JP4730678B2 - 光起電力素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光起電力素子の製造方法に関し、さらに詳しくは太陽電池などを構成する半導体素子として好適に用いることのできる光起電力素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
気相法を用いた薄膜太陽電池は低コスト太陽電池として期待されさまざまな研究がなされている。そして、この薄膜太陽電池には、透明基板上に透明導電膜と、第1の導電型半導体層と、真性層と、第2の導電型半導体層とが順次積層されてなる光起電力素子が用いられていた。
【0003】
図1は、このような光起電力素子の従来例を示す図である。
図1に示す光起電力素子10は、透明基板1上に透明導電膜2、P型半導体層3、真性層4、N型半導体層5、及び背面電極6が順次積層されることによって構成されている。
【0004】
透明基板1は、通常、ガラス、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルムが使用されている。
透明導電膜2は、酸化スズ、ITO、ZnOなどからなり、スパッタリングや焼成などによって厚さ約1μm以下に形成する。
P型半導体層3、真性層4、及びN型半導体層5は、プラズマCVD法などにより、厚さ約1μm以下に形成する。これら半導体層はシリコン半導体材料を母材とし、P型半導体層においては、ボロンなどがドーパントとして用いられ、N型半導体層においては、リンなどがドーパントとして用いられている。
背面電極6は、アルミニウム、銀、チタンなどの金属からスパッタリング法及び蒸着法などによって厚さ約100μm以下に形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図1に示す光起電力素子10は、透明導電膜上に光起電力素子を形成してなるものであり、金属電極上に光起電力素子を形成してなる光起電力素子と比較して、開放端電圧(VOC)が低くなってしまう場合があった。
【0006】
本発明は、基板と、透明導電膜と、第1の導電型半導体と、真性層と、第1の導電型と異なる導電型の第2の導電型半導体とを具える光起電力素子の製造方法において、前記開放端電圧の低下を抑制することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、基板上に透明導電膜を形成する工程と、前記透明導電膜上にアモルファス状態の中間層を形成する工程と、前記中間層の表面を水素含有還元性雰囲気中においてプラズマ処理する工程と、前記中間層上に微結晶状態である第1の導電型半導体層、真性層、及び前記第1の導電型半導体層と導電型の異なる第2の導電型半導体層とを順次形成する工程と、を含むことを特徴とする、光起電力素子の製造方法に関する。
【0008】
本発明者らは、図1に示すように、透明導電膜上に半導体層を形成してなる光起電力素子からなる太陽電池の開放端電圧が、金属電極上に半導体層を形成してなる光起電力素子からなる太陽電池の開放端電圧と比較して低くなる原因を探るべく鋭意検討を行った。
その結果、本発明者らは以下の事実を推定するに至った。
【0009】
Spearらによって半ば偶然に水素を含むアモルファスシリコンがリンやボロンの微量添加による構造敏感性を持つことが発見され、種々の特性の半導体が得られることが見出された。それ以来、シリコン半導体を製造するに際しては、シランなどの原料ガスと水素ガスとを用いたプラズマCVDが主として用いられるようになってきている。さらには、成膜雰囲気中にアモルファス薄膜を形成するために必要とされるよりも多量の水素を供給することによって微結晶化したシリコン半導体を形成することも行われている。
【0010】
このような水素ガスを用いた半導体形成においては、比較的多量の水素を供給し、この水素をプラズマ化してなる水素プラズマによりシラン(SiH 4 )などの原料ガスを分解し、堆積していく必要がある。このため、水素プラズマ中の水素ラジカルが主に酸化物からなる透明導電膜が還元され、これによって、酸化物中のインジウムや亜鉛などの金属元素が金属状態で析出する。そして、この析出した金属元素が透明導電膜とP型半導体層との間に介在することによって、これらの界面状態が劣化し、上記開放端電圧に悪影響を及ぼしているものと推定した。
【0011】
この推定原因に基づき、本発明者らは、透明導電膜として耐プラズマ性の高い酸化亜鉛を主成分とする酸化物を用いたり、比抵抗の小さい透明導電膜を耐プラズマ性の高い透明導電膜で覆うという手段を試みた。例えば、酸化亜鉛は酸化スズやITOに比べ、電導度は低いが比較的還元雰囲気の影響を受け難く、透明導電膜の還元防止策として酸化スズやITOの成膜後、酸化亜鉛を薄く成膜し、その後半導体を成膜するという手段を試みた。
【0012】
しかし、このような方法では透明導電膜の還元を十分に押さえることはできなかった。そして、特に、高温でのスパッタリングは装置が高価になるため酸化亜鉛のスパッタリングは常温で行われ、それゆえ酸化亜鉛はアモルファス状態であることから、結晶化した酸化亜鉛より、さらに還元に対して弱くなっていた。
さらに、基板としては可撓性フィルムが量産性に優れているが、高分子フィルムは一般的に加熱に弱く、透光性導電膜は低温で成膜する必要がある。この点からも、透明導電膜は通常アモルファス状態として形成される。
【0013】
さらに、本発明者らは、透明導電膜の還元を防止すべく、シリコンなどからなる半導体を成膜するときに多量の水素を使わずに、アルゴンなどの不活性ガスを用いたプラズマで成膜することも検討した。しかしながら、この場合においても、低い開放端電圧しか得ることができなかった。理由は明確でないが、この透明導電膜上に形成されるP型半導体層中のダングリングボンドが増加するためと考えられる。
【0014】
そこで、本発明者らは、光起電力素子における半導体層の形成方法ではなく、光起電力素子自体の層構成を操作することに着目した。
そして、驚くべくことに、本発明にしたがって透明導電膜とP型半導体層との間に、水素濃度が15体積%以下の雰囲気中において形成した中間層を、前記透明導電膜を覆うように設けることにより、開放端電圧の劣化が防止できることを見出した。すなわち、上記中間層を設けることにより、透明導電膜の還元が防止されたものと考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面と関連させながら発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図2は、本発明の光起電力素子の一例を示す図である。
図2に示す光起電力素子20は、透明基板11上に、第1の透明導電膜12−1、第2の透明導電膜12−2、P型半導体層13、真性層14、N型半導体層15、及び背面電極16がこの順に積層されている。そして、第2の透明導電膜12−2とP型半導体層13との間には、中間層17が第1及び第2の透明導電膜12−1及び12−2を覆うようにして形成されている。
【0016】
中間層17は、前述したように水素濃度15体積%以下で形成することが必要であり、好ましくは6体積%以下で形成する。これによって、中間層17の下側に位置する第1及び第2の透明導電膜12−1及び12−2の還元が防止されると推定され、開放端電圧を向上させることができる。したがって、透明導電膜と背面電極とを入れ替えてなる構成の光起電力素子と同等の開放端電圧を具えることができる。
【0017】
また、本発明における中間層の形成に際しては、水素の存在を全く排除するものではない。したがって、少なくとも1体積%、好ましくは2体積%の水素を含むこともできる。
【0018】
中間層17は、このような水素濃度雰囲気中において、好ましくはCVD法を用いて形成する。CVD法のなかでも良好な特性の膜を容易に得ることができるという理由から、特にプラズマCVD法を用いることが好ましい。
【0019】
中間層17は、プラズマCVD法などによって形成し、そのままの状態で使用することもできるが、好ましくはその表面17Aを水素含有還元性雰囲気中においてプラズマ処理することが好ましい。これによって、たとえ中間層17がアモルファスであっても、その上に形成されるP型半導体層13を微結晶化することができ、光起電力素子20の短絡電流(ISC)を向上させることができる。
【0020】
上記水素還元性雰囲気は、好ましくは50〜100体積%の水素を含有し、さらに好ましくは80〜100体積%の水素を含有する。そして、好ましくは1.333〜1333Paの圧力下において、好ましくは30〜600mW/cm3の電力を投入してプラズマを発生させ、このプラズマにより中間層17を処理する。なお、前記電力は、例えば、13.56MHzの高周波として投入する。
【0021】
P型半導体層13、真性層14、及びN型半導体層15は、これら半導体層中に水素を含有させ、微結晶化させて短絡電流を増大させるなどの目的で、好ましくは水素濃度が70〜99.8体積%の雰囲気中において形成する。実際の作製においては、プラズマCVD法などの公知の成膜技術を用いることができる。
【0022】
また、上記半導体層を構成する半導体材料は特には限定されないが、安価であるという理由からシリコンを用いることが好ましい。そして、P型半導体層13は、シリコン中にボロンなどをドーパントとして添加する。また、N型半導体15は、シリコン中にリンなどをドーパントとして添加する。
【0023】
中間層17を構成する材料は特に限定されないが、少なくとも上記半導体層のいずれか一つの半導体層と同じ材料から構成されることが好ましい。これによって、光起電力素子20の製造工程を全体として簡略化できる。上述のように、統べての半導体層をシリコン半導体材料から形成する場合、中間層17もシリコン半導体材料から構成する。
【0024】
そして、中間層17をシリコン半導体材料から形成する場合、中簡層17の厚さは、0.5〜15nmであることが好ましく、さらには1〜8nmであることが好ましい。中間層17の厚さが0.5nmより小さいと本発明の効果を十分に発揮できない場合がある。また、中間層17の厚さが15nmよりも大きいと、光起電力素子20の直列抵抗が増大して素子を流れる電流値が減少してしまう場合がある。
【0025】
透明基板11は、本発明の目的を達成することができれば特には限定されないが、量産性の観点からガラス転移温度(Tg)が150℃以下の高分子フィルムから構成されることが好ましい。
このような材料としては、上述したような、PEN、PES、及びPETを例示することができる。
【0026】
また、第1及び第2の透明導電膜12−1及び12−2は、アモルファス状態であることが好ましい。上述したような材料から透明基板11を構成すると、これら材料の耐熱性の問題から、第1及び第2の透明導電膜は、一般にアモルファス状態となる。そして、本発明による中間層17の効果は、このようなアモルファスの透明導電膜に対してその効果をより発揮することができる。
このようなアモルファス透明導電膜は、透明基板を100℃以下に保った状態において、この基板上にスパッタリングなど公知の方法で成膜することにより容易に得ることができる。
【0027】
なお、図2に示す光起電力素子20においては、透明導電膜を第1及び第2の透明導電膜から構成しているが、これに限定されるものではない。通常のように、単一の透明導電膜から構成することもできる。
しかしながら、図2に示すように透明導電膜を2層化し、基板側の第1の透明導電膜12−1を電導度の高いITOや酸化スズから構成し、中間層側の第2の透明導電膜12−2を耐プラズマ性の高い酸化亜鉛などから構成することにより、光起電力素子としての特性を劣化させることなく、開放端電圧をさらに向上させることができる。
【0028】
背面電極16は、アルミニウム、銀、チタンなどの金属材料からスパッタリング法や蒸着法など公知の成膜技術を用いて形成することができる。さらには、これら金属材料からなる金属ペーストをスクリーン印刷などによって塗布することによっても形成することができる。
【0029】
また、上述したように、P型半導体13などの各半導体層や中間層17をシリコン半導体材料から構成する場合、各層中における酸素濃度が8×1018/cm3以上、又は炭素濃度が4×1018/cm3以上であるか、窒素濃度が8×1017/cm3以上である場合において、これら各層を形成する際に第1及び第2の透明導電膜12−1及び12−2の少なくとも一方を接地して、グランド電位に落としておく、すなわちアースしておくことが好ましい。
【0030】
これにより、シリコン半導体材料からなる各層中に、酸素や炭素などの不純物が上記のように多量に存在する場合においても、開放端電圧や曲線因子が劣化しない光起電力素子を提供することができる。
この理由は明確ではないが、透明導電膜に対してアースの有無により半導体層などにおける不純物量への影響はないことから、不純物元素のシリコンネットワーク中での状態に違いが生じているか、プラズマ中でイオン化あるいは励起した不純物元素が成膜面のチャージの程度に影響を与え、これによってダングリングボンドの発生に違いが生じているためではないかと考えられる。
【0031】
なお、上記不純物は、透明基板として使用する高分子材料中のガスや水分、並びにこの高分子材料からなるシート状の透明基板を半導体層を成膜するに当たって、前記透明基板を支持体に固定する際の接着剤や接着テープに起因するものと考えている。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1)
透明基板としてPENフィルムを用いた。このPENフィルム上に、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて、ITOをAr圧0.4Pa、酸素圧0.08Pa、投入電力0.3W/cm 2 で、厚さ50nmに成膜した。なお、同一条件で成膜したITOのシート抵抗は150Ω/□であった。さらに大気にさらすことなく連続的に、酸化亜鉛をAr圧0.53Pa、投入電力0.79W/cm 2 で、厚さ25nmに成膜した。同一条件で単独で成膜した酸化亜鉛のシート抵抗は1kΩ/□であった。
【0033】
次に、PECVD法で、基板温度120℃、Ar/SiH 4 =300sccm/3sccm及び圧力56.65Pa、投入電力90mW/cm 2 の条件で中間層を厚さ4nmに成膜した。
次に、PECVD法で、基板温度120℃、B 2 H 6 /H 2 /SiH 4 =0.02sccm/800sccm/4sccm及び圧力266.6Pa、投入電力180mW/cm 2 の条件でP型半導体層を厚さ6nmに形成した。
次に、PECVD法で、基板温度160℃、H 2 /SiH 4 =500sccm/50sccm及び圧力133.3Pa、投入電力50mW/cm 2 の条件で真性層を厚さ600nmに形成した。
【0034】
次に、PECVD法で、基板温度160℃、PH3/H2/SiH 4 =0.06sccm/500sccm/5sccm及び圧力133.3Pa、投入電力60mW/cm2の条件でN型半導体層を厚さ30nmに成膜した。
次に、アルミニウムを蒸着法で成膜し背面電極とし、光起電力素子を作製した。
上記の光起電力素子に透明基板側から、蛍光燈で210Lxの光を照射しながら、電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
(実施例2)
中間層を、基板温度160℃、Ar/SiH4=300sccm/3sccm及び圧力200Pa、投入電力90mW/cm2の条件で厚さ6nmに形成した以外は実施例1と同じ条件で素子を作製し、同じ条件で電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
(実施例3)
中間層を、基板温度140℃、H2/Ar/SiH4=30sccm/300sccm/3sccm及び圧力200Pa、投入電力90mW/cm2の条件で厚さ4nmに形成した以外は実施例1と同じ条件で素子を作製し、同じ条件で電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例4)
中間層を、基板温度140℃、B2H 6 /H2/Ar/SiH4=0.02sccm/10sccm/300sccm/3sccm及び圧力66.65Pa、投入電力90mW/cm2の条件で厚さ7nmに形成した以外は実施例1と同じ条件で素子を作製し、同じ条件で電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0038】
(実施例5)
中間層を、基板温度130℃、Ar/SiH4=900sccm/3sccm及び圧力66.65Pa、投入電力90mW/cm2の条件で厚さ5nmに形成した以外は実施例1と同じ条件で素子を作製し、同じ条件で電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例6)
中間層を、基板温度130℃、Ar/SiH4=300sccm/3sccm及び圧力66.65Pa、投入電力43mW/cm2の条件で厚さ6nmに形成した以外は実施例1と同じ条件で素子を作製し、同じ条件で電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
(比較例1)
中間層を形成することなく、P型半導体層を厚さ10nmに形成した以外は実施例1と同様にして同じ条件で素子を作製し、同じ条件で電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
(比較例2)
中間層を形成することなく、P型半導体層を基板温度140℃、B2H6/H2/Ar/SiH4=0.02sccm/10sccm/300sccm/3sccm及び圧力66.65Pa、投入電力90mW/cm2の条件で厚さ10nmに形成した以外は実施例1と同じ条件で素子を作製し、同じ条件で電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
(比較例3)
中間層を、基板温度160℃、H2/Ar/SiH4=100sccm/300sccm/3sccm及び圧力200Pa、投入電力90mW/cm2の条件で厚さ6nmに形成した以外は実施例1と同じ条件で素子を作製し、同じ条件で電気特性を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
(比較例4)
本発明の光起電力素子の結晶性を評価すべく、比較サンプルとして以下のような素子を形成した。
PENフィルム上に、Alをターゲットに用いて、DCスパッタ法でAr圧0.5Pa、スパッタ電力6.7W/cm2で厚さ500nmに成膜し、連続的にSUS304をターゲットにしてDCスパッタ法でAr圧0.5Pa、スパッタ電力0.35W/cm2で5nmの厚みで成膜した。次いで、この上に、実施例1と同じ条件で中間層、P型半導体層、真性層、及びN型半導体層をこの順番で形成した。
【0044】
【表1】
【0045】
以上、実施例1〜6並びに比較例1及び2から明らかなように、本発明にしたがって透明導電膜とP型半導体層との間に中間層を形成した場合は、光起電力素子における開放端電圧が増大していることが分かる。また、開放端電圧の増大に伴って短絡電流及び曲線因子などの電気特性も増大していることが分かる。
さらに、実施例1〜6並びに比較例3から明らかなように、中間層を形成した場合においても、形成時の水素濃度が本発明の範囲外である場合は、開放端電圧が劣化するとともに、短絡電流及び曲線因子などの電気特性も劣化することが分かる。
【0046】
次いで、実施例4によって得られた光起電力素子の結晶性を、ラマン分光分析によって調べた。結果を図3及び4に示す。なお、測定はN型半導体層側から実施した。
図3及び4から明らかなように、N型半導体層には2000cm −1 付近の水素とシリコンとの結合に起因するピークは存在しない。また、500cm −1 付近にはアモルファスシリコンに起因するピークは存在せず、結晶性シリコンに起因するピークのみが存在している。
【0047】
次いで、比較例4において得られた素子の結晶性を同じくラマン分光分析によって調べた。結果を図5及び6に示す。
図5及び6から明らかなように、2000cm −1 付近には水素とシリコンの結合に起因するピークが存在し、また、500cm −1 付近にはアモルファスシリコンの結合に起因するピークが主に存在している。したがって、図3及び4と図5及び6との比較から、本発明の光起電力素子におけるN型半導体層は、完全に結晶化し、優れた半導体層であることが分かる。
【0048】
(実施例7)
P型半導体層を形成する前において、水素ガス1000sccm及び圧力66.65Paの100%水素含有還元性雰囲気中に、投入電力60mW/cm2で13.56MHzの高周波を導入して、水素プラズマをたて、基板温度120℃で3分間水素プラズマ処理を行なった以外は、実施例1と同様にして光起電力素子を作製した。また、実施例1と同じ条件で電気特性を測定した。結果を表2に示す。
【0049】
(実施例8)
P型半導体層を形成する前において、水素ガス1000sccm及び圧力266.6Paの100%水素含有還元性雰囲気中に、投入電力100mW/cm2で13.56MHzの高周波を導入して、水素プラズマをたて、基板温度140℃で6分間水素プラズマ処理を行なった以外は、実施例3と同様にして光起電力素子を作製した。また、実施例1と同じ条件で電気特性を測定した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表1及び表2における、実施例1〜6と実施例7及び8との比較から、本発明の好ましい態様にしたがって、中間層の表面を水素プラズマ処理した場合においては、短絡電流が増加していることが分かる。
【0052】
(実施例9)
中間層以降を作製する前に、形成した透明導電膜を接地(アース)してグランド電位に落とした以外は、実施例1と同様にして実施した。また、実施例1と同じ条件で電気特性を測定した。結果を表3に示す。
なお、作製した光起電力素子における中間層からN型半導体層までの各層中に存在する不純物及びその量をSIMSによって測定し、平均量をも併せて掲載した。
また、比較のために実施例1において作製した光起電力素子の電気特性及び各層中の平均不純物量についても併せて掲載した。
【0053】
【表3】
【0054】
表3から明らかなように、中間層及び各半導体層中の不純物濃度は同一であるにもかかわらず、中間層以降の作製を透明導電膜をアースして形成した実施例9においては、開放端電圧及び曲線因子の電気特性が向上していることが分かる。
【0055】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に即して本発明を説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、上記においては、第1の導電型半導体層をP型、第2の導電型半導体層をN型としているが、両者を逆にすることもできる。
【0056】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明によれば、背面電極の対向電極を酸化物などからなる透明導電膜から構成した場合においても、かかる対向電極を金属電極から構成した場合と同様の開放端電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の光起電力素子の構成を示す図である。
【図2】 本発明の光起電力素子の一例を示す図である。
【図3】 本発明の光起電力素子の一例におけるラマン分光分析スペクトルである。
【図4】 本発明の光起電力素子の一例におけるラマン分光分析スペクトルである。
【図5】 本発明の光起電力素子の一例におけるラマン分光分析スペクトルを評価するための、比較ラマン分光分析スペクトルである。
【図6】 本発明の光起電力素子の一例におけるラマン分光分析スペクトルを評価するための、比較ラマン分光分析スペクトルである。
【符号の説明】
1、11 透明基板
2 透明導電膜
3、13 P型半導体層
4、14 真性層
5、15 N型半導体層
6、16 背面電極
10、20 光起電力素子
12−1 第1の透明導電膜
12−2 第2の透明導電膜
17 中間層
Claims (4)
- 高分子フィルムである基板上に透明導電膜を形成する工程と、
前記透明導電膜上にアモルファス状態の中間層を形成する工程と、
前記中間層の表面を水素含有還元性雰囲気中においてプラズマ処理する工程と、
前記中間層上に微結晶状態である第1の導電型半導体層、真性層、及び前記第1の導電型半導体層と導電型の異なる第2の導電型半導体層とを順次形成する工程とを含み、
前記中間層は、成膜ガスとしてアルゴンを用いてプラズマCVD法で形成したシリコン半導体であり、
前記第1の導電型半導体層は成膜ガスとしてアルゴンを用いないでプラズマCVD法で形成したシリコン半導体であり、
前記中間層、前記第1の導電型半導体層、前記真性層、及び前記第2の導電型半導体層各層中における酸素濃度が8×10 18 /cm 3 以上であるか、炭素濃度が4×10 18 /cm 3 以上であるか、または、窒素濃度が8×10 17 /cm 3 以上である場合において、前記中間層、前記第1の導電型半導体層、前記真性層、及び前記第2の導電型半導体層の形成は、前記透明電極層をアースした状態において行うことを特徴とする、光起電力素子の製造方法。 - 前記中間層はドーパントを含まないシリコン半導体からなることを特徴とする、請求項1に記載の光起電力素子の製造方法。
- 前記透明導電膜はアモルファス状態であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光起電力素子の製造方法。
- 前記中間層は前記透明導電膜を覆うようにして形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の光起電力素子の製造方法。
Priority Applications (3)
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