JP2015172135A - 不飽和ビシクロ化合物の重合方法及び重合装置 - Google Patents

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菜穂子 澤井
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律行 久西
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純弘 小田
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吉田  幸生
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Abstract

【課題】反応速度を向上し、副生成物の生成を抑制して、不飽和ビシクロ化合物からオリゴマーを効率的に得ることができる不飽和ビシクロ化合物の重合方法及びそれに用いる重合装置を提供する。【解決手段】反応器中において、不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌する不飽和ビシクロ化合物の重合方法であって、反応器の攪拌槽の直径位置における該攪拌槽が有する液部分の垂直断面積Avに対し、攪拌機に対し垂直方向の最大投影面積Asの比(As/Av)が0.25以上である攪拌翼を有する攪拌機を用いて攪拌を行う不飽和ビシクロ化合物の重合方法及び重合装置。【選択図】図1

Description

本発明は、不飽和ビシクロ化合物の重合方法及び重合装置に関し、特に、高トラクション係数を示す炭化水素系トラクションドライブ用流体に用いられる不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物の製造における不飽和ビシクロ化合物の重合方法及び重合装置に関する。
トラクションドライブ装置の潤滑において、低温流動性が良好であると共に低温から高温までの広い温度範囲に渡って優れた高トラクション係数(高μ)を示す炭化水素系トラクションドライブ用流体として、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物や不飽和ビシクロオクタン誘導体オリゴマー水素化物等の不飽和ビシクロオクタン誘導体オリゴマー水素化物が見出されている。上記不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物を製造する場合、水素化する前に、不飽和ビシクロ化合物をオリゴマー化する必要があり、その効率的な重合方法が望まれていた。
このようなオリゴマーの効率的な製造方法については、例えば特許文献1、特許文献2等にいくつかの方法が開示され、その原料組成あるいは反応触媒の選択等に着目した方法が提案されている。
特開平6−72908公報 特開平11−130701公報
しかしながら、このような特許文献1、特許文献2等に開示された方法では、未だ十分な反応効率が得られず、その転化率等において十分ではない場合があった。
本発明は、反応速度を向上し、副生成物の生成を抑制して、不飽和ビシクロ化合物からオリゴマーを効率的に得ることができる不飽和ビシクロ化合物の重合方法及びそれに用いる重合装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、反応器中において、不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌して不飽和ビシクロ化合物を重合する際、反応器として特定の構成を有するもの、特に反応器に対し特定の大きさ、構造、形状を有する攪拌翼を有する攪拌機を用いて重合を行うことにより、不飽和ビシクロ化合物からオリゴマーを効率的に得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の[1]〜[21]に関する。
[1]反応器中において、不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌する不飽和ビシクロ化合物の重合方法であって、反応器の攪拌槽の直径位置における該攪拌槽が有する液部分の垂直断面積Avに対し、攪拌軸に対し垂直方向の最大投影面積Asの比(As/Av)が0.25以上である攪拌翼を有する攪拌機を用いて攪拌を行う不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[2]反応液の少なくとも一部を反応器より抜き出し、その少なくとも一部を反応器へリサイクルする、上記[1]記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[3]触媒が三フッ化ホウ素錯体である、上記[1]又は[2]に記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[4]反応器を2基以上用い、該2基以上の反応器のうち一の反応器より抜き出した反応液の少なくとも一部を、該一の反応器より後段の反応器に導入する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[5]反応器より抜き出した反応液を、触媒が沈降・滞留しない構造の熱交換器を用いて冷却する、上記[2]〜[4]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[6]攪拌翼の下端と攪拌槽底との隙間の距離が反応時の液深の10%以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[7]攪拌翼が、その攪拌槽の径方向長さが攪拌槽径の40%以上であるパドル構造を有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
ここで、撹拌翼がバッフルを装着する場合、その攪拌槽の径方向長さが攪拌槽径は、その攪拌槽の対角線上のバッフル間長とする。
[8]攪拌翼高さが反応時液深の70%以上である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[9]攪拌翼が、パドル構造及びその上部に配置された平板及び/又は格子状の構造部分を有する、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[10]0.1kW/m3以上3kW/m3以下の攪拌動力で攪拌する、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[11]不飽和ビシクロ化合物が、不飽和ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、不飽和ビシクロ[2.2.1]オクタン及びこれらの誘導体から選ばれる、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
[12]不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌する攪拌槽を有する反応器と、前記反応液を攪拌させる攪拌翼を有する攪拌機とを備え、前記攪拌翼は、前記攪拌槽の直径位置における該攪拌槽が有する液部分の垂直断面積Avに対し、前記攪拌軸に対し垂直方向の最大投影面積Asの比(As/Av)が0.25以上である、不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
[13]反応液の少なくとも一部を反応器より抜き出し、その少なくとも一部を反応器へリサイクルする外部循環手段を有する、上記[12]記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
[14]2基以上反応器を有し、該2基以上の反応器のうち一の反応器より抜き出した反応溶液の少なくとも一部を、該一の反応器より後段の反応器に導入する構成を有する、上記[12]又は[13]に記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
[15]外部循環手段が、反応器より抜き出した反応液を冷却する触媒が沈降・滞留しない構造の熱交換器を有する、上記[13]又は[14]に記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
[16]攪拌翼の下端と攪拌槽底との隙間の距離が反応時液深の10%以下である、上記[12]〜[15]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
[17]攪拌翼が、その攪拌槽の径方向長さが攪拌槽径の50%以上であるパドル構造を有する、上記[12]〜[16]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
ここで、撹拌翼がバッフルを装着する場合、その攪拌槽の径方向長さが攪拌槽径は、その攪拌槽の対角線上のバッフル間長とする。
[18]攪拌翼高さが反応時液深の70%以上である、上記[12]〜[17]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
[19]攪拌翼が、パドル構造及びその上部に配置された平板及び/又は格子状の構造部分を有する、上記[12]〜[18]のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
[20](イ)不飽和ビシクロ化合物を得る工程、(ロ)得られたビシクロ化合物を触媒の存在下重合して不飽和ビシクロ化合物のオリゴマーを得る工程、及び(ハ)得られた不飽和ビシクロ化合物オリゴマーを水素化する工程、を有する不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物の製造方法であって、前記(ロ)の工程を上記[1]〜[11]のいずれかに記載の重合方法を用いて行う不飽和ビシクロ化合物オリゴマーの製造方法。
[21]前記(イ)の工程は、(a)環状不飽和化合物とアルデヒド類とを反応させて環状不飽和アルデヒド化合物を得る工程、
(b)得られた環状不飽和アルデヒド化合物を水素化する工程、及び
(c)得られたビシクロアルコール化合物を脱水する工程を有する、[20]に記載の不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物の製造方法。
本発明によれば、反応器中において、反応混合物の攪拌を効率的に行うことで、不飽和ビシクロ化合物の重合において、反応速度を向上させることが可能となり、それによって反応条件やプロセスの選択可能範囲が広がり目的とする生成物組成の選択性を向上させ、かつ副生成物の抑制が可能となる。この結果、不飽和ビシクロ化合物からオリゴマーを効率的に得ることができる不飽和ビシクロ化合物の重合方法及び重合装置を提供することができる。
本発明の重合方法及び重合装置の一例の概略を示す模式図である。
不飽和ビシクロ化合物のオリゴマー化においては、例えば、三フッ化ホウ素錯体などの均一化しない液状の触媒を用いる場合反応原料と触媒が液液分離しやく、攪拌混合による均一分散が難しい。特に、従来汎用されていた攪拌翼のみでの攪拌の場合、反応器内にデッド部が生じるなど攪拌が不十分になることがあり、反応器内で触媒の一部が沈降してスムーズに反応が進行せず反応効率が低下し、また、デッド部分では反応物と触媒の接触時間が長くなり副生成物が生成することがある。またこの場合、均一分散が不十分であることから触媒液滴径が十分小さくなっていない可能性が高く、この点からも反応効率が十分でないことがある。
本発明においては、攪拌翼として、反応器の大きさ、形状との関係において十分な上下循環流が発生すると共に、攪拌デッド部が少ない特定の大型格子翼又はそれに類する翼を有するものを用い、また、さらに好ましくは攪拌槽内の反応液について外部循環を行うことで、反応混合物に十分な攪拌による剪断力を与え、触媒液滴径を十分小さくすると共に触媒の相分離を防止し、また副生成物の生成を抑制しつつ反応を効率的に行うことが可能となった。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[不飽和ビシクロ化合物の重合方法]
本発明は、反応器中において、不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌する不飽和ビシクロ化合物の重合方法であって、反応器の攪拌槽の直径位置における該攪拌槽が有する液部分の垂直断面積Avに対し、攪拌翼の垂直方向の最大投影面積Asの比(As/Av)が0.25以上である攪拌翼を有する攪拌機を用いて攪拌を行う不飽和ビシクロ化合物の重合方法、に関する。
<反応器>
本発明の重合方法は主として反応器中で行われ、該反応器は、不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌する特定の攪拌翼を有する攪拌機を具備している。また反応器は反応温度を調節するための冷却用ジャケットを具備する。
本発明において用いられる攪拌機は、反応器の攪拌槽の直径位置における該攪拌槽が有する液部分の垂直断面積Avに対し、攪拌翼の垂直方向の最大投影面積Asの比(As/Av)が0.25以上である攪拌翼(以下、「本発明における大型格子翼」という)を有するものである。
本発明における大型格子翼又はそれに類する翼としては、十分な上下循環流が発生すると共に攪拌デッド部が少ない攪拌翼であればよく、特に、反応混合物に十分な剪断力を与え、触媒液滴径を小さく保つことができる攪拌翼が好ましく、本発明では、上記As/Avが0.25以上であるものが用いられる。上記As/Avは、攪拌翼の大きさのみを規定するだけでなく、反応器の大きさとの関係で規定するものであり、本発明はこの点で従来の技術思想と異なるものである。本発明における大型格子翼又はそれに類する翼は、上記面積比を有するものであれば、その形状、構造等は特に限定的でなく、パドル型、ファウドラー型など種々の形式のものも適宜使用しうる。
本発明においては、上記面積比As/Avが0.25より小さいと反応器内にデッド部が生じることがあり、十分な剪断力が得られず、反応を効率的に行うことができない。この観点から、上記面積比As/Avは、好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.5以上である。また、その上限値には特に制限はないが、物理的に実施可能な値に制限され、最大0.99(尚、バッフルを装着する場合の最大値はバッフルの位置、幅により制限される)、実際には0.5〜0.7程度である。なお、ここで、「攪拌翼の垂直方向の最大投影面積As」とは、攪拌翼が回転する際の攪拌軸に対して垂直方向からの攪拌翼の最大投影面積をいい、その形状、構造に関わらず、攪拌翼全体の最大投影面積をいう。
反応混合物に十分な攪拌による剪断力を与え、重合を効率的に行う観点から、上記本発明の大型格子翼又はそれに類する翼は、攪拌翼の下端と攪拌槽底との隙間の距離Lが反応時の液深の10%以下となるように設置されることが好ましい。また、垂直方向の攪拌翼高さHが反応時の液深の70%以上であり、この結果、攪拌槽下部から反応液面上まで攪拌しうる形状を有することが好ましい。攪拌翼の下端と攪拌槽底との距離Lが大きく、あるいは攪拌翼高さHが反応時の液深に対し十分でない場合、反応器内においてデッド部が生じ、十分攪拌混合が期待できない恐れがある。以上の観点から、上記攪拌翼の下端と攪拌槽底との隙間の距離L、垂直方向の攪拌翼高さHはAs/Avの設定とその形状から決定され、より好ましくはそれぞれ液深の8%以下、液深の80%以上であり、さらに好ましくはそれぞれ液深の5%以下、液深の100%以上である。
攪拌翼の下端と攪拌槽底との距離Lについては、その下限値は特に限定されないが、攪拌翼と容器が接触しないための限界値であることが通常であり、工業的に使用される容器の製作精度等を考慮しその観点から決定される。攪拌翼高さHの上限値については、As/Avで決定された高さに加え液面以上の部分を加えて設定する。液面上の部分は反応に寄与しないし、基本的には物理的制限も有るので、槽形状に合わせ適宜決定すれば良い。
さらに、本発明における大型格子翼又はそれに類する翼は、反応混合物に十分な攪拌による剪断力を与え、重合を効率的に行う観点から、攪拌槽の径方向における攪拌翼長さWが攪拌槽径D(バッフルを装着する場合は対角線上のバッフル間長)の40%以上であることが好ましい。攪拌翼長さWが攪拌槽径Dの50%より小さい攪拌翼である場合、反応器内の十分な攪拌混合が期待できない恐れがあり、反応が不十分、すなわち重質分の増加などが観察されることがある。以上の観点から、攪拌槽の径方向の攪拌翼長さWは、より好ましくは攪拌槽径Dの50%以上、さらに好ましくは攪拌槽径Dの60%以上である。攪拌槽径D(バッフルを装着する場合は対角線上のバッフル間長)に対する攪拌翼長さWの割合の上限値については、同様の観点から、攪拌槽の壁面に対し、攪拌機の回転が物理的に可能な範囲で決定しうるが、工業的には、その値は90%であることが好ましく、より好ましくは80%である。
また、本発明における大型格子翼又はそれに類する翼は、同様の観点から、下部に上記大きさを有するパドル構造を有することが好ましい。さらに、同様の観点から、攪拌翼は、パドル構造及びその上部に配置された平板及び/又は格子状の構造部分を有することが好ましい。
なお、本発明においては、工業的に容器の製作コストを考慮し、またデッド部等を極力少なくすることを考えれば、攪拌槽の形状は通常円筒型あるいはそれに類似した形状であることが好ましく、底部は二分の一半楕円あるいはそれに類似した形状の容器が好適に使用される。この場合、攪拌翼は通常その容器の中央に配置され、容器壁面と攪拌翼端との隙間の距離(クリアランス)も自動的に決まる。なお、攪拌槽の形状として、円筒型あるいはそれに類似した形状以外の形状のものについても、前記攪拌槽径D(バッフルを装着する場合は対角線上のバッフル間長)に対する攪拌翼長さWの割合に関しては、槽径又はバッフル間長をその形状の代表径とみなす等により、適宜反応成績を確認することで使用可能である。同様に、攪拌槽底部の形状についても、上記二分の一半楕円あるいはそれに類似した形状に限定されず、コーン状、平板のものも適宜反応成績を確認することで使用可能である。
本発明においては、反応混合物に十分な攪拌による剪断力を与え、重合を効率的に行う観点から、攪拌時には、好ましくは0.1kW/m3以上3kW/m3以下、より好ましくは0.2kW/m3以上2kW/m3以下、さらに好ましくは0.3kW/m3以上1.5kW/m3以下の攪拌動力で反応液を攪拌混合する。具体的には、上記攪拌動力は、本発明における大型格子翼を用いて、適宜前述の諸条件を調整して実施することができる。
本発明における大型格子翼の好適な例としては、例えば、マックスブレンド翼(住友重機械工業製)、フルゾーン翼(神鋼環境ソルーション製)、スーパーミックス翼MRシリーズ(佐竹化学機械工業製)等が挙げられる。
<外部循環手段>
本発明における大型格子翼又はそれに類する翼を上述の態様で用いると同時に、又は大型格子翼又はそれに類する翼の使用とは別に、反応液の少なくとも一部を反応容器より抜き出し、その少なくとも一部を反応容器へリサイクルする外部循環手段を有することが、本発明における大型格子翼の使用と同様な効果を期待できる点で好ましい。本発明の重合方法においては、反応器よりポンプ等を使用して外部循環を確立し、反応混合物の攪拌を補助することができる。
反応液の循環量としては、攪拌の程度等に応じ適宜決定できるが、全反応液量を一定時間当たりの循環量で割った値n(nが2であれば1時間に2回循環する)に対し、50≧n≧2であることが好ましく、より好ましくは30≧n≧3、さらに好ましくは20≧n≧5である。nが2以上であれば外部循環の効果が十分発揮でき、nが50以下であれば反応混合物を外部循環するに必要なポンプ等の能力が適正となり効率的である。
反応液の外部循環方法は、反応器の態様、設置位置等により適宜決定しうるが、例えば、攪拌混合している反応器の下部から反応液の抜き出しを行い、抜き出し反応液の少なくとも一部を反応液の上部より供給する方法がある。供給する反応液が、反応器の気相部に付着しないように、反応器の側面から供給する態様も好ましく用いられる。
また本発明においては、外部循環ラインのいずれかの位置に少なくとも1の触媒の沈降・滞留を生じない構造の熱交換器を設置し反応熱を除去する方法も、反応温度の制御がより行い易く好ましい。
本発明においては、反応器を2基以上用いることができ、その各々が前記外部循環手段を有することができる。外部循環手段を有する反応器が2基以上の場合は、これらを直列に配置することもできるが、転化率を高める等の観点から、該2基以上の反応器のうち一の反応器より抜き出した反応液の少なくとも一部を外部循環ラインから抜き出し、該一の反応器より後段の反応器又は処理工程に導入することもできる。
<反応液>
本発明の不飽和ビシクロ化合物の重合方法に供される原料の不飽和ビシクロ化合物としては、不飽和ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、不飽和ビシクロ〔2.2.2〕オクタン、これらの誘導体等が挙げられ、不飽和ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン及びその誘導体としては、具体的には例えば、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレンビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−3−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;3−メチレン−2−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2,3−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−7−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2,7−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−5−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2,5−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−6−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2,6−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−1−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;1,2−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−4−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2,4−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−3,7−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2,3,7−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−3,6−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2,3,6−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン;2−メチレン−3−エチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン;2−メチル−3−エチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エンなどが挙げられる。
また、不飽和ビシクロ〔2.2.2〕オクタン及びその誘導体としては、具体的には例えば、ビシクロ〔2.2.2〕オクト−2−エン;2−メチレンビシクロ〔2.2.2〕オクタン;2−メチルビシクロ〔2.2.2〕オクト−2−エン;2−メチレン−3−メチルビシクロ〔2.2.2〕オクタン;2,3−ジメチルビシクロ〔2.2.2〕オクト−2−エンなどが挙げられる。
ここで、不飽和ビシクロ化合物のオリゴマー化反応は、触媒の存在下で必要により溶媒や反応調節剤を添加して行う。触媒としては各種のものが使用可能であるが、酸触媒が好ましい。この酸触媒としては、例えば、硫酸、ポリリン酸などの鉱酸類、トリフリック酸などの有機酸、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、四塩化スズ、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素錯体、三臭化ホウ素、臭化アルミニウム、塩化ガリウム、臭化ガリウムなどのルイス酸、トリエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物などが挙げられる。
そして、これら酸触媒の中でも、三フッ化ホウ素錯体、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒が、比較的に低い温度で重合することができることから好ましい。さらに具体的には、優れた触媒性能を有し、液状取扱の容易さや経済性などの点から、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素水錯体、三フッ化ホウ素アルコール錯体などが特に好ましい。
その使用量は、反応に応じ適宜選択しうるが、通常は原料である不飽和ビシクロ化合物に対して0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは1質量%以上5質量%以下、より好ましくは1質量%以上3質量%以下の範囲である。上記範囲内であれば、反応速度が適正に維持され操作上効率的である。また後述するB/A比を高く保つことができる。
不飽和ビシクロ化合物のオリゴマー化にあたって溶媒は必ずしも必要ではないが、反応時の不飽和ビシクロ化合物や触媒の取扱い上あるいは反応の進行を調節する上で使用することもできる。このような溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等やシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等の飽和炭化水素であれば特に制限なく、広く使用することができる。
また、反応調整剤は、必要に応じてビシクロヘプタン類、ビシクロオクタン類等に適度な反応を行わせるため、特にオリゴマー化の選択率を高めるために用いるもので、通常は触媒使用量に対して0.1質量%以上100質量%以下、好ましくは1質量%以上20質量%以下の範囲である。反応調整剤としては、具体的には例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、THF等のエーテル類、γ−ブチロラクトン、バレロラクトンなどの環状エステル類、エチレングリコールなどのグリコール類、酢酸エチルなどのエステル類、MEKなどのケトン類、など各種のものを用いることができる。
なお、本発明において、「反応液」とは、反応前においては、原料液を指し、反応中においては原料液と反応生成物の混合物液を指すものとする。
<反応条件>
本発明の不飽和ビシクロ化合物の重合方法における反応温度は、好ましくは−20℃以上90℃以下、より好ましくは−10℃以上50℃以下、である。反応温度が低すぎると反応の進行が遅くなり工業的に実施するには十分でないことがある。また、反応温度が高すぎると重質分等の副生物が増えたり、異性化が進行したりする場合があり、後述するB/A比を高く(20以上に)保つのが難しくなる。本発明におけるオリゴマー化反応は、通常、発熱反応であるため、上記反応温度の制御は、反応器に冷却用ジャケットを用いることにより、また、外部循環手段に熱交換器を設けること等により行うことができる。
上記オリゴマー反応においては、好適な原料である不飽和ビシクロヘプタン誘導体をオリゴマー化(二量化)すると、通常、主成分であるB成分と、その異性化成分であるA成分が生成する。すなわち、二量化反応後の溶液を、ガスクロマトグラフィーを用いて下記条件で分析すると、数本のピークを確認することができる。ここで、保持時間13.5分に位置するものをA成分、保持時間14.5分に位置するものをB成分と呼ぶ。
・カラム:DB−1701(30m×内径0.25mm×膜厚0.25μm)
・キャリアーガス:He、スプリット比:100
・INJ温度:280℃、COL温度:50℃(4分Hold)→280℃、5℃/分で昇温
・サンプル0.1gに内標(n−デカン)0.1gを加え、アセトン又はトルエンで約2mlに希釈して0.2μl注入する。
本発明では、ガスクロマトグラフィーにおけるこのB成分とA成分のピーク比B/A比を20以上とすることが好ましく、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上とする。温度を低くした方が異性化率の増加が防げるが、相対的に反応速度が低下する。
[不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物の製造方法]
本発明の不飽和ビシクロ化合物の重合方法は、不飽和ビシクロ化合物のオリゴマーを得るものであるが、得られた不飽和ビシクロ化合物のオリゴマーは、不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物の製造に用いられ、この不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物は、低温流動性が良好であると共に低温から高温までの広い温度範囲に渡って優れた高トラクション係数(高μ)を示すトラクションドライブ用流体に好適に用いられる。
すなわち、本発明は、(イ)不飽和ビシクロ化合物を得る工程、(ロ)得られた不飽和ビシクロ化合物を触媒の存在下重合して不飽和ビシクロ化合物のオリゴマーを得る工程、及び(ハ)得られた不飽和ビシクロ化合物オリゴマーを水素化する工程、を有する不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物の製造方法であって、前記(ロ)の工程を前記本発明の不飽和ビシクロ化合物の重合方法を用いて行う飽和ビシクロ化合物オリゴマーの製造方法、に関する。
一例として、不飽和ビシクロ化合物の製造においては、はじめに、環状不飽和化合物とアルデヒド類を反応させて環状不飽和アルデヒド化合物(例えば、ノルボルナンアルデヒド類)を得る(工程イ)。次いで、反応生成物は冷却後、触媒(例えば、ラネーニッケル触媒)の存在下で水素化処理する。続いて、冷却後、触媒を濾別し、濾液を減圧蒸留することによって対応する環状飽和アルコール化合物を生成する(工程ロ)。ここで、工程イにおける不飽和環状化合物としては、シクロジエン類が挙げられ、具体的には、シクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエンあるいはその誘導体がある。アルデヒド類としては、例えば、クロトンアルデヒド、アクロレイン(アクリルアルデヒド)などが挙げられる。
上記のようにして得られた環状飽和アルコール化合物は、触媒の存在下で脱水反応を施すことによって、不飽和ビシクロ〔2.2.2〕ヘプタン誘導体、不飽和ビシクロ〔2.2.2〕オクタン誘導体等の不飽和ビシクロ化合物を得ることができる(工程ハ)。この脱水反応に供される触媒としては、骨格の異性化が少ないγ−アルミナが好ましく用いられる。不飽和ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン誘導体、不飽和ビシクロ〔2.2.1〕オクタン誘導体等の不飽和ビシクロ化合物はどの様な反応条件によって得られたものでもよい。
種々の方法により製造された不飽和ビシクロ化合物は、本発明の重合方法によりオリゴマー化され不飽和ビシクロ化合物のオリゴマーを得る(工程ニ)。このオリゴマー化によって得られるオリゴマーは、次いで、Ni/Si−Al系触媒又はNi珪藻土触媒の存在下で水素化反応を施され、飽和ビシクロ化合物オリゴマーが得られる(工程ホ)。
不飽和ビシクロ化合物のオリゴマーの水添物、すなわちビシクロヘプタンあるいはオクタン骨格を含有する炭化水素は、低温流動性が良好であると共に低温から高温までの広い温度範囲に渡って優れた高トラクション係数(高μ)を示す炭化水素系トラクションドライブ用流体に好適に用いられるが、この場合、単独でトラクションドライブ用流体として用いてもよいし、必要に応じて他のトラクションドライブ用流体と混合して用いることもできる。
[不飽和ビシクロ化合物の重合装置]
本発明は、また、不飽和ビシクロ化合物を重合するための重合装置、すなわち、不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌する攪拌槽を有する反応器と、前記反応液を攪拌させる攪拌翼を有する攪拌機とを備え、前記攪拌翼は、前記攪拌槽の直径位置における該攪拌槽が有する液部分の垂直断面積Avに対し、前記攪拌翼の垂直方向の最大投影面積Asの比(As/Av)が0.25以上である、不飽和ビシクロ化合物の重合装置に関する。また、本発明の重合装置は、上記重合装置に好ましくは、反応液の少なくとも一部を反応器より抜き出し、その少なくとも一部を反応器へリサイクルする外部循環手段を有する。
上記不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液、攪拌槽、反応器及び好ましく設けられる外部循環手段、As/Avが0.25以上である攪拌翼(本発明における大型格子翼又はそれに類する翼)については、その詳細は前述の「不飽和ビシクロ化合物の重合方法」の欄で述べた通りである。
図1は、本発明の重合装置の一例の概略を示す模式図である。図1において、本発明の重合装置1は、攪拌翼2を有する攪拌機3、反応器ジャケット4を備えた反応器5、及び必要に応じ、ポンプ6、熱交換器7を含む外部循環手段8を有する。
図1においては、不飽和ビシクロ化合物を含む反応原料a及び触媒bを反応器5に導入し、攪拌機3の攪拌翼2で反応液cを攪拌し重合してオリゴマーを得る。この際、好ましくは、反応器5中の反応液cの少なくとも一部を、ポンプ6及び熱交換器7を備えた外部循環手段8により反応器5より抜き出し、冷却した後反応器5へリサイクルする。
本発明の重合装置は、以下の好ましい態様を有する。
(1)2基以上反応器を有し、該2基以上の反応器のうち一の反応器より抜き出した反応溶液の少なくとも一部を、該一の反応器より後段の反応器に導入する構成を有する。
(2)外部循環手段が、反応器より抜き出した反応液を冷却する触媒が沈降・滞留しない構造の熱交換器を有する。
(3)攪拌翼の下端と攪拌槽底との隙間の距離が液深の10%以下である。
(4)攪拌翼が、パドル構造及びその上部に配置された平板及び/又は格子状の構造部分を有する。
以上の態様の詳細は、前述の「不飽和ビシクロ化合物の重合方法」において述べた通りである。
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
槽径550mm、有効液面高さ540mm、反応器高さ860mm(有効液量:約130L)の加熱及び冷却機構付の反応器を用意した。この反応器に表1に示すような高さH=600mm、翼幅W=300mmのマックスブレンド翼(住友重機械工業株式会社)を装着し反応器Rx.1とした。
この反応器の下部よりポンプで反応混合物を取り出し、反応器上部から循環されるように配管を設置した。この循環配管の途中には流速の低下による触媒の沈降・滞留を起こさない構造とした熱交換器を設置し、反応混合物を冷却できるようにした。またポンプの出口より、反応混合物を分岐し、下流に設置した同サイズの反応器Rx.2で2段で反応を行うことができるようにした。
このRx.1およびRx.2に有効液量までヘプタンを張り込んだ。別反応器に触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体にジエチルエーテルを10質量%加えたものを用意した。2−メチレン−3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンと3−メチレン−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンとを合計で55質量%、2,3−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン30質量%及びその構造異性体を含有する混合物を反応原料として用意し、攪拌機を150rpmで攪拌しながら、反応原料を32kg/hrと反応原料の2質量%の三フッ化ホウ素エーテラートと上記ジエチルエーテルの混合物(三フッ化ホウ素錯体の10質量%)を連続で供給し、反応液の温度が5℃となるよう、反応器ジャケット、外部循環熱交換器で反応液温度を調整した。循環量は前段反応器Rx.1、後段の反応器Rx.2とも200kg/hの割合であった。
約10時間の連続反応を実施し、運転が安定した段階で反応成績を測定した。結果を表2に示す。
実施例2
実施例1において、反応器の攪拌翼としてフルゾーン(2段)翼(神鋼環境ソルーション株式会社)(表1参照)を使用した以外は実施例1と同様に反応を実施し、同様に反応成績を測定した。結果を表2に示す。
実施例3
実施例1において、反応器の下部に設置したポンプは反応器内の反応混合物の循環には使用せず、反応物の抜き出しのみのために使用し、反応原料の供給速度を6kg/hr、原料の2質量%の三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体と三フッ化ホウ素錯体の10質量%のジエチルエーテルを供給した以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。なお、反応原料の供給速度は6kg/hrとしたのは、反応混合物の循環を行わず循環系における冷却が行われなかったため、ジャケットだけで冷却を実施したためである。
比較例1
実施例1において、攪拌機として2段ピッチドパドル翼(W=300mm、H=80mm)(佐竹化学機械工業株式会社)(表1参照)を使用し、攪拌回転数は180rpmとし、かつ、それぞれの反応器における反応混合物の循環を停止すると共に原料の供給速度を6kg/hrとし、Rx.2の温度を10℃にて連続運転を実施した以外は実施例1と同様に実施した。実施例1と同様に反応成績を測定した結果を表2に示す。
なお、上記例における転化率、B/A比はガスクロマトグラフィーにより測定した。
Figure 2015172135
Figure 2015172135
表1及び表2より明らかなように、不飽和ビシクロヘプタン誘導体のオリゴマー化反応において、大型格子翼を有する攪拌機による攪拌を行うことで供給する触媒の分散が効率的となり、反応が効率的に進行することが示された。
本発明によれば、大型格子翼を有する攪拌機を有する反応器中で攪拌を行うことで、不飽和ビシクロ化合物の重合において、反応速度が向上し、かつ副生成物の抑制が可能となる。この結果、不飽和ビシクロ化合物からオリゴマーを効率的に得ることができるので、得られる不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物は、低温流動性が良好であると共に低温から高温までの広い温度範囲に渡って優れた高トラクション係数を示すトラクションドライブ用流体に好適に利用することができる。
1:重合装置
2:攪拌翼
3:攪拌機
4:反応器ジャケット
5:反応器
6:ポンプ
7:熱交換器
8:外部循環手段
a:反応原料
b:触媒
c:反応液
d:生成物(オリゴマー)

Claims (21)

  1. 反応器中において、不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌する不飽和ビシクロ化合物の重合方法であって、反応器の攪拌槽の直径位置における該攪拌槽が有する液部分の垂直断面積Avに対し、攪拌機に対し垂直方向の最大投影面積Asの比(As/Av)が0.25以上である攪拌翼を有する攪拌機を用いて攪拌を行う不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  2. 反応液の少なくとも一部を反応器より抜き出し、その少なくとも一部を反応器へリサイクルする、請求項1記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  3. 触媒が三フッ化ホウ素錯体である、請求項1又は2に記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  4. 反応器を2基以上用い、該2基以上の反応器のうち一の反応器より抜き出した反応液の少なくとも一部を、該一の反応器より後段の反応器に導入する、請求項1〜3のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  5. 反応器より抜き出した反応液を、触媒の沈降・滞留の無い構造の熱交換器を用いて冷却する、請求項2〜4のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  6. 攪拌翼の下端と攪拌槽底との隙間の距離が液深の10%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  7. 攪拌翼が、その攪拌槽の径方向長さが攪拌槽径の40%以上であるパドル構造を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  8. 攪拌翼高さが反応時液深の70%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  9. 攪拌翼が、パドル構造及びその上部に配置された平板及び/又は格子状の構造部分を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  10. 0.1kW/m3以上3kW/m3以下の攪拌動力で攪拌する、請求項1〜9のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  11. 不飽和ビシクロ化合物が、不飽和ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、不飽和ビシクロ[2.2.1]オクタン及びこれらの誘導体から選ばれる、請求項1〜10のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合方法。
  12. 不飽和ビシクロ化合物と触媒とを含む反応液を攪拌する攪拌槽を有する反応器と、前記反応液を攪拌させる攪拌翼を有する攪拌機とを備え、
    前記攪拌翼は、前記攪拌槽の直径位置における該攪拌槽が有する液部分の垂直断面積Avに対し、前記攪拌機に対し垂直方向の最大投影面積Asの比(As/Av)が0.25以上である、不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
  13. 反応液の少なくとも一部を反応器より抜き出し、その少なくとも一部を反応器へリサイクルする外部循環手段を有する、請求項12記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
  14. 2基以上反応器を有し、該2基以上の反応器のうち一の反応器より抜き出した反応溶液の少なくとも一部を、該一の反応器より後段の反応器に導入する構成を有する、請求項12又は13に記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
  15. 外部循環手段が、反応器より抜き出した反応液を冷却する熱交換器を有する、請求項13又は14に記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
  16. 攪拌翼の下端と攪拌槽底との隙間の距離が反応時液深の10%以下である、請求項12〜15のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
  17. 攪拌翼が、その攪拌槽の径方向長さが攪拌槽径の40%以上であるパドル構造を有する、請求項12〜16のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
  18. 攪拌翼高さが液深の70%以上である、請求項12〜17のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
  19. 攪拌翼が、パドル構造及びその上部に配置された平板及び/又は格子状の構造部分を有する、請求項12〜18のいずれかに記載の不飽和ビシクロ化合物の重合装置。
  20. (イ)不飽和ビシクロ化合物を得る工程、
    (ロ)得られた不飽和ビシクロ化合物を触媒の存在下重合して不飽和ビシクロ化合物のオリゴマーを得る工程、及び
    (ハ)得られた不飽和ビシクロ化合物オリゴマーを水素化する工程、を有する飽和ビシクロ化合物オリゴマーの製造方法であって、
    前記(ロ)の工程を請求項1〜11のいずれかに記載の重合方法を用いて行う不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物の製造方法。
  21. 前記(イ)の工程は、(a)環状不飽和化合物とアルデヒド類とを反応させて環状不飽和アルデヒド化合物を得る工程、
    (b)得られた環状不飽和アルデヒド化合物を水素化する工程、及び
    (c)得られたビシクロアルコール化合物を脱水する工程を有する、請求項20に記載の不飽和ビシクロ化合物オリゴマー水素化物の製造方法。
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