JP2004253417A - 薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気絶縁性を有する基板の表面に第1電極層,非単結晶の光電変換層,第2電極層を積層してなり、前記光電変換層は、真空の反応室内で高周波電極に電力を印加し、原料ガスのグロー放電分解を行なうプラズマCVD法によって製膜する薄膜太陽電池の製造方法において、光電変換層中のSiH2結合の水素量とSiH結合の水素量の比(SiH2/SiH)が0.3以下となる製膜条件を予め求め、前記0.3以下を満足たす製膜条件の下で、前記製膜中に高周波電極に生ずるピークツーピーク電圧(Vpp)を300V以下として製膜する。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光電変換層をプラズマCVD法によって製膜する薄膜太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アモルファスシリコン(a−Si)薄膜太陽電池は、薄膜、低温プロセス、大面積化が容易という特徴から低コスト太陽電池の本命として開発が進められている。この薄膜太陽電池はガラスやPET等の透光性基板あるいはステンレスホイルやポリイミド等の非透光性基板を用い、光入射側から透明電極(第2電極)、半導体層(光電変換層)、金属電極(第1電極)を順次積層した構造となっている。デバイス構造としては、pin構造のa−Siシングルセル、a−Siのpin接合を2段重ねたa−Si/a−Siタンデムセル、長波長光感度向上を狙ってボトムセルにa−SiGeセルを適用したa−Si/a−SiGeタンデムセル等があり、それぞれの場合について光電変換層のトータル膜厚は0.3〜0.6μmである。
【0003】
ところで、前記2段重ねたタンデム接合型、もしくはトリプル接合型等の、いわゆる多層型薄膜太陽電池が構成される理由は下記による。a−Siやa−SiGe太陽電池は、単結晶Siや多結晶Si等のバルク結晶型太陽電池に比べて変換効率が低く、さらには、固有の問題として光照射によって変換効率が1〜3割程度低下する光劣化という問題を抱えている。これらの問題を解決して高効率、高信頼性を実現する方法として複数のpin型セルを積層してマルチ接合化したもの、即ち、多層型薄膜太陽電池とする。
【0004】
前記多層型薄膜太陽電池は、p,i,n型の半導体層から成る光電変換層を、基板上に複数積層したもので、例えば光入射側に、相対的に光学的バンドギャップの大きい非晶質シリコンを用い、光入射側から遠い光電変換層に、光学的バンドギャップの小さい非晶質シリコンゲルマニウムを用いて、非晶質シリコンでは吸収され難い赤外線領域の光も効率よく吸収して、変換効率の向上を図るものである。さらに、一つの半導体層の膜厚方向の原子組成比を変化させることにより、光学的バンドギャップをその層内で変化させるグレーデッド構成の採用により、さらに変換効率の向上を図る技術も知られている。
【0005】
前記薄膜太陽電池の光電変換層は、プラズマCVD装置により製膜される。通常、ガラス基板を用いた太陽電池の場合はバッチ式あるいはインライン式の製膜装置、プラスチックフィルムあるいはステンレスフィルムを基板に用いたロールツーロール方式あるいはステッピングロール方式の製膜装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
まず、電極を形成した基板を真空の反応室内に導入し、ヒーターにより100〜400℃に加熱された状態で主ガスのモノシランあるいはジシラン、および希釈ガスの水素、必要に応じてAr等の希ガスを添加し、0.5 Pa〜数100Pa(数mTorr〜数Torr)に圧力コントロールされたガス雰囲気中で製膜される。p層あるいはn層を製膜する場合は、原料ガス中にさらにジボランあるいはホスフィン等が付加される。また、モノゲルマンあるいは四フッ化ゲルマン等を添加することによりナローギャップ材料であるa−SiGeを製膜することができる。
【0007】
a−Si薄膜太陽電池の量産技術で重要となるのは高スループット化であり、製膜速度向上はその中でも最も重要な技術である。通常、所望の高効率なa−Si太陽電池を得るための製膜速度は6nm/分程度とされているが、この製膜速度で年産10MW規模の太陽電池生産ラインを構築することは極めて困難である。例えばa−Si/a−SiGeタンデムセル構造、セルサイズ90cm×90cm、出力70Wの太陽電池を、前記特許文献1のステッピングロール製膜装置で生産する場合について考えることにする。a−Si/a−SiGeタンデムセルのトップi層、ボトムi層の膜厚をそれぞれ200nm、100nmとした場合、前述の6nm/分の製膜速度では各層の製膜時間は33分、17分となる。
【0008】
一方、年産10MW規模の生産能力を得ようとすると、タクトタイムを5分以下にする必要があるため、トップセルi層用に8〜9個、ボトムセルi層用に4〜5個の反応室が必要になる。その他ドーピング層の反応室と合わせて計20個前後の反応室が必要になり、装置コストおよびランニングコストの面で非現実的である。製膜速度を15〜40nm/分に向上できればトータルの反応室数を6〜10個程度に大幅に削減でき、低コスト太陽電池の生産ラインを構築することが可能となる。
【0009】
高速製膜に伴ない種々の膜物性が変化するが、よく知られている現象としてSiH2結合水素量の増加があげられる。SiH2は光誘起欠陥密度と比例関係にあるため、高速製膜を適用したセルの光劣化は大きくなる。これを抑制する手法としては、SiH3等のラジカルの表面拡散を促進することが有効であると考えられ、水素希釈法および高温製膜を適用することで30nm/分程度まで効率低下を抑えることが可能となっている。
【0010】
また、最近になってRFプラズマCVDに代わる製膜方法により、良好なデバイス特性が得られることが報告されている。最も精力的に検討されているのは、数10〜100MHz程度のVHF帯の周波数の適用である。後述する非特許文献1によれば、「周波数100MHzのVHF電源を用い、基板温度を300℃以上にすることで、製膜速度120nm/分(20Å/s)の小面積シングルセルで安定化効率8.2%を得た」旨の報告がされている。VHFの効果については低電子温度、高電子密度により高次シラン生成を抑えられるためとしている。
【0011】
さらに、非特許文献2によれば、「イオンダメージ低減を目的にVHFに高圧力化を併用し、製膜速度114nm/分(19Å/s)の製膜速度で、小面積シングルセルの安定化効率8.9%を得た」旨の報告がされている。
【0012】
さらにまた、本件出願人と同一出願人によって出願された、特願2002−288346号には、「反応室を、接地電極と高周波電極と反応室壁体とで構成し、前記接地電極と高周波電極との電極間距離をD、前記反応室壁体と高周波電極との最近接距離をAとした場合、A/Dを1以下とし、かつ、前記反応室内の製膜圧力を130〜400Paとし、さらに、前記高周波電圧の周波数を13〜60MHzとして製膜することにより、高速製膜時のプラズマポテンシャルを低く抑え、膜質低下を抑止することが可能となる。上記により、低コストのコンパクト型製膜装置を用いた薄膜太陽電池の量産化が可能となる。」旨、記載されている。
【0013】
上記のように、量産化の高速製膜を前提とした好適な製膜条件に関しては、種々の観点から報告や提案がなされているが、最適な製膜条件は、まだ確立していないのが現状である。
【0014】
【特許文献1】
特開平6−291349号公報(第4−6頁、図1、図5−17)
【非特許文献1】
M.Kondo et al,” High Rate Growth of Amorphous and Microcrystalline Silicon ”, [Technical Digest of the International PVSEC−12],Jeju,Korea,2001,p.41−44
【非特許文献2】
Masafumi Sano et al,” High Efficiency Amorphous Silicon Solar Cells at High Deposition Rates of More than 1.5nm/sec”, [Technical Digest of the International PVSEC−12],Jeju,Korea,2001,p.45−46
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
最適な薄膜を得るための製膜条件としては、原料ガス流量,製膜温度,製膜圧力,周波数,放電電力,プラズマポテンシャル,製膜速度等々が相互に関係し、前述のように、最適な製膜条件はまだ確立されていない。例えば、周波数の条件一つをとっても、高周波数化の効果に関して、▲1▼高次シラン生成が抑止されることによって結果的に膜中のSiH2結合量が減少する、▲2▼膜へのイオンダメージが抑止されるという二つの説がある。
【0016】
ところで、前記イオンダメージの抑止は、膜質の向上ひいては太陽電池の効率向上の観点から重要な要件である。このイオンダメージは、プラズマ計測により得られるプラズマポテンシャルと相関があるが、量産装置でプラズマ計測を行うことは困難であり、この点が量産化の上ではネックとなっている。
【0017】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、この発明の課題は、量産装置で高速製膜を行なう場合に、直接的に計測制御可能であって、太陽電池の変換効率が所定の高い値が得られる薄膜太陽電池の製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明においては、▲1▼SiH2/SiH結合比と▲2▼イオンダメージの二点に着眼し、それぞれ独立に変化させて最適化の指針を得た。詳細は後述するが、まず、イオンダメージが問題にならない低速条件で温度を変化させた製膜を行い、SiH2/SiH結合比に関する指針を得た。低温化に伴い、SiH2/SiH結合比が増加するため、a−Siセルの特性と合わせて純粋にSiH2/SiH結合比に関する指針が得られた。
【0019】
次に、比較的高温条件で、SiH2/SiH結合比が十分小さくなるように保ち、放電電力・圧力・周波数を変化させ、イオンダメージに関する指針を得た。イオンダメージは、前述のように、プラズマ計測により得られるプラズマポテンシャルと相関があるが、量産装置でプラズマ計測を行うことは困難である。発明者等は、小型の実験装置を用いてプラズマ計測を行った結果、プラズマポテンシャルは高周波電極のピークツーピーク電圧(Vpp)と密接な関係があることを見出した。Vppは量産装置でも簡便に測定できるため、Vppとの相関を求めることにより、イオンダメージに関する指針とすることができることが判明した。
【0020】
この発明は上記着眼と実験結果からの示唆によってなされたもので、この発明においては、電気絶縁性を有する基板の表面に第1電極層,非単結晶の光電変換層,第2電極層を積層してなり、前記光電変換層は、真空の反応室内で高周波電極に電力を印加し、原料ガスのグロー放電分解を行なうプラズマCVD法によって製膜する薄膜太陽電池の製造方法において、
光電変換層中のSiH2結合の水素量とSiH結合の水素量の比(SiH2/SiH)が0.3以下となる製膜条件を予め求め、前記0.3以下を満足たす製膜条件の下で、前記製膜中に高周波電極に生ずるピークツーピーク電圧を300V以下として製膜することを特徴とする(請求項1の発明)。
【0021】
上記において、前記(SiH2/SiH)が0.3以下となる製膜条件は、諸製膜条件に関して予備的実験を行い予め求めておく製膜条件である。また、高周波電極に生ずるピークツーピーク電圧(Vpp)は、高周波電極に計測端子を設けて直接高周波電極に生ずるVppを計測する電圧値である。上記請求項1の発明により、詳細は後述するように、高い安定化効率が得られる。
【0022】
なお、前記比(SiH2/SiH)は、計測限界があるものの、限りなく低いほどよい。また、Vppの下限は、装置のインピーダンスによって決まるが、約100V前後となるものが一般的である。ところで、Vppの計測に関しては、前述のように高周波電極において直接計測できない装置の場合もある。この場合には、高周波電極から若干離れた位置で計測することになるが、この場合には、直接計測に比較して低く計測されるので、予め、直接計測値との相関を求めておく必要がある。
【0023】
また、前記請求項1の発明の実施態様としては、下記請求項2ないし4の発明が好ましい。即ち、前記請求項1に記載の製造方法において、前記光電変換層の製膜速度は、少なくとも15nm/分とする(請求項2の発明)。少なくとも15nm/分あるいはそれ以上の製膜速度とすることにより、量産化に適合できる。
【0024】
さらに、前記請求項1または2に記載の製造方法において、前記高周波電極に印加する電力の周波数は、13.56MHzより大とする(請求項3の発明)。周波数はRF=13.56MHzでもよいが、それより大の方が効率向上が図れる。なお、周波数は、電波法上は、RF=13.56MHzの整数倍、即ち、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz・・・であるが、シールドが完備していれば、かならずしも整数倍である必要はない。
【0025】
さらにまた、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記非単結晶の光電変換層は、非単結晶シリコン、非単結晶シリコンゲルマニウム、非単結晶シリコンカーバイド、非単結晶シリコンオキサイド、非単結晶シリコンナイトライドの内の少なくともいずれか一つとする(請求項4の発明)。
【0026】
【発明の実施の形態】
図面に基づき、本発明の実施例について以下に述べる。図1ないし図10は、それぞれ、この発明の実施例に関わる図を示し、図1および図2は、シングルセルおよびタンデムセルの模式的断面図、図3ないし図9は各種実験結果を示す図、図10は各種製膜条件を示す図である。
【0027】
(実施例1:a−Siセル)
a−Siセルの高速製膜に関する指針を得るために行った実施例およびその実験結果について以下に述べる。実験試料の製作には、40cm×80cmのフィルム基板太陽電池の製造が可能なステッピングロール方式a−Si製膜装置を用いた。
【0028】
まず、図10(a)に示す高低の2種類の水素希釈条件でa−Si膜の製膜を行った。図10(a)には、各希釈条件に対して、原料ガス流量,製膜圧力,放電電力,基板温度,製膜速度,Vpp をそれぞれ示す。なお、圧力の単位は、PaとTorrとを併記し、ガス流量の単位はsccmで示す。流量の単位のsccmは、standard cc/min(標準状態換算の流量cm3/min)を示す。図10(b)〜(d)においても同様である。
【0029】
図10(a)によれば、13.56MHz(RF)の高周波の印加電力を40W(パワー密度:10mW/cm2)と低く抑えているため、製膜速度は6nm/分以下と低くなっている。結果としてVppは140〜160Vと低くなっており、イオンダメージの影響は十分小さいと考えられる。基板温度を低下させるとSiH2/SiHが増大するが、低希釈条件の方が変化が大きくなっている(後述の図3参照)。
【0030】
上記のようなシリーズの膜を、図1に示す部番4のi層300nmのa−Si太陽電池(セル面積1cm2)に適用し、200時間の光照射試験を行った。なお、図1において、1は耐熱性のプラスチックフィルムを用いた基板、2は金属電極、3はn層、4はi層、5はp層、9は透明電極である。
【0031】
前述のように、i層膜厚を300nmとした理由は、▲1▼シングルセルとして安定化効率が最も高くなる膜厚が200〜400nmであること、▲2▼ナローギャップ材料であるa−SiGeや微結晶Siとタンデム化するときのa−Siセルのi 層膜厚が150〜500nmであることの二点を考慮し代表値として設定した。
【0032】
図3は、光照射200時間後の安定化効率(%)を膜中SiH2/SiH比に対してプロットしたものである。2種類の希釈条件でほぼ同じ傾向を示し、SiH2/SiH比が0.2〜0.3を超えると安定化効率が急激に低下していることが分かる。この結果から、SiH2/SiHを0.3以下に抑えれば、変換効率の低下を低く抑えることができ、0.2以下にすることがさらに好ましいと考えられる。
【0033】
次に、図10(b)に示すとおり、基板温度を200℃一定とし、周波数・製膜圧力・放電電力をパラメータとして膜実験を行った。作製された膜のSiH2/SiH比を測定し、SiH2/SiH≦0.2を満たす製膜条件を適用して図1に示すi層300nmのa−Si太陽電池を試作した。作製したセルのSiH2/SiHは十分小さいので、セルの特性への影響は無視できる。
【0034】
図4はセルの安定化効率(%)を製膜速度(nm/分)に対してプロットしたものであるが、両者に相関は見られない。一方、図5に示すとおり、製膜時のVpp(V)に対して安定化効率(%)をプロットすると両者に非常に強い相関があることが分かる。Vppの増加に伴なって安定化効率がほぼ直線的に低下しており、二つの周波数13.56MHz(◆)、27.12MHz(□)でほぼ同一の直線に乗っていることが分かる。前述のとおり、Vppはプラズマポテンシャルと相関があることから、Vpp増加に伴なう効率低下はイオンダメージによると考えられる。また、指標としてはVpp≦300Vであればイオンダメージによる効率低下は比較的低く抑えられ、さらに望ましくはVpp≦200Vとする必要がある。
【0035】
なお、具体的に指標を満たす製膜条件について一例を以下に述べる。図6は、図10(b)の製膜条件で、i層の製膜パワーを200W(パワー密度:50mW/cm2)としたときの製膜圧力とVppおよび製膜速度の関係を示す。従来の標準的な製膜圧力は67Pa(0.5Torr)であったが、製膜圧力を226Pa(1.7Torr)以上にすることで、Vppは300V以下に半減し、同時に製膜速度は約30nm/分と2倍程度に向上した。また、Vppは周波数にも依存しており、従来の13.56MHzから27.12MHzに変更すると半分程度に減少することが確認されている。
【0036】
ここで注意すべき点は、Vppの圧力依存性や周波数依存性が、製膜装置の電極構造によって大きく異なる点である。例えばアースシールドの有無や電極間隔によりVppの圧力依存性は変化する。従って、小型の実験装置で最適化した条件をそのまま電極構造の異なる大型の量産装置に適用するのは適切でなく、あくまでも装置ごとにVppを計測し、その値を所定値に抑えることが重要である。
【0037】
(実施例2:a−SiGeセル)
次に、前記と同様な方法でa−SiGeセルの高速製膜に関する指針を得るために行なった実施例とその実験結果について述べる。まず、図10(c)に示す2種類の水素希釈条件でa−SiGe膜の製膜を行った。13.56MHzの高周波の印加電力を40W(パワー密度:10mW/cm2)と低く抑えているため、製膜速度は4nm/分以下と低くなっている。結果としてVppは150〜160Vと低くなっており、イオンダメージの影響は十分小さいと考えられる。基板温度を低下させるとSiH2/SiHが増大するが、低希釈条件の方が変化が大きくなっている。
【0038】
同じシリーズの膜を、前記図1に示す構成のa−SiGe太陽電池(セル面積1cm2)に適用し、200時間の光照射試験を行った。i層膜厚はa−Si/a−SiGeタンデムのボトムセルに適用することを想定し110nmと薄くした。図7は光照射200時間後の赤色フィルター光下(カットオン波長650nm)の安定化効率を膜中SiH2/SiH比に対してプロットしたものである。2種類の希釈条件でほぼ同じ傾向を示し、SiH2/SiH比が0.2〜0.3を超えると安定化効率が急激に低下していることが分かる。この結果から、SiH2/SiHを0.3以下に抑えれば、変換効率の低下を低く抑えることができ、0.2以下にすることがさらに好ましいと考えられる。
【0039】
次に、図10(d)に示すとおり、基板温度を280℃一定とし、周波数・製膜圧力・放電電力をパラメータとして膜実験を行った。作製された膜のSiH2/SiH比を測定し、SiH2/SiH≦0.2を満たす製膜条件を適用して、i層110nmのa−SiGe太陽電池を試作した。作製したセルのSiH2/SiHは十分小さいので、セルの特性への影響は無視できる。
【0040】
図8は赤色フィルター光下のセルの安定化効率を製膜速度に対してプロットしたものであるが、両者に相関は見られない。一方、図9に示すとおり製膜時のVppに対して安定化効率をプロットすると両者に相関があることが分かる。Vppの増加に伴なって安定化効率がほぼ直線的に低下しており、二つの周波数13.56MHz(◆)、27.12MHz(□)でほぼ同一の直線に乗っていることが分かる。前述のとおり、Vppはプラズマポテンシャルと相関があることから、Vpp増加に伴なう効率低下はイオンダメージによると考えられる。また、指標としてはVpp≦300Vであればイオンダメージによる効率低下は比較的低く抑えられ、さらに望ましくはVpp≦200Vとする必要がある。
【0041】
(実施例3:a−Si/a−SiGeタンデムセル)
実施例3として前述の指標を適用してa−Si/a−SiGe構造の大面積フィルム基板太陽電池を作製した例について述べる。作製したセルの構造を図2に示す。図2において、図1と同一機能部材には同一番号を付す。但し、タンデム構造のため、部番3,4,5はそれぞれ、ボトム層のn,i,p層である。部番6,7,8はそれぞれ、トップ層のn,i,p層を示す。
【0042】
図2において、基板1には耐熱性のプラスチックフィルムを用い、アパーチャー面積3000cm2の大面積太陽電池(直列段数68)を試作した。このセルを製膜室7室の多室配置型ステッピングロール装置を用いてタクトタイム4分で製膜した。反応室の構成はトップi層のみ2室で製膜し、他の層は1室で製膜した。以下、セルの構造につき説明する。
【0043】
基板1上に金属電極2として100〜200nmのAgをスパッタリング法により製膜した。その後、27.12MHzの高周波電源を用いプラズマCVD法によりa−Si系膜(部番3〜8)の製膜を行なった。まず、膜厚10〜20nmのa−SiOのボトムn層3、膜厚100nmのa−SiGeからなるボトムi層4を、基板温度250〜300℃で製膜した。その後、膜厚15〜20nmのμc−Siのボトムp層5、膜厚10〜20nmのa−SiOのトップn層6、膜厚200nmのa−Siのトップi層7を、基板温度150〜200℃として製膜した。その後、膜厚10〜20nmのa−SiOのトップp層8を120〜160℃で製膜し、最後に透明電極9としてITOをスパッタリング法により形成した。
【0044】
ここで、ボトムおよびトップi層はタクトタイム4分に対応するために製膜速度30〜35nm/分とし、同時に高速製膜指針であるVpp≦300V、SiH2/SiH≦0.3を満足するように圧力・パワー条件を選んだ。100セル連続試作の結果、平均で9.6%のアパーチャー効率が得られ、この中の4セルについて200時間の連続光照射試験を行った結果、安定化効率8.5%を得た。
【0045】
【発明の効果】
この発明によれば、電気絶縁性を有する基板の表面に第1電極層,非単結晶の光電変換層,第2電極層を積層してなり、前記光電変換層は、真空の反応室内で高周波電極に電力を印加し、原料ガスのグロー放電分解を行なうプラズマCVD法によって製膜する薄膜太陽電池の製造方法において、光電変換層中のSiH2結合の水素量とSiH結合の水素量の比(SiH2/SiH)が0.3以下となる製膜条件を予め求め、前記0.3以下を満足たす製膜条件の下で、前記製膜中に高周波電極に生ずるピークツーピーク電圧を300V以下として製膜することにより、
量産装置で高速製膜を行なう場合に、太陽電池の変換効率が所定の高い値が得られるような制御が直接的に実施可能となる。これにより、変換効率の低下を低く抑えてa−Si系薄膜の製膜速度を向上させることができる。その結果、反応室数を少なく抑えて量産ラインを構築することが可能となり、設備償却費およびランニングコストが低減される。即ち、高効率かつ低コストのa−Si系太陽電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に関わる薄膜太陽電池の模式的断面図
【図2】本発明の実施例に関わるタンデム型薄膜太陽電池の模式的断面図
【図3】a−Si太陽電池のi層のSiH2/SiH比と安定化効率との関係を示す図
【図4】a−Si太陽電池のi層製膜速度と安定化効率との関係を示す図
【図5】a−Si太陽電池のi層製膜時のVppと安定化効率との関係を示す図
【図6】a−Si製膜圧力とVppおよび製膜速度との関係を示す図
【図7】a−SiGe太陽電池のi層のSiH2/SiH比と安定化効率との関係を示す図
【図8】を示す図
【図9】a−SiGe太陽電池のi層製膜速度と安定化効率との関係を示す図
【図10】各種製膜条件を示す図
【符号の説明】
1:基板、2:金属電極、3:n層、4:i層、5:p層、6:トップn層、7:トップi層、8:トップp層、9:透明電極。
Claims (4)
- 電気絶縁性を有する基板の表面に第1電極層,非単結晶の光電変換層,第2電極層を積層してなり、前記光電変換層は、真空の反応室内で高周波電極に電力を印加し、原料ガスのグロー放電分解を行なうプラズマCVD法によって製膜する薄膜太陽電池の製造方法において、
光電変換層中のSiH2結合の水素量とSiH結合の水素量の比(SiH2/SiH)が0.3以下となる製膜条件を予め求め、前記0.3以下を満足たす製膜条件の下で、前記製膜中に高周波電極に生ずるピークツーピーク電圧を300V以下として製膜することを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法において、前記光電変換層の製膜速度は、少なくとも15nm/分とすることを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法において、前記高周波電極に印加する電力の周波数は、13.56MHzより大とすることを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記非単結晶の光電変換層は、非単結晶シリコン、非単結晶シリコンゲルマニウム、非単結晶シリコンカーバイド、非単結晶シリコンオキサイド、非単結晶シリコンナイトライドの内の少なくともいずれか一つとすることを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
Priority Applications (1)
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