JP4732429B2 - 調圧弁及び燃料供給装置 - Google Patents
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Description
図8に示すように、燃料供給装置は、エンジン(内燃機関)4ヘ燃料噴射する燃料噴射弁3に燃料を供給する燃料ポンプ1と、燃料ポンプ1と燃料噴射弁3との間を連絡する燃料供給通路LF1,LF1と、燃料供給通路LF2に設けられ、燃料噴射弁3へ供給される燃料を調圧する調圧弁(プレッシャレギュレータ)2とを備えている。調圧弁2は、背圧室2r、調圧室2c、および背圧室2rに加わる導入圧に応じて調圧室2cを調圧する弁部2Bを有している。背圧室2rには、燃料供給通路LF1、LF2とは異なる背圧形成通路LCが接続されており、電磁弁Sの開弁により燃料供給通路LF1、LF2の燃圧と燃料タンク圧との間の中間燃料圧(背圧)が導入される。これにより、調圧室2cに接続された燃料供給通路LF2の燃圧が背圧室2rに加わる導入圧P1に応じて比例的に変化する。
本発明が解決しようとする課題は、背圧の変動による調圧値の比例的変化を回避することにより調圧精度を安定化することのできる調圧弁及び燃料供給装置を提供することにある。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載された調圧弁によると、第1の可動隔壁に作用する弾性部材の弾性力に比べて、該可動隔壁に作用する調圧室の加圧流体圧が小さいときは、その弾性力によって第1の可動隔壁が前進されることにより弁部材が閉じられる。また、第1の可動隔壁に作用する弾性部材の弾性力に比べて、該可動隔壁に作用する調圧室の加圧流体圧が大きいときは、その加圧流体圧によって第1の可動隔壁が後退されることにより弁部材が開かれる。このため、調圧室内の加圧流体が排出口を介して排出されることにより加圧流体圧が低下される。これにともない、加圧流体圧が弾性部材の弾性力に比べて小さくなれば、その弾性力によって第1の可動隔壁が前進されて弁部材が閉じられる。このようにして、調圧室内の加圧流体圧が弾性部材の弾性力により決まる調圧値に調圧される。
また、第2の可動隔壁に作用する弾性部材の弾性反力に比べて、該可動隔壁に作用する背圧室の背圧が大きいときは、その背圧によって第2の可動隔壁が前進され、該可動隔壁が前進側のストッパ手段により前進位置で停止される。これにより、第1の可動隔壁に対する弾性部材のセット長が短くなり、その弾性力が大きい設定荷重となる。
したがって、背圧室の背圧に応じて第2の可動隔壁が後退位置と前進位置とのいずれかの位置に移動することで、弾性部材の弾性力の設定荷重が2段階に切換えられるとともに調圧値が2段階に切換えられる。これによって、背圧の変動による調圧値の比例的変化を回避することによって調圧精度を安定化することができる。
本発明の実施例1を説明する。なお、図1は調圧弁を低圧設定状態で示す断面図、図2は同じく高圧設定状態で示す断面図である。
図1に示すように、調圧弁10は、ハウジング12、ダイアフラム14、弁部材16、プランジャ18、バルブスプリング20等を主要構成部品として構成されている。以下、順に説明する。
すなわち、背圧室34に対して背圧流体が供給されない状態では、図1に示すように、プランジャ18に作用するバルブスプリング20の弾性反力に比べて、該プランジャ18に作用する背圧室34の背圧が小さい。したがって、バルブスプリング20の弾性反力によってプランジャ18が後退(上動)され、支持壁部18aと上側のストッパ部材38との当接により後退位置で停止される。これにより、ダイアフラム14に対するバルブスプリング20のセット長20Lが長くなり、ダイアフラム14に作用するバルブスプリング20の弾性力が小さい設定荷重(弾性荷重)となる。
本発明の実施例2を説明する。本実施例は、前記実施例1の調圧弁10を備えた燃料供給装置に係るものであるから、その調圧弁10についての説明は省略する。なお、図3は燃料供給装置を低圧設定状態で示す構成図、図4は同じく高圧設定状態で示す構成図である。
図3に示すように、燃料供給装置50は、燃料を貯蔵する燃料タンク52内に設けられている。この燃料タンク52は、例えば図示しない車両に搭載されている。また、燃料供給装置50は、前記実施例1に記載した調圧弁10の他、燃料ポンプ54、燃料フィルタ56、弁装置58等を主要構成部品として構成されている。以下、順に説明する。
また、前記燃料フィルタ56は、燃料ポンプ54から吐出された加圧燃料をろ過して燃料供給通路60へ流出する。燃料供給通路60は、燃料タンク52側からエンジン側へ配管されている。なお、図示しないが、燃料供給通路60の他端部(下流側端部)は、エンジンの各燃焼室に対応するインジェクタ(燃料噴射弁)を備えるデリバリパイプに接続されている。したがって、燃料ポンプ54から吐出された加圧燃料は、燃料フィルタ56、燃料供給通路60を介して、エンジン側のデリバリパイプに供給された後、各インジェクタによりエンジンの各燃焼室内に噴射される。なお、加圧燃料は、本明細書でいう「加圧流体」に相当する。
エンジンが始動を開始すると、コントロールユニット64から出力される制御信号によりオンされる弁装置58により、制御燃料通路66が制御燃料導入通路68を介して調圧弁10の背圧室34と連通される(図4参照)。これにより、調圧弁10の背圧室34に作用する加圧燃料による背圧によってプランジャ18が前進位置(下動位置)に移動するため、前に述べたように、調圧弁10の調圧値が高圧値とされる。したがって、調圧室32内の燃圧すなわちエンジンへ供給される加圧燃料圧が、定常圧値よりも高い高圧値、例えば約600kPa程度に調圧される。これにより、インジェクタの噴射燃料の微粒化を促進し、エンジンの始動性が向上され、又、エミッションが低減される。なお、弁装置58のオン状態は、エンジンの始動開始(イグニッションスイッチ又はスタートスイッチ等の始動スイッチのオンから始動完了後の所定時間経過後までのエンジン始動時の間において継続される。
また、調圧弁10による低圧時において、加圧燃料導入通路62から分岐された制御燃料通路66を通じて大気すなわち燃料タンク52内へ戻される燃料(無駄な燃料損失)が生じないので、加圧燃料をエンジンへ効率良く供給することができる。ひいては、燃料ポンプ54の消費電力を低減することができる。
本発明の実施例3を説明する。本実施例は、前記実施例2に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図5は燃料供給装置を低圧設定状態で示す構成図、図6は同じく高圧設定状態で示す構成図である。
図5に示すように、本実施例は、前記実施例2(図3及び図4参照)の燃料供給装置50における弁装置58を電磁式遮断弁からなる弁装置70に変更したものである。
本発明の実施例4を説明する。本実施例は、前記実施例1の一部を変更したものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明を省略する。なお、図7は調圧弁10を示す断面図である。
図7に示すように、本実施例は、前記実施例1(図1及び図2参照)の調圧弁10におけるプランジャ18を、ダイアフラム付きプランジャ76に変更したものである。ダイアフラム付きプランジャ76は、前記実施例1におけるプランジャ18の区画壁部18bの外周部を含む支持壁部18aを切除した嵌合筒部18cを主体とするプランジャ本体77と、その残りの区画壁部(符号、18dを付す)の外周部にその区画壁部18dを取り囲む環状のダイアフラム78を結合したものである。ダイアフラム78は、ゴム状弾性材からなり、上下方向(板厚方向)に弾性変形可能な可撓性を有している。ダイアフラム付きプランジャ76は、そのダイアフラム78の外周部がハウジング12の上段周壁部12dの高さ方向の中央部に固定されている。したがって、プランジャ本体77は、前記ダイアフラム78の弾性変形にともない上下方向に移動する。なお、ダイアフラム付きプランジャ76は、本明細書でいう「第2の可動隔壁」に相当する。
すなわち、上側のストッパ部材82は、環状の平板材からなり、前記ガイド筒80の下端面に設けられている。プランジャ本体77がダイアフラム78の弾性変形を介して前進位置(下動位置)から後退(上動)した際に、上側のストッパ部材82に前記区画壁部18dの上端面が当接することによって、該プランジャ本体77が後退位置で停止される(図7中、実線77参照)。なお、区画壁部18dと上側のストッパ部材82とは、本明細書でいう「後退側のストッパ手段」を構成している。
12 ハウジング
14 ダイアフラム(第1の可動隔壁)
16 弁部材
18 プランジャ(第2の可動隔壁)
18a 支持壁部
20 バルブスプリング(弾性部材)
29 排出口
32 調圧室
34 背圧室
36 開放室
38 上側のストッパ部材
40 下側のストッパ部材
50 燃料供給装置
52 燃料タンク
54 燃料ポンプ
58 弁装置
70 弁装置
76 ダイアフラム付きプランジャ(第2の可動隔壁)
82 上側のストッパ部材
84 下側のストッパ部材
Claims (3)
- ハウジング内を、加圧流体が導入されかつ余剰の加圧流体の排出口を有する調圧室と大気圧に開放される開放室とに区画する第1の可動隔壁、及び、前記調圧室と背圧流体が導入される背圧室との間に前記開放室を形成するように背圧室と開放室とを区画する第2の可動隔壁と、
前記第1の可動隔壁に設けられかつ前記排出口を開閉する弁部材と、
前記第1の可動隔壁と前記第2の可動隔壁との間に介在されて前記弁部材を閉方向に付勢する弾性部材と、
前記第2の可動隔壁を前記第1の可動隔壁に対して離れる方向への後退位置で停止させる後退側のストッパ手段と、
前記第2の可動隔壁を前記第1の可動隔壁に対して近づく方向への前進位置で停止させる前進側のストッパ手段と
を備え、
前記背圧室には、前記第2の可動隔壁を前進方向へ移動させるように大気圧以上の圧力を有する背圧流体を導入し、
前記背圧室の背圧に応じて、前記第2の可動隔壁が前進位置又は後退位置に移動することによって前記弾性部材の設定荷重を2段階に切換える構成とした
ことを特徴とする調圧弁。 - 請求項1に記載の調圧弁であって、
前記第2の可動隔壁における背圧の受圧面積が、前記第1の可動隔壁における加圧流体圧の受圧面積よりも大きいことを特徴とする調圧弁。 - 燃料タンク内の燃料をエンジンへ供給する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプから吐出された吐出燃料を前記背圧室に導入可能とし、該燃料ポンプからエンジンへ供給される加圧燃料の燃圧を調圧する請求項1又は2に記載の調圧弁と、
前記調圧弁の背圧室内への前記吐出燃料の導入を制御する弁装置と
を備えたことを特徴とする燃料供給装置。
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