JP2000277766A - 光起電力素子及びその製造方法 - Google Patents

光起電力素子及びその製造方法

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JP2000277766A
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conductive film
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Shigero Yada
茂郎 矢田
Manabu Sasaki
学 佐々木
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Sanyo Electric Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素による透光性導電膜の還元が抑制され、
しかも、透光性導電膜と半導体層(ドープ層)との良好
な電気的接合が得られて、特性の向上を図れる光起電力
素子及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 透光性導電膜(SnO2 )2とp型a−
SiC:H層4との間に、水素量が5at%以下であっ
て欠陥を多く含むSiを主成分とする非晶質膜(a−S
i膜)3(厚さ:50Å程度)を設ける。p型a−Si
C:H層4及びびi型a−Si:H層5の形成時に、水
素が非晶質膜(a−Si膜)3でトラップされて透光性
導電膜(SnO2 )2に侵入しない。非晶質膜(a−S
i膜)3は、Arガスを用いたスパッタ法にて形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光起電力素子及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基板側から光を入射するようにした非晶
質系の光起電力素子は、ガラス基板等の透光性基板上
に、SnO2 , ZnO等からなる透光性導電膜と、p型
非晶質シリコン層,i型非晶質シリコン層及びn型非晶
質シリコン層の積層体(pin構造)と、Ag,Al等
からなる裏面電極とをこの順に重畳させた構成が一般的
である。
【0003】このような光起電力素子は、まず、例えば
スパッタ法を用いて透光性基板上に透光性導電膜を形成
し、次に、例えばCVD法を用いてp型,i型,n型の
各非晶質シリコン層を透光性導電膜上に順次形成し、最
後に例えばスパッタ法を用いて裏面電極をn型非晶質シ
リコン層上に形成することにより、製造される。
【0004】CVD法を用いて、透光性導電膜上にp型
非晶質シリコン層を形成する場合、または、そのp型非
晶質シリコン層上にi型非晶質シリコン層を形成する場
合に、反応ガス中に含まれる水素が透光性導電膜に侵入
して、その水素分子,水素原子または水素ラジカルによ
って透光性導電膜の還元が生じ、製造される光起電力素
子の特性(短絡電流Isc,開放電圧Voc,曲線因子FF
等)を劣化させるという問題がある。このような問題を
解決するために、従来では、透光性導電膜上にシリコン
酸化膜を形成する手法が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、透光性
導電膜上にシリコン酸化膜を薄く形成しすぎた場合に
は、透光性導電膜の還元を抑制できず、一方、それを厚
く形成しすぎた場合には、透光性導電膜とp型非晶質シ
リコン層との電気的接合(オーミック接合)をとれず、
形成するシリコン酸化膜の厚さ制御が難しいという問題
がある。
【0006】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、透光性導電膜と半導体層との間に水素量が少な
いシリコンを主成分とした非晶質膜を設けることによ
り、水素による透光性導電膜の還元を抑制でき、しか
も、透光性導電膜と半導体層との良好な電気的接合も得
ることができて、特性の向上を図れる光起電力素子及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る光起電力
素子は、透光性導電膜と、該透光性導電膜上に形成され
た水素を含む半導体層とを有する光起電力素子におい
て、前記透光性導電膜と前記半導体層との間に、水素量
が5at%以下であるシリコンを主成分とした非晶質膜
を有することを特徴とする。
【0008】請求項2に係る光起電力素子は、請求項1
において、前記非晶質膜の厚さが100Å以下であるこ
とを特徴とする。
【0009】請求項3に係る光起電力素子は、請求項1
または2において、前記非晶質膜に硼素またはリンが含
まれていることを特徴とする。
【0010】請求項4に係る光起電力素子の製造方法
は、請求項1〜3の何れかに記載の光起電力素子を製造
する方法であって、水素を含まない反応ガスを用いたス
パッタ法により、前記透光性導電膜上に前記非晶質膜を
形成することを特徴とする。
【0011】本発明の光起電力素子では、透光性導電膜
と水素を含む半導体層との間に、水素量が5at%以下
であるシリコンを主成分とした非晶質膜を設けている。
その非晶質膜は、水素量が少ないので膜中に欠陥(ダン
グリングボンド)を多く含む。よって、水素を含む半導
体層を透光性導電膜上に形成する場合、水素が透光性導
電膜に到達する前に水素をその非晶質膜にてトラップす
る。従って、水素は透光性導電膜に侵入せず、透光性導
電膜の還元は生じない。また、非晶質膜に多くの欠陥が
含まれているので、透光性導電膜との電気的接合も容易
に取ることができ、透光性導電膜,半導体層間の電気的
接合に影響を及ぼさず、むしろその電気的接合の特性は
向上する。この結果、短絡電流Isc,開放電圧Voc.曲
線因子FF等の特性の向上を実現できる。
【0012】また、その非晶質膜の厚さを100Å以下
とすることにより、透光性導電膜と半導体層との電気的
接合がより取りやすくなる。
【0013】このような水素量が少ない非晶質膜は、水
素を含まない反応ガスを用いたスパッタ法にて容易に形
成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を
示す図面を参照して具体的に説明する。 (第1実施の形態)図1は、本発明の第1実施の形態に
よる光起電力素子の構成図である。図において、1はガ
ラス基板である。ガラス基板1上には、一方の表面が凹
凸形状をなすSnO2 からなる透光性導電膜2(厚さ:
6000Å)が形成されている。この透光性導電膜2の
凹凸状の表面には、水素量が5at%以下であってシリ
コン(Si)を主成分とする非晶質膜(a−Si膜)3
(厚さ:50Å)、p型a−SiC:H層4(厚さ:1
00Å)、i型a−Si:H層5(厚さ:3000Å)
及びn型a−Si:H層6(厚さ:400Å)が、この
順に積層されている。n型a−Si:H層6上には、A
g,Alを含む単層または複層の裏面電極7が形成され
ている。
【0015】このような構成の光起電力素子は、以下の
ような手順にて製造する。まず、ガラス基板1上にスパ
ッタ法にてSnO2 膜を成膜して透光性導電膜2を形成
する。次に、Arガス用いたスパッタ法にて非晶質膜3
を形成する。このときのスパッタ条件は、RFパワー:
100〜500W,Siターゲットサイズ:直径6イン
チ,反応圧力:1×10-3Torr,Arガス流量:1
0sccm,基板温度:室温〜100℃である。
【0016】次に、この非晶質膜3上に、プラズマCV
D法を用いて、p型a−SiC:H層4,i型a−S
i:H層5及びn型a−Si:H層6を順に形成する。
このときの条件を下記表1に示す。最後に、スパッタ法
にて裏面電極7を形成する。
【0017】
【表1】
【0018】このような第1実施の形態の光起電力素子
の特性を、下記表2に示す。この第1実施の形態の光起
電力素子では、非晶質膜3として、水素が全く含まれて
いない(水素量=0)厚さ50Åのa−Si膜を用いて
いる。また、表2には、この非晶質膜3を設けない従来
の光起電力素子の特性も併せて示す。
【0019】
【表2】
【0020】本発明の光起電力素子は、従来例に比べ
て、非晶質膜3を設けることにより、短絡電流Isc,開
放電圧Voc,曲線因子FFのすべての特性が向上してい
る。また、光電変換効率Effが大幅に向上していること
も分かる。これは、非晶質膜3を設けたことにより、p
型a−SiC:H層4の形成時及びi型a−Si:H層
5の形成時に、水素がこの非晶質膜3にトラップされて
透光性導電膜2まで達せず、透光性導電膜2(Sn
2 )の還元を十分に抑制できたためである。
【0021】非晶質膜3(a−Si)中の水素量を変化
させて複数種の光起電力素子を製造し、それらの光電変
換効率Effを測定した。その測定結果を下記表3に示
す。なお、非晶質膜3の厚さはすべて50Åとした。ま
た、非晶質膜3中の水素量を変化させる方法としては、
予め意図的に水素を混入させておいたSiターゲット
を、異なる条件でArガス雰囲気でスパッタリングする
方法を用いた。更に、水素の定量にはSIMSを用い
た。
【0022】
【表3】
【0023】表3の結果から、非晶質膜3(a−Si)
中の水素量が5at%以下である光起電力素子では、非
晶質膜3を設けない従来の光起電力素子の特性(8.4
3%)を上回っており、水素量を5at%以下とした場
合に、本発明の効果があることが分かる。
【0024】非晶質膜3(a−Si)の厚さを変化させ
て複数種の光起電力素子を製造し、それらの光電変換効
率Effを測定した。その測定結果を下記表4に示す。な
お、非晶質膜3としては、水素を全く含まないもの(水
素量0)をすべての例で使用した。また、厚さの定量に
はSEMを用いた。
【0025】
【表4】
【0026】表4の結果から、非晶質膜3(a−Si)
の厚さが100Å以下である光起電力素子では、従来の
光起電力素子の特性(8.43%)を上回っており、厚
さを100Å以下とした場合に、本発明の効果があるこ
とが分かる。
【0027】(第2実施の形態)図2は、本発明の第2
実施の形態による光起電力素子の構成図である。図にお
いて、1はガラス基板である。ガラス基板1上には、一
方の表面が凹凸形状をなすZnOからなる透光性導電膜
12(厚さ:8000Å)が形成されている。この透光
性導電膜12の凹凸状の表面には、水素量が5at%以
下であってシリコン(Si)を主成分とする非晶質膜
(a−Si:B膜)13(厚さ:50Å)、p型a−S
iC:H層4(厚さ:100Å)、i型a−Si:H層
5(厚さ:3000Å)及びn型a−Si:H層6(厚
さ:400Å)が、この順に積層されている。n型a−
Si:H層6上には、Ag,Alを含む単層または複層
の裏面電極7が形成されている。
【0028】このような構成の光起電力素子は、以下の
ような手順にて製造する。まず、ガラス基板1上にスパ
ッタ法にてZnO膜を成膜して透光性導電膜12を形成
する。次に、Arガス用いたスパッタ法にて非晶質膜
(a−Si:B膜)13を形成する。このときのスパッ
タ条件は、SiにBを混入させたターゲットを使用する
以外は、第1実施の形態と同様である。
【0029】次に、この非晶質膜13上に、プラズマC
VD法を用いて、第1実施の形態と同じ条件(表1参
照)で、p型a−SiC:H層4,i型a−Si:H層
5及びn型a−Si:H層6を順に形成する。最後に、
スパッタ法により、裏面電極7を形成する。
【0030】このような第2実施の形態の光起電力素子
の特性を、下記表5に示す。また、表5には、第2実施
の形態においてBをドープしないa−Si膜を非晶質膜
13とした光起電力素子の特性も併せて示す。表5にお
ける第2実施の形態の光起電力素子では、非晶質膜13
として、水素が全く含まれていない(水素量=0)厚さ
50Åのa−Si:B膜またはa−Si膜を用いてい
る。更に、表5には、この非晶質膜13を設けない従来
の光起電力素子の特性も併せて示す。
【0031】
【表5】
【0032】本発明の光起電力素子は、従来例に比べ
て、非晶質膜13を設けることにより、短絡電流Isc,
開放電圧Voc,曲線因子FFのすべての特性が向上して
いる。また、光電変換効率Effが大幅に向上しているこ
とも分かる。これは、非晶質膜13を設けたことによ
り、p型a−SiC:H層4の形成時及びi型a−S
i:H層5の形成時に、水素がこの非晶質膜13にトラ
ップされて透光性導電膜12まで達せず、透光性導電膜
12(ZnO)の還元を十分に抑制できたためである。
また、この第2実施の形態では曲線因子FFが大きく改
善されていることから、この非晶質膜13は、ZnOの
還元を十分に抑制するだけでなく、透光性導電膜12
(ZnO)とp型a−SiC:H層4との電気的接合の
特性を向上させる効果も奏することが分かる。更に、非
晶質膜13としてa−Si:B膜を用いた場合には、光
電変換効率Effをより高くできることが分かる。
【0033】なお、第1,第2実施の形態では、水素量
が少ないa−Si膜またはa−Si:B膜を、透光性導
電膜2,12とp型a−SiC:H層4との間に設けた
が、このa−Si膜またはa−Si:B膜中に、炭素
C,酸素O,窒素N等の元素を混入しても良い。この場
合は、低い水素量のために狭くなった光学的バンドギャ
ップを広くすることを期待できる。
【0034】また、第1,第2実施の形態では、透光性
導電膜側からp型,i型,n型の非晶質シリコン層を順
次積層したpin構造を有する場合について説明した
が、これとは逆に透光性導電膜側からn型,i型,p型
の非晶質シリコン層を順次積層したnip構造を有する
光起電力素子でも本発明を適用できることは勿論であ
り、この場合には、透光性導電膜とn型の非晶質シリコ
ン層との間に水素量が5at%以下であるシリコンを主
成分とした非晶質膜を設ける。このnip構造の光起電
力素子では、非晶質膜にリンPを混入させても良い。
【0035】更に、第1,第2実施の形態では、水素量
が少ないa−Si膜またはa−Si:B膜をArガスを
用いたスパッタ法にて形成したが、SiH4 ,B2 6
の混合ガスを用いたプラズマCVD法、熱CVD法、ホ
ットワイヤ法等によって形成しても良い。但し、水素原
子または水素ラジカルの供給源となるSiH4 ガス流
量,B2 6 ガス流量は極力減らす必要がある。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明では、透光性導電膜
と水素を含む半導体層との間に、水素量が5at%以下
であるシリコンを主成分とした非晶質膜を設けているの
で、水素による透光性導電膜の還元を抑制できると共
に、透光性導電膜と半導体層との良好な電気的接合も得
ることができ、特性の向上を図れて高い光電変換効率を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態による光起電力素子の構成図で
ある。
【図2】第2実施の形態による光起電力素子の構成図で
ある。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 透光性導電膜(SnO2 ) 3 非晶質膜(a−Si) 4 p型a−SiC:H層 5 i型a−Si:H層 6 n型a−Si:H層 7 裏面電極 12 透光性導電膜(ZnO) 13 非晶質膜(a−Si:B)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性導電膜と、該透光性導電膜上に形
    成された水素を含む半導体層とを有する光起電力素子に
    おいて、前記透光性導電膜と前記半導体層との間に、水
    素量が5at%以下であるシリコンを主成分とした非晶
    質膜を有することを特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】 前記非晶質膜の厚さが100Å以下であ
    る請求項1記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 前記非晶質膜に硼素またはリンが含まれ
    ている請求項1または2記載の光起電力素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の光起電力
    素子を製造する方法であって、水素を含まない反応ガス
    を用いたスパッタ法により、前記透光性導電膜上に前記
    非晶質膜を形成することを特徴とする光起電力素子の製
    造方法。
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