JP2003082021A - 環構造含有重合体水素添加物の製造方法 - Google Patents

環構造含有重合体水素添加物の製造方法

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JP2003082021A
JP2003082021A JP2001279371A JP2001279371A JP2003082021A JP 2003082021 A JP2003082021 A JP 2003082021A JP 2001279371 A JP2001279371 A JP 2001279371A JP 2001279371 A JP2001279371 A JP 2001279371A JP 2003082021 A JP2003082021 A JP 2003082021A
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hydrogenation
ring structure
stirring
stirring blade
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JP2001279371A
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Tsutomu Nagamune
勉 長宗
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環構造含有重合体中の炭素−炭素二重
結合を効率よく水素添加して、環構造含有重合体水素添
加物を製造する方法を提供する。 【解決手段】 環構造含有重合体中の炭素−炭素二重
結合を水素添加触媒の存在下で水素添加するにあたり、
水平方向からの最大投影面積(A)と鉛直方向からの最
大投影面積(B)との比(A/B)が5〜150である
攪拌翼を用いて反応系を攪拌しながら、水素添加反応を
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環構造含有重合体
水素添加物の製造方法に関し、さらに詳しくは特定の攪
拌方法により環構造含有重合体中の炭素−炭素二重結合
を効率よく水素添加して環構造含有重合体水素添加物を
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン系重合体などの環構造含有
重合体は、重合体中の炭素−炭素二重結合を水素添加す
ることにより、耐熱性、透明性、低吸水性が改良され、
光学材料などに好適に用いられていることが知られてい
る。水素添加率をあげるために一般的に行われている方
法としては、水素添加触媒の量を増やす、水素添加
温度を上げる、水素添加時間を長くする方法などが挙
げられる。しかしながら、前記のの方法では、水素添
加触媒が高価であるためコストがかかったり、触媒を除
去するための濾過にかかる負荷が大きくなったりする。
また、やの方法では、エネルギーコストがかかるだ
けでなく、副反応が起こって得られる環構造含有重合体
水素添加物の耐熱性が低下したりする問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、環構造含有重合体中の炭素−炭素二重結合を低コス
トで効率よく水素添加して、環構造含有重合体水素添加
物を製造する方法を提供することにある。本発明者は、
水素添加の際の反応条件、特に攪拌翼の形状と水素添加
率との関係に着目し、鋭意検討した結果、水素添加触媒
の存在下で環構造含有重合体中の炭素−炭素二重結合を
水素添加するにあたり、特定の攪拌翼を用いて攪拌を行
えば、上記目的が達成できることを見出し、この知見に
基づき、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、環構造含有重合体中の炭素−炭素二重結合を水素添
加触媒の存在下で水素添加するにあたり、水平方向から
の最大投影面積Aと鉛直方向からの最大投影面積Bとの
比(A/B)が5〜150である攪拌翼を用いて反応系
を攪拌しながら水素添加を行う工程を含む環構造含有重
合体水素添加物の製造方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、環構造含有
重合体中の炭素−炭素二重結合を水素添加触媒の存在下
で水素添加するにあたり、水平方向からの最大投影面積
Aと鉛直方向からの最大投影面積Bとの比(A/B)が
5〜150である攪拌翼を用いて反応系を攪拌しながら
水素添加を行う工程を含む。
【0006】本発明の製造方法に適用できる攪拌翼は、
攪拌翼を反応器に設置した状態で、水平方向からの最大
投影面積Aと鉛直方向からの最大投影面積Bとの比(A
/B)が5〜150、好ましくは10〜100の範囲に
あるものである。
【0007】本発明の製造方法において、「水平方向か
らの最大投影面積」とは、撹拌翼を反応器に設置した状
態における水平方向からの投影面積の中で最大のものを
いう。また「鉛直方向からの最大投影面積」とは、撹拌
翼を反応器に設置した状態における鉛直方向からの投影
面積の中で最大のものをいう。
【0008】本発明の製造方法においては、前記撹拌翼
を設置した状態における撹拌軸の中心から撹拌翼の先端
までの水平方向の長さdの2倍の値2dと水素添加反応
器の内径Dとの比(2d/D)が0.3〜0.95であ
る撹拌翼が好ましい。また、dが高さ方向で異なる場合
には、最大の値をdとする。図1に、撹拌翼を設置した
状態における撹拌軸の中心から撹拌翼の先端までの水平
方向の長さdと水素添加反応器の内径Dの一測定例を示
す。前記比(2d/D)が0.3〜0.95である撹拌
翼を用いることにより、水素添加をより効率よく行うこ
とができる。
【0009】前記比(2d/D)が0.3〜0.95の
範囲である攪拌翼の具体例としては、図2(a)に示す
マックスブレンド翼(住友重機械工業社製)、図2
(b)に示すフルゾーン翼(神鋼パンテック社製)、図
2(c)に示すスーパーミックス翼(佐竹化学機械工業
社製)、図2(d)に示すサンメラー(三菱重工業社
製)、及び図2(c)に示すHi−Fミキサー(総研化
学社製)等が挙げられる。
【0010】本発明の製造方法が適用できる環構造含有
重合体は、主鎖および/または側鎖に環構造を有するも
のであり、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に
環構造を含有するものが好ましい。環を構成する炭素原
子数は、重合体の機械的強度、耐熱性、成形加工性の観
点から、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より
好ましくは5〜15個の範囲である。重合体における環
構造を有する繰り返し単位の全繰り返し単位に対する割
合は、使用目的に応じて適宜選択されればよく、通常5
0重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好まし
くは90重量%以上である。環構造を有する繰り返し単
位の割合が、上記範囲にあることが成形品の透明性およ
び耐熱性の観点から好ましい。このような環構造含有重
合体の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、
(2)ビニル環状炭化水素系重合体、(3)環状共役ジ
エン系重合体などが挙げられる。これらの中でも、ノル
ボルネン系重合体およびビニル環状炭化水素系重合体が
耐熱性、機械的強度の点から好ましく、ノルボルネン系
重合体がより好ましい。
【0011】(1)ノルボルネン系重合体 ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系単量体の開環
重合体およびノルボルネン系単量体の付加重合体であ
る。ノルボルネン系単量体は、特開平2−227424
号公報、特開平2−276842号公報などで公知とな
っている単量体、例えば、ノルボルネン、ジシクロペン
タジエンなどのノルボルネン環以外に環構造を有するノ
ルボルネン誘導体、テトラシクロドデセン類やヘキサシ
クロヘプタデセン類等のノルボルネン環を有する多環の
環状オレフィン類である。また、これらの単量体は、ア
ルキル基やアルケニル基、アルキリデン基などの炭化水
素基;窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、又
は硫黄原子を含む基;ノルボルネン環の二重結合以外の
二重結合;をさらに有してもよい。また、上記のノルボ
ルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上組
み合わせて用いることができる。上記のノルボルネン系
単量体の割合は、全単量体に対して通常50〜100重
量%、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは
90〜100重量%、特に好ましくは100重量%であ
る。この範囲にノルボルネン系単量体の割合を設定する
ことで、得られる成形体の機械的強度が向上する。
【0012】本発明の製造方法においては、上記ノルボ
ルネン系単量体以外に、共重合可能な単量体として、例
えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20個を有するα−
オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘ
キセンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエ
ン、4−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジ
エンなどを全単量体の50重量%以下で用いることがで
きる。これらの共重合可能な単量体は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。
【0013】ノルボルネン系単量体の開環重合体は、ノ
ルボルネン系単量体を開環重合触媒の存在下で、有機溶
媒中又は無溶媒で、通常、−50〜100℃の重合温
度、0〜5MPaの重合圧力で開環重合することにより
得ることができる。
【0014】本発明の方法が適用できる開環重合触媒と
しては、(1)ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オ
スミウム、イリジウム、もしくは白金などの金属のハロ
ゲン化物、硝酸塩、又はアセチルアセトン化合物と、還
元剤とからなる触媒、(2)チタン、バナジウム、ジル
コニウム、タングステン、もしくはモリブデンなどの金
属のハロゲン化物、又はアセチルアセトン化合物と、助
触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げら
れる。
【0015】ノルボルネン系単量体の付加重合体および
ノルボルネン系単量体と上記共重合可能な単量体との付
加共重合体は、単量体成分を、有機溶媒中または無溶媒
で、チタン、ジルコニウム、もしくはバナジウムなどの
金属のハロゲン化物、又はアセチルアセトン化合物と、
有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、通
常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜5MPaの重
合圧力で共重合させる方法により得ることができる。
【0016】(2)ビニル環状炭化水素系重合体 ビニル環状炭化水素系重合体としては、ビニルシクロヘ
キセン、ビニルシクロペンテンなどの脂環式ビニル系単
量体の重合体;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳
香族ビニル系単量体の重合体;などを用いることができ
る。ビニル環状炭化水素系重合体を製造するための重合
反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合な
どの公知の方法のいずれでもよく、また、懸濁重合、溶
液重合、塊状重合のいずれでもよい。
【0017】ラジカル重合を行う場合は、重合触媒とし
てアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシ
ドのごときラジカル開始剤を使用することができる。
【0018】カチオン重合を行う場合は、重合触媒とし
てBF、BFなどのルイス酸を使用することができ
る。
【0019】アニオン重合は、具体的には有機溶媒中
で、重合触媒として有機アルカリ金属化合物を使用する
ことができる。機械的強度や耐熱性の確保などの目的
で、分子量分布の狭い重合体を得るためにルイス塩基を
添加する。
【0020】アニオン重合を行う場合の有機アルカリ金
属化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチ
ルリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチオメ
タン、1,4−ジリチオブタンなどの多官能性有機リチ
ウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレ
ンなどが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化
合物が好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、
単量体100重量部あたり、通常、0.05〜100ミ
リモル、好ましくは0.10〜50ミリモルである。
【0021】ルイス塩基としては、ジエチルエーテル、
ジブチルエーテルなどのエーテル化合物;トリエチルア
ミン、ピリジンなどの第3級アミン化合物;アルキル金
属アルコキシド化合物;ホスフィン化合物などが挙げら
れる。これらの中でも特にエーテル化合物が分子量分布
の狭い重合体を生成し、次工程での水素添加反応に悪影
響を及ぼさないので好ましい。
【0022】本発明の製造方法において、重合反応の後
に重合体の水素添加反応を続けて行う場合には、重合反
応を有機溶媒中で重合するいわゆる溶液重合で行うと、
重合及び水素添加の工程を連続して行うのに好都合であ
る。
【0023】有機溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ま
しく、重合触媒を害さないもので、例えば、n−ペンタ
ン、n−ヘキサン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水
素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化
水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;テト
ラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙
げられる。有機溶媒の使用量は、単量体濃度が、通常、
1〜40重量%、好ましくは10〜30重量%になる量
である。
【0024】重合温度は、通常−70〜150℃、好ま
しくは−50〜120℃である。重合時間は、通常0.
01〜20時間、好ましくは0.1〜10時間である。
【0025】重合反応は、重合転化率が高くなって単量
体がほとんど無くなれば停止するが、重合反応後の溶液
のゲル化を防ぐ目的で重合触媒の不活性化剤を添加して
もよい。重合触媒の不活性化剤としては、水;メタノー
ル、エタノールなどのアルコール類;ギ酸、酢酸などの
カルボン酸類;フェノール、クレゾールなどのフェノー
ル類などが挙げられる。
【0026】(3)環状共役ジエン系重合体 環状共役ジエン系重合体としては、シクロペンタジエ
ン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体
を、例えば特開平6−136057号公報や特開平7−
258318号公報の教示する方法によって、1,2−
または1,4−付加重合した重合体を用いることができ
る。
【0027】本発明の製造方法が適用できる環構造含有
重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択される
が、シクロヘキサンを溶媒とした(重合体が溶解しない
場合はトルエン溶媒)ゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフィーで測定したポリイソプレン換算の重量平均
分子量で、通常5,000〜500,000、好ましく
は8,000〜200,000、より好ましくは10,
000〜100,000の範囲である。環構造含有重合
体の分子量を前記範囲とすることにより、成形品の機械
的強度と成形加工性、耐油性とが高度にバランスし、好
適である。本発明の製造方法が適用できる環構造含有重
合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適
宜選択されるが、通常50〜300℃、好ましくは60
〜200℃、より好ましくは70〜150℃である。
【0028】本発明の製造方法では、攪拌翼を用いて攪
拌しながら環構造含有重合体中の炭素−炭素二重結合を
水素添加触媒の存在下で水素添加する。
【0029】本発明の製造方法において、撹拌所要動力
Pvを0.2〜5(kW/m)の範囲で攪拌翼を攪拌
しながら水素添加を行うと、環構造含有重合体の水素添
加反応をより効率よく行うことができるので好ましい。
なお、攪拌所要動力Pv(kW/m)は、以下の式で
計算される。 攪拌所要動力Pv=P/V ここで、Pは攪拌動力(kW)、Vは環構造含有重合体
溶液の体積(m)である。
【0030】本発明の製造方法においては、環構造含有
重合体溶液の液レベル面は、反応器に取り付けられた攪
拌翼の最上部と同じか攪拌翼の最上部よりも低くなるよ
うにするのが好ましい。具体的には、反応器底から攪拌
翼最上部までの高さをH、前記液レベル面をLとしたと
き、その比(H/L)を好ましくは1.0〜1.5、さ
らに好ましくは1.0〜1.3とする。環構造含有重合
体溶液の液レベル面Lを上記範囲にすることにより、環
構造含有重合体溶液と水素との気液接触界面積を増加さ
せて、水素添加反応を促進することができる。図3に、
水素添加反応器底から攪拌翼最上部までの高さH及び環
構造含有重合体液の液レベル面Lの一測定例を示す。
【0031】本発明の製造方法に適用できる水素添加触
媒は、オレフィン化合物や芳香族化合物の水素化に際し
て一般に使用されるものであれば格別な制限はなく、通
常、不均一系触媒や均一系触媒が用いられる。
【0032】不均一系触媒としては、例えば、ニッケ
ル、パラジウム、白金、又はこれらの金属を用いてカー
ボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の
担体に担持させた固体触媒:ニッケル/シリカ、ニッケ
ル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カ
ーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ
土、パラジウム/アルミナなどの組み合わせからなる触
媒が挙げられる。
【0033】均一系触媒としては、例えば、遷移金属化
合物とアルキルアルミニウム又はアルキルリチウムの組
み合わせからなる触媒、具体的には、酢酸コバルト/ト
リエチルアルミニウム、酢酸コバルト/トリイソブチル
アルミニウム、酢酸ニッケル/トリエチルアルミニウ
ム、酢酸ニッケル/トリイソブチルアルミニウム、ニッ
ケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、
ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミ
ニウイム、チタノセンクロリド/n−ブチルリチウム、
ジルコノセンクロリド/n−ブチルリチウムなどの組み
合わせからなる触媒が挙げられる。
【0034】水素添加触媒の使用量は、環構造含有重合
体100重量部あたり、通常0.01〜100重量部、
好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜3
0重量部の範囲である。また、水素添加触媒は、単独で
又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】本発明の製造方法において、水素添加反応
は、通常、有機溶媒中で行われる。これらの環構造含有
重合体の水素添加における有機溶媒としては、n−ペン
タン、n−ヘキサン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水
素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化
水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;テト
ラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙
げられる。前記有機溶媒の使用量は、通常、環構造含有
重合体濃度が1〜30重量%となる量である。
【0036】水素添加反応の温度条件は、通常10〜2
50℃であるが、水素添加率を高くでき、且つ重合体鎖
切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは5
0〜200℃、より好ましくは80〜180℃である。
水素圧力は、通常、0.1MPa〜30MPaである
が、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1
MPa〜20MPa、より好ましくは2MPa〜10M
Paである。水素添加反応時間は、通常1〜20時間で
ある。
【0037】本発明の製造方法により得られる環構造含
有重合体水素添加物の水素添加率は、複屈折の抑止や耐
光劣化性を向上させるためにはより高い方が好ましく、
好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上、
特に好ましくは99.5%以上水素添加されることが望
ましい。水素添加率が過度に小さいと複屈折を十分に小
さくし得ないおそれがあるので好ましくない。水素添加
率は、H−NMRにより求めることができる。
【0038】本発明の製造方法においては、水素添加後
に、必要に応じて重合体溶液にケイソウ土などの濾過助
剤を添加し、あるいは濾過器に濾過助剤のベッドをつく
り、重合体溶液を濾過して水素添加触媒を除去する。次
いで、有機溶媒などの揮発成分を除去し、環構造含有重
合体水素添加物を回収する。
【0039】揮発成分の除去方法としては、凝固法や直
接乾燥法など公知の方法を採用することができる。凝固
法は、濾過後の溶液を環構造含有重合体の貧溶媒と混合
することにより、水素添加した環構造含有重合体を析出
させる方法であり、貧溶媒の種類は重合体の種類により
変化するが、たとえばエチルアルコール、n−プロピル
アルコールもしくはイソプロピルアルコールなどのアル
コール類;アセトンもしくはメチルエチルケトンなどの
ケトン類;酢酸エチルもしくは酢酸ブチルなどのエステ
ル類などの極性溶媒を挙げることができる。凝固して得
られた粉末状の樹脂を含む成分は、例えば真空中または
窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させ、さらに必要
に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にして用
いることが好ましい。
【0040】直接乾燥法は、溶液を減圧下で加熱して溶
媒を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続
蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度
リアクタ装置などの公知の装置を用いて行うことができ
る。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限
定されない。
【0041】本発明の製造方法により得られた環構造含
有重合体水素添加物は、透明性、低吸水性、成形性、機
械的強度、耐薬品性、耐熱性などに加えて複屈折が小さ
いなどの特徴があるので、プラスチックレンズや光ディ
スクなどの光学材料に好適である。このような成形品を
得るため、必要に応じて熱可塑性樹脂材料に通常配合さ
れている配合剤が格別な制限なく添加することができ
る。そのような配合剤としては、例えば、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料
などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白
剤、難燃剤、アンチブロッキング剤などの配合剤が挙げ
られる。
【0042】本発明の製造方法により得られた環構造含
有重合体水素添加物に上記配合剤を配合する方法は、例
えばミキサー、二軸混練機、ロール、ブラベンダー、押
出機などでノルボルネン系開環重合体水素添加物を溶融
状態にして配合剤と混練する方法、適当な溶剤に溶解し
て分散させ凝固する方法などが挙げられる。二軸混練機
を用いる場合、混錬後に通常は溶融状態でストランド状
に押し出し、ペレタイザーにてペレット状にカットして
用いられることが多い。
【0043】本発明の製造方法により得られた環構造含
有重合体水素添加物は、成形体に成形して、各種用途に
使用することができる。成形方法としては格別な限定は
ないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等に優れた成
形物を得るためには、溶融成形法を用いるのが好まし
い。溶融成形法としては、射出成形法、押し出し成形
法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられるが、低
複屈折性、寸法安定性などの観点から、射出成形法が好
ましい。
【0044】以上の方法により得られた成形体は、光学
レンズ、光ディスク、プリズム、光拡散板、光カード、
光ファイバー、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光
板、偏光フィルム、位相差フィルムなどの光学材料;液
体薬品容器、アンプル、バイアル、輸液用バッグ、密封
薬袋、プレス・スルー・パッケージ、固体薬品容器、点
眼薬容器などの液体、粉体、または固体薬品の容器;注
射器、プレフィルドシリンジ、医療用輸液チューブなど
の医療器具および医療用器材;液晶基板、光メモリーな
どとして利用することができる。
【0045】
【実施例】以下に製造例、実施例、比較例を挙げて本発
明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定
されない。なお、部及び%は、特記のない限り重量基準
である。測定法は、以下の方法に従った。 (1)重量平均分子量(Mw) シクロヘキサンを溶剤とするゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)により標準ポリイソプレン換
算の重量平均分子量を算出した。 (2)水素添加率 水素添加率は、 H−NMRにより測定した。
【0046】(製造例1)窒素で置換した電磁攪拌装置
を備えた反応器に溶媒シクロヘキサン120部と8−メ
チル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−ドデカ−3−エン(慣用名:ジシクロペン
タジエン)10部を添加し、助触媒としてトリイソブチ
ルアルミニウム0.34部、反応調整剤としてイソブチ
ルアルコール0.13部とアセトン0.07部、分子量
調整剤として1−ヘキセン0.6部を添加した。次に、
開環重合触媒の六塩化タングステン0.09部を添加
し、60℃で5分間攪拌した後、反応系を60℃に保持
しながら、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−ドデカ−3−エン90部と、
六塩化タングステン0.13部およびシクロヘキサン1
10部の混合溶液をそれぞれ系内に3時間かけて添加し
た。添加終了後、さらに30分間攪拌して開環重合を終
了させ、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液中の環
構造含有重合体の分子量は、重量平均分子量Mwで、2
0,000であった。この反応溶液のガスクロマトグラ
フィーの分析により、未反応単量体のピークが検出され
ないことから、重合転化率は、100%であることを確
認した。
【0047】(実施例1)製造例1で得られた重合体溶
液167部を大型攪拌翼としてマックスブレンド翼(住
友重機械工業社製、2d:1546mm、投影面積比:
39)を備えた水素添加反応器(反応器の内径D:29
00mm)に入れ、シクロヘキサン84部を加えた。こ
のときH/Lは1.0であった。そして、前記反応器に
水素添加触媒としてケイソウ土担持ニッケル触媒を3部
加え、反応器内を水素置換した後、水素圧5.4MP
a、反応温度160℃で4時間水素添加反応させた。反
応終了後、濾過により触媒を除去した。得られた環構造
含有重合体水素添加物溶液を3000部のイソプロピル
アルコール中に攪拌下に注いで、水素添加物を沈殿さ
せ、濾別して回収した。さらにアセトン500部で洗浄
した後、0.1kPa以下に減圧した真空乾燥器中、1
00℃で24時間乾燥させ、環構造含有重合体水素添加
物95部を得た。得られた環構造含有重合体水素添加物
の水素添加率は、99.9%であった。結果を表1に示
す。
【0048】(比較例1)実施例1で攪拌翼として4枚
傾斜パドル翼(2d:2180mm、投影面積比:1)
を用いて、水素添加触媒量を6部とした他は同様にし
て、環構造含有重合体水素添加物を得た。得られた環構
造含有重合体水素添加物の水素添加率は、97.5%で
あった。結果を表1に示す。
【0049】(比較例2)実施例1で攪拌翼として4枚
傾斜パドル翼(2d:2180mm、投影面積比:1)
を用いて、水素添加温度を180℃、水素添加触媒量を
5部とした他は同様にして、環構造含有重合体水素添加
物を得た。このときの環構造含有重合体水素添加物の水
素添加率は、98.5%であった。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1の結果から以下のことがいえる。本発
明の製造方法によれば、実施例1に示したとおり、水平
方向からの最大投影面積(A)と鉛直方向からの最大投
影面積(B)との比(A/B)が5〜150である攪拌
翼を用いて反応系を攪拌しながら環構造含有重合体中の
炭素−炭素二重結合を水素添加することにより、水素吸
収が促進され、水素添加反応速度が大きくなり、その他
の攪拌翼を使用した場合(比較例1及び2)と比較し
て、水素添加触媒を減らしたり、水素添加反応温度など
を下げたりすることができ、触媒コストやエネルギーコ
ストを低減できる。
【0052】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、水平方向か
らの最大投影面積(A)と鉛直方向からの最大投影面積
(B)との比(A/B)が5〜150である攪拌翼を用
いて環構造含有重合体の水素添加反応を行うことによ
り、他の攪拌翼と比較して水素添加反応温度を下げるこ
とができ、また水素添加触媒を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 撹拌翼を設置した状態における撹拌軸の中
心から撹拌翼の先端までの水平方向の長さdの一測定
例。
【図2】 本発明の製造方法に適用できる攪拌翼の具
体例の模式図であり、(a)はマックスブレンド翼(住
友重機械工業社製)、(b)はフルゾーン翼(神鋼パン
テック社製)、(c)はスーパーミックス翼(佐竹化学
機械工業社製)、(d)はサンメラー(三菱重工業社
製)、(e)はHi−Fミキサー(総研化学社製)であ
る。
【図3】 水素添加反応器底から攪拌翼最上部までの
高さH及び環構造含有重合体溶液の液レベル面Lの一測
定例。
【符号の説明】
D:水素添加反応器の内径 d:攪拌翼を設置した状態における撹拌軸の中心から先
端までの水平方向の長さ H:水素添加反応器底から攪拌翼最上部までの高さ L:環構造含有重合体溶液の液レベル面 1:攪拌翼 2:水素添加反応器 3:液面 4:撹拌軸 5:撹拌軸の中心

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環構造含有重合体中の炭素−炭素二重結
    合を水素添加触媒の存在下で水素添加するにあたり、水
    平方向からの最大投影面積(A)と鉛直方向からの最大
    投影面積(B)との比(A/B)が5〜150である攪
    拌翼を用いて反応系を攪拌しながら水素添加を行う工程
    を含む環構造含有重合体水素添加物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記撹拌翼を設置した状態における撹拌
    軸の中心から撹拌翼の先端までの水平方向の長さdの2
    倍の値2dと水素添加反応器の内径Dとの比(2d/
    D)が0.3〜0.95である撹拌翼を用いる請求項1
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 撹拌翼の撹拌所要動力(Pv)が0.2
    〜5kW/mである請求項1又は2記載の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007137978A (ja) * 2005-11-16 2007-06-07 Toagosei Co Ltd ウレタン(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートの製造装置、並びに製造方法
JP2015172135A (ja) * 2014-03-11 2015-10-01 出光興産株式会社 不飽和ビシクロ化合物の重合方法及び重合装置

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