JP6285713B2 - 結晶シリコン系太陽電池および太陽電池モジュール - Google Patents

結晶シリコン系太陽電池および太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、結晶シリコン太陽電池および太陽電池モジュールに関する。
結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン太陽電池は、光電変換効率が高く、既に太陽光発電システムとして広く一般に実用化されている。中でも単結晶シリコンとはバンドギャップの異なる非晶質シリコン系薄膜を単結晶表面へ製膜し、拡散電位を形成した結晶シリコン太陽電池はヘテロ接合太陽電池と呼ばれている。
さらに、拡散電位を形成するための導電型非晶質シリコン系薄膜と結晶シリコン表面の間に薄い真性の非晶質シリコン層を介在させる太陽電池は、変換効率の最も高い結晶シリコン太陽電池の形態の一つとして知られている。結晶シリコン表面と導電型非晶質シリコン系薄膜の間に、薄い真性な非晶質シリコン層を製膜することで、製膜による新たな欠陥準位の生成を低減しつつ結晶シリコンの表面に存在する欠陥(主にシリコンの未結合手)を水素で終端化処理(パッシベーション)することができる。また、導電型非晶質シリコン系薄膜を製膜する際の、キャリア導入不純物の結晶シリコン表面への拡散を防止することもできる。
このようなヘテロ接合太陽電池には、基板の端部等において、パッシベーションが不十分であることや、基板の微小なひびの存在などが原因で、キャリアライフタイムの低い領域が存在してしまう。通常、光照射により生成された電子正孔対は、pn接合界面に形成される空乏層内に生じる電場によって分離されて、各々電極へ到達し、電流として回収される。しかしながら低ライフタイム領域では、空乏層や界面などにおいてバンドギャップ内にトラップ準位が形成され、本来分離されて正負の電極から取り出されるべき電子正孔対がトラップ電位を介して即座に再結合してしまい、取り出される電流とは逆向きの電流となり、逆方向リーク電流を生じる。
低ライフタイム領域において生じたリーク電流が電極へ到達すると、電流が逆方向へ流れるリーク回路を形成(すなわち等価回路的には該リーク回路の電流を抑えるための並列抵抗が減少)してしまい、曲率因子の低下、キャリアの消滅による開放電圧の低下等により、変換効率が低下する。従って、変換効率を向上させるためには低ライフタイム領域のリーク電流を電気的に遮断する必要がある。
特許文献1には、pn接合を有する太陽電池に関し、光入射側のp型半導体層またはn型半導体層を除去して、該除去部分に絶縁体層を形成することにより、pn接合の光が入射しない影領域(電極形成領域)におけるリーク電流(即ち短絡)を防止できる旨が記載されている。
特開平11―266029号公報
しかしながら、特許文献1においては、電極形成領域におけるpn接合を除去して開口を設け、開口部に絶縁層を形成しているため、工程数が煩雑であり、また絶縁層や電極層の位置あわせが困難であると考えられる。さらには、pn接合を除去しているため、接合部分へのダメージが生じ、特性が低下すると考えられる。
本発明は、結晶シリコン太陽電池において、低ライフタイム領域のリーク電流を絶縁層により遮断し、光電変換効率を向上させることを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、所定の領域上に絶縁層を形成することにより、結晶シリコン系太陽電池の変換効率が向上可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
本発明における結晶シリコン太陽電池は、一導電型単結晶シリコン基板の第一主面上に、逆導電型シリコン系薄膜層と第一透明電極をこの順に有し、前記一導電型単結晶シリコン基板の第二主面上に、一導電型シリコン系薄膜層と第二透明電極をこの順に有し、前記一導電型単結晶シリコン基板の第一主面または第二主面上の周縁部において、前記逆導電型シリコン系薄膜層と前記第一透明電極の間または、前記一導電型シリコン系薄膜層と前記第二透明電極の間に絶縁層を有する。
前記絶縁層は、前記一導電型単結晶シリコン基板の第一主面上の周縁部において、前記逆導電型シリコン系薄膜層と前記第一透明電極の間に形成されていることが好ましい。
前記一導電型単結晶シリコン基板の第一主面または第二主面側の周縁部において、第一主面側または第二主面側から前記一導電型単結晶シリコン基板側へ光が入射することを抑制する光バリア層を有することが好ましい。
前記基板の第一主面または第二主面側の周縁部において、前記光バリア層が形成された光バリア層形成領域と前記絶縁層が形成された絶縁層形成領域の少なくとも一部が重複することが好ましい。
前記基板の第一主面または第二主面側に集電極を有し、前記集電極の少なくとも一部が、前記基板の第一主面または第二主面側の周縁部に形成されており、前記周縁部における集電極は、前記光バリア層の少なくとも一部を構成することが好ましい。
また前記結晶シリコン太陽電池と、他の太陽電池または外部回路と、を接続するための配線部材を有する、太陽電池モジュールを作製することが好ましい。
前記結晶シリコン太陽電池と前記配線部材は、導電性接着剤により接着されており、前記導電性接着剤および前記配線部材の少なくとも一部が、前記基板の第一主面または第二主面側の周縁部に形成されており、前記周縁部における導電性接着剤および配線部材は、前記光バリア層の少なくとも一部を構成することが好ましい。
本発明によれば、キャリアのライフタイムが低い領域に絶縁層を形成することにより、リーク電流を遮断し、光電変換効率を向上させることができる。
本発明の太陽電池を示す模式的断面図である。 (a)太陽電池の一般的な等価回路図、(b)並列抵抗(シャント抵抗、R)の変化に伴う電流電圧特性図の変化の概略図である。 一実施形態にかかるヘテロ接合太陽電池を示す模式的断面図である。 参考例のヘテロ接合太陽電池を示す模式的断面図である。 一実施形態にかかるヘテロ接合太陽電池を示す模式的断面図である。 (a)参考例のヘテロ接合太陽電池を示す模式的断面図、(b)図5(a)のヘテロ接合太陽電池を光入射側の主面側から見た模式図である。 一実施形態にかかるヘテロ接合太陽電池を示す模式的断面図である。 本発明のモジュール作製時の太陽電池を示す模式的断面図である。
本発明の結晶シリコン太陽電池は、一導電型単結晶シリコン基板の第一主面上に、逆導電型シリコン系薄膜層と第一透明電極をこの順に有し、前記一導電型単結晶シリコン基板の第二主面上に、一導電型シリコン系薄膜層と第二透明電極をこの順に有し、前記一導電型単結晶シリコン基板の第一主面または第二主面上の周縁部において、前記逆導電型シリコン系薄膜層と前記第一透明電極の間または、前記一導電型シリコン系薄膜層と前記第二透明電極の間に絶縁層を有する。
本発明においては、ライフタイムが低い基板の周縁部に絶縁層を形成することにより、該領域において生じうるリーク電流を抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態であるヘテロ接合結晶シリコン太陽電池(以下、「ヘテロ接合太陽電池」と記載する場合がある)を例として、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明においては、下記の実施形態に限定されるものではない。
ヘテロ接合太陽電池は、一導電型の単結晶シリコン基板の表面に、単結晶シリコンとはバンドギャップの異なるシリコン系薄膜を有することで、拡散電位が形成された結晶シリコン系太陽電池である。シリコン系薄膜としては非晶質のものが好ましい。中でも、拡散電位を形成するための導電型非晶質シリコン系薄膜と結晶シリコン基板の間に、薄い真性の非晶質シリコン層を介在させたものは、変換効率の最も高い結晶シリコン太陽電池の形態の一つとして知られている。
図1は、本発明の一実施形態に係る結晶シリコン系太陽電池の模式的断面図である。結晶シリコン系太陽電池101は、一導電型単結晶シリコン基板1の第一主面(光入射側の面)に、逆導電型シリコン系薄膜3aおよび第一透明電極4aをこの順に有する。一導電型単結晶シリコン基板1の第二主面(光入射側の反対面)には、一導電型シリコン系薄膜3bおよび第二透明電極4bをこの順に有することが好ましい。光電変換部表面の第一透明電極上には、集電極70が形成されている。また本実施形態においては、基板の第一主面における周縁部において、逆導電型シリコン系薄膜3aと第一透明電極4aの間に絶縁層6が形成されている。
一導電型単結晶シリコン基板と導電型シリコン系薄膜3a、3bとの間には、真性シリコン系薄膜2a、2bを有することが好ましい。第二透明電極上には裏面金属電極5を有することが好ましい。
まず、本発明の結晶シリコン系太陽電池における、一導電型単結晶シリコン基板について説明する。一般的に単結晶シリコン基板は、導電性を持たせるために、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有している。単結晶シリコン基板は、シリコン原子に電子を導入するための原子(例えばリン)を含有させたn型と、シリコン原子に正孔を導入する原子(例えばボロン)を含有させたp型がある。すなわち、本発明における「一導電型」とは、n型またはp型のどちらか一方であることを意味する。
ヘテロ接合太陽電池では、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合を逆接合として強い電場を設けることで、電子・正孔対を効率的に分離回収することができる。そのため、光入射側のヘテロ接合は逆接合であることが好ましい。一方で、正孔と電子とを比較した場合、有効質量および散乱断面積の小さい電子の方が、一般的に移動度が大きい。以上の観点から、ヘテロ接合太陽電池に用いられる単結晶シリコン基板1は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。単結晶シリコン基板1は、光閉じ込めの観点から、表面にテクスチャ構造を有することが好ましい。
テクスチャが形成された一導電型単結晶シリコン基板の表面に、シリコン系薄膜が製膜される。シリコン系薄膜の製膜方法としては、プラズマCVD法が好ましい。プラズマCVD法によるシリコン系薄膜の形成条件としては、基板温度100〜300℃、圧力20〜2600Pa、高周波パワー密度0.004〜0.8W/cmが好ましく用いられる。シリコン系薄膜の形成に使用される原料ガスとしては、SiH、Si等のシリコン含有ガス、またはシリコン系ガスとH2との混合ガスが好ましく用いられる。
導電型シリコン系薄膜は、一導電型または逆導電型のシリコン系薄膜である。例えば、一導電型単結晶シリコン基板としてn型が用いられる場合、一導電型シリコン系薄膜、および逆導電型シリコン系薄膜は、各々n型、およびp型となる。p型またはn型シリコン系薄膜を形成するためのドーパントガスとしては、BまたはPH等が好ましく用いられる。また、PやBといった不純物の添加量は微量でよいため、予めSiHやHで希釈された混合ガスを用いることが好ましい。導電型シリコン系薄膜の製膜時に、CH、CO、NH、GeH等の異種元素を含むガスを添加して、シリコン系薄膜を合金化することにより、シリコン系薄膜のエネルギーギャップを変更することもできる。
シリコン系薄膜としては、非晶質シリコン薄膜、微結晶シリコン(非晶質シリコンと結晶質シリコンとを含む薄膜)等が挙げられる。中でも非晶質シリコン系薄膜を用いることが好ましい。例えば、一導電型単結晶シリコン基板としてn型単結晶シリコン基板を用いた場合の光電変換部の好適な構成としては、透明電極/p型非晶質シリコン系薄膜/i型非晶質シリコン系薄膜/n型単結晶シリコン基板/i型非晶質シリコン系薄膜/n型非晶質シリコン系薄膜/透明電極の順の積層構成が挙げられる。この場合、前述の理由から、p層側を光入射面とすることが好ましい。
真性シリコン系薄膜としては、シリコンと水素で構成されるi型水素化非晶質シリコンが好ましい。単結晶シリコン基板上に、CVD法によってi型水素化非晶質シリコンが製膜されると、単結晶シリコン基板への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行うことができる。
p型シリコン系薄膜は、p型水素化非晶質シリコン層、p型非晶質シリコンカーバイド層、またはp型非晶質シリコンオキサイド層であることが好ましい。不純物拡散の抑制や直列抵抗低下の観点ではp型水素化非晶質シリコン層が好ましい。一方、p型非晶質シリコンカーバイド層およびp型非晶質シリコンオキサイド層は、ワイドギャップの低屈折率層であるため、光学的なロスを低減できる点において好ましい。
ヘテロ接合太陽電池の光電変換部は、導電型シリコン系薄膜上に、透明電極を備えることが好ましい。透明電極は、透明電極形成工程により形成される。透明電極は、導電性酸化物を主成分とする。導電性酸化物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化インジウム、酸化錫を単独または混合して用いることができる。導電性、光学特性、および長期信頼性の観点から、酸化インジウムを含んだインジウム系酸化物が好ましく、中でも酸化インジウム錫(ITO)を主成分とするものがより好ましく用いられる。ここで「主成分とする」とは、含有量が50重量%より多いことを意味し、70重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。透明電極は、単層でもよく、複数の層からなる積層構造でもよい。
第一透明電極の膜厚は、透明性、導電性、および光反射低減の観点から、10nm以上140nm以下であることが好ましい。透明電極の役割は、集電極へのキャリアの輸送であり、そのために必要な導電性があればよく、膜厚は10nm以上であることが好ましい。膜厚を140nm以下にすることにより、透明電極での吸収ロスが小さく、透過率の低下に伴う光電変換効率の低下を抑制することができる。また、透明電極の膜厚が上記範囲内であれば、透明電極内のキャリア濃度上昇も防ぐことができるため、赤外域の透過率低下に伴う光電変換効率の低下も抑制される。
透明電極の製膜方法は、特に限定されないが、スパッタ法等の物理気相堆積法や、有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相堆積(MOCVD)法等が好ましい。いずれの製膜方法においても、熱やプラズマ放電によるエネルギーを利用することもできる。
透明電極作製時の基板温度は、適宜設定される。例えば、シリコン系薄膜として非晶質シリコン系薄膜が用いられる場合、200℃以下が好ましい。基板温度を200℃以下とすることにより、非晶質シリコン層からの水素の脱離や、それに伴うシリコン原子へのダングリングボンドの発生を抑制でき、結果として変換効率を向上させることができる。
本実施形態においては、導電型シリコン系薄膜と、それを覆う透明電極との間において、前記一導電型単結晶シリコン基板の第一主面または第二主面側の周縁部において、前記逆導電型シリコン系薄膜層と第一透明電極の間、または前記一導電型シリコン系薄膜層と第二透明電極の間に絶縁層が形成される。
「第一主面または第二主面の周縁部」とは、図1に示すように、一導電型単結晶シリコン基板の主面の端縁(周端ともいう)から5mm以内の領域を意味する(各々L1およびL2とする)。また「基板の周縁部(L0)」とは、第一主面の周縁部(L1)、第二主面の周縁部(L2)および基板の側面を意味する。なお、特に断りのない限り、「周縁部」という場合は、基板の周縁部を意味するものとする。
また「基板の第一主面または第二主面の周縁部に絶縁層を有する」とは、基板の第一主面または第二主面の周縁部の少なくとも一部に絶縁層が形成されていることを意味する。
また後述のように、基板を複数に分割して複数の太陽電池を作製する場合などは、該分割した各々の基板の周縁部を意味する。
通常、ヘテロ接合太陽電池においては、第一主面の電極層と第二主面の電極層の短絡を防止するために、第一主面または第二主面の反対面側に回り込むように製膜した後でレーザー等により絶縁処理を行ったり、第一主面または第二主面の電極層を各々、マスクにより製膜して絶縁処理を行っている。
通常、絶縁処理は、基板の周縁部においてなされるが、絶縁処理を行った領域やその近傍は、キャリアのライフタイムが低くなる傾向がある。すなわちレーザー照射により絶縁処理を行う場合、レーザーにより、基板やpn接合などへダメージが生じ、また基板の周縁部が露出することにより表面欠陥が生じうる。またマスクを用いて周縁部以外の領域に電極層などの層を製膜して第一主面と第二主面の絶縁処理を行う場合は、マスクによる遮蔽領域に、また製膜面とは反対面側に回り込むように第一主面側や第二主面側の層を製膜した場合は、側面などに、各層が製膜され難く(各層のカバレッジが必ずしも十分でなく)、電極層や基板が露出しやすくなる。このとき、パッシベーションされていない基板表面には表面準位が形成され、該領域に到達したキャリアをトラップし、再結合中心となるため該領域のキャリアのライフタイムが低くなる傾向がある。
またマスクが基板に接触した場合なども、該接触領域にダメージが生じ、pn接合の形成が不十分となったり、基板にクラックが入り欠陥が生じたりすることにより、パッシベーションが不十分となる傾向がある。この領域では再結合が起こりやすく、キャリアのライフタイムが低くなると考えられる。
このような領域では、再結合電流、すなわちリーク電流が生じやすく、該リーク電流が透明電極に到達すると、開放電圧、短絡電流、または曲率因子などの低下につながる。
特に、例えば集光型太陽電池などのように、基板(ウェハ)を複数に分割して太陽電池を作製した場合には、基板の面積における周縁部の割合が大きくなり、リーク電流による特性低下の影響が大きくなる傾向がある。
本発明においては、周縁部における導電型シリコン系薄膜層と透明電極との間に、絶縁層を形成することにより、リーク電流が透明電極に流れることを抑制することができる。図2(a)に一般的な太陽電池の等価回路を示す。リーク電流は並列(シャント)抵抗(Rsh)によって制限されている。ここを流れるリーク電流が増加する、すなわち並列抵抗が低下することにより図2(b)に示すIV曲線の傾きが大きくなり(Rsh→Rsh’)、特性が低下する。よって、リーク電流を抑制することにより、結晶シリコン太陽電池の特性低下を防ぎ、変換効率を向上させることができる。
なお、上述のように、絶縁層の少なくとも一部が周縁部に形成されていればよいが、絶縁層による遮光損を抑制できる観点から、絶縁層は周縁部に形成されていることが好ましい。
絶縁層は、周縁部において、キャリアのライフタイムが低い領域もしくは該領域の近傍に形成されていることがより好ましい。ここで、ライフタイムが低い領域もしくはその近傍に絶縁層を形成することにより、このようなリーク電流が透明電極へ流れることを防止できる。
「ライフタイムが低い領域」とは、キャリアのライフタイムが主面全体のライフタイムの平均値よりも低い領域を意味する。周縁部においては、例えば、レーザー光を照射した領域や、側面などが低ライフタイム領域に該当する。
通常、特に側面のライフタイムが低くなる傾向があることから、絶縁層は、周縁部において、側面(主面の周端)から3mm以内の領域に形成することが好ましく、1.2mm以内に形成することがより好ましい。特に光吸収性の絶縁層を光入射面側に形成した場合、遮光損を低減でき、光閉じ込め効果を向上させることができる。中でも、絶縁層は、ライフタイムが低くなる傾向がある側面に形成されることが好ましく、側面の90%以上を覆うように形成されることがより好ましく、全面を覆うように形成されることが特に好ましい。なお、周縁部以外の領域にライフタイムが低い領域がある場合、該部分にも絶縁層が形成されていてもよい。
ライフタイムの測定方法は、特に限定されないが、例えば、Microwave Photo Conductivity Decay法(μ−PCD法)を用いて求めることができる。例えば、周縁部を含むウェハ全体を均等に6400点のスポットに分割して各々のライフタイムを測定することにより、主面全体のキャリアのライフタイムの平均値を求めることができる。
通常、第一主面または第二主面上の全体におけるライフタイムの平均値は、1000〜3000μs程度となり、周縁部では100〜1000μs程度となる。このとき、主面全体におけるキャリアのライフタイムの平均値よりもライフタイムの低い領域を「ライフタイムが低い領域(低ライフタイム領域)」とすることができる。
絶縁層としては、導電率が10−6以下で、膜厚方向の導電率が導電型シリコン系薄膜層と比較して低い材料であれば特に制限はされない。また、導電型シリコン系薄膜層や透明電極との接触抵抗が高い材料であってもよい。また絶縁層の厚みは、リーク電流を抑制しうる程度であれば良いが、5〜100nmのものを好ましく用いることができる。
本発明においては、第一または第二主面において、シリコン系薄膜層、絶縁層、透明電極の順に各層の製膜を行うことが好ましい。すなわち絶縁層形成後に透明電極の製膜を行うため、透明電極の製膜温度より高い耐熱性を有する材料であることが好ましい。
また、絶縁層の製膜方法としては、CVD法やスパッタ法などの乾式法や、湿式法など、特に制限されないが、シリコン系薄膜層と同様な製膜方法により形成することが好ましい。基板の周縁部に絶縁層を製膜する方法としては、マスクにより基板の主面の周縁部における所望の領域以外の領域を覆った状態で、周縁部の側面を含む所望の領域のみに製膜する方法などが挙げられる。また特開2011−060971号公報に記載されているように、基板領域が放電しない条件(無放電条件)となるように基板と電極間の距離を縮めて主面の周縁部の所望の領域および側面へ選択的に製膜する方法や、プラズマCVD装置を用いて絶縁層を製膜する際に、凸部に基板を配置して放電させることで周縁部の所望の領域のみに製膜領域を制限する方法などが挙げられる。
シリコン系薄膜層は、プラズマCVDによって好ましく製膜されるので、シリコン系薄膜層をプラズマCVD法により製膜する場合、生産性及び不純物低減の観点から、絶縁層は、プラズマCVDにて製膜可能な材料であることが好ましい。プラズマCVDで製膜可能な材料としては、シリコンへ炭素、窒素、酸素、フッ素から選ばれる一種類以上の不純物を添加することで合金化したものが挙げられる。
中でも、安定性も高いため、酸化シリコンや窒化シリコンなどの単層、または酸化シリコンと窒化シリコンの積層構造などを用いることが好ましく、酸化シリコンを用いることがより好ましい。またこれらの材料は、特に基板の側面に形成した場合、リーク電流の抑制に加えてモジュール化した際に基板側面からの湿分の防湿効果も得られると考えられる。
絶縁層の製膜領域は、基板の第一主面または第二主面の周縁部であれば特に制限されないが、pn接合側では、電場の効果が強く、リーク電流の回収効果も高いため、より効果的なリーク電流抑制の観点から、絶縁層は、前記基板の第一主面の周縁部における逆導電型シリコン系薄膜と第一透明電極の間に形成することが好ましい。
これはpn接合を形成している第一主面側では、上述のように、空乏層に形成される電場の効果が強く、リーク電流が透明電極に伝わりやすいが、pn接合側に絶縁層を設け、キャリア回収(すなわちリーク電流の伝達)を制限することで、リーク電流をより効果的に低減させることが可能であるためである。中でも、絶縁層は、基板の第一主面および第二主面(両面)の周縁部に形成されることがより好ましい。これにより、pn接合側とは反対側の第二主面において生じうるリーク電流も低減させることができる。
本発明においては、前記基板の光入射側の周縁部に、光バリア層を形成することが好ましい。「光バリア層」とは、照射された光を反射あるいは吸収することでpn接合領域へ到達する光を遮る層を意味し、前記基板の光入射側とは、前記基板の第一主面側もしくは第二主面側のいずれか一方を意味する。この際、基板の第一主面側を光入射側とすることがより好ましい。
また、上述のようにキャリアのライフタイムが低い領域の光入射面側に、光入射を遮蔽するための光バリア層を設けることが好ましい。光バリア層による光の遮蔽により、リーク電流を生じるキャリアの発生自体を抑制することで、リーク電流の発生自体を低減させることができる。
この時、前記光バリア層は光入射面側にあれば良く、絶縁層を有する主面とは逆の主面側でもよい。光バリア層の形成領域は、単結晶シリコン基板の主面の法線方向において、特に制限されず、いずれの層の間もしくはいずれの層上に存在しても良い。
例えば、透明電極上でも良いし、導電性シリコン系薄膜層と透明電極の間でもよい。また光バリア層が二層以上で構成される場合、各層の間に、例えば透明電極層など別の層が形成されていてもよい。すなわち、光バリア層/透明電極層/光バリア層の構成などであってもよい。また光バリア層は、周縁部において、側面にも形成されることが好ましい。これにより、側面からの入射光により生じうるリーク電流をより防止することができる。
更に、絶縁層の少なくとも一部が、光バリア層形成領域に形成される(すなわち絶縁層形成領域と光バリア層形成領域の少なくとも一部が重複する)ことがより好ましく、絶縁層の全部が光バリア層形成領域に形成される(すなわち絶縁層を覆うように光バリア層が形成される)ことが特に好ましい。「絶縁層形成領域と光バリア層形成領域の少なくとも一部が重複する」とは、絶縁層および光バリア層が、いずれも光入射面側に形成されており、基板の主面に垂直な方向において少なくとも一部が重複する状態を意味する。
絶縁層形成領域と光バリア層形成領域の少なくとも一部が重複させることで、光バリア層によって光によるキャリアの生成を抑制しても、pn各層で少数キャリアの拡散速度に由来する暗電流が流れるため、該領域においてリークがある場合、暗電流による生じうるリークをより抑制することができるためである。すなわち、光バリア層形成領域に絶縁層を形成することで光バリア層によるキャリアの生成の抑制と、絶縁層によるリーク電流の遮断の二重の効果が得られ、より効果的にリーク電流を抑制できる。また光バリア層と絶縁層を別々の領域に形成した場合に比べて絶縁層による遮光損も抑制できる。
中でも、絶縁層および光バリア層を基板の第一主面側に形成することがさらに好ましい。この場合、pn接合部でより多く生じうるリーク電流をより抑制できるためである。また、光バリア層は、光を遮蔽する部材であれば特に制限はない。これにより、キャリアの生成を抑制できるため、リーク電流の発生自体を抑制することができる。
ここで、基板の第一主面または第二主面側のうち、光入射面側の透明電極上には、櫛形状の集電極が形成される。本実施形態のように第一主面を光入射面側とした場合、第一透明電極上に集電極が形成される。
この際、集電極の少なくとも一部が、基板の第一主面または第二主面側の周縁部に形成されており、該周縁部における集電極は、光バリア層の少なくとも一部を構成することが好ましい。「集電極の少なくとも一部が、基板の第一主面または第二主面側の周縁部に形成されている」とは、例えば、集電極がバスバー電極とフィンガー電極により構成される場合におけるバスバー電極が周縁部に形成されている形態(図6(b))、バスバー電極が複数本の場合における該バスバー電極の一部が周縁部に形成されている形態(不図示)、集電極がフィンガー電極のみにより形成される場合におけるフィンガー電極の一部が形成されている形態(不図示)などを意味する。
周縁部における集電極が光バリア層の少なくとも一部を構成することにより、有効領域を増大することができる。これは、効率的なキャリアの回収のために、櫛型電極構造として必須でありながら、光を遮蔽し、遮光損により光電変換効率を低下させてしまう集電極の一部(例えばバスバー電極)を、基板の光入射面側の周縁部に形成し、低ライフタイム領域の光入射を遮蔽するために利用することで、周縁部のリーク電流を抑制しつつ、有効領域を広げて光電変換効率を向上させることが可能であるためである。
なお「基板の第一主面または第二主面側の周縁部における集電極が光バリア層の少なくとも一部を構成する」とは、基板の第一主面または第二主面側の周縁部に形成される集電極(図6に示すバスバー電極71など)により光バリア層7が構成される形態や、後述のように、周縁部に形成される集電極と、他の層により光バリア層が構成される形態を意味する。
すなわち光バリア層は、前記集電極に加えてさらに別の層により構成されていてもよい。また光バリア層が集電極以外の別の材料により構成されていても良い。例えば、図8に示すように、太陽電池をモジュール化した際に、通常、太陽電池同士、または太陽電池と外部回路とを接続するために、配線部材を用いて接続される。この場合、一般的に太陽電池の集電極と配線部材とは、半田や導電性フィルム等の導電性接着剤により接着される。
この際、導電性接着剤および配線部材の少なくとも一部が、基板の第一主面または第二主面側の周縁部に形成されており、該周縁部における導電性接着剤および配線部材は、光バリア層の少なくとも一部を構成することが好ましい。
例えば、図8に示すように、光バリア層7は、フィンガー電極71、配線部材73および導電性接着剤(不図示)などにより構成されていてもよい。集電極としてバスバーレスのフィンガー電極のみを有するものを用いる場合も同様に、光バリア層は導電性接着剤や配線部材から構成されていても良いし、さらにフィンガー電極の一部から構成されていてもよい。特に、バスバーレスのフィンガー電極を用いる場合、該導電性接着剤や配線部材等により、キャリアの生成を抑制することができる。
一方で、光入射面とは反対の裏面側の透明電極上には(本実施形態においては第二主面上の第二透明電極4b上)には、裏面金属電極5が形成されることが好ましい。裏面金属電極5としては、近赤外から赤外域の反射率が高く、かつ導電性や化学的安定性が高い材料を用いることが望ましい。このような特性を満たす材料としては、銀やアルミニウム等が挙げられる。裏面金属電極層の製膜方法は、特に限定されないが、スパッタ法や真空蒸着法等の物理気相堆積法や、スクリーン印刷等の印刷法等が適用可能である。
以上のようにして、本発明の結晶シリコン太陽電池を作製することができる。
本発明の結晶シリコン太陽電池は、実用に供するに際して、モジュール化されることが好ましい。太陽電池のモジュール化は、適宜の方法により行われる。例えば、上述のように、集電極に導電性接着剤を介して配線部材等が接続されることによって、結晶シリコン太陽電池と、他の太陽電池もしくは外部回線と、を接続させることができる。該結晶シリコン太陽電池と他の太陽電池は、配線部材を介して直列または並列に接続され、封止剤およびガラス板により封止されることによりモジュール化が行われる。
(実施例1)
図1は、本発明に従う実施例1の結晶シリコン太陽電池を示す模式的断面図である。本実施例の結晶シリコン太陽電池101はヘテロ接合太陽電池であり、n型単結晶シリコン基板1の両面にそれぞれテクスチャを備えている。n型単結晶シリコン基板1の光入射面側にはi型非晶質シリコン層2a/p型非晶質シリコン層3a/酸化インジウム層4aが製膜されている。一方、基板1の裏面にはi型非晶質シリコン層2b/n型非晶質シリコン層3b/酸化インジウム層4bが製膜されている。基板1の光入射面側の周縁部には絶縁層として非晶質酸化シリコン層6が、p型非晶質シリコン層と酸化インジウム層の間に製膜されている。また、酸化インジウム層の上には集電極70が形成されている。
図3に示す実施例1の結晶シリコン太陽電池を以下のようにして製造した。
入射面方位が(100)で、厚みが200μmのn型単結晶シリコン基板を用い、この基板を2重量%のHF水溶液に3分間浸漬し、表面の酸化シリコン膜が除去された後、超純粋によるリンスが2回行われた。この基板を、70℃に保持された5/15重量%のKOH/イソプロピルアルコール水溶液に15分間浸漬し、基板の表面をエッチングすることでテクスチャが形成された。その後に超純水によるリンスが2回行われた。原子間力顕微鏡(AFM パシフィックナノテクノロジー社製)により、単結晶シリコン基板の表面観察を行ったところ、基板の表面はエッチングが最も進行しており、(111)面が露出したピラミッド型のテクスチャが形成されていた。
エッチング後の基板がCVD装置へ導入され、その光入射側に、真性シリコン系薄膜としてi型非晶質シリコンが5nmの膜厚で製膜された。i型非晶質シリコンの製膜条件は、基板温度:150℃、圧力:120Pa、SiH4/H2流量比:3/10、投入パワー密度:0.011W/cm2であった。なお、本実施例における薄膜の膜厚は、ガラス基板上に同条件にて製膜された薄膜の膜厚を、分光エリプソメトリー(商品名M2000、ジェー・エー・ウーラム社製)にて測定することにより求められた製膜速度から算出された値である。
i型非晶質シリコン層上に、逆導電型シリコン系薄膜としてp型非晶質シリコンが7nmの膜厚で製膜された。p型非晶質シリコン層の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH4/B2H6流量比が1/3、投入パワー密度が0.01W/cm2であった。なお、上記でいうB2H6ガス流量は、H2によりB2H6濃度が5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
次に基板の裏面側に、真性シリコン系薄膜としてi型非晶質シリコン層が6nmの膜厚で製膜された。i型非晶質シリコン層の製膜条件は、上記のi型非晶質シリコン層の製膜条件と同様であった。i型非晶質シリコン層上に、一導電型シリコン系薄膜としてn型非晶質シリコン層が4nmの膜厚で製膜された。n型非晶質シリコン層の製膜条件は、基板温度:150℃、圧力:60Pa、SiH4/PH3流量比:1/2、投入パワー密度:0.01W/cm2であった。なお、上記でいうPH3ガス流量は、H2によりPH3濃度が5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
以上のようにして作製した導電層付きの基板につき、Microwave Photo Conductivity Decay法(μ−PCD法)によりライフタイムを測定した(SEMILAB製ライフタイム測定装置WT−2000)。このとき、ウェハ全体を均等に6400点のスポットに分割してマッピングにより測定した。
このとき測定されたライフタイムは、基板の周縁部を除く主領域では1200μs〜1700μs、主面全体の平均値は1400μs程度であり、基板周縁部では300μs〜600μsであった。
更に、基板の光入射面側のp型非晶質シリコン層上に、基板の周縁部において、光入射面側の主面の周端から1mmの領域以外を覆うようにマスクが設置され、基板の側面を含む周縁部の領域に、絶縁層として非晶質酸化シリコン層が50nmの膜厚で製膜された。非晶質酸化シリコン層の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH4/CO2流量比が1/20、投入パワー密度が0.01W/cm2であった。すなわち非晶質酸化シリコン層の製膜領域は、基板の端(側面)から1mmであった。
この上に透明電極4aおよび4bとして、各々酸化インジウム錫(ITO、屈折率:1.9)が100nmの膜厚で製膜された。ターゲットとして酸化インジウムを用い、基板温度:室温、圧力:0.2Paのアルゴン雰囲気中で、0.5W/cm2のパワー密度を印加して透明電極の製膜が行われた。裏面側透明電極4b上には、裏面金属電極として、スパッタ法により銀が500nmの膜厚で形成された。裏面側透明電極及び金属電極は、基板の裏面側の主面の周端から1〜1.5mmの全周縁部にマスクが設置され、製膜された。光入射側透明電極上には、銀ペーストをスクリーン印刷し、櫛形電極を形成し、集電極とした。以上のようにして、図3に示すようなヘテロ接合太陽電池を作製した。
(実施例2)
非晶質酸化シリコン層の製膜領域を、基板の端から4mmとした点を除いて、実施例1と同様にしてヘテロ接合太陽電池が作製された。
(実施例3)
非晶質酸化シリコン層の製膜面を基板の裏側とし、n型非晶質シリコン層と酸化インジウム層の間に非晶質酸化シリコン層を製膜した点を除いて、実施例1と同様にしてヘテロ接合太陽電池が作製された。
(比較例1)
絶縁層を設けなかった以外は実施例1と同様にしてヘテロ接合太陽電池が作製された。
以上のように作製したヘテロ接合太陽電池の光電変換特性を測定した結果を表1に示す。
Figure 0006285713
絶縁層を配した全ての実施例1〜3は、比較例1に比べて曲率因子が大幅に上回った。これは、絶縁層によりリーク電流が遮断されたためであると考えられる。
また、絶縁層形成領域を広くした実施例2に対し、実施例1では短絡電流が増加した。これは、絶縁層によって周縁部近傍の有効領域の電流が遮断される領域が実施例1では実施例2に比べて少ないためと考えられる。よって、基板周縁部のリーク電流を遮断しつつ、短絡電流を高く維持するためには、絶縁層形成領域は基板の端部から1mm程度の領域が好ましいと考えられる。
また、裏面のn型非晶質シリコン層側に絶縁層を配した実施例3では、実施例1と比較して高い短絡電流を示している。これは、pn接合側に絶縁層形成していない実施例3では電界によるキャリアの取り出し効果が強く働くため、絶縁層形成領域の電流をp型非晶質シリコン層側で回収しているためであると考えられる。そのため、リーク電流の回収も若干ながら生じ、実施例3の短絡電流が実施例1よりも高くなったと考えられる。
よって、絶縁層の形成領域と位置を適宜選定することにより、リーク電流を十分に抑制できると考えられる。上記結果より、pn接合を形成するp型非晶質シリコン側に絶縁層を配することがより好ましいと考えられる。
これまでの実施例及び比較例の光電変換特性の結果から、基板の周縁部において、非晶質シリコン層と酸化インジウム層の間にリーク電流を遮断する絶縁層を設けることで、良好な特性の結晶シリコン太陽電池を作製できることがわかった。更に、絶縁層をp側に製膜することで、よりリーク電流を抑制できることがわかった。
次に、基板の周縁部における遮光による再結合電流の遮断の効果を調べるために、以下の実施例において、光バリア層の有無による太陽電池特性の違いを検討した。
(実施例4)
基板周縁部の絶縁層形成領域に、光バリア層として集電極のバスバーを形成するため、簡易的にテクスチャ形成工程を経ていない小面積の基板を用い、実施例1と同様にしてヘテロ接合太陽電池が作製された。ただし、絶縁層はバスバー形成領域に重なるように製膜し、裏面からレーザーを入射して折割することで、バスバーより基板の端部側を除去し、基板の周縁部に絶縁層(非晶質酸化シリコン層)および集電極のバスバー電極(光バリア層)が形成された構造とした。
(比較例2)
絶縁層を設けなかった以外は、実施例4と同様にしてヘテロ接合太陽電池が形成された。
以下に、比較例2の太陽電池特性の値を1.00とした場合の比率を求めた。
Figure 0006285713
絶縁層と光バリア層の形成領域を周縁部に重複して配された実施例4は、絶縁層を配していない比較例2と比較して高い曲率因子を示した。これは、比較例2ではバスバーにより基板周縁部の入射光が遮蔽されているため、リーク電流となるキャリアの発生は抑えられているものの、少数キャリアの拡散による暗電流が発生し、該暗電流を回収してしまっているためであると考えられる。一方、実施例4ではそれを絶縁層により遮蔽することで、より効果的に暗電流を遮断し、光電変換特性を向上させたと考えられる。
1.一導電型単結晶シリコン基板
2a.真性シリコン系薄膜層
2b.真性シリコン系薄膜層
3a.逆導電型シリコン系薄膜層
3b.一導電型シリコン系薄膜層
4a.第一透明電極
4b.第二透明電極
5.裏面金属電極
6.絶縁層
7.光バリア層
70.集電極
71.集電極(バスバー電極)
72.集電極(フィンガー電極)
73.配線部材
101.ヘテロ接合太陽電池

Claims (7)

  1. 一導電型単結晶シリコン基板の第一主面上に、逆導電型シリコン系薄膜層と第一透明電極をこの順に有し、前記一導電型単結晶シリコン基板の第二主面上に、一導電型シリコン系薄膜層と第二透明電極をこの順に有する結晶シリコン太陽電池であって、
    前記一導電型単結晶シリコン基板の第一主面または第二主面上の周縁部において、前記逆導電型シリコン系薄膜層と前記第一透明電極の間または、前記一導電型シリコン系薄膜層と前記第二透明電極の間に絶縁層を有する、結晶シリコン太陽電池。
  2. 前記絶縁層が、前記一導電型単結晶シリコン基板の第一主面上の周縁部において、前記逆導電型シリコン系薄膜層と前記第一透明電極の間に形成されている、請求項1に記載の結晶シリコン太陽電池。
  3. 前記一導電型単結晶シリコン基板の第一主面または第二主面側の周縁部において、第一主面側または第二主面側から前記一導電型単結晶シリコン基板側へ光が入射することを抑制する光バリア層を有する、請求項1または2に記載の結晶シリコン太陽電池。
  4. 前記基板の第一主面または第二主面側の周縁部において、前記光バリア層が形成された光バリア層形成領域と前記絶縁層が形成された絶縁層形成領域の少なくとも一部が重複する、請求項3に記載の結晶シリコン太陽電池。
  5. 前記基板の第一主面または第二主面側に集電極を有し、
    前記集電極の少なくとも一部が、前記基板の第一主面または第二主面側の周縁部に形成されており、
    前記周縁部における集電極は、前記光バリア層の少なくとも一部を構成する、請求項3または4に記載の結晶シリコン太陽電池。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の結晶シリコン太陽電池と、他の太陽電池または外部回路と、を接続するための配線部材を有する、太陽電池モジュール。
  7. 前記結晶シリコン太陽電池と前記配線部材は、導電性接着剤により接着されており、
    前記導電性接着剤および前記配線部材の少なくとも一部が、前記基板の第一主面または第二主面側の周縁部に形成されており、
    前記周縁部における導電性接着剤および配線部材は、前記光バリア層の少なくとも一部を構成する、請求項6に記載の太陽電池モジュール。
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