JP2002280584A - ハイブリッド型薄膜光電変換装置とその製造方法 - Google Patents

ハイブリッド型薄膜光電変換装置とその製造方法

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JP2002280584A JP2001078462A JP2001078462A JP2002280584A JP 2002280584 A JP2002280584 A JP 2002280584A JP 2001078462 A JP2001078462 A JP 2001078462A JP 2001078462 A JP2001078462 A JP 2001078462A JP 2002280584 A JP2002280584 A JP 2002280584A
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Susumu Fukuda
丞 福田
Toru Sawada
徹 澤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイブリッド型薄膜光電変換装置の性能の改
善を図るとともに、その製造工程の融通性を高めかつ生
産効率を改善し得る製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明によるハイブリッド型薄膜光電変
換装置は、透明基板1上において反応ガスの主要成分と
してシランと希釈水素を含むプラズマCVDによって順
に堆積されたp型層3p、非晶質i型光電変換層3i、
およびn型層3nを含む非晶質光電変換ユニット3と、
さらにその上に順に堆積されたp型層4p、結晶質i型
光電変換層4i、およびn型層4nを含む結晶質光電変
換ユニット4とを含み、結晶質ユニット4に含まれるp
型層4pが非晶質ユニット3に含まれるn型層3nに比
べて大きい体積結晶化分率を有することを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜光電変換装置に
関し、特に、ハイブリッド型薄膜光電変換装置とその製
造方法の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から非晶質シリコン薄膜をプラズマ
CVDで形成する場合にはシランおよび適宜の希釈水素
と133Pa(1Torr)以下のガス圧とが採用され
ていたが、特開平11−330520においては、50
倍以上の大きな水素希釈率と667Pa(5Torr)
以上の高いガス圧を利用したプラズマCVDによって、
比較的低温で良質の結晶質シリコン薄膜を迅速に形成し
得ることが述べられている。
【0003】そして近年では、薄膜光電変換装置の典型
例である薄膜太陽電池も多様化し、従来の非晶質薄膜太
陽電池の他に結晶質薄膜太陽電池も開発され、これらを
積層したハイブリッド型薄膜太陽電池も実用化されつつ
ある。なお、本願明細書において、「結晶質」の用語
は、薄膜光電変換装置の技術分野において通常用いられ
ているように部分的に非晶質を含むものをも意味し、少
なくとも50%を超える体積結晶化分率を有するものを
意味するものとする。
【0004】一般に、半導体薄膜太陽電池は、少なくと
も表面が絶縁性の基板上に順に積層された第1電極、1
以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および第2電極を
含んでいる。そして、1つの光電変換ユニットは、p型
層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。
【0005】光電変換ユニットの厚さの大部分を占める
i型層は実質的に真性の半導体層であって、光電変換作
用は主としてこのi型層内で生じる。したがって、i型
光電変換層は光吸収のためには厚い方が好ましいが、必
要以上に厚くすればその堆積のためのコストと時間が増
大することになる。
【0006】他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユ
ニット内に拡散電位を生じさせる役割を果たし、この拡
散電位の大きさによって薄膜太陽電池の重要な特性の1
つである開放端電圧の値が左右される。しかし、これら
の導電型層は光電変換に直接寄与しない不活性な層であ
り、導電型層にドープされた不純物によって吸収される
光は発電に寄与しない損失となる。したがって、p型と
n型の導電型層は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内
でできるだけ薄いことが好ましく、i型層に比べてはる
かに小さな厚さを有している。
【0007】このようなことから、光電変換ユニットま
たは薄膜太陽電池は、それに含まれるp型とn型の導電
型層が非晶質か結晶質かにかかわらず、その主要部を占
めるi型の光電変換層が非晶質のものは非晶質ユニット
または非晶質薄膜太陽電池と称され、i型層が結晶質の
ものは結晶質ユニットまたは結晶質薄膜太陽電池と称さ
れる。
【0008】ここで、ガラス板のような透明絶縁基板上
に薄膜光電変換装置が形成される場合、その基板は光電
変換装置の表面保護用カバーガラスの役割を果たさせる
ことができ、一般に、ガラス基板上には透明電極を介し
て比較的大きなバンドギャップのp型層、i型光電変換
層、および比較的小さなバンドギャップのn型層の順に
積層されることが多い。
【0009】また、薄膜太陽電池の変換効率を向上させ
る方法として、2以上の光電変換ユニットを積層してタ
ンデム型にする方法がある。この方法においては、薄膜
太陽電池の光入射側に大きなバンドギャップを有する光
電変換層を含む前方ユニットを配置し、その後ろに順に
小さなバンドギャップを有する(たとえばSi−Ge合
金などの)光電変換層を含む後方ユニットを配置するこ
とにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を
可能にし、これによって太陽電池全体としての光電変換
効率の向上が図られる。このようなタンデム型薄膜太陽
電池の中でも、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変
換ユニットの両方を含むものは、特にハイブリッド型薄
膜太陽電池と称される。
【0010】たとえば、非晶質i型シリコンが光電変換
し得る光の波長は長波長側において800nm程度まで
であるが、結晶質i型シリコンはそれより長い約110
0nm程度の波長の光までを光電変換することができ
る。ここで、光吸収係数の大きな非晶質シリコン光電変
換層は光吸収のためには単一光電変換ユニットの場合で
も0.3μm以下の厚さで十分であるが、光吸収係数の
小さな結晶質シリコン光電変換層は長波長の光をも十分
に吸収するためには単一光電変換ユニットの場合では2
〜3μm程度以上の厚さを有することが好ましい。すな
わち、結晶質光電変換層は、通常は、非晶質光電変換層
に比べて10倍程度に大きな厚さを有することが望まれ
る。ただし、ハイブリッド型薄膜太陽電池においては、
単一ユニットの場合に比べて、各光電変換層を比較的薄
くすることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上述べられたよう
に、単一の非晶質ユニットのみを含む非晶質薄膜光電変
換装置に比べて、ハイブリッド型薄膜光電変換装置は高
い光電変換効率を有し得ることが明らかである。しか
し、そのようなハイブリッド型薄膜光電変換装置におい
ても、更なる性能改善が望まれている。
【0012】また、ハイブリッド型薄膜光電変換装置に
おいて、非晶質ユニットを形成する際に最適なプラズマ
CVD条件と結晶質ユニットを形成するのに最適なプラ
ズマCVD条件とは互いに異なるので、互いに別々のプ
ラズマCVD装置でそれぞれの最適条件のもとで形成す
ることが好ましい。また、結晶質ユニットは非晶質ユニ
ットに比べて長い形成時間を要するので、単一の製造ラ
インで形成された非晶質ユニット上に、結晶質ユニット
を複数の製造ラインで迅速に形成することが望まれる場
合もある。
【0013】しかし、たとえば基板上に非晶質ユニット
を形成した後に、その基板をプラズマCVD装置から一
旦大気中に取出して他のプラズマCVD装置に移して結
晶質ユニットをさらに形成した場合、得られるハイブリ
ッド型薄膜光電変換装置の変換特性は基板を大気中に取
出すことなく両ユニットを連続的に形成した場合に比べ
て低下するという事実を本発明者は経験している。
【0014】そこで、本発明は、ハイブリッド型薄膜光
電変換装置の性能の更なる改善を図るとともに、その製
造工程の融通性を高めかつ生産効率を改善し得る製造方
法を提供することをも目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によるハイブリッ
ド型薄膜光電変換装置は、透明基板上において反応ガス
の主要成分としてシランと希釈水素を含むプラズマCV
Dによって順に堆積されたp型層、非晶質i型光電変換
層、およびn型層を含む非晶質光電変換ユニットと、さ
らにその上に順に堆積されたp型層、結晶質i型光電変
換層、およびn型層を含む結晶質光電変換ユニットとを
含み、結晶質ユニットに含まれるp型層が非晶質ユニッ
トに含まれるn型層に比べて大きい体積結晶化分率を有
することを特徴としている。
【0016】このようなハイブリッド型薄膜光電変換装
置を製造するための方法では、結晶質ユニットに含まれ
るp型層は非晶質ユニットに含まれるn型層に比べて大
きい水素希釈率と高いガス圧のもとでプラズマCVDに
よって堆積されることを特徴としている。
【0017】なお、非晶質ユニットに含まれるn型層の
第1の部分的n層が堆積された後に基板が一旦プラズマ
CVD装置外に取り出されてその第1部分的n層の表面
が大気に露呈され、その後に基板が再度プラズマCVD
装置内に導入されて第1部分的n層の表面が水素プラズ
マエッチングされ、これに続いて第1部分的n層上に残
りの第2部分的n層が堆積されてもよい。
【0018】また、非晶質ユニットに含まれるn型層の
第1の部分的n層が堆積された前記基板が一旦プラズマ
CVD装置外に取り出されてその第1部分的n層の表面
が大気に露呈され、その後に基板が再度プラズマCVD
装置内に導入されて第1部分的n層の表面が水素プラズ
マエッチングされ、これに続いて第1部分的n層上に残
りの第2部分的n層が堆積され、その際に、結晶質ユニ
ットに含まれるp型層は第1部分的n層に比べて大きい
水素希釈率と高いガス圧のもとでプラズマCVDによっ
て堆積されるが、第2部分的n層は結晶質ユニットに含
まれるp型層に比べて小さい水素希釈率であるが同じガ
ス圧のもとでプラズマCVDによって堆積されてもよ
い。
【0019】
【発明の実施の形態】以下において、本発明のいくつか
の実施例が、いくつかの比較例との比較において説明さ
れる。
【0020】(比較例1)比較例1として、図1に示さ
れているようなハイブリッド型薄膜太陽電池が作製され
た。まず、ガラス基板1上に、酸化錫の透明電極層2が
熱CVDで形成された。その後、基板1はプラズマCV
D装置内に導入され、基板温度は200℃に設定され
た。
【0021】そして、非晶質光電変換ユニット3に含ま
れる厚さ15nmの非晶質p型シリコンカーバイド層3
p、厚さ250nmのノンドープ非晶質i型シリコン光
電変換層3i、および厚さ15nmのn型シリコン層3
nが、プラズマCVDによって順次に堆積された。
【0022】その際に、n型シリコン層3nのプラズマ
CVD条件において、反応ガス流量として、シランが2
0sccm、水素が1700sccm、そして5000
ppmに水素希釈されたホスフィンが100sccmに
設定された。また、反応ガス圧は333Pa(2.5T
orr)に設定され、プラズマ励起用高周波電力が10
0mW/cm2の密度で印加された。
【0023】次に、結晶質光電変換ユニット4に含まれ
る厚さ12nmのp型シリコン層4p、厚さ2.0μm
の結晶質i型シリコン光電変換層4i、および厚さ15
nmのn型シリコン層4nが、プラズマCVDによって
順次に堆積された。
【0024】その際に、p型シリコン層4pのプラズマ
CVD条件において、反応ガス流量として、シランが2
0sccm、水素が1700sccm、そして5000
ppmに水素希釈されたジボランが75sccmに設定
された。また、反応ガス圧は333Paに設定され、プ
ラズマ励起用高周波電力が100mW/cm2の密度で
印加された。
【0025】すなわち、非晶質光電変換ユニット3のn
型シリコン層3nとその上の結晶質光電変換ユニット4
のp型シリコン層4pとは、同じ反応ガス圧と同じ水素
希釈率によるプラズマCVDで堆積された。
【0026】結晶質光電変換ユニット4が形成された後
には、裏面電極層5として、厚さ90nmの酸化亜鉛膜
5aと厚さ240nmの銀膜がスパッタリングによって
順次に堆積された。
【0027】以上のようにして得られた比較例1のハイ
ブリッド型薄膜太陽電池に関して、ソーラシミュレータ
を用いてAM1.5に近いスペクトル分布を有する擬似
太陽光を100mW/cm2のエネルギ密度で照射して
出力特性を測定したところ、開放端電圧が1.32V、
短絡電流密度が11.50mA/cm2、曲線因子が7
1.5%、そして変換効率が10.85%であった。
【0028】(実施例1)実施例1においても、比較例
1の場合と同様にして図1に示されているようなハイブ
リッド型薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例1
は、結晶質光電変換ユニット4のp型シリコン層4pを
堆積する際に希釈水素流量が4500sccmに高めら
れるとともに反応ガス圧が667Pa(5Torr)に
高められたことのみにおいて比較例1と異なっていた。
【0029】こうして得られた実施例1のハイブリッド
型薄膜太陽電池に関して、比較例1の場合と同一の条件
で擬似太陽光を照射して出力特性を測定したところ、開
放端電圧が1.36V、短絡電流密度が11.61mA
/cm2、曲線因子が73.0%、そして変換効率が1
1.53%であった。
【0030】以上の比較例1と実施例1との比較から、
実施例1のハイブリッド型薄膜太陽電池は比較例1に比
べて明らかに改善された出力特性を有していることがわ
かる。この理由としては、以下のことが考えられる。
【0031】一般に、n型シリコン層とp型シリコン層
を同一の反応ガス圧と同一のシランに対する水素希釈率
とのもとでプラズマCVDによって堆積させた場合、p
型シリコン層はn型シリコン層に比べて結晶化しにく
く、その体積結晶化分率が低くなる。このような状況の
もとにおいて、比較例1に比べて、実施例1では結晶質
光電変換ユニット4のp型シリコン層4pを堆積する際
に水素希釈率が2倍以上に高められるとともに反応ガス
圧も2倍に高められている。したがって、比較例1に比
べて、実施例1では結晶質光電変換ユニット4のp型シ
リコン層4pにおける体積結晶化分率が向上していると
考えられる。そして、実施例1では体積結晶化分率の向
上したp型シリコン層4pを下地層としてその上に良質
の結晶質i型シリコン光電変換層4iが形成され、ハイ
ブリッド型薄膜太陽電池の性能が改善されたものと考え
られる。
【0032】なお、比較例1と実施例1のn型シリコン
層3nとp型シリコン層4pにおける体積結晶化分率を
推測すべく、それぞれのプラズマCVD条件のもとでn
層とp層を直接ガラス基板上に堆積して分光エリプソメ
トリによって評価したところ、比較例1に対応するn層
とp層の体積結晶化分率はそれぞれ72%と66%であ
り、実施例1に対応するn層とp層の体積結晶化分率は
それぞれ72%と75%であった。
【0033】(比較例2)比較例2においても、比較例
1の場合と同様にして図1に示されているようなハイブ
リッド型薄膜太陽電池が作製された。ただし、比較例2
は、非晶質光電変換ユニット3のn型シリコン層3nを
堆積するプロセスが一部変更されたことのみにおいて比
較例1と異なっていた。
【0034】すなわち比較例2においても、ガラス基板
1上で非晶質光電変換ユニット3の非晶質i型シリコン
光電変換層3iまでは、比較例1と同じ条件で形成され
た。これに続いて、n型層3nの一部を構成する第1の
n型シリコン部分層3n1が比較例1と同じCVD条件
のもとで15nmの厚さに堆積された。
【0035】この後に、基板1がプラズマCVD装置か
ら大気中に取出され、異なる第2のプラズマCVD装置
内に導入された。この第2のプラズマCVD装置内にお
いても、基板温度は200℃に設定された。
【0036】そして第2のプラズマCVD装置内におい
て、まず、一旦表面が大気に晒された第1n型シリコン
部分層3n1の表面をリフレッシュさせるように、プラ
ズマ反応室内に水素ガスのみが導入されて水素プラズマ
エッチング処理が行なわれた。これに続いて、n型層3
nに含まれる残りの第2n型シリコン部分層3n2が第
1n型シリコン部分層3n1と同じCVD条件のもとで
15nmの厚さに堆積された。すなわち、比較例2にお
いては、第1と第2のn型シリコン部分層3n 1と3n2
を含むn型層3nは、30nmの厚さを有していた。
【0037】非晶質ユニット3上には、比較例1と同じ
条件のもとで結晶質ユニット4と裏面電極5が形成され
た。
【0038】このように、水素プラズマ処理を行なって
さらに第2のn型シリコン部分層3n2を追加成膜する
ことによって、異なるプラズマCVD装置間を移動させ
るときに大気に晒されて汚染された第1n型シリコン部
分層3n1の表面を清浄化して大気暴露の影響を低減さ
せることができ、真空中で連続成膜する場合とほぼ同等
の品質のn型層3nを得ることができる。
【0039】こうして得られた比較例2のハイブリッド
型薄膜太陽電池に関して、比較例1の場合と同一の条件
で擬似太陽光を照射して出力特性を測定したところ、開
放端電圧が1.32V、短絡電流密度が11.48mA
/cm2、曲線因子が71.3%、そして変換効率が1
0.80%であった。
【0040】(実施例2)実施例2においても、比較例
2の場合と同様にして図1に示されているようなハイブ
リッド型薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例2
は、結晶質光電変換ユニット4のp型シリコン層4pを
堆積する際に希釈水素流量が4500sccmに高めら
れるとともに反応ガス圧が667Paに高められたこと
のみにおいて比較例2と異なっていた。
【0041】こうして得られた実施例2のハイブリッド
型薄膜太陽電池に関して、比較例2の場合と同一の条件
で擬似太陽光を照射して出力特性を測定したところ、開
放端電圧が1.36V、短絡電流密度が11.58mA
/cm2、曲線因子が72.8%、そして変換効率が1
1.47%であった。
【0042】以上の比較例2と実施例2との比較から、
実施例2のハイブリッド型薄膜太陽電池は比較例2に比
べて明らかに改善された出力特性を有していることがわ
かる。また、実施例2では第1n型シリコン部分層3n
1の表面がプラズマCVD装置外の大気に一旦晒された
が、その表面が水素プラズマエッチングでクリーニング
されているので、実施例1とほぼ同等の出力特性を有す
るハイブリッド型薄膜太陽電池が得られている。
【0043】(実施例3)実施例3においても、実施例
2の場合と同様にして図1に示されているようなハイブ
リッド型薄膜太陽電池が作製された。ただし、実施例2
では、第2n型シリコン部分層3n2を堆積する際に水
素流量が3500sccmに高められるとともに反応ガ
ス圧が667Paに高められたことのみにおいて実施例
2と異なっていた。
【0044】こうして得られた実施例3のハイブリッド
型薄膜太陽電池に関して、実施例2の場合と同一の条件
で擬似太陽光を照射して出力特性を測定したところ、開
放端電圧が1.35V、短絡電流密度が11.60mA
/cm2、曲線因子が73.1%、そして変換効率が1
1.45%であった。
【0045】すなわち、実施例3においても、実施例1
とほぼ同等の出力特性を有するハイブリッド型薄膜太陽
電池が得られていることがわかる。ところで、実施例3
では第2n型シリコン部分層3n2を堆積する際の反応
ガス圧が、それに続いて堆積されるp型シリコン層4p
の体積の際と同一の667Paに高められているので、
反応室内のガス圧調整のための時間を節約することがで
きる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ハイブ
リッド型薄膜光電変換装置の性能の改善を図るととも
に、その製造工程の融通性を高めかつ生産効率を改善し
得る製造方法を提供することができ、生産効率を高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例と比較例によるハイブリッド
型薄膜太陽電池の積層構造を示す模式的な断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ガラス基板、2 透明電極、3 非晶質光電変換ユ
ニット、3p p型層、3i 非晶質i型光電変換層、
3n n型層、3n1 第1n型部分層、3n2第2n型
部分層、4 結晶質光電変換ユニット、4p p型層、
4i 結晶質i型光電変換層、4n n型層、5 裏面
電極層、5a 酸化亜鉛膜、5b 銀膜。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上において反応ガスの主要成分
    としてシランと希釈水素を含むプラズマCVDによって
    順に堆積されたp型層、非晶質i型光電変換層、および
    n型層を含む非晶質光電変換ユニットと、さらにその上
    に順に堆積されたp型層、結晶質i型光電変換層、およ
    びn型層を含む結晶質光電変換ユニットとを含み、 前記結晶質ユニットに含まれる前記p型層が前記非晶質
    ユニットに含まれる前記n型層に比べて大きい体積結晶
    化分率を有することを特徴とするハイブリッド型薄膜光
    電変換装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されたハイブリッド型薄
    膜光電変換装置を製造するための方法であって、 前記結晶質ユニットに含まれる前記p型層は前記非晶質
    ユニットに含まれる前記n型層に比べて大きい水素希釈
    率と高い反応ガス圧のもとで前記プラズマCVDによっ
    て堆積されることを特徴とする製造方法。
  3. 【請求項3】 前記非晶質ユニットに含まれる前記n型
    層の第1の部分的n層が堆積された後に前記基板が一旦
    プラズマCVD装置外に取り出されてその第1部分的n
    層の表面が大気に露呈され、 その後に前記基板が再度プラズマCVD装置内に導入さ
    れて前記第1部分的n層の表面が水素プラズマエッチン
    グされ、 これに続いて前記第1部分的n層上に残りの第2部分的
    n層が堆積されることを特徴とする請求項2に記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載されたハイブリッド型薄
    膜光電変換装置を製造するための方法であって、 前記非晶質ユニットに含まれる前記n型層の第1の部分
    的n層が堆積された後に前記基板が一旦プラズマCVD
    装置外に取り出されてその第1部分的n層の表面が大気
    に露呈され、 その後に前記基板が再度プラズマCVD装置内に導入さ
    れて前記第1部分的n層の表面が水素プラズマエッチン
    グされ、 さらに前記第1部分的n層上に残りの第2部分的n層が
    堆積され、 その際に、前記結晶質ユニットに含まれる前記p型層は
    前記第1部分的n層に比べて大きい水素希釈率と高いガ
    ス圧のもとで前記プラズマCVDによって堆積される
    が、前記第2部分的n層は前記結晶質ユニットに含まれ
    る前記p型層に比べて小さい水素希釈率であるが同じガ
    ス圧のもとで前記プラズマCVDによって堆積されるこ
    とを特徴とする製造方法。
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