されており、
    前記ピックアップローラと前記原稿との離間及び再接触は、前記揺動アームを回動させることによって行われることを特徴とする自動原稿搬送装置。
  6. 請求項4に記載の自動原稿搬送装置であって、
    昇降可能な原稿トレイを備え、
    前記ピックアップローラと前記原稿との離間及び再接触は、前記原稿トレイの下降及び上昇によって行われることを特徴とする自動原稿搬送装置。
  7. 請求項1から6までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置を備える原稿読取装置。
  8. 請求項7に記載の原稿読取装置としてのファクシミリ装置。
  9. 請求項7に記載の原稿読取装置としてのイメージスキャナ装置。
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