JP4733169B2 - ビーズ状高分子凝集剤 - Google Patents

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Description

本発明はビーズ状高分子凝集剤に関する。さらに詳しくは、微粉が極めて少なく、適度な粉体流動性を有するビーズ状高分子凝集剤に関する。
従来、高分子凝集剤の重合方法としては、水溶液重合法、薄膜重合法、逆相懸濁重合法、沈殿重合法及び乳化重合法等が知られている。
これらの中でも逆相懸濁重合法は、疎水性分散媒により容易に重合熱が除去できるため一定温度で重合することができ、高分子量で比較的分子量分布がシャープな高分子凝集剤を得ることができる点で優れている。
逆相懸濁重合法で高分子凝集剤を得る方法としては、従来から、分散剤としてセルロース系の分散剤を用いる方法(例えば、特許文献1〜3参照)、ソルビタンエステル型界面活性剤とエチルセルロースを用いる方法(例えば、特許文献4参照)、ショ糖エステル型界面活性剤及び/又はポリグリセリンエステル型界面活性剤を用いる方法(例えば、特許文献5参照)、が知られている。
特開昭54− 56690号公報(1頁) 特開昭54− 56691号公報(1頁) 特開昭54− 69196号公報(1頁) 特開昭56−143205号公報(1頁) 特開平04−356509号公報(1頁)
しかしながら、特許文献1〜3等に記載の方法は、得られた高分子凝集剤がビーズ状のため転がりやすく、粉体流動性が高すぎて自動計量装置での安定供給ができないこと、特許文献4および5等に記載の方法は、生じた高分子凝集剤が微粉状となり、水に溶解した際にままこを生じるため溶解時間が長くなる問題があった。
また、従来から提案されている水溶液重合法、薄膜重合法による高分子凝集剤は、破砕状であり、粒子が不定形であるため、粉体供給機等を用いた場合に粉体流動性が悪く、しばしばホッパー内で目詰まりなどのトラブルを引き起こし、粒子を安定かつ定量的に供給することができないといった問題があった。
本発明の課題は、ビーズ状でありながら取り扱いやすく粉体供給機等を用いた場合に安定供給できる適度に優れた粉体流動性を有し、また、微粉が少ないため水に対する溶解性が良好な高分子凝集剤を提供することにある。
本発明者は、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、水溶性不飽和モノマー(a)を構成単位とするビーズ状の水溶性(共)重合体(A)からなり、表面被覆剤で表面コーティングされた該ビーズが、0.7〜1.0の数平均円形度、および円筒回転法による25〜40度の安息角を有するビーズ状高分子凝集剤;並びに、該ビーズ状の(A)の表面を表面被覆剤でコーティングすることを特徴とするビーズ状高分子凝集剤の製造方法である。
本発明のビーズ状の高分子凝集剤は、下記の効果を奏する。
(1)適度に優れた粉体流動性を有するため、粉体供給機等を用いて安定かつ定量的に供給できる。
(2)微粉が極めて少ないため、水溶解性に優れる。
本発明の高分子凝集剤は、水溶性不飽和モノマー(a)を構成単位とする水溶性(共)重合体(A)からなり、(a)には、下記のノニオン性モノマー(a1)、カチオン性モノマー(a2)、アニオン性モノマー(a3)、およびこれらの2種またはそれ以上の混合物が含まれる。
(A)を構成するモノマーとしては、本発明の効果を阻害しない範囲で(a)の他に必要により水不溶性不飽和モノマー(x)および架橋性モノマー(y)を併用してもよい。
ここにおいて水溶性不飽和モノマーもしくは水溶性(共)重合体とは、水に対する溶解度(20℃)が1g/水100g以上である不飽和モノマーもしくは(共)重合体を意味し、水不溶性不飽和モノマーとは、水に対する溶解度(20℃)が1g/水100g未満である不飽和モノマーを意味する。
(a1)ノニオン性モノマー
下記のもの、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a11)(メタ)アクリレート
炭素数(以下、Cと略記)4以上かつ数平均分子量[以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]5,000以下、例えば水酸基含有(メタ)アクリレート[例えばヒドロキシエチル−、ジエチレングリコールモノ−、ポリエチレングリコール(重合度3〜50)モノ−およびポリグリセロール(重合度1〜10)モノ(メタ)アクリレート]およびアクリル酸アルキル(アルキル基はC1〜2)エステル(C4〜5、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル);
(a12)(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体
C3〜30、例えば(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(C1〜3)(メタ)アクリルアミド[N−メチルおよび−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等]、N−アルキロール(メタ)アクリルアミド[N−メチロール(メタ)アクリルアミド等];
(a13) 上記以外の窒素原子含有エチレン性不飽和化合物
C3〜30、例えばアクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルカルバゾールおよび2−シアノエチル(メタ)アクリレート。
(a2)カチオン性モノマー
下記のもの、これらの塩[例えば無機酸(塩酸、硫酸、リン酸および硝酸等)塩、メチルクロライド塩、ジメチル硫酸塩およびベンジルクロライド塩等]、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a21) 窒素原子含有(メタ)アクリレート
C5〜30、例えばアミノアルキル(C2〜3)(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキル(C1〜2)アミノアルキル(C2〜3)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等]、複素環含有(メタ)アクリレート[N−モルホリノエチル(メタ)アクリレート等];
(a22) 窒素原子含有(メタ)アクリルアミド誘導体
C5〜30、例えばN,N−ジアルキル(C1〜2)アミノアルキル(C2〜3)(メタ)アクリルアミド[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等];
(a23) アミノ基を有するエチレン性不飽和化合物
C5〜30、例えばビニルアミン、ビニルアニリン、(メタ)アリルアミン、p−アミノスチレン等];
(a24) アミンイミド基を有する化合物
C5〜30、例えば1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド等;
(a25) 上記以外の窒素原子含有ビニルモノマー
C5〜30、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピペリジン、ビニルピラジン、ビニルモルホリン。
(a3)アニオン性モノマー
下記の酸、これらの塩[アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等、以下同じ。)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等、以下同じ。)塩、アンモニウム塩およびアミン(C1〜20)塩等]、およびこれらの混合物が挙げられる。
(a31) 不飽和カルボン酸
C3〜30、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、ビニル安息香酸、アリル酢酸;
(a32) 不飽和スルホン酸
C2〜20の脂肪族不飽和スルホン酸(ビニルスルホン酸等)、C6〜20の芳香族不飽和スルホン酸(スチレンスルホン酸等)、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート[スルホアルキル(C2〜20)(メタ)アクリレート[2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸等]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド[2−(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸、2−および3−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、2−および4−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルアミノメチルベンゼンスルホン酸等]、アルキル(C1〜20)(メタ)アリルスルホコハク酸エステル[メチル(メタ)アリルスルホコハク酸エステル等]等;
(a33) (メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(C1〜6)硫酸エステル
(メタ)アクリロイルポリオキシエチレン(重合度2〜50)硫酸エステル等。
(a)のうち高分子量化の観点から好ましいのは、(a1)、(a21)、(a22)、(a31)、(a32)、さらに好ましいのは(a12)、(a13)、(a21)、(a22)、(a31)、および(a32)のうちのスルホン酸基含有(メタ)アクリレート、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド、特に好ましいのは(a12)、(a13)、(a21)、(a31)、および(a32)のうちのスルホン酸基含有(メタ)アクリレート、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド、最も好ましいのは(a12)のうちの(メタ)アクリルアミド、(a13)のうちのアクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、(a21)のうちのN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびこれらの塩(上記のもの)、(a31)のうちの(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸およびこれらのアルカリ金属塩、(a32)のうちの2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−および3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩である。また、これらの(a)は、任意に混合して共重合させることができる。
(a)の使用量(モル%)は、(A)を構成するモノマーの全モル数に基づいて、凝集性能(高フロック強度、フロックの粗大化、脱水ケーキの低含水率化等。以下同じ。)の観点から好ましくは50〜100%、さらに好ましくは80〜100%である。
必要により(a)と併用してもよい水不溶性不飽和モノマー(x)としては、以下の(x1)〜(x5)、およびこれらの混合物が挙げられる。
(x1) C6〜23の(メタ)アクリレート
脂肪族または脂環式アルコール(C3〜20)の(メタ)アクリレート[プロピル−、ブチル−、ラウリル−、オクタデシル−およびシクロヘキシル(メタ)アクリレート等]およびエポキシ基(C4〜20)含有(メタ)アクリレート[グリシジル(メタ)アクリレート等];
(x2) [モノアルコキシ(C1〜20)−、モノシクロアルコキシ(C3〜12)−もしくはモノフェノキシ]ポリプロピレングリコール(以下、PPGと略記)(重合度2〜50)の不飽和カルボン酸モノエステル
モノオール(C1〜20)もしくは1価フェノール(C6〜20)のプロピレンオキシド(以下POと略記)付加物の(メタ)アクリル酸エステル[ω−メトキシPPGモノ(メタ)アクリレート、ω−エトキシPPGモノ(メタ)アクリレート、ω−プロポキシPPGモノ(メタ)アクリレート、ω−ブトキシPPGモノ(メタ)アクリレート、ω−シクロヘキシルPPGモノ(メタ)アクリレート、ω−フェノキシPPGモノ(メタ)アクリレート等]およびジオール(C2〜20)もしくは2価フェノール(C6〜20)のPO付加物の(メタ)アクリル酸エステル[ω−ヒドロキシエチル(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等]等;
(x3) C2〜30の不飽和炭化水素
エチレン、ノネン、スチレン、1−メチルスチレン等;
(x4) 不飽和アルコール[C2〜4、例えばビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール]のカルボン酸(C2〜30)エステル(酢酸ビニル等);
(x5) ハロゲン含有モノマー(C2〜30、例えば塩化ビニル)。
また、架橋性モノマー(y)としては、以下の(y1)〜(y5)、これらの塩[例えば、塩基性モノマーについては、無機酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、硝酸等)塩、メチルクロライド塩、ジメチル硫酸塩およびベンジルクロライド塩等、酸性モノマーについては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン(C1〜20、例えばメチルアミン、エチルアミン、シクロヘキシルアミン)塩]、およびこれらの混合物が挙げられる。
(y1) ビスポリ(2〜4またはそれ以上)(メタ)アクリルアミド
C5〜30、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド;
(y2) ポリ(2〜4またはそれ以上)(メタ)アクリレート
C8〜30、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール[ポリ(2〜4)](メタ)アクリレート;
(y3) ビニル基(2〜20個またはそれ以上)含有モノマー
C4以上かつMn6,000以下、例えばジビニルアミン、多価(2〜5またはそれ以上)アミン[C2以上かつMn3,000以下、例えばエチレンジアミン、ポリエチレンイミン(C4以上かつMn3,000以下)]のポリ(2〜20)ビニルアミン、ジビニルエーテル、多価アルコール〔C2以上かつMn3,000以下、例えばアルキレン(C2〜6またはそれ以上)グリコール[エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール(以下、それぞれEG、PG、HDと略記)等]、ポリオキシアルキレン[分子量106以上かつMn3,000以下、例えばポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)(分子量106以上かつMn3,000以下)、PPG(分子量134以上かつMn3,000以下)、ポリオキシエチレン(分子量106以上かつMn3,000以下)/ポリオキシプロピレン(分子量134以上かつMn3,000以下)ブロックコポリマー]、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、(ポリ)(2〜5
0)グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール(以下、それぞれTME、TMP、GR、PE、SOと略記)、デンプン〕のポリ(2〜20)ビニルエーテル等;
(y4) アリル基(2〜20個またはそれ以上)含有モノマー
C6以上かつMn3,000以下、例えばジ(メタ)アリルアミン、N−アルキル(C1〜20)ジ(メタ)アリルアミン、多価アミン(上記のもの)のポリ(2〜20)(メタ)アリルアミン、ジ(メタ)アリルエーテル、多価アルコール(上記のもの)のポリ(2〜20)(メタ)アリルエーテル、ポリ(2〜20)(メタ)アリロキシアルカン(C1〜20)(テトラアリロキシエタン等);
(y5) エポキシ基含有モノマー
C8以上かつMn6,000以下、例えばEGジグリシジルエーテル、PEGジグリシジルエーテル、GRトリグリシジルエーテル。
(x)の使用量(モル%)は、(A)を構成するモノマーの全モル数に基づいて、通常40以下、凝集性能発現および高分子凝集剤の水への溶解性の観点から好ましくは0.1〜20、さらに好ましくは0.5〜10である。
また、(y)の使用量(モル%)は、使用する架橋性モノマー(y)の重合性または反応性にもよるが、(A)を構成するモノマーの全モル数に基づいて通常5以下、凝集性能発現および高分子凝集剤の水への溶解性の観点から好ましくは0.001〜1、さらに好ましくは0.01〜0.5である。
水溶性(共)重合体(A)の製造方法としては、水溶液重合法、逆相乳化重合法、逆相懸濁重合法等が挙げられる。
水溶液重合法としては、公知の方法、例えば、上記モノマーの水溶液を外部からの熱の出入りがない容器中に入れ断熱重合させる方法(特公昭59−40843号公報等)、該モノマーの水溶液を外部から温度調整可能な容器中で定温重合させる方法(特開平3−189000号公報等)が適用できる。
逆相乳化重合法としては、公知の方法、例えば、上記モノマーの水溶液を界面活性剤を用いて、油中水型エマルションを形成し重合させる方法(特許第2676483号公報、特開平9−208802号公報等)等が適用できる。
本発明のビーズ状高分子凝集剤は、ビーズ状粒子の数平均円形度が0.7〜1.0(好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.85以上、特に好ましくは0.9以上)であることが必要であり、数平均円形度が0.7未満では粉体流動性が悪くなる。
ここにおいて円形度とは、「粉体理論と応用(改訂第2版)」[丸善(株)1979年刊]、50頁に記載の方法により定義される。すなわち、粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周長(L)と粒子投影図の輪郭の長さ(l)から下式(3)によって求めることができ、真球状の場合の値は1となる。

円形度=L/l (3)

円形度および数平均円形度を求める具体的な方法としては、例えば、無作為に取り出した30個の粉粒体群(例えば粒径250μm)をデジタルマイクロスコープ[例えば、KEYENCE(株)製VH−8000、レンズ;VH−Z150、倍率;450倍]を用いて撮影し、各粒子の投影面積と粒子投影図の輪郭の長さを求める。次に、各粒子の投影面積から同じ面積を有する円の周長を算出して、各粒子の円形度を求め、さらにこれを数平均して第1の粉粒体群の数平均値を求める。同様の操作を別の粉粒体群について9回繰り返して合計10個の数平均値を求め、これをさらに単純平均して得られた値を数平均円形度とする。
本発明において、ビーズ状高分子凝集剤の数平均円形度を最終的に0.7〜1.0に調整するためには、まずビーズ状の水溶性(共)重合体(A)の数平均円形度を好ましくは0.7〜1.0に高めておく必要がある。その方法としては、(A)の製造に際して、逆相乳化重合法、逆相懸濁重合法等の重合時にモノマー水溶液を疎水性媒体に乳化もしくは分散させる方法、および水溶液重合法で重合させた後、細断、乾燥を経て粉砕した後にハイブリダイザー[奈良機械(株)製等]、メカノフュージョン[ホソカワミクロン(株)製等]等を用い、機械的な剪断力を利用して円形度を上げる方法、(A)を水等の溶媒に溶解後、スプレードライ装置を用いて脱溶媒して球形化させる方法、(A)を水等の溶媒に溶解後、貧溶媒(例えばトルエン、キシレン)に分散させ、次いで溶媒を留去して球形化させる方法等により、(A)の円形度を高めておく方法が挙げられる。これらのうち所望の円形度の得やすさの観点から好ましいのは逆相懸濁重合法である。
該逆相懸濁重合法としては、例えば次の方法が挙げられる。すなわち、疎水性分散媒(b)および分散剤(c)を重合槽に仕込み、必要に応じて加熱しながら所定の重合温度(通常20〜100℃、好ましくは30〜80℃)に調整した後、槽内を不活性ガス(例えば窒素)で十分置換する。一方、水溶性不飽和モノマー(a)、ラジカル重合開始剤(d)、および必要により水不溶性不飽和モノマー(x)および/または架橋性モノマー(y)を加えたモノマー水溶液を調製し、不活性ガスで十分置換した後、撹拌下で重合槽内に投入し、懸濁させながら重合させる。水溶液の投入方法としては、一括投入または滴下のいずれでもよい。また、その際モノマー水溶液としては、(a)、(d)および必要により加える(x)および/または(y)の均一水溶液としてもよいし、別々の水溶液とした上で、滴下直前で混合してもよいし、別々に同時滴下してもよい。モノマー水溶液等を不活性ガスで置換する方法としては、モノマー水溶液等に不活性ガスをバブリング供給する方法、滴下ライン中でスタティックミキサー等によりブレンドする方法などが挙げられ、重合の均一性の観点からスタティックミキサーでブレンドする方法が好ましい。
本発明における疎水性分散媒(b)は、水に対する溶解度(20℃)が1g/水100g未満である分散媒を意味する。
(b)としては、炭化水素[脂肪族(C5〜12、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン)、脂環含有(C5〜12、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン)および芳香環含有(C6〜12、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン)等]、ケトン[脂肪族(C3〜10、例えばメチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、脂環含有(C5〜10、例えばシクロペンタノン、シクロヘキサノン)および芳香環含有(C8〜13、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン)等]、エーテル[脂肪族(C4〜8、例えばジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル)、環状エーテル(C4〜18、例えばテトラヒドロピリン)および芳香環含有エーテル(C7〜12、例えばアニソール)等]、エステル[脂肪族エステル(C3〜10、例えば酢酸n−ブチル)、脂環含有エステル(C7〜12、例えば酢酸シクロヘキシル、シクロヘキサンカルボン酸メチル)、芳香環含有エステル(C8〜13、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−ブチル、酢酸ベンジル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ−n−ブチルフタレート)等]、およびこれらの混合物が挙げられる。
これらのうち、製造時の取り扱い、および重合時の温度制御の観点から、好ましいのは脂肪族および脂環含有炭化水素、さらに好ましいのはn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンである。
本発明における分散剤(c)としては、分散粒子の粒子径制御を目的とする、種々の油溶性高分子物質が挙げられる。
(c)としては、アルケンとα,β−不飽和多価カルボン酸(無水物)との共重合体またはその誘導体[例えば1−オレフィン(C11〜100)/(無水)マレイン酸共重合体]、長鎖アルキル基含有(メタ)アクリレート(共)重合物、変性(アミノ、カルボキ
シ、エポキシ、ヒドロキシおよびメルカプト変性等)シリコーン、セルロースエーテル(例えばエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)、ショ糖脂肪酸エステル(C22〜120、例えばショ糖ジステアレート、ショ糖トリステアレート)、ソルビタン脂肪酸エステル(C16〜120、例えばソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート)、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル(C12〜120、例えばグリセリンモノステアレート)等が挙げられる。
これらのうち、製造時における装置への重合粒子付着防止の観点から好ましいのはアルケンとα,β−不飽和多価カルボン酸(無水物)との共重合体、アミノ変性シリコーン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルである。
(c)の使用量は、疎水性分散媒(b)の重量に基づいて、通常20%以下、水溶性(共)重合体(A)の分散粒子の安定性および粒子径制御の観点から好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.05〜5%である。
ラジカル重合開始剤(d)としては、種々のもの、例えばアゾ化合物〔水溶性のもの[アゾビスアミジノプロパン(塩)、アゾビスシアノバレリン酸(塩)等]および油溶性のもの[アゾビスシアノバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等]〕および過酸化物〔水溶性のもの[過酢酸、t−ブチルパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等]および油溶性のもの[ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロキシパーオキシド等]〕が挙げられる。なお、上記アゾ化合物における塩としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等)塩およびアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記過酸化物は還元剤と組み合わせてレドックス開始剤として用いてもよく、還元剤としては重亜硫酸塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウム等)、還元性金属塩[硫酸鉄(II)等]、遷移金属塩のアミン錯体[塩化コバルト(III)のペンタメチレンヘキサミン錯体、塩化銅(II)のジエチレントリアミン錯体等]、有機性還元剤〔アスコルビン酸、3級アミン[ジメチルアミノ安息香酸(塩)、ジメチルアミノエタノール等]等〕が挙げられる。
また、アゾ化合物、過酸化物およびレドックス開始剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもいずれでもよい。
(d)は、通常上記分散相(水溶液)に存在させるが、分散相(水溶液)および/または連続相(疎水性分散媒)のいずれに存在させてもよい。
(d)の使用量は、最適な分子量を得るとの観点から、水溶性(共)重合体(A)を構成するモノマーの全重量に基づいて、好ましい下限は0.001%、さらに好ましくは0.005%、とくに好ましくは0.01%、最も好ましくは0.02%、好ましい上限は1%、さらに好ましくは0.5%、とくに好ましくは0.1%、最も好ましくは0.05%である。
本発明における分散相中のモノマーの合計濃度(以下、分散相濃度という場合がある。)は、分散相の重量に基づいて、生産性の観点から好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上、とくに好ましくは30%以上、装置への重合粒子付着防止の観点から好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下、とくに好ましくは80%以下である。
また、必要によりラジカル重合用連鎖移動剤(f)を使用してもよい。(f)としては、特に限定なく種々のもの、例えば、分子内に1個また2個以上のOH基を有する化合物[1価アルコール(C1〜60、例えばメタノール、エタノール、n−およびi−プロパノール)、多価(2〜3またはそれ以上)アルコール(C2〜60、例えばEG、PG)、高分子ポリオール(Mn200〜10,000、例えばPEG、オキシエチレン/オキ
シプロピレンのブロックおよび/またはランダム共重合体]、分子内に1個または2個以上のアミノ基を有する化合物[C0〜60、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、n−およびi−プロパノールアミン]、次亜リン酸塩(次亜リン酸ナトリウム等)、分子内に1個または2個以上のチオール基を有する化合物(後述)等が挙げられる。これらのうち、分子量制御の観点から好ましいのは分子内に1個または2個以上のチオール基を有する化合物である。
分子内に1個または2個以上のチオール基を有する化合物としては、以下のもの、これらの塩[アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン(C1〜20、例えばメチルアミン、エタノールアミン)塩、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等)塩等]、およびこれらの混合物が挙げられる。
(1)1価チオール
脂肪族チオール(C1〜20、例えばメタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、n−オクタンチオール、n−ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、n−オクタデカンチオール、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、1−チオグリセロール、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオマレイン酸、メルカプトコハク酸、システイン、システアミン)、脂環含有チオール(C5〜20、例えばシクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール)、芳香環含有チオール(C6〜12、例えばベンゼンチオール、チオサリチル酸、チオクレゾール、チオキシレノール、チオナフトール)および芳香脂肪族チオール(C7〜20、例えばα−トルエンチオール)が挙げられる。
(2)多価チオール
ジチオール[脂肪族ジチオール(C2〜40、例えばエタンジチオール、ジエチレンジチオール、トリエチレンジチオール、n−、i−およびsec−プロパンジチオール、1,3−および1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、ネオペンタンジチオール)、脂環式ジチオール(C5〜20、例えばシクロペンタンジチオール、シクロヘキサンジチオール)、芳香族ジチオール(C6〜16、例えばベンゼンジチオール、ビフェニルジチオール)および芳香脂肪族ジチオール(C8〜20、例えばキシレンジチオール)が挙げられる。
(f)の使用量は、本発明の高分子凝集剤の最適な分子量を得るとの観点から、(a)、(x)および(y)の合計重量に基づいて、好ましい下限は0.0001%、さらに好ましくは0.001%、とくに好ましくは0.01%、最も好ましくは0.05%、好ましい上限は10%、さらに好ましくは5%、とくに好ましくは3%、最も好ましくは1%である。
本発明におけるモノマー水溶液のpHは、特に限定されないが、高分子量化の観点から、好ましい下限は2、さらに好ましくは2.5、とくに好ましくは3、加水分解防止の観点から好ましい上限は8、さらに好ましくは7、とくに好ましくは6.5である。pH調整のために用いられるpH調整剤としては特に限定はなく、モノマー水溶液がアルカリ性の場合は無機酸(硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等)、無機固体酸性物質(酸性リン酸ソーダ、酸性ぼう硝、塩化アンモン、硫安、重硫安、スルファミン酸等)および有機酸(C2〜20、例えばシュウ酸、こはく酸、リンゴ酸)が挙げられ、モノマー水溶液が酸性の場合は無機アルカリ性物質(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等)および有機アルカリ性物質(グアニジン等)が挙げられる。
なお、ここにおけるpHは、モノマー水溶液の原液をpHメーター[例えば、商品名「LABpHメーターM−12」、(株)堀場製作所製]を用いて室温(20℃)で測定される値である。
逆相懸濁重合の重合温度(℃)は、重合中でのモノマー濃度の変化防止の観点から、疎水性分散媒の沸点未満にすることが好ましい。分散媒の沸点以上になると、分散媒濃度が変化するので均一な粒度にすることが困難になる。また、水が共沸する場合は、系中のモノマー濃度が変化してMw/Mn比が大きくなるので好ましくない。ここにおいてMwは
重量平均分子量を表し、測定はGPC法による。
重合温度としては、重合速度の観点から、好ましい下限は10、さらに好ましくは30、とくに好ましくは40、最も好ましくは50、分子量および分散粒子安定性の観点から好ましい上限は95、さらに好ましくは80、とくに好ましくは70、最も好ましくは60である。また、重合中は所定重合温度を一定(例えば、所定重合温度±5℃)に保つように、適宜加熱、冷却して調節することが好ましい。
重合温度を一定に保つために、予め所定重合温度に温調した分散媒に撹拌下でモノマーを随時滴下してもよい。その際の滴下時間は、モノマー濃度、および重合反応発熱量により異なるが、通常0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間である。
重合反応の終了は、重合による発熱がなくなった点で確認できるが、重合時間は、通常発熱により重合開始を確認した時点から1〜24時間、重合を完結し、残存モノマーを減少させるとの観点から好ましい下限は2時間、さらに好ましくは3時間、工業上の観点から好ましい上限は12時間、さらに好ましくは10時間である。モノマーを随時滴下する場合は滴下終了後から上記時間重合することが好ましい。
上記のモノマー濃度、重合温度、重合時間は、モノマー組成、重合法、開始剤種類などによって適宜調整することができる。
重合時の圧力[kPa(絶対圧力)、以下数値のみを示す。]は、特に限定されないが、通常大気圧下で行う。重合時のモノマー濃度が変化しない観点から、好ましくは重合温度で疎水性分散媒(b)が沸騰しない圧力および(b)と水とが共沸しない圧力が好ましく、特に低沸点溶媒を使用する際には、圧力を高くして沸点未満にすることが好ましい。
圧力の好ましい下限は50、さらに好ましくは70、とくに好ましくは90、好ましい上限は1,000、さらに好ましくは500、とくに好ましくは300である。
また、本発明における(共)重合体(A)は、さらに変性反応させてもよい。ポリマー変性方法としては、例えば、水溶性不飽和モノマー(a)として加水分解性官能基を分子内に有するアクリルアミドを使用した場合、重合時または重合後に苛性アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)または炭酸アルカリ(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を添加して、(a)のアミド基を部分的に加水分解してカルボキシル基を導入する方法(特開昭56−16505号公報等);ホルムアルデヒド、ジアルキルアミン(C1〜12)およびハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素等)化アルキル(C1〜12)(メチルクロライド、エチルクロライド等)を加え、マンニッヒ反応によって部分的にカチオン性基を導入する方法;アクリロニトリル等のニトリル基と、ビニルホルムアミドなどの加水分解により得られるアミノ基との閉環反応により分子内にアミジン環を形成させる方法(特開平5−192513号公報等);および重合後に前記の架橋性モノマー(y)を添加して架橋反応させる方法(特許3305688号公報等)等が挙げられる。
本発明における(A)の固有粘度[η](1N−NaNO3水溶液中30℃での測定値
、単位はdl/g。以下同じ。)は1〜40、好ましくは4〜30、さらに好ましくは6〜25、とくに好ましくは8〜20、最も好ましくは9.5〜18である。固有粘度が1未満では凝集性能が悪くなり、40を超えると凝集速度が低下する。
(A)は、逆相懸濁重合および逆相乳化重合の場合、製造直後は含水ゲル粒子の状態で得られるが、さらに脱水することによって固形粒子状のものを得ることができる。
脱水方法としては、特に限定されないが、重合後、熱風乾燥、赤外線乾燥、間接加熱乾燥(真空乾燥、撹拌型の乾燥機、ドラムドライヤー)等の乾燥方法により脱水する方法、
疎水性分散媒中で共沸させて減圧脱水する方法等が考えられる。またこれらの方法は任意に併用することができる。局部加熱による架橋防止の観点から真空乾燥および疎水性分散媒中で共沸させ減圧脱水する方法が好ましい。乾燥温度(℃)としては、通常20〜200、乾燥速度の観点から好ましい下限は30、さらに好ましくは40、架橋防止の観点から好ましい上限は150、さらに好ましくは120である。
逆相懸濁重合および逆相乳化重合の場合、ビーズ状水溶性(共)重合体(A)の数平均円形度が所望の0.7〜1.0のものを得ることができるが、その場合形状はほぼ球形であり、そのままでは安息角が25度未満となる。安息角が25度未満では、粉体流動性が高すぎて自動計量装置での安定供給ができなくなり過供給のトラブルを引き起こす原因となる。
また、数平均円形度が0.7未満では安息角は40度を超えるため粉体流動性が悪くなる。従って、(A)からなる本発明のビーズ状高分子凝集剤の安息角は25〜40度であることが必要であり、適度な粉体流動性の観点から好ましくは26〜39度、さらに好ましくは30〜38度である。
ここにおいて、安息角とは、円筒回転法で求められる値で、粉粒体を入れた円筒容器を、ゆっくり回転させ、粉粒体が安定な傾斜面を形成するときの傾斜角度で表され、三輪式安息角測定機[筒井理化学器械(株)]を用いて測定することができる。
本発明の高分子凝集剤の安息角を25〜40度とする方法には、粒子表面を表面被覆剤(s)でコーティングしてビーズ状の水溶性(共)重合体(A)に適度な付着力を付与する方法が含まれる。
表面被覆剤(s)としては、界面活性剤(s1)、(変性)シリコーン(s2)、親水性高分子(s3)が挙げられる。
(s1)としては、アニオン界面活性剤(s11)、カチオン界面活性剤(s12)、両性界面活性剤(s13)、非イオン界面活性剤(s14)等が挙げられる。(s1)は2種以上を併用したものであってもよい。(s1)の具体例としては、以下に述べるものが挙げられる。
アニオン界面活性剤(s11)としては、カルボン酸またはその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩およびリン酸エステル塩等が用いられる。
上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩およびアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)塩等が挙げられる。
カルボン酸またはその塩としては、C8〜22の飽和または不飽和脂肪酸またはそれらの塩(カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸およびこれらの塩等)、ヤシ油、パーム核油、米ぬか油および牛脂等をケン化して得られる高級脂肪酸の混合物およびその塩、並びにポリカルボン酸またはその塩が挙げられる。
硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩(C8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩等)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩[C8〜18の脂肪族アルコールのエチレンオキシド(以下EOと略記)またはPOの1〜10モル付加物の硫酸エステル塩等]、硫酸化油(C12〜50の天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル[不飽和脂肪酸(C6〜40)の低級アルコール(C1〜8)エステルを硫酸化して中和したもの]および硫酸化オレフィン(C12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)等が挙げられる。
高級アルコール硫酸エステル塩としては、オクチルアルコール硫酸エステル塩、デシルアルコール硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ステアリルアルコール硫酸エステル塩、チーグラー触媒を用いて合成されたアルコール[商品名「ALFOL 1214」、CONDEA(株)製等]の硫酸エステル塩およびオキソ法で合成されたアルコール[商品名「ドバノール23」、「ドバノール25」、「ドバノール45」、「ダ
イヤドール115−L」、「ダイヤドール115H」、「ダイヤドール135」、いずれも三菱化学(株)製;商品名「トリデカノール」、協和発酵(株)製;商品名「オキソコール1213」、「オキソコール1215」、「オキソコール1415」、いずれも日産化学(株)製等]の硫酸エステル塩等が挙げられる。
高級アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、ラウリルアルコールEO2モル付加物硫酸エステル塩およびオクチルアルコールEO3モル付加物硫酸エステル塩等が挙げられる。
硫酸化油としては、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、ナタネ油、牛脂および羊脂などの硫酸化物の塩等が挙げられる。
硫酸化脂肪酸エステルとしては、オレイン酸ブチルおよびリシノレイン酸ブチル等の硫酸化物の塩等が挙げられる。
硫酸化オレフィンとしては、商品名「ティーポール」[シェル(株)製]等が挙げられる。
カルボキシメチル化物の塩としては、C8〜16の脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩およびC8〜16の脂肪族アルコールのEOまたはPOの1〜10モル付加物のカルボキシメチル化物の塩等が使用できる。
脂肪族アルコールのカルボキシメチル化物の塩としては、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ドバノール23のカルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩等が挙げられる。
脂肪族アルコールのEO付加物のカルボキシメチル化物の塩としては、オクチルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、およびトリデカノールEO5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩等が挙げられる。
スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型、その他芳香環含有化合物のスルホン酸塩等が挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
アルキルナフタレンスルホン酸塩としては、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
スルホコハク酸ジエステル塩としては、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩等が挙げられる。
芳香環含有化合物のスルホン酸塩としては、アルキル化ジフェニルエーテルのモノ−およびジスルホン酸塩およびスチレン化フェノールスルホン酸塩等が挙げられる。
リン酸エステル塩としては、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩等が使用できる。
高級アルコールリン酸エステル塩としては、ラウリルアルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、ラウリルアルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等が挙げられる。
高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩としては、オレイルアルコールEO5モル付加物リン酸モノエステルジナトリウム塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤(s12)としては、第4級アンモニウム塩型界面活性剤およびアミン塩型界面活性剤等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、C3〜40の3級アミンと4級化剤(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル
硫酸等のアルキル化剤およびEO等)との反応等で得られ、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライドおよびステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
アミン塩型界面活性剤としては、1〜3級アミンを無機酸(塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸、リン酸、過塩素酸等、以下同じ。)または有機酸(C1〜24、例えば酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、リンゴ酸、クエン酸、C2〜24のアルキルリン酸)で中和すること等により得られるものが挙げられる。
第1級アミン塩型界面活性剤としては、脂肪族高級アミン(C8〜40、例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミン)の無機酸塩または有機酸塩、低級アミン(C2〜6)の高級脂肪酸(C8〜40、例えばステアリン酸、オレイン酸)塩等が挙げられる。
第2級アミン塩型界面活性剤としては、脂肪族アミン(C4〜40)のEO付加物等の無機酸塩または有機酸塩が挙げられる。
第3級アミン塩型界面活性剤としては、脂肪族アミン(C4〜40、例えば、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)、脂肪族アミン(C2〜40)のEO(2モル以上)付加物、脂環式アミン[C6〜40、例えば、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン等]および含窒素ヘテロ環芳香族アミン(C5〜30、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールおよび4,4’−ジピリジル)等の無機酸塩または有機酸塩、トリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミン等の3級アミンの無機酸塩または有機酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤(s13)としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤およびリン酸エステル塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
カルボン酸塩型両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する両性界面活性剤であり、例えば、下記一般式で示される化合物等が挙げられる。

[R−NH−(CH2)n−COO]m

[式中、Rは1価の炭化水素基;nは1または2、mは1または2の整数;MはH、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムカチオン、アミンカチオンまたはアルカノールアミンカチオンを示す。]
上記一般式で表される両面活性剤としては、例えば、アルキル(C6〜40)アミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)、アルキル(C4〜24)アミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウム等)が挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤は、分子内に第4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を有する両性界面活性剤であり、例えば、アルキル(C6〜40
)ジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、C6〜40のアミドベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、アルキル(C6〜40)ジヒドロキシアルキル(C6〜40)ベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)が挙げられる。
イミダゾリン型両性界面活性剤としては、イミダゾリン環を有するカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を有する両性界面活性剤であり、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが挙げられる。
その他の両性界面活性剤として、例えば、グリシン型両性界面活性剤(ナトリウムラウロイルグリシン、ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩、ジオクチルジアミノエチルグリシン塩酸塩等)、スルホベタイン型両性界面活性剤(ペンタデシルスルホタウリン等)、スルホン酸塩型両性界面活性剤、リン酸エステル塩型両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン界面活性剤(s14)としては、アルキレンオキシド(以下AOと略記)付加型非イオン界面活性剤および多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
AO付加型非イオン界面活性剤は、高級アルコ−ル(C8〜40)、高級脂肪酸(C8〜40)または高級アルキルアミン(C8〜40)等に直接AO(C2〜20)を付加させるか、グリコ−ルにAOを付加させて得られるポリアルキレングリコ−ルに高級脂肪酸等を反応させるか、あるいは多価アルコ−ルに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にAOを付加させるか、高級脂肪酸アミドにAOを付加させることにより得られる。
AOとしては、C2〜24(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜8)、例えばEO、PO、1,2−、1,3−、2,3−ブチレンオキシド(以下BOと略記)、テトラヒドロフラン(以下THFと略記)AO付加型非イオン界面活性剤およびこれらの併用(付加形式はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい)が挙げられる。
これらのAOのうち水溶解性の観点から好ましいのは、EOおよびEOとPOの併用である。
AOの付加モル数としては水溶解性の観点から5〜50モルが好ましく、同様の観点から該AOのうち50〜100%がEOであるものが好ましい。
AO付加型非イオン界面活性剤としては、例えば、オキシアルキレン(C2〜24)アルキル(C8〜40)エ−テル(例えば、オクチルアルコールEO20モル付加物、ラウリルアルコールEO20モル付加物、ステアリルアルコールEO10モル付加物、オレイルアルコールEO5モル付加物、ラウリルアルコールEO10モル−PO20モルブロック付加物);ポリオキシアルキレン(C2〜24)高級脂肪酸エステル(C8〜40、例えば、オレイン酸EO9モル付加物、ステアリル酸EO10モル付加物、ラウリル酸EO10モル付加物);ポリオキシアルキレン(C2〜24)多価アルコ−ル(C3〜40)高級脂肪酸エステル[C8〜40、例えば、PEG(重合度20)のラウリン酸ジエステル、PEG(重合度20)のオレイン酸ジエステル];ポリオキシアルキレン(C2〜24)アルキル(C8〜40)フェニルエーテル(ノニルフェノールEO4モル付加物、ノニルフェノールEO8モルPO20モルブロック付加物、オクチルフェノールEO10モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物、スチレン化フェノールEO20モル付加物等);ポリオキシアルキレン(C2〜24)アルキル(C8〜40)アミノエ−テル(ラウリルアミンEO10モル付加物、ステアリルアミンEO10モル付加物等);ポリオキシアルキレン(C2〜24)アルカノ−ルアミド[アミド(アシル部分)のC8〜24](ヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO10モル付加物、ヒドロキシプロピル
オレイン酸アミドのEO20モル付加物等)が挙げられる。
多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤としては、多価アルコール(C3〜24)脂肪酸(C8〜40)エステル、多価アルコール(C3〜24)脂肪酸(C8〜40)エステルAO付加物、多価アルコール(C3〜24)アルキルエーテルおよび多価アルコール(C3〜24)アルキルエーテルAO付加物等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルとしては、PEモノラウレート、PEモノオレート、ソルビタンモノ−およびジラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジオレート、ショ糖モノステアレート等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物としては、EGモノオレートEO10モル付加物、EGモノステアレートEO20モル付加物、TMPモノステアレートEO20モルPO10モルランダム付加物、ソルビタンモノラウレートEO10モル付加物、ソルビタンジステアレートEO20モル付加物およびソルビタンジラウレートEO12モルPO24モルランダム付加物等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルとしては、PEモノブチルエーテル、PEモノラウリルエーテル、ソルビタンモノメチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテル、メチルグリコシド、ラウリルグリコシド等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルAO付加物としては、ソルビタンモノステアリルエーテルEO10モル付加物、メチルグリコシドEO20モル/PO10モルランダム付加物、ラウリルグリコシドEO10モル付加物、ステアリルグリコシドEO20モル/PO20モルランダム付加物等が挙げられる。
界面活性剤(s1)のうち、水溶解性の観点から好ましいのは、カチオン界面活性剤(s12)、非イオン界面活性剤(s14)、さらに好ましいのは(s12)のうちアミン塩型界面活性剤および(s14)のうちのAO付加型非イオン界面活性剤である。
(s2)としては、Mn500〜100,000の、ポリオルガノシロキサンおよび変性ポリオルガノシロキサンが挙げられる。
ポリオルガノシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンおよびジオルガノポリシロキサンジオール等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、ジメチルポリシロキサンである。
変性ポリオルガノシロキサンとしては、ポリオキシアルキレン変性(すなわちポリエーテル変性)ポリオルガノシロキサン、アルコール変性ポリオルガノシロキサン、アミノ変性ポリオルガノシロキサン、エポキシ変性ポリオルガノシロキサン、カルボキシ変性ポリオルガノシロキサン、メルカプト変性ポリオルガノシロキサンが挙げられる。これらのうち好ましいのは、ポリオキシアルキレン変性ポリオルガノシロキサンである。
(s3)としては、Mn500〜3,000,000の、PEG、PPG、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、水溶性ナイロン、水溶性ウレタン、デンプン類およびそのAO付加物、セルロース化合物(セルロースエーテル、例えばエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等)およびそのAO付加物、カチオン性ポリマー[前記カチオン性モノマー(a2)を構成単位とするポリマー等]、アニオン性ポリマー[前記アニオン性モノマー(a3)を構成単位とするポリマー等]が挙げられる。これらのうち好ましいのは、PEG、PPG、セルロ−ス化合物およびそのAO付加物である。
上記表面被覆剤(s)のうち、コーティングした粒子同士の凝集付着防止の観点から好ましいのは(s1)および(s2)、さらに好ましいのは(s1)である。
上記(s1)〜(s3)はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)の粒子表面を表面被覆剤(s)でコーティングする方法としては、例えば(1)表面被覆剤(s)を水または有機溶剤(アルコール、ケトン、脂肪族または芳香族炭化水素、エステル等の溶剤およびこれらの混合溶剤または含水溶剤等)に通常0.1〜30重量%の濃度で溶解し、この溶液中にビーズ状の水溶性(共)重合体(A)の粒子を浸漬後乾燥させる方法、(2)(A)の粒子表面に(s)の溶液をスプレーまたは塗布して乾燥させる方法、(3)(A)の粒子表面に(s)の非水系または水系エマルションをスプレーまたは塗布して乾燥させる方法、(4)コートマイザー等の装置を用いて(A)の粒子表面にジェットコーティングする方法、(5)(A)の粒子表面に溶融状態の(s)を直接被覆して冷却する方法、(6)逆相懸濁重合および逆相乳化重合の際に予め油相に(s)を添加しておいて重合させる方法等が挙げられる。これらのうちコーティングの容易さの観点から好ましいのは(1)、(2)、(5)および(6)の方法、さらに好ましいのは(1)、(5)および(6)の方法である。
(A)の粒子重量に基づく表面被覆剤(s)の使用量は、高分子凝集剤の適度な粉体流動性の観点から好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.05〜5%、とくに好ましくは0.1〜3%である。
本発明の高分子凝集剤粒子の重量平均粒径(μm)は、使用時における発塵防止の観点から、好ましい下限は50、さらに好ましくは100、とくに好ましくは150、最も好ましくは200、水への溶解性の観点から好ましい上限は2,000、さらに好ましくは1,000、とくに好ましくは700、最も好ましくは500である。
該重量平均粒径(μm)は、ロータップ試験篩振とう機およびJIS Z8801−2000に規定された標準篩を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブッ
ク第6版(マックグローヒル・ブック・カンパニー刊、1984、21頁)に記載の方法で求めることができる。
即ち、適当な目開きの上記標準篩、例えば目開きが2、1.7、1.4、1.18、11.0mm、850、710、500、425、355、300、250、180、150、106および75μmの標準篩上にそれぞれ該高分子凝集剤粒子50.0gをとり、ロータップ試験篩振とう機[例えば、(株)飯田製作所製]で1分間振とうし、各篩上に残った試料を計量する。結果を対数確率紙にプロットし、重量が50%の時の粒径(メジアン径)を重量平均粒径とする。
上記高分子凝集剤粒子中の微粉量は、水溶解性の観点から、通常10%以下、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0〜3%、特に好ましくは0〜1%である。ここで微粉量とは、高分子凝集剤粒子全体のうち、75μm以下の粒子の割合を重量%で表したものであり、上記重量平均粒径と同様にして測定できる。
本発明の高分子凝集剤には、カチオン性、両性、アニオン性、ノニオン性高分子凝集剤およびこれらの混合物が含まれる。これらは用途に応じて適宜使い分けられる。
下水汚泥の脱水用においては、懸濁粒子の大きさが比較的大きく、また水中における懸濁粒子表面がマイナス荷電を有していることから、脱水用高分子凝集剤としてはカチオン性または両性高分子凝集剤、およびこれらの混合物が好ましい。
産業廃水の凝集沈殿処理用においては、溶解性有機物等を処理するために無機凝集剤を併用して添加することが多く、その場合、懸濁粒子表面は無機凝集剤で覆われプラス荷電を有していることから、高分子凝集剤としては、アニオン性またはノニオン性高分子凝集剤、およびこれらの混合物が好ましい。
石油の3次回収用としては、比較的大きな分子量を有するものが使用され、アニオン性またはノニオン性高分子凝集剤、およびこれらの混合物が好ましい。
製紙工程での濾水歩留向上用または紙力増強用としては、カチオン性または両性高分子凝集剤、およびこれらの混合物が好ましい。
ここで、カチオン性高分子凝集剤とは、分子内にカチオン性基を有する高分子凝集剤、すなわち水に溶解した際にカチオン性を示す高分子凝集剤であり、また両性高分子凝集剤とは、分子内にカチオン性基およびアニオン性基を有する高分子凝集剤、すなわち水に溶解した際にカチオン性およびアニオン性を示す高分子凝集剤である。これらの高分子凝集剤の水中におけるカチオン性またはアニオン性の評価方法については、コロイド当量値(meq/g)として求めることができる。すなわち、カチオン性凝集剤中のカチオン性基当量値はカチオンコロイド当量値として求めることができ、両性凝集剤中のカチオン性基当量値およびアニオン性基当量値は、それぞれカチオンコロイド当量値、アニオンコロイド当量値として求めることができる。
本発明の高分子凝集剤がカチオン性高分子凝集剤の場合、該凝集剤中のカチオンコロイド当量値(meq/g)は、凝集性能の観点から好ましい下限は0.1、より好ましくは0.5、さらに好ましくは1.0、とくに好ましくは1.5、最も好ましくは2.0、凝集性能の観点から好ましい上限は7.0、より好ましくは6.0、さらに好ましくは5.5、とくに好ましくは5.2、最も好ましくは5.0である。
また本発明の高分子凝集剤が両性高分子凝集剤の場合、該凝集剤中のカチオンコロイド当量値(meq/g)は、凝集性能の観点から好ましい下限は0.1、より好ましくは0.5、さらに好ましくは1.0、とくに好ましくは1.5、最も好ましくは2.0、凝集性能の観点から好ましい上限は7.0、より好ましくは6.0、さらに好ましくは5.5、とくに好ましくは5.2、最も好ましくは5.0であり;アニオンコロイド当量値(meq/g)は、凝集性能の観点から好ましい下限は−13.0、より好ましくは−10.0、さらに好ましくは−8.0、とくに好ましくは−5.0、最も好ましくは−3.0、
凝集性能の観点から好ましい上限は−0.05、より好ましくは−0.1、さらに好ましくは−0.3、とくに好ましくは−0.5、最も好ましくは−1.0である。
コロイド当量値は以下に示すコロイド滴定法により求めることができる。なお、以降の測定は室温(約20℃)下で行う。
(1)測定試料(高分子凝集剤の50ppm水溶液)の調製
試料0.2g(固形分含量換算したもの)を精秤し、200mlの三角フラスコにとり、全体の重量(試料とイオン交換水の合計重量)が100gとなるようにイオン交換水を加えた後、マグネチックスターラー(長さ40mm、直径5mmの円筒状マグネット、回転数1,000rpm)で、3時間撹拌して完全に溶解させ、0.2重量%の高分子凝集剤溶液を調製する。500mlのビーカーに該調製溶液10mlをとり、全体の重量(溶液10mlとイオン交換水の合計重量)が400gとなるようにイオン交換水を加え、再度マグネチックスターラー(1,000〜1,200rpm)で、30分間撹拌して、均一な測定試料とする。
なお、高分子凝集剤の固形分含量は、試料約1.0gをシャーレ(直径100mm、深さ10mm)に秤量(W1)して、循風乾燥機中、105±5℃で90分間乾燥させた後の残存重量を(W2)として、次式から算出した値である。

固形分含量(重量%)=(W2)×100/(W1)

(2)カチオンコロイド当量値の測定
測定試料100gを200mlのコニカルビーカーにとり、マグネチックスターラー(500rpm)で撹拌しながら徐々に0.5重量%硫酸水溶液を加え、pH3に調整する。次にトルイジンブルー指示薬(TB指示薬)を2〜3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム(N/400PVSK)試薬で滴定する。滴定速度は2ml/分とし、測定試料が青から赤紫色に変色し、赤紫色が30秒間保持される時点を終点とする。
(3)アニオンコロイド当量値の測定
測定試料100gを200mlのコニカルビーカーにとり、マグネチックスターラー(500rpm)で撹拌しながら、N/10水酸化ナトリウム水溶液0.5mlを加え、さらにN/200メチルグリコールキトサン水溶液5mlを加えた後、5分間撹拌する(その時のpH約10.5)。TB指示薬を2〜3滴加え、上記(2)と同様にして滴定する。
(4)空試験
測定試料の代わりにイオン交換水100gを用いる以外は(2)および(3)と同様の操作を行う。
(5)計算方法

カチオンまたはアニオンコロイド当量値(meq/g)=(1/2)×(試料の滴定量
−空試験の滴定量)×(N/400PVSKの力価)
本発明の高分子凝集剤は必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で、消泡剤(B1)、キレート化剤(B2)、pH調整剤(B3)、界面活性剤(B4)、ブロッキング防止剤(B5)、酸化防止剤(B6)、紫外線吸収剤(B7)および防腐剤(B8)からなる群から選ばれる添加剤(B)を併用することができる。
消泡剤(B1)としては、シリコーン化合物[Mn100〜100,000、例えばジメチルポリシロキサン]、鉱物油(スピンドル油、ケロシン等)、金属石ケン(C12〜22、例えばステアリン酸カルシウム)等;
キレート化剤(B2)としては、アミノカルボン酸(C6〜24、例えばエチレンジア
ミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸およびトリエチレンテトラミンヘキサ酢酸)、多価カルボン酸[C4以上かつMn10,000以下、例えばマレイン酸、ポリアクリル酸(Mn1,000〜10,000)およびイソアミレン/マレイン酸共重合体(Mn1,000〜10,000)]、ヒドロキシカルボン酸(C3〜10、例えばクエン酸、グルコン酸、乳酸およびリンゴ酸)、縮合リン酸(トリポリリン酸、トリメタリン酸等)およびこれらの塩[アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン(C1〜20、例えばメチルアミン、エチルアミン、オクチルアミン等)塩およびアルカノールアミン(C2〜12、例えばモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン等)塩]等;
pH調整剤(B3)としては、苛性アルカリ(苛性ソーダ、苛性カリ等)、アミン(C1〜20、例えばメチルアミン、エチルアミン、モノ−、ジ−およびトリエタノールアミン)、無機酸(塩)〔無機酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、炭酸等)、およびこれらの金属[アルカリ金属、アルカリ土類金属等]塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、リン酸1ナトリウム等)およびアンモニウム塩(炭酸アンモン、硫酸アンモン等)等〕、有機酸(塩)〔有機酸[カルボン酸(C2〜15、例えば酢酸、クエン酸)、スルホン酸(C1〜15、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)およびフェノール]、およびこれらの金属(上記に同じ)塩(酢酸ソーダおよび乳酸ソーダ)およびアンモニウム塩(酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウム等)等〕等;
界面活性剤(B4)としては、米国特許第4331447号明細書記載の界面活性剤、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルおよびジオクチルスルホコハク酸ソーダ;ブロッキング防止剤(B5)としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル(Mn100〜3,000)、例えばポリオキシエチレン変性シリコーンおよびポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン変性シリコーン];
酸化防止剤(B6)としては、フェノール化合物[ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)および2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、含硫化合物〔チオ尿素、テトラメチルチウラムジサルファイド、ジメチルジチオカルバミン酸およびその塩[例えば金属(上記に同じ)塩およびアンモニウム塩等]、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびその塩(上記に同じ)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)およびジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP)等〕、含リン化合物[トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、トリフェニルホスファイト(TPP)およびトリイソデシルホスファイト(TDP)等]および含窒素化合物[アミン(オクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノールおよびN,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等)、尿素、グアニジンおよびグアニジンの無機酸(上記に同じ)塩]等;
紫外線吸収剤(B7)としては、ベンゾフェノン化合物(2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等)、サリチレート化合物(フェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等)、ベンゾトリアゾール化合物[(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]およびアクレート[エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシベンジル)アクリレート等]等;
防腐剤(B8)としては、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステルおよびソルビン酸等が挙げられる。
上記(B)は、重合前のモノマー水溶液中に予め添加しても、製造後のポリマー中に添加してもよい。(B)全体の使用量は、モノマーまたはポリマー重量に基づいて、通常30%以下、凝集性能の観点から好ましくは0〜10%である。
(B1)〜(B8)の各添加剤の使用量は、上記と同様の重量に基づいて、(B1)は通常5%以下、好ましくは1〜3%、(B2)は通常20%以下、好ましくは2〜10%、(B3)は通常10%以下、好ましくは1〜5%、(B4)および(B5)はそれぞれ通常5%以下、好ましくは1〜3%、(B6)、(B7)および(B8)はそれぞれ通常5%以下、好ましくは0.1〜2%である。
本発明の高分子凝集剤を下水汚泥、廃水等(以下、下水汚泥等と略記)に添加する方法としては、特に限定はなく、例えば特許第1311340号公報または特許第2038341号公報等に記載の方法が挙げられる。
本発明の高分子凝集剤の使用量は、下水汚泥等の種類、懸濁粒子の含有量、高分子凝集剤の分子量等により異なるが、特に限定はなく、下水汚泥等中の蒸発残留物重量(以下、TSと略記)に基づいて、通常0.01〜10%、凝集性能の観点から好ましい下限は0.1%、さらに好ましくは0.5%、とくに好ましくは1%、処理費用の観点から好ましい上限は5%、さらに好ましくは3%、とくに好ましくは2%である。
本発明の高分子凝集剤の使用方法としては、例えば下水汚泥の脱水用として使用する際には、十分な凝集性能の観点から水溶液にした後に下水汚泥等に添加するのが好ましいが、高分子凝集剤を固体の状態で直接下水汚泥等に添加することもできる。高分子凝集剤を水溶液として用いる場合の濃度は、取り扱い上および溶解速度の観点から好ましくは0.05〜1重量%である。
高分子凝集剤の溶解方法としては、特に限定されることはなく、例えば予め秤り取った水をジャーテスターなどの撹拌装置を用いて撹拌しながら所定量の高分子凝集剤を徐々に加え、数時間(約2〜4時間程度)かけて溶解させる方法等が採用できる。粉末状の高分子凝集剤を水に溶解させる際に、所定量の高分子凝集剤を一気に加える方法はままこを生じ、完全に水に溶解させることが困難となることから好ましくない。
本発明の高分子凝集剤を石油の3次回収用として使用する際には、通常水溶液として使用される。該ポリマー水溶液の濃度(重量%)は、通常0.001〜3%、増粘効果および送液可能な粘度の観点から好ましくは0.005〜1%、さらに好ましくは0.01〜0.5%である。
本発明の高分子凝集剤を下水汚泥等に適用する際、下水汚泥等が有機性の汚泥や嫌気性菌処理汚泥である場合は、汚泥粒子の荷電中和の観点から無機および/または有機凝結剤を併用するのが好ましい。
無機凝結剤としては、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸鉄、消石灰等;有機凝結剤としては、アニリン−ホルムアルデヒド重縮合物塩酸塩、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジ(メタ)アリルアンモニウムクロライド、(メタ)アリルアミンまたはジ(メタ)アリルアミン−マレイン酸共重合体、(メタ)アリルアミンまたはジ(メタ)アリルアミン−シトラコン酸共重合体、(メタ)アリルアミンまたはジ(メタ)アリルアミン−イタコン酸、(メタ)アリルアミンまたはジ(メタ)アリルアミン−フマル酸共重合体等が挙げられる。
無機および/または有機凝結剤を併用する場合は、本発明の高分子凝集剤に予めこれらを添加した混合物で下水汚泥等を処理するか、下水汚泥等に予め無機凝結剤および/または有機凝結剤を添加して一次凝集させた後、本発明の高分子凝集剤を添加して処理するかいずれでもよいが、フロックの強度の観点から好ましいのは後者の方法である。
無機凝結剤および/または有機凝結剤を併用する場合の使用量は、下水汚泥等の種類、懸濁粒子の大きさ、用いる凝結剤の種類などによって異なるが、特に限定はなく、下水汚
泥等中のTSに基づいて、無機凝結剤では通常20%以下、凝結性能の観点から好ましい下限は0.5%、さらに好ましくは1%、とくに好ましくは1.5%、凝結性能の観点から好ましい上限は10%、さらに好ましくは5%、とくに好ましくは3%であり、有機凝結剤では通常1%以下、凝結性能の観点から好ましい下限は0.01%、さらに好ましくは0.025%、とくに好ましくは0.05%、凝結性能の観点から好ましい上限は0.5%、さらに好ましくは0.2%、とくに好ましくは0.15%である。
本発明の高分子凝集剤の添加の際には、下水汚泥等のpHを予め調整しておいてもよい。pHの調整範囲は通常3〜8、加水分解防止の観点から好ましい下限は3.5、さらに好ましくは4、とくに好ましくは4.5、溶解性の観点から好ましい上限は7、さらに好ましくは6、とくに好ましくは5.5である。
pHの調整方法としては、特に限定されることはなく、無機酸(硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等)等の酸性物質や苛性アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等のアルカリ性物質を用いる方法が挙げられる。また、前記の無機または有機凝結剤を下水汚泥等に予め加えることで、上記pHに調整することもできる。
以下実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。
高分子凝集剤の固形分含量、重量平均粒径、数平均円形度、安息角および微粉量は、前記の方法によって測定し、その他の評価項目は下記のとおりである。
[粉体供給安定性]
粉体供給機[イートップ400VG、赤武エンジニアリング(株)製]を使用し、1分当たりの供給量を定量する。10回測定してその平均値を算出した。下記の式から粉体供給速度のバラツキ度合いを求め下記の基準で粉体供給安定性を評価した。

供給速度のバラツキ度合い(%)=(個々の測定値−平均値)×100/平均値

評価基準
○:±5%以内であり安定性に優れる
×:±10%以上となり安定供給不可
実施例1
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド塩の70%水溶液839部、アクリルアミド50%水溶液108部、メルカプト酢酸0.33部の混合液を室温(20〜25℃)で調製した。さらに硫酸を用いてモノマー水溶液のpH(20℃)をpHメーターで監視しながら3.0に調整した。得られた混合液を十分に窒素(純度99.999%以上。以下同じ。)で置換(溶存酸素濃度100ppb以下)した後、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩の10%水溶液1.94部を加えて均一溶液とし、モノマー水溶液を調製した。
別に還流脱水配管、滴下漏斗、窒素導入管および撹拌翼(マックスブレンド翼)を備えた反応槽にシクロヘキサン624部を仕込んだ後、これにアルケン(C30以上)と無水マレイン酸の共重合体[商品名「ダイヤカルナ30」、三菱化学(株)製。以下同じ。]6.24部を加えて、撹拌翼を340rpmの回転数にて撹拌しながら、反応槽内を窒素置換(気相酸素濃度10ppm以下)した後、57℃まで昇温した。57℃に到達後、反応槽内を減圧(60kPa)にし、予め滴下漏斗内に仕込んだ前述のモノマー水溶液を反応槽中に120分間かけて全量投入し、投入完了後120分間57℃で撹拌を継続し逆相懸濁重合させて水溶性共重合体(A−1)のスラリーを得た。
該スラリーを、減圧濾過機に供給し固液分離を行った。ラウリルアミン塩酸塩3.5部をアセトン8.1部に溶解し、ラウリルアミン塩酸塩の30%アセトン溶液を作成した。該溶液11.6部を固液分離後の固形分に添加しスパチュラにて撹拌、均一混合した後、
減圧乾燥機中(1.3kPa、40℃×2時間)で乾燥し、重量平均粒径310μmのビーズ状高分子凝集剤(X−1)695部を得た(固形分含量93.2%)。
実施例2
実施例1において、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド塩の70%水溶液839部の代わりにN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド塩の64%水溶液344部 、アクリルアミドの50%水溶液108部の代
わりに同603部、メルカプト酢酸0.33部の代わりに同2.60部、アルケン(C30以上)と無水マレイン酸の共重合体6.24部の代わりにアミノ変性シリコーン[商品名「SF−8417」、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製]18.7部、ラウリルアミン塩酸塩の30%アセトン溶液11.6部の代わりにオレイン酸のEO9モル付加物の20%アセトン溶液28部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、重量平均粒径350μmのビーズ状高分子凝集剤(X−2)556部(固形分含量93.8%)を得た。
実施例3
実施例1において、ラウリルアミン塩酸塩の30%アセトン溶液の代わりにポリエーテル変性シリコーン[商品名「KF−351」、信越化学(株)製]0.38部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、重量平均粒径310μmのビーズ状高分子凝集剤(X−3)689部(固形分含量94.0%)を得た。
実施例4
実施例1において、ラウリルアミン塩酸塩の30%アセトン溶液の代わりにポリカルボン酸塩型アニオン界面活性剤[商品名「キャリボンL−400」、三洋化成工業(株)製]43%水溶液4.5部を用いた以外は実施例1と同様にして、重量平均粒径320μmのビーズ状高分子凝集剤(X−4)691部(固形分含量93.8%)を得た。
実施例5
実施例1において、アルケン(C30以上)と無水マレイン酸の共重合体6.24部の代わりに同6.24部とPEG[商品名「PEG−1540」、三洋化成工業(株)製]70部を用い、固液分離後の固形分に対してラウリルアミン塩酸塩の30%アセトン溶液を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、重量平均粒径350μmのビーズ状高分子凝集剤(X−5)706部(固形分含量95.2%)を得た。
比較例1
実施例1において、ラウリルアミン塩酸塩の30%アセトン溶液を用いないこと以外は実施例1と同様にして、重量平均粒径310μmのビーズ状高分子凝集剤(比X−1)696部(固形分含量93.0%)を得た。
ビーズ状高分子凝集剤(X−1)〜(X−5)、(比X−1)について重量平均粒径、数平均円形度、安息角、微粉量および粉体供給安定性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004733169
表1から、実施例1〜5では、比較例1に比べて、微粉量が極めて少なく、粉体供給時の定量安定性に優れることがわかる。
本発明の高分子凝集剤は、従来にない優れた水溶解性や、粉体供給機等で安定かつ定量的に供給可能であることから、下水、し尿等の有機性汚泥、もしくは工場廃水等の無機性の廃水の脱水用高分子凝集剤等として幅広く好適に用いられる。
本発明の高分子凝集剤の用途としては、上述の高分子凝集剤としての用途の他に、掘削、泥水処理用凝集剤、製紙用薬剤(製紙工業用地合形成助剤、濾水歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、白水中の有価物回収剤等)、原油増産用添加剤(原油の二次、三
次回収用添加剤)、分散剤、スケール防止剤、凝結剤、脱色剤、増粘剤、帯電防止剤および繊維用処理剤等が挙げられる。これらのうち、好ましいのは高分子凝集剤、製紙用薬剤としての用途である。

Claims (4)

  1. 水溶性不飽和モノマー(a)を構成単位とするビーズ状の水溶性(共)重合体(A)からなり、重合後に固液分離されたビーズ状の固形分が、界面活性剤、(変性)シリコーンおよび親水性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種の表面被覆剤で表面コーティングされ、乾燥された該ビーズが、0.7〜1.0の数平均円形度、および円筒回転法による25〜40度の安息角を有するビーズ状高分子凝集剤。
  2. (A)が、逆相懸濁重合法により得られるビーズ状の水溶性(共)重合体である請求項1記載の高分子凝集剤。
  3. (A)の重量に基づく表面被覆剤の使用量が、0.05〜10%である請求項1または2記載の高分子凝集剤。
  4. 水溶性不飽和モノマー(a)を構成単位とするビーズ状の水溶性(共)重合体(A)からなる高分子凝集剤の製造方法において、重合後に固液分離されたビーズ状の固形分の表面を表面被覆剤でコーティングし、乾燥することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のビーズ状高分子凝集剤の製造方法。
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