JP4730903B2 - セリウム系研摩材用原料の回収方法 - Google Patents

セリウム系研摩材用原料の回収方法 Download PDF

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Description

本願発明は、希土類元素を含む回収対象物から、希土類元素を回収するための方法に関する。
希土類元素は、磁石、セラミックスコンデンサ、水素吸蔵合金、ガラス、触媒、紫外線吸収剤、研摩材等の機能性材料として、非常に広範囲な分野において利用されている。この希土類元素の供給については、世界各地に埋蔵された希土類鉱物が原料となっている。
日本国においては、上記した数多くの用途により、希土類元素の消費量が増大している一方、国内には原料の希土類鉱物が埋蔵されておらず、供給は国外からの輸入に頼るものである。また、希土類元素を含む材料の多くは、使用後に産業廃棄物として取り扱われる場合もあり、廃棄物処理の問題がある。例えば研摩廃棄物の場合は、ケーキ状で多量の水分を含むために、その埋め立て処理には困難性を有する。以上の理由から、希土類元素には、資源としての有効活用を図ると共に、使用後における廃棄物の減量化を図る必要性が生じている。
そして、上記問題解決のため、希土類元素を回収して再利用する方法としては、従来行われている希土類元素の製造方法の利用が考えられる。希土類元素の製造方法としては、希土類鉱石を選鉱した精鉱を用いて、アルカリ分解等により不純物を除去し、さらにイオン交換又は溶媒抽出などにより各希土類元素へと分離精製する方法等が知られている。また、希土類元素を含む使用済み研摩材を再利用し、研摩材用原料を回収する方法として、以下の特許文献が開示されている。
例えば、特許文献1では、希土類元素を含む研摩廃棄物を用いて、アルカリを添加してガラス粉や研摩布等を溶解させ、残った固形分から研摩材を分離する方法が開示されている。特許文献2には、研摩材廃棄物を鉱酸で溶解させ、シュウ酸を加えて希土類元素を析出させた後、さらに水酸化物に転化させて回収する方法が示されている。また、特許文献3の回収方法では、希土類元素を含有する研摩廃液と酸とを混合及び加熱して希土類元素を溶解させて、珪酸ゲルや研摩パッド屑等の未溶解物を分離除去した後、溶解した希土類元素に炭酸又はシュウ酸を加えて回収を行っている。さらに、特許文献4はクロムエッチング廃液中のセリウムとクロムから、水酸化物としてクロムを沈殿除去する、セリウムの回収方法が記載されている。
特開平11−90825号公報 特開2000−87154号公報 特開2004−175652号公報 特開平11−236632号公報
使用済みの希土類元素を回収する場合、希土類元素の製造に用いられている方法は、大規模な精製設備においては有効であるが、回収対象物から簡易的に希土類元素を回収する方法としては不向きである。また、上記した特許文献1〜3の回収方法では、ガラス片や研摩屑などの異物質は取り除けるが、希土類元素以外の元素については取り除くことが出来ず、希土類元素と共に沈殿し、混入したまま回収されてしまう。また、特許文献4のセリウムの回収方法は、クロムの除去に特化した回収方法であり、クロム以外にも希土類元素以外の元素が含有されている場合には、さらなる改善の余地がある。特に、回収した希土類元素を研摩材として用いる場合には、特許文献5で開示されているように、鉄等の元素が含有したままであると、研摩傷の発生要因となってしまう。
国際公開2002/028979号公報
そこで、本願発明は、希土類元素を含む回収対象物から、異物質のみならず希土類元素以外の元素も分離除去して、高純度な希土類元素を回収する方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明者等は、希土類元素を含む回収対象物から、希土類元素以外の元素を分離除去する回収方法について鋭意検討を行った。その結果、回収対象物を溶解後、希土類元素以外の元素が水酸化物を形成するpHに調整することで、希土類元素と分離除去できることを見出し、本願発明に想到した。
すなわち、本願発明は、希土類元素を含む回収対象物を鉱酸で溶解させて溶液とし、希土類元素以外の元素を含む水酸化物の沈殿が形成するようにpHを調整し、この沈殿物を分離除去した後、該溶液に溶解している希土類元素を希土類化合物として回収する方法である。本願発明において、希土類元素とは、イットリウムY及び原子番号が57〜71であるランタンLaからルテチウムLuまでのランタノイドのうち、少なくともいずれか一つを示すものである。
ここで、回収対象物を溶解させる鉱酸は、塩酸、硫酸、硝酸の少なくともいずれか一つであることが好ましく、混合して使用することができる。しかし、フッ化水素酸のようなものは、希土類化合物と結合し、溶解性の小さい化合物として沈殿しやすいため、あまり望ましくない。また、鉱酸を加える前に、あらかじめ還元作用を有する物質を加えて、回収対象物の溶解度を向上させることも望ましい。例えば希土類元素としてセリウムCeを含んでいる場合、Ceは溶解性の乏しい4価の状態であることが多いため、過酸化水素等の還元物質を加え、溶解性の高い3価の状態にしてから、鉱酸で溶解させることができる。
尚、回収対象物に異物質が存在している場合には、鉱酸による溶解に要する労力等を低減するため、あらかじめ濾過等の方法により除去することができる。例えば、回収対象物がガラス研摩後の研摩材を含むスラリーの場合、主成分としての水、被研摩材としてのガラス成分、研摩パッド等が含まれるので、あらかじめ、沈降、遠心分離、濾過、篩等の操作を行うことが好ましい。また、アルカリ等を加え、ガラス成分等を溶解除去しておくことも可能である。
また、希土類元素以外の元素が水酸化物を形成するよう、pH調整の際に使用するアルカリとしては、アンモニア、尿素、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等を用いることが好ましい。水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ金属等を用いることもできるが、回収後に加熱処理を必要とする用途においては、アルカリ金属やアルカリ土類金属が含まれると、希土類元素の粒子が異常成長する場合があるからである。例えば、回収した希土類元素を原料としてセリウム系研摩材を製造する場合、アルカリ金属やアルカリ土類金属が含まれると、焙焼工程において粒子の異常成長が起こり、研摩材として用いた場合に、研摩傷の発生原因となってしまう。
上記したpH調整によって、希土類元素以外の元素が水酸化物を形成して生じた沈殿は、濾過、遠心分離等によって、希土類元素が溶解している溶液から分離除去することが好ましい。その後、溶液に溶解している希土類元素は、沈殿剤を加えるか、水溶性の塩化希土として回収することができる。沈殿剤を添加する場合には、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、シュウ酸等を用いることが好ましい。水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属等を用いることもできるが、回収後に加熱処理を行う場合は、上記と同様の理由から、希土類元素の粒子が異常成長する場合があるからである。
そして、回収対象物を鉱酸で溶解させて溶液とした際、溶液のpHは0〜7に調整することが好ましい。この範囲においては、希土類元素が溶解したまま、希土類元素以外の元素を水酸化物として沈殿させることができる。pHが7より大きい場合、希土類元素自体も水酸化物を形成する傾向となり、最終的な希土類元素の回収率が低下する傾向となる。また、希土類元素以外の元素を効果的に沈殿させるためには、pH調整の範囲は1〜6とすることがより好ましく、pH2〜6とすることが更に好ましい。
また、本発明者らの検討によると、希土類元素以外の元素は、鉄Fe、チタンTi、ジルコニウムZrの少なくともいずれか一つの金属成分Mを含むことが好ましい。水酸化物の溶解度積Ksp(化学便覧基礎編、改訂3版、昭和59年6月25日発行、(社)日本化学会編、II−p.177〜182の記載を参照した)によると、希土類元素の水酸化物は、La(OH)sp=5×10−20、Ce(OH)sp=1×10−23、Lu(OH)sp=1×10−27等、であるのに対して、Fe、Ti、Zrの水酸化物は、それぞれFe(OH)sp=3×10−38、Ti(OH)sp=8×10−54、Zr(OH)sp=8×10−52であり、希土類元素とその他の元素とは、溶解度積の差が大きい。従って、pH調整の方法によって、希土類元素は溶解したままの状態で、Fe、Ti、Zrを水酸化物の沈殿として、分離除去することができる。尚、Feは水酸化物として沈殿すると、回収対象物に含まれている、クロム、マンガン等の成分も吸着する作用があり、回収された希土類元素の純度を向上させる効果を有する。
尚、前述したように、希土類元素以外の元素の水酸化物を形成させるpHは1〜6に調整することがより好ましいが、希土類元素以外の元素としてFeを含む場合は、pH調整をpH2〜6にすることがより好ましく、pH3〜6とすることが更に好ましい。これは、前述した溶解度積において、TiやZrと比べ、Feの溶解度積がやや大きいため、好ましいpH調整範囲に若干の違いが生じるものである。
また、回収対象物によっては、鉱酸で溶解した際、希土類元素以外の元素がFe(OH)やTi(OH)として存在することがある。この場合には、あらかじめ酸化剤を用いて、Fe(OH)やTi(OH)となるよう、調整することが可能である。この時、酸化剤を添加する量は、希土類元素が酸化されすぎて、Ce(OH)等に変化しない程度とするのが好ましい。
そして、回収された希土類化合物において、全希土類酸化物(TREO)に換算した重量に対する、上記した金属成分Mの含有量M/TREOが、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。回収した希土類元素を資源として再利用する際に、希土類元素の純度は高いことが望ましいからである。また、金属成分Mに2種類以上の元素が含まれる場合には、それぞれの元素においてM/TREOが0.5質量%以下となるように調整することが好ましい。
上記した本願発明は、回収された希土類化合物中に含まれる希土類元素の主成分がセリウムである場合、好適な回収方法である。セリウムは、ガラス用研摩材や触媒に含まれる酸化セリウムとして使用されており、回収して再利用することが望ましいからである。また、セリウムは希土類元素の中でも安価な成分であるため、簡易的で、効率よく回収可能となる技術が求められている成分でもある。そして、セリウムの水酸化物は、上記した溶解度積が希土類元素の中でも大きく、希土類元素以外の元素と容易に分離が可能である。
ところで、希土類化合物の用途の一つであるセリウム系研摩材は、その製造工程や研摩工程において鉄等の金属元素が含有される場合があり、いわゆる使用済みのセリウム系研摩材を含む回収対象物から希土類元素を回収する場合においては、上述した本願発明を適用することが望ましい。具体的には、イットリウムY及び原子番号が57〜71であるランタンLaからルテチウムLuまでのランタノイドのうち、少なくともいずれか一つの希土類元素を含む回収対象物から希土類元素を回収する方法において、回収対象物にセリウム系研摩材を含むものであり、該回収対象物を鉱酸で溶解させて溶液とした後、鉄Fe、チタンTi、ジルコニウムZrの少なくともいずれか一つの金属成分Mを水酸化物として沈殿させるように、pHを0〜7に調整し、該沈殿物を分離除去した後、溶液に溶解している希土類元素を希土類化合物として回収する方法である。本願発明によれば、希土類元素と鉄Fe、チタンTi、ジルコニウムZrとの分離が容易に行えるので、回収対象物にセリウム系研摩材が含まれる場合に、好適な希土類元素の回収方法となる。
また、本願発明において、回収対象物にセリウム系研摩材を含む場合、上記の回収方法によって回収された希土類化合物における、金属成分Mの含有量M/TREOは0.001〜0.5質量%であることが好ましい。希土類化合物に含まれる金属成分は、回収した希土類化合物から研摩材を製造する場合、焙焼工程において焼結助剤として作用し、低温での焙焼を可能とする。このため、M/TREOが0.5質量%を超えると、焙焼工程において焼結が過剰に進み、希土類元素の粒子の異常成長が促進され、研摩傷を生じやすい研摩材となってしまうことがある。また、金属成分自身の酸化物が研摩材中に独立して存在し、研摩傷の原因となる場合もある。一方、M/TREOが0.001質量%より少ない場合、金属成分の焼結助剤としての効果が期待できず、研摩速度が得られにくい研摩材となってしまうことがある。そして、研摩速度を得るためには焙焼温度を高くする必要が生じる結果、得られる研摩材には粗大粒子が含まれやすくなる傾向となる。よって、セリウム系研摩材を製造する際、金属成分の含有量を調整して、焙焼条件の選択範囲を広げることで、目的によって研摩材粒子の大きさを調整することが可能となる。尚、焼結助剤として作用する金属成分としては、Fe、Ti、Zrの中でも、Feが特に好適なものである。
ところで、希土類元素の原料である希土類鉱石の中には、フッ素が含まれているものがあり、使用後のセリウム系研摩材についても、添加剤としてフッ素を1質量%以上含有していることがある。このため、回収対象物には、あらかじめフッ素が含有されている場合があり、鉱酸で溶解させた際、溶解性の小さいフッ化希土化合物の沈殿が形成されやすい。ここで、フッ素は環境汚染の原因としての問題を有しているため、回収した希土類元素において、含有量を低減させることが望ましい。また、回収した希土類元素を研摩材に用いる場合には、フッ素の含有量が多すぎると研摩傷の原因となる場合もある。
よって、回収対象物がフッ素成分を含む場合には、鉱酸で溶解した際に沈殿する不溶解性のフッ化希土化合物を、分離して回収することが好ましい。例えば、フッ素及びランタンを含有する回収対象物は、鉱酸で溶解した場合に、溶解性の小さいフッ化ランタン等の沈殿を形成するため、容易にフッ素成分を分離することが可能である。
そして、本発明者らは、以上の方法によって回収された希土類化合物のうち、主成分がCeである希土類化合物、セリウム系研摩材を含む回収対象物から回収された希土類化合物、又はフッ素成分を含む回収対象物から回収されたフッ化希土化合物のうち、少なくともいずれか一つを含む化合物が、セリウム系研摩材用原料として好ましいことを見出した。
上述したように、本願発明の回収方法によって得られた希土類化合物は、Feなど希土類元素以外の元素について、焼結助剤として機能する好ましい範囲の含有量に調整可能なため、セリウム系研摩材用原料として好適である。原料として、フッ化希土化合物を添加しない場合には、フッ素を含有しない高純度な研摩材を製造することができる。逆に、高い研摩速度を必要とする研摩材の製造においては、フッ化希土化合物を必要量添加することにより、研摩速度を調整したセリウム系研摩材とすることもでき、フッ素資源の有効活用に寄与できる。従って、本願発明の回収方法は、上記のセリウム系研摩材原料を用いて製造されたセリウム系研摩材、及び、その製造方法に好適なものである。
以上で説明したように、本願発明の方法を用いれば、希土類元素を含む回収対象物より、希土類元素以外の元素を水酸化物として沈殿させて分離除去し、鉱酸での溶解時にフッ化希土化合物としてフッ素も低減した、高純度の希土類元素を回収することができる。また、溶媒抽出等の煩雑な精製工程を必要としないため、簡易な工程のみで希土類元素を得ることが可能である。特に、回収した希土類元素は、適度な鉄及びフッ素含有量を調整できるため、ガラス用研摩材として使用されたセリウム系研摩材から、研摩材用原料を回収する方法として好適である。
以下、本願発明の好適な実施形態について説明する。
第1実施形態:本実施形態では、ガラス基板を研摩した後の研摩スラリーから、希土類元素を回収する方法について説明する。
回収対象物として、ガラス基板の研摩に使用した研摩スラリーを用いた。研摩スラリーの研摩材濃度は10質量%であって、希土類元素及び希土類以外の元素の含有量は、La/TREO=25質量%、CeO/TREO=60質量%、F/TREO=6質量%、Fe/TREO=0.6質量%であった。この研摩材スラリーを沈降濃縮し、泥状物質とした後、鉱酸として塩酸を加え、60℃において3時間撹拌を行って溶解させた。溶解後、フッ素を含む不溶解物を濾別除去した。この不溶解物は、F/TREO=25質量%、La/TREO=30質量%、CeO/TREO=55質量%であった。尚、各元素の定量分析については、以下のように測定を行った。
定量分析方法:TREO含有量については、試料を過塩素酸と過酸化水素の混合液で分解し、シュウ酸を添加後、pHを1.5に調整して沈殿させて得られた沈殿を濾別し、1000℃で焙焼を行って、TREO酸化物として重量測定により測定することができる。また、各希土類元素の含有量については、試料をアルカリ融解した後、ICPにて分析を行い、必要に応じてそれぞれの元素を酸化物重量に換算して求めることができる。尚、フッ素成分の定量方法としては、フッ素含有量が0.1重量%を超える試料は、アルカリ溶融して温水抽出し、フッ素イオン電極法により測定することができ、フッ素含有量が0.1重量%未満の場合には、熱加水分解後、ランタンーアリザリンコンプレクソン吸光光度法(JIS H1698)にて測定が可能である。
フッ素を含む不溶解物を除去した溶液に、pH=1となるようにアンモニアを添加し、溶液中に生成した沈殿を濾別除去した。この沈殿を分析したところ、Feを主成分とする水酸化物であった。次に、水酸化物の沈殿を除去した溶液に、炭酸水素アンモニウムを加え、溶液中の希土類成分を炭酸希土として回収した。以上の回収方法を、実施例1とする。尚、比較のため、実施例2において、アンモニアを添加した後で溶液中に生成した沈殿を濾別除去せず、炭酸水素アンモニウムを加え、溶液中の希土類成分を炭酸希土として回収した(比較例1)。
アンモニア添加時に、pHを2、6、7、8に調整した以外は、実施例1と同様の方法を用いて、希土類元素の回収を行った。それぞれ、実施例2、3、4、5とし、回収した炭酸希土に含まれる、希土類化合物等の含有量を以下の表1に示す。
Figure 0004730903
表1より、フッ素の含有量F/TREOについては、研摩スラリー中の含有量と比較して、大幅に低下させることができた。実施例5については、TREO回収率が低かったことから、水酸化物を沈殿させるpHは7以下が好ましいことが認められた。また、実施例1については、Fe/TREOがやや高かったため、pHは2以上がより好ましいといえる。一方、比較例1は、アンモニアを添加してpH2に調整したときに生じた沈殿を濾別除去しなかったため、Fe/TREOが低下しなかった。
次に、回収した炭酸希土を原料として研摩材の製造を行い、研摩材性能として研摩値、研摩傷の評価を行った。
研摩材の製造方法:各実施例において回収された、それぞれの炭酸希土について、ジルコニアを粉砕媒体としてビーズミルで湿式粉砕し、スラリーをろ過、乾燥後、1000℃で4時間焼成した。焼成品をアトマイザーにて乾式解砕し、分級点を5μmに設定した風力分級機にて分級を行い、粗粒子を除去して粉末を得た。得られた粉末を10質量%のスラリー濃度に調整し、以下の研摩試験に用いた。
研摩試験:研摩機には、オスカー型研摩試験機(台東精機株式会社製、HSP−2I型)を用いた。この研摩試験機は、スラリー状の研摩材を研摩対象面に供給しながら、研摩対象面を研摩パッドで研摩するものである。分散媒は水のみとし、研摩材スラリーの砥粒濃度は、10wt%とした。そして、本研摩試験では、スラリー状の研摩材を5L/分の割合で供給することとし、研摩材を循環使用した。尚、研摩対象物は65mmφの平面パネル用ガラスとした。また、研摩パッドはポリウレタン製のものを使用した。研摩面に対する研摩パッドの圧力は78.4kPa(800g/cm)とし、研摩試験機の回転速度は600min−1(rpm)に設定し、10分間の研摩処理を行った。
粒径及び比表面積:尚、研摩材の粒径については、JIS R5201−1997「セメントの物理試験方法」の「7.1 比表面積試験」に記載された方法(ブレーン法)に準じて比表面積値を測定し、測定された値に基づいてブレーン径を算定した。例えば、比表面積がS(m/g)、セリウム系研摩材の密度がp(g/cm)の場合、ブレーン径d(μm)=6/(S×p)として算出した。また、比表面積は、JIS R 1626−1996(ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法)の「6.2 流動法の(3.5)一点法」に準拠して、セリウム系研摩材の比表面積の測定を行った。その際、キャリアガスであるヘリウムと、吸着質ガスである窒素の混合ガスを使用した。
研摩材性能:研摩値は、研摩前後のガラス重量を測定し、研摩によるガラス重量の減少率に基づき評価した。尚、この研摩値は実施例1を基準(100)とし、その他の実施例については、相対評価値を算定した。次に、研摩傷は、30万ルクスのハロゲンランプを光源として用いる反射法で、研摩後のガラス表面を観察し、大きな傷及び微細な傷の数を点数化し、100点を満点として減点評価する方式で評価を行った。以下の表2に、研摩材性能の、評価結果を示す。
Figure 0004730903
以上の結果より、本願発明の方法により回収された希土類元素を用いると、粒径及び比表面積が制御された研摩材を得ることができた。しかし、実施例1については研摩傷が多いため、高精度な研摩材用途以外での使用が適当である。また、実施例5においては、研摩傷は目立たないものの、やや研摩値が小さいことが認められた。一方、比較例1は、多数の研摩傷が存在し、研摩傷の評価点も−65点と悪いものであった。従って、アンモニア添加時の沈殿を分離しなかった場合には、Fe/TREOが高くなり、傷の生じやすい研摩材となった。
第2実施形態:本実施形態では、Zrと希土類元素とを含有する硝酸酸性溶液から、希土類元素を回収する方法について説明する。
回収対象物である硝酸酸性溶液に含まれる化合物の割合は、CeO/TREO=60重量%、La/TREO=21重量%、Zr/TREO=6.7重量%であった。希土類元素の回収方法については、Zrを水酸化物として沈殿させるpHを0、1、7、8として、それぞれを実施例6、7、8、9とした以外は、実施例1と同様の方法により行った。また、比較例2として、アンモニアを添加時に生成した沈殿を濾別除去せず、炭酸水素アンモニウムを加えて、溶液中の希土類成分を炭酸希土として回収を行った。以下の表3に、回収した炭酸希土に含まれる、希土類化合物及びZrの含有量を示す。
Figure 0004730903
表3より、希土類元素以外の元素として、Zrが含まれる場合においても、硝酸酸性溶液に含まれる希土類元素のほとんどを回収できることが確認された。特に、pH1以上でZrの水酸化物を形成させた場合は、Zrの含有量が少なく、純度の高い希土類元素を回収できることが示された。TREO回収率を考慮すると、pHは7以下が、好ましいことが分かった。一方、比較例2は、アンモニアを添加してpH1に調整したときに生じた沈殿を濾別除去しなかったため、Zr/TREOが低下しなかった。
次に、第一実施形態と同様の方法を用いて、回収した炭酸希土を原料として研摩材の製造を行い、研摩材性能として研摩値、研摩傷の評価を行った。結果を、以下の表4に示す。
Figure 0004730903
以上の結果より、実施例6〜9のすべてにおいて、ほぼ一定した粒径及び比表面積の研摩材を得ることが出来た。しかしながら、実施例6においては研摩値が大変優れているものの、研摩後のガラス全面に多数の目立つ傷が観察され、研摩傷の評価点も−200点未満であり、極めて悪いものであった。また、実施例9は、やや研摩値が低いものであった。一方、比較例2においても、ガラス全面に多数の目立つ傷が観察された。従って、Zr/TREOが高い場合、研摩傷が発生しやすい研摩材となることが分かった。

Claims (2)

  1. イットリウムY及び原子番号が57〜71であるランタンLaからルテチウムLuまでのランタノイドのうち、少なくともいずれか一つの希土類元素を含む回収対象物から、セリウム系研摩材用原料を回収する方法において、
    回収対象物は、使用済みのセリウム系研摩材を含むものであり、
    該回収対象物を鉱酸で溶解させて溶液とした後、
    該溶液にアルカリを添加して、pHをpH2〜7に調整して、鉄Fe、チタンTi、ジルコニウムZrの少なくともいずれか一つの金属成分Mを水酸化物として沈殿させて、
    該沈殿物を分離除去した後、溶液に溶解している希土類元素をセリウム系研摩材用原料として回収し、
    回収されたセリウム系研摩材用原料は、全希土類酸化物(TREO)に換算した重量に対する金属成分Mの含有量M/TREOが0.001〜0.5質量%に調整されていることを特徴とするセリウム系研摩材用原料の回収方法。
  2. 請求項1に記載のセリウム系研摩材用原料の回収方法において、回収対象物にフッ素成分を含み、回収対象物を鉱酸で溶解した後に不溶解性のフッ化希土化合物を分離回収する、セリウム系研摩材用原料の回収方法。
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