以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。搬送される媒体には、綴じ目部により綴じられた冊子又はパスポート、ステイプルにより綴じられた用紙、折り目部により二つ折りにされた用紙等が含まれる。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
上側筐体102は、筐体の上部の一例であり、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。即ち、上側筐体102は、下側筐体101の上側に配置され、下側筐体101を覆う筐体カバーとして機能する。
載置台103は、搬送される媒体を載置面103a上に載置可能に下側筐体101に係合している。載置台103は、媒体の載置面103aが媒体搬送装置100の設置面に対して傾くように設けられている。載置台103は、サイドガイド107a、bを有する。各サイドガイド107a、bは、載置台103の媒体搬送方向A1と直交する方向A2に移動可能に設けられ、且つ、載置台103に載置された媒体の幅方向を規制する。各サイドガイド107a、bは、各サイドガイド107a、bの載置面103aと直交する方向A3の最大高さが、媒体搬送装置100がサポートする、載置台103における媒体の最大積載量より大きくなるように設けられている。以下では、サイドガイド107a、bを総じてサイドガイド107と称する場合がある。
排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第2光センサ111、112、第1光センサ113、第1媒体検出センサ114、ピックアーム115、給送ローラ116a、b、ブレーキローラ117a、b、第2媒体検出センサ118、超音波発信器119a、超音波受信器119b、第3媒体検出センサ120、第4媒体検出センサ121、第5媒体検出センサ122、第1搬送ローラ123a、b、第2搬送ローラ124a、b、第1撮像装置125a、第2撮像装置125b、第3搬送ローラ126a、b及び第4搬送ローラ127a、b等を有している。
以下では、給送ローラ116a及び116bを総じて給送ローラ116と称する場合がある。また、ブレーキローラ117a及び117bを総じてブレーキローラ117と称する場合がある。また、第1搬送ローラ123a及び123bを総じて第1搬送ローラ123と称する場合がある。また、第2搬送ローラ124a及び124bを総じて第2搬送ローラ124と称する場合がある。また、第1撮像装置125a及び第2撮像装置125bを総じて撮像装置125と称する場合がある。また、第3搬送ローラ126a及び126bを総じて第3搬送ローラ126と称する場合がある。また、第4搬送ローラ127a及び127bを総じて第4搬送ローラ127と称する場合がある。
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド108aを形成し、媒体の搬送面101aとして機能する。一方、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド108bを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
第1媒体検出センサ114は、第2光センサ111、112及び第1光センサ113より媒体搬送方向A1の下流側に配置される。第1媒体検出センサ114は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体検出センサ114は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体検出信号を生成して出力する。
ピックアーム115は、上側筐体102に設けられ、第1媒体検出センサ114より媒体搬送方向A1の下流側に配置される。ピックアーム115は、押圧部の一例であり、載置台103に載置された媒体を押圧する。ピックアーム115は、媒体搬送路を挟んで給送ローラ116と対向する位置に設けられ、媒体が給送されないときは、給送ローラ116から離間している。一方、ピックアーム115は、媒体が給送されるときは、載置台103に載置された媒体に当接し、媒体を上側から押圧する。これにより、給送ローラ116と媒体の間に適度な摩擦力が発生し、給送ローラ116は媒体を良好に給送できる。
給送ローラ116は、下側筐体101に設けられ、ブレーキローラ117は、上側筐体102に、給送ローラ116と対向するように設けられる。給送ローラ116及びブレーキローラ117は、ニップ位置がピックアーム115より媒体搬送方向A1の下流側に配置されるように設けられる。給送ローラ116及びブレーキローラ117は、載置台103に載置された媒体を分離して給送する給送部の一例であり、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。給送ローラ116は、後述する駆動装置から伝達される駆動力に従って図2の矢印A4の方向に回転可能に設けられ、載置台103に載置された媒体を媒体搬送方向A1に向けて給送する。一方、ブレーキローラ117は、駆動装置から伝達される駆動力に従って図2の矢印A5の方向に回転可能に設けられ、矢印A5の方向に回転することによって、載置台103に載置された媒体の内、給送ローラ116に接触していない媒体の給送を防止する。
なお、給送ローラ116は、給送した媒体を載置台103に戻すことができるように、図2の矢印A4の方向と逆方向にも回転可能に設けられている。
また、ブレーキローラ117は、分離機能をOFFにできるように、駆動装置からの駆動力を遮断可能に設けられている。例えば、駆動装置とブレーキローラ117の間には、駆動装置からの駆動力をブレーキローラ117に伝達するギア群等の駆動力伝達機構が設けられる。駆動力伝達機構におけるギア群の内の少なくとも一つのギアは移動可能に設けられており、媒体搬送装置100は、そのギアをそのギアと係合しているギアから離間させることにより、駆動装置からブレーキローラ117への駆動力を遮断する。
または、ブレーキローラ117は、分離機能をOFFにできるように、ブレーキローラ117による分離力を低減可能に設けられてもよい。例えば、駆動装置とブレーキローラ117の間には、駆動装置からの駆動力をブレーキローラ117に伝達するギア群等の駆動力伝達機構が二つ設けられる。各駆動力伝達機構には、それぞれ異なるトルクリミット値を有するトルクリミッタが設けられる。また、各駆動力伝達機構におけるギア群の内の少なくとも一つのギアは移動可能に設けられている。媒体搬送装置100は、各駆動力伝達機構においてそのギアを移動させて、駆動装置からの駆動力をブレーキローラ117に伝達する駆動力伝達機構を切り替えることにより、ブレーキローラ117による分離力を低減させる。
第2媒体検出センサ118は、給送ローラ116及びブレーキローラ117より媒体搬送方向A1の下流側に配置される。第2媒体検出センサ118は、接触検出センサを有し、その接触検出センサの位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体検出センサ118は、その位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体検出信号を生成して出力する。第2媒体検出センサ118は、給送部より媒体搬送方向の下流側に配置される媒体検出センサの一例である。
超音波発信器119a及び超音波受信器119bは、第2媒体検出センサ118より媒体搬送方向A1の下流側に配置される。超音波発信器119a及び超音波受信器119bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器119aは、超音波を出力する。一方、超音波受信器119bは、超音波発信器119aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器119a及び超音波受信器119bを総じて超音波センサ119と称する場合がある。
第3媒体検出センサ120は、超音波センサ119より媒体搬送方向A1の下流側に配置され、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第3媒体検出センサ120は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第3媒体検出信号を生成して出力する。第3媒体検出センサ120の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第3媒体検出センサ120の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第3媒体検出信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
第4媒体検出センサ121は、媒体搬送方向A1において、第3媒体検出センサ120と同じ位置に配置される。第4媒体検出センサ121は、第3媒体検出センサ120と同様の構成を有し、受光器が受光した光の強度に応じた電気信号である第4媒体検出信号を生成して出力する。
第5媒体検出センサ122は、第3媒体検出センサ120及び第4媒体検出センサ121より媒体搬送方向A1の下流側に配置される。第5媒体検出センサ122は、接触検出センサを有し、その接触検出センサの位置に媒体が存在するか否かを検出する。第5媒体検出センサ122は、その位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第5媒体検出信号を生成して出力する。第5媒体検出センサ122は、給送部より媒体搬送方向の下流側に配置される媒体検出センサの一例である。
第1撮像装置125aは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサを有する。また、第1撮像装置125aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置125aは、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
同様に、第2撮像装置125bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。また、第2撮像装置125bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置125bは、搬送された媒体の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置125a及び第2撮像装置125bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ116が図2の矢印A4の方向に回転することによって、下側ガイド108aと上側ガイド108bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ117は、媒体搬送時、矢印A5の方向に回転する。給送ローラ116及びブレーキローラ117の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ116と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
媒体は、下側ガイド108aと上側ガイド108bによりガイドされながら、第1搬送ローラ123と第2搬送ローラ124の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ123及び第2搬送ローラ124がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって、第1撮像装置125aと第2撮像装置125bの間に送り込まれる。撮像装置125により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ126及び第4搬送ローラ127がそれぞれ矢印A8及び矢印A9の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
図3及び図4は、第2光センサ111、112及び第1光センサ113について説明するための模式図である。図3は、媒体搬送装置100の上流側をサイドガイド107を取り外した状態で側方から見た模式図である。図4は、媒体搬送装置100の上流側を上方から見た模式図である。
図3に示すように、第2光センサ111、112は、上側筐体102に、即ち媒体の搬送路に対して上側に設けられ、第1光センサ113より媒体搬送方向A1の上流側に配置される。第2光センサ111、112は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。第2光センサ111、112は、それぞれ第2発光部111a、112a及び第2受光部111b、112bを含む。各第2発光部111a、112aは、載置台103又は下側筐体101に向けて光(赤外光)を照射する。一方、各第2受光部111b、112bは、各第2発光部111a、112aにより照射され、載置台103、下側筐体101又は載置台103に載置された媒体により反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第2光信号を生成して出力する。第2光信号は、例えば各第2発光部111a、112aが光を照射してから各第2受光部111b、112bが光を受光するまでの時間を示す。
第2光センサ111、112として、例えば、0~100mmの範囲で、1mmの分解能で距離を測定できる公知の赤外線近接距離センサを利用できる。なお、媒体搬送装置100は、第2光センサ111及び112を一方だけ配置し、他方を配置しなくてもよい。
第1光センサ113は、上側筐体102に、即ち媒体の搬送路に対して上側に設けられ、第2光センサ111、112より媒体搬送方向A1の下流側且つピックアーム115より媒体搬送方向A1の上流側に配置される。第1光センサ113は、第2光センサ111、112と同様の赤外線近接距離センサである。第1光センサ113は、第1発光部113a及び第1受光部113bを含む。第1発光部113aは、載置台103又は下側筐体101に向けて光(赤外光)を照射する。一方、第1受光部113bは、第1発光部113aにより照射され、載置台103、下側筐体101又は載置台103に載置された媒体により反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第1光信号を生成して出力する。第1光信号は、例えば第1発光部113aが光を照射してから第1受光部113bが光を受光するまでの時間を示す。
なお、第1光センサ113は、第2光センサ111、112より上流側に配置されてもよい。また、第1光センサ113及び第2光センサ111、112は、ピックアーム115より下流側に配置されてもよい。
以下、第2光センサ111、112及び第1光センサ113の配置位置について詳細に説明する。
第2光センサ111、112及び第1光センサ113は、上側筐体102において、搬送面101aと対向する位置に配置される。例えば、第1光センサ113は、媒体搬送方向A1においてピックアーム115と給送ローラ116の当接位置P1より所定距離D1だけ上流側の位置P2に配置される。所定距離D1は、例えば5mm以上且つ30mm以下である。なお、搬送面101aと直交する方向A2における当接位置P1と第1光センサ113の配置位置P2との間の距離D2が15mmである場合、その方向A2と当接位置P1から配置位置P2に向かう直線とがなす角度θ1は18°以上且つ70°以下である。これにより、第1発光部113aは、載置台103に載置された媒体の下流側に向けて効率良く光を照射し、第1受光部113bは、媒体によって反射した光を効率良く受光することができる。
一方、第2光センサ111、112は、媒体搬送方向A1においてピックアーム115と給送ローラ116の当接位置P1より所定距離D3だけ上流側の位置P3に配置される。所定距離D3は、所定距離D1より大きく、例えば10mm以上且つ50mm以下である。これにより、第2発光部111a、112aは、第1発光部113aが光を照射する位置より上流側に向けて効率良く光を照射し、第2受光部111b、112bは、媒体によって反射した光を効率良く受光することができる。
また、第1発光部113aは、載置台103に載置された媒体の媒体搬送方向A1の下流側に向けて光を照射するように設けられる。例えば、第1発光部113aは、搬送面101a内の所定位置P4に向けて、即ち搬送面101aと載置面103aの境界位置Bより下流側に向けて光を照射する。即ち、第1発光部113aは、載置台103に載置された媒体において境界位置Bに対応する位置(第1発光部113aと境界位置Bを結ぶ直線が通過する位置)より下流側に向けて光を照射する。
なお、載置台103に載置された媒体は、ピックアーム115によって押圧されるため、ピックアーム115より下流側ではほとんど撓まない。そのため、第1発光部113aは、ピックアーム115より上流側の位置に向けて光を照射するように設けられることが好ましい。
一方、第2発光部111a、112aは、載置台103に載置された媒体の媒体搬送方向A1の上流側に向けて光を照射するように設けられる。第2発光部111a、112aは、載置台103に載置された媒体において、第1発光部113aが光を照射する位置P4より上流側の位置に向けて光を照射する。特に、第2発光部111a、112aは、載置面103a内の所定位置P5に向けて、即ち搬送面101aと載置面103aの境界位置Bより上流側に向けて光を照射する。即ち、第2発光部111a、112aは、載置台103に載置された媒体において境界位置Bに対応する位置(第2発光部111a、112aと境界位置Bを結ぶ直線が通過する位置)より上流側に向けて光を照射する。
また、第2発光部111a、112aは、載置面103aと、第2発光部111a、112aの光照射方向とがなす角度θ2が所定角度(例えば10°)より大きくなるように設けられる。これにより、第2受光部111b、112bは、第2発光部111a、112aにより照射され且つ載置台103に載置された媒体によって反射した光を確実に受光できる。同様に、第1発光部113aは、搬送面101aと、第1発光部113aの光照射方向とがなす角度が所定角度より大きくなるように設けられる。これにより、第1受光部113bは、第1発光部113aにより照射され且つ載置台103に載置された媒体によって反射した光を確実に受光できる。
なお、第1光センサ113は、開いた状態のパスポートのように、中心が綴じ目部により綴じられた媒体が、綴じ目部が媒体搬送方向A1と直交するように給送される場合に発生する撓みを検出するために使用される。そのような媒体が給送される場合、媒体搬送方向A1において綴じ目部より下流側に撓みが発生する。したがって、第1発光部113aは、綴じ目部が媒体搬送方向A1と直交するように載置台103に載置されたパスポートの綴じ目部より下流側に向けて光を照射するように設けられてもよい。その場合、媒体搬送方向A1における給送ローラ116とブレーキローラ117のニップ位置P6から第1発光部113aが光を照射する位置P4までの距離D4は、パスポートの1ページの短手方向の長さ(88mm)の範囲内に定められる。
一方、第2光センサ111、112は、閉じた状態の冊子のように、一端が綴じ目部により綴じられた媒体が、綴じ目部が媒体搬送方向A1と平行になるように給送される場合に発生する撓みを検出するために使用される。そのような媒体が給送される場合、綴じ目部と対向する端部(開いている側の端部)において、媒体搬送方向A1における中央位置付近に撓みが発生する。したがって、第2発光部111a、112aは、第1発光部113aが光を照射する位置より上流側であり且つ載置台103に載置された所定サイズの媒体の媒体搬送方向A1における中心位置から所定距離の範囲内に向けて光を照射するように設けられてもよい。所定サイズは、例えばA3~A6サイズである。所定距離は、例えば50mmである。
長手方向に沿って綴じられたA4サイズの冊子を撓み検出対象とする場合を考慮すると、A4サイズの媒体の長手方向の長さは297mmであり、長手方向における端部から中心位置までの長さは148.5mmである。その場合、媒体搬送方向A1におけるニップ位置P6から第2発光部111a、112aが光を照射する位置P5までの距離D5は、98.5mmから198.5mmまでの範囲内に定められる。
また、図4に示すように、第1光センサ113は、媒体搬送方向と直交する方向A2において上側筐体102の中央部に配置される。一方、第2光センサ111、112は、媒体搬送方向と直交する方向A2において上側筐体102の第1光センサ113より外側に配置される。
上記したように、第1光センサ113は、中心が綴じ目部により綴じられた媒体が、綴じ目部が媒体搬送方向A1と直交するように給送される場合に発生する撓みを検出するために使用される。この撓みは媒体搬送方向と直交する方向A2に沿って発生するため、第1光センサ113は、媒体が通過する任意の位置に配置されていれば、この撓みを良好に検出することができる。一般に、利用者は媒体を媒体搬送方向と直交する方向A2の中央部に載置する可能性が高いため、第1光センサ113は、媒体搬送方向と直交する方向A2の中心に近い位置に配置されることが好ましい。これにより、第1光センサ113は、小さい媒体が給送される場合でも、その媒体に発生する撓みを良好に検出できる。
また、上記したように、第2光センサ111、112は、綴じ目部により綴じられた媒体が、綴じ目部が媒体搬送方向A1と平行に給送される場合に発生する撓みを検出するために使用される。このような媒体が給送される場合、綴じ目部と対向する端部(開いている側の端部)において撓みが発生する。したがって、第2光センサ111、112は、載置台103に載置された所定サイズの媒体の媒体搬送方向と直交する方向A2における端部の近傍に配置されることが好ましい。所定サイズは、例えばA3~A6サイズである。端部の近傍は、例えば端部から第1距離だけ離れた位置から、その端部から第2距離だけ離れた位置までの範囲内である。第1距離は、例えば5mmであり、第2距離は、例えば50mmである。
長手方向に沿って綴じられたA4サイズの冊子を撓み検出対象とする場合を考慮すると、A4サイズの媒体の短手方向の長さは210mmであり、短手方向における中心位置から端部までの長さは105mmである。その場合、第2光センサ111、112は、媒体搬送方向と直交する方向A2における中心位置P7からの距離D6が、55mm以上且つ100mm以下の範囲に配置される。
一方、第1光センサ113は、給送される媒体において、第2光センサ111、112が撓みを検出する領域より内側に発生する撓みを検出するために使用される。したがって、第1光センサ113は、媒体搬送方向と直交する方向A2において第2光センサ111、112より内側に配置される。長手方向に沿って綴じられたA4サイズの冊子を対象とする場合、第1光センサ113は、媒体搬送方向と直交する方向A2における中心位置P7からの距離が、55mm未満の範囲に配置される。
図5は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及びCPU(Central Processing Unit)150、処理回路160等をさらに有する。
駆動装置131は、1つ又は複数のモータを含み、CPU150からの制御信号によって、給送ローラ116、ブレーキローラ117、第1搬送ローラ123、第2搬送ローラ124、第3搬送ローラ126及び第4搬送ローラ127を回転させて媒体を搬送させる。また、駆動装置131は、CPU150からの制御信号によって、ピックアーム115を上昇又は下降させる。
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disk read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disk read only memory)等である。
CPU150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてもよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
CPU150は、操作装置105、表示装置106、第2光センサ111、112、第1光センサ113、第1媒体検出センサ114、第2媒体検出センサ118、超音波センサ119、第3媒体検出センサ120、第4媒体検出センサ121、第5媒体検出センサ122、撮像装置125、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路160等と接続され、これらの各部を制御する。CPU150は、駆動装置131の駆動制御、撮像装置125の撮像制御等を行い、画像を取得し、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信する。また、CPU150は、第1光センサ113又は第2光センサ111、112により生成される信号に基づいて、給送される媒体の撓みを検出し、検出結果に応じて媒体の給送を停止する。
処理回路160は、撮像装置125により撮像された画像に所定の画像処理を実行し、画像処理が実行された画像を記憶装置140に格納する。なお、処理回路160の代わりに、DSP、LSI,ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
図6は、記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
図6に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、撓み検出プログラム142、画像取得プログラム143、積載量検出プログラム144、重送検出プログラム145及びスキュー検出プログラム146等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、CPU150は、制御部151、撓み検出部152、画像取得部153、積載量検出部154、重送検出部155及びスキュー検出部156として機能する。
図7は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図7に示す動作のフローは、定期的に実行される。
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、制御部151は、第1媒体検出センサ114から第1媒体検出信号を取得し、取得した第1媒体検出信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、駆動装置131を駆動して、ピックアーム115を下降させて、載置台103に載置された媒体を押圧させる(ステップS103)。
次に、制御部151は、第1光センサ113から第1光信号を取得する(ステップS104)。制御部151は、媒体給送直前のタイミングにおける第1光信号を取得する。媒体給送直前のタイミングは、所定のタイミングの一例である。
次に、制御部151は、取得した第1光信号の信号値に基づいて第1基準値及び第2基準値を設定する(ステップS105)。制御部151は、例えば、取得した第1光信号の信号値を第1基準値に設定し、その第1光信号の信号値に所定係数を乗算した値を第2基準値に設定する。所定係数は、第1光センサ113と媒体搬送装置100上で第1光センサ113により光が照射される位置との間の距離に対する、各第2光センサと媒体搬送装置100上で各第2光センサにより光が照射される位置との間の距離の比に設定される。
媒体給送直前のタイミングでは、媒体の先端はピックアーム115によって押圧されるため、給送される媒体の先端が曲がっている(カールしている)場合でも、その曲がった部分はまっすぐになる。また、第1光センサ113は、媒体の下流側に向けて光を照射しており、媒体をセットする利用者の手により、その照射された光が遮られる可能性は低い。したがって、制御部151は、媒体給送直前に取得した第1光信号の信号値に基づいて各基準値を設定することにより、媒体の状態又は利用者の操作の影響により基準値が不適切な値に設定されることを抑制できる。
次に、制御部151は、駆動装置131を駆動して、給送ローラ116、ブレーキローラ117、第1~第4搬送ローラ123、124、126及び127を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS106)。なお、制御部151は、複数の媒体を連続して給送及び搬送させ、既に各ローラを回転させている場合は、特に処理を実行しない。
次に、制御部151は、撓みフラグがONであるか否かを判定する(ステップS107)。撓みフラグは、媒体読取処理が実行される前にOFFに設定され、撓み検出部152により実行される、後述する撓み検出処理で撓みが発生したと判定されるとONに設定される。
撓みフラグがONである場合、制御部151は、異常処理として、駆動装置131を停止して、媒体の給送を停止させるとともに、撓みフラグをOFFに設定する(ステップS108)。このように、制御部151は、撓み検出部152による検出結果に応じて、給送ローラ116及びブレーキローラ117による媒体の給送を停止する。
次に、制御部151は、駆動装置131を駆動して、給送ローラ116、ブレーキローラ117、第1~第4搬送ローラ123、124、126及び127を媒体搬送方向と逆方向に回転させて、媒体を逆送させる(ステップS109)。このように、制御部151は、給送ローラ116及びブレーキローラ117による媒体の給送を停止した場合、その媒体を載置台103に一旦戻す。
次に、制御部151は、駆動装置131とブレーキローラ117の間に設けられた駆動力伝達機構を切り替えて、駆動装置131からブレーキローラ117への駆動力を遮断して、分離機能をOFFにする(ステップS110)。なお、制御部151は、駆動装置131とブレーキローラ117の間に設けられた駆動力伝達機構を切り替えて、ブレーキローラ117による分離力を低減させて、分離機能をOFFにしてもよい。
次に、制御部151は、駆動装置131を駆動して、給送ローラ116、第1~第4搬送ローラ123、124、126及び127を媒体搬送方向に再回転させて、媒体を再給送及び再搬送させる(ステップS111)。このとき、ブレーキローラ117は、給送ローラ116に従動し、媒体を分離しない。このように、制御部151は、媒体を分離せずに再給送するように給送ローラ116及びブレーキローラ117を制御する。即ち、制御部151は、二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体等が給送されて、媒体の撓みが検出された場合に、自動的に分離機能をOFFにして媒体を再給送する。これにより、利用者は、分離機能をOFFにして媒体を再給送する必要がなくなり、制御部151は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
ステップS107で撓みフラグがOFFであった場合、又は、ステップS111で媒体が再給送された場合、画像取得部153は、搬送された媒体を撮像装置125に撮像させて、入力画像を取得する(ステップS112)。
次に、画像取得部153は、入力画像をインタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS113)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像取得部153は、入力画像を記憶装置140に記憶しておく。
次に、制御部151は、第1媒体検出センサ114から取得する第1媒体検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS114)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S114の処理を繰り返す。
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、駆動装置131を停止し(ステップS115)、一連のステップを終了する。
なお、ステップS104及びS105において、制御部151は、第1基準値及び第2基準値を予め定められた固定値に設定してもよい。
また、制御部151は、ステップS109~S111の処理を省略し、媒体の給送を停止した後、不図示のスピーカ、LED等により、異常が発生したことを利用者に通知して、一連のステップを終了してもよい。
図8~図9は、撓み検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図8~図9に示すフローチャートは、図7のステップS106において媒体の給送を開始した後に、所定の時間間隔ごとに実行される。撓み検出部152は、媒体の給送を開始した後にのみ撓み検出処理を実行することにより、媒体を載置台103にセットした利用者の手で反射した光による媒体の撓みの検出誤りを防止することができる。また、撓み検出処理が実行される前に、載置台103に載置された媒体の先端はピックアーム115によって押圧されるため、媒体の先端が曲がっている(カールしている)場合でも、その曲がった部分はまっすぐになる。したがって、撓み検出部152は、媒体の先端の曲がりによる媒体の撓みの検出誤りを防止することができる。
最初に、撓み検出部152は、第2媒体検出センサ118から第2媒体検出信号を取得する(ステップS201)。
次に、撓み検出部152は、取得した第2媒体検出信号に基づいて、第2媒体検出センサ118の位置に媒体が存在するか否かを判定する(ステップS202)。
第2媒体検出センサ118の位置に媒体が存在する場合、撓み検出部152は、特に処理を実行せずに、一連のステップを終了する。このように、撓み検出部152は、第2媒体検出センサ118の位置に媒体が存在するとき、即ち媒体の先端が第2媒体検出センサ118の位置を通過してから媒体の後端が第2媒体検出センサ118の位置を通過するまでは媒体の撓みを検出しない。
搬送される媒体の後端が曲がっている(カールしている)場合、その後端により反射された光を用いて媒体の撓みを検出すると、給送時に撓みが発生したと誤って判定される可能性がある。そのため、第2発光部111a、112aは、載置台103に載置された、給送前の媒体の媒体搬送方向A1における中央部に向けて光を照射するように設けられることが好ましい。上記の通り、撓み検出部152は、媒体の先端が、給送ローラ116及びブレーキローラ117のニップ位置を通過し、その下流側に配置された第2媒体検出センサ118の位置に到達した場合に媒体の撓みを検出しない。これにより、撓み検出部152は、媒体の後端で反射された光に基づいて媒体の撓みを検出しないため、曲がった状態の媒体の後端で反射された光による、媒体の撓みの検出誤りを防止できる。
一方、第2媒体検出センサ118の位置に媒体が存在しない場合、撓み検出部152は、第1光センサ113から第1光信号を取得する(ステップS203)。即ち、撓み検出部152は、撓み検出処理において、媒体給送後に、所定の時間間隔ごとに第1光センサ113から第1光信号を取得する。媒体給送後の各タイミングは、所定のタイミングと異なる他のタイミングの一例である。
次に、撓み検出部152は、取得した第1光信号の信号値に基づいて第1変化量を算出し、算出した第1変化量を記憶装置140に記憶する(ステップS204)。撓み検出部152は、第1基準値から、取得した第1光信号の信号値を減算した減算値を第1変化量として算出する。即ち、第1変化量は、第1基準値から最新の第1光信号の信号値への変化の大きさを示す。
次に、撓み検出部152は、算出した第1変化量が第1上限閾値より大きいか否かを判定する(ステップS205)。第1上限閾値は、例えば、様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に算出された第1変化量より大きい値に予め設定される。
第1変化量が第1上限閾値より大きい場合、撓み検出部152は、特に処理を実行せずに、一連のステップを終了する。撓み検出部152は、第1光信号の信号値の変化量が第1上限閾値より大きい場合、その第1光信号は、載置台103に載置された媒体でなく、利用者の手等により反射された光に基づいて生成されていると推定し、媒体の撓みを検出しない。これにより、撓み検出部152は、利用者の手等により反射された光による、媒体の撓みの検出誤りを防止できる。
一方、第1変化量が第1上限閾値以下である場合、撓み検出部152は、記憶装置140に記憶された各第1変化量に基づいて第1期間を算出する(ステップS206)。撓み検出部152は、最新の第1変化量が第1下限閾値以上且つ第1上限閾値以下である場合、最新の第1変化量までに第1変化量が連続して第1下限閾値以上且つ第1上限閾値以下であった期間を第1期間として算出する。第1下限閾値は、例えば、様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に算出された第1変化量と、媒体の撓みが発生しなかった場合に算出された第1変化量との間の値に予め設定される。一方、撓み検出部152は、最新の第1変化量が第1下限閾値未満である場合、第1期間を0とする。
次に、撓み検出部152は、算出した第1期間が第1期間閾値以上であるか否かを判定する(ステップS207)。第1期間閾値は、例えば、様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に算出された第1期間と、媒体の撓みが発生しなかった場合に算出された第1期間との間の値に予め設定される。
第1期間が第1期間閾値以上である場合、撓み検出部152は、給送される媒体に撓みが発生したと判定する(ステップS208)。次に、撓み検出部152は、撓みフラグをONに設定し(ステップS209)、一連のステップを終了する。
一方、第1期間が第1期間閾値未満である場合、撓み検出部152は、各第2光センサ111、112から第2光信号を取得する(ステップS301)。即ち、撓み検出部152は、撓み検出処理において、媒体給送後に、所定の時間間隔ごとに各第2光センサ111、112から第2光信号を取得する。媒体給送後の各タイミングは、所定のタイミングと異なる他のタイミングの一例である。
次に、撓み検出部152は、第2光センサ111、112毎に、取得した各第2光信号の信号値に基づいて、載置台103に載置された媒体の載置面103aからの高さ(載置面103aと直交する方向A3における高さ)を算出する。撓み検出部152は、算出した何れかの高さが、媒体搬送装置100がサポートする、載置台103における媒体の最大積載量より大きいか否かを判定する(ステップS302)。例えば、媒体搬送装置100は、事前の実験で得られた第2光信号の信号値と媒体の高さとの関係に基づいて、第2光信号の信号値毎に媒体の高さを対応付けたテーブルを記憶装置140に記憶しておく。撓み検出部152は、記憶されたテーブルを参照し、取得した各第2光信号の信号値に対応する媒体の高さを特定する。
算出した何れかの高さが最大積載量より大きい場合、撓み検出部152は、特に処理を実行せずに、一連のステップを終了する。上記したように、サイドガイド107の高さは最大積載量より大きい。したがって、撓み検出部152は、第2光信号に基づいて検出した媒体の高さが最大積載量より大きい場合、第2光信号は、媒体でなくサイドガイド107により反射された光に基づいて生成されていると推定し、第2光信号に基づいて媒体の撓みを検出しない。これにより、撓み検出部152は、サイドガイド107により反射された光による、媒体の撓みの検出誤りを防止できる。
一方、算出した両方の高さが最大積載量以下である場合、撓み検出部152は、第2光センサ111、112毎に、取得した各第2光信号の信号値に基づいて第2変化量を算出し、算出した第2変化量を記憶装置140に記憶する(ステップS303)。撓み検出部152は、第2基準値から、取得した第2光信号の信号値を減算した減算値を第2変化量として算出する。即ち、第2変化量は、第2基準値から最新の第2光信号の信号値への変化の大きさを示す。
次に、撓み検出部152は、算出した何れかの第2変化量が第2上限閾値より大きいか否かを判定する(ステップS304)。第2上限閾値は、例えば、様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に算出された第2変化量より大きい値に予め設定される。
何れかの第2変化量が第2上限閾値より大きい場合、撓み検出部152は、特に処理を実行せずに、一連のステップを終了する。撓み検出部152は、第2光信号の信号値の変化量が第2上限閾値より大きい場合、第2光信号は、載置台103に載置された媒体でなく利用者の手等により反射された光に基づいて生成されていると推定し、媒体の撓みを検出しない。これにより、撓み検出部152は、利用者の手等により反射された光による、媒体の撓みの検出誤りを防止できる。
一方、両方の第2変化量が第2上限閾値以下である場合、撓み検出部152は、第2光センサ111、112毎に、記憶装置140に記憶された各第2変化量に基づいて第2期間を算出する(ステップS305)。撓み検出部152は、最新の第2変化量が第2下限閾値以上且つ第2上限閾値以下である場合、最新の第2変化量までに第2変化量が連続して第2下限閾値以上且つ第2上限閾値以下であった期間を第2期間として算出する。第2下限閾値は、例えば、様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に算出された第2変化量と、媒体の撓みが発生しなかった場合に算出された第2変化量との間の値に予め設定される。一方、撓み検出部152は、最新の第2変化量が第2下限閾値未満である場合、第2期間を0とする。
次に、撓み検出部152は、算出した何れかの第2期間が第2期間閾値以上であるか否かを判定する(ステップS306)。第2期間閾値は、例えば、様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に算出された第2期間と、媒体の撓みが発生しなかった場合に算出された第2期間との間の値に予め設定される。
何れかの第2期間が第2期間閾値以上である場合、撓み検出部152は、給送される媒体に撓みが発生したと判定する(ステップS307)。次に、撓み検出部152は、撓みフラグをONに設定し(ステップS308)、一連のステップを終了する。
一方、両方の第2期間が第2期間閾値未満である場合、撓み検出部152は、給送される媒体に撓みが発生していないと判定し(ステップS309)、一連のステップを終了する。
このように、撓み検出部152は、第1光センサ113により生成された第1光信号又は第2光センサ111、112により生成された第2光信号の少なくとも一方に基づいて、媒体の撓みを検出する。特に、撓み検出部152は、媒体給送直前のタイミングにおける第1光信号の信号値を、媒体給送後の各タイミングにおける第1光信号の信号値又は第2光信号の信号値と比較することにより、媒体の撓みを検出する。
なお、撓み検出部152は、ステップS201及びS202の処理を省略し、第2媒体検出センサ118の位置に媒体が存在するか否かに関わらず媒体の撓みを検出してもよい。または、撓み検出部152は、ステップS201において第5媒体検出センサ122から第5媒体検出信号を取得し、ステップS202において第5媒体検出信号に基づいて第5媒体検出センサ122の位置に媒体が存在するか否かを判定してもよい。その場合、撓み検出部152は、第5媒体検出センサ122の位置に媒体が存在するときは媒体の撓みを検出しない。
また、撓み検出部152は、ステップS205の処理を省略し、第1変化量が第1上限閾値より大きいか否かに関わらず媒体の撓みを検出してもよい。同様に、撓み検出部152は、ステップS304の処理を省略し、第2変化量が第2上限閾値より大きいか否かに関わらず媒体の撓みを検出してもよい。また、撓み検出部152は、ステップS302の処理を省略し、算出した高さが最大積載量より大きいか否かに関わらず媒体の撓みを検出してもよい。
図10及び図11は、媒体の撓みを検出することの技術的意義を説明するための模式図である。
図10は、開いた状態のパスポート1000が、その綴じ目部1001が媒体搬送方向A1と直交するように給送される場合について説明するための模式図である。図10の左上図は、給送されるパスポート1000を媒体搬送装置100の上方から見た模式図である。図10の右上図は、給送されるパスポート1000を媒体搬送装置100の側方から見た模式図である。図10の左下図は、給送されるパスポート1000を媒体搬送方向A1の下流側から見た模式図である。
図10に示すように、開いた状態のパスポート1000が、その綴じ目部1001が媒体搬送方向A1と直交するように給送される場合、給送ローラ116及びブレーキローラ117により、パスポート1000の先端側の各ページが分離される。即ち、パスポート1000の先端側の各ページの内、給送ローラ116と接触しているページ1002と、他のページ1003とが分離される。したがって、パスポート1000が給送されるとき、給送ローラ116と接触していないページ1003の先端1004はブレーキローラ117の位置に留まり、綴じ目部1001は給送ローラ116と接触しているページ1002とともに移動する。これにより、給送ローラ116と接触していないページ1003の媒体搬送方向A1における中央部1005は、上方に向かって撓む。
第1光センサ113の第1発光部113aは、載置台103に載置された媒体の媒体搬送方向A1の下流側に向けて光を照射するため、第1発光部113aにより照射された光は、中央部1005を照射し中央部1005により反射する。中央部1005が上方に向かって撓むことにより、中央部1005と第1光センサ113との間の距離は短くなる。そのため、第1発光部113aにより照射された光が中央部1005により反射して第1受光部113bにより受光されるまでの時間は、中央部1005が上方に向かって撓むほど短くなる。したがって、撓み検出部152は、第1光センサ113により生成された第1光信号に基づいて、綴じ目部1001が媒体搬送方向A1と直交するように給送された媒体の撓みを短時間且つ高精度に検出できる。
図11は、閉じた状態の冊子1100が、その綴じ目部1101が媒体搬送方向A1と平行になるように給送される場合について説明するための模式図である。図11の左上図は、給送される冊子1100を媒体搬送装置100の上方から見た模式図である。図11の右上図は、給送される冊子1100を媒体搬送装置100の側方から見た模式図である。図11の左下図は、給送される冊子1100を媒体搬送方向A1の下流側から見た模式図である。
図11に示すように、閉じた状態の冊子1100が、その綴じ目部1101が媒体搬送方向A1と平行になるように給送される場合、給送ローラ116及びブレーキローラ117により、冊子1100の各ページが分離される。即ち、冊子1100の各ページの内、給送ローラ116と接触しているページ1102と、他のページ1103とが分離される。したがって、冊子1100が給送されるとき、給送ローラ116と接触していないページ1103の先端1104はブレーキローラ117の位置に留まり、綴じ目部1101は給送ローラ116と接触しているページ1102とともに移動しようとする。これにより、給送ローラ116と接触していないページ1103において綴じ目部1101と対向する端部1105は、媒体搬送方向A1における中央部1106を中心に上方に向かって撓む。なお、二つ折りにされた用紙が、その折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように給送される場合、その用紙は、冊子1100と同様に撓む。
第2発光部111a、112aは、媒体搬送方向と直交する方向A2において外側に配置され、載置台103に載置された媒体の媒体搬送方向A1の上流側に向けて光を照射する。したがって、第2発光部111a、112aにより照射された光は、端部1105の中央部1106を照射し中央部1106により反射する。中央部1106が上方に向かって撓むことにより、中央部1106と第2光センサ111、112との間の距離は短くなる。そのため、第2発光部111a、112aにより照射された光が中央部1106により反射して第2受光部111b、112bにより受光されるまでの時間は、中央部1106が上方に向かって撓むほど短くなる。したがって、撓み検出部152は、第2光センサ111、112により生成された第2光信号に基づいて、綴じ目部又は折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように給送された媒体の撓みを短時間且つ高精度に検出できる。
図12A及び図12Bは、綴じ目部又は折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように給送された媒体の撓み量の時間変化について説明するための模式図である。
図12Aのグラフ1200は、媒体搬送装置100の媒体搬送方向A1の下流側から見た媒体の撓み量を示す。図12Aにおいて、横軸は媒体搬送方向と直交する方向A2の各位置を示し、縦軸は各位置における媒体の撓み量を示す。なお、図12Aにおいて、左端は、媒体の綴じ目部又は折り目部の位置を示す。グラフ1201は、時刻T1における撓み量を示し、グラフ1202は、時刻T1から所定時間経過した時刻T2における撓み量を示し、グラフ1203は、時刻T2からさらに所定時間経過した時刻T3における撓み量を示す。
図12Bのグラフ1210は、媒体搬送装置100の側方から見た媒体の撓み量を示す。図12Bにおいて、横軸は媒体搬送方向A1の各位置を示し、縦軸は各位置における媒体の撓み量を示す。なお、図12Bにおいて、左側が下流側を示し、右側が上流側を示し、左端が給送ローラ116とブレーキローラ117のニップ位置を示す。グラフ1211は、時刻T1における撓み量を示し、グラフ1212は、時刻T2における撓み量を示し、グラフ1213は、時刻T3における撓み量を示す。
綴じ目部又は折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように媒体が給送された場合、図12Aのグラフ1201に示すように、綴じ目部又は折り目部と対向する端部に近い程、撓み量が大きくなる。また、その場合、グラフ1201~1203に示すように、時間の経過とともに綴じ目部又は折り目部と対向する端部における撓み量が増大する。また、その場合、図12Bのグラフ1211に示すように、媒体搬送方向A1の中央部に近い程、撓み量が大きくなり、グラフ1211~1213に示すように、時間の経過とともに媒体搬送方向A1の上流側における撓み量が増大する。
上記したように、第2発光部111a、112aは、媒体搬送方向と直交する方向A2において外側に配置され、載置台103に載置された媒体の媒体搬送方向A1の上流側に向けて光を照射する。したがって、撓み検出部152は、第2光センサ111、112により生成された第2光信号に基づいて、綴じ目部又は折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように給送された媒体の撓みを短時間且つ高精度に検出できる。なお、第2発光部111a、112aが、載置台103に載置された媒体の媒体搬送方向A1の中央部に向けて光を照射するように設けられることにより、撓み検出部152は、媒体の撓みをより短時間に検出できる。
図13A及び図13Bは、撓みが発生している媒体の上に他の媒体が積載されている場合の撓み量について説明するための模式図である。図13Aは、綴じ目部又は折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように給送された媒体の撓み量について説明するための模式図であり、図13Bは、綴じ目部が媒体搬送方向A1と直交するように給送された媒体の撓み量について説明するための模式図である。
図13Aのグラフ1300及び図13Bのグラフ1310は、媒体搬送装置100の側方から見た媒体の撓み量を示す。図13A及び図13Bにおいて、横軸は媒体搬送方向A1の各位置を示し、縦軸は各位置における媒体の撓み量を示す。なお、図13A及び図13Bにおいて、左側が下流側を示し、右側が上流側を示し、左端が給送ローラ116とブレーキローラ117のニップ位置を示す。グラフ1301及びグラフ1311は、綴じられた媒体の上に他の媒体が積載されていない場合の撓み量を示す。一方、グラフ1302及びグラフ1312は、綴じられた媒体の上に10枚のPPC用紙が積載されている場合の撓み量を示し、グラフ1303及びグラフ1313は綴じられた媒体の上に50枚のPPC用紙が積載されている場合の撓み量を示す。
図13Aのグラフ1302、1303に示すように、綴じ目部又は折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように給送された媒体の上に他の媒体が載置されている場合、載置された他の媒体により、撓んだ媒体が押し下げられて、撓み量が小さくなる。しかしながら、その場合でも、媒体搬送方向A1の上流側における撓み量は十分に大きい。したがって、撓み検出部152は、撓んだ媒体の上に他の媒体が載置されている場合でも、第2光センサ111、112により生成された第2光信号に基づいて、媒体の撓みを高精度に検出できる。
同様に、図13Bのグラフ1312、1313に示すように、綴じ目部が媒体搬送方向A1と直交するように給送された媒体の上に他の媒体が載置されている場合、載置された他の媒体により、撓んだ媒体が押し下げられて、撓み量が小さくなる。しかしながら、その場合でも、媒体搬送方向A1の下流側における撓み量は十分に大きい。したがって、撓み検出部152は、撓んだ媒体の上に他の媒体が載置されている場合でも、第1光センサ113により生成された第1光信号に基づいて、媒体の撓みを高精度に検出できる。
したがって、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する、いわゆる下取り方式の媒体搬送装置100において、撓み検出部152は、積載された媒体の内、最も下側に載置された媒体で発生する撓みを高精度に検出できる。
図14Aは、綴じ目部又は折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように媒体が給送されたときの各光信号の信号値について説明するための模式図である。
図14Aにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は信号値を示す。グラフ1401は、第1光センサ113により生成された第1光信号の信号値を示す。グラフ1402は、綴じ目部又は折り目部側に配置された第2光センサ111により生成された第2光信号の信号値を示し、グラフ1403は、綴じ目部又は折り目部の反対側に配置された第2光センサ112により生成された第2光信号の信号値を示す。
図14Aに示すように、綴じ目部又は折り目部が媒体搬送方向A1と平行になるように媒体が給送された場合、第1基準値R1に対する第1光信号の信号値の変化量は小さく、B1未満となる。したがって、撓み検出部152は、第1光信号に基づいて、媒体の撓みを検出できない。一方、第2基準値R2に対する各第2光信号の信号値の変化量は大きく、第2下限閾値B2以上となる。特に、綴じ目部又は折り目部と反対側に配置された第2光センサ112により生成された第2光信号の信号値は短時間に変化している。この第2光信号の信号値の変化量は、時刻T4に第2下限閾値B2以上となり、時刻T4から第2期間閾値C2が経過した時刻T5まで、常に第2下限閾値B2以上である。したがって、撓み検出部152は、綴じ目部又は折り目部の反対側に配置された第2光センサ112により生成された第2光信号に基づいて、媒体の撓みを検出できる。
図14Bは、綴じられていない多数の媒体が連続して給送されたときの各光信号の信号値について説明するための模式図である。
図14Bにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は信号値を示す。グラフ1411は、第1光センサ113により生成された第1光信号の信号値を示し、グラフ1412、1413は第2光センサ111、112により生成された第2光信号の信号値を示す。図14Bに示すように、綴じられていない多数の媒体が連続して給送された場合、各媒体が一枚ずつ給送されるたびに媒体全体の高さが低くなっていく。したがって、媒体の最高位置と、第1光センサ113及び第2光センサ111、112との間の距離は徐々に大きくなり、各信号の信号値は徐々に大きくなっていく。しかしながら、給送される媒体毎の各光信号の変化量は十分に小さく、媒体の撓みは誤って検出されない。
図15Aは、綴じられていない多数の媒体が連続して給送されている途中で、利用者により、その媒体の上に他の媒体が積載(補充)されたときの各光信号の信号値について説明するための模式図である。
図15Aにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は信号値を示す。グラフ1501は、第1光センサ113により生成された第1光信号の信号値を示す。一方、グラフ1502、1503は、第2光センサ111、112により生成された第2光信号の信号値を示す。図15Aに示す例では、時刻T6において利用者により媒体が補充されている。時刻T6において、媒体と第1光センサ113及び第2光センサ111、112との間に利用者の手が進入し、各信号の信号値は瞬間的に大きく変化している。しかしながら、信号値の大きい変化は短時間であり、媒体と第1光センサ113及び第2光センサ111、112との間に進入した利用者の手は、媒体の撓みとして誤って検出されない。
図15Bは、シワを有する媒体が給送されたときの各光信号の信号値について説明するための模式図である。
図15Bにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は信号値を示す。グラフ1511は第1光センサ113により生成された第1光信号の信号値を示し、グラフ1512、1513は、第2光センサ111、112により生成された第2光信号の信号値を示す。図15Aに示す例では、時刻T7から時刻T8まで、第2光センサ112により、媒体のシワ部分に光が照射されている。そのため、時刻T7から時刻T8まで、第2光センサ112により生成された第2光信号の信号値は変化している。しかしながら、信号値の変化量は第2下限閾値より十分に小さく且つ信号値が変化する期間は第2期間閾値より十分に小さいため、媒体に形成されたシワは、媒体の撓みとして誤って検出されない。
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、媒体を分離して給送しつつ、中央部に配置された第1光センサ113により略直下の媒体の撓みを検出し、外側に配置された第2光センサ111、112により後端部側の媒体の撓みを検出する。そして、媒体搬送装置100は、媒体の撓みの検出結果に応じて、媒体の給送を停止する。これにより、媒体搬送装置100は、媒体を分離して給送しつつ、給送された媒体の撓みを高精度に検出し、分離すべきでない媒体が給送された場合に、より高精度に媒体の給送を停止することが可能となった。
図16は、他の実施形態に係る第1感度変更処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図16に示すフローチャートは、定期的に実行される。または、図16に示すフローチャートは、図8のステップS202の処理とステップS203の処理との間に実行されてもよい。
最初に、積載量検出部154は、第1光センサ113から第1光信号を取得する(ステップS401)。
次に、積載量検出部154は、取得した第1光信号に基づいて、載置台103における媒体の積載量、即ち載置台103に載置された媒体の載置面103aからの高さ(載置面103aと直交する方向A3における高さ)を検出する(ステップS402)。例えば、媒体搬送装置100は、事前の実験で得られた第1光信号の信号値と媒体の積載量との関係に基づいて、第1光信号の信号値毎に媒体の積載量を対応付けたテーブルを記憶装置140に記憶しておく。撓み検出部152は、記憶されたテーブルを参照し、取得した第1光信号の信号値に対応する媒体の積載量を特定する。
次に、撓み検出部152は、算出された積載量に基づいて、媒体の撓みを検出するための検出感度を変更し(ステップS403)、一連のステップを終了する。積載量が大きい程、給送される媒体は、その上に積載された媒体によって強く押し付けられるため、媒体の撓み量は小さくなる。そのため、撓み検出部152は、積載量が大きい程、検出感度を高くして、媒体の撓みを検出し易くする。例えば、撓み検出部152は、積載量が大きい程、第1下限閾値及び第2下限閾値が小さくなるように各閾値を変更することにより検出感度を高くする。また、撓み検出部152は、積載量が大きい程、第1期間閾値及び第2期間閾値が小さくなるように各閾値を変更することにより検出感度を高くしてもよい。これにより、撓み検出部152は、載置台103に多数の媒体が積載されている場合でも、高精度に媒体の撓みを検出できる。
図17は、他の実施形態に係る第2感度変更処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図16に示すフローチャートは、定期的に実行される。なお、図17に示すフローチャートが実行される場合、図8のステップS201及びS202の処理は省略される。または、この場合、ステップS202において第5媒体検出センサ122からの第5媒体検出信号に基づいて第5媒体検出センサ122の位置に媒体が存在するか否かが判定される。第2感度変更処理は、第1感度変更処理の代わりに又は第1感度変更処理に加えて実行される。
最初に、重送検出部155は、超音波センサ119から超音波信号を取得する(ステップS501)。
次に、重送検出部155は、取得した超音波信号の信号値が重送判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS502)。
図18は、超音波信号の特性について説明するための模式図である。
図18のグラフ1800において、実線1801は媒体として一枚の用紙が搬送されている場合の超音波信号の特性を示し、点線1802は用紙の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。グラフ1800の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。重送が発生していることにより、区間1803において点線1802の超音波信号の信号値が低下している。重送判定閾値は、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値S1と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S2との間の値に設定される。重送検出部155は、超音波信号の信号値が重送判定閾値未満であるか否かを判定することによって媒体の重送が発生したか否かを判定することができる。
重送検出部155は、超音波信号の信号値が重送判定閾値以上である場合、重送が発生していないと判定し(ステップS503)、一連のステップを終了する。
一方、重送検出部155は、超音波信号の信号値が重送判定閾値未満である場合、重送が発生していると判定する(ステップS504)。このように、重送検出部155は、超音波センサ119により生成された超音波信号に基づいて、媒体の重送を検出する。
次に、撓み検出部152は、媒体の重送の検出結果に基づいて、媒体の撓みを検出するための検出感度を変更し(ステップS505)、一連のステップを終了する。
媒体の重送が発生している場合、二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が給送されている可能性が高い。そのため、撓み検出部152は、媒体の重送が検出された場合の検出感度を、媒体の重送が検出されていない場合の検出感度より高くして、媒体の撓みを検出し易くする。例えば、撓み検出部152は、媒体の重送が検出された場合の第1下限閾値及び第2下限閾値が、媒体の重送が検出されていない場合の第1下限閾値及び第2下限閾値より小さくなるように各閾値を変更することにより検出感度を高くする。また、撓み検出部152は、媒体の重送が検出された場合の第1期間閾値及び第2期間閾値が、媒体の重送が検出されていない場合の第1期間閾値及び第2期間閾値より小さくなるように各閾値を変更することにより検出感度を高くしてもよい。これにより、撓み検出部152は、より高精度に媒体の撓みを検出できる。
図19は、他の実施形態に係る第3感度変更処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図18に示すフローチャートは、定期的に実行される。なお、図19に示すフローチャートが実行される場合、図8のステップS201及びS202の処理は省略される。または、この場合、ステップS202において第5媒体検出センサ122からの第5媒体検出信号に基づいて第5媒体検出センサ122の位置に媒体が存在するか否かが判定される。第3感度変更処理は、第1感度変更処理又は第2感度変更処理の代わりに又は第1感度変更処理及び第2感度変更処理に加えて実行される。
最初に、スキュー検出部156は、第3媒体検出センサ120から第3原稿検出信号を取得し、第4媒体検出センサ121から第4原稿検出信号を取得する(ステップS601)。
次に、スキュー検出部156は、取得した第3原稿検出信号及び第4原稿検出信号に基づいて、媒体の先端が第3媒体検出センサ120を通過した時刻と第4媒体検出センサ121を通過した時刻との通過時間差を算出する(ステップS602)。
スキュー検出部156は、現在までに取得した各第3原稿検出信号において、信号値が媒体が存在しない状態を示す値から媒体が存在する状態を示す値に変化した時刻を、媒体の先端が第3媒体検出センサ120を通過した時刻として検出する。同様に、スキュー検出部156は、現在までに取得した各第4原稿検出信号において、信号値が媒体が存在しない状態を示す値から媒体が存在する状態を示す値に変化した時刻を、媒体の先端が第4媒体検出センサ121を通過した時刻として検出する。スキュー検出部156は、媒体の先端が、第3媒体検出センサ120及び第4媒体検出センサ121の内の一方のセンサを通過した時刻から、他方のセンサを通過した時刻までの時間を通過時間差として算出する。なお、媒体の先端が他方のセンサをまだ通過していない場合、スキュー検出部156は、媒体の先端が一方のセンサを通過した時刻から現在時刻までの時間を通過時間差として算出する。
次に、スキュー検出部156は、算出した通過時間差がスキュー判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS603)。
スキュー検出部156は、算出した通過時間差がスキュー判定閾値未満である場合、媒体の斜行であるスキューが発生していないと判定し(ステップS604)、一連のステップを終了する。
一方、スキュー検出部156は、算出した通過時間差がスキュー判定閾値以上である場合、スキューが発生していると判定する(ステップS605)。このように、スキュー検出部156は、第3媒体検出センサ120により生成された第3原稿検出信号及び第4媒体検出センサ121により生成された第4原稿検出信号に基づいて、媒体のスキューを検出する。
次に、撓み検出部152は、媒体のスキューの検出結果に基づいて、媒体の撓みを検出するための検出感度を変更し(ステップS606)、一連のステップを終了する。
二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が給送される場合、媒体の先端が給送ローラ116及びブレーキローラ117のニップ位置を通過するときに、媒体のスキューが発生する可能性が高い。そのため、撓み検出部152は、媒体のスキューが検出された場合の検出感度を、媒体のスキューが検出されていない場合の検出感度より高くして、媒体の撓みを検出し易くする。例えば、撓み検出部152は、媒体のスキューが検出された場合の第1下限閾値及び第2下限閾値が、媒体のスキューが検出されていない場合の第1下限閾値及び第2下限閾値より小さくなるように各閾値を変更することにより検出感度を高くする。また、撓み検出部152は、媒体のスキューが検出された場合の第1期間閾値及び第2期間閾値が、媒体のスキューが検出されていない場合の第1期間閾値及び第2期間閾値より小さくなるように各閾値を変更することにより検出感度を高くしてもよい。これにより、撓み検出部152は、より高精度に媒体の撓みを検出できる。
なお、検出感度は、利用者により変更されてもよい。その場合、撓み検出部152は、利用者により操作装置105を用いた検出感度(第1下限閾値、第2下限閾値、第1期間閾値及び/又は第2期間閾値)の設定を受け付ける。利用者は、薄紙のようにコシが弱く撓みにくい媒体が搬送される場合は検出感度を高くし、シワを有する用紙のように撓みが発生したと誤って判定され易い媒体が搬送される場合は検出感度を低くすることができる。これにより、撓み検出部152は、より高精度に媒体の撓みを検出できる。
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、図16、図17及び/又は図19に示したフローチャートに従って動作することによって、より高精度に媒体の撓みを検出することが可能となった。
図20は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路260の概略構成を示す図である。処理回路260は、媒体搬送装置100の処理回路160の代わりに使用され、CPU150の代わりに、媒体読取処理、撓み検出処理、第1感度変更処理、第2感度変更処理及び第3感度変更処理を実行する。処理回路260は、制御回路261、撓み検出回路262、画像取得回路263、積載量検出回路264、重送検出回路265及びスキュー検出回路266等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
制御回路261は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路261は、操作装置105から操作信号を、第1媒体検出センサ114から第1媒体検出信号を、撓み検出回路262から媒体の撓みの検出結果を受信する。制御回路261は、受信した各信号に応じて駆動装置131を駆動するとともに、媒体の撓みが検出された場合、媒体の給送を停止する。
撓み検出回路262は、撓み検出部の一例であり、撓み検出部152と同様の機能を有する。撓み検出回路262は、第1光センサ113から第1光信号を、第2光センサ111、112から第2光信号を、第2媒体検出センサ118から第2媒体検出信号を受信する。また、撓み検出回路262は、積載量検出回路264から媒体の積載量の検出結果を、重送検出回路265から媒体の重送の検出結果を、スキュー検出回路266から媒体のスキューの検出結果を受信する。撓み検出回路262は、受信した各情報に基づいて、媒体の撓みを検出し、検出結果を制御回路261に出力する。
画像取得回路263は、画像取得部の一例であり、画像取得部153と同様の機能を有する。画像取得回路263は、撮像装置125から入力画像を受信し、記憶装置140に記憶するとともにインタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する。
積載量検出回路264は、積載量検出部の一例であり、積載量検出部154と同様の機能を有する。積載量検出回路264は、第1光センサ113から第1光信号を受信し、第1光信号に基づいて媒体の積載量を検出し、検出結果を撓み検出回路262に出力する。
重送検出回路265は、重送検出部の一例であり、重送検出部155と同様の機能を有する。重送検出回路265は、超音波センサ119から超音波信号を受信し、超音波信号に基づいて媒体の重送を検出し、検出結果を撓み検出回路262に出力する。
スキュー検出回路266は、スキュー検出部の一例であり、スキュー検出部156と同様の機能を有する。スキュー検出回路266は、第3媒体検出センサ120から第3原稿検出信号を、第4媒体検出センサ121から第4原稿検出信号を受信し、受信した各信号に基づいて媒体のスキューを検出し、検出結果を撓み検出回路262に出力する。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路260を用いる場合においても、分離すべきでない媒体が給送された場合に、より高精度に媒体の給送を停止することが可能となった。