JP4735203B2 - ウレタン(メタ)アクリレートの製造装置、並びに製造方法 - Google Patents

ウレタン(メタ)アクリレートの製造装置、並びに製造方法 Download PDF

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本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートの製造装置、並びに製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、小さい攪拌動力で原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができるウレタン(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートの製造装置、並びに製造方法に関する。尚、本明細書中、「ウレタン(メタ)アクリレート」は、ウレタンアクリレート及びウレタンメタクリレートを意味し、「エポキシ(メタ)アクリレート」は、エポキシアクリレート及びエポキシメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
ウレタン(メタ)アクリレートは、可とう性や基材との密着性、耐候性等に優れている。ウレタン(メタ)アクリレートは、合成皮革及びコーティング材料等、様々な用途に利用されている。また、エポキシ(メタ)アクリレートは、電気部品注型材料、接着剤、インキ材料、光学材料、コーティング材料、及びプリント配線基板用ソルダーレジスト材料等として利用されている。近年、環境汚染問題及び省エネルギー化等の観点より、有機溶剤系塗料に代わって、紫外線等の活性エネルギー線により硬化する活性エネルギー線硬化型塗料が多用されている。ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートは、かかる活性エネルギー線硬化型塗料の用途にも利用されている。ウレタン(メタ)アクリレートは、ジオール、イソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させることにより得ることができる。また、エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ化合物と、(メタ)アクリレートとを反応させることにより得ることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートを工業的に製造するために、通常、反応容器及び攪拌翼を有する攪拌手段を備える製造装置が用いられる。上記攪拌翼としては、例えば、ピッチドパドルの他、高粘度攪拌用の攪拌翼として、アンカー翼や広幅の特殊パドル翼、ヘリカルリボン翼、及びスクリュー翼等が用いられている。
ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートの製造反応は、反応速度が速い。しかも、これらの反応では、低粘度から高粘度への急激な粘度変化が生じ、得られる製品は非常に高粘度になる。その結果、原料を均一に混合することが困難となるという問題がある。
上記のように、従来より高粘度攪拌用の攪拌翼として、アンカー翼や広幅の特殊パドル翼、ヘリカルリボン翼、及びスクリュー翼等が用いられている。また、一般的なピッチドパドルでの高粘度液体を混合することも可能である。そして、既に高粘度化している液体では、上記の高粘度攪拌用の攪拌翼により、良好に混合することができる。しかしながら、化学反応の進行と共に低粘度から高粘度へと粘度変化する液体を混合する場合、上記の高粘度攪拌用の攪拌翼を用いたとしても、停滞部の発生等により、均一製品を得ることが難しい。逆に低粘度攪拌に対応した攪拌翼を用いると、反応液が高粘度化した際に多大な攪拌動力を必要とする問題がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、小さい攪拌動力で原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができるウレタン(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートの製造装置、並びに製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
〔1〕ウレタン(メタ)アクリレートを製造する製造装置であって、反応容器及び該反応容器内に設けられた攪拌手段を備え、該攪拌手段は、回転軸と、該回転軸に取り付けられている攪拌翼と、を有し、且つ該攪拌翼は、2段以上であり、該攪拌翼のうち少なくとも1段は、ピッチドパドルの水平からの仰角である傾斜角度θが0°を超えて30°以下である低傾斜ピッチドパドルであることを特徴とする製造装置。
〔2〕上記低傾斜ピッチドパドルを2段以上有する上記〔1〕記載の製造装置。
〔3〕上記攪拌翼は、上記低傾斜ピッチドパドルを少なくとも1段と、他の攪拌翼を少なくとも1段有する上記〔1〕記載の製造装置。
〕上記〔1〕乃至〔〕のいずれかに記載の製造装置を用いて、ポリオール、イソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する反応液を攪拌混合することを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
本発明の製造装置は、上記構成を有することにより、非常に反応速度が速く、急激な粘度変化を伴う反応系において、小さい攪拌動力で原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。
本発明の製造装置は、上記低傾斜ピッチドパドルを2段以上有することにより、更に原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。
本発明の製造装置は、上記攪拌翼が上記低傾斜ピッチドパドルを少なくとも1段と、他の攪拌翼を少なくとも1段有することにより、更に原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。
本発明の製造装置は、上記攪拌翼の数は2段以上であり、且つ上記攪拌翼の間隔は2d以下の範囲であることにより、更に原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。
本発明の製造装置は、上記反応容器内はバッフルを備えず、且つ、最下部の上記攪拌翼は、傾斜角度θが30°を超えて50°以下であるピッチドパドル、又は反応容器底面の形状に合わせた上げ角を持つ後退翼若しくはピッチドパドルであることにより、更に原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法及びエポキシ(メタ)アクリレートの製造方法は、本発明の製造装置を用いることにより、ウレタン(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレートを短時間で効率的に製造することができる。
(1)製造装置
本発明の製造装置の一例を図1に示す。本発明の製造装置1は、ウレタン(メタ)アクリレートを製造する製造装置であって、反応容器11と、該反応容器11内に設けられた攪拌手段12とを備える。そして、該攪拌手段12は、回転軸121と、該回転軸121に取り付けられた攪拌翼として、傾斜角度θが0°を超えて30°以下である低傾斜ピッチドパドル122を少なくとも1段有し、上記攪拌翼は、2段以上である。尚、本発明以外において、上記製造装置は、エポキシ(メタ)アクリレートを製造する製造装置とすることもできる。
図2は、攪拌手段12の部分側面図である。図2の攪拌手段12は、上記低傾斜ピッチドパドル122を4枚有する(但し、上記低傾斜ピッチドパドル122のうちの1枚は、回転軸12の後方に位置するので図示せず。)。そして、上記低傾斜ピッチドパドル122は、図2に示すように、上記回転軸121に傾斜して固定されている。上記傾斜角度θは、ピッチドパドルの水平からの仰角であり、図2のθに該当する。上記低傾斜ピッチドパドル122の傾斜角度θは0°を超えて30°以下、好ましくは5〜30°、更に好ましくは5〜25°、より好ましくは7〜25°、より好ましくは10〜20°である。上記低傾斜ピッチドパドル122の傾斜角度θが上限値を超えると、原料を十分に攪拌混合することが困難となり、その結果、反応効率が低下し、また、多大な攪拌動力が必要となるので好ましくない。
上記回転軸121における上記低傾斜ピッチドパドル122の配設位置は特に限定がない。例えば、図3に示すように、上記低傾斜ピッチドパドル122は、上記回転軸121の最下端に設けることができる。また、図1に示すように、上記低傾斜ピッチドパドル122は、回転軸121の最下端より上の位置に設けることができる。ここで、上記回転軸121の上記最下端とは、上記回転軸の端部のうち、上記反応容器の底面側に位置する端部を意味する。
また、上記低傾斜ピッチドパドル122は、傾斜角度θが0°を超えて30°以下であればよく、具体的な形態、例えば、形状及び羽の枚数等について特に限定はない。例えば、上記低傾斜ピッチドパドル122は、折り目及びフィン等を備えてもよい。また、上記低傾斜ピッチドパドル122は、攪拌動力を下げるために、開口部を備えていてもよい。更に、上記低傾斜ピッチドパドル122の羽の枚数は、通常は2枚又は4枚であるが、2枚以上でもよく、4枚以上でもよい。
上記低傾斜ピッチドパドル122の段数は、図3に示すように1段でもよいが、図1に示すように2段以上でもよい。上記低傾斜ピッチドパドルを2段以上設けると、反応液の量が多い場合でも、小さい攪拌動力で原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。例えば、上記低傾斜ピッチドパドル122の段数は2段以上、好ましくは3段以上、更に好ましくは4段以上とすることができる。通常、本発明の製造装置1における上記低傾斜ピッチドパドル122の段数は1〜4段である。また、上記低傾斜ピッチドパドル122を2段以上有する場合、各低傾斜ピッチドパドル122の傾斜角度及び具体的な形状は全て同じでもよく、一部又は全部異なってもよい。例えば、各低傾斜ピッチドパドル122の傾斜角度θは、全て同じ角度でもよいが、各低傾斜ピッチドパドル122の全部又は一部は異なる角度とすることができる。
本発明の攪拌手段12は、攪拌翼として、上記低傾斜ピッチドパドル122を少なくとも1つ備えてい。例えば、上記攪拌翼12は、図4に示すように、上記低傾斜ピッチドパドル122以外の他の攪拌翼123を1種又は2種以上備えていてもよい。上記他の攪拌翼としては、例えば、傾斜角度θが30°を越え50°以下であるピッチドパドルの他、V字翼、後退翼、プロペラ翼、タービン翼、ハイドロフォイル翼、リボン翼、スクリュー翼、コーン翼、アンカー翼、及び大型特殊翼等が挙げられる。より具体的には、上記他の攪拌翼として、例えば、傾斜角度θが30°を超えて50°以下であるピッチドパドル、又は反応容器底面の形状に合わせた上げ角を持つ後退翼若しくはピッチドパドルを用いることができる。上記上げ角は、図4の角度αに該当する。上記上げ角は、反応容器底面の形状に応じて種々の角度とすることができる。また、パドル翼の場合、その形状は、回転軸を中心に左右線対称であることが好ましく、四角形のみならず三角形、五角形等種々の形状が適用できる。外端部が直線上でもよいし、曲線状でも鋸刃状でもよい。また、上記攪拌翼は、折り目及びフィン等を備えてもよい。
上記低傾斜ピッチドパドル122及び上記他の攪拌翼123の翼径は、使用する反応容器11の形状及び大きさ、並びに反応液の体積等により、適宜選択することができる。上記低傾斜ピッチドパドル122及び上記他の攪拌翼123の槽径に対する翼径d/D(d;上記低傾斜ピッチドパドル122及び上記他の攪拌翼123の翼径、D;反応容器の槽径)は、0.3〜0.9、好ましくは0.4〜0.85、更に好ましくは0.5〜0.8、より好ましくは0.5〜0.75である。上記d/Dを上記範囲とすることにより、小さい攪拌動力で原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。また、上記攪拌翼の段数が2段以上の場合、各攪拌翼の翼径は同じでもよく、あるいは異なってもよい。
上記攪拌翼2段以上であり、上記攪拌翼の間隔には特に限定はない。上記攪拌翼の間隔は、通常2d以下(d;翼径)、好ましくはd以下、更に好ましくはd/2〜d/4である。上記攪拌翼の間隔を上記範囲とすることにより、攪拌翼間の液移動が十分となり、十分な混合効果が得られ、且つ攪拌に必要な動力の増加を抑制できるので好ましい。ここで、上記d(翼径)は、上位に位置する攪拌翼の翼径を意味する。例えば、図4に示すように、上記攪拌翼が3以上存在する場合、上記攪拌翼の間隔(L1、L2)が2以上存在する。間隔L1は、上段の低傾斜ピッチドパドル122aのd(翼径)に対して好ましい間隔を示し、間隔L2は、中段の低傾斜ピッチドパドル122bのd(翼径)に対して好ましい間隔を示す。よって、上記攪拌翼の間隔は段数毎に同一である必要はない。
本発明の製造装置1において、上記攪拌手段12は、通常、上記反応容器11の中心に位置する。勿論、必要に応じて中心からずれた位置に配置してもよい。
また、本発明の製造装置1において、上記攪拌翼(上記低傾斜ピッチドパドル及び他の攪拌翼)の位置にも特に限定はない。例えば、上記低傾斜ピッチドパドル又は上記他の攪拌翼は、反応最終液面対する翼高さh/H及び反応最終液面対する最下段翼高さh’/H(H;反応最終液面、h;反応容器の最低面から攪拌翼までの距離、h’;反応容器の最低面から最下段の攪拌翼までの距離)が特定の値となるように配置することができる。上記h/Hは通常0.10以上、更に好ましくは0.20以上である。また、上記攪拌翼が4段以上ある場合、上記h’/Hは通常0.10以上、更に好ましくは0.15以上とすることができる。更に、上記低傾斜ピッチドパドルの数が1〜3段の場合、である場合、上記h’/Hは通常0.25以上、好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.35以上とすることができる。上記h/H及びh’/Hを上記範囲とすることにより、小さい攪拌動力で原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができるので好ましい。尚、上記反応最終液面とは、製品製造において最も反応液の容量が多い状態での液面である。
上記反応容器11は、通常は図1に示すように円筒状且つ底が凹面の縦型容器である。通常、化学反応装置では容積あたりの伝熱面積を確保する必要がある場合、直径よりも高さの方が長く、また、圧力上昇を伴う場合、底が凹面である。また、上記反応容器11の上方部は、一部を開放できるセパラブル型でもよい。また、上記反応容器11の容積は、ウレタン(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートの製造量及び工業的な生産効率を考慮して、種々の容積とすることができる。上記反応容器11の容積としては通常0.5〜100m、好ましくは3〜65m、更に好ましくは3〜35mである。
上記反応容器11は、更に、原料成分の供給、パージガスの導入、反応液の温度測定、反応観察等のために、その上部に開閉手段(導入口)及び観察手段(窓)等の少なくとも一方を備えることができる。
本発明の製造装置は、他の付帯設備として、冷加熱ジャケット、攪拌装置、邪魔板、熱交換装置、還流装置、反応液循環装置、温度測定装置、及び精留装置等を備えることができる。上記熱交換装置は、上記反応容器の内部及び外部のいずれに配設してもよいが、内部に配設する場合には、反応液中に配設することが好ましい。上記熱交換装置が反応液の液面より上の気相部にある場合は、フッ素樹脂等により表面をコーティングして過加熱を防止することが好ましい。上記還流装置は、反応溶媒の回収機能のみを有してよいし、回収した反応溶媒を、反応容器上方の内壁に吹き付ける等により導入して、濡れ壁を形成する装置を備えてもよい。尚、濡れ壁の他の形成方法としては、上記反応液循環装置を用いて、反応液を導入する方法等がある。上記冷加熱ジャケットは、上記反応容器の外周部に配設し、加熱媒体又は冷却媒体の導入等により、反応系を加熱又は冷却するものであり、一体型及び分割型のいずれでもよい。上記冷加熱ジャケットは、反応液の温度調整を容易にするために、通常、上記反応容器の底側から該反応容器を覆うように配設される。
本発明の製造装置を構成する各部材(上記反応容器、上記回転軸、上記低傾斜ピッチドパドル及び上記他の攪拌翼等)の材料には特に限定はない。本発明の製造装置を構成する各部材の材料は、加熱等による熱伝導性に優れ、触媒成分により腐食等変質しない材料が好ましい。本発明の製造装置を構成する各部材の材料として、例えば、ステンレス、ジルコニウム又はその合金、ニッケル合金等が挙げられる。上記ジルコニウム合金は、好ましくはジルコニウムを90質量%以上含むものであり、例えば、ジルカロイ、Zr−Hf合金、Zr−Nb合金等が挙げられる。また、上記「ニッケル合金」は、好ましくはニッケルを30質量%以上含むものであり、例えば、Ni−Cr合金、Ni−Mo合金、Ni−Cr−Mo合金等が挙げられる。また、本発明の製造装置を構成する各部材として、その表面がグラスライニング処理された部材を用いることもできる。例えば、上記反応容器11として、その内壁面がグラスライニング処理された反応容器を用いることができる。
(2)ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法は、本発明の製造装置を用いて、ポリオール、イソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する反応液を攪拌混合することを特徴とする。また、本発明以外の製造方法として、エポキシ(メタ)アクリレートの製造方法が挙げられる。これは、本発明の製造装置を用いて、1分子あたり2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と(メタ)アクリレートを含有する反応液を攪拌混合する。
上記イソシアネート化合物として具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。上記イソシアネート化合物は1種単独でもよく、2種以上併用してもよい。
上記ポリオールは、水酸基を2以上有するものであれば特に限定はない。上記ポリオールは、例えば、エステル系ポリオール、エーテル系ポリオ−ル、及びポリカーボネート系ポリオール等が挙げられる。上記エステル系ポリオールとしては、例えば、ジオール類(3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9ーノナンジオール等)と、ジカルボン酸(セバチン酸、アジピン酸、ダイマー酸、琥珀酸、アゼライン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びシトラコン酸等、並びにこれらの無水物等)とを反応させてなるエステル化合物が挙げられる。また、上記エーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシブチレン)グリコール等が挙げられる。上記エーテル系ポリオールとして具体的には、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びプロピレン変成ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。上記ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、カーボネート誘導体とジオール類との反応生成物が挙げられる。上記カーボネート誘導体として具体的には、例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のジアリルカーボネート等が挙げられる。また、上記ジオール類は、上記で例示したジオール類等が挙げられる。尚、上記ポリオールは1種単独でもよく、2種以上併用してもよい。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルメタアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記水酸基含有(メタ)アクリレートは1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。尚、上記水酸基含有(メタ)アクリレート及び上記(メタ)アクリレートは、水酸基含有(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリレートだけでなく、その誘導体をも含む。
上記エポキシ樹脂は、1分子あたり1個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であればその種類に特に限定はない。上記エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル系、グリシジルアミン系、グリシジルエステル系、及びオレフィン酸化系のエポキシ樹脂等が挙げられる。上記エポキシ樹脂として具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂フェノール、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。上記エポキシ樹脂中のエポキシ基の数は1分子あたり1個以上あればよく、2個以上でもよい。また、上記エポキシ樹脂は1種単独でもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の製造方法では、上記攪拌手段12により、上記製造原料を含む反応液を上記反応容器11内で攪拌混合する。本発明の製造方法において、反応液の容積には特に限定はなく、反応容器11の大きさ、並びに上記攪拌翼の形状、数及び種類等に基づいて、種々の容積とすることができる。通常、上記反応液の量は、上記反応容器11の容積の80〜90%である。
本発明の製造方法において、反応条件には特に限定はない。本発明の製造方法における反応条件は、原料の種類及び量等に応じて種々の範囲とすることができる。例えば、反応液の攪拌速度は、攪拌機及び減速機等の許容範囲、攪拌翼及び攪拌軸の強度範囲内であれば、いかなる速度(回転数)でもよい。また、反応温度は、ウレタン(メタ)アクリレートの分解物が生成しない範囲内であれば、いかなる温度でもよい。反応温度は通常20℃〜100℃、好ましくは30℃〜90℃、更に好ましくは50℃〜90℃である。
上記のように、ウレタン(メタ)アクリレートの製造反応は、反応速度が速い。しかも、これらの反応では、同一温度における粘度が短時間で100倍以上となり、得られる製品は非常に高粘度になる。本発明の製造方法では、通常、反応開始時の反応液の粘度は1〜100mPa・s、好ましくは5〜80mPa・s、更に好ましくは10〜50mPa・sである。また、本発明の製造方法では、通常、反応終了後の反応液の粘度(得られるウレタン(メタ)アクリレートの粘度)は10000mPa・s以上、好ましくは30000mPa・s以上、更に好ましくは50000mPa・s以上である。尚、上記粘度は、E型回転粘度計により、反応時の温度で測定された値である。本発明の製造方法では、低粘度から高粘度への急激な粘度変化が生じ、得られる製品が非常に高粘度であっても、小さな攪拌動力で原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
以下に記載の装置を用い、以下に記載の方法によりウレタンアクリレートを製造した。
(1)実施例1
本実施例1の製造装置は、反応容器と攪拌翼を有する攪拌手段とを備える。該反応容器は、内容量2Lでガラス製である。また、上記攪拌翼として、d/D(D;槽径、d;翼径)=0.60であり、傾斜角度θ=15°である4枚低傾斜ピッチパドル(表1では「15PP」と表記。)を用いた。上記攪拌手段は上記低傾斜ピッチパドルを2段有する。該低傾斜ピッチパドルを、反応最終液面に対してh/Hが0.35及び0.72となるように設置した。
ジャケット外温60℃、回転数100rpmで攪拌を行いながら、主にポリオール「P−2020」(クラレ製)1000g、ヒドロキシプロピルアクリレート174g、エチレングリコール8.2g、及び触媒としてブチルスズラウラート0.3gを上記反応容器内に投入した。その後、ジャケット外温を60℃に維持したまま、イソホロンジイソシアナート290gを2時間かけて上記反応容器内添加した後、熟成としてジャケット外温を70℃に維持したまま、未反応イソシアネートを削減した。反応液の粘度は、イソホロンジイソシアナート添加中に急激に上昇した。
(2)実施例2
本実施例2の製造装置は、反応容器と攪拌翼を有する攪拌手段とを備える。該反応容器は、内容量2Lでガラス製である。また、上記攪拌翼として、d/D=0.60であり、傾斜角度θ=15°である4枚低傾斜ピッチパドル及びd/D=0.70であり、傾斜角度θ=45°であり、V字の上げ角が30°であるピッチ付V字翼(表1では「4VPP」と表記)を用いた。上記攪拌手段は、上記低傾斜ピッチパドルを回転軸の上方側に備え、上記ピッチ付V字翼を下方側に備える。上記ピッチ付V字翼及び上記低傾斜ピッチパドルを、反応最終液面に対してh/Hが0.03及び0.72となるように設置した。そして、実施例1と同じ原料を用い、同じ条件でウレタン(メタ)アクリレートの製造を行った。反応液の粘度は、イソホロンジイソシアナート添加中に急激に上昇した。
(3)実施例3
本実施例3の製造装置は、反応容器と攪拌翼を有する攪拌手段とを備える。該反応容器は、内容量2Lでガラス製である。また、上記攪拌翼として、d/D=0.60であり、傾斜角度θ=15°である4枚低傾斜ピッチパドルを用いた。上記攪拌手段は上記低傾斜ピッチパドルを4段有する。上記低傾斜ピッチパドルを、反応最終液面に対してh/Hが0.18、0.36、0.54、及び0.72となるように設置した。そして、実施例1と同じ原料を用い、同じ条件でウレタン(メタ)アクリレートの製造を行った。反応液の粘度は、イソホロンジイソシアナート添加中に急激に上昇した。
(4)比較例1
実施例1の攪拌翼に設けられたピッチドパドルの傾斜角度θを45°とした以外は、実施例1と同じ攪拌手段を備える製造装置を用いた。そして、実施例1と同じ原料を用い、同じ条件でウレタンアクリレートの製造を行った。反応液の粘度は、イソホロンジイソシアナート添加中に急激に上昇した。
(5)比較例2
本比較例2の製造装置は、反応容器と攪拌翼を有する攪拌手段とを備える。該反応容器は、内容量2Lでガラス製である。また、上記攪拌翼として、d/D=0.6である佐竹化学機械工業製の中〜低粘度用攪拌翼「HS600」を用いた。上記攪拌手段は、上記攪拌翼を1段有する。上記攪拌翼「HS600」を、反応最終液面に対してh/Hが0.03となるように設置した。そして、実施例1と同じ原料を用い、同じ条件でウレタンアクリレートの製造を行った。反応液の粘度は、イソホロンジイソシアナート添加中に急激に上昇した。
(6)比較例3
本比較例3の製造装置は、反応容器と攪拌翼を有する攪拌手段とを備える。該反応容器は、内容量2Lでガラス製である。また、上記攪拌翼として、一般的に高粘度用液体の混合に用いられるアンカー翼(d/D=0.85,表2では「Anc」と表記)を用いた。上記攪拌手段は、上記アンカー翼を1段有する。上記アンカー翼を、反応最終液面に対してh/Hが0.03となるように設置した。そして、実施例1と同じ原料を用い、同じ条件でウレタンアクリレートの製造を行った。反応液の粘度は、イソホロンジイソシアナート添加中に急激に上昇し、全体がゲル化したため、実験を中止した。
(7)比較例4
ピッチドパドルの傾斜角度θを45°とした以外は、実施例3と同じ攪拌手段を備える製造装置を用いた。そして、実施例3と同じ原料を用い、同じ条件でウレタンアクリレートの製造を行った。反応液の粘度は、イソホロンジイソシアナート添加中に急激に上昇した。
上記実施例1〜3及び比較例1〜4について、以下に記載の方法により、性能評価を行った。その結果を以下の表1及び表2に示す。
(A)3時間反応率(%)
外温70℃における熟成開始から3時間経過後にサンプリングを行い、サンプル中の未反応イソシアネート量を測定することにより求めた。尚、未反応イソシアネート量は、FT−IRにより測定した。
(B)99.99%反応時間(hr)
外温70℃における熟成開始から一定時間経過後にサンプリングを行い、サンプル中の未反応イソシアネート量を測定した。そして、未反応イソシアネート量が0.01%となった時間を求めることにより算出した。尚、未反応イソシアネート量の測定方法は、FT−IRにより測定した。また、製品粘度が高いので、反応液の自由表面からサンプルを採取した。99.99%反応時間は、反応溶液の縦(深さ方向)の混合性の評価の指標となり、この値が短いほど、深さ方向における混合が良好であることを意味する。
(C)攪拌トルク(N・cm)
実験中、攪拌トルクをIKA社製「Power Control Visc」で測定した。イソシアネートの反応速度は非常に早く、イソシアネートの添加中は製品粘度が急激に上昇するが、添加後の熟成時には生成物の高分子量化に伴い、攪拌トルクは徐々に一次的に増加する。そこで、99.99%反応時の攪拌トルクを読み取り、この値を評価の対象とした。
(D)P/V(kW/m
上記攪拌トルクの値に基づいて、以下の式に基づいてkWを測定した。次いで、このkWの値を反応容器の容積(m)で除すことにより、P/Vを求めた。
kW=A×B×0.01/(9.8×973.76)
A;攪拌トルク〔N・cm〕
B;回転数(rpm)
(E)製品粘度(mPa・s/70℃)
東機産業株式会社製E型粘度計(コーンロータ)「CORS−6」(3°×R9.7)で予めカップ温度を70℃に保持したものに試料1gを入れ、得られたウレタンアクリレートの粘度を迅速に測定した。
(F)内外温度差(℃)
攪拌軸付近と反応壁(ジャケット側)に設けられた側温抵抗体の温度推移に基づいて、イソホロンジイソシアナート添加終了時の攪拌軸付近の温度(中心内温)と、反応壁付近の温度(壁側内温)を測定した。この内外温度差は、反応容器の半径方向に対する反応液の混合性の評価の指標となり、この内外温度差が小さいほど、半径方向における混合が良好であることを意味する。
Figure 0004735203
Figure 0004735203
表1及び表2より、傾斜角度θ=15°である4枚低傾斜ピッチパドルを用いた実施例1と、傾斜角度θ=45°である4枚傾斜ピッチパドルを用いた比較例1とを対比すると、内外温度差は比較例1よりも実施例1の方が小さいことから、実施例1は、半径方向の混合性に優れている。また、3時間反応率は実施例1と比較例1とでほぼ同程度であるが、99.99%反応時間は、比較例1よりも実施例1の方が短いことから、実施例1は、より短時間で反応を進めることができる。更に、攪拌トルク及びP/Vはいずれも比較例1よりも実施例1の方が小さいことから、実施例1はより小さい攪拌動力で反応を進めることができる。
また、傾斜角度θ=15°である4枚低傾斜ピッチパドルを用いた実施例1と、傾斜角度θ=45°である4枚傾斜ピッチパドルを用いた比較例1とを対比すると、内外温度差は比較例1よりも実施例1の方が小さいことから、実施例1は、半径方向の混合性に優れている。また、3時間反応率は実施例1と比較例1とでほぼ同程度であるが、99.99%反応時間は、比較例1よりも実施例1の方が短いことから、実施例1は、より短時間で反応を進めることができる。更に、攪拌トルク及びP/Vはいずれも比較例1よりも実施例1の方が小さいことから、実施例1は、より小さい攪拌動力で反応を進めることができる。
また、従来の中〜低粘度用攪拌翼を用いた比較例2では、3時間反応率が大きく、99.99%反応時間が短いことから、反応は良好に進めることができるのに対し、攪拌トルク及びP/Vが大きいことから、反応を進めるには大きい攪拌動力が必要となる。一方、従来の高粘度用攪拌翼を用いた比較例3では、攪拌トルクが60.0N・cmを越え、また、イソシアネートの減少も見られなくなっていた。このことより、比較例3では、上下の混合が起こっていないものと考えられる。よって、従来の高粘度用攪拌翼では、反応中に粘度が低粘度から高粘度に急激に変化する反応系では、十分に攪拌することができずに反応を進めることが困難であることが分かる。一方、これに対し、傾斜角度θ=15°である4枚低傾斜ピッチパドルを用いた実施例1〜3では、いずれも3時間反応率が高く、99.99%反応時間が短いと共に、攪拌トルク及びP/Vが小さいことから、反応中に粘度が低粘度から高粘度に急激に変化する反応系においても、より小さい攪拌動力で十分に攪拌をすることができ、その結果、反応を進めることができる。
尚、本発明は、上記実施例に限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
本発明の製造装置は、非常に反応速度が速く、急激な粘度変化を伴うウレタン(メタ)アクリレートの製造装置として好適に使用できる。本発明の製造装置を用いることにより、小さい攪拌動力で原料を均一に混合することができ、反応率が高く、反応時間を短縮することができる。また、本発明の製造方法は、種々の用途に利用されるウレタン(メタ)アクリレートを効率的に製造することができる。本発明の製造方法より得られたウレタン(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線硬化型塗料、合成皮革、コーティング材料、電気部品注型材料、接着剤、インキ材料、光学材料、コーティング材料、及びプリント配線基板用ソルダーレジスト材料等として利用することができる。
本発明の製造装置1の一例を説明するための模式断面図である。 本発明の製造装置1に設けられた攪拌手段12の部分側面図である。 本発明の製造装置1の一例を説明するための模式断面図である。 本発明の製造装置1の一例を説明するための模式断面図である。
符号の説明
1;製造装置、11;反応容器、12;攪拌手段、121;回転軸、122,122a,122b;低傾斜ピッチドパドル、123;他の攪拌翼。

Claims (4)

  1. ウレタン(メタ)アクリレートを製造する製造装置であって、反応容器及び該反応容器内に設けられた攪拌手段を備え、該攪拌手段は、回転軸と、該回転軸に取り付けられている攪拌翼と、を有し、且つ該攪拌翼は、2段以上であり、該攪拌翼のうち少なくとも1段は、ピッチドパドルの水平からの仰角である傾斜角度θが0°を超えて30°以下である低傾斜ピッチドパドルであることを特徴とする製造装置。
  2. 上記低傾斜ピッチドパドルを2段以上有する請求項1記載の製造装置。
  3. 上記攪拌翼は、上記低傾斜ピッチドパドルを少なくとも1段と、他の攪拌翼を少なくとも1段有する請求項1記載の製造装置。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の製造装置を用いて、ポリオール、イソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する反応液を攪拌混合することを特徴とするウレタン(メタ)アクリレートの製造方法。
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