JP3762086B2 - タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置 - Google Patents

タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置 Download PDF

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は広い波長範囲の光に対して有効なタンデム型薄膜光電変換装置に関し、特に、タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置の低コスト化と安定化後の光電変換効率の改善とに関するものである。なお、本願明細書において、「結晶質」と「微結晶」の用語は、部分的に非晶質状態を含むものをも意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】
薄膜光電変換装置の代表的なものとして非晶質シリコン系太陽電池があり、これは低コストの光電変換装置としての有力候補として期待されている。他方、薄膜光電変換装置の低コスト化と高性能化を両立させるために、安価な基板上に低温プロセスで形成される良質の結晶質シリコンを含む多結晶シリコン薄膜や微結晶シリコン薄膜などを用いた光電変換装置の開発も精力的に行なわれている。
【0003】
中でも、安価な低融点ガラスを用いることができる300℃以下の低温プロセスのみによって優れた光電変換効率を有する結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を形成し得る方法が近年脚光を浴びており、たとえば、微結晶シリコンのpin接合を含む光電変換装置がAppl. Phys. Lett., vol.65, 1994, p.860に記載されている。この光電変換装置は、簡便にプラズマCVD法で順次積層されたp型半導体層、光電変換層としてのi型半導体層、およびn型半導体層を含み、これらの半導体層のすべてが微結晶シリコンであることを特徴としている。
【0004】
また、同じくプラズマCVD法で低温形成される結晶質シリコン系薄膜光電変換装置において、基板や下地層が実質的に平面であっても微細な凹凸を含むテクスチャ構造の上面を有するシリコン系薄膜を形成することができ、そのシリコン系薄膜に入射した光がそのテクスチャ構造によって外部に逃げにくくなるといういわゆる光閉じ込め効果が得られる旨が、たとえばJpn. J. Appl. Phys., vol.36, 1997, L569 において述べられている。
【0005】
しかし、これらの非晶質シリコン系薄膜または結晶質シリコン系薄膜のいずれを利用しても、それ単独では未だ十分な光電変換効率が得られず、さらなる改善のために種々の試みが行なわれている。それらの試みの1つとして、光吸収特性の異なる複数の光電変換ユニットを2段以上積層したタンデム型構造がある。タンデム型構造の利点としては、(1)幅広い波長領域にわたる光を複数の光電変換ユニットに分担して吸収させることができ、広い波長範囲の光の有効利用が図れること、(2)高い開放端電圧が得られること、(3)非晶質シリコン系材料を用いた場合に見られる光劣化現象による光電変換特性の低下率をある程度抑制できることなどが挙げられる。
【0006】
このようなタンデム型において、2つの光電変換ユニットを積層した2段タンデム型が最も一般的である。たとえば、光入射側に配置された前方ユニットとして非晶質シリコン光電変換層を含むユニットを用い、後方ユニットとして非晶質シリコンまたは非晶質シリコンゲルマニウムの光電変換層を含むユニットを用いて、非晶質シリコン系材料のみで構成されるタンデム型光電変換装置が数多く実施されている。しかし、このような非晶質材料のみを用いた2段タンデム型光電変換装置は前方と後方の両光電変換ユニットともに光劣化を生じるので、厚い非晶質光電変換層を含む単独セルほどではないにしても、タンデム型でも光劣化率を十分に抑制できないという問題が残っている。
【0007】
また、非晶質シリコン系材料では光電変換可能な光の波長域が狭く、たとえば後方ユニットに非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層を含むユニットを用いたタンデム型の場合においても、その光電変換可能な光は約1000nmよりも短い波長領域の光に限定されてしまう。長波長領域における光感度を増大させるためには、非晶質シリコンゲルマニウム膜中のゲルマニウム含有量を増大させる必要があるが、その場合には、膜の光電特性が著しく低下して光電変換装置に適用し得る品質のものは得られず、かつ資源が乏しくて高価なゲルマニウムを大量に要することになって光電変換装置のコストが高くなってしまう。
【0008】
近年では、前方ユニットとして非晶質シリコン光電変換層を含むユニットを用いて、後方ユニットとして結晶質シリコン系光電変換層を含むユニットを用いた2段タンデム型光電変換装置も多く実施されている。この場合は、後方ユニット中の結晶質シリコン系材料の光安定性が非常に高く、かつ約1100nmの長波長付近まで光感度を有することから、上述の非晶質シリコン系材料のみで構成されるタンデム型光電変換装置と比べれば高い光電変換効率が得られることが期待される。
【0009】
ところが、結晶質シリコン系光電変換層を含むユニットが高い光電流を生じるのに対して、非晶質シリコン光電変換層を含むユニットの光感度が低くて、両者を直列接続したときに発生する電流のバランスを図るためには非晶質シリコン膜の厚さをかなり大きくすることが必要となる。しかし、一般に非晶質シリコン系光電変換層を含むユニットにおいては、その膜厚が増大するにつれて光劣化率も増大することが知られており、このように非晶質と結晶質の2つの光電変換ユニットを組合せた2段タンデム型光電変換装置においても、安定化後の光電変換効率は期待されるほどには高くならない。
【0010】
他方、光電変換ユニットを3段以上積層したタンデム型光電変換装置においては、光の広い波長範囲をより細かく分割して各ユニットに分担して吸収させることができ、設計の自由度も大きくなって、より高性能化が期待できる。また、3段以上のタンデム型では高い開放端電圧が得られるとともに、全段に非晶質シリコン系光電変換ユニットを用いた場合の光劣化率は、設計パラメータによっては2段タンデム型よりもさらに抑制することができる。
【0011】
このような例としては、光入射側に配置された前方ユニットとして非晶質シリコンまたは非晶質シリコンカーバイドの層を含む光電変換ユニットを用い、中間ユニットとして非晶質シリコンまたは非晶質シリコンゲルマニウムの層を含む光電変換ユニットを用い、そして後方ユニットとして非晶質シリコンゲルマニウムの層を含む光電変換ユニットを用いることによって、非晶質シリコン系材料のみで構成される3段タンデム型光電変換装置が比較的多く実施されている。たとえば、IEEE 1st World Conf. on Photovoltaic Energy Conversion, p.405 (1994)やApplied Physics Letters, vol.70, p.2975 (1997)などにおいて、このような3段タンデム型光電変換装置が試みられている。
【0012】
また、後方端ユニットとして結晶質シリコン系光電変換層を含むユニットを用い、これと非晶質シリコン系光電変換層を含む複数のユニットとを組合せて3段以上のタンデム型構造にした光電変換装置が、特開平1−289173に開示されている。この場合も、前述の2段タンデム型の場合と同様に、後方端ユニットの結晶質シリコン系材料の光安定性が非常に高く、かつ約1100nmの長波長付近まで光感度を有することから、理論的には非晶質シリコン材料のみで構成されるタンデム型光電変換装置に比べれば高い変換効率が期待される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置のうちで、非晶質シリコン材料のみで構成されるタンデム型光電変換装置においては、すべての非晶質光電変換ユニットにおいて依然として光劣化が生じるために、全体としての光劣化率があまり抑制できないという問題がある。また、非晶質のタンデム型でも、光電変換可能な光は、約1000nmより短い波長領域の光に限定される。さらに、光閉じ込め効果を得るためには凹凸表面テクスチャ構造を有する基板や裏面電極の上に光電変換ユニットを形成することが考えられるが、平らな下地上に形成される非晶質シリコン系薄膜自身は微細な凹凸表面テクスチャ構造を生じる性質がないので、その光閉じ込め効果には限界がある。さらにまた、3段以上のタンデム型では、中間ユニットに非晶質シリコンゲルマニウムを用いる場合にはゲルマニウム含有量が比較的少なくて済むが、後方端ユニットにシリコンゲルマニウムを用いる場合には多くのゲルマニウム含有量を必要とし、コストと半導体膜の光電特性とを両立させることが困難である。
【0014】
他方、上述の従来技術においては、後方端ユニットとして結晶質シリコン系光電変換層を含むユニットを用いたタンデム型光電変換装置では、結晶質シリコン系薄膜の形成プロセスにレーザアニール法や熱アニール法などの高温プロセスを必要としており、製造工程が複雑でコストが高くなる。従来技術においてはまた、基板、裏面電極または結晶質シリコン系薄膜によって光電変換ユニットの表面が微細な凹凸を含むテクスチャ構造に制御されていないので光閉じ込め効果が低く、光電変換効率を高めるためには各ユニットに含まれる光電変換層の厚さを大きくする必要がある。さらに、結晶質光電変換ユニットを含む組合せのタンデム型構造は以前から提案されてはいるものの、実際に上述のようなプロセスで作製されたタンデム型光電変換装置において高い光電変換効率が得られたという例は、未だかつて報告されていない。
【0015】
以上のような従来技術の課題に鑑み、本発明の目的は、安価な基板が使用可能な低温プロセスのみを用いて結晶質シリコン系光電変換ユニットを含むタンデム型光電変換装置を形成し、タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置の低コスト化と高性能化の両立を図ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によるタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置では、絶縁性表面を有する基板上において、金属薄膜を含む裏面電極、第1光電変換ユニット、第2光電変換ユニット、および透明導電性酸化膜を含む前面電極がこの順序で積層されており、第1と第2の光電変換ユニットの各々は300℃以下の下地温度の下でプラズマCVD法により順次に堆積された半導体層である1導電型層と光電変換層と逆導電型層を含み、第1光電変換ユニットの光電変換層は結晶質を含むシリコン系薄膜からなり、第2光電変換ユニットの光電変換層は非晶質シリコンゲルマニウム薄膜からなり、そして、第1光電変換ユニットの上面は微細な凹凸を含むテクスチャ構造を有し、裏面電極の上面も微細な凹凸を含むテクスチャ構造を有し、第1光電変換層の上面における凹凸の平均間隔は裏面電極の上面における凹凸の平均間隔の2/3以下であることを特徴としている。
【0018】
また、第2光電変換ユニットと前面電極との間には第3光電変換ユニットを付加的に挿入してもよく、この第3光電変換ユニットも300℃以下の下地温度の下でプラズマCVD法により順次に堆積された半導体層である1導電型層と光電変換層と逆導電型層を含み、その光電変換層は非晶質シリコン薄膜または非晶質シリコンカーバイド薄膜からなることが好ましい。
【0019】
すなわち、本発明者たちは、上述のような従来技術における課題を解決すべく検討を重ねた結果、平らな下地上に堆積されても上面が微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を形成し得る性質を有する結晶質シリコン系薄膜を含む光電変換ユニットを後方端ユニットとして形成し、この上に形成された非晶質シリコンゲルマニウム層を含む光電変換ユニットにおいて光閉じ込め効果の向上による優れた光電変換特性を示すことを見出したのである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態によるタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置が、その製造過程に従って、以下において説明される。
【0021】
まず、本発明による光電変換装置のための基板としては、表面が絶縁処理されたステンレス等の金属、有機フィルム、または低融点の安価なガラスなどが用いられ得る。
【0022】
基板上の裏面電極は、下記の薄膜(A)と(B)のうちの1以上を含み、たとえば蒸着法やスパッタ法によって形成され得る。
(A) Ti、Cr、Al、Ag、Au、CuおよびPtから選択された少なくとも1以上の金属またはこれらの合金からなる金属薄膜。
(B) ITO、SnO2 およびZnOから選択された少なくとも1以上の酸化物からなる透明導電性薄膜。
【0023】
裏面電極の上表面は、実質的に平坦であるか、または数百nmから数μm程度の間隔の微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を有している。このような裏面電極の上面におけるテクスチャ構造は、たとえば表面が微細な凹凸を有するように加工された基板上に裏面電極を堆積するか、または裏面電極に含まれる少なくとも1つの層が自然に微細な凹凸表面を生じる堆積条件で形成されることによって得ることができる。
【0024】
裏面電極上には、複数のシリコン系光電変換ユニットが積層されてタンデム型にされる。これらの光電変換ユニットの各々に含まれるすべての半導体層が、300℃以下の下地温度の条件の下にプラズマCVD法によって堆積される。プラズマCVD法としては、一般に広く知られている平行平板型のRFプラズマCVDを用い得る他、周波数が150MHz以下のRF帯からVHF帯までの高周波電源を利用するプラズマCVDを用いてもよい。
【0025】
裏面電極上には、まず第1光電変換ユニットに含まれる1導電型層が堆積される。この1導電型層としては、たとえば導電型決定不純物原子であるリンがドープされたn型シリコン系薄膜、またはボロンがドープされたp型シリコン系薄膜などが用いられ得る。しかし、この1導電型層についてのこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原子としては、たとえばn型層においては窒素等でもよく、また材料としては非晶質シリコンまたは非晶質シリコンカーバイドや非晶質シリコンゲルマニウム等の合金材料の他に、多結晶もしくは部分的に非晶質を含む微結晶のシリコンまたはその合金材料を用いることもできる。なお、望まれる場合には、堆積されたこのような1導電型層にパルスレーザ光を照射することにより、その結晶化分率や導電型決定不純物原子によるキャリア濃度を制御することもできる。
【0026】
第1光電変換ユニットの1導電型層上には、光電変換層として、結晶質を含むシリコン系薄膜光電変換層が堆積される。この結晶質を含むシリコン系薄膜光電変換層としては、ノンドープの真性半導体の多結晶シリコン薄膜や体積結晶化分率が80%以上の多結晶シリコン膜、または微量の不純物を含む弱p型もしくは弱n型で光電変換機能を十分に備えているシリコン系薄膜材料が用いられ得る。しかし、この光電変換層はこれらに限定されず、シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等の合金材料を用いて形成されてもよい。
【0027】
このような光電変換層の厚さは0.5〜20μmの範囲内にあり、これは結晶質シリコン系薄膜光電変換層として必要かつ十分な膜厚である。また、この結晶質光電変換層は300℃以下の低温で形成されるので、結晶粒界や粒内における欠陥を終端または不活性化させる水素原子を多く含み、その水素含有量は2〜30原子%の範囲内にある。さらに、結晶質シリコン系薄膜光電変換層に含まれる結晶粒の多くは下地層から上方に柱状に延びて成長しており、その膜面に平行に(110)の優先結晶配向面を有し、そのX線回折における(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比は0.2以下である。
【0028】
第1光電変換ユニットの結晶質光電変換層上には、第1導電型層とは逆タイプの逆導電型層としてのシリコン系薄膜が堆積される。この逆導電型層としては、たとえば導電型決定不純物原子であるボロンがドープされたp型シリコン系薄膜、またはリンがドープされたn型シリコン系薄膜などが用いられ得る。しかし、この逆導電型層についてのこれらの条件は限定的なものではなく、不純物原子としてはたとえばp型層においてはアルミニウム等でもよく、また材料としては非晶質シリコンまたは非晶質シリコンカーバイドや非晶質シリコンゲルマニウム等の合金材料の他に、多結晶もしくは部分的に非晶質を含む微結晶のシリコンまたはその合金材料を用いることもできる。
【0029】
ここで、裏面電極の表面が実質的に平坦である場合でも、その上に堆積される第1光電変換ユニットの上面には、そのユニットの厚さよりも約1桁ほど小さな間隔の微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造が形成される。また、裏面電極の上面が凹凸テクスチャ構造を有する場合、第1光電変換ユニットの上面のテクスチャ構造における微細な凹凸の平均間隔は、裏面電極のそれと比べて約3分の2以下に小さくなる。これは、第1光電変換ユニットに含まれる結晶質光電変換層がその堆積時に自然に凹凸テクスチャ構造を生じることによるものであり、これによって、第1光電変換ユニットの上面が、広範囲の波長領域の入射光を散乱させるのに一層適した微細な表面凹凸テクスチャ構造になり、タンデム型光電変換装置全体としての光閉じ込め効果も大きくなる。
【0030】
なお、第1光電変換ユニットが形成された後には、場合によってはその逆導電型層上に、ITO、SnO2 およびZnOから選択された1以上の層を含みかつ10〜200nmの範囲内の厚さを有する透明導電性酸化膜が形成されてもよい。
【0031】
第1光電変換ユニット上には、第2光電変換ユニットに含まれる第1導電型層と光電変換層と逆導電型層が、第1光電変換ユニットの場合と同様に順次に堆積される。しかし、第2光電変換ユニットに含まれる光電変換層は、実質的に真性半導体の非晶質シリコンゲルマニウム薄膜に限定される。この非晶質シリコンゲルマニウム(a−Si1-X GeX )薄膜のゲルマニウム含有量は1〜30原子%(x=0.01〜0.3)の範囲内にあり、その光学的エネルギバンドギャップEopt は1.52〜1.74eVの範囲内にあることが好ましい。ここで、光学的バンドギャップEopt は、ガラス基板上に直接堆積された半導体膜を被測定試料として、その光吸収係数αの光エネルギhν依存性に基づくaucの式(αhν)1/2 ∝hν−Eopt を用いて求められたものである。
【0032】
非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層においてゲルマニウム含有量が少ない場合には実質的に非晶質シリコン膜と変わらず、そのバンドギャップが広くて長波長領域における光感度が不足するために大きな膜厚が必要となり、この第2の光電変換ユニットの光劣化率が増大してしまう。また、光閉じ込め効果の観点からしても、光電変換層のバンドギャップが狭くて長波長の光に対する感度が高いほどその閉じ込め効果が大きくなる。
【0033】
第1光電変換ユニットの底面と第2光電変換ユニットの上面との間、すなわち積層された2つの光電変換ユニット全体に閉じ込められる光は半導体層に吸収されにくい近赤外領域の長波長の光が大部分である。したがって、従来のように結晶質シリコン系光電変換層を含むユニットとゲルマニウムを含まない非晶質シリコン光電変換層を含むユニットとの組合せでは、光閉じ込め効果による光吸収量と光電流の向上は結晶質シリコン系光電変換層を含むユニットにおいては顕著であるが、近赤外領域における光感度が低い非晶質シリコン光電変換層を含むユニットにおける光吸収量にはあまり変化がない。しかし、この非晶質シリコン光電変換層を含むユニットの代わりに非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層を含むユニットを組合せた場合には、タンデム型光電変換装置全体として閉じ込められる長波長の光に対する感度があるので、このような長波長の光に対する光吸収量も増大する。
【0034】
他方、第2光電変換ユニットに含まれる非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層におけるゲルマニウム含有量が多い場合には、先に述べたように膜のコストと光電特性を両立させることが困難となるので好ましくない。本発明によるタンデム型光電変換装置においては第1ユニットとして長波長領域の光感度が高い結晶質シリコン系光電変換層を含むユニットが用いられるので、第2ユニットに含まれる光電変換層の長波長光感度は適度であればよい。したがって、第2光電変換ユニットに含まれる非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層は上述のような範囲のゲルマニウム含有量と光学的バンドギャップを有することが好ましく、その厚さは100〜450nmの範囲内に設定される。
【0035】
光電変換装置が2段タンデム型にされる場合は以上のような第1と第2の光電変換ユニットを形成することによって光電変換ユニットの積層が終了するが、光電変換装置が3段タンデム型にされる場合には、さらに以下のような第3の光電変換ユニットが積層される。
【0036】
なお、第2光電変換ユニットが形成された後には、第1光電変換ユニットが形成された後の場合と同様に、場合によっては第2導電型ユニット上にITO、SnO2 またはZnOから選択された1以上の層を含みかつ10〜200nmの範囲内の厚さを有する透明導電性酸化膜が形成されてもよい。
【0037】
第2光電変換ユニット上に形成される第3光電変換ユニットにおいても、第1導電型層と光電変換層と逆導電型層が順次に堆積される。これらの第1導電型層と逆導電型層は第1と第2の光電変換ユニットの場合と同様に形成されるが、第3ユニットの光電変換層としては実質的に真性半導体の非晶質シリコンまたは10原子%以下の炭素を含む非晶質シリコンカーバイドの層が堆積される。この第3ユニットに含まれる非晶質光電変換層は50〜150nmの範囲内の比較的薄い厚さを有していればよく、その薄さに起因して、第3光電変換ユニットの光劣化率が相当程度に抑制され得る。
【0038】
2段タンデム型と3段タンデム型のいずれにおいても、光電変換ユニットの積層が終了した後に、ITO、SnO2 、ZnOから選択された1以上の層を含む透明導電性酸化膜が前面電極として形成される。さらにこの前面電極上のグリッド電極として、Al、Ag、Au、CuおよびPtから選択された少なくとも1以上の金属またはこれらの合金の層を含む櫛型状の金属電極がスパッタ法または蒸着法により形成されて光電変換装置が完成する。このようなタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置において、光電変換されるべき光は透明導電性酸化膜の前面電極側から照射される。
【0039】
【実施例】
以下において、本発明のいくつかの実施例によるタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置としての太陽電池が、参考例および比較例による太陽電池とともに説明される。
【0040】
参考例1)
図1の模式的な断面図で示されているような2段タンデム型太陽電池が、本発明に関連する参考例1として作製された。なお、本願の各図においては、図面の明瞭化と簡略化のために寸法関係は適宜に変更されており、各層の厚さや凹凸などにおける寸法関係は必ずしも実際の関係を反映してはいない。
【0041】
図1の2段タンデム型太陽電池においては、ガラス基板1上に裏面電極10が形成された。裏面電極10は、100℃の下地温度の条件の下で順次に堆積された厚さ20nmのTi層101、厚さ300nmのAg層102、および厚さ100nmのZnO層103を含んでいる。裏面電極10上には、多結晶シリコン薄膜光電変換層112を含む第1ユニット11と、非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層122を含む第2ユニット12がこの順序で積層された。これらの光電変換ユニット11,12においては、それぞれに対応するp型層111,121、ノンドープの光電変換層112,122、およびn型層113,123が、プラズマCVD法によって形成された。また、前面電極2としては厚さ80nmの透明導電性ITO膜と、その上の電流取出し用の櫛型Ag電極3が形成された。
【0042】
第1ユニット11に含まれるノンドープの多結晶シリコン光電変換層112は250℃の下地温度の下でRFプラズマCVD法によって堆積され、その膜厚は3.5μmにされた。この結晶質光電変換層112において、2次イオン質量分析法によって求められた水素含有量は4.0原子%であり、X線回折における(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比は0.09であった。
【0043】
第2ユニット12に含まれるノンドープの非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層122は220℃の下地温度の下でRFプラズマCVD法によって堆積され、その膜厚は180nmにされた。この非晶質光電変換層122において、2次イオン質量分析法によって求められたゲルマニウム含有量はその膜全体の平均で20原子%であり、光学的バンドギャップEopt は1.60eVであった。
【0044】
ここで、図1の太陽電池において、ガラス基板1の上表面は凹凸表面に加工されておらず、裏面電極10の上表面1Aも、微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を有しておらず、実質的に平坦である。しかし、このような裏面電極10の平坦な上面1Aを下地として第1ユニット11が堆積されるが、結晶質光電変換層112がその上表面に微細な凹凸を含むテクスチャ構造を生じるので、第2ユニット11の上面1Bも微細な凹凸を含むテクスチャ構造を示す。このような第2ユニット11の上面の凹凸テクスチャ構造を表面粗さ計で測定したところ、凹部の間隔の過半数が0.22〜0.5μmの範囲内に分布し、その平均間隔は0.32μmであった。
【0045】
このような参考例1による2段タンデム型太陽電池に入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が1.29V、短絡電流密度が13.3mA/cm2 、曲線因子が72.0%、そして変換効率が12.3%であった。また、この参考例1の太陽電池において、同じ入射光4を550時間照射した後における安定化後の変換効率は10.7%であった。
【0046】
(比較例1)
図1の参考例1に類似して、図2に示されるような2段タンデム型太陽電池が比較例1として作製された。この比較例1の太陽電池においては、第1ユニット21に含まれる光電変換層212として非晶質シリコンゲルマニウム層が形成され、それに伴ってその第1ユニット21の上面2Bが実質的に平坦であり、さらに第2ユニット22と第1ユニット21とで発生する光電流のバランスをとるために第2ユニット22に含まれる光電変換層222の厚さが160nmに変更されていることのみにおいて参考例1と異なっている。すなわち、その他の層201〜203,211,213,221,223は、参考例1における層101〜103,111,113,121,123にそれぞれ対応する同じ堆積条件の下に形成された。
【0047】
この比較例1の第1ユニット21に含まれるノンドープの非晶質シリコンゲルマニウム層212は220℃の下地温度の下でRFプラズマCVD法によって堆積され、その膜厚は200nmにされた。この光電変換層212において、2次イオン質量分析法によって求められたゲルマニウム含有量はその膜全体の平均で40原子%であり、光学的バンドギャップEopt は1.45eVであった。
【0048】
このような比較例1による2段タンデム型太陽電池に入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が1.42V、短絡電流密度が9.82mA/cm2 、曲線因子が68.4%、そして変換効率が9.5%であった。また、この比較例1の太陽電池において、同じ入射光4を550時間照射した後における安定化後の変換効率は7.8%であった。
【0049】
以上の参考例1と比較例1からわかるように、比較例1では第1ユニット21の長波長における光感度を向上させることを目的としてゲルマニウム含有量の多いノンドープの非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層212を用いているが、それにもかかわらず参考例1における多結晶シリコン光電変換層112の長波長光感度には及ばず、しかも、第1ユニット21の上面2Bが凹凸表面テクスチャ構造を有していないので光閉じ込め効果も低く、したがって参考例1と比較例1の2段タンデム型太陽電池における短絡電流密度の値に大きな差が現われている。
【0050】
(比較例2)
図1の参考例1と図2の比較例1とに類似して、図3に示されているような2段タンデム型太陽電池が比較例2として作製された。この比較例2の太陽電池においては、裏面電極30に含まれるAg膜302が250℃の下地温度の下で自然に凹凸表面テクスチャ構造を生じるように形成され、それに伴って裏面電極30の上面3A、第1ユニット31の上面3B、および前方ユニット32の上面が凹凸表面テクスチャ構造を有していることのみにおいて比較例1と異なっている。すなわち、その他の層301,303,311〜313,321〜323は、比較例1における層201,203,211〜213,221〜223にそれぞれ対応する同じ堆積条件の下に形成された。
【0051】
このような比較例2の太陽電池において裏面電極30の上面3Aにおける凹凸形状を表面粗さ計で測定したところ、凹部の間隔の過半数が0.24〜0.35μmの範囲内に分布し、その平均間隔は0.28μmであった。また、裏面電極30のそのような凹凸表面3A上に形成された第1ユニット31の上面3Bと第2ユニット32の上面もほぼ同じ凹凸形状を有していた。
【0052】
このような比較例2による2段タンデム型太陽電池に入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が1.37V、短絡電流密度が12.6mA/cm2 、曲線因子が69.8%、そして変換効率が12.18%であった。また、この比較例2の太陽電池において、同じ入射光4を550時間照射した後における安定化後の変換効率は9.7%であった。
【0053】
比較例2においては、比較例1とは異なって参考例1と同様に凹凸表面テクスチャ構造による光閉じ込め効果が得られることから、初期の光電変換効率では参考例1に近い値が得られている。これは、多結晶シリコン光電変換層112を含む第1ユニット11よりも非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層312を含む第1ユニット31における方が得られる光電流が低いけれども開放端電圧が高いことによるものであり、その影響が2段タンデム型太陽電池全体の特性としても現われているものである。しかし、比較例2においても、やはり比較例1と同様に第1ユニット31の光劣化の影響による変換効率の低下が大きく、安定化後の変換効率では参考例1に比べて歴然たる差が現われている。
【0054】
(実施例
図1の参考例1と図3の比較例2に類似して、図4に示されているような2段タンデム型太陽電池が本発明の実施例として作製された。この実施例の太陽電池においては、比較例2の場合と同様に裏面電極40に含まれるAg膜402が自然に凹凸表面テクスチャ構造を生じる条件で形成されたことを除けば、参考例1と同じ製造条件の下で作製された。すなわち、実施例の層401〜403は比較例2の層301〜303にそれぞれ対応する同じ堆積条件の下に形成され、実施例の層411〜413,421〜423は参考例1の層111〜113,121〜123にそれぞれ対応する同じ堆積条件の下に形成された。
【0055】
この実施例の裏面電極40の上面4Aにおける凹凸形状を表面粗さ計で測定したところ、比較例2の場合と同様に、凹部の間隔の過半数は0.24〜0.35μmの範囲内に分布し、その平均間隔は0.28μmであった。しかし、第1ユニット41の上面4Bにおける凹凸形状は参考例1や比較例2の場合と比べればやや複雑であり、表面粗さ計で測定した結果では凹部の間隔の過半数が0.05〜0.35μmの範囲内に分布し、その平均間隔は0.16μmであった。これは、第1ユニット41に含まれる多結晶シリコン光電変換層412が下地とは独立に新たな凹凸表面テクスチャ構造を生じながら成長することに起因している。すなわち、第1ユニット41の上面4Bにおいては裏面電極40の上面4Aにおける凹凸形状に加えて多結晶光電変換層412が生じた新たな凹凸が重畳されるので、第1ユニット41の上面4Bにおいては微細な凹凸のサイズの分布範囲が広い複雑なテクスチャ構造になるのである。その結果、実施例においては、参考例1や比較例2に比べてさらに光閉じ込め効果を向上させることができる。
【0056】
このような実施例による2段タンデム型太陽電池に入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が1.26V、短絡電流密度が14.0mA/cm2 、曲線因子が73.1%、そして変換効率が13.0%であった。また、この実施例の太陽電池において、同じ入射光4を550時間照射した後における安定化後の変換効率は11.3%であった。すなわち、実施例の太陽電池では、参考例1よりも高い光閉じ込め効果が得られて短絡電流密度がさらに向上し、初期変換効率と安定化後の変換効率ともに高い値が得られた。
【0057】
参考
図1の参考例1による2段タンデム型太陽電池に類似して、図5に示されているような3段タンデム型太陽電池が参考として作製された。この参考の太陽電池は、第2光電変換ユニット12と前面電極2との間に、さらに第3の光電変換ユニット13が形成されていることのみにおいて参考例1の太陽電池と異なっている。この第3光電変換ユニット13に含まれるn型層131とp型層133は、それぞれ第1および第2の光電変換ユニット11,12に含まれるn型層111,121およびp型層113,123と同様に形成された。しかし、第3光電変換ユニット13に含まれる光電変換層132としては、200℃の下地温度の下でRFプラズマCVD法によってノンドープの非晶質シリコン層132が堆積され、その膜厚は90nmにされた。
【0058】
このような参考による3段タンデム型太陽電池に入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が2.22V、短絡電流密度が8.81mA/cm2 、曲線因子が72.6%、そして変換効率が13.7%であった。また、この参考の太陽電池において、同じ入射光4を550時間照射した後における安定化後の変換効率は13.0%であった。
【0059】
(比較例3)
図2の比較例1による2段タンデム型太陽電池に類似して、図6に示されているような3段タンデム型太陽電池が比較例3として作製された。この比較例3の太陽電池は、第2光電変換ユニット22と前面電極2との間に、第3の光電変換ユニット23が形成されていることのみにおいて比較例1の太陽電池と異なっている。また、この比較例3における第3光電変換ユニット28に含まれる層231〜233は、非晶質シリコン光電変換層232の厚さが80nmにされたことを除けば、図5の参考の層131〜133にそれぞれ対応する同様の堆積条件の下で形成された。
【0060】
このような比較例3による3段タンデム型太陽電池に入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が2.36V、短絡電流密度が6.48mA/cm2 、曲線因子が70.5%、そして変換効率が10.8%であった。また、この比較例3の太陽電池において、同じ入射光4を550時間照射した後における安定化後の変換効率は9.3%であった。
【0061】
(比較例4)
図3の比較例2による2段タンデム型太陽電池に類似して、図7に示されているような3段タンデム型太陽電池が比較例4として作製された。この比較例4の太陽電池は、第2光電変換ユニット32と前面電極2との間に、第3の光電変換ユニット33がさらに形成されていることのみにおいて図3の比較例2による太陽電池と異なっている。この比較例4における第3光電変換ユニット33に含まれる層331〜333は、図6の比較例3における層231〜233にそれぞれ対応する同じ堆積条件で形成された。
【0062】
このような比較例4による3段タンデム型太陽電池に入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が2.32V、短絡電流密度が8.29mA/cm2 、曲線因子が71.7%、そして変換効率が13.8%であった。また、この比較例4の太陽電池において、同じ入射光4を550時間照射した後における安定化後の変換効率は11.8%であった。
【0063】
(実施例
図4の実施例による2段タンデム型太陽電池に類似して、図8に示されているような3段タンデム型太陽電池が実施例として作製された。この実施例の太陽電池は、第2光電変換ユニット42と前面電極2との間に、第3の光電変換ユニット43がさらに形成されていることのみにおいて図4の実施例による太陽電池と異なっている。この実施例における第3光電変換ユニット43に含まれる層431〜433は、図5の参考における層131〜133にそれぞれ対応する同じ堆積条件で形成された。
【0064】
このような実施例による3段タンデム型太陽電池に入射光4としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射したときの出力特性においては、開放端電圧が2.18V、短絡電流密度が9.26mA/cm2 、曲線因子が73.3%、そして変換効率が14.8%であった。また、この実施例の太陽電池において、同じ入射光4を550時間照射した後における安定化後の変換効率は13.6%であった。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、結晶質シリコン系薄膜光電変換層を含む第1光電変換ユニットと非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層を含む第2光電変換ユニットを適切に組合せることによって、安定化後においても極めて高い変換効率を有するタンデム型光電変換装置を得ることができ、タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置の低コスト化と高性能化の両立に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関連する参考例1による2段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な断面図である。
【図2】比較例1としての2段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な断面図である。
【図3】比較例2としての2段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な断面図である。
【図4】 本発明の実施例による2段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な断面図である。
【図5】 本発明に関連する参考による3段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な断面図である。
【図6】比較例3としての3段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な断面図である。
【図7】比較例4としての3段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な断面図である。
【図8】 本発明の実施例による3段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1:ガラス基板
2:ITO等の前面透明電極
3:Ag等の櫛型電極
4:入射光
10、20、30、40:裏面電極
11、21、31、41:第1光電変換ユニット
12、22、32、42:第2光電変換ユニット
13、23、33、43:第3光電変換ユニット
101、201、301、401:Ti膜
102、202:平坦な表面を有するAg膜
302、402:凹凸表面テクスチャ構造を有するAg膜
103、203、303、403:透明導電性酸化膜
111、121、131、211、221、231、311、321、331、411、421、431:n型層
112、412:ノンドープの多結晶シリコン薄膜光電変換層
122、212、222、312、322、422:ノンドープの非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層
132、232、332、432:ノンドープの非晶質シリコン光電変換層
113、123、133、213、223、233、313、323、333、413、423、433:p型層
1A、2A、3A、4A:裏面電極の上表面
1B、2B、3B、4B:第1光電変換ユニットの上表面

Claims (4)

  1. 絶縁性表面を有する基板上において、金属薄膜を含む裏面電極、第1光電変換ユニット、第2光電変換ユニット、および透明導電性酸化膜を含む前面電極がこの順序で積層され、
    前記第1と第2の光電変換ユニットの各々は300℃以下の下地温度の下でプラズマCVD法により順次に堆積された半導体層である1導電型層と光電変換層と逆導電型層を含み、
    前記第1光電変換ユニットの光電変換層は結晶質を含むシリコン系薄膜からなり、
    前記第2光電変換ユニットの光電変換層は非晶質シリコンゲルマニウム薄膜からなり、
    前記第1光電変換ユニットの上面は微細な凹凸を含むテクスチャ構造を有し、
    前記裏面電極の上面も微細な凹凸を含むテクスチャ構造を有し、
    前記第1光電変換層の上面における前記凹凸の平均間隔は前記裏面電極の上面における前記凹凸の平均間隔の2/3以下であることを特徴とするタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置。
  2. 前記第2光電変換ユニットと前記前面電極との間に第3光電変換ユニットが付加的に挿入されており、
    この第3光電変換ユニットも300℃以下の下地温度の下でプラズマCVD法により順次に堆積された半導体層である1導電型層と光電変換層と逆導電型層を含み、
    前記第3光電変換ユニットの光電変換層は非晶質シリコン薄膜または非晶質シリコンカーバイド薄膜からなることを特徴とする請求項1に記載のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置。
  3. 前記第1光電変換ユニットに含まれる前記シリコン系薄膜光電変換層は、80%以上の体積結晶化分率と、2〜30原子%の範囲内の水素含有量と、0.5〜20μmの範囲内の厚さと、その膜面に平行な(110)の優先結晶配向面を有し、そのX線回折における(220)回折ピークに対する(111)回折ピークの強度比が0.2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置。
  4. 前記第2光電変換ユニットに含まれる前記非晶質シリコンゲルマニウム薄膜光電変換層において、ゲルマニウムは1〜30原子%の範囲内で含まれており、エネルギバンドギャップは1.52〜1.74eVの範囲内にあることを特徴とする請求項1からのいずれかの項に記載のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置。
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