JP3745076B2 - タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置 - Google Patents

タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置 Download PDF

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜光電変換装置に関し、特に、基板上で複数段に積層された複数の光電変換ユニットを含むタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、たとえば多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコンを含む薄膜を利用した光電変換装置の開発が精力的に行なわれている。このような開発は、安価な基板上に低温プロセスで良質のシリコン薄膜を形成することによって光電変換装置の低コスト化と高性能化を両立させようという試みであり、太陽電池や光センサ等の様々な光電変換装置への応用が期待されている。
【0003】
中でも、安価な低融点ガラスを用いることができる400℃以下の低温プロセスのみによって優れた光電変換効率を有する結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を形成し得る方法が近年脚光を浴びており、たとえば、微結晶シリコンのpin接合を含む光電変換装置がAppl. Phys, Lett., vol. 65, 1994, p. 860に記載されている。この光電変換装置は、簡便にプラズマCVD法で順次積層されたp型半導体層、光電変換層たるi型半導体層およびn型半導体層を含み、これらの半導体層のすべてが微結晶シリコンであることを特徴としている。
【0004】
また、同じくプラズマCVD法で低温形成される結晶質シリコン系薄膜光電変換装置において、基板や下地層が実質的に平面であっても微細な凹凸を含むテクスチャ構造の上面を有するシリコン系薄膜を形成することができ、そのシリコン系薄膜に入射した光がそのテクスチャ構造によって外部に逃げにくくなるといういわゆる光閉込め効果が得られることが知られている。
【0005】
上述のような低温プロセスで形成された結晶質シリコン系薄膜においては、高温プロセスで形成されたものに比べて一般に結晶粒径が小さく粒内欠陥も多いが、低温で形成されているために膜中に多くの水素原子を含むことができ、これらの水素原子が結晶粒界や粒内における欠陥を終端または不活性化させるので、結果として優れた光電変換機能を示す。
【0006】
しかし、低温プロセスによる結晶質シリコン系薄膜においては、粒界の多さや表面凹凸構造またはピンホール等のために局部的な電気的ショートまたはリークによる過剰電流が発生しやすく、また光電変換層として必要な数μmの膜厚に堆積させたときに膜の内部応力や歪が大きくなって、最悪の場合には膜が剥離してしまうという問題がある。このような現象は光電変換層の製造歩留りや信頼性を著しく低下させ、それを含む光電変換装置の実用化を目指す上で大きな支障となる。
【0007】
他方、非晶質シリコン膜や非晶質シリコン合金膜(たとえば非晶質シリコンカーバイドや非晶質シリコンゲルマニウムの膜)を光電変換層として含む光電変換ユニットを複数積層させたタンデム型光電変換装置や、結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットと非晶質シリコン系光電変換ユニットとを2段積層させたタンデム型光電変換装置において、総合的な光電変換特性が向上するという報告が数多くなされている。これらの報告のいずれにおいても、異なる光波長域に感度を有する複数の光電変換ユニットを組合せることによって、広い波長領域の光をそれらの異なる複数の光電変換ユニットで分担して吸収させるというのが特徴である。しかし、非晶質シリコン系膜を多く用いたタンデム型光電変換装置においては、非晶質シリコン系材料特有のStebler-Wronskey効果と呼ばれるものであって光電変換特性が光照射によって大きく劣化するという安定性の問題があり、実質的な高性能化が実現されていないというのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような先行技術の状況に鑑み、低温プロセスのみを用いることによって安価な基板が使用可能な低コストの光電変換装置において、特に課題とされている装置の製造歩留り、信頼性および安定性を改善し、かつ高性能化を図ることのできる技術を提供し、シリコン系薄膜光電変換装置の実用化に貢献することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によるタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置は、基板上で複数段に積層された複数の光電変換ユニットを含み、それらの光電ユニットのいずれもが、プラズマCVD法によって順次積層された1導電型半導体層と、結晶質を含むシリコン系薄膜の光電変換層と、逆導電型半導体層とを含み、複数の光電変換ユニットに含まれるいずれの光電変換層の上面も微細な凹凸を含むテクスチャ構造を有し、基板上で2段目以後に積層された光電変換ユニットに含まれる光電変換層における凹凸の平均間隔はその1段前の光電変換ユニットに含まれる光電変換層における凹凸の平均間隔の2/3以下であることを特徴としている。
【0010】
すなわち、本発明者らは上述の先行技術における課題を解決すべく検討を重ね、複数の結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットを直接積層させた新規なタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を創作した。その結果、従来の単一のユニットを含む結晶質シリコン系薄膜光電変換装置において頻発していたような結晶粒界やピンホールに基づくリーク電流や膜の内部応力に起因する膜の剥がれという現象が少なく、製造歩留りや信頼性に優れ、しかも高い光電変換特性を示しかつ安定性にも優れる高性能の光電変換装置を得るに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態の一例による2段タンデム型シリコン系薄膜光電変換装置を模式的な断面図で図解している。この装置の基板101にはステンレス等の金属、有機フィルム、または低融点の安価なガラス等が用いられ得る。
【0012】
基板101上の裏面電極102は、下記の薄膜(A)と(B)のうちの1以上を含み、たとえば蒸着法やスパッタ法によって形成され得る。
(A) Ti、Cr、Al、Ag、Au、CuおよびPtから選択された少なくとも1以上の金属またはこれらの合金からなる金属薄膜。
(B) In2 3 、ITO、SnO2 、ZnOおよびZnSから選択された少なくとも1以上の化合物からなる透明導電性薄膜。
【0013】
1段目の光電変換ユニット112に含まれる第1導電型半導体層103は、プラズマCVD法にて堆積される。この半導体層103としては、導電型決定不純物原子が0.01原子%以上ドープされた微結晶シリコン薄膜もしくは非晶質シリコン薄膜のいずれか、またはこれらの複数を組合せたものが用いられ得る。不純物原子としては、1導電型半導体層103がたとえばn型層の場合にはリン原子が用いられ、p型層の場合はボロン原子が用いられ得る。しかし、これらは必ずしも限定的なものではなく、たとえば1導電型半導体層103としてシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等の合金材料を用いてもよく、n型層の場合における不純物原子は窒素等でもよい。なお、1導電型層103の膜厚は3〜100nmの範囲内に設定され、より好ましくは5〜50nmの範囲内に設定される。
【0014】
1導電型層103上には、光電変換層104として、結晶質を含むシリコン系薄膜がプラズマCVD法によって400℃以下の温度の下で形成される。この光電変換層104としては、ノンドープのi型多結晶シリコン薄膜や体積結晶化分率80%以上のi型微結晶シリコン薄膜、あるいは導電型決定不純物原子をごく微量含む弱p型または弱n型で光電変換機能を十分に備えている結晶質シリコン系薄膜が使用され得る。また、光電変換層104はこれらに限定されず、合金材料であるシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等を用いてもよい。
【0015】
光電変換層104の膜厚は1〜20μmの範囲内で、より好ましくは1.5〜10μmの範囲内に設定され、結晶質を含むシリコン系薄膜光電変換層として必要かつ十分な膜厚を有している。光電変換層104は400℃以下という低温で形成されるので、結晶粒界や粒内における欠陥を終端または不活性化させる水素原子を多く含み、その好ましい水素含有量は2〜30原子%の範囲内にあり、より好ましくは4〜20原子%の範囲内にある。
【0016】
シリコン系薄膜光電変換層104に含まれる結晶粒の多くは下地層から上方に柱状に伸びて成長しており、それらの多くの結晶粒は膜面に平行な(110)の優先結晶配向面を有している。また図1に示されているように、下地層103の上表面が実質的に平面である場合でも、光電変換層104の上表面にはその膜厚よりも約1桁ほど小さい間隔の微細な凹凸を含むテクスチャ構造が形成される。
【0017】
光電変換層104上には、下地層103とは逆タイプの導電型半導体層105がプラズマCVD法によって堆積される。この逆導電型半導体層105としては、導電型決定不純物原子が0.01原子%以上ドープされた微結晶シリコン薄膜もしくは非晶質シリコン薄膜のいずれか、またはこれらの複数を組合せたものが用いられ得る。不純物原子としては、導電型半導体層105がたとえばp型層の場合にはボロン原子が用いられ、n型層の場合にはリン原子が用いられ得る。しかし、これらは必ずしも限定的なものではなく、たとえば逆導電型半導体層105としてシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等の合金材料を用いてもよく、p型層の場合における不純物原子はアルミニウム等でもよい。なお、逆導電型層105の膜厚は3〜100nmの範囲内に設定され、より好ましくは5〜50nmの範囲内に設定される。
【0018】
1段目の光電変換ユニット112上には、2段目の光電変換ユニット113が積層される。2段目の光電変換ユニット113に含まれる1導電型半導体層106、結晶質を含むシリコン系薄膜光電変換層107および逆導電型半導体層108のそれぞれは、1段目の光電変換ユニット112中の対応する半導体層103、104および105と同様に形成される。但し、2段目の光電変換層107の膜厚は0.2〜10μmの範囲内で、より好ましくは0.5〜5μmの範囲内であって、1段目の光電変換層104の膜厚や材料を考慮して適切に調整される。
【0019】
2段目の光電変換ユニット113上には、ITO、SnO2 、ZnO等から選択された少なくとも1以上の層からなる透明導電性膜109が形成され、さらにその上にグリッド電極としてAl、Ag、Au、Cu、Pt等から選択された少なくとも1以上の金属またはこれらの合金の層を含む櫛形状の金属電極110がスパッタ法または蒸着法によって形成される。
【0020】
ところで、2段目の光電変換層107に含まれる結晶粒についても、それらの多くが下地層106から上方に柱状に伸びて成長するが、1段目の光電変換層104内とは異なる結晶核が新たに発生して独立に柱状成長していく。したがって、この2段目の光電変換層107の上表面においては、1段目の光電変換層104の上表面における凹凸形状にさらに新たな小さな凹凸形状が重畳されて凹凸の密度が増加し、その表面形状はより複雑で微細な凹凸のサイズ範囲が広いテクスチャ構造になる。すなわち、2段目の光電変換層107の上表面における微細な凹凸の平均間隔は短くなり、1段目の光電変換層104の上表面におけるそれに比べて2/3以下になる。したがって、2段目の光電変換層107の上表面は広範囲の波長域の光を散乱させるのに一層適した表面凹凸構造となり、1段目の光電変換層104のみの場合に比べて光閉込め効果がさらに大きくなる。
【0021】
また、1段目と2段目の光電変換層104と107においては結晶粒界やピンホール等の面内分布が互いに異なるので、裏面電極102と前面電極109とがショートしてリーク電流が発生する確率が大幅に低下する。さらに、結晶質を含むシリコン系薄膜光電変換層の内部応力はその膜が厚くなるに従って大きくなる傾向にあるが、図1に示されているようなタンデム型光電変換装置においては、1段目と2段目の光電変換層104と107との間にある導電型層105と106として構造的柔軟性の大きい非晶質膜、または光電変換層104,107よりは非晶質部分を多く含む微結晶膜を用いているので、これらが結晶質シリコン系薄膜光電変換層104,107内の応力をある程度吸収して緩和する役割を果たす。したがって、単一の光電変換層のみを含む光電変換装置の場合に比べれば、図1のタンデム型光電変換装置全体としての膜厚がたとえ厚くても、内部応力に起因して光電変換層が剥がれるという現象も起こりにくくなる。
【0022】
なお、本発明によるタンデム型光電変換装置において積層される光電変換ユニットの段数には制限がなく、段数の増大に伴ってその装置の特性改善効果はより顕著になる。ただし、むやみに段数を増やすことは、装置の製造工程を複雑にするので、あまり好ましいことではない。
【0023】
【実施例】
以下において、光電変換装置の代表的な1つである薄膜シリコン太陽電池を例に挙げ、比較例としての従来技術による薄膜結晶質シリコン太陽電池と、本発明のいくつかの実施例によるタンデム型薄膜結晶質シリコン太陽電池について説明する。
【0024】
(比較例)
図2に示されているように、単一の光電変換ユニットのみを含む薄膜結晶質シリコン太陽電池を比較例として作製した。まず、ガラス基板201上に、裏面電極202として、厚さ300nmのAg膜とその上の厚さ100nmのZnO膜のそれぞれがスパッタ法によって形成された。裏面電極202上には、厚さ30nmでリンドープされたn型微結晶シリコン層203、厚さ4.7μmでノンドープの多結晶シリコン光電変換層204および厚さ15nmでボロンドープされたp型微結晶シリコン層205が、それぞれプラズマCVD法によって形成され、nip光電変換ユニット209が形成された。光電変換ユニット209上には前面電極206として、厚さ80nmの透明導電性ITO膜がスパッタ法にて形成され、その上に電流取出のための櫛形Ag電極207が蒸着法によって形成された。
【0025】
多結晶シリコン光電変換層204は、成膜温度350℃の下でRFプラズマCVD法によって堆積された。この光電変換層204において、2次イオン質量分析法から求めた水素原子含有量は5原子%であった。p型層205の上表面形状を表面粗さ計によって求めたところ、凹部の間隔の過半数は0.2〜0.5μmの範囲内に分布し、その平均間隔は0.38μmであった。
【0026】
このような比較例の薄膜結晶質シリコン太陽電池として、1cm2 の受光面積を有する100個の太陽電池試料が作製された。これらの太陽電池試料に対して入射光208としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射して出力特性を測定したところ、最も高い光電変換効率を示した試料において、開放端電圧が0.458V、短絡電流が27.0mA/cm2 、曲線因子が72.8%、そして変換効率が9.0%であった。
【0027】
しかし、これら比較例としての100個の試料のうち、変換効率が8.5%以上に達しているものは64個しかなく、残りの試料の多くは電流リークのために開放端電圧と曲線因子が極度に悪く、変換効率の低いものであった。しかも、4個の試料においては、一部に膜の剥離が起こっているのが肉眼でも観察された。また、上記比較例と同じ方法で受光面積が25cm2 に拡大された太陽電池試料を10個作製したが、それらのすべてにおいて、リーク電流のために変換効率が著しく低かった。さらに、光電変換層204の厚さが7.5μmに厚くされたことを除けば上記比較例と全く同様に1cm2 の受光面積を有する100個の太陽電池試料が作製されたが、これらのほぼ全部において膜の剥離が生じて光電変換特性の評価ができなかった。逆に、光電変換層204の厚さが3.5μmに薄くされたことを除けば上記比較例と全く同様に1cm2 の受光面積を有する100個の太陽電池試料においては、膜の剥離が観察されなかったものの、リーク電流が生じなくて良好な出力特性を示した試料は全体の約半分しかなかった。
【0028】
以上のように、先行技術による単一の光電変換ユニットのみを含む薄膜結晶質シリコン太陽電池においてはリーク電流または膜の剥離という問題が避け難く、これらの問題が太陽電池の大面積化を初めとする実用化を目指す上での障害となっている。また、これらの問題が制約となって、たとえば光電変換層の厚みのような構造パラメータの範囲が限定されてしまうことから、太陽電池の高効率化にも限界があるように見られている。
【0029】
(実施例1)
図1に示されているような2段積層型のタンデム型太陽電池が、実施例1として作製された。1段目の光電変換ユニット112に含まれるn型微結晶シリコン層103、多結晶シリコン光電変換層104およびp型微結晶シリコン層105が、図2の比較例中の対応する層203、204および205と同じ方法で堆積された。さらに、2段目の光電変換ユニット113に含まれるn型微結晶シリコン層106、多結晶シリコン光電変換層107およびp型微結晶シリコン層108も、1段目の光電変換ユニット112に含まれた対応する層103,104および105と同じ方法で堆積された。
【0030】
ただし、1段目の光電変換層104の厚さは3.5μmであって、2段目の光電変換層107の厚さは1.2μmであった。すなわち、1段目と2段目の光電変換層104と107の合計の厚さが、図2の比較例の光電変換層204と同じの4.7μmに設定された。1段目と2段目の光電変換層104と107とのこのような厚さの組合せによれば、AM1.5の光111を照射したときの1段目と2段目の光電変換ユニット112と113の各々に発生する光電流がほぼ等しくなる。
【0031】
ところで、1段目と2段目の光電変換層104と107について測定された水素含有量はいずれも5原子%で、図2の比較例中の光電変換層204の水素含有量と同じであった。しかし、2段目の光電変換層107の上面における凹凸形状は図2の比較例中の光電変換層204に比べてやや複雑であって、凹部の間隔の過半数が0.05〜0.5μmの広い範囲内に分布し、その平均間隔は0.21μmであった。
【0032】
なお、他の要素である基板101、裏面電極102、前面透明電極109、および櫛形電極110は、図2の比較例中のそれぞれに対応する要素201、202、206および207と同様のものである。
【0033】
このようにして、実施例1の薄膜結晶質シリコン太陽電池として、1cm2 の受光面積を有する100個の太陽電池試料が作製された。これらの太陽電池試料に対して入射光111としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射して出力特性を測定したところ、最も高い光電変換効率を示した試料において、開放端電圧が0.966V、短絡電流密度が14.4mA/cm2 、曲線因子が75.7%、そして変換効率が10.5%であった。
【0034】
これらの実施例1としての100個の試料のうち92個が10%以上の変換効率を有し、10%未満の変換効率の試料においてもリーク電流は見られなかった。また、1段目と2段目の光電変換層104と107の合計膜厚が図2の比較例における光電変換層204の膜厚と同じであるにもかかわらず、実施例1のタンデム型太陽電池試料においては膜の剥離も全く観察されなかった。さらに、上記の実施例1と同じ方法で受光面積25cm2 の太陽電池試料を10個作製したところ、やはりリーク電流も少なくて最高で10.2%の変換効率が得られた。以上のように、実施例1によれば、太陽電池の製造歩留り、信頼性および再現性が著しく改善された。
【0035】
ところで、図1の実施例1による太陽電池と図2の比較例による太陽電池の出力特性を比較するとき、ごく単純なモデルを仮定すれば、図1のタンデム型太陽電池は2段直列積層型であるので、図2のように単一の光電変換ユニットを含む比較例の太陽電池に比べて、開放端電圧が2倍となって短絡電流密度が1/2になることが予想されるが、実際にはこれらのいずれの予想値をも上回っている。
【0036】
実施例1の太陽電池の開放端電圧や曲線因子が大きいのは、非晶質シリコン系のタンデム型太陽電池の場合と同様であって、光電変換ユニットの厚さが薄いほど光電変換層における内部電界が高くかつ均一になって、直列抵抗やキャリアの再結合確率が減少することによると考えられる。他方、実施例1の太陽電池における短絡電流密度の増大は、既に発明の実施の形態に述べた理由によって、光閉込め効果が向上したことによるものであると考えられる。
【0037】
図3は、図1の実施例と図2の比較例とによる太陽電池における分光感度スペクトルの測定結果を示している。このグラフにおいて、横軸は光の波長を表わし、縦軸は収集効率を表わしている。収集効率曲線1c、112c、113cおよび2cは、それぞれ図1の実施例による太陽電池、光電変換ユニット112、113および図2の比較例による太陽電池における収集効率を表わしている。このグラフからわかるように、光電変換ユニット112と113の収集効率112cと113cの合成として得られる実施例1の太陽電池の収集効率1cは、比較例の太陽電池の収集効率2cと比べて、ほぼ全波長域にわたって上回っており、広い波長域で実施例1の太陽電池の感度が向上している。このような効果は本発明に特有のものであり、同一材料の光電変換ユニットの積層化による特性向上の割合は、従来技術におけるたとえば非晶質シリコンの光電変換ユニット同士の積層化によるものに比べて大きい。
【0038】
なお、実施例1による太陽電池に連続して550時間の長時間にわたってM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射しても出力特性の変化は全く見られず、安定性についても何ら問題はなかった。
【0039】
(実施例2)
図4に示されているような3段積層型のタンデム型太陽電池が実施例2として作製された。この図4の実施例2による太陽電池における1段目と2段目の光電変換ユニット415と416に含まれる半導体層403〜408は、図1の実施例1による太陽電池における1段目と2段目の光電変換ユニット112と113に含まれる半導体層103〜108のそれぞれに対応して同じ方法で堆積された。そして、2段目の光電変換ユニット416上には、さらに非晶質シリコンからなるn層409、i層410およびp層411を含む非晶質光電変換ユニット417が堆積された。このとき、図4の太陽電池にAM1.5の光414を照射した場合に光電変換ユニット415、416および417のそれぞれに発生する光電流がほぼ等しくなるように1段目と2段目の多結晶シリコン光電変換層404と407の厚さはそれぞれ3.5μmと1.6μmにされ、3段目の非晶質シリコン光電変換層410の厚さは0.1μmにされた。
【0040】
なお、その他の要素である基板401、裏面電極402、前面透明電極412および櫛形電極413は、図1の実施例中のそれぞれ対応する要素110、102、109、および110と同様のものである。
【0041】
このような実施例2による3段積層型のタンデム型太陽電池に対して入射光414としてAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射した場合に得られた出力特性は、開放端電圧が1.92V、短絡電流密度が9.6mA/cm2 、曲線因子が75.1%、そして変換効率が13.8%であった。すなわち、2段の結晶質シリコン光電変換ユニットを含む実施例1の太陽電池に追加して製造プロセスが類似した非晶質シリコン光電変換ユニットをさらに積層することによって、太陽電池のより一層の性能向上を図ることができる。
【0042】
また、この実施例2による太陽電池に550時間の長時間にわたって連続してAM1.5の光を100mW/cm2 の光量で照射した後における変換効率は13.0%であった。すなわち、3段目の光電変換ユニット417における非晶質シリコン光電変換層410の厚さが0.1μmのように比較的薄いので、長時間光照射による特性劣化の割合があまり大きくなくてタンデム型太陽電池全体に及ぼす影響も小さいので、長時間光照射後の安定化後においても高い変換効率を維持することができたものと考えられる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットを積層化することによって、光電変換装置の歩留り、信頼性および安定性が著しく改善され、また光閉込め効果の向上に伴う光電変換装置の高性能化も図ることが可能であり、シリコン系薄膜光電変換装置の実用化に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例による2段積層型のタンデム型結晶質シリコン系薄膜光電変換装置の構造を示す模式的な断面図である。
【図2】比較例としての先行技術による結晶質シリコン系薄膜光電変換装置の構造を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施例1における太陽電池の分光感度スペクトルを先行技術の太陽電池との比較において示すグラフである。
【図4】本発明の実施例2による3段積層型のタンデム型薄膜光電変換装置の構造を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
101、201、401:基板
102、202、402:裏面電極
103、106、203、403、406、409:1導電型半導体層
104、107、204、404、407:結晶質シリコン系薄膜光電変換層
105、108、205、405、408、411:逆導電型半導体層
410:非晶質シリコン系光電変換層
109、206、412:透明導電膜
110、207、413:櫛形電極
111、208、414:入射光
112、113、209、415、416:結晶質シリコン光電変換ユニット
417:非晶質シリコン光電変換ユニット

Claims (4)

  1. 基板上で複数段に積層された複数の光電変換ユニットを含むタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置であって、
    前記光電変換ユニットのいずれもが、プラズマCVD法によって順次積層された1導電型半導体層と、結晶質を含むシリコン系薄膜の光電変換層と、逆導電型半導体層とを含み、
    前記複数の光電変換ユニットに含まれるいずれの前記光電変換層の上面も微細な凹凸を含むテクスチャ構造を有し、前記基板上で2段目以後に積層された光電変換ユニットに含まれる前記光電変換層における前記凹凸の平均間隔はその1段前の光電変換ユニットに含まれる前記光電変換層における前記凹凸の平均間隔の2/3以下であることを特徴とするタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置。
  2. 前記複数の光電変換ユニットに含まれる前記光電変換層のいずれもが400℃以下の下地温度の下で形成されたものであり、80%以上の体積結晶化分率を有し、かつ2〜30原子%の範囲内の水素含有量を有していることを特徴とする請求項1に記載のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置。
  3. 前記基板上で1段目と2段目の前記光電変換ユニットのそれぞれに含まれる1段目と2段目の光電変換層はそれぞれ1〜20μmの範囲内の厚さと0.2〜10μmの範囲内の厚さを有し、かつ前記1段目の光電変換層の厚さは前記2段目の光電変換層の厚さより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置。
  4. 前記結晶質を含むシリコン系薄膜の光電変換層を有する光電変換ユニットの最上段上に付加的な光電変換ユニットをさらに含み、前記付加的な光電変換ユニットは順次積層された1導電型半導体層と、非晶質シリコン系薄膜の光電変換層と、逆導電型半導体層とを含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置。
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