JP2003073460A - ノルボルネン系開環重合体水素添加物、その製造方法及びそれからなる成形体 - Google Patents

ノルボルネン系開環重合体水素添加物、その製造方法及びそれからなる成形体

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JP2003073460A
JP2003073460A JP2001262837A JP2001262837A JP2003073460A JP 2003073460 A JP2003073460 A JP 2003073460A JP 2001262837 A JP2001262837 A JP 2001262837A JP 2001262837 A JP2001262837 A JP 2001262837A JP 2003073460 A JP2003073460 A JP 2003073460A
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norbornene
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polymer
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JP2001262837A
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Teruhiko Suzuki
輝彦 鈴木
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)の紫外分光検出器及び示差屈折計で検出さ
れるピーク面積から算出される飽和結合率の高いノルボ
ルネン系開環重合体水素添加物、該水素添加物を製造す
る方法、及びシルバーストリークなどの成形不良が生じ
ない該水素添加物からなる成形体を提供する。 【解決手段】 ノルボルネン系単量体と開環重合触媒と
を添加して開環重合を行い、該単量体添加終了後も該触
媒を添加して開環重合を終了してノルボルネン系開環重
合体を得、次いで水素添加触媒の存在下で水素添加反応
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノルボルネン系開
環重合体水素添加物及びその製造方法並びに該水素添加
物からなる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン系開環重合体及びその水素
添加物は、高ガラス転移温度(高耐熱性)、低吸水性、高
光線透過率等の諸特性のバランスに優れているため、射
出成形、押出成形、圧縮成形などの各種成形法により、
例えば、光学材料、医療用器材などとして、広範な分野
で使用されている。ノルボルネン系開環重合体は、適当
な溶媒中でノルボルネン系単量体をメタセシス重合触媒
などの存在下に開環重合することにより得ることができ
ることが知られている。また、ノルボルネン系開環重合
体水素添加物は、ノルボルネン系開環重合体中の炭素−
炭素不飽和結合を水素添加することにより得ることがで
きる。耐熱性、透明性、耐光性などの特性を向上させる
ためには、水素添加率を上げることが有効であることが
知られており、水素添加率を上げるためにこれまでいろ
いろな検討が行われている。
【0003】特開平11−124429号公報や特開2
000−219725号公報には、反応に使用するジシ
クロペンタジエン系単量体又はノルボルネン系単量体と
メタセシス重合触媒とを、混合液として反応系に逐次添
加して開環重合させ、得られた開環重合体を水素添加し
ていることが記載されている。さらに、該公報には、分
子量分布が狭く、水素添加率の高い開環重合体水素添加
物を得ることができることも記載されている。しかし、
この方法で得られた水素添加物を成形しても、成形体表
面にシルバーストリークなどの成形不良が発生する問題
があった。
【0004】本発明者は、上記問題の原因について鋭意
検討した結果、水素添加率の算出方法に問題があり、実
際の水素添加率より高い測定値が得られているのではな
いかと考えた。そこで、本発明者は、正確な「水素添加
率」、換言すれば重合体中の炭素−炭素不飽和結合がど
の程度飽和結合に変換されたか、更に換言すれば、重合
体中の全炭素−炭素結合に対する炭素−炭素飽和結合が
どの程度であるかを正確に測定する方法について鋭意検
討した結果、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)の紫外分光検出器及び示差屈折計で検出され
るピーク面積に基づいて算出される「飽和結合率」によ
れば、従来の測定方法による「水素添加率」よりも、よ
り正確な水素添加の程度(飽和結合の比率)が得られる
ことがわかった。即ち、上記公報では水素添加率99.
9%と報告された水素添加物は、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)の紫外分光検出器及び示
差屈折計で検出されるピーク面積を用いて算出する方法
によれば、98%程度しか水素添加されていないことが
わかった。またこの方法によれば、従来の測定法で高水
素添加率と報告されたものも実際には、かなり未水素添
加部分を残していることがわかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来知られているものより高度に水素添加された水
素添加物を得ることにある。また、本発明の他の目的
は、そのような水素添加物を製造する方法を提供するこ
とにある。さらに、本発明の第三の目的は、該水素添加
物からなるシルバーストリークなどの成形不良が生じな
い黄色着色の少ない成形体を提供することにある。本発
明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、 1.ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)の紫外分光検出器及び示差屈折計で検出されるピー
ク面積から算出される飽和結合率が99.92〜99.
99%であるノルボルネン系開環重合体水素添加物及び
それからなる成形体、 2.ノルボルネン系単量体と開環重合触媒とを添加して
開環重合を行い、該単量体添加終了後も該触媒を添加し
て開環重合を終了してノルボルネン系開環重合体を得、
次いで水素添加触媒の存在下で水素添加することを含む
ノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造方法が提供
される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のノルボルネン系開環重合
体水素添加物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)の紫外分光検出器及び示差屈折計で検出
されるピーク面積から算出される飽和結合率が99.9
2〜99.99%のものである。
【0008】飽和結合率とは、下記のごとくゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)の紫外分光検
出器及び示差屈折計でそれぞれ検出されるピーク面積S
及びSから算出される開環重合体水素添加物中の全
炭素−炭素結合中の炭素−炭素飽和結合の割合に相当す
る計算値である。飽和結合率は、ノルボルネン系開環重
合体水素添加物の分子量を、シクロヘキサンを溶媒とす
るゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
により測定したときに、紫外分光検出器で検出されるピ
ーク面積をS、示差屈折計で検出されるピーク面積を
としたときに、次の式、飽和結合率(%)=100
+k×(S/S)で算出した値である。ここでS
の値は、通常、重合体中に存在する炭素−炭素二重結合
の割合が小さくなるほど小さくなる。また、「100−
飽和結合率」が炭素−炭素不飽和結合の比率となる。完
全に水素添加されれば、飽和結合率は100%である。
【0009】上記式中のkは、以下の手順で算出され
る。 H−NMRにより複数の重合体サンプルの水素添加
率を測定する。 溶媒をシクロヘキサンとして重合体の濃度が約0.5
重量%になるようにサンプル溶液を調製する。 で得られるサンプル溶液の分子量を、シクロヘキサ
ンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)で測定し、GPCの紫外分光検出器で検出
されるピーク面積(S)と示差屈折計で検出されるピ
ーク面積(S)から(S/S)を算出する。 縦軸にH−NMRにより算出された水素添加率、横
軸にS/Sをプロットし、最小二乗法から算出され
る傾きをkとする。kは、通常負の値となる。ここで
H−NMRによる水素添加率は、水素添加前後の重合体
H−NMRスペクトル中のピークの面積の積分値か
ら算出する。
【0010】飽和結合率は、以下の手順により算出され
る。 ノルボルネン系開環重合体水素添加物のゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)測定用の溶液を
調製する。溶媒はシクロヘキサンとし、溶液中の前記水
素添加物の濃度を0.5重量%とする。 で調製した溶液の分子量を、シクロヘキサンを溶媒
とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)で測定し、GPCの紫外分光検出器で検出されるピ
ーク面積(S)と示差屈折計で検出されるピーク面積
(S)からピーク面積比(S/S)を算出する。 で算出されたピーク面積比(S/S)と算出し
たkとから、下記の式により飽和結合率を算出する。 飽和結合率(%)=100+k×(S/S
【0011】本発明のノルボルネン系開環重合体水素添
加物は、一般式[1]
【化1】 (式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数
1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子、ケイ素原子、
酸素原子もしくは窒素原子を含む基を示し、RとR
が結合して環を形成してもよい。pは0、1または2で
ある。qは0または1である。)で表されるノルボルネ
ン系単量体由来の繰り返し単位を50〜100重量%、
好ましくは70〜100重量%、より好ましくは90〜
100%有するものである。
【0012】本発明のノルボルネン系開環重合体水素添
加物は、ノルボルネン系単量体と開環重合触媒とを添加
して開環重合を行い、該単量体添加終了後も該触媒を添
加して開環重合を終了してノルボルネン系開環重合体を
得、次いで水素添加触媒の存在下で水素添加することに
より得られるものである。
【0013】本発明のノルボルネン系開環重合体水素添
加物を構成するノルボルネン系単量体は、ノルボルネン
類、ノルボルネン環以外に環構造を有するノルボルネン
誘導体、テトラシクロドデセン類やヘキサシクロヘプタ
デセン類等のノルボルネン環を有する多環の環状オレフ
ィン類であり、一般式[2]で代表されるものである。ま
た、これらの単量体は、アルキル基やアルケニル基、ア
ルキリデン基などの炭化水素基;窒素原子、酸素原子、
ケイ素原子、リン原子、又は硫黄原子を含む基;ノルボ
ルネン環の二重結合以外の二重結合;をさらに有しても
よい。
【0014】一般式[2]:
【化2】 (式中、R〜R、p及びqは一般式[1]と同じで
ある。)
【0015】ノルボルネン類は、一般式[2]のp及びq
が0であるノルボルネン系単量体である。具体例として
は、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチ
ルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−ヘキシ
ルノルボルネン、5−デシルノルボルネン、5−シクロ
ヘキシルノルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネ
ンなどの無置換又はアルキル基を有するノルボルネン
類;5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボル
ネン、5−プロペニルノルボルネン、5−シクロヘキセ
ニルノルボルネン、5−シクロペンテニルノルボルネン
などのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェ
ニルノルボルネンなどの芳香環を有するノルボルネン
類;
【0016】5−メトキシカルボニルノルボルネン、5
−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−
メトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−エ
トキシカルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−
メチルプロピオネイト、ノルボルネニル−2−メチルオ
クタネイト、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水
物、5−ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ
(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒド
ロキシメチル)ノルボルネン、5−ヒドロキシ−i−プ
ロピルノルボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネ
ン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシノルボル
ネン、などの酸素原子を含む基を有するノルボルネン
類;5−シアノノルボルネン、ノルボルネン−5,6−
ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む基を有するノ
ルボルネン類;などが挙げられる。
【0017】ノルボルネン環以外に環構造を有するノル
ボルネン誘導体は、一般式[2]のpが0、qが0又は1
で、RとRが結合してノルボルネン環、5員環以外
に環構造を有するノルボルネン系単量体である。具体的
には、pが0で、qが1であるジシクロペンタジエン
類、pが0で、qが1で、さらに芳香環を有するノルボ
ルネン誘導体を挙げることができる。ジシクロペンタジ
エン類の具体例としては、5員環部分に二重結合を有す
るトリシクロ[4.3.0.12,5 ]デカ−3,7−
ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、5員環部分
の二重結合を飽和させたトリシクロ[4.3.
2,5.0]デカ−3−エン、トリシクロ[4.4.
2,5.0]ウンダ−3−エンなどを挙げることがで
きる。pが0で、qが1で、さらに芳香環を有するノル
ボルネン誘導体の具体例としては、テトラシクロ[6.
5.12,5.01,6.08,13]トリデカ−3,
8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,
4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)な
どを挙げることができる。
【0018】テトラシクロドデセン類は、一般式[2]の
pが1、qが0であるノルボルネン系単量体である。具
体例としては、テトラシクロドデセン、8−メチルテト
ラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、
8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン、8−シクロ
ペンチルテトラシクロドデセンなどの無置換又はアルキ
ル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデン
テトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロド
デセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−プロペ
ニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテト
ラシクロドデセン、8−シクロペンテニルテトラシクロ
ドデセンなどの環外に二重結合を有するテトラシクロド
デセン類;8−フェニルテトラシクロドデセンなどの芳
香環を有するテトラシクロドデセン類;8−メトキシカ
ルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メト
キシカルボニルテトラシクロドデセン、8−ヒドロキシ
メチルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシ
クロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカル
ボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸
無水物などの酸素原子を含む基を有するテトラシクロド
デセン類;
【0019】8−シアノテトラシクロドデセン、テトラ
シクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミドなどの窒
素原子を含む基を有するテトラシクロドデセン類;8−
クロロテトラシクロドデセンなどのハロゲン原子を含む
基を有するテトラシクロドデセン類;8−トリメトキシ
シリルテトラシクロドデセンなどのケイ素原子を含む基
を有するテトラシクロドデセン類;などが挙げられる。
【0020】ヘキサシクロヘプタデセン類は、一般式
[2]のpが2で、qが0であるノルボルネン系単量体で
ある。具体例としては、ヘキサシクロヘプタデセン、1
2−メチルヘキサシクロヘプタデセン、12−エチルヘ
キサシクロヘプタデセン、12−シクロヘキシルヘキサ
シクロヘプタデセン、12−シクロペンチルヘキサシク
ロヘプタデセンなどの無置換又はアルキル基を有するヘ
キサシクロヘプタデセン類;12−メチリデンヘキサシ
クロヘプタデセン、12−エチリデンヘキサシクロヘプ
タデセン、12−ビニルヘキサシクロヘプタデセン、1
2−プロペニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シク
ロヘキセニルヘキサシクロヘプタデセン、12−シクロ
ペンテニルヘキサシクロヘプタデセンなどの環外に二重
結合を有するヘキサシクロヘプタデセン類;12−フェ
ニルヘキサシクロヘプタデセンなどの芳香環を有するヘ
キサシクロヘプタデセン類;
【0021】12−メトキシカルボニルヘキサシクロヘ
プタデセン、12−メチル−12−メトキシカルボニル
ヘキサシクロヘプタデセン、12−ヒドロキシメチルヘ
キサシクロヘプタデセン、12−カルボキシヘキサシク
ロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13
−ジカルボン酸、ヘキサシクロヘプタデセン12,13
−ジカルボン酸無水物などの酸素原子を含む基を有する
ヘキサシクロヘプタデセン類;12−シアノヘキサシク
ロヘプタデセン、ヘキサシクロヘプタデセン12,13
−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む基を有する
ヘキサシクロヘプタデセン類;12−クロロヘキサシク
ロヘプタデセンなどのハロゲン原子を含む基を有するヘ
キサシクロヘプタデセン類;12−トリメトキシシリル
ヘキサシクロヘプタデセンなどのケイ素原子を含む基を
有するヘキサシクロヘプタデセン類などが挙げられる。
上記のノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】本発明のノルボルネン系開環重合体水素添
加物は、ノルボルネン系単量体と共重合可能な単量体由
来の繰り返し単位を含んでもよい。ノルボルネン系単量
体と共重合可能なその他の単量体としては、格別制限は
ないが、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シク
ロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メ
チルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−
シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a
−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなど
のシクロオレフィン ;1,4−ヘキサジエン、4−メ
チル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘ
キサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエ
ン;などが挙げられる。
【0023】これらのノルボルネン系単量体と共重合可
能なその他の単量体由来の繰り返し単位は、通常0〜5
0重量%、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは
0〜10重量%である。
【0024】本発明のノルボルネン系開環重合体水素添
加物のシクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリ
イソプレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常1
0,000〜100,000、好ましくは13,000
〜70,000、より好ましくは14,000〜60,
000、特に好ましくは15,000〜50,000で
ある。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比(Mw/Mn)として表される分子量分
布(MWD)は、通常、1.5〜5.0、好ましくは、
1.7〜4.0、より好ましくは1.8〜3.0であ
る。
【0025】本発明のノルボルネン開環重合体水素添加
物は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリ
イソプレン換算の重量平均分子量(Mw)が75,00
0以上である成分の割合が少ないほうが好ましい。具体
的には、全重合体中の15重量%以下、好ましくは10
重量%以下である。
【0026】本発明のノルボルネン開環重合体水素添加
物のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜
選択されるが、通常30〜300℃、好ましくは60〜
250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲であ
る。ガラス転移温度が過度に低いと得られる成形体の耐
熱性、耐光性が低下し、過度に高いと成形加工性が悪く
なる。
【0027】本発明の製造方法は、ノルボルネン系単量
体と開環重合触媒(初期添加触媒)とを添加して開環重
合を行い、該単量体添加終了後も該触媒を添加して(追
加添加触媒)開環重合を終了してノルボルネン系開環重
合体を得、次いで水素添加触媒の存在下で水素添加する
ことを含む。
【0028】本発明の製造方法が適用できるノルボルネ
ン系単量体としては、本発明の水素添加物を構成するノ
ルボルネン系単量体を挙げることができる。ノルボルネ
ン系単量体の割合は、通常50〜100重量%、好まし
くは70〜100重量%、より好ましくは90〜100
重量%、特に好ましくは100重量%である。上記範囲
にノルボルネン系単量体の割合を設定することで、得ら
れる成形体の機械的強度が向上する。
【0029】また、本発明の製造方法においては、上記
ノルボルネン系単量体を共重合可能な単量体を使用して
もよい。ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の
単量体としては、格別制限はないが、例えば、シクロブ
テン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメ
チルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−
(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオ
クテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−
メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン ;
1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジ
エン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オ
クタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。こ
れらのノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単
量体の割合は、通常0〜50重量%、好ましくは0〜3
0重量%、より好ましくは0〜10重量%である。
【0030】本発明の製造方法において、重合反応は、
溶媒を用いても、用いなくても可能であるが、用いる場
合にはノルボルネン系単量体とその開環重合体を十分に
溶解できるものであれば、特に限定されない。中でも不
活性有機溶媒中で重合を行うことが望ましい。
【0031】不活性有機溶媒としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;n−ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シ
クロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;
スチレンジクロリド、ジクロルエタン、ジクロルエチレ
ン、テトラクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベ
ンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水
素;などが挙げられる。この中でも、好ましくはn−ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シ
クロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;
またはこれらのハロゲン化物が挙げられる。これらの溶
剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせ
て用いることができ、その使用量はノルボルネン系単量
体100重量部あたり、通常10〜1000重量部、好
ましくは50〜700重量部、より好ましくは100〜
500重量部の範囲である。
【0032】本発明の製造方法は、ノルボルネン系単量
体と開環重合触媒(初期添加触媒)とを添加して開環重
合を行うことを含む。
【0033】本発明の製造方法において、ノルボルネン
系単量体と開環重合触媒とを混合して添加してもよく、
それぞれ別個に添加してもよいが、ノルボルネン系単量
体の一部と不活性有機溶媒と助触媒とを反応容器内に仕
込んだ後、ノルボルネン系単量体の残部と開環重合触媒
とを添加して開環重合を行うことが好ましい。このとき
のノルボルネン系単量体の仕込み量は、本発明の製造方
法に使用するノルボルネン系単量体全量に対して、50
重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
【0034】本発明の製造方法に適用できる助触媒は、
開環重合触媒の助触媒として用いられているものが挙げ
られる。具体的には、有機アルミニウム化合物や有機錫
化合物が挙げられ、好ましくは有機アルミニウム化合物
である。
【0035】有機アルミニウム化合物の具体例として
は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピ
ルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのト
リアルキルアルミニウムや、ジエチルアルミニウムモノ
クロリド、エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキ
ルハライドアルミニウムなどが挙げられるが、好ましく
はトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムクロリドなどが挙げられる。
【0036】これらの助触媒は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。助触
媒の添加量は、ノルボルネン系単量体に対して、0.0
05〜10モル%、好ましくは0.02〜5モル%であ
る。助触媒を上記範囲で用いることにより、ゲルや高分
子量成分の発生が少なく、かつ重合活性が高く分子量の
制御が行いやすくなる。
【0037】本発明の製造方法では、開環重合反応に
は、ノルボルネン系単量体、開環重合触媒及び助触媒の
ほかに、分子量調節剤や反応調整剤を添加することがで
きる。
【0038】分子量調節剤としては、通常、鎖状モノオ
レフィンや鎖状共役ジエン類が用いられる。具体的に
は、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ドデセン、
1、4−ヘキサジエンなどが挙げられる。分子量調節剤
の使用量は、重合条件により適宜選択されるが、ノルボ
ルネン系単量体に対して、通常0.2〜10モル%、好
ましくは0.4〜7モル%、より好ましくは0.5〜4
モル%である。
【0039】反応調整剤としては、アルコール、アミン
等の活性水素含有極性化合物;エーテル、エステル、ケ
トン、ニトリル等の活性水素を含有しない極性化合物;
から選ばれる少なくとも1種の極性化合物を用いること
ができる。活性水素含有極性化合物は、ゲルの発生を防
ぎ、特定分子量の重合体を得るのに有効であり、なかで
もアルコールが好ましい。また活性水素を含有しない極
性化合物は、機械的強度の低下の原因となる重合体中の
低分子量成分の生成を抑制するのに有効であり、中でも
エーテル、エステル、ケトンが好ましく、特にケトンが
より好ましい。
【0040】アルコールとしては、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノ
ール、イソペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサ
ノールなどの飽和アルコールや、フェノール、ベンジル
アルコールなどの不飽和アルコール等が挙げられるが、
好ましくはプロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、イソブタノールである。
【0041】エステルとしては、例えば、ぎ酸メチル、
ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
酢酸イソプロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、
安息香酸プロピル、安息香酸プロピル、安息香酸イソプ
ロピルなどが挙げられ、これらの中でも酢酸メチルや酢
酸エチルが好ましい。
【0042】エーテルとしては、例えば、ジメチルエー
テル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレン
グリコールジブチルエーテルやトリエチレングリコール
ジブチルエーテルなどが挙げられ、これらの中でもジイ
ソプロピルエーテル、ジエチルエーテルが好ましい。
【0043】ケトンとしては、例えば、アセトン、メチ
ルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルフェニルケト
ン、ジフェニルケトンなどが挙げられ、これらの中でも
アセトンやメチルエチルケトンが好ましい。
【0044】反応調整剤は、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて用いることが出来る。特に、本
発明においては、活性水素含有の極性化合物と活性水素
を有さない極性化合物を組み合わせるのが好ましく、特
にアルコールとケトン、アルコールとニトリル、アルコ
ールとエーテル及びアルコールとエステルの組み合わせ
が好ましい。反応調整剤の使用量は、ノルボルネン系単
量体に対して、通常0.001〜10モル%、好ましく
は0.01〜5モル%の範囲である。
【0045】開環重合の温度条件は、通常−20〜10
0℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜
80℃、最も好ましくは10〜50℃の範囲で行う。温
度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると反応の制
御が困難になり、またエネルギーコストが高くなる。す
なわち、温度条件を−20〜100℃の範囲に調整する
ことで、反応の制御が容易で、エネルギーコストを低く
抑えることができると共に、適切な反応速度で重合を進
行させることができる。
【0046】開環重合の圧力条件は、通常0〜5MP
a、好ましくは常圧〜1MPa 、より好ましくは常圧
〜0.5MPaである。
【0047】開環重合は、得られる重合体の酸化による
劣化、着色などを防止するために、窒素やアルゴンなど
の不活性ガス雰囲気下で行われることもある。
【0048】本発明の製造方法に適用できる開環重合触
媒は、特公昭41−20111号公報、特開昭46−1
4910号公報、特公昭57−17883号公報、特公
昭57−61044号公報、特開昭54−86600号
公報、特開昭58−127728号公報、特開平1−2
40517号公報などに開示されているような公知のノ
ルボルネン系単量体の開環重合触媒である。具体的に
は、周期表第4〜10族の遷移金属の化合物であり、こ
れらの遷移金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、
アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸
塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体
などが挙げられる。
【0049】具体例としては、TiCl、TiB
、VOCl、VOBr、WBr 、WBr
WCl、WCl、WCl、WCl、WF、W
、WOBr、WOCl、WOF、MoB
、MoBr、MoBr、MoCl、MoCl
、MoF、MoOCl、MoOF、WO、H
WO 、NaWO、KWO、(NHWO
、CaWO、CuWO、MgWO、(CO)
WC(OCH)(CH)、(CO)WC(OC
)(CH)、(CO)WC(OC)(C
)、(CO)MoC(OC)(C
)、(CO)Mo=C(C)、(N(C
)、トリデシルアンモニウムモリブデン酸塩、
トリデシルアンモニウムタングステン酸塩等が挙げられ
る。
【0050】上記開環重合触媒の中でも実用上、重合活
性などの点から、W、Mo、Ti、またはVの化合物が
好ましく、特にこれらのハロゲン化物、オキシハロゲン
化物、またはアルコキシハロゲン化物が好ましい。
【0051】開環重合触媒の添加量は、ノルボルネン系
単量体に対して通常0.001〜5モル%、好ましくは
0.005〜2.5モル%、さらに好ましくは0.01
〜1モル%である。
【0052】本発明の製造方法において、ノルボルネン
系単量体と開環重合触媒とを添加して開環重合を行い、
該単量体添加終了後も該触媒を添加(追加添加触媒)す
る。開環重合触媒を追加添加する時期としては、例え
ば、ノルボルネン系単量体添加終了直後や該単量体添加
終了後時間が経過した後などが挙げられる。また開環重
合触媒を追加添加する方法としては、例えば、一度に開
環重合触媒を添加する方法、継続して開環重合触媒を添
加する方法、又は断続的に開環重合触媒を添加する方法
などが挙げられるが、継続して添加する方法が好まし
い。
【0053】本発明の製造方法において、ノルボルネン
系単量体添加終了時の重合転化率は、好ましくは90〜
99%、さらに好ましくは93〜97%であり、追加添
加触媒量は、ノルボルネン系単量体に対して、好ましく
は0.00005モル%以上、さらに好ましくは0.0
025モル%以上である。
【0054】本発明の製造方法において、反応系内を攪
拌して開環重合を行うことが好ましい。反応系内を攪拌
しながら開環重合を行うことにより、重合反応熱による
急激な温度上昇を好適に抑制することが可能となる。
【0055】本発明の製造方法において、目的に応じた
分子量あるいは転化率まで重合を進行させてから、開環
重合反応を終了する。その後、重合反応液のゲル化等を
防ぐために開環重合触媒を不活性化させて、さらにその
後、必要に応じて不活性化させた開環重合触媒を除去す
る。
【0056】開環重合触媒を不活性化する方法として
は、たとえば、触媒不活性化剤を重合反応液に加える方
法などが挙げられる。
【0057】触媒不活性化剤としては、水、アルコール
類、カルボン酸類、フェノール類などのヒドロキシル基
を有する化合物を好ましく例示できる。
【0058】アルコール類としては、メタノール、エタ
ノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブ
タノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノー
ル、2−エチル−1−ヘキサノール、2−プロペン−1
−オール、1,2−エタンジオール、1,2−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−エト
キシエタノール、2,2−ジクロロ−1−エタノール、
2−ブロモ−1−エタノール、2−フェニル−1−エタ
ノールなどの脂肪族、脂環族、芳香族のモノ、ジまたは
ポリアルコール類などが挙げられる。
【0059】カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸、トリ
クロロ酢酸、アクリル酸、シュウ酸、マレイン酸、プロ
パントリカルボン酸、酒石酸、クエン酸、シクロペンタ
ンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、
フタル酸、ピロメリット酸などの脂肪族、脂環族、芳香
族のモノ、ジまたはポリカルボン酸類などが挙げられ
る。
【0060】フェノール類としては、フェノール、クレ
ゾール、キシレノールなどが挙げられる。これらの触媒
不活性化剤は、単独または2種以上混合して使用するこ
とができる。
【0061】これらのヒドロキシル基を有する化合物の
うち、水または水溶性の化合物(たとえば、炭素数4以
下の化合物)は、重合体溶液に対する溶解性が低く、重
合体中に残存しにくいので、好ましい。中でも、水また
は低級アルコール類が好ましいが、特に水とアルコール
類を同時に使用すると、水を単独で使用する場合に比し
て、触媒不活性化効率が良好であり、またアルコールを
単独で用いる場合に比して、触媒残査の析出が容易にな
るので好ましい。水とアルコールの好ましい使用比率
は、水1重量部に対してアルコール類が0.1〜5重量
部、特に0.2〜2重量%である。
【0062】触媒不活性化剤の量は、重合触媒を不活性
化させるのに十分な量であればよく、重合触媒の不活性
化に必要な化学量論量に対し、好ましくは1〜20モル
当量、より好ましくは2〜10モル当量の範囲である。
例えば、開環重合触媒として六塩化タングステン1モル
とトリエチルアルミニウム1.5モルを用い、触媒不活
性化剤としてメタノールを用いた場合、化学量論上は、
メタノールは六塩化タングステン1モルに対して6モ
ル、トリエチルアルミニウム1モルに対して3モルが必
要となるので、開環重合触媒を不活性化するのに必要な
メタノールの化学量論量は10.5モルとなる。
【0063】さらに、重合体溶液に触媒不活性化剤を添
加した結果、重合触媒が析出する場合、析出する不溶解
成分の凝集核または凝集助剤として、活性白土、タル
ク、けいそう土、ベントナイト、合成ゼオライト、シリ
カゲル粉末、アルミナ粉末などを添加してもよい。添加
量の範囲は任意だが、好ましくは開環重合触媒の重量の
約0.1〜10倍である。
【0064】触媒不活性化剤の添加は、−50℃〜10
0℃の任意の温度、好ましくは0〜80℃、0〜0.5
MPaの任意の圧力、好ましくは常圧〜0.5MPaで
行い、その条件下で、0.5〜10時間、好ましくは1
〜3時間攪拌する。
【0065】本発明の製造方法において、開環重合触媒
に遷移金属ハロゲン化物を使用する場合は、重合触媒不
活性化剤の添加によりハロゲン化水素が発生し、水素添
加触媒が被毒され易いため、目的に応じた分子量あるい
は転化率まで重合が進行した後、重合触媒不活性化剤の
添加前に、予め酸捕捉剤を添加しておくことが好まし
い。さらに、重合触媒不活性化剤の添加後であって水素
添加反応開始前に、追加で酸捕捉剤を添加することが好
ましい。
【0066】酸捕捉剤としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、などの金属水酸化物; 酸化
カルシウム、酸化マグネシウム、などの金属酸化物;
アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、などの金属;
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ
ウム、ハイドロタルサイト(MgAl(OH)16
・4HO)、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム
などの塩類; エチレンオキサイド、プロピレンオキサ
イド、ブチレンオキサイド、ブチルグリシジルエーテ
ル、フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキ
サイド、4-ビニルシクロヘキセンオキサイド、スチレ
ンオキサイド、などのエポキシ化合物; などが挙げら
れる。
【0067】酸捕捉効果のある塩類としては、アルカリ
性を示す塩類であり、強酸と弱アルカリの塩が好まし
い。これらの酸捕捉剤の中で、重合触媒不活性化剤の添
加前に用いる酸捕捉剤としては、エポキシ化合物と塩
類、およびそれらの組み合わせが、酸捕捉効果が優れ好
ましい。水素添加時に追加で加える酸捕捉剤としては、
塩類が好ましい。水素添加反応時の温度条件で、反応器
の腐食を効果的に抑えることができる。
【0068】酸捕捉剤の量は、用いた開環重合触媒の加
水分解により発生しうるハロゲン化水素の最大量、すな
わち化学量論量に対し0.5当量以上、好ましくは1〜
100当量、さらに好ましくは2〜10当量である。
【0069】酸捕捉剤の添加は、−50℃〜100℃の
任意の温度、好ましくは0℃〜80℃、0〜5MPaの
任意の圧力、好ましくは常圧〜0.5MPaでおこな
う。引き続く重合触媒不活性化剤の添加および反応は前
述と同様である。
【0070】酸捕捉剤を添加した場合は、開環重合触媒
を水素添加工程の前に除去せず、重合触媒残渣が共存し
た状態でも水素添加触媒の活性を維持するという効果も
あり、好ましい。
【0071】本発明の製造方法において、上記開環重合
反応終了後に、水素添加触媒を添加して水素添加反応を
行う。水素添加触媒としては、オレフィン化合物や芳香
族化合物の水素添加に際して一般に使用されるものであ
れば格別な制限はなく、通常、不均一系触媒や均一系触
媒が用いられる。
【0072】不均一系触媒としては、例えば、ニッケ
ル、パラジウム、白金、又はこれらの金属を用いてカー
ボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の
担体に担持させた固体触媒:ニッケル/シリカ、ニッケ
ル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カ
ーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ
土、パラジウム/アルミナなどの組み合わせからなる触
媒が挙げられる。
【0073】均一系触媒としては、例えば、遷移金属化
合物とアルキルアルミ金属化合物又はアルキルリチウム
の組み合わせからなる触媒、例えば、酢酸コバルト/ト
リエチルアルミニウム、酢酸コバルト/トリイソブチル
アルミニウム、酢酸ニッケル/トリエチルアルミニウ
ム、酢酸ニッケル/トリイソブチルアルミニウム、ニッ
ケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、
ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミ
ニウイム、チタノセンクロリド/n−ブチルリチウム、
ジルコノセンクロリド/n−ブチルリチウムなどの組み
合わせからなる触媒が挙げられる。
【0074】水素添加反応は、それぞれ単独で又は2種
以上組み合わせて用いることができる。水素化触媒の使
用量は、ノルボルネン系開環重合体100重量部あた
り、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜
50重量部、より好ましくは1〜30重量部の範囲であ
る。水素添加反応は、通常0.1MPa〜30MPa、
好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2M
Pa〜10MPaの水素圧下、0〜250℃の温度範
囲、1〜20時間の反応時間で行われる。
【0075】本発明の製造方法において、ノルボルネン
系開環重合体水素添加物は以下の手順にて回収される。
水素添加触媒として不均一系触媒を用いた場合、上記水
素添加反応後に、ろ過して水素添加触媒を除去し、続い
て凝固乾燥法、又は薄膜乾燥機等を用いた直接乾燥法に
て得ることができる。ノルボルネン系開環重合体水素添
加物は、通常、パウダー状又はペレット状で得ることが
できる。一方、水素添加触媒として均一系触媒を用いた
場合は、水素添加反応後に、アルコールや水を添加して
触媒を失活させ、溶剤に不溶化させた後に濾過を行い触
媒を除去する。
【0076】本発明のノルボルネン系開環重合体水素添
加物には、必要に応じて、その他のポリマー、各種配合
剤、有機または無機の充填剤などの添加剤を単独で、あ
るいは2種以上添加しても良い。
【0077】その他のポリマーとしては、ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、SBS、SIS、SEBSなどの
エラストマー;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレー
ト、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、
ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンなどの樹脂;な
どを配合することができる。また、これらのその他のポ
リマーはそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用
いることができる。
【0078】配合剤としては、熱可塑性樹脂材料で通常
用いられているものであれば格別な制限はなく、例え
ば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸
収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防
止剤、蛍光増白剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、レ
ベリング剤などの配合剤が挙げられる。
【0079】中でも、酸化防止剤を加えることが好まし
く、そのような酸化防止剤としては、フェノール系酸化
防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが
挙げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止
剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が
特に好ましい。これらの酸化防止剤を配合することによ
り、透明性、低吸水性等を低下させることなく、成形時
の酸化劣化等による成形物の着色や強度低下を防止でき
る。
【0080】有機または無機の充填剤としては、例え
ば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マ
グネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネ
シウム、ドワマイト、酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウ
ム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アス
ベストなどの鉱物; ガラス繊維、ボロン繊維、炭化ケ
イ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポ
リエステル繊維、ポリアミド繊維などの繊維;ガラスフ
レーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロ
ナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム
粉、硫化モリブデンなどである。
【0081】これらの充填剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて添加することができる。充
填剤の配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で、そ
れぞれの機能及び使用目的に応じて適宜定めることがで
きる。
【0082】ノルボルネン系開環重合体水素添加物に上
記添加剤を配合する方法は、例えばミキサー、二軸混錬
機、ロール、ブラベンダー、押出機などでノルボルネン
系開環重合体水素添加物を溶融状態にして配合剤と混練
する方法、適当な溶剤に溶解して分散させ凝固する方法
などが挙げられる。二軸混練機を用いる場合、混錬後に
通常は溶融状態でストランド状に押し出し、ペレタイザ
ーにてペレット状にカットして用いられることが多い。
【0083】本発明のノルボルネン系開環重合体水素添
加物は、成形体に成形して、各種用途に使用することが
できる。成形方法としては格別な限定はないが、低複屈
折性、機械強度、寸法精度等に優れた成形物を得るため
には、溶融成形法を用いるのが好ましい。溶融成形法と
しては、射出成形法、押し出し成形法、プレス成形法、
ブロー成形法等が挙げられるが、低複屈折性、寸法安定
性などの観点から、射出成形法が好ましい。
【0084】成形条件は、使用目的や成形方法により適
宜選択されるが、射出成形法による場合は、ノルボルネ
ン系開環重合体水素添加物の樹脂温度が、通常150〜
400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましく
は230〜330℃の範囲で適宜選択される。樹脂温度
が過度に低いと流動性が悪化し、成形品にヒケやひずみ
を生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるシ
ルバーストリークが発生したり、成形物が黄変するなど
の成形不良が発生したりするおそれがある。成形体は、
球状、棒状、板状、円柱状、筒状、繊維状、フィルムま
たはシート形状など種々の形態で使用することができ
る。
【0085】本発明の成形体は、平板状に成形した時の
黄色度差ΔYIが0.5以下であることが好ましい。こ
こで黄色度差ΔYIは、ブランクを空気として、常温
(25℃)で、色差計を用いて前記成形体の黄色度指数
YIを測定し、空気の黄色度指数YIとの差とする。Δ
YIは、着色が少ないほど小さい値となる。
【0086】本発明の成形体は、機械的強度、成形外観
性に優れており、医療用器材をはじめとして、各種成形
体として広範な分野において有用である。具体的に例え
ば、液体薬品容器、アンプル、バイアル、プレフィルド
シリンジ、輸液用バッグ、密封薬袋、プレス・スルー・
パッケージ、固体薬品容器、点眼薬容器などの液体、粉
体、または固体薬品の容器、食品容器、血液検査用サン
プリング試験管、薬品容器用キャップ、採血管、検体容
器などのサンプリング容器、注射器などの医療器具、メ
ス、鉗子、ガーゼ、コンタクトレンズなどの医療器具な
どの滅菌容器、ビーカー、シャーレ、フラスコ、試験
管、遠心管などの実験・分析器具、医療検査用プラスチ
ックレンズなどの医療用光学部品、医療用輸液チュー
ブ、配管、継ぎ手、バルブなどの配管材料、義歯床、人
工心臓、人造歯根などの人工臓器やその部品などの医療
用器材;多層回路基板、ソルダーレジスト、層間絶縁
膜、液晶表示装置用のスペーサーなどの電気絶縁材料;
タンク、トレイ、キャリア、ケースなどの処理用または
移送用容器、キャリアテープ、セパレーション・フィル
ムなどの保護材、パイプ、チューブ、バルブ、シッパー
流量計、フィルター、ポンプなどの配管類、サンプリン
グ容器、ボトル、アンプルバッグなどの液体用容器類、
半導体ウエハーキャリアなどの電子部品処理用器材;光
学材料; 情報記録用のハードディスク基板やハードデ
ィスクのカバー、PTP、受光素子用窓などの電子部品
用途; 窓、機器部品、ハウジング等の構造材料や建
材; バンパー、ルームミラー、ヘッドランプカバー、
テールランプカバー、インストルメントパネル等の自動
車用器材; スピーカーコーン材、スピーカー用振動素
子、電子レンジ容器等の電気用器材; ボトル、リター
ナブルボトル、哺乳瓶等の食品用容器;ラップ等の包装
材料; フィルム、シート、ヘルメット等の種々の用途
に利用できる。
【0087】本発明の成形体は、透明性、耐熱性、低吸
水性に優れ、機械的強靭性にも優れ、また成形体にした
ときの黄色度差ΔYIが小さいことから、成形体の着色
を嫌う光学材料として広範な分野で特に有用である。例
えば、光ディスク、光ファイバー、光カード、光学レン
ズ、フレネルレンズ、レンチキュラレンズ、光学ミラ
ー、液晶表示素子基板、導光板、光拡散板、有機ELの
封止材、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散シー
ト、プリズムシート、集光シート、自動車の窓材やルー
フ材、航空機用窓材、自動販売機用窓材、ショーウィン
ドー材、ショーケース材等が挙げられる。
【0088】
【実施例】以下に、実施例、比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明する。なお、実施例、比較例において、各
種物性の測定法は、次のとおりである。
【0089】(水素添加率)水素添加率は、H−NM
Rにより測定した。
【0090】(飽和結合率)飽和結合率は、以下の方法
により算出する。 H−NMRにより複数の重合体サンプルの水素添加
率を測定する。 溶媒をシクロヘキサンとして重合体の濃度が約0.5
重量%になるようにサンプル溶液を調製する。 で得られるサンプル溶液の分子量を、シクロヘキサ
ンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)で測定し、GPCの紫外分光検出器で検出
されるピーク面積(S)と示差屈折計で検出されるピ
ーク面積(S)から(S/S)を算出する。 縦軸にH−NMRにより算出された水素添加率、横
軸にS/Sをプロットし、最小二乗法から算出され
る傾きをkとする。通常kは、負の値となる。本実施例
においては、kは−1.2である。 ノルボルネン系開環重合体水素添加物について、〜
の操作を行う。 以下の式から、前記開環重合体水素添加物の飽和結合
率を求める。 飽和結合率(%)=100+k(S/S
【0091】なお、本実施例においてガスクロマトグラ
フィー(GPC)のカラム、紫外分光検出器は以下のも
のを使用する。 カラム:TSKgelG5000HXL、TSKgel
G4000HXL、TSKgelG2000HXL(東
ソー(株)社製) 紫外検出器:UV−8010型、又はUV−8020型
(東ソー(株)社製)
【0092】(ガラス転移温度)ガラス転移温度(T
g)は、JIS−K7121に基づいて測定した値とす
る。
【0093】(分子量)重量平均分子量(Mw)及び数
平均分子量(Mn)は、シクロヘキサンを溶媒とするゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)
によるポリイソプレン換算値、または、トルエンを溶媒
とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
(GPC)によるポリスチレン換算値として測定する。
【0094】(黄色度差ΔYI)黄色度差△YIは、成
形した厚さ3mmの平板の一部を試験片として、試験片
の黄色度(YI:イエローインデックス)をJIS−K
7103により、色差計を用いて、ブランクを空気とし
て、測定し、測定した黄色度YIより、空気のみの黄色
度YIを差し引いた値を、平板の黄色度差△YIとして
求める。なお、測定は3回行い、その平均値を用いて評
価する。
【0095】(成形外観性)成形外観性は、得られた平
板を目視判断することにより、以下の判定基準により評
価する。10回の射出成形においてヒケ、シルバースト
リーク等の成形不良が全くないもの「◎」、10回の射
出成形において1〜4サンプルにおいて上記成形不良が
見られるもの「△」、10回の射出成形において5サン
プル以上において上記成形不良が見られるもの「×」と
する。
【0096】(実施例1)窒素雰囲気下、脱水したシク
ロヘキサン250重量部に、シクロヘキサン10重量部
で希釈した1−ヘキセン1.22重量部、イソブチルア
ルコール0.11重量部、トリイソブチルアルミニウム
0.22重量部を室温で反応器に入れ混合した後、45
℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.1
2,5 ]デカ−3,7−ジエン(以下、DCPと略す)
100重量部及び六塩化タングステン0.6重量%シク
ロヘキサン溶液16重量部(初期添加触媒)を添加し始
めて開環重合反応を開始し、DCPと六塩化タングステ
ン0.6重量%シクロヘキサン溶液とを3時間かけて添
加した。このときの重合転化率は94.8%であった。
次に、追加添加触媒として六塩化タングステン0.6重
量%シクロヘキサン溶液1.6重量部を10分かけて添
加し、開環重合を続行した。得られた重合反応液に10
0重量部に対してブチルグリシジルエーテル0.9重量
部とイソプロピルアルコール0.4重量部を加えて開環
重合触媒を不活性化して重合反応を停止した。重合開始
4時間後の重合転化率は、99.6%であった。
【0097】得られた重合反応液200重量部に対し
て、珪藻土担持ニッケル触媒(ズードケミー触媒社製;
G−96D、ニッケル担持率58重量%)2.4重量部
およびシクロヘキサン20重量部を加え、耐圧反応器中
で、170℃、水素圧4.5MPaで8時間、水素添加
反応させた。この溶液を、珪藻土を濾過助剤として加圧
濾過器(石川島播磨重工社製、リーフフィルター)によ
りろ過し、触媒を除去した。
【0098】得られた重合体水素添加物を含む反応溶液
を3000重量部のイソプロピルアルコール中に攪拌下
に注いで、水素添加物を沈殿させ、濾別して回収した。
さらに、アセトン500重量部で洗浄した後、0.1k
Pa以下に減圧した真空乾燥器中、100℃で24時間
乾燥させ、ノルボルネン系開環重合体水素添加物95重
量部を得た。
【0099】得られた開環重合体水素添加物のTgは9
4℃、飽和結合率は99.97%、 H−NMRにより
測定された水素添加率は100%、シクロヘキサンを溶
媒とした高速液体クロマトグラフィー(ポリイソプレン
換算)より得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)
は23,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.20
であった。
【0100】得られた水素添加物100重量部に老化防
止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.
2部と、軟質重合体(旭化成社製タフテックH105
2)0.2部を添加し、二軸押出機(東芝機械社製TE
M−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、ス
クリュー回転数250rpm、樹脂温度210℃、フィ
ードレート10kg/時間)で混練して押し出し、ペレ
ット化した。このペレットを、サイドゲート金型方式の
射出成形装置(東芝機械株式会社製の製品番号IS45
0)を用いて、射出成形により長さ280mm、幅19
0mm、厚さ3mmの平板を成形した。成形条件は、金
型温度80℃、シリンダー温度280℃、ノズル温度2
60℃とした。得られた平板の黄色度差ΔYIは0.3
9と良好であった。また、成形外観性については、10
回の射出成形においてもシルバーストリークなどの成形
不良は見られず良好であった。結果を表1に示す。
【0101】(実施例2)追加添加触媒量を六塩化タン
グステン0.6重量%シクロヘキサン溶液3.2重量部
とした他は、実施例1と同様にして開環重合体水素添加
物を得た。触媒を追加添加するときの重合転化率は9
5.1%、4時間重合後の重合転化率は99.8%であ
った。得られた開環重合体水素添加物のTgは94℃、
H−NMRにより測定された水素添加率は100%、
飽和結合率は99.95%、シクロヘキサンを溶媒とし
た高速液体クロマトグラフィー(ポリイソプレン換算)
より得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は2
3,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.22であ
った。この開環重合体水素添加物を実施例1と同様に平
板を成形した。結果を表1に示す。
【0102】(比較例1)追加添加触媒量を0重量部と
した他は、実施例1と同様にして開環重合体水素添加物
を得た。4時間重合後の重合転化率は96.5%であっ
た。得られた開環重合体水素添加物のTgは94℃、水
素添加率は100%、飽和結合率は99.85%、シク
ロヘキサンを溶媒とした高速液体クロマトグラフィー
(ポリイソプレン換算)より得られたポリマーの重量平
均分子量(Mw)は23,300、分子量分布(Mw/
Mn)は2.21であった。この開環重合体水素添加物
を実施例1と同様に平板を成形した。結果を表1に示
す。
【0103】(比較例2)初期添加触媒量を18重量
部、追加添加触媒量を0重量部とした他は、実施例1と
同様にして開環重合体水素添加物を得た。4時間重合後
の重合転化率は97.5%であった。得られた開環重合
体水素添加物のTgは94℃、H−NMRにより測定
された水素添加率は100%、飽和結合率は99.80
%、シクロヘキサンを溶媒とした高速液体クロマトグラ
フィー(ポリイソプレン換算)より得られたポリマーの
重量平均分子量(Mw)は23,300、分子量分布
(Mw/Mn)は2.21であった。この開環重合体水
素添加物を実施例1と同様に平板を成形した。結果を表
1に示す。
【0104】(比較例3)初期添加触媒量を21重量
部、追加添加触媒量を0重量部とした他は、実施例1と
同様にして開環重合体水素添加物を得た。4時間重合後
の重合転化率は97.5%であった。得られた開環重合
体水素添加物のTgは94℃、H−NMRにより測定
された水素添加率は100%、飽和結合率は99.71
%、シクロヘキサンを溶媒とした高速液体クロマトグラ
フィー(ポリイソプレン換算)より得られたポリマーの
重量平均分子量(Mw)は23,100、分子量分布
(Mw/Mn)は2.22であった。この開環重合体水
素添加物を実施例1と同様に平板を成形した。結果を表
1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】表1の結果から以下のことがわかる。実施
例1〜2のように、ノルボルネン系単量体添加終了後も
開環重合触媒を添加して開環重合を終了して、ノルボル
ネン系開環重合体を得、その後水素添加を行うと、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の紫外
分光検出器及び示差屈折計で検出されるピーク面積から
算出される飽和結合率が99.92〜99.99%の開
環重合体水素添加物を得ることができる。また、開環重
合触媒の追加添加をしない製造方法で得られたノルボル
ネン系開環重合体水素添加物は、H−NMRで測定し
た水素添加率が100%でも、飽和結合率は99.8%
程度にしかないことがわかる。また本発明の水素添加物
を成形すると、黄色度差ΔYIが小さく、かつシルバー
ストリークなどの成形不良も発生しない透明な成形体を
得ることができる。
【0107】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られるノルボ
ルネン系開環重合体水素添加物は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)の紫外分光検出器及び
示差屈折計で検出されるピーク面積から算出される飽和
結合率が99.92〜99.99%と高く、該水素添加
物を成形した成形体は、黄色度差ΔYIが小さく、透明
性に優れているので、特に光ディスク、光ファイバー、
光カード、光学レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラ
レンズ、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光板、有機
ELの封止材、光拡散板、偏光フィルム、位相差フィル
ム、光拡散シート、プリズムシート、集光シート、自動
車の窓材やルーフ材、航空機用窓材、自動販売機用窓
材、ショーウィンドー材、ショーケース材等の光学材料
に好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
    ー(GPC)の紫外分光検出器及び示差屈折計でそれぞ
    れ検出されるピーク面積から算出される飽和結合率が9
    9.92〜99.99%であるノルボルネン系開環重合
    体水素添加物。
  2. 【請求項2】 ノルボルネン系単量体と開環重合触媒と
    を添加して開環重合を行い、該単量体添加終了後も該触
    媒を添加して開環重合を終了してノルボルネン系開環重
    合体を得、次いで水素添加触媒の存在下で水素添加する
    ことを含むノルボルネン系開環重合体水素添加物の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のノルボルネン系開環重合
    体水素添加物からなる成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2012114608A1 (ja) * 2011-02-25 2014-07-07 ポリプラスチックス株式会社 成形品の製造方法及び成形品
JPWO2016017528A1 (ja) * 2014-07-28 2017-04-27 日本ゼオン株式会社 樹脂成形体
CN114103311A (zh) * 2020-09-01 2022-03-01 Skc株式会社 树脂层、接合用中间膜、透光层叠体及交通工具

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