JP6141670B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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本発明は、太陽電池の製造方法に関する。
エネルギー問題や地球環境問題が深刻化する中、化石燃料にかわる代替エネルギーとして、太陽電池が注目されている。太陽電池では、半導体接合等からなる光電変換部への光照射により発生したキャリア(電子および正孔)を外部回路に取り出すことにより、発電がおこなわれる。光電変換部で発生したキャリアを効率的に外部回路へ取出すために、太陽電池にはPN接合部を有する光電変換部が形成され、光電変換部上には集電極が設けられる。
例えば、結晶シリコン基板上に、非晶質シリコン層および透明電極層を有するヘテロ接合太陽電池では、例えば一導電型シリコン基板上に逆導電型シリコン系薄膜を形成することによりPN接合部やPIN接合部が形成され、透明電極層上に集電極が設けられる。また薄膜シリコン太陽電池では、PIN層を製膜してPIN接合部を形成した光電変換ユニット上に透明電極層と集電極が形成されたものが一般的に用いられている。
太陽電池の形成においては、一般に、導電型半導体層、透明電極層、金属電極層等の薄膜が、プラズマCVD法やスパッタ法等により基板表面に形成される。これらの薄膜は、基板表面のみならず、側面や裏面にも回り込んでしまい、表面と裏面との間の短絡やリークを生じる場合がある。このような回り込みによる短絡を防止するために、例えば特許文献1では、結晶シリコン基板の周端部をマスクで覆いながら導電型半導体層や透明電極層を形成する方法が提案されている。
また、特許文献2,3では、基板上に半導体薄膜や電極を形成した後に、所定の加工を行い、短絡を防止する方法が開示されている。具体的には、特許文献2では、レーザー照射により溝を形成した後、該溝に沿って結晶シリコン基板を割断することにより、光電変換部の側面が割断面からなる太陽電池を形成する方法が開示されている。
特許文献2では、PN接合部を有する側からレーザー照射する場合に生じ得る、PN接合部のレーザー痕によるダメージを抑制する観点から、PN接合部と反対側からレーザーを照射する方法が記載されている。この場合、PN接合部に達しない溝を形成することができるが、絶縁処理を行うためには溝形成後に折割りを行う必要がある。特許文献3では、結晶シリコン基板上に形成された導電型半導体層および透明電極層をレーザー照射により除去して、溝を形成する方法が提案されている。特許文献2の割断面や特許文献3の溝の表面には、半導体薄膜や電極が存在しないため、回り込みによる短絡の問題が解決される。
ところで、太陽電池の集電極は、一般に、スクリーン印刷法により、銀ペーストをパターン印刷することにより形成される。この方法は、工程自体は単純であるが、銀の材料コストが大きいことや、樹脂を含有する銀ペースト材料が用いられるために、集電極の抵抗率が高くなるとの問題がある。銀ペーストを用いて形成された集電極の抵抗率を小さくするためには、銀ペーストを厚く印刷する必要がある。しかしながら、印刷厚みを大きくすると、電極の線幅も大きくなるため、電極の細線化が困難であり、集電極による遮光損が大きくなる。
これらの課題を解決するための手法として、材料コストおよびプロセスコストの面で優れるめっき法により、集電極を形成する方法が知られている。例えば、特許文献4〜6では、透明電極上に、銅等からなる金属層がめっき法により形成された太陽電池が開示されている。透明電極層などの上にめっきにより集電極を形成する場合、透明電極層をめっき液から保護するために保護層で保護する必要がある。特許文献4,5では、まず、透明電極層上に、集電極の形状に対応する開口部を有するレジスト材料層(保護層)が形成され、透明電極層のレジスト開口部に、電気めっきにより金属層が形成される。その後、レジストが除去されることで、所定形状の集電極が形成される。
また、特許文献6では、透明電極上にSiO等の保護層を設けた後、保護層を貫通する溝を設けて透明電極層の表面または側面を露出させ、透明電極の露出部と導通するように金属集電極を形成する方法が開示されている。具体的には、透明電極層の露出部に光めっき法等により金属シードを形成し、この金属シードを起点として電気めっきにより金属電極を形成する方法が提案されている。このような方法によれば、特許文献4,5のようにレジストを用いる必要がないため、材料コストおよびプロセスコスト面でより有利である。また、低抵抗の金属シードを設けることにより、透明電極層と集電極との間の接触抵抗を低下させることができる。
特開2001−44461号公報 特開2006−310774号公報 特開平9−129904号公報 特開昭60−66426号公報 特開2000−58885号公報 特開2011−199045号公報
しかしながら、特許文献1のようにマスクを用いる場合は、透明電極層などを製膜しない「余白部」が大きくなり、受光面積が小さくなるという問題がある。またマスク準備工程など新たな工程も必要となり、生産性の観点から問題がある。
一方で、レーザーを用いた絶縁処理をもちいる場合は、マスク製膜と比較して、より精細な位置で絶縁処理を行うことが可能となるため、受光面積を大きくすることが可能となる。しかしながら、特許文献2のようにレーザー光をPN接合部と反対面側から照射する場合においては、通常、必ず折割りする必要があり、受光面積をより増大させる観点からは課題が残る。またPN接合部にレーザー光を照射する場合は、折割りは必ずしも必要ではないが、PN接合部にレーザー痕によるダメージが加えられ、リーク電流が発生するという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決し、かつ太陽電池の変換効率を向上させることを目的とする。
本発明は、レーザー光を用いた端部絶縁処理において、リーク電流の発生を抑制する、以下の製造方法に関するものである。
、および前記基材の一主面設けられた第一薄膜を備える太陽電池の製造方法であって、前記基材を準備する基材準備工程と、前記基材の一主面側からレーザーを照射して前記基材に開口部を形成する基材開口部形成工程と、前記開口部が形成された前記基材の一主面上に第一薄膜を形成する第一薄膜形成工程と、をこの順に有し、前記基材は導電型半導体層または電極層を含み、前記基材の一主面側の最表面層または前記第一薄膜が電極層であり、前記基材開口部形成工程において、前記開口部の端部から500μm以内の領域に、前記基材の少なくとも一部を含む堆積物が形成されるようにレーザーを照射し、前記第一薄膜形成工程において、前記基材上の前記堆積物形成された領域上に前記第一薄膜を形成し、前記第一薄膜形成工程後に、前記堆積物の少なくとも一部とともに前記堆積物形成された領域の前記電極層が除去されることにより、前記堆積物が形成されていた領域に前記電極層の開口領域を形成する電極層開口領域形成工程を有する。
前記基材の一主面側の最表面層が、導電性半導体層もしくは電極層であることが好ましい。
前記基材は、PN接合部またはPIN接合部を有することが好ましい。
前記第一薄膜形成工程において、前記第一薄膜が前記開口部上にも形成されることが好ましい。
前記第一薄膜形成工程において、前記第一薄膜が、前記基材の一主面側の表面上における前記堆積物が形成されていない領域上にも形成されることが好ましい。
前記第一薄膜が電極層である第一の実施形態では、前記電極層開口領域形成工程において、前記堆積物上に形成された前記第一薄膜としての電極層が除去されることにより前記電極層の開口領域を形成することが好ましい。
第一の実施形態において、前記第一薄膜開口領域は、超音波洗浄により形成されることが好ましい。
第一の実施形態において、前記基材は、一導電型単結晶シリコン基板の一主面側に、最表面層として逆導電型シリコン系薄膜層を有することが好ましい。
前記基材の一主面側の最表面層が電極層である第二の実施形態では、前記電極層開口領域形成工程は、エッチングにより前記基材の一主面側の最表面層としての前記電極層の開口領域を形成するエッチング工程であることが好ましい。前記エッチング工程の前、また前記エッチング工程と同時に、前記基材上の前記堆積物が形成された領域上の前記第一薄膜に開口領域が設けられ、前記エッチング工程において、前記第一薄膜開口領域からエッチャントが浸入することにより、前記堆積物の少なくとも一部とともに前記堆積物の直下にある前記電極層が除去されることが好ましい。
第二の実施形態において、前記第一薄膜が、前記基材の最表面層を前記エッチャントから保護する保護層であり、かつ、前記基材の最表面層が透明電極層であることが好ましい。
前記エッチャントとしてエッチング溶液を用い、前記エッチング溶液が前記堆積物の隙間から前記最表面層に達するように浸入して前記最表面層開口領域(A2)が形成されることが好ましい。
前記エッチャントとしてめっき液が使用されることが好ましい。
第二の実施形態において、前記基材は、一導電型単結晶シリコン基板の一主面側に逆導電型シリコン系薄膜層、最表面層としての前記透明電極層をこの順に有することが好ましい。
前記基材開口部(A0)は、前記基材の外周部に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、レーザー処理により所望の位置に形成した開口部から所定の範囲の電極層を除去することが可能であり、リーク電流を抑制した上で、より受光面積の広い太陽電池を作製することが可能である。
本発明の一形態を示す模式的断面図である。 メタルマスクを使用したスパッタ製膜を説明する模式図である。 本発明の太陽電池の一形態を示す模式的断面図である。 本発明の一形態におけるリーク電流抑制の様子を示した模式図である。 結晶シリコン基板にレーザー光を照射した場合における、基材開口部A0と堆積物のSEM画像である。 本発明の一形態を示す模式的断面図である。 本発明の太陽電池の一形態を示す模式的断面図である。
本発明は、導電型半導体層または電極層を少なくとも有する基材と、前記基材の一主面側に第一薄膜とを有する、太陽電池の製造方法に関する。本発明における太陽電池の製造方法は、前記基材を準備する基材準備工程と、前記基材の一主面側からレーザーを照射して前記基材に開口部(A0)を形成する基材開口部形成工程と、前記開口部(A0)が形成された前記基材上に第一薄膜を形成する第一薄膜形成工程をこの順に有する。前記基材開口部形成工程において、前記開口部(A0)の端部から500μm以内の領域に、前記基材の少なくとも一部を含む堆積物が形成されるようにレーザーを照射する。第一薄膜形成工程において、前記第一薄膜を前記堆積物形成領域上に形成する。前記堆積物形成領域上に前記第一薄膜の開口領域(A1)形成される
陽電池は、前記基材の一主面側に第一薄膜を有する。前記基材は、一主面側の最表面層が導電型半導体層または電極層であることが好ましく、また前記基材は、一主面側の表面にレーザーを照射することにより形成された基材開口部(A0)を有することが好ましい。また前記第一薄膜は、前記基材開口部(A0)上と、前記基材の一主面側の表面上に形成されており、かつ、前記基材の一主面側の表面上における、前記基材開口部(A0)の端部から500μm以内の領域において前記第一薄膜開口領域(A1)を有することが好ましい。
本発明においては、基材は、少なくとも導電型半導体層もしくは電極層を有していれば特に制限されない。導電型半導体層としては、後述のようにn型もしくはp型にドーピングされている半導体層を用いることができる。また電極層としては、透明電極層や金属電極層などを用いることができる。
例えば、シリコン基板を有する基材を用いる場合、導電型のシリコン基板(導電型半導体層)1層を用いても良いし、真性のシリコン基板上に導電型半導体層(もしくは電極層)を積層したものを用いてもよい。またガラス基板を有する基材を用いる場合、該ガラス基板上に導電型半導体層(もしくは電極層)を積層したものなどを用いることができる。
本発明における「開口領域」とは、基材の表面に形成された単一あるいは複数の特定の領域を指す用語であり、典型的には、開口領域は、当該薄膜を構成する成分が除去され、当該成分が付着していない領域である。なお、「付着していない領域」とは、当該層を構成する材料元素が全く検出されない領域に限定されるものではなく、材料の付着量が周辺の「形成部」と比較して部分的、又は領域全体において著しく少なく、当該薄膜自体が有する特性(電気的特性、光学特性、機械的特性等)が発現しない領域も、「付着していない領域」に包含される。
例えば、第一薄膜開口領域A1または最表面層開口領域A2は、典型的には、第一薄膜または最表面層を構成する成分が除去され、当該成分が付着していない領域である。なお、本発明においては、第一薄膜開口領域A1または最表面層開口領域A2は、基材の一主面側の堆積物形成領域に形成される。該堆積物形成領域は、基材開口部A0の端部から500μm以内の位置に形成されるため、第一薄膜開口領域A1または最表面層開口領域A2は、通常500μm以内の位置に形成される。ただし、A1またはA2は、後述のように、堆積物形成領域上の全面に形成されていても良いし、一部もしくは複数形成されていてもよい。また、開口領域は、必ずしも堆積物形成領域と一致している必要はなく、開口部A0の端部から500μm±10μm程度の領域に形成されてもよい。
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(第一の実施形態)
図1に本発明における一実施形態の太陽電池の作製方法を示す。図1(a)に示すように、まず基材1を準備する(基材準備工程)。本発明における基材は、導電型半導体層もしくは電極層を少なくとも有していれば特に制限されない。例えば導電型半導体層もしくは電極層1層でも良いし、真性半導体層と導電型半導体層(もしくは電極層)、または導電型半導体層と電極層、などの積層構造であっても良い。
材の最表面層(図1(a)の破線で図示)としては、特に制限はなく、例えば、導電シリコン基板上に最表面層としての真性シリコン系薄膜を有するもの、導電シリコン基板上に最表面層として電極層を有するもの、などを用いることができる。また、導電シリコン基板のみを用いる場合、該導電シリコン基板が最表面層に相当する。また導電シリコン基板の一主面側の表面に拡散層を形成する結晶シリコン太陽電池などは、該拡散層が最表面層に該当する。中でも、後述のように、前記基材の一主面側の最表面層が導電型半導体層または電極層であることが好ましい。
陽電池は、一般的に、PN接合部やPIN接合部を有しており、通常、N側電極とP側電極の短絡を防止する必要がある。本発明においては、後述のように、基材にPN接合部もしくはPIN接合部を有することが好ましい。
次に図1(b)に示すように、前記基材の一主面側からレーザーを照射して前記基材に開口部(A0)を形成する(基材開口部形成工程)。基材開口部形成工程において、前記開口部(A0)の端部付近の領域に、前記基材の少なくとも一部を含む堆積物を形成するようにレーザーが照射される。なお、本発明における開口部A0とは、レーザーにより形成された溝、すなわちレーザー痕を有する部分を意味する。
例えば、基材としてガラス基板上に導電型半導体層または電極層などの薄膜が形成されているものを用いた場合は、堆積物は該薄膜を含む。また導電型シリコン基板上に導電型シリコン系薄膜を有する場合は、堆積物は、導電型シリコン系薄膜を少なくとも有し、また導電型シリコン基板も有していてもよい。
堆積物2の堆積範囲(堆積物形成領域)は、基材開口部A0の端部から500μm以内であることが好ましい。ここでA0の端部とは、図1(b)のように、基材開口部A0の端部から光電変換部側の方向の領域を意味する。例えば、図1(b)のようにヘテロ接合太陽電池に溝状の開口部A0を形成する場合、基板が導電半導体であるため、開口部A0の両側が光電変換部となり、この場合、A0の両側を意味する。また、後述のように、この堆積物2は比較的簡単に除去することができるものであることが好ましい。
図1(c)では、前記開口部(A0)が形成された基材上に、第一薄膜3が形成される(第一薄膜形成工程)。本実施形態においては、第一薄膜として電極層が用いられる。中でも、第一薄膜として透明電極層を用いることがより好ましい。
第一薄膜は、基材の一主面側の表面における堆積物形成領域上に形成される。この際、堆積物形成領域上の少なくとも一部上に形成されていればよく、堆積物形成領域の全面に形成されていてもよい。また基材の一主面側の表面における堆積物形成領域以外の領域(領域Bともいう)に形成されていてもよく、基材開口部A0上に形成されていてもよい。図1(c)では、基材の一主面側の表面全面(堆積物形成領域、領域B、基材開口部A0)上に第一薄膜が形成されている。
図1(d)に示すように、前記堆積物形成領域上に前記第一薄膜の開口領域(A1)を形成する(第一薄膜開口領域形成工程)。本実施形態においては、第一薄膜開口領域A1の形成により、太陽電池の絶縁処理を行う。堆積物2を除去することにより、第一薄膜3に開口領域A1を形成している。すなわち堆積物2は、第一薄膜3を形成する際に、第一薄膜のマスクの役割を果たす。
また、従来のようなメタルマスクを用いた場合とは異なり、本発明のようにレーザー光により形成するこの堆積物は、端部から500μm以内よりも小さい領域に形成することができる点でメリットがある。例えば、第一薄膜として透明電極層を用い、太陽電池の外周部において、透明電極層に開口領域A1を設けて表裏の電気的な絶縁を行う場合に、通常のメタルマスク等では、開口部(開口領域A1に相当)が700μm程度以上と大きくなり過ぎてしまい、受光面のロスが生じる。
また、スパッタ法においては、通常図2(a)に模式的に示されているように製膜が行われるが、メタルマスクを使用してスパッタ製膜を行った場合、図2(b)のように、マスク付近において製膜時にマスクの影となったり、メタルマスクによりプラズマが電気的に影響を受けたりすることで、膜厚が薄くなるという問題もある。また各層を製膜前にマスクを準備する必要があり、工程数の増大により生産性が悪くなる。
一方、本発明のように堆積物によるマスクでは、500μm幅より狭い開口領域A1を形成することが可能であるため、より受光面を広くでき、太陽電池における変換効率を向上させることができる。また新たにマスクを準備する工程がないため生産性に優れた太陽電池を作製できる。更には、マスク付近の影などによる薄膜化した領域も改善されるため、抵抗ロス等も軽減できると考えられる。
実施形態においては、第一薄膜開口領域形成工程は第一薄膜形成工程後に行われる。「第一薄膜形成工程後」とは、堆積物形成領域に第一薄膜が形成され、第一薄膜形成工程の後の除去工程により第一薄膜開口領域が形成される場合等を意味する。
以下に、結晶シリコン系太陽電池を例として、本実施形態をより詳細に説明する。
図3は、結晶シリコン系太陽電池の模式的断面図である。本実施形態の結晶シリコン系太陽電池は、基材1として、一導電型単結晶シリコン基板1−1と逆導電型シリコン系薄膜1−3との間、および一導電型単結晶シリコン基板1と一導電型シリコン系薄膜1−5との間のそれぞれに、第1の真性シリコン系薄膜1−2、および第2の真性シリコン系薄膜1−4を有することが好ましい。
また、前記逆導電型シリコン系薄膜1−3を基材1の一主面側(光入射側)とすることが好ましく、この場合、前記逆導電型シリコン系薄膜1−3が基材の一主面側の最表面層として用いられることが好ましい。この上に第一薄膜3として透明電極層3(光入射側透明電極層3ともいう)を用いることが好ましい。光入射側透明電極層3の一主面上には、集電極8が形成されることが好ましい。光入射面側透明電極層3は開口領域A1を有する材の裏面側(一主面側の反対側)には、裏面側透明電極層6と裏面電極7がこの順に形成されることが好ましい。
まず、本実施形態の結晶シリコン系太陽電池における、一導電型単結晶シリコン基板1−1について説明する。一般的に単結晶シリコン基板は導電性を持たせるために、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有させる。単結晶シリコン基板はSi原子に対して電子を導入するリン原子を供給したn型と、ホール(正孔ともいう)を導入するボロン原子を供給したp型がある。即ち、「一導電型」とは、n型、又は、p型のどちらか一方であることを意味する。太陽電池に用いる場合、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合を逆接合として強い電場を設けることで、電子正孔対を効率的に分離回収することができる。よって入射側のヘテロ接合は逆接合とすることが好ましい。一方で、正孔と電子を比較した場合、有効質量及び散乱断面積の小さい電子の方が一般的に移動度は大きくなる。以上の観点から、単結晶シリコン基板1−1は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。また一導電型単結晶シリコン基板1−1は、光閉じ込めの観点から、表面にテクスチャ構造を有することが好ましい。
テクスチャ形成後、一導電型単結晶シリコン基板表面にシリコン系薄膜を製膜する。シリコン系薄膜の製膜方法としては、プラズマCVD法が好ましい。シリコン系薄膜の形成条件としては、基板温度100〜300℃、圧力20〜2600Pa、高周波パワー密度0.004〜0.8W/cmが好ましく用いられる。シリコン系薄膜の形成に使用する原料ガスとしては、SiH、Si等のシリコン含有ガスまたは、それらのガスとHを混合したものが用いられる。
電型シリコン系薄膜は、一導電型または逆導電型のシリコン系薄膜を意味し、例えば一導電型単結晶シリコン基板1−1としてn型を用いた場合は、一導電型シリコン系薄膜、逆導電型シリコン系薄膜は各々n型、p型となる。p型またはn型シリコン系薄膜を形成するためのドーパントガスとしては、BまたはPH等が好ましく用いられる。また、PやBといった不純物の添加量は微量でよいため、予めSiHやHで希釈された混合ガスを用いることが好ましい。また、CH、CO、NH、GeH等といった異種元素を含むガスを添加することで、合金化しエネルギーギャップを変更することもできる。
リコン系薄膜としては、非晶質シリコン薄膜、微結晶シリコン(非晶質シリコンと結晶質シリコンとを含む薄膜)などが挙げられるが、中でも非晶質シリコン系薄膜を用いることが好ましい。またシリコン系薄膜としては、導電型シリコン系薄膜を用いることができる。この際、図1に示すように、一導電型単結晶シリコン基板1−1の光入射側に逆導電型シリコン系薄膜1−3を用いることが好ましい。これは、一導電型単結晶シリコン基板1−1の光入射面側において入射光による電子の励起が最も行われるため、光入射面側に強い電場勾配を有することにより再結合ロスを抑えられるためである。また、裏面側における再結合を抑制するために、裏面側に一導電型シリコン系薄膜1−5を用いることが好ましい。
例えば、一導電型単結晶シリコン基板1−1としてn型単結晶シリコン基板を用いた場合の好適な構成としては、透明電極層/p型非晶質シリコン系薄膜/i型非晶質シリコン系薄膜/n型単結晶シリコン基板/i型非晶質シリコン系薄膜/n型非晶質シリコン系薄膜/透明電極層などがあり、この場合は上記理由から裏面をn層とすることが好ましい。
性シリコン系薄膜としては、実質的に真性なi型シリコン系薄膜を用いることが好ましく、この場合、シリコンと水素で構成されるi型水素化非晶質シリコンを用いることが好ましい。i型水素化非晶質シリコンを用い、CVDにて製膜を行った場合、単結晶シリコン基板への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行うことができる。また、膜中の水素量を変化させることで、エネルギーギャップにキャリア回収を行う上で有効なプロファイルを持たせることができるためである。
p型シリコン系薄膜は、p型水素化非晶質シリコン層、p型非晶質シリコンカーバイド層、またはp型酸化非晶質シリコン層であることが好ましい。不純物拡散や直列抵抗の観点ではp型水素化非晶質シリコン層が好ましい。一方で、p型非晶質シリコンカーバイド層あるいはp型酸化非晶質シリコン層はワイドギャップの低屈折率層として光学的なロスを低減できる点において好ましい。
p型シリコン系薄膜の膜厚は、5nm〜50nmの範囲が好ましい。ヘテロ接合太陽電池では、特に、光入射側に配置される導電型半導体層の膜厚を小さくすることが好ましく、p型シリコン系薄膜が光入射面である場合、15nm以下がより好ましい。
面側シリコン系薄膜としては、図3に示すように一導電型シリコン系薄膜1−5を用いることが好ましい。一導電型シリコン系薄膜1−5は、少なくとも非晶質シリコン系薄膜を有することが好ましい。更に裏面透明電極層との電気的なコンタクトを良好にするために、結晶質シリコン系薄膜を非晶質シリコン系薄膜と裏面側透明電極層との間に有しても良い。なお「結晶質」との用語は、薄膜光電変換装置の技術分野で一般に用いられている様に、部分的に非晶質状態を含むものをも含むものとする。
上記のように裏面電極として使用する金属の結晶シリコン基板への拡散をより抑制する観点から、一導電型シリコン系薄膜1−5の厚みをある程度厚くすることが好ましい。この場合、この上に形成する裏面金属電極が結晶シリコン基板へ拡散することをより抑制する観点から、一導電型シリコン系薄膜1−5の厚みは5nm以上が好ましい。また製造コスト低減の観点から、100nm以下が好ましい。
本発明における結晶シリコン系太陽電池は、逆導電型シリコン系薄膜1−3上に光入射側透明電極層3を有することが好ましく、一導電型シリコン系薄膜1−5上に裏面側透明電極層6を有することが好ましい。
明電極層は、導電性酸化物を主成分とすることが好ましい。導電性酸化物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化インジウム、酸化錫を単独または混合して用いることができるが、導電性、光学特性、及び長期信頼性の観点から、酸化インジウムを含んだインジウム系酸化物が好ましく、中でも酸化インジウム錫(ITO)を主成分とするものがより好ましく用いられる。ここで本発明において「主成分とする」とは、その材料を50%より多く含むことを意味し、70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。透明電極層は、単層で用いても良いし、複数の層からなる積層構造でもよい。さらに上記透明電極層には、ドーピング剤を添加することができる。例えば、透明電極層として酸化亜鉛を用いた場合には、アルミニウムやガリウム、ホウ素、ケイ素、炭素などが挙げられる。酸化インジウムを用いた場合には、亜鉛や錫、チタン、タングステン、モリブデン、ケイ素などが挙げられる。酸化錫を用いた場合には、フッ素などが挙げられる。
入射側透明電極層3、裏面側透明電極層6の、一方もしくは両方の透明電極層にドーピング剤を添加することができるが、光入射側透明電極層3に添加することが好ましい。これは、光入射側に形成される集電極は一般的に櫛形であることから、透明電極層で生じうる抵抗損を抑制することができるためである。
入射側透明電極層3の膜厚は、透明性と導電性、そしてセルの光反射低減の観点から、10nm以上140nm以下であることが好ましい。透明電極層の役割は、集電極へのキャリアの輸送であり、そのために必要な導電性があればよい。一方で透明性の観点から、140nm以下にすることにより、透明電極層自体の吸収ロスが少ないため、透過率の低下に伴う光電変換効率の低下を抑制することができる。また、透明電極層中のキャリア濃度を低くすれば、赤外域の光吸収の増加に伴う光電変換効率を低下も抑制できる。更に、光入射側透明電極層3は反射防止膜の役割も果たすため、適切な膜厚にすることで、光閉じ込め効果も見込まれる。
裏面側透明電極層6の膜厚は、裏面反射の増加の効果の観点から5nm以上180nm以下が好ましい。また裏面側透明電極層6上に裏面金属電極を形成することが好ましく、裏面金属電極として使用される金属のシリコン基板への拡散予防という点で重要である。透明電極層の製膜方法は、特に限定されないが、スパッタ法等の物理気相堆積法や、有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相堆積(MOCVD)法等が好ましい。いずれの製膜方法においても、熱やプラズマ放電によるエネルギーを利用することもできる。
透明電極層作製時の基板温度は、適宜設定される。例えば、シリコン系薄膜として非晶質シリコン系薄膜が用いられる場合、200℃以下が好ましい。基板温度を200℃以下とすることにより、非晶質シリコン層からの水素の脱離や、それに伴うシリコン原子へのダングリングボンドの発生を抑制でき、結果として変換効率を向上させることができる。
光入射側透明電極層3上に集電極8が形成され、裏面側透明電極層6上に裏面金属電極が形成されることが好ましい。集電極は、インクジェット法、スクリーン印刷法、導線接着法、スプレー法、真空蒸着法、スパッタ法等の公知技術によって作製できるが、生産性の観点から銀ペーストを用いたスクリーン印刷法や、銅を用いためっき法等が好ましい。
また裏面金属電極としては、近赤外から赤外域の反射率が高く、かつ導電性や化学的安定性が高い材料を用いることが望ましい。このような特性を満たす材料としては、銀やアルミニウム等が挙げられる。裏面金属電極層の製膜方法は、特に限定されないが、スパッタ法や真空蒸着法等の物理気相堆積法や、スクリーン印刷等の印刷法等が適用可能である。
例えばヘテロ接合太陽電池では、裏表面の短絡を防止するために、各層を形成した後に、照射面を上にし、上から下へとレーザー照射することにより溝が形成され、最後に溝形成により生じた残渣(すなわち堆積物)が除去されることが一般的に行われている。また薄膜シリコン系太陽電池などを集積化する際は、所望の溝を形成後、その上に他の薄膜が形成されている。集積化の際は、一般的に、なるべく残渣が生じないレーザー条件で、照射面(通常ガラス基板側)を上にして、上から下へとレーザー照射することにより溝が形成され、該溝の形成により生じた残渣を吸引して除去した後、別の薄膜が形成される。また、以下に示すように、第一薄膜として使用される導電型半導体層や電極層が、レーザー照射により形成された開口部(溝)のダメージ部分と非常に近くなり、リーク電流が生じる虞があった。
例えば、ヘテロ接合太陽電池として、n型シリコン系薄膜/n型単結晶シリコン基板/p型シリコン系薄膜を有する場合、通常、レーザー光がPN接合部(すなわちp型シリコン系薄膜側)に照射されると、接合部がダメージを受け、図4(a)に示されているように、接合ダメージ部と透明電極層が近くなり、この接合ダメージ部がリーク源になるという問題がある。すなわち、透明電極層に収集されたキャリアが、端部の接合ダメージ部において再結合し、リーク電流が生じる。
このため、例えば、波長の短いレーザーを用いて、PN接合部とは反対側の面(すなわちn型シリコン系薄膜側)から、PN接合部には達しないようにレーザー光を照射して溝を形成し、メカニカルに折り割りを行うことで、絶縁処理を行うことができる。
しかしながら、この場合、レーザー照射によりPN接合部に達しないように溝を形成するだけでは、電気的な絶縁を取ることはできず、絶縁処理のために必ず折り割りが必要になる。このため、シリコン基板の端部から、ある程度距離をとった所に溝を形成しないと、メカニカルに折り割りを実施することは困難である。従って、元のシリコン基板を最大限に利用することができず、受光面積にロスが生じることとなる。
一方で、PN接合部側からレーザー光を照射した場合は、レーザーによる溝だけで電気的な絶縁を実現することができるため、シリコン基板の端部に非常に近いところにレーザーを照射することで、受光面積を広くすることが可能である。しかしながら、上述したようにPN接合部にレーザー光が照射されるため、リーク電流が発生し、変換効率の低下が生じてしまう。
本実施形態では、PN接合部側からレーザー光をシリコン基板の端部付近に照射することにより基材開口部A0を形成する。この際、該開口部A0を形成する際に生じる堆積物が光入射側透明電極層のマスクとなり、該堆積物マスクにより光入射側透明電極層に500μm以内の幅を持った開口領域A1が形成される。
本実施形態では、基材のPN接合部に達するように基材開口部Aを形成した場合であっても、第一薄膜開口領域A1を形成することにより、表裏の電極層の短絡を防止し、絶縁処理を行うことができる。具体的には、例えば図1(c)に示すように、基材開口部A0を形成した後(基材開口部形成工程後)に第一薄膜を形成する(第一薄膜形成工程)A0上にも第一薄膜が形成されているものの、第一薄膜開口領域A1を形成することにより(第一薄膜開口領域形成工程)、太陽電池における表裏電極の電気的な短絡を除去することができる。
例えばヘテロ接合太陽電池では、基材開口部A0により表側と裏面側が分離されるが、図4(b)のように開口領域A1が形成され、この開口領域A1により、表側の透明電極層に収集されたキャリアは、裏面側につながる接合ダメージ部まで到達することができず、電気的に隔離された状態となっている。このため、通常PN接合側からレーザー光を照射した際に生じるダメージによるリーク電流を大幅に抑制することができる。従って、新たなマスク準備工程などを有さなくとも太陽電池を容易に作製することができる。また裏面側からレーザー照射する場合とは異なり、別途の折割工程も必ずしも必要でないため、基材の端部により近い部分に基材開口部A0を形成することにより、より受光面積を増大させることができる。従って、変換効率のより高い太陽電池を作製することができる。
レーザー照射により形成された基材開口部A0の端部からの堆積物の堆積範囲(堆積物形成領域)は500μm以内が好ましく、300μm以内がさらに好ましく、150μm以内が特に好ましい。また、リーク電流をより抑制できる観点から、基材開口部A0の端部からの堆積物形成領域の幅は、5μm以上が好ましい。
ここで、本発明における「堆積物形成領域」とは、開口部A0の端部から堆積物が存在する最大の領域を意味する。例えば、堆積物形成領域が300μmの場合、開口部A0の端部から300μmまでの範囲に堆積物が形成されたものを意味し、そのうちの一部(例えば180μm付近)に堆積物が形成されていない領域が存在するものも含む。
レーザー光としては、基材として用いられる材料が吸収可能な光の波長で、基材開口部A0の形成に十分な出力を有するものが適用可能であり、基材開口部A0の周辺に堆積物を形成できればどのようなものでも良い。たとえは、YAGレーザーやArレーザーの第3高調波等の波長が400nm以下のUVレーザーでは、溝の深さを低減させることができるため、基板へのダメージを抑制しながら基材開口部A0を形成しやすく、開口領域A1による表裏の電気的な絶縁処理を行うことが可能である。
パワーとしては、1〜20Wのものを用いることができ、また、レーザー光の光径としては、例えば、20〜200μmのものを用いることができる。このような条件のレーザー光を照射することにより、幅が上記のレーザー光の光径とほぼ同じである溝を形成することができる。
また、より長波長光を利用する、第2高調波レーザーやIRレーザーを使用しても良い。また、基材開口部A0は、A0の端部から所定の範囲に堆積物を形成出来ればどのような形状であってもよく、図1(b)のような溝状のものでも良いし、レーザー光によって完全に基材を切断してしまっても良い。
また、この方法を用いれば、PN接合部を有する太陽電池だけでなく、PIN接合部を有する太陽電池にも適用可能である。例えば薄膜シリコン太陽電池や、CIS、CIGS太陽電池のような化合物系太陽電池に代表される薄膜太陽電池において集積構造を形成する際も、同様に光入射面側透明電極層などに開口領域A1を形成することで、レーザーによるPN接合部、又はPIN接合部へのダメージ部を電気的に隔離することができ、リーク電流を抑制することができると考えられる。
例えば、CIS系太陽電池を例に挙げると、CIS層(p型半導体層)/CdS層(真性半導体層)/ZnO(透明電極層)などの構造となり、基材がCIS層/CdS層、第一薄膜がZnOに相当する。この場合、CdSのCdがCIS層に拡散していくことで、CIS層中にn型の部分ができるため、PN接合部がCIS層の中に形成される。該基材のPN接合部に開口部A0を形成した場合であっても、第一薄膜として使用するZnOに開口領域A1を形成することにより、リーク電流を抑制することができる。
図5に、フラットな結晶シリコン基板にレーザー光を照射した場合における、基材開口部A0と堆積物のSEM画像を示す。また、表面にテクスチャ加工を施したシリコン基板においても、堆積物は良い被覆率を示し、十分にマスクとしての役割を果たすことができる。
図5に示すように、堆積物2は通常粉状であり、エアーブローや超音波洗浄等により簡単に取り除くことが可能である。従って、この上に形成する第一薄膜に簡単に開口領域A1を形成することが可能である。また、レーザーの種類や、強度を適宜調整することにより、堆積物の堆積範囲を変えることができるため、堆積物形成領域や、第一薄膜開口領域A1をコントロールすることも可能である。
レーザー光は太陽電池セルの外周部に照射することが好ましい。また受光面をできるだけ広くするために、PN接合部が形成されている側の面の外周部に照射することが好ましく、図3のように開口領域A1が形成されていることが好ましい。また開口部A0は、外周部の全面に形成されていることがより好ましい。
中でも、受光面をより広く出来る観点から、外周部の端部により近い領域にA0が形成されていることが好ましい。また、図3の場合は、レーザー光により形成した溝状の開口部A0に沿って基材が割断された場合を示しているが、基材の割断を行わなくてもよい。また、レーザー照射面とは反対面側に達するようにレーザーを照射して開口部A0を形成しても良い。これらの場合、条件によってはレーザー処理だけで割断まで実施することも可能となり、別途の割断工程が不要のため、生産性の観点から好ましい。また本実施形態の場合、上述の理由より、第一薄膜開口領域A1が基材の外周部に形成されていることが好ましく、外周部の全面に形成されていることがより好ましい。
以上のように、基材開口部形成工程にて堆積膜を形成した後、堆積物形成領域上に、第一薄膜3として、光入射側透明電極層を形成する。この際、図1(c)のように、基材の一主面側の表面全面に第一薄膜を形成しても良い。全面に形成した場合、第一薄膜を除去することにより、第一薄膜開口領域A1が形成され、これにより、表裏の電気的な絶縁処理を施すことが可能となる。
第一薄膜を除去する方法は、特に限定されないが、例えば、エアーブローや超音波洗浄等が挙げられる。中でも、より精度良く開口領域A1を形成出来る観点から、超音波洗浄が好ましい。ここで、粉状である堆積物上の光入射側透明電極層は、特に超音波洗浄等を施さなくても、十分に電気的に絶縁となっているが、超音波洗浄を施し、堆積物ごと除去することで、より確実に絶縁処理を施すことが可能となる。
(第二の実施形態)
図6に本発明における第二の実施形態の太陽電池の作製方法を示す。図6(a)には、基材の一主面側に最表面層4が形成された状態が示されている(基材準備工程)。本実施形態においては、最表面層として電極層を用いる。また基材は、前記最表面層を含む、少なくとも2層(下地層+最表面層)により形成される。本実施形態における基材としては、特に制限されないが、後述のように前記下地層にPN接合部(もしくはPIN接合部)を有することが好ましい。
図6(b)では、レーザー光を照射することにより基材開口部A0が形成されている(基材開口部形成工程)。また、基材の一部が堆積物2として、開口部A0の周辺部に堆積するようにレーザー光が照射される。この堆積物2は、基材がシリコン基板上に最表面層を有するものである場合は、最表面層の一部を有し、またシリコン基板の一部を有していてもよい。
基材として、ガラス上に、最表面層としての電極層が形成されているものを用いた場合は、最表面層の一部を有する。本実施形態においては、最表面層は、透明電極層であることが好ましい。また、この堆積物2は比較的簡単に除去することができるものであることが好ましい。堆積物2の堆積範囲(堆積物形成領域)は、開口部A0の端部から500μm以内であることが好ましい。
図6(c)は、開口部A0が形成された基材の一主面側表面上に第一薄膜3を形成している状態を示している(第一薄膜形成工程)。第一薄膜3は堆積物形成領域上、基材の堆積物形成領域以外の領域上、および基材開口部A0上に形成されている。
図6(d)では、堆積物形成領域における第一薄膜に開口領域A1が形成された状態を示している(第一薄膜開口領域形成工程)。本実施形態においては、第一薄膜形成後(図6(c))に、第一薄膜開口領域形成工程を行った状態を示しているが、第一薄膜開口領域A1は、第一薄膜形成工程と同時に形成されても良い。「第一薄膜形成工程と同時」とは、堆積物形成領域上の一部に第一薄膜が形成される(すなわち第一薄膜を形成する際に、堆積物形成領域上の一部に第一薄膜が形成されない)ことにより、第一薄膜開口領域A1が形成される場合等を意味する。また図6(d)においては、堆積物形成領域上に開口領域A1が複数形成された形態を示しているが、上述のように、一部のみであっても良いし、堆積物形成領域の全域に形成されていてもよい。
ここで、本実施形態のように第一薄膜が保護層(典型的には絶縁層)の場合、第一薄膜開口領域は、典型的には保護層が付着していない領域を意味し、実際にA1の領域で保護層の元素が検出されたとしても、所々で保護層に微小な開口部が存在し、エッチャントが侵入できる場合は、開口領域を意味するものとする。
図6(e)には、堆積物2直下に位置する最表面層4の領域(領域5)を示している。図6(f)に示すように、堆積物2、及び、堆積物2上に形成された第一薄膜3の開口領域A1からエッチャントを侵入させる形で、堆積物形成領域(すなわち領域5)における、基材の最表面層4に開口領域(A2)を形成する(エッチング工程)。
この際、エッチング工程は、第一薄膜開口領域形成工程と同時に行っても良いし、第一薄膜開口領域形成工程後に行っても良い。ここで「第一薄膜開口領域形成工程と同時」とは、堆積物形成領域の全面に第一薄膜が形成された場合であっても、例えば、エッチング工程におけるエッチャントにより堆積物の一部が除去され、それに伴い該堆積物上の第一薄膜に開口領域A1が形成されて、基材の最表面層にエッチャントが侵入する場合などを意味する。また「第一薄膜開口領域形成工程後」とは、堆積物形成領域上の一部に第一薄膜が形成(開口領域A1が形成)された後、あるいは、予め第一薄膜の一部を超音波処理等により除去して開口領域A1が形成された後に、エッチング工程を行うことを意味する。
エッチング工程において、堆積物2直下に位置する最表面層4の領域(領域5)の少なくとも一部を除去することにより、最表面層4に開口領域A2を形成することができる。この際、図6(f)に示すように、エッチングにより領域5の最表面層が全て除去されてもよい。
なお、図6(f)に示すように、本実施形態においては、堆積物形成領域における第一薄膜の開口領域A1を通じて堆積物形成領域における最表面層に開口領域A2が形成されるため、典型的には、第一薄膜開口領域A1の直下に最表面層開口領域A2が形成される。すなわち、A1とA2は上下方向に一致(すなわち重複)する場合がある。この際、開口領域A1,A2の領域は必ずしも上下方向に一致する必要はなく、A1,A2の大きさは異なっていても良い。
以下に、本発明の一実施形態である結晶シリコン系太陽電池を例として、本発明をより詳細に説明するが、本発明は結晶シリコン系太陽電池のみに限定されない。
図7は、本発明の一実施形態に係る結晶シリコン系太陽電池の模式的断面図である。本実施形態の結晶シリコン系太陽電池は、基材として一導電型単結晶シリコン基板1−1と逆導電型シリコン系薄膜1−3との間、および一導電型単結晶シリコン基板1と一導電型シリコン系薄膜1−5との間のそれぞれに、第1の真性シリコン系薄膜1−2、および第2の真性シリコン系薄膜1−4を有することが好ましい。また、最表面層4として光入射側透明電極層4を有することが好ましい。この際、光入射側を前記導電型シリコン系薄膜1−3側とすることが好ましく、前記導電型シリコン系薄膜1−3上に最表面層4(光入射側透明電極層4)を形成することが好ましい。光入射側透明電極層4上には、第一薄膜3として保護層3が形成されることが好ましい。光入射側透明電極層4上と保護層3の外周部には、最表面層(光入射側透明電極層)開口領域A2を有する。基材は、裏面側透明電極層6を有することが好ましく、一導電型シリコン系薄膜1−5上に形成されることが好ましい。裏面側透明電極層6上には裏面電極7が形成される。
本実施形態においても、開口領域A1、A2及び、保護層3の形成方法を除いては、第一の実施形態と構成は同様であり、重複を避けるため説明を省略する。本実施形態では、光入射側透明電極層4(最表面層4)を形成後であり、保護層3(第一薄膜3)の形成前に、図6(b)に示されているように、基材にレーザーを照射することにより、基材開口部A0を形成する。この際、前記基材開口部A0の周辺に堆積物2を堆積させるようにレーザー照射が行われる。堆積物2には少なくとも最表面層4の一部が含まれる。
その後、少なくとも堆積物形成領域上に保護層3(第一薄膜3)を形成する。堆積物形成領域上の保護層は、堆積物形成領域の一部に形成されていても良いし、全面に形成されていても良い。また基材開口部A0上にも形成されていても良い。保護層3は、光入射側透明電極層4をエッチング可能であり、かつ、この際エッチング方法に対して、耐性のあるものを用いる。従って、堆積物形成領域以外の基材表面を保護する観点から、保護層は、基材の一主面側表面の堆積物が形成されていない領域B上にも形成されていることが好ましい。また基材の一主面側表面の全面(堆積物形成領域、領域B、基材開口部A0)に形成されていることがより好ましい。
なお、保護層は、開口部A0の一部に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよいが、後述のように、めっき法により集電極を形成する場合などは、保護層が基材の一主面側表面の全面を覆うように形成されていることがより好ましい。
エッチングは、エッチャントとして、例えば、塩酸や硫酸のような溶液を用いることにより行っても良いし、ドライエッチングによりプラズマを用いることにより行っても良い。また、保護層3としては、上述のようにエッチャントが、堆積物や、堆積物上の保護層3から浸透して堆積物の直下にある領域5の最表面層4(本実施形態では光入射側透明電極層)をエッチングすることができれば、何であっても構わない。保護層としては、例えばSiOやAlなどの透明な薄膜を蒸着法やスパッタ法、又はCVD法などを用いて形成しても良いし、有機材料を塗布しても良い。
例えば、めっき法を用いて集電極8を形成する場合は、めっき液をエッチャントとして使用すると製造工程を簡略化できるメリットがある。例えば、集電極形成にCuめっき法を利用する場合、通常めっき液としては、10%〜20%程度の硫酸に、硫酸銅を溶解させたものを用いる。
しかしながら、集電極を透明電極層などの上にめっき法により形成すると、透明電極層がめっき液に溶解されてしまうため、上述のように、透明電極層をレジストや絶縁層などで保護する必要がある。本実施形態においては、第一薄膜として上記保護層を用いることにより、透明電極層をめっき液から保護しつつ、開口部A0付近においては、めっき液が開口領域A1から侵入し、基材の最表面層(透明電極層など)の一部をエッチングすることが可能となる。
第一の実施形態においては、堆積物をマスクとして使用することで、第一薄膜3(光入射側透明電極層3)に開口領域A1を形成したが、第二の実施形態においては、粉状の堆積物2により堆積物形成領域上の第一薄膜3(保護層3)に微小な開口領域A1が形成されやすくなり、エッチャントの侵入を可能とし、エッチャントにより、光入射側透明電極層などの基材最表面層に開口領域A2を形成することができる。
本実施形態では、最表面層4(光入射側透明電極層4)の形成後に光入射面側からレーザー光を照射して基材開口部A0を形成する。基材開口部A0の形成により、表裏電極の電気的な絶縁を概ね実現することができるが、光入射面側からレーザー光を入射してシリコン基板に達する基材開口部A0を形成することで、PN接合部へのダメージによるリーク電流が生じる状態となる。しかしながら、本実施形態に依れば、光入射側透明電極層の開口領域A2を形成することにより、透明電極層4の端部と接合ダメージ部が電気的に隔離されるため、リーク電流を抑制することが可能となる。
特に、第一薄膜が基材開口部A0上にも形成される場合、絶縁処理を行う上での歩留まりの観点から、第一薄膜として保護層を用いる実施形態(第二の実施形態など)の方が、第一薄膜として電極層を用いる実施形態(第一の実施形態など)よりも、好ましい。
第一の実施形態では、開口領域A1の形成によってのみ絶縁処理を行うため、通常粉状である堆積物が一部形成されない、又は、工程中に除去されてしまった場合などは、その部分に透明電極層が形成されてしまい、電気的な短絡(大きなリーク電流)が発生する可能性がある。一方で、第二の実施形態においては、レーザー照射により、開口部A0を形成することにより、大きなリーク電流の発生は第一の実施形態と比較して、より確実に抑制できると考えられる。このため、歩留まりの観点から、第二の実施形態の方がより好ましいと考えられる。
以上のように、第一の実施形態と第二の実施形態を用いて本発明を説明したが、上記の実施形態に限られない。またPN接合部(またはPIN接合部)側からのレーザー照射だけでなく、反対面側(PN接合部に達しないように)レーザー照射を行っても良い。
本発明の太陽電池は、実用に供するに際して、モジュール化されることが好ましい。太陽電池のモジュール化は、適宜の方法により行われる。例えば、集電極にタブ等のインターコネクタを介してバスバーが接続されることによって、複数の太陽電池セルが直列または並列に接続され、封止剤およびガラス板により封止されることによりモジュール化が行われる。特に、基板の表面に絶縁層が形成されている場合は、モジュール化の際の短絡が抑止されるため、モジュール化工程における生産性にも優れる。
以下、ヘテロ接合太陽電池に関する実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図3に示す実施例1の結晶シリコン系太陽電池を以下のようにして製造した。まず以下のようにして基材1を作製した(基材準備工程)。一導電型単結晶シリコン基板1−1として入射面の面方位が(100)で、厚みが200μmのn型単結晶シリコン基板1−1を用い、このn型単結晶シリコン基板1−1を2重量%のHF水溶液に3分間浸漬し、表面の酸化シリコン膜を除去し、超純水によるリンスを2回行った。次に70℃に保持した5/15重量%のKOH/イソプロピルアルコール水溶液に15分間浸漬し、基板表面をエッチングすることでテクスチャを形成した。その後に超純水によるリンスを2回行った。原子間力顕微鏡(AFM パシフィックナノテクノロジー社製)による単結晶シリコン基板1−1の表面観察を行ったところ、基板表面はエッチングが最も進行しており、(111)面が露出したピラミッド型のテクスチャが形成されていた。
エッチングが終了した単結晶シリコン基板1−1をCVD装置へ導入し、 裏面側に、第二の真性シリコン系薄膜としてi型非晶質シリコン層1−4を6nm製膜した。i型非晶質シリコン層1−4の製膜条件は基板温度が150℃、圧力120Pa、SiH/H流量比が3/10、投入パワー密度が0.011W/cmであった。i型非晶質シリコン層1−4上に、一導電型シリコン系薄膜1−5としてn型非晶質シリコン層1−5を8nm製膜した。n型非晶質シリコン層1−5の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH/PH流量比が1/2、投入パワー密度が0.01W/cmであった。なお、上記でいうPHガスは、PH濃度を5000ppmまでHで希釈したガスを用いた。本実施例において製膜した薄膜の膜厚は、ガラス基板上に同条件にて製膜した場合の膜厚を分光エリプソメトリー(商品名M2000、ジェー・エー・ウーラム社製)にて測定し、製膜速度を求め、同じ製膜速度にて製膜されていると仮定して算出した。
次に、光入射側に第一の真性シリコン系薄膜1−2としてi型非晶質シリコン層1−2を5nm製膜した。i型非晶質シリコン層1−2の製膜条件は基板温度が170℃、圧力120Pa、SiH/H流量比が3/10、投入パワー密度が0.011W/cmであった。i型非晶質シリコン層1−2の上に、逆導電型シリコン系薄膜1−3としてp型非晶質シリコン層1−3を7nm製膜した。p型非晶質シリコン層1−3の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH/B流量比が1/3、投入パワー密度が0.01W/cmであった。なお、上記でいうBガスは、B濃度を5000ppmまでHで希釈したガスを用いた。
なお、これらシリコン系薄膜はいずれもマスクを用いることなく製膜し、シリコン基板1の製膜面側(プラズマに曝される面側)の全面に製膜した。この際、一主面側のp型シリコン系薄膜1−3は裏面側に、また裏面側のn型シリコン系薄膜1−5は一主面側に各々回り込んでいた。
その後、レーザー加工装置に移動させて、レーザー光によって結晶シリコン基板の光入射側の外周部の全周にわたって結晶シリコン基板に達するように溝(基材開口部A0)を形成した(基材開口部形成工程)。すなわちPN接合部が含まれるようにA0を形成した。基材開口部A0の位置は結晶シリコン基板端から0.5mmとした。レーザー光としては、YAGレーザーの第三高調波(波長355nm)を用い、A0の深さは結晶シリコン基板の厚みの3分の1程度とした。この際、レーザーによって飛ばされた基材1の一部が、外周部の全周にわたって形成されたA0の端部から100μmまでの位置に、均一に粉状の堆積物2となって堆積した。
この上に第一薄膜3(光入射側透明電極層3)として酸化インジウム錫(ITO、屈折率:1.9)を100nm製膜した(第一薄膜形成工程)。この際、光入射側透明電極層3は、基材の一主面側表面を覆うように(すなわち堆積物形成領域と、堆積物が形成されていない領域に)形成されていた。製膜条件は、基板温度を室温とし、ターゲットとして酸化インジウムと酸化錫の焼結体を、0.2Paのアルゴン雰囲気中で0.5W/cmのパワー密度を印加して製膜した。その後、光入射側透明電極層と同様の材料と製膜条件にて裏面側透明電極層6を50nm製膜した。裏面側透明電極層6形成後、裏面電極7としてスパッタ法により銀を500nm形成した。なお、透明電極層3,6および裏面電極7は、いずれもマスクを用いることなく製膜し、シリコン基板1の全面に形成されるように製膜した。
上記光入射側透明電極層3上には、スクリーン印刷法を用いて銀ペーストにて集電極8を形成した。続いて基材開口部A0に沿って折り曲げ破断した。更に、超音波洗浄機により堆積物を完全に除去した。以上のように第一薄膜開口領域A1を形成した。
[比較例1]
比較例では実施例1における結晶シリコン系太陽電池と同様に作製を行った。ただし、レーザー照射による絶縁処理は、集電極8を形成した直後に行った。すなわち第一薄膜形成工程後に基材開口部A0を形成した点で実施例1と異なっていた。その後、溝に沿って折り曲げ破断した。
[実施例2]
図7に示す実施例2の結晶シリコン系太陽電池を以下のようにして製造した。
n型非晶質シリコン層1−5の形成までは、実施例1と同様に作製を行った。n型非晶質シリコン層1−5の形成後、この上に最表面層4として光入射側透明電極層4をシリコン基板1の全面に製膜した。この際、透明電極層4の材料、製膜条件、および膜厚は、実施例1と同様である。また、裏面側透明電極層6、及び、裏面電極7を形成後、上記光入射側透明電極層4上に、スクリーン印刷法を用いて銀ペーストにて集電極8を形成した。
その後、レーザー加工装置に移動させて、レーザー光によって結晶シリコン基板の光入射側の外周部の全周にわたって溝(基材開口部A0)を形成した(基材開口部形成工程)。溝の位置は結晶シリコン基板端から0.5mmとした。レーザー光としては、YAGレーザーの第三高調波(波長355nm)を用い、溝の深さは結晶シリコン基板の厚みの3分の1程度とした。この際、レーザーによって飛ばされた基材の一部が、外周部の全周にわたって形成された溝の端部から100μmまでの位置に、均一に粉状の堆積物となって堆積した。
その後、第一薄膜3(保護層3)としてスパッタ法によりSiO膜を形成した(第一薄膜形成工程)。この際、集電極8のバスバー上にはマスクを設置して、バスバー上のみ保護層3が形成されないようにした。続いて、5%の塩酸に浸すことで堆積物の一部が崩れ落ち、堆積物形成領域上のSiO膜に開口領域A1が形成され、該開口領域A1から塩酸が侵入して堆積物が除去されるとともに堆積物直下の光入射透明電極層4をエッチングして開口領域A2を形成した。その後、溝に沿って折り曲げ破断した。更に、超音波洗浄機により堆積物を完全に除去することにより、開口領域A1を堆積物形成領域の全体に形成した。すなわち、実施例2においては、基材と垂直な方向において、開口領域A1とA2が同領域に形成されていた。
[比較例2]
レーザー照射による開口部A0の形成を、第一薄膜3(保護層3)の形成直後に行ったこと以外実施例2と同様にして太陽電池の作製を行った。この場合、開口領域A1及び開口領域A2が形成されていない点で実施例2とは異なる。
以上のようにして、実施例1、2、および比較例1、2の結晶シリコン系太陽電池を作製し、AM1.5のスペクトル分布を有するソーラーシミュレータを用いて、25℃の下で擬似太陽光を100mW/cmのエネルギー密度で照射して太陽電池特性の測定を行った。表1に測定結果を示す。
すべてのサンプルにおいて、解放電圧(Voc)にほぼ変化は見られなかった。また、電流密度(Jsc)に関しては、比較例1、実施例1に比べて実施例2、比較例2では各々向上した。これは、実施例2、比較例2においては、保護層として形成したSiOが反射防止膜として働くためと考えられる。
曲率因子(FF)に関しては、実施例1、及び、実施例2においては、各々比較例1、及び、比較例2に比べて、高くなった。これは、比較例1では透明電極層(第一薄膜)形成後にレーザー照射を行って開口部A0を形成しているのに対し、実施例1では透明電極層(第一薄膜)形成前にA0を形成しており、A0付近の堆積物がマスクとなり第一薄膜開口領域A1が形成されたため、A0に形成されたPN接合部のダメージ部分との隔離部分が増えたためと考えられる。同様に、比較例2では保護層(第一薄膜)形成後にA0を形成しているのに対し、実施例2では透明電極層(最表面層)形成後保護層(第一薄膜)形成前に開口部A0を形成しており、A0付近の堆積物の隙間からめっき液(エッチャント)が浸透し、最表面層開口領域A2が形成されたため、PN接合部のダメージがより隔離したためと考えられる。
以上のように、本発明では、リーク電流の発生を抑制できるためFFが向上し、結果として変換効率が向上することがわかった。
1.基材
1−1.一導電型単結晶シリコン基板
1−2.第1の真性シリコン系薄膜
1−3.逆導電型シリコン系薄膜
1−4.第2の真性シリコン系薄膜
1−5.一導電型シリコン系薄膜
2.堆積物
3.第一薄膜
4.最表面層
5.堆積物形成領域下の最表面層形成領域
6.裏面側透明電極層
7.裏面電極
8.集電極

Claims (14)

  1. PN接合部またはPIN接合部を有する基材、および前記基材の一主面設けられた第一薄膜を備える太陽電池の製造方法であって、
    前記基材を準備する基材準備工程と、
    前記基材の一主面側からレーザーを照射して前記基材に開口部を形成する基材開口部形成工程と、
    前記開口部が形成された前記基材の一主面上に第一薄膜を形成する第一薄膜形成工程と、をこの順に有し、
    前記基材の一主面側の最表面層または前記第一薄膜が電極層であり、
    前記基材開口部形成工程において、前記開口部の端部から500μm以内の領域に、前記基材の少なくとも一部を含む堆積物が形成されるようにレーザーを照射し、
    前記第一薄膜形成工程において、前記基材上の前記堆積物形成された領域上に前記第一薄膜を形成し、
    前記第一薄膜形成工程後に、前記堆積物の少なくとも一部とともに前記堆積物形成された領域の前記電極層が除去されることにより、前記堆積物が形成されていた領域に前記電極層の開口領域を形成する電極層開口領域形成工程を有する、太陽電池の製造方法。
  2. 前記第一薄膜形成工程において、前記第一薄膜が前記開口部上にも形成される、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記第一薄膜形成工程において、前記第一薄膜が、前記基材の一主面側の表面上における前記堆積物が形成されていない領域上にも形成される、請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記基材は導電型半導体層を含み、前記第一薄膜が電極層であり、
    前記電極層開口領域形成工程において、前記堆積物上に形成された前記第一薄膜としての電極層が除去されることにより前記電極層の開口領域が形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記電極層開口領域形成工程において、超音波洗浄により前記堆積物とともに前記堆積物上に形成された前記電極層が除去されることにより前記電極層に開口領域が形成される、請求項に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記第一薄膜が透明電極層である、請求項4または5に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記基材の一主面側の最表面層が、導電半導体層である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記基材は、一導電型単結晶シリコン基板の一主面側に、前記最表面層として逆導電型シリコン系薄膜層を有する、請求項に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記基材の一主面側の最表面層が電極層であり、
    前記電極層開口領域形成工程は、エッチングにより前記基材の一主面側の最表面層としての前記電極層の開口領域を形成するエッチング工程であり
    前記エッチング工程の前、また前記エッチング工程と同時に、前記基材上の前記堆積物が形成された領域上の前記第一薄膜に開口領域が設けられ、
    前記エッチング工程において、前記第一薄膜開口領域からエッチャントが浸入することにより、前記堆積物の少なくとも一部とともに前記堆積物の直下にある前記電極層が除去される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 記基材の一主面側の最表面層としての電極層が透明電極層である、請求項9に記載の太陽電池の製造方法。
  11. 前記基材は、一導電型単結晶シリコン基板の一主面側に逆導電型シリコン系薄膜層、および最表面層としての前記透明電極層をこの順に有する、請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
  12. 前記第一薄膜が、前記基材の最表面層としての前記電極層を前記エッチャントから保護する保護層である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  13. 前記エッチャントとしてエッチング溶液を用い、前記エッチング溶液が前記堆積物の隙間から前記最表面層としての電極層に達するように浸入して前記電極層開口領域が形成される、請求項9〜12のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  14. 前記エッチング溶液としてめっき液が使用される、請求項13に記載の太陽電池の製造方法。
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