JP2002069122A - 脂環構造含有重合体の製造方法 - Google Patents

脂環構造含有重合体の製造方法

Info

Publication number
JP2002069122A
JP2002069122A JP2000262147A JP2000262147A JP2002069122A JP 2002069122 A JP2002069122 A JP 2002069122A JP 2000262147 A JP2000262147 A JP 2000262147A JP 2000262147 A JP2000262147 A JP 2000262147A JP 2002069122 A JP2002069122 A JP 2002069122A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
polymer
filtration
hydrogenation
hydrogenation catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000262147A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruo Ueno
春夫 上野
Shinichi Kondo
伸一 近藤
Shinji Komiyama
進二 小宮山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2000262147A priority Critical patent/JP2002069122A/ja
Publication of JP2002069122A publication Critical patent/JP2002069122A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 異物が殆ど混入しない脂環構造含有重合体を
製造するための、水素添加触媒を含有する脂環構造含有
重合体溶液から水素添加触媒を短時間で完全に除去する
方法を提供すること。 【解決手段】 脂環構造含有重合体および水素添加触媒
を含有する反応溶液から、水素添加触媒を遠心分離して
除去する工程と、遠心分離後の溶液に残留する水素添加
触媒を濾過して除去する工程とを有する脂環構造含有重
合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂環構造含有重合
体の製造方法に関し、詳しくは、不飽和結合の水素化反
応後の、脂環構造含有重合体および水素添加触媒を含有
する溶液から水素添加触媒を短時間で完全に除去するこ
とにより異物が殆ど混入しない脂環構造含有重合体を製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、耐熱性、透明性、低吸水性などに
優れるためレンズや光ディスクなどの光学製品に好適な
樹脂として広く使用されている脂環構造含有重合体は、
不飽和結合を有するノルボルネン系重合体やビニル芳香
族系重合体などを水素添加することにより製造されてい
る。かかる水素添加には、従来からニッケル、パラジウ
ムなどの遷移金属をカーボンやシリカなどの担体に担持
させた遷移金属担持型触媒が使用されている。脂環構造
含有重合体を製造するには、水素添加反応後の重合体溶
液から水素添加触媒を分離し、次いで溶媒を除去して重
合体を回収する工程が採られる。特に光学材料用途で
は、如何に微細であっても異物の混入を防がねばならな
いので、水素添加触媒の分離が重要である。しかし、従
来から行われている濾過による分離は、濾布の目詰まり
のため濾過に長時間要する問題を、また、濾過時間を短
縮する目的で濾過助剤を大量に使用しなければならない
という問題を有している。一方、水素添加触媒を遠心分
離により除去しようとすると、遠心分離で取り切れない
微粒子の水素添加触媒が重合体溶液中に混入してしまう
という問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水素
添加触媒を短時間で完全に除去でき、しかも濾過助剤の
使用量が低減できる脂環構造含有重合体の製造方法を提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究した結果、脂環構造含有重合体
を含有する反応溶液を、先ず遠心分離工程に通して水素
添加触媒の一部を除き、次いで濾過工程に通して残留す
る触媒を除去することにより、短時間で完全に触媒を除
去できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。かくして本発明によれば、(1)脂環
構造含有重合体および水素添加触媒を含有する反応溶液
から、水素添加触媒を遠心分離して除去する工程と、遠
心分離後の溶液に残留する水素添加触媒を濾過して除去
する工程とを有する脂環構造含有重合体の製造方法、
(2)遠心分離前の反応溶液の粘度が1Pa・s以下で
ある上記(1)記載の脂環構造含有重合体の製造方法、
および、(3)遠心分離における遠心力の加速度が50
0〜20,000Gである上記(1)または(2)記載
の脂環構造含有重合体の製造方法、が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。 〔反応溶液〕本発明に使用する反応溶液は、脂環構造含
有重合体および水素添加触媒を含有する溶液である。脂
環構造含有重合体は水素添加反応を経て生成された重合
体であるので、反応溶液は水素添加触媒を含有している
のである。 (1)脂環構造含有重合体 脂環構造含有重合体とは、主鎖および/または側鎖に脂
環構造を有するものであり、機械的強度、耐熱性などの
観点から、主鎖に脂環構造を含有するものが好ましい。
環を構成する炭素原子数は、重合体の機械的強度、耐熱
性、成形加工性の観点から、通常4〜30個、好ましく
は5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であ
る。重合体における脂環構造を有する繰り返し単位の全
繰り返し単位に対する割合は、使用目的に応じて適宜選
択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは7
0重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
脂環構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にある
ことが成形品の透明性および耐熱性の観点から好まし
い。このような脂環構造含有重合体の具体例としては、
ノルボルネン系重合体の水素化物、ビニル脂環式炭化水
素重合体(ビニルアルケン化合物重合体またはビニル芳
香族重合体の水素化物)、環状共役ジエン重合体の水素
化物などが好ましく挙げられる。これらの中でも、ノル
ボルネン系重合体の水素化物が耐熱性、機械的強度の点
からより好ましい。
【0006】(i)ノルボルネン系重合体 ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系単量体の開環
重合体、および、ノルボルネン系単量体の付加重合体も
しくはノルボルネン系単量体と該単量体共重合可能な単
量体との付加重合共重合体であって不飽和結合を有する
ものである。ノルボルネン系単量体の具体例としては、
ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン(慣用名:
ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]
−ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ
[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシ
クロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ブチル−
ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ヘキ
シル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5
−オクチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エ
ン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプ
ト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.
1]−ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ
[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシ
クロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−プロペニ
ル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン;
【0007】5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ
[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−
メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト
−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキ
シカルボニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−
エン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エニル−
2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]−
ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシク
ロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン−5,6−ジカル
ボン酸無水物、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシ
メチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エ
ン、5−ヒドロキシ−i−プロピル−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−
ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、ビシクロ
[2.2.1]−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボ
ン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.
1]−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシク
ロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキ
セニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−
エン;
【0008】トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−
デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエ
ン)、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−デカ−
3−エン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−ウ
ンデカ−3,7−ジエンもしくはトリシクロ[4.4.
0.12,5 ]−ウンデカ−3,8−ジエン、トリシ
クロ[4.4.0.12,5 ]−ウンデカ−3−エ
ン、テトラシクロ[7.4.0.110,13 .0
2,7 ]−トリデカ−2,4,6、11−テトラエン
(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ
フルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.0.1
11,14 .03,8 ]−テトラデカ−3,5,7,
12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,
5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともい
う)などのノルボルナン環を付帯しないノルボルネン系
単量体;
【0009】テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロド
デセンともいう)、8−メチル−テトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エ
ン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5
.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチリデン
−テトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テ
トラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−
ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.
4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3−エ
ン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メトキ
シカルボニル−テトラシクロ[4.4.12,5 .1
7,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−
メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−ヒド
ロキシメチル−テトラシクロ[4.4.0.1
,5 .17,10 ]−ドデカ−3−エン、8−カ
ルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10
−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシク
ロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−
3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.
4.0.1 ,5 .17,10]−ドデカ−3−エ
ン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、ペンタシ
クロ[6.5.1.13,6 .02,7
9,13]−ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタ
シクロ[7.4.0.13,6 .110,13 .0
2,7 ]−ペンタデカ−4,11−ジエンなどのノル
ボルナン環を付帯するノルボルネン系単量体などが挙げ
られる。上記のノルボルネン系単量体は、それぞれ単独
であるいは2種以上組み合わせて用いることができ、本
発明においては、上記ノルボルナン環を付帯しない単量
体を、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以
上、より好ましくは50重量%以上使用すると、成形品
の機械的強度、耐油性、防湿性が向上する。
【0010】本発明においては、上記ノルボルネン系単
量体以外に、共重合可能な単量体として、例えば、エチ
レン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘ
キセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペ
ンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−
ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチ
ル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、
4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テ
トラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1
−エイコセンなどの炭素数2〜20個を有するα−オレ
フィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセ
ン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシク
ロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘ
キセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラ
ヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロ
オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,
4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエ
ン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエンなどを全
単量体の50重量%以下の使用量で用いることができ
る。これらの共重合可能な単量体は、それぞれ単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ
る。
【0011】ノルボルネン系単量体の開環重合体は、開
環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲ
ン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と還元剤
とからなる触媒系、あるいは、チタン、バナジウム、ジ
ルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハ
ロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、助触媒の
有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用いて、有
機溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の
重合温度、0〜5MPaの重合圧力で開環重合すること
により得ることができる。ノルボルネン系単量体の付加
重合体およびノルボルネン系単量体と上記共重合可能な
単量体との付加共重合体は、例えば、単量体成分を、有
機溶媒中または無溶媒で、チタン、ジルコニウム、また
はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからな
る触媒の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温
度、0〜5MPaの重合圧力で重合させる方法により得
ることができる。
【0012】(ii)ビニルアルケン化合物またはビニ
ル芳香族化合物の重合体 ビニルアルケン化合物の重合体またはビニル芳香族化合
物の重合体を水素化したビニル脂環式炭化水素系重合体
も本発明の脂環構造含有重合体に含まれる。ビニルアル
ケン化合物は、二重結合を一つ有する炭素数5〜8の脂
肪族環を置換基に持つビニル単量体で、2−ビニルシク
ロペンテン、2−メチル−4−ビニルペンテン、3−ビ
ニルシクロペンテン、3−t−ブチル−4−ビニルペン
テンなどのビニルシクロペンテン化合物;4−ビニルシ
クロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、2
−メチル−4−ビニルシクロヘキセンなどのビニルシク
ロヘキセン化合物;2−ビニルシクロヘプテンなどのビ
ニルシクロヘプテン化合物;2−ビニルシクロオクテ
ン、4−ビニルシクロオクテンなどのビニルシクロオク
テン化合物などが挙げられる。
【0013】ビニル芳香族化合物としては、芳香環を有
し、かつ、重合性のビニル基を有する化合物であれば格
別な限定はない。芳香族ビニル化合物の例としては、ス
チレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α
−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−
t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチル
スチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−t−ブチ
ルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モ
ノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロス
チレンなどを挙げることができる。これらの中でも、ス
チレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α
−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−
t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチル
スチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−t−ブチ
ルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレンなど
が好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチ
ルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピル
スチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレ
ン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t
−ブチルスチレンなどが特に好ましい。また、上記のビ
ニルアルケン化合物またはビニル芳香族化合物の他に、
これらと共重合可能な単量体を50重量%以下の量で共
重合させてもよい。このような共重合可能な単量体とし
ては、前記のノルボルネン系重合体における共重合可能
な単量体と同様な単量体が例示される。
【0014】ビニルアルケン化合物またはビニル芳香族
化合物の重合は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオ
ン重合などの公知の方法のいずれでもよく、また、懸濁
重合、溶液重合、塊状重合のいずれでもよい。ラジカル
重合を行う場合は、重合触媒としてアゾビスイソブチロ
ニトリル、ベンゾイルペルオキシドのごときラジカル開
始剤を使用することができ、カチオン重合を行う場合
は、重合触媒としてBF、BF などを用いるこ
とができる。アニオン重合においては、有機溶媒中で、
重合触媒として有機アルカリ金属を使用する。機械的強
度や耐熱性の確保などの目的で、分子量分布の狭い重合
体を得るために反応溶液にルイス塩基を添加する。重合
反応の後に重合体の水素添加反応を続けて行う場合に
は、重合反応が有機溶媒中で行われる溶液重合である
と、重合と水素化の工程を連続して行うのに好都合であ
る。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましく、重
合触媒を害さないもので、例えば、n−ペンタン、n−
ヘキサン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロ
ペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベン
ゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフ
ラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。
有機溶媒の使用量は、単量体濃度が、通常、1〜40重
量%、好ましくは10〜30重量%になる量である。
【0015】有機アルカリ金属としては、n−ブチルリ
チウム、sec−ブチルリチウムなどのモノ有機リチウ
ム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタンな
どの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレ
ン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これらの中
でも、有機リチウム化合物が好ましい。有機アルカリ金
属の使用量は、単量体100重量部あたり、通常、0.
05〜100ミリモル、好ましくは0.10〜50ミリ
モルである。ルイス塩基としては、ジエチルエーテル、
ジブチルエーテルなどのエーテル化合物: トリエチル
アミン、ピリジンなどの第3級アミン化合物;アルキル
金属アルコキシド化合物;ホスフィン化合物などが挙げ
られる。これらの中でも特にエーテル化合物が分子量分
布の狭い重合体を生成し、次工程での水素添加反応に悪
影響を及ぼさないので好ましい。重合反応は、通常、−
70〜150℃、好ましくは−50〜120℃で行う。
重合時間は、通常、0.01〜20時間、好ましくは
0.1〜10時間である。重合反応は、重合転化率が高
くなって単量体がほとんど無くなれば停止するが、重合
反応後の溶液のゲル化を防ぐ目的で重合触媒の不活性化
剤を添加してもよい。重合触媒の不活性化剤としては、
水;メタノール、エタノールなどのアルコール類;ギ
酸、酢酸などのカルボン酸類;フェノル、クレゾールな
どのフェノール類などが挙げられる。
【0016】(iii)環状共役ジエン重合体 環状共役ジエン重合体は、シクロペンタジエン、シクロ
ヘキサジエンなどの環状共役ジエン単量体を、例えば特
開平6−136057号公報や特開平7−258318
号公報の教示する方法によって、1,2−または1,4
−付加重合した重合体である。
【0017】(2)水素添加触媒 脂環構造含有重合体は、前記のノルボルネン系単量体の
重合体、ビニルアルケン化合物もしくはビニル芳香族化
合物の重合体または環状共役ジエン単量体の重合体を、
水素添加触媒の存在下で水素添加反応を行うことにより
生成される。水素添加反応の方法は、特に制限はなく、
常法に従って行うことができる。水素添加触媒として
は、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラ
ジウム、白金、ルテニウムおよびレニウムから選ばれる
少なくとも1種の元素を含むものである。これらの内、
ニッケル触媒が分子量分布が狭い、即ち、重量平均分子
量/数平均分子量比Mw/Mnが1に近い重合体水素添
加物を与えるので好ましい。水素添加触媒は不均一系触
媒、均一系触媒のいずれでもよい。不均一系触媒は、金
属もしくは金属化合物のままか、または担体に担持させ
て用いることができる。担体としては、活性炭、ケイソ
ウ土、マグネシア、シリカ、アルミナ、シリカ−マグネ
シア、シリカ−ジルコニア、ケイソウ土−ジルコニア、
アルミナ−ジルコニアなどが挙げられる。担体上の上記
金属の担持量は、触媒と担体とからなる触媒体当たり、
通常、0.01〜80重量%、好ましくは0.05〜6
0重量%である。
【0018】均一系触媒としては、ニッケル、コバル
ト、チタンまたは鉄などの金属化合物と、有機アルミニ
ウムや有機リチウムのような有機金属化合物とを組み合
わせた触媒;ロジウム、パラジウム、、ルテニウム、レ
ニウムなどの有機金属錯体などを用いることができる。
上記金属化合物としては、各金属のアセチルアセトン
塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル化合物、シク
ロペンタジエニルジクロロ化合物などが用いられる。有
機アルミニウムとしては、トリエチルアルミニウム、ト
リイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウ
ム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウ
ムジクロリドなどのハロゲン化アルキルアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの水素化ア
ルキルアルミニウムなどが使用される。有機金属錯体と
しては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯
体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯
体、ヒドリッド−クロロ−トリス(トリフェニルホスフ
ィン)錯体などが挙げられる。均一系触媒を使用する場
合は、水素添加反応終了後に反応溶液に少量のイソプロ
ピルアルコールまたは消石灰などを添加して溶解してい
る水素添加触媒を不溶化する。
【0019】これらの水素添加触媒は、それぞれ単独
で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
水素添加触媒の使用量は、重合体100重量部当たり、
通常、0.03〜50重量部、好ましくは0,16〜3
3重量部、より好ましくは0.33〜15重量部であ
る。脂環構造含有重合体を得るための水素化の反応条件
としては、温度は通常、10〜250℃、好ましくは5
0〜200℃、水素圧力は通常、0.1〜30MPa、
好ましくは0.5〜25MPa、反応時間は通常、0.
5〜20時間、好ましくは1〜15時間である。これら
の水素化反応における溶媒としては、n−ペンタン、n
−ヘキサン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素;シク
ロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベ
ンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロ
フラン、ジオキサンなどのエーテル類などが用いられ
る。溶媒の使用量は、通常、重合体濃度が1〜30重量
%となる量である。重合体溶液と水素化触媒とを接触さ
せる方法としては、重合体溶液に水素化触媒を一定量添
加して、反応器内で撹拌混合する方法が用いられる。脂
環構造含有重合体の水素添加率は、総ての二重結合が水
素添加により飽和された場合を100%とすると、理論
的には0〜100%の範囲があり、水素添加触媒の種類
や量、水素圧力、反応温度、反応時間、触媒濃度などを
変えることによって調整することができるが、耐光性を
向上させるためにはより高い方が好ましく、通常、95
%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは99.
5%以上水素添加されることが望ましい。水素添加率が
過度に小さいと複屈折を十分に小さくし得ないおそれが
あるので好ましくない。不飽和環の水素添加率は、常法
により H−NMR測定法により求めることができ
る。
【0020】本発明で使用する脂環構造含有重合体のガ
ラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択さ
れればよいが、示差走査型熱量計(DSC)により昇温
速度10℃/分で測定した値が、通常、50〜300
℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは70〜
150℃である。本発明で使用する脂環構造含有重合体
の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シク
ロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエ
ン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ
ーで測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量で、
通常、5,000〜500,000、好ましくは8,0
00〜200,000、より好ましくは10,000〜
100,000の範囲であるときに、成形品の機械的強
度と成形加工性、耐油性とが高度にバランスし、好適で
ある。
【0021】〔遠心分離工程(a)〕本発明方法は、脂
環構造含有重合体および水素添加触媒を含有する反応溶
液から、遠心分離により水素添加触媒の一部を除去する
工程(a)と、遠心分離後の溶液に残留する触媒を濾過
により除去する工程(b)とを有する。工程(a)と工
程(b)をこの順序で行うことが必要である。もし、遠
心分離を行わずに濾過をすると、濾布にかかる負荷が大
きすぎるため濾布に目詰まりを起こして濾過速度が低下
し、触媒除去に長時間を要する。また、目詰まりを防止
しようとして目の粗い濾布を使用すれば、微細な触媒粒
子が濾布をすり抜けて、製品の樹脂に混入してしまう。
水素添加触媒を短時間で完全に除去するためには、本発
明の第1工程である遠心分離工程(a)で水素添加触媒
の大部分を除去し、その後に第2工程の濾過工程(b)
で残余の触媒を除去することが好ましい。すなわち、遠
心分離工程(a)で除去する触媒の量は、水素添加反応
後の反応溶液に存在する水素添加触媒の好ましくは60
重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ま
しくは95重量%以上である。
【0022】遠心分離工程(a)で使用する遠心分離装
置(遠心分離器)は、水素添加触媒粒子が懸濁する反応
溶液から触媒粒子を遠心力を利用して固液分離する装置
のうち、濾過を用いない装置である。具体的には、円筒
型遠心沈降機、円錐型遠心沈降機、クラリファイアー、
分離板型遠心沈降機などがある。遠心分離器は回分式で
も連続式でもよい。遠心分離で水素添加触媒の除去率を
高くするためには、遠心分離器にかける反応溶液の粘度
を、好ましくは1Pa・s以下、より好ましくは0.5
Pa・s以下、特に好ましくは0.3Pa以下に調整す
る。また、遠心力の加速度は、好ましくは500〜2
0,000G、より好ましくは1,000〜20,00
0G、特に好ましくは1,500〜20,000Gに調
整する。
【0023】〔濾過工程(b)〕本発明の第2工程とし
て、遠心分離後の溶液になお残留する水素添加触媒を濾
過により除去する。濾過工程(b)における濾過のため
の装置としては、フィルターにより固液分離するもの
(濾過器)であれば限定されない。濾過器は、遠心力を
利用するものであってもよい。また、回分式でも、連続
式でもよい。前工程に比して相対的に粒度の細かな触媒
粒子を含有する溶液を、濾過器にかけることにより触媒
粒子を効果的に除去することができる。濾過の迅速化の
ために、溶液中にケイソウ土、シリカ、合成ゼオライ
ト、パーライトなどの濾過助剤を添加して(ボディフィ
ード)おいても、あるいは予め濾過器に濾過助剤のベッ
ドを形成して(プリコート)から濾過を行ってもよい
が、本発明により、従来水素添加触媒の除去の効率化を
測る目的で用いていた濾過助剤の使用量を、遠心分離を
しない場合に比して、通常、1/2〜1/10に、時に
は使用しなくても済むまでに大幅に低減することができ
る。濾材としては、金網を有するリーフフィルター、布
製フィルター(濾布)、合成樹脂製フィルター、紙製フ
ィルターなどが挙げられるが、強度と繰り返し使用が可
能な点で金網を有するリーフフィルター、布製フィルタ
ー(濾布)などが好ましい。
【0024】濾過は、好ましくは加圧または減圧によ
り、溶液のイン側とアウト側との間に差圧をつけて行
う。差圧をつける方法としては、イン側を加圧する方法
とアウト側を減圧する方法、またはこれらの組み合わせ
が考えられるが、構造上簡単であることからイン側を加
圧する方法が好ましい。加圧する方法としては、溶液自
体にポンプ等で加圧するか、または圧縮空気または圧縮
窒素等の加圧用の気体により加圧する方法などがある。
加圧する圧力は、特に限定されないが、濾過の効率と装
置の簡易さから、通常0.01〜2MPa 、好ましく
は0.02〜1.5MPa 、より好ましくは0.05
〜0.5MPaである。
【0025】濾過工程の所要時間は、使用した水素添加
触媒の種類や粒径分布および遠心分離での水素添加触媒
除去率により異なる。例えば、平均粒径5μmのケイソ
ウ土担持水素添加触媒を用いて水素化した重合体の濃度
20重量%、粘度0.3Pa・sの反応溶液から触媒を
除去する場合、遠心分離により全水素添加触媒の95重
量%を除去すれば濾過工程の処理速度は500l/m
・hrであるが、遠心分離での除去触媒量が90重
量%であると濾過工程の処理速度は30l/m ・hr
となって濾過工程での所要時間が長くなる。一方、濾過
だけでは処理速度が5.0l/m・hrとなり、遠
心分離に必要な時間が省略できるものの、濾過時間が1
0倍以上長くなるため水素添加触媒分離工程全体として
の所要時間は8倍以上必要となり、生産性が大幅に低下
する。水素添加触媒の除去を、遠心分離工程(a)に続
いて濾過工程(b)を行うことにより、工程(b)を通
過した溶液中には、水素添加触媒は全く検出されないレ
ベルにまで徹底して除去することができる。そのため、
透明性の優れた重合体を安定して製造することができ
る。
【0026】〔重合体の回収〕水素添加触媒を除去して
得た脂環構造含有重合体の溶液は、例えば、外部から異
物が混入しないように密閉のもとで溶媒を主とする揮発
成分を除去する工程に供され、重合体が回収される。揮
発成分の除去方法としては、凝固−固液分離法や直接乾
燥法など公知の方法を採用することができる。凝固法
は、重合体に対して貧溶媒となる溶媒と重合体溶液とを
混合することにより、重合体成分を析出させる方法であ
り、貧溶媒の種類は重合体の種類により変化するが、た
とえばエチルアルコール、n−プロピルアルコールもし
くはイソプロピルアルコールなどのアルコール類;アセ
トンもしくはメチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸
エチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類などの極性
溶媒を挙げることができる。凝固後濾過、遠心分離など
で固液分離して得られた粒子状の重合体成分は、たとえ
ば真空中または窒素中もしくは空気中で加熱して乾燥さ
せて粉末状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機か
ら押し出してペレット状にして樹脂材料とする。
【0027】直接乾燥法は、溶液を減圧下加熱して溶媒
を除去する方法である。この方法には、遠心薄膜連続蒸
発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リ
アクタ装置などの公知の装置を用いて行うことができ
る。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限
定されない。
【0028】〔脂環構造含有重合体の用途〕脂環構造含
有重合体物は、透明性、低吸水性、成形性、機械的強
度、耐薬品性、耐熱性などに優れるので、プラスチック
レンズや光ディスクなどの光学製品に好適である。脂環
構造含有重合体の樹脂材料には、熱可塑性樹脂材料に通
常配合されている配合剤を格別な制限なく添加して成形
することができる。そのような配合剤としては、例え
ば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸
収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防
止剤、蛍光増白剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、レ
ベリング剤などの配合剤が挙げられる。
【0029】これらの配合剤を添加して調製した脂環構
造含有重合体組成物は、例えば押出機によりペレット化
して成形品の加工に供する。成形品の加工法は、用途、
形状などに応じて従来から知られている樹脂成型法がす
べて適用できる。例えば、プラスチックレンズや光ディ
スクを成形する場合は、射出成形法、プレス成形法、押
出成形法などが適用される。また、偏光フィルムや位相
差フィルムを成形する場合は、射出成形、インフレーシ
ョン成形、真空成形、キャスト成形などが用いられる。
このようにして、例えば、光学レンズ、光ディスク、プ
リズム、光拡散板、光カード、光ファイバー、光学ミラ
ー、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差
フィルムなどの光学材料;液体薬品容器、アンプル、バ
イアル、輸液用バッグ、密封薬袋、プレス・スルー・パ
ッケージ、固体薬品容器、点眼薬容器などの液体、粉
体、または固体薬品の容器;注射器、プレフィルドシリ
ンジ、医療用輸液チューブなどの医療器具および医療用
器材;液晶基板、光メモリーなどを得ることができる。
【0030】
【実施例】以下に、参考例、実施例および比較例を挙げ
て、本発明を具体的に説明する。これらの例中の部数お
よび%は、特記しない限り重量基準である。なお、各種
物性の測定法は次のとおりである。 (1)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、シク
ロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)による標準ポリイソプレン換算値
として測定した。 (2)重合添加率は、ガスクロマトグラフィーの測定に
基づき算出した。 (3)水素添加した脂環構造含有重合体の水素添加率
は、H−NMRの測定より算出した。 (4)水素添加触媒の平均粒径の測定は、レーザー回折
散乱法による粒径測定器〔SALD2000A、島津製
作所(株)製〕により行った。即ち、触媒をシクロヘキ
サンに0.05%分散させた分散液を入れたセルにレー
ザー光を当てて体積基準の累積粒径分布を測定し、累積
値50%に相当する粒径を平均粒径とした。 (5)異物混入有無の観察は、水素添加触媒除去工程後
の溶液を100mlガラスびんに採って20ワット蛍光
ランプ直下30cmの白色紙上に置き、肉眼にて観察し
た。
【0031】参考例1 水素化前重合体1の合成 電磁攪拌装置を備えた反応器を窒素置換してシクロヘキ
サン120部と8−メチル−テトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン10部
を添加し、トリ−i−ブチルアルミニウム0.26部、
イソブチルアルコール0.1部、アセトン0.0544
部および1−ヘキセン0.6部を添加した。次に、タン
グステン0.07部を添加し、60℃で5分間攪拌して
重合反応を開始し、反応溶液を60℃に保持しながら、
8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−ドデカ−3−エン90部、六塩化タングス
テン0.1部およびシクロヘキサン110部の混合溶液
を反応液に連続的に滴下した。滴下終了後、さらに30
分間攪拌してから、イソプロピルアルコール0.3部を
添加して重合反応を終了させた。この反応溶液のガスク
ロマトグラフィーの分析により、未反応単量体のピーク
が検出されないことから、反応率は、100%であるこ
とを確認した。得られた水素化前重合体1のMwは、2
0,000であった。
【0032】参考例2 水素化前重合体2の合成 電磁攪拌装置を備えた反応器を窒素置換して、シクロヘ
キサン210部、スチレン4部およびジブチルエーテル
0.1部を仕込み、温度60℃で攪拌しながらnーブチ
ルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.18部
を添加して重合を開始した。0.5時間重合を行った後
(この時点での添加率は99%であった)、さらに重合
を継続しながら重合反応溶液中に、スチレン76部を1
時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、さらに30
分間攪拌してから、イソプロピルアルコール0.1部を
添加して重合を停止させた。重合転化率は100%であ
った。得られた水素化前重合体2のMwは200,00
0、Mw/Mnは1.05であった。
【0033】実施例1 参考例1における重合反応終了後の反応液300lを攪
拌装置を備えた500l反応器に入れ、シクロヘキサン
200lを加えた。これにニッケル/ケイソウ土水素添
加触媒(平均粒径5μm)を8kg加え、反応器内を水
素置換した後、水素圧4.5MPa、反応温度160℃
で6時間水素添加反応させた。水素添加反応終了(水素
添加率99.5%以上)後の粘度0.3Pa・sの反応
溶液500lを、遠心分離機(トモイー・デカンタ、巴
工業社製)に連続的に供給し、3000Gにて遠心分離
し、水素添加触媒を除去した。遠心分離機への反応液供
給速度は500l/hrで、遠心分離器内での滞留時間
は30秒、全遠心分離処理時間は60分、水素添加触媒
の除去率は98%であった。遠心分離後の溶液中には、
平均粒径1.2μmの水素添加触媒の残留成分があっ
た。次に、該溶液に圧力0.2Paかけて濾過器(リー
フフィルター、石川島播磨工業社製、濾過面積0.3m
)に通し、残留していた水素添加触媒を除去した。
除去した触媒は使用した水素添加触媒の2%で、遠心分
離と合わせて計100%の触媒が除去された。また、濾
過時間は200分(濾過速度は500l/m・h
r)であったので、遠心分離と濾過を合わせた水素添加
触媒除去に要した時間は260分であった。水素添加触
媒除去工程終了後の濾液につき異物混入有無の観察をし
た結果、触媒は残留していなかった。
【0034】実施例2 水素化する対象の重合体溶液として参考例2の重合反応
終了後の反応液を用い、水素添加触媒としてニッケル−
アルミナ触媒(平均粒径6μm)を用いた他は実施例1
と同様に行った。水素添加率は99.5%以上であっ
た。水素添加反応終了後の反応溶液粘度は1Pa・s、
遠心分離で除去した触媒は使用した水素添加触媒の95
%で、遠心分離後の反応溶液に残留する水素添加触媒の
平均粒径は1.5μm、遠心分離と濾過とで除去した水
素添加触媒は計100%であった。また、濾過時間は2
50分(濾過速度は400l/m・hr)であった
ので、遠心分離と濾過を合わせた水素添加触媒除去に要
した時間は310分であった。水素添加触媒除去工程終
了後の濾液につき異物混入有無の観察をした結果、触媒
は残留していなかった。
【0035】比較例1 実施例1において、濾過工程を省略した他は実施例1と
同様に行った。水素添加触媒除去に要した時間は60分
と短かったが、除去率は98%で、遠心分離後の溶液に
つき異物混入有無の観察をした結果、溶液は触媒残留物
により黒く着色し、光学材料用途には使用不能であっ
た。比較例2 実施例1において、遠心分離工程を省略した他は実施例
1と同様に行った。水素添加触媒の除去率は100%で
あったが、濾過に要した時間は2000分(濾過速度は
50l/m・hr)で生産性が極めて低かった。濾
液につき異物混入有無の観察をした結果、触媒は残留し
ていなかった。
【0036】比較例3 実施例1において、遠心分離と濾過の順序を入れ替えた
こと、および、濾過機の濾布として通気度が実施例1使
用の濾布の2倍のものを使用した他は実施例1と同様に
行った。濾過に要した時間は1700分(濾過速度は5
9l/m・hr)で、濾過での水素添加触媒の除去
率は99.5%であった。遠心分離での所要時間は60
分、遠心分離で除去された触媒量は0.2%であった。
両工程合計の所要時間1760分、触媒除去率99.7
%であった。異物混入有無の観察をした結果、溶液は触
媒残留物により黒く着色し、光学材料用途には使用不能
であった。比較例4 比較例2において、予めリーフフィルターに濾過助剤
(ラジオライト#500、昭和化学工業社製、平均粒径
13μm)500gで濾過床を形成してから濾過処理し
た他は比較例2と同様に行った。水素添加触媒の除去率
は100%であったが、濾過に要した時間は1500分
(濾過速度は67l/m・hr)で生産性が極めて
低かった。濾液につき異物混入有無の観察をした結果、
触媒は残留していなかった。比較例5 比較例2において、水素添加反応後の反応溶液に予め濾
過助剤(ラジオライト#500)500gを添加して1
0分間攪拌してから濾過処理した他は比較例2と同様に
行った。水素添加触媒の除去率は100%であったが、
濾過に要した時間は1200分(濾過速度は83l/m
・hr)で生産性が極めて小さかった。濾液につき
異物混入有無の観察をした結果、触媒は残留していなか
った。上記の実施例および比較例の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】本発明方法によると、水素添加触媒除去の
ための遠心分離および濾過に要する合計の時間が短くて
済み、水素添加触媒を完全に除去できるので、得られた
重合体には触媒粒子が観察されなかった(実施例1〜
2)。一方、水素添加触媒除去を遠心分離のみで行う
と、触媒除去に要した時間は実施例1の23%と短いも
のの、樹脂中に触媒が黒く残留し、光学材料には使用で
きないものであった(比較例1)。また、水素添加触媒
除去を濾過のみで行うと、触媒の除去は十分行えたが処
理に7.7倍の膨大な時間を要した(比較例2)。濾過
を初めにし、次いで遠心分離を行うと、粗い濾布を使用
しても濾過に長時間を要し、しかも、樹脂溶液に混入す
る微細粒子は遠心分離では除去できないので、樹脂中に
触媒が残留し、光学材料には使用できないものであった
(比較例3)。遠心分離を省略する比較例2の方式で濾
過性を改善すべく、濾過助剤で濾過床を形成するプリコ
ート法(比較例4)と濾過前の反応溶液に濾過助剤を混
合しておくボディフィード法(比較例5)を試みたが、
処理時間は実施例1に比してそれぞれ5.8倍、4.6
倍であり、生産性が低かった。
【0039】
【発明の効果】本発明方法によると、脂環構造含有重合
体および水素添加触媒を含有する反応溶液から水素添加
触媒を短時間で完全に除去でき、異物が殆ど混入しない
脂環構造含有重合体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 61/08 C08G 61/08 (72)発明者 小宮山 進二 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 Fターム(参考) 4J032 CA22 CA25 CA34 CA35 CA36 CA38 CA43 CA45 CB01 CB03 CC02 CC03 CD02 CD03 CD04 CD05 CE03 CE05 CF06 CG07 4J100 AA02Q AA03Q AA04Q AA07Q AA09Q AA15Q AA16Q AA17Q AA18Q AA19Q AA21Q AB02P AB03P AB04P AB08P AB10P AR03Q AR04Q AR05Q AR09P AR09Q AR11P AR17P AR18P AR21P AR22P AS13Q AS15P AU21P BA03P BA16P BA20P BA40P BC03P BC04P BC43P BC55P BC66P CA01 CA04 GA22 HA04 HA05 HB02 HC84 HC89 HC90 HC91 HD22 HE14 JA33 JA35 JA36 JA39 JA51 JA58

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂環構造含有重合体および水素添加触媒
    を含有する反応溶液から、水素添加触媒を遠心分離して
    除去する工程と、 遠心分離後の溶液に残留する水素添加触媒を濾過して除
    去する工程とを有する脂環構造含有重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 遠心分離前の反応溶液の粘度が1Pa・
    s以下である請求項1記載の脂環構造含有重合体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 遠心分離における遠心力の加速度が50
    0〜20,000Gである請求項1または2記載の脂環
    構造含有重合体の製造方法。
JP2000262147A 2000-08-31 2000-08-31 脂環構造含有重合体の製造方法 Pending JP2002069122A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000262147A JP2002069122A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 脂環構造含有重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000262147A JP2002069122A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 脂環構造含有重合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002069122A true JP2002069122A (ja) 2002-03-08

Family

ID=18749869

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000262147A Pending JP2002069122A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 脂環構造含有重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002069122A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007004321A1 (ja) * 2005-06-30 2007-01-11 Mitsui Chemicals, Inc. 環状オレフィン系樹脂組成物の製造方法および環状オレフィン系樹脂組成物
JP2013237743A (ja) * 2012-05-14 2013-11-28 Asahi Kasei Chemicals Corp 重合体溶液の精製方法
JP2014118475A (ja) * 2012-12-17 2014-06-30 Nippon Zeon Co Ltd 環状オレフィン開環重合体水素添加物の製造方法
WO2018135596A1 (ja) * 2017-01-20 2018-07-26 日本ゼオン株式会社 水素化共役ジエン系重合体ラテックスの製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007004321A1 (ja) * 2005-06-30 2007-01-11 Mitsui Chemicals, Inc. 環状オレフィン系樹脂組成物の製造方法および環状オレフィン系樹脂組成物
KR100920557B1 (ko) 2005-06-30 2009-10-08 미쓰이 가가쿠 가부시키가이샤 환상 올레핀계 수지 조성물의 제조방법 및 환상 올레핀계 수지 조성물
US8114942B2 (en) 2005-06-30 2012-02-14 Mitsui Chemicals, Inc. Process for producing cycloolefin resin composition, and cycloolefin resin composition
CN101208362B (zh) * 2005-06-30 2012-12-12 三井化学株式会社 环状烯烃系树脂组合物的制造方法及环状烯烃系树脂组合物
JP2013237743A (ja) * 2012-05-14 2013-11-28 Asahi Kasei Chemicals Corp 重合体溶液の精製方法
JP2014118475A (ja) * 2012-12-17 2014-06-30 Nippon Zeon Co Ltd 環状オレフィン開環重合体水素添加物の製造方法
WO2018135596A1 (ja) * 2017-01-20 2018-07-26 日本ゼオン株式会社 水素化共役ジエン系重合体ラテックスの製造方法
JPWO2018135596A1 (ja) * 2017-01-20 2019-11-07 日本ゼオン株式会社 水素化共役ジエン系重合体ラテックスの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0713893B1 (en) Hydrogenated norbornene-base ring-opening polymer, process for producing the same, and use thereof
US6277923B1 (en) Cycloolefin-based polymer and process for producing the same
TWI507431B (zh) A cyclic olefin ring-opening polymer, a hydride thereof and the hydride composition, and tricyclopentadiene
JP4075789B2 (ja) 環状オレフィン系付加重合体の製造方法
JP2002069122A (ja) 脂環構造含有重合体の製造方法
TWI411620B (zh) Production method of cyclic olefin-based addition polymer
JP2008174679A (ja) 樹脂組成物及び光学用成形品
JPWO2007026527A1 (ja) 環状オレフィン付加重合体、その複合体及び成形品、並びに光学材料
JP2003040930A (ja) 環状オレフィン付加重合体の製造方法
JP2009079088A (ja) ノルボルネン化合物開環ブロック共重合体水素化物、その製造方法および成形体
JP2015124282A (ja) 脂環構造含有重合体組成物及びその利用
JP2009221402A (ja) ノルボルネン系単量体の開環重合触媒系、並びに開環重合体及び開環重合体水素化物の製造方法
JP2008156569A (ja) ノルボルネン化合物重合体水素添加物の精製方法、これにより得られるノルボルネン化合物重合体水素添加物、これからなる成形材料及びその成形体
JP2783194B2 (ja) ノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法
JP2006124657A (ja) 射出成形体
JP2002088248A (ja) 樹脂組成物および樹脂成形体
JP2002003524A (ja) 芳香族ビニル重合体水素添加物またはシクロアルケンビニル重合体水素添加物の製造方法
JP2002003506A (ja) 芳香族ビニル重合体水素添加物またはシクロアルケンビニル重合体水素添加物の製造方法およびその原料単量体
JP2002097376A (ja) 樹脂組成物および樹脂成形体
JP2000026580A (ja) ノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法
JP2002045694A (ja) 重合体水素化触媒およびそれを用いる重合体の製造方法
JP2003082021A (ja) 環構造含有重合体水素添加物の製造方法
JP2001098017A (ja) 水添脂環式オレフィン重合体の製造方法
JP4154845B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂成形体および樹脂成形体の滅菌方法
JP2007204605A (ja) ノルボルネン系開環重合体の製造方法、ノルボルネン系開環重合体及びその利用