JP4804611B2 - 集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は集積型ハイブリッド薄膜太陽電池に関し、特に、その高い光電変換効率を維持しつつ集積化を容易にするとともに生産歩留まりを改善する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体薄膜太陽電池は、一般に、少なくとも表面が絶縁性の基板上に順に積層された第1電極、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および第2電極を含んでいる。そして、1つの光電変換ユニットはp型層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。
【0003】
光電変換ユニットの厚さの大部分を占めるi型層は実質的に真性の半導体層であって、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。したがって、i型光電変換層は、光吸収の観点のみからすれば厚い方が好ましい。他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役割を果たし、この拡散電位の大きさによって光電変換装置の重要な特性の1つである開放端電圧の値が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換に直接寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与しない損失となる。したがって、p型とn型の導電型層は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内であれば、できるだけ小さな厚さを有することが好ましい。
【0004】
このようなことから、光電変換ユニットは、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かに関わらず、その主要部を占めるi型の光電変換層が非晶質のものは非晶質ユニットと称され、i型層が結晶質のものは結晶質ユニットと称される。
【0005】
ところで、薄膜太陽電池の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニットを積層してタンデム型にする方法がある。この方法においては、薄膜太陽電池の光入射側に大きなエネルギバンドギャップを有する光電変換層を含む前方ユニットを配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する(たとえばSiGe合金などの)光電変換層を含む後方ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって太陽電池全体としての変換効率の向上が図られる。このようなタンデム型薄膜太陽電池の中でも、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットを積層したものはハイブリッド薄膜太陽電池と称される。
【0006】
たとえば、i型非晶質シリコンが光電変換し得る光の波長は長波長側において800nm程度までであるが、i型結晶質シリコンはそれより長い約1100nm程度の波長の光までを光電変換することができる。ここで、光吸収係数の大きな非晶質シリコン光電変換層は光吸収のためには300nm未満の厚さでも十分であるが、光吸収係数の小さな結晶質シリコン光電変換層は長波長の光をも十分に吸収するためには3μm以上の厚さを有することが好ましい。また、結晶質シリコン光電変換層は比較的小さな電気抵抗率を有しているので、3μm以上の厚さにされても問題はないが、非晶質シリコン光電変換層は比較的大きな抵抗率を有しているので、光吸収に必要な厚さを超えて厚くすることは好ましくない。
【0007】
このような事情から、従来のハイブリッド薄膜太陽電池では、それに含まれる結晶質光電変換層の厚さが一般に3μm以上にされるとともに、非晶質光電変換層の厚さが300nm以下にされることが多い。すなわち、従来のハイブリッド薄膜太陽電池では、結晶質光電変換層の厚さは非晶質光電変換層の厚さの約10倍程度にされている。
【0008】
ところで、電力用太陽電池のように高電圧で高出力を生じ得る大面積の薄膜太陽電池を作製する場合、大きな基板上に形成された薄膜太陽電池を複数個直列接続して用いるのではなく、歩留まりを良くするために、大きな基板上に形成された薄膜太陽電池を複数のセルに分割し、それらのセルを直列接続して集積化するのが一般的である。特に、ガラス基板側から光を入射させるpin型薄膜太陽電池においては、ガラス基板上の透明導電性酸化物(TCO)電極層の抵抗によるロスを低減するために、レーザスクライブ法でその透明電極層を所定幅の短冊状に加工し、その短冊状の長手方向に直交する方向に各セルを直列接続して集積化するのが一般的である。
【0009】
図1において、集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の典型的な一例の裏面が模式的な平面図で示されている。図2は、図1中において楕円2Aで囲まれた領域の拡大された断面構造を模式的に示している。そして、図3は、図2中において楕円3Aで囲まれた領域のより詳細な積層構造をさらに拡大した模式的な断面図で示している。
【0010】
図1〜3に示されているような集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造においては、矩形の光電変換領域を形成するために十分な大きさを有する透明絶縁基板101として、一般にガラス基板が用いられる。ガラス基板101上には透明電極層102として、たとえば厚さ700nmのSnO2層が熱CVD法で形成される。透明電極層102は、レーザスクライブで幅約100μmの透明電極分離溝105を形成することによって、約10mmの幅Wを有する短冊状透明電極に分離される。スクライブ後の残滓は水または有機溶剤を用いた超音波洗浄で除去される。なお、洗浄方法としては、粘着剤や噴射ガスなどを用いて残滓を除去する方法も可能である。
【0011】
レーザパターニングされた透明電極層102上には、非晶質光電変換ユニット層110と結晶質光電変換ユニット層120が、この順にプラズマCVD法で積層される。非晶質光電変換ユニット層110に含まれるi型非晶質光電変換層112として、厚さ約300nmのノンドープ非晶質シリコン層が堆積される。結晶質光電変換ユニット層120に含まれるi型結晶質光電変換層122としては、厚さ約3.0μmのノンドープ結晶質シリコン層が堆積される。他方、非晶質光電変換ユニット層110と結晶質光電変換ユニット層120にそれぞれ含まれるp型層としてはp型シリコンカーバイド層111とp型微結晶シリコン層121が形成され、n型導電層113と123としてはいずれもn型シリコン層が形成される。なお、n型シリコン層123上には、その表面を大気から保護するために、TCO層131に含まれる部分的層として厚さ約50nmのZnO層がスパッタリング法で形成される。
【0012】
こうして積層された非晶質光電変換ユニット層110と結晶質光電変換ユニット層120は、透明電極層102の場合と同様にレーザスクライブによって形成された半導体層分割溝106によって、複数の短冊状の半導体領域に分割される。なお、この半導体層分割溝106は互いに隣接するセル間で透明電極102と裏面電極130を電気的に接続するために利用されるものなので、部分的にスクライブの残滓が残っていても問題とならず、超音波洗浄は省略されてもよい。
【0013】
レーザパターニングされた半導体層110と120上には、裏面電極層130として、前述のTCO層131に含まれる厚さ約50nmのZnO部分層に加えて厚さ約30nmのZnO部分層と厚さ約300nmのAg層132がスパッタリング法で形成される。このとき、半導体層分割溝106は接続用溝として働き、裏面電極130はその接続用溝106を介して短冊状透明電極102へ電気的に接続される。
【0014】
裏面電極層130は半導体層110と120の場合と同様のレーザスクライブによってパターニングされ、半導体層110および120とともに裏面電極層130を局所的に吹き飛ばすことによって複数の裏面電極分離溝107が形成された後に超音波洗浄される。これによって複数の短冊状ハイブリッド光電変換セルが形成され、それらのセルは接続用溝106を介して互いに電気的に直列接続されていることになる。最後に、薄膜太陽電池の裏面側は封止樹脂(図示せず)が付与されて保護される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような集積型ハイブリッド薄膜太陽電池において、光電変換領域の少なくとも一辺の長さLが20cm以上に大きくなった場合に、裏面電極分離溝107をレーザスクライブで形成した後に超音波洗浄したときに、多数の領域で径が約0.5mm以上のアイランド状の膜の剥がれが生じやすくなることを本発明者は見出した。このような膜の剥がれにおいては、薄膜太陽電池の面積が大きくなるに従ってそれらのアイランドの密度が増大するとともに、各アイランドの径も増大する傾向にある。また、洗浄方法として噴射ガスや粘着剤を利用した場合でも、薄膜太陽電池の面積が大きくなるに従って膜の剥がれの面積密度が増大する傾向は同様である。そして、このような膜の剥がれは、当然に薄膜太陽電池の性能低下の原因となる。
【0016】
集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法において本発明者が見出したこのような課題に鑑み、本発明は、集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の高い光電変換効率を維持しつつ、その集積化を容易にするとともに生産歩留まりを改善し得る技術を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、透明絶縁基板上で順に積層された透明電極層、n型導電層とp型導電層でサンドイッチされた非晶質シリコン光電変換層を有する非晶質半導体光電変換ユニット層、n型導電層とp型導電層でサンドイッチされた結晶質シリコン光電変換層を有する結晶質半導体光電変換ユニット層、および裏面電極層が複数のハイブリッド光電変換セルを形成するように複数の分離溝によって分離されていて、かつそれらの複数のセルが接続用溝を介して互いに電気的に直列接続された集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法において、結晶質光電変換ユニット層が1〜1.5μmの範囲内の厚さに堆積され、裏面電極層はレーザスクライブによって複数のセルに対応した複数の裏面電極に分離され、そのレーザスクライブによる残滓を除去するための洗浄が行なわれることを特徴としている。
【0018】
その洗浄によって基板上で膜が剥がれる面積の割合は10%以下であることが望まれる。
【0019】
洗浄方法としては、水または有機溶剤を用いた超音波洗浄が好ましく利用され得る。
【0020】
本発明による製造方法は、基板の少なくとも一辺が20cm以上である大面積の集積型ハイブリッド薄膜太陽電池において膜剥がれを防止する効果を顕著に発揮することができる。
【0021】
集積化されたハイブリッド薄膜太陽電池は、裏面電極層をレーザスクライブして洗浄した後の3日以内にその裏面側が樹脂封止されることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明者は、図1〜3を参照して説明された集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法における問題点の原因を推定するために、以下のような実験1〜3を行なった。
【0023】
(実験1)
図2に示されているように、レーザスクライブで裏面電極分離溝107を形成した後に、超音波洗浄を多数回繰返して、意図的に基板101上で膜剥がれ領域を生じさせた。そして、膜剥がれ領域において、ガラス基板101を通して光を照射し、その領域の光透過率における光波長依存性を測定した。
【0024】
(実験2)
図2に示されているように、ガラス基板101上に透明電極層102と非晶質光電変換ユニット層110までを堆積した。そして、実験1の場合と同様にガラス基板101を通して光を照射し、透過率を測定した。
【0025】
(実験3)
図2に示されているように、ガラス基板101上に透明電極層102、非晶質光電変換ユニット層110、および結晶質光電変換ユニット層120までを堆積した。そして、実験1および2と同様にガラス基板101を通して光を照射し、透過率を測定した。
【0026】
図4において、以上のような実験1〜3の結果が示されている。すなわち、図4のグラフにおいて横軸は照射光の波長(nm)を表わし、縦軸は透過率(%)を表わしている。また、グラフ中で●印を伴った細い実線の曲線は実験1の結果を示し、破線の曲線は実験2の結果を示し、そして太い実線の曲線は実験3の結果を示している。
【0027】
図4のグラフから明らかなように、実験1における透過率の波長依存性は、実験3よりもむしろ実験2の結果に非常に近似したものとなっている。このことは、裏面電極分離溝107をレーザスクライブした後の超音波洗浄によって生じた膜剥がれ領域において、裏面電極130と結晶質光電変換ユニット層120とが剥がれ落ちているが、非晶質光電変換ユニット層110は残存していることを意味している。すなわち、基板101上における超音波洗浄による膜剥がれは、非晶質光電変換ユニット層110と結晶質光電変換ユニット層120との間の界面近傍で生じやすいことがわかる。このことの原因としては、本発明者の理解では以下のような理由が考えられる。
【0028】
一般に、基板上にプラズマCVD法でシリコン薄膜を堆積した場合、その薄膜中には残留歪みが存在する。その場合に、非晶質シリコン層内では元々原子の配列がランダムなので、残留歪みが緩和しやすい傾向にある。他方、結晶質シリコン層内では原子が規則的に配列されているので、残留歪みが緩和しにくい傾向にある。さらに、結晶質光電変換ユニット層120は非晶質光電変換ユニット層110に比べてはるかに大きな厚さを有しているので、これら両層の界面近傍には大きな残留応力が存在しやすくなる傾向にある。したがって、このような状況下において、超音波洗浄時の振動のように外的な機械的力が付加された場合に、その外力と残留応力とが重畳して結晶質光電変換ユニット層120と非晶質光電変換ユニット層110との界面近傍で剥離が生じやすいものと考えられる。このような剥離は、超音波洗浄の外力に限られることなく、噴射ガスや粘着剤を用いた洗浄時の外力によっても同様に生じやすくなると考えられる。
【0029】
本発明者は、上述のような新たな知見および分析に基づいて、以下のような種々の比較例および実施例による集積型ハイブリッド薄膜太陽電池を作製した。
【0030】
(比較例)
図1〜3に示された集積型ハイブリッド薄膜太陽電池と同様な製法と条件の下で、比較例としての太陽電池が作製された。ただし、ガラス基板101としては、910cm×45.5cmの面積を有する大きなガラス基板が用いられた。また、非晶質光電変換ユニット層110の厚さは300nmにされ、結晶質光電変換ユニット層の厚さは1.6μmにされた。さらに、裏面電極分離溝107をレーザスクライブした後に超音波洗浄したところ、基板上の膜剥がれ領域は面積比で約50%にも達していた。なお、集積化された後の直列接続されたセルの段数は48段であった。
【0031】
こうして作製された比較例による太陽電池について、超音波洗浄後にまもなく照射光103としてソーラシミュレータを用いてAM1.5のスペクトル分布で100mW/cm2のエネルギ密度の擬似太陽光を照射したところ、その光電変換効率は7.0%にすぎなかった。
【0032】
(実施例1)
実施例1としての太陽電池が、比較例と同様にして作製された。ただし、非晶質光電変換ユニット層110の厚さは270nmにされ、結晶質光電変換ユニット層120の厚さは1.5μmにされた。この実施例1において裏面電極分離溝107をレーザスクライブした後に超音波洗浄したところ、基板上の膜剥がれ領域の面積比は約9%であった。
【0033】
こうして作製された実施例1の薄膜太陽電池について比較例の場合と同一の条件で擬似太陽光を照射したところ、その光電変換効率は12.0%であり、比較例に比べて著しく改善されていた。
【0034】
(実施例2)
実施例2としての太陽電池が、比較例と同様にして作製された。ただし、非晶質光電変換ユニット層110の厚さは240nmにされ、結晶質光電変換ユニット層120の厚さは1.4μmにされた。この実施例2において裏面電極分離溝107をレーザスクライブした後に超音波洗浄したところ、基板上の膜剥がれ領域の面積比は約3%であった。
【0035】
こうして作製された実施例2の薄膜太陽電池について比較例の場合と同一の条件で擬似太陽光を照射したところ、その光電変換効率は11.1%であった。
【0036】
(実施例3)
実施例3としての薄膜太陽電池が、比較例と同様にして作製された。ただし、非晶質光電変換ユニット層110の厚さは210nmにされ、結晶質光電変換ユニット層120の厚さは1.3μmにされた。この実施例3において裏面電極分離溝107をレーザスクライブした後に超音波洗浄したところ、基板上の膜剥がれ領域は生じなかった。
【0037】
こうして作製された実施例3の薄膜太陽電池について比較例の場合と同一の条件で擬似太陽光を照射したところ、その光電変換効率は10.3%であった。
【0038】
(実施例4)
実施例4としての薄膜太陽電池が、比較例と同様にして作製された。ただし、非晶質光電変換ユニット層110の厚さは180nmにされ、結晶質光電変換ユニット層120の厚さは1.2μmにされた。この実施例4において裏面電極分離溝107をレーザスクライブした後に超音波洗浄したところ、基板上の膜剥がれ領域は生じなかった。
【0039】
こうして作製された実施例4の太陽電池について比較例の場合と同一の条件で擬似太陽光を照射したところ、その光電変換効率は9.6%であった。
【0040】
(実施例5)
実施例5としての薄膜太陽電池が、比較例と同様にして作製された。ただし、非晶質光電変換ユニット層110の厚さは150nmにされ、結晶質光電変換ユニット層120の厚さは1.1μmにされた。この実施例5において裏面電極分離溝107をレーザスクライブした後に超音波洗浄したところ、基板上に膜剥がれ領域は生じなかった。
【0041】
こうして作製された実施例5の薄膜太陽電池について比較例の場合と同一の条件で擬似太陽光を照射したところ、その光電変換効率は9.0%であり、依然として比較例に比べて明らかに改善されていた。
【0042】
以上の比較例と種々の実施例から理解されるように、結晶質光電変換ユニット層120の厚さが1.3μm以下の場合に基板上で膜剥がれ領域が生じないことがわかる。
【0043】
他方、実施例3〜5の相互比較から理解されるように、基板上で膜剥がれ領域が生じない場合において、結晶質光電変換ユニット層120の厚さが薄くなるに従って光電変換効率が少しずつ低下している。これは、結晶質光電変換ユニット層120の厚さが薄くなるに従ってその結晶質光電変換ユニット層内における光吸収量が低減するためであると考えられる。なお、比較例および種々の実施例において結晶質光電変換ユニット層120の厚さの変化に伴って非晶質光電変換ユニット層110の厚さも変化させられているのは、結晶質光電変換ユニット層120と非晶質光電変換ユニット層110との間の出力電流バランスを最適化するためである。
【0044】
他方、実施例1と2においては、基板上において部分的に膜剥がれが生じているが、それらの光電変換効率は実施例3〜5よりも高くなっている。これは、基板上において多少の膜剥がれ領域が生じても、それによる変換効率の低下よりも結晶質光電変換ユニット層120の膜厚の増大に伴う光吸収量の増加による変換効率の増大の効果が優っているからであると考えられる。しかし、比較例におけるように、膜剥がれ領域の面積比が50%にも達すれば、いかに結晶質光電変換ユニット層120の膜厚増大による光吸収量の増大効果があるとしても、総合としての変換効率が顕著に低下することがわかる。
【0045】
なお、部分的に膜剥がれが発生した薄膜太陽電池の裏面を大気中で露出したまま放置すれば、膜剥がれ領域の境界部における残留応力の集中によって膜剥がれ領域が拡大することがわかった。他方、薄膜太陽電池の裏面を超音波洗浄した後の3日以内にEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)などの封止樹脂によってその裏面を保護した場合には、その後の光電変換特性の経時的な低下が見られず、外観が損なわれることもないことがわかった。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の高い光電変換効率を維持しつつ、その集積化を容易にするとともに生産歩留まりを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の典型的な一例の裏面を示す模式的な平面図である。
【図2】 図1内の楕円2Aで囲まれた領域における積層構造を拡大して示す模式的な断面図である。
【図3】 図2中の楕円3Aで囲まれた領域のより詳細な積層構造をさらに拡大して示す模式的な断面図である。
【図4】 ガラス基板上における膜剥がれと光透過率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2A 図2に対応する領域、3A 図3に対応する領域、101 透明絶縁基板、102 透明電極層、103 入射光、105 透明電極分離溝、106 半導体層分割溝、107 裏面電極分離溝、110 非晶質光電変換ユニット層、120 結晶質光電変換ユニット層、130 裏面電極層、111 p型導電層、112 i型非晶質光電変換層、113 n型導電層、121 p型導電層、122 i型結晶質光電変換層、123 n型導電層、131 透明導電性酸化物層、132 金属層。
Claims (6)
- 透明絶縁基板上に順に積層された透明電極層、非晶質半導体光電変換ユニット層、結晶質半導体光電変換ユニット層、および裏面電極層が複数のハイブリッド光電変換セルを形成するように複数の分離溝によって分離されていて、かつそれらの複数のセルが接続用溝を介して互いに電気的に直列接続された集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法であって、
前記非晶質半導体光電変換ユニット層は、n型導電層とp型導電層でサンドイッチされた非晶質シリコン光電変換層を有し、
前記結晶質半導体光電変換ユニット層は、n型導電層とp型導電層でサンドイッチされた結晶質シリコン光電変換層を有し、プラズマCVD法により1〜1.5μmの範囲内の厚さに堆積され、
前記裏面電極層はレーザスクライブによって前記複数のセルに対応した複数の裏面電極に分離され、
前記レーザスクライブによる残滓を除去するための洗浄が行なわれることを特徴とする集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法。 - 前記集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の前記複数の分離溝として、
前記透明電極層を分離する複数の透明電極分離溝、
前記非晶質半導体光電変換ユニット層および前記結晶質半導体光電変換ユニット層を分割する複数の半導体層分割溝、ならびに
前記非晶質半導体光電変換ユニット層、前記結晶質半導体光電変換ユニット層および前記裏面電極層を分離する複数の裏面電極分離溝を有し、
レーザスクライブによって前記裏面電極分離溝が形成された後に、残滓を除去するための洗浄が行なわれることを特徴とする請求項1に記載の集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法。 - 前記洗浄によって前記基板上で薄膜が剥がれる面積の割合が10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記洗浄として、水または有機溶剤を用いた超音波洗浄が利用されることを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記基板は少なくとも一辺が20cm以上の大きさを有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法。
- 前記薄膜太陽電池の裏面電極側は前記洗浄後の3日以内に樹脂封止されることを特徴とする請求項1から5のいずれかの項に記載の集積型ハイブリッド薄膜太陽電池の製造方法。
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