JP6143520B2 - 結晶シリコン系太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

結晶シリコン系太陽電池およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、結晶シリコン系太陽電池およびその製造方法に関するものである。
エネルギー問題や地球環境問題が深刻化する中、化石燃料にかわる代替エネルギーとして、太陽電池が注目されている。太陽電池では、半導体接合等からなる光電変換部への光照射により発生したキャリア(電子および正孔)を外部回路に取り出すことにより、発電がおこなわれる。光電変換部で発生したキャリアを外部回路へ取出すために、太陽電池の裏面側(光入射面とは反対側)には裏面電極が設けられる。
例えば、結晶シリコン基板上に、非晶質シリコン層および透明電極層を有するヘテロ接合太陽電池においては、一般的に、Agペーストをスクリーン印刷法でパターン形成した裏面電極が用いられている。この方法は、工法自体は単純で低コストであるが、銀の材料コストが大きい、当該裏面電極は、銀以外に樹脂を有するAgペーストを用いて形成するため比較的抵抗率が高いといった課題がある。
また薄膜シリコン系太陽電池や結晶シリコン系太陽電池などの太陽電池では、反射率が比較的高い銀やアルミニウム、銅などの金属が、スパッタ法等により全面に製膜された裏面電極なども使用されている。例えば、特許文献1や特許文献2では、反射率の高い銀やアルミニウム、銅などの金属材料を、スパッタ法等により全面に製膜し、裏面電極として使用した薄膜シリコン系太陽電池について記載されており、特許文献1では、裏面側透明電極層としてアルミニウム含有酸化亜鉛を用い、その上に上記裏面電極を形成する旨、また特許文献2では、上記金属材料から1以上の薄膜を用いて裏面電極を形成する旨が記載されている。
しかしながら裏面電極として上記Agペーストによる裏面電極や、スパッタ法により銀を全面に厚く製膜したものを用いた場合、銀の使用量が多く、高コスト化につながるという問題があるため、銀の代替として低コストの銅を使用する検討が行われている。中でも、ヘテロ接合太陽電池では、低抵抗化の観点から薄膜シリコン系太陽電池に比べて厚みが厚い裏面電極が好ましく用いられているため、Cuを用いる検討が特に精力的に行われている。
これを解決するため、特許文献3では、太陽電池の裏面電極として、2層の銀電極の間に銅やアルミニウムを形成した、Ag/Cu(またはAl)/Agの構成の金属膜について記載されており、低コストのCuを使用する旨が記載されている。
WO2008/62685号国際公開パンフレット 特開2009−246031号公報 特開2012−142452号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、裏面電極としてCuを用いた場合、長時間の環境試験によって透明電極層と銅の間の接触抵抗が増大し、曲率因子の低下につながることが、明らかとなった。従って、特許文献2のように、裏面電極としてAgの代わりにCuを用いた場合、環境試験後の接触抵抗が増大すると考えられる。特許文献3では、裏面電極として使用される、Cuと透明電極層の間に、膜厚が0.1〜1μm程度のAgを用いており、上記接触抵抗の増大は防げると考えられるが、低コスト化の観点から課題が残る。
以上のように、ヘテロ接合太陽電池において、太陽電池特性を維持したまま低コストな裏面電極を形成する観点からはこれまで十分に検討されていなかった。本発明は、所定の電極を用いることにより、上述した問題点を解決し、太陽電池の変換効率を向上させることを目的とする。
本発明の結晶シリコン系太陽電池は、以下に関する。
一導電型単結晶シリコン基板の第一の主面側に、光入射側シリコン系薄膜層、光入射側透明電極層、表面電極をこの順に有し、前記基板の第二の主面側に、裏面側シリコン系薄膜層、裏面側透明電極層、裏面電極をこの順に有する結晶シリコン系太陽電池であって、前記裏面電極は、透明電極層側から第一導電層と第二導電層とをこの順に有し、前記第二導電層は、銅を主成分とし、少なくとも前記第一導電層を覆い、かつ、前記裏面側透明電極層に接するように形成されている。
前記第一導電層は、島状であることが好ましい。
前記第一導電層は、密な導電材料のみからなり、前記密な導電材料の前記裏面側透明電極層側表面のほぼ全面が、前記裏面側透明電極層に接していることが好ましい。
前記第一導電層は、前記基板表面に垂直な方向における、前記裏面側透明電極層との界面と、前記第二導電層との界面の間隔の最大値d1が0nm<d1<9nmを満たすことが好ましい。
前記第一導電層は、Ag、Al、Au、Ni、TiまたはSnから選ばれる一つを主成分とすることが好ましい。
前記表面電極は、銅を主成分とする第三導電層を有することが好ましい。
前記第二導電層および前記第三導電層は、めっき層であることが好ましい。
前記結晶シリコン系太陽電池を用いた太陽電池モジュールを用いることが好ましい。
また、本発明の結晶シリコン系太陽電池の製造方法は、前記裏面側透明電極層の前記基板とは反対側の第二の主面上に裏面電極を形成する裏面電極形成工程を有し、前記裏面電極形成工程は、前記裏面側透明電極層上に第一導電層を形成する工程と、前記第一導電層を覆い、かつ、前記裏面側透明電極層に接するように第二導電層を形成する工程と、をこの順に有することが好ましい。
前記第一導電層は、スパッタ法により形成されたものであることが好ましい。
前記光入射側透明電極層の前記基板とは反対側の第一の主面上に、第三導電層を含む表面電極を形成する表面電極形成工程を有し、前記表面電極形成工程は、前記光入射側透明電極層の第一の主面側に、めっき法により前記第三導電層を形成する工程を有することが好ましい。
前記裏面電極における第二導電層と、前記表面電極における第三導電層が、めっき法により同時に形成されることが好ましい。
本発明によれば、裏面電極として銅を用いた場合であっても、従来のものより高い信頼性のもとに使用することができ、高効率で低コストの太陽電池を提供することができる。
本発明の比較例に係る結晶シリコン系太陽電池を示す模式的断面図である。 本発明の一実施形態に係る結晶シリコン系太陽電池を示す模式的断面図である。 裏面側透明導電層および裏面電極(第一導電層及び第二導電層)を示す模式的断面図である。
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。
本発明における結晶シリコン系太陽電池は、一導電型単結晶シリコン基板の第一の主面側に、光入射側シリコン系薄膜層、光入射側透明電極層をこの順に有し、前記基板の第二の主面側に、裏面側シリコン系薄膜層、裏面側透明電極層、裏面電極をこの順に有する。前記裏面電極は、裏面側透明電極層側から第一導電層と第二導電層をこの順に含む。前記第二導電層は、銅を主成分とし、少なくとも前記第一導電層を覆い、かつ、前記透明電極層に接するように形成されている。
以下、本発明の一実施形態である結晶シリコン系太陽電池を例として、本発明をより詳細に説明するが、本発明は図2に示す結晶シリコン系太陽電池のみに限定されない。また、本発明においては、特に断りがない場合における膜厚は、シリコン基板上におけるテクスチャ斜面に対して垂直方向における膜厚を意味する。
(第一の実施形態)
本発明の結晶シリコン系太陽電池は、一導電型単結晶シリコン基板(以下、「基板」、「シリコン基板」ともいう)の第一の主面側に、一導電型または逆導電型シリコン系薄膜(光入射側シリコン系薄膜)、光入射側透明電極層、をこの順に有する。また光入射側透明電極層の第一の主面側に、さらに表面電極を有することが好ましい。また基板の第二の主面側に、一導電型または逆導電型シリコン系薄膜(裏面側シリコン系薄膜)、裏面側透明電極層、第一導電層と第二導電層を有する裏面電極をこの順に有する。また上記基板1と導電型シリコン系薄膜(光入射側シリコン系薄膜または裏面側シリコン系薄膜)との間にさらに真性シリコン系薄膜を有することが好ましい。
図2は、本発明の一実施形態に係る結晶シリコン系太陽電池の模式的断面図である。本発明の結晶シリコン系太陽電池は、一導電型単結晶シリコン基板1と逆導電型シリコン系薄膜3との間、および一導電型単結晶シリコン基板1と一導電型シリコン系薄膜5との間のそれぞれに、第1の真性シリコン系薄膜2、および第2の真性シリコン系薄膜4を有することが好ましい。また、光入射側透明電極層6上には、表面電極8がこの順に形成されることが好ましい。また裏面側透明電極層7上には裏面電極9である第一導電層9−1および第二導電層9−2が形成される。
まず、本発明の結晶シリコン系太陽電池における、一導電型単結晶シリコン基板1について説明する。一般的に単結晶シリコン基板は導電性を持たせるために、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有させる。単結晶シリコン基板はSi原子に対して電子を導入するリン原子を供給したn型と、ホール(正孔ともいう)を導入するボロン原子を供給したp型がある。即ち、本発明における「一導電型」とは、n型、又は、p型のどちらか一方であることを意味する。太陽電池に用いる場合、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合を逆接合として強い電場を設けることで、電子正孔対を効率的に分離回収することができる。よって入射側のヘテロ接合は逆接合とすることが好ましい。一方で、正孔と電子を比較した場合、有効質量及び散乱断面積の小さい電子の方が一般的に移動度は大きくなる。以上の観点から、本発明において使用する単結晶シリコン基板1は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。また一導電型単結晶シリコン基板1は、光閉じ込めの観点から、表面にテクスチャ構造を有することが好ましい。
テクスチャ形成後、一導電型単結晶シリコン基板表面にシリコン系薄膜を製膜する。シリコン系薄膜の製膜方法としては、プラズマCVD法が好ましい。シリコン系薄膜の形成条件としては、基板温度100〜300℃、圧力20〜2600Pa、高周波パワー密度0.004〜0.8W/cmが好ましく用いられる。シリコン系薄膜の形成に使用する原料ガスとしては、SiH、Si等のシリコン含有ガスまたは、それらのガスとHを混合したものが用いられる。
本発明におけるシリコン系薄膜は、一導電型または逆導電型の導電型シリコン系薄膜を意味し、例えば一導電型単結晶シリコン基板1としてn型を用いた場合は、一導電型シリコン系薄膜、逆導電型シリコン系薄膜は各々n型、p型となる。本発明におけるp型またはn型シリコン系薄膜を形成するためのドーパントガスとしては、BまたはPH等が好ましく用いられる。また、PやBといった不純物の添加量は微量でよいため、予めSiHやHで希釈された混合ガスを用いることが好ましい。また、CH、CO、NH、GeH等といった異種元素を含むガスを添加することで、合金化しエネルギーギャップを変更することもできる。
本発明におけるシリコン系薄膜としては、非晶質シリコン薄膜、微結晶シリコン(非晶質シリコンと結晶質シリコンとを含む薄膜)などが挙げられるが、中でも非晶質シリコン系薄膜を用いることが好ましい。またシリコン系薄膜としては、導電型シリコン系薄膜を用いることができる。この際、図2に示すように、一導電型単結晶シリコン基板1の光入射側に逆導電型シリコン系薄膜を用いることが好ましい。これは、一導電型単結晶シリコン基板1の光入射面側において入射光による電子の励起が最も行われるため、光入射面側に強い電場勾配を有することにより再結合ロスを抑えられるためである。また、裏面側における再結合を抑制するために、裏面側に一導電型シリコン系薄膜を用いることが好ましい。
例えば、一導電型単結晶シリコン基板1としてn型単結晶シリコン基板を用いた場合の本発明の好適な構成としては、透明電極層/p型非晶質シリコン系薄膜/i型非晶質シリコン系薄膜/n型単結晶シリコン基板/i型非晶質シリコン系薄膜/n型非晶質シリコン系薄膜/透明電極層などがあり、この場合は上記理由から裏面をn層とすることが好ましい。
本発明における真性シリコン系薄膜としては、実質的に真性なi型シリコン系薄膜を用いることが好ましく、この場合、シリコンと水素で構成されるi型水素化非晶質シリコンを用いることが好ましい。i型水素化非晶質シリコンを用い、CVDにて製膜を行った場合、単結晶シリコン基板への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行うことができる。また、膜中の水素量を変化させることで、エネルギーギャップにキャリア回収を行う上で有効なプロファイルを持たせることができるためである。
p型シリコン系薄膜層はp型水素化非晶質シリコン層かp型非晶質シリコンカーバイド層かp型酸化非晶質シリコン層であることが好ましい。不純物拡散や直列抵抗の観点ではp型水素化非晶質シリコン層が好ましい。一方で、p型非晶質シリコンカーバイド層あるいはp型酸化非晶質シリコン層はワイドギャップの低屈折率層として光学的なロスを低減できる点において好ましい。
本発明における裏面側シリコン系薄膜として図2に示すように一導電型シリコン系薄膜を用いた場合、一導電型シリコン系薄膜5は、主にBSF(Back Surface Field)効果により裏面での再結合を抑制することに役立つ。一導電型シリコン系薄膜5は、少なくとも非晶質シリコン系薄膜を有することが好ましい。更に裏面透明電極層との電気的なコンタクトを良好にするために、結晶質シリコン系薄膜を非晶質シリコン系薄膜と裏面側透明電極層との間に有しても良い。なお「結晶質」との用語は、薄膜光電変換装置の技術分野で一般に用いられている様に、部分的に非晶質状態を含むものをも含むものとする。
十分なBSF効果を得るため、一導電型シリコン系薄膜5はある程度の厚みを有する必要がある。これにより少数キャリア(n型単結晶シリコン基板を用いた場合は正孔)が裏面電極側に拡散していくことを防ぎ、裏面での再結合を抑制することができる。
上記のように、BSF効果を十分発揮させる観点から、一導電型シリコン系薄膜5の厚みをある程度厚くすることが好ましい。この場合、一導電型シリコン系薄膜5の厚みは5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、30nm以上が特に好ましい。一方、一導電型シリコン系薄膜5の厚みの上限は、特に制限されないが、製造コスト低減の観点から、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、50nm以下が特に好ましい。
本発明における結晶シリコン系太陽電池は、一導電型シリコン系薄膜5上に裏面側透明電極層7を有する。また逆導電型シリコン系薄膜3上に、光入射側透明電極層6を備える。
本発明における透明電極層は、導電性酸化物を主成分とする。導電性酸化物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化インジウム、酸化錫を単独または混合して用いることができるが、導電性、光学特性、及び長期信頼性の観点から、酸化インジウムを含んだインジウム系酸化物が好ましく、中でも酸化インジウム錫(ITO)を主成分とするものがより好ましく用いられる。ここで本発明において「主成分とする」とは、その材料を50%より多く含むことを意味し、70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
本発明における透明電極層は、単層で用いても良いし、複数の層からなる積層構造でもよい。さらに上記透明電極層には、ドーピング剤を添加することができる。例えば、透明電極層として酸化亜鉛を用いた場合には、アルミニウムやガリウム、ホウ素、ケイ素、炭素などが挙げられる。酸化インジウムを用いた場合には、亜鉛や錫、チタン、タングステン、モリブデン、ケイ素などが挙げられる。酸化錫を用いた場合には、フッ素などが挙げられる。
本発明における透明電極層において、図2に記載の光入射側透明電極層6、裏面側透明電極層7の、一方もしくは両方の透明電極層にドーピング剤を添加することができるが、光入射側透明電極層6に添加することが好ましい。これは、光入射側に形成される集電極は一般的に櫛形であることから、透明電極層で生じうる抵抗損を抑制することができるためである。
本発明の光入射側透明電極層6の膜厚は、透明性と導電性、そしてセルの光反射低減の観点から、10nm以上140nm以下であることが好ましい。透明電極層の役割は、表面電極へのキャリアの輸送であり、そのために必要な導電性があればよい。一方で透明性の観点から、140nm以下にすることにより、透明電極層自体の吸収ロスが少ないため、透過率の低下に伴う光電変換効率の低下を抑制することができる。また、透明電極層中のキャリア濃度を低くすれば、赤外域の光吸収の増加に伴う光電変換効率を低下も抑制できる。更に、光入射側透明電極層6は反射防止膜の役割も果たすため、適切な膜厚にすることで、光閉じ込め効果も見込まれる。
一方で、裏面側透明電極層7は、裏面反射の増加の観点から、膜厚は、5nm以上180nm以下が好ましい。また、光吸収の抑制、すなわち長波長光の吸収による電流(Jsc)の低下を抑制する観点からは、150nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましい。
前記の透明電極層の製膜方法としては、特に限定されないが、スパッタリング法などの物理気相堆積法や有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相堆積(MOCVD)法などが好ましい。いずれの製膜方法でも熱やプラズマ放電によるエネルギーを利用することもできる。透明電極層作製時の基板温度は、適宜設定すればよいが、シリコン系薄膜として非晶質シリコン系薄膜を用いた場合、200℃以下が好ましい。200℃以下で作製することにより、非晶質シリコン層からの水素の脱離、それに伴うケイ素原子へのダングリングボンドの発生を抑制でき、結果として変換効率を向上させることができるからである。
裏面側透明電極層7の上には、裏面電極9が形成されている。前記裏面電極9としては、前記裏面側透明電極層7側から順に第一導電層9−1と第二導電層9−2が形成されている。
ここで、薄膜シリコン系太陽電池では、一般的に集積化などが行われて単位セルごとの面積が小さく、発電する電流密度が小さくなるように設計されているために、通常、膜厚100〜300nm程度の全面製膜した裏面電極が用いられている。この際、反射率を高くし、直列抵抗を低減する観点から使用する材料を選定する必要があるが、裏面電極の膜厚が薄いため、一般的に高コストの銀が使用される。
一方、本発明における結晶シリコン系太陽電池は、裏面電極の膜厚をある程度厚くする必要があり、一般的には300nm以上のものが使用されている。これは、結晶シリコン系太陽電池(セルともいう)として使用する結晶シリコン基板のサイズが通常5インチ〜6インチ角のものであり、それに伴い発電する電流密度がセル当たり5A〜9A程度と大きくなるためである。このため直列抵抗によるロスをより低減させる観点から、セル全面に形成された裏面電極の膜厚は、薄膜シリコン系太陽電池より一般的に厚くなる。
結晶シリコン系太陽電池において、裏面電極の膜厚は、裏面電極の形態にも依存するが、低抵抗化の観点から300nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましく、700nm以上が特に好ましい。また材料費の抑制、及びセルにおける反りの低減の観点から1500nm以下が好ましく、1200nm以下がより好ましく、1000nm以下が特に好ましい。
このように、結晶シリコン系太陽電池においては、裏面電極として使用する金属材料の量が、薄膜シリコン系太陽電池に比べて多くなるため、本発明においてはコストを抑制させる観点から、裏面電極としてより低コストな銅を用いる。
しかしながら本発明者らの検討によれば、上述のように裏面電極として銅を使用した場合、長時間の環境試験後において太陽電池特性の低下がみられた。具体的には、裏面電極としてCuを用いた場合における太陽電池モジュールの長時間環境試験前後のシリーズ抵抗は、裏面電極としてAgを用いた場合に比べて2〜3%増加した。これは、長時間の環境試験後においてCu電極と透明電極層との間の接触抵抗が高くなったことに起因すると考えられる。
本発明においては、裏面電極として銅を主成分とする第二導電層9−2と、裏面側透明電極層7との間に、所定の第一導電層9−1を設置する。所定の第一導電層を形成することにより、長時間の環境試験後における太陽電池特性の低下を抑制することができる。この際、第二導電層は、第一導電層を覆い、かつ前記裏面側透明電極層に接するように形成される。すなわち裏面側透明電極層上に第一導電層を有さない第一導電層非形成領域が形成される。
第一導電層としては、長時間の環境試験後において、銅を主成分とする第二導電層よりも裏面側透明電極層との接触抵抗が低いものであれば、特に限定されないが、透明電極層とより良好な接触抵抗を示すAg、Al、Au、Ni、TiまたはSnのうちの一つを主成分とすることが好ましく、第一導電層としてAg、Al、Au、Ni、TiまたはSnを用いることがより好ましい。これにより環境試験後において第二導電層と裏面側透明電極層との接触抵抗が増大した場合でも、第一導電層を介することで太陽電池における直列抵抗成分を軽減することができる。なお、長時間の環境試験後とは、通常、温度85℃湿度85%に1000時間静置前後の抵抗の変化を意味する。
ここで、裏面電極における光反射を考えた場合、通常の結晶系シリコン太陽電池では、裏面電極まで到達する光は、700nm程度より長波長側が大部分であると考えられる。Cuの反射率は垂直入射の場合において700〜1500nm程度の範囲において95%を超えているのに対し、Al、Ni,Ti,Snなどは上述の波長範囲における反射率はCuよりも劣る。
従って、第一導電層として膜厚の厚い上記材料を用いた場合、接触抵抗は増加すると考えられるものの、反射率が低下してしまう。従って、反射率の低下をより抑制する観点から、第一導電層は、反射率の低下を抑制しつつ、長時間の環境試験後の接触抵抗を抑制しうる程度に薄くし、島状とすることが好ましい。
一方、第一導電層としてAuやAgを用いる場合は、AuやAgは上記波長範囲における反射率がCuよりも高いものの、AuやAgは非常に高コストとなるため、できる限り使用量を少なくすることが好ましい。また、第一導電層として島状のAgなどを用いる場合、ナノ粒子のような振る舞いを示し、裏面側における光散乱等においてメリットが得られると推測される。
以上の観点から、本発明における第一導電層は、裏面側透明電極層上に、一部形成されていない領域(第一導電層非形成領域)を有するように形成され、また第二導電層は、第一導電層を覆い、前記裏面側透明電極層に接するように形成される。
第一導電層は、島状に形成することが好ましい。本発明における第一導電層は、前記基板表面に対して垂直な方向における、前記裏面側透明電極層との界面と、前記第二導電層との界面の間隔の最大値d1は、使用する材料等にも依存し、透明電極層上に第一導電層を有さない部分(典型的には島状の部分)が存在すれば特に制限されないが、0nm<d1<9nmであることが好ましい。中でも、d1>2nmがより好ましい。また変換効率をより向上させる観点からは、d1<8.5nm以下が好ましく、d1<8nm以下であることがより好ましい。
ここで、d1は、前記基板に垂直な方向における、第一導電層の裏面側透明電極層との界面と、第二導電層との界面の最も離れた間隔を意味する。例えば、基板表面と垂直な断面において、第一導電層が半球の場合、d1は球の半径となり、第一導電層が球の場合、d1は球の直径となる。また「基板表面」とは、基板がテクスチャ構造を有する場合、テクスチャの斜面を意味する。すなわち、テクスチャの斜面と垂直な方向における間隔をd1として求めることができる。
第一導電層を島状にすることにより、第二導電層は直接的に裏面側透明電極層と接することになるが、環境試験後に第二導電層と裏面側透明電極層の接触抵抗が増加した場合でも、島状に存在する第一導電層を介することで、裏面透明電極層と第二導電層の間の直列抵抗を低減させることができ、太陽電池特性の低下を抑制できる。
また島状の第一導電層を有することにより、特許文献3のように全面に第一電極層を形成した場合に比べて、その上に形成する第二導電層との密着性、または第二導電層と透明電極層の密着性が向上すると推測される。
本発明における第一導電層は、密な導電材料を有する。中でも、第一導電層は、密な導電材料のみからなることが好ましい。ここで、「密な導電材料」とは、第一導電層形成部において、第一導電層を構成する材料中に空間的な隙間が概ね存在しないものを意味する。
例えば、図3(B)に示すように、第一導電層としてAgペースト等のペースト材料を用いる場合、通常、金属微粒子と樹脂を有する。この場合、微粒子の各々は「密な導電材料」となるが、各微粒子間には樹脂等が存在し、金属微粒子の間には空間的な隙間が存在するため、このような第一導電層は、「密な導電材料のみ」からなるものに該当しない。図3(B)の形態では、裏面側透明電極層7と導電材料の接触面積が点に近くなる。
一方で、図3(A)に示すように、スパッタ法や蒸着法などにより島状の金属膜などが形成された場合、第一導電層中のそれぞれの島を形成する金属膜中に空間的な隙間は概ね存在せず、「密な導電材料のみ」からなるものと解される。図3(A)のような形態の場合、第一導電層中の密な導電材料の裏面側透明導電極層側のほぼ全面が、裏面側透明電極層と接している。
ここで、「ほぼ全面」とは、前記密な導電材料の前記裏面側透明電極層側の表面の90%以上が裏面側透明電極層に接していることを意味する。中でも95%以上が好ましく、100%すなわち全面が接していることがより好ましい。例えば、前記密な導電材料の前記裏面側透明導電層側の表面の一部に凹部を有し、該凹部の凹部分のように一部接していないものをも含む。なお、「密な導電材料のみ」とは、実質的に密な材料のみからなるものであれば良く、若干の不純物を含んでいても良い。
ここで、接触抵抗は、第一導電層に含まれる導電材料との接触面積により影響されると考えられるが、図3(A)に示すように、第一導電層として密な導電材料のみからなるものを用いることにより、裏面側透明電極層との接触面積が広くなり、それに伴い、図3(B)のペースト材料等よりも、接触抵抗の低減効果がより期待できる。
また例えばAgのようにCuよりも反射率の高い材料を第一導電層として用いた場合、図3(A)のように、密な導電材料の全面が裏面側透明導電極層と接することで反射する面積が増え、裏面反射(反射率)の増加につながるという利点がある。従って、銀ペースト等を使用した場合に生じうる、微粒子の隙間からの光の逃げ込みや、隙間内での多重反射に伴う微粒子への光吸収の増加などに起因した反射率の低下をより抑制することが可能となる。
本発明における裏面電極の形状は、第二導電層が第一導電層を覆い、かつ裏面側透明電極層に接するように形成されていれば、特に制限されない。すなわち、裏面電極は、(1)裏面側透明電極層のほぼ全面に形成されていても良いし、(2)裏面側透明電極層の一部(典型的にはスクリーン印刷等によるパターン状)に形成されていてもよい。なお、第一導電層の一部上に第二導電層が付着しておらず、第一導電層が一部露出しているものをも含む。ここで、「ほぼ全面」とは、裏面電極が前記裏面側透明電極層の90%以上に形成されていることを意味し、裏面電極を構成する成分(第一導電層もしくは第二導電層)のいずれかにより前記裏面側透明電極層のほぼ全面が覆われていればよい。
(1)の場合、裏面電極は、直列抵抗を十分に低下させる観点から、裏面側透明電極層の95%以上に形成されていることが好ましく、100%すなわち全面に形成されていることがより好ましい。ここで、裏面電極が全面に形成されているとは、第一導電層が形成されていない領域の全体に第二導電層が形成されている状態を意味する。
なお、上述のように、裏面側透明電極層に対する第一導電層と第二導電層の各々の接触面積S,Sは、第一導電層として使用する材料の反射率や抵抗率などに応じて、適宜調整することができるが、接触面積の比(S/S)は0.1〜2.0程度であることが好ましい。上記範囲にすることにより、第二導電層と第一導電層との密着性が向上し、それに伴い、第二導電層と裏面側透明電極層の密着性も向上すると推測される。
また第一導電層と第二導電層の各々に含まれる密な導電材料の接触面積の比(S1A/S2A)は0.2〜1.5であることが好ましい。上記範囲とすることにより、反射率の低下、あるいは抵抗率の上昇をより抑制できると推測される。
本発明における第二導電層は、膜厚をd2としたとき、電気抵抗を低減させる観点から、300nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましく、700nm以上が特に好ましい。また材料費の抑制、及びセルにおける反りの低減の観点から1500nm以下が好ましく、1200nm以下がより好ましく、1000nm以下が特に好ましい。
一方で、裏面電極の厚みは、モジュール化を行った際、太陽電池同士、もしくは太陽電池と外部回路を接続するためのタブ線等のインターコネクタの本数にも大きく依存する。例えば、タブ線が2本で接続されている場合と3本で接続されている場合を比較すると、2本の場合は3本に比べタブ線間の間隔が広く、裏面電極層中でキャリアが長い距離を移動しなければならない。このため、同じ厚みの裏面電極を有するセルを用いた場合において、タブ線が2本の場合の方が3本の場合に比べ、直列抵抗が高くなり、曲率因子が低下する。従って、同様の曲率因子を得るには、タブ線が2本の場合においては裏面電極の厚みを厚くする必要がある。例えば、タブ線を2本用い、第二導電層として密な導電材料のみからなる薄膜を用いる場合、低抵抗化の観点からd2は、上述した範囲が好ましい。
ここで、銀は銅と同程度の電気伝導率を示すため、例えば第二導電層として銀を用いた場合、銅を用いた場合と同程度の膜厚が必要となり、高コストとなってしまう。一方、本発明においては第二導電層として銅を主成分としたものを用いるため、上記のように膜厚が厚い場合であっても低コストで裏面電極を形成出来る。
また第二導電層としてペースト等を用いる場合、一般的にペースト材料は、金属微粒子を樹脂ペースト等に添加することにより形成されるため、密な導電材料のみの場合と比較して電気伝導率が低くなる。このため、例えばAgペーストを全面に形成する場合、d2は、1μm〜20μm程度が必要となり、高コスト化の原因となってしまう。
また、裏面電極として、(2)裏面側透明電極層の一部(例えばグリッド状)に形成したものを用いる場合、第二導電層もグリッド状に形成される。この場合、通常、グリッドはフィンガー電極を有する。フィンガー電極は線幅が細く、抵抗が高くなるため、抵抗をより低下させる観点から、フィンガー電極の線幅を大きくする、あるいは膜厚を厚くする必要がある。またグリッドとしてバスバー電極も有する場合、バスバー電極やフィンガー電極の本数や、高さ、線幅等により必要な材料の総量は変化するため、一概には言えないが、ペースト材料を用いた場合であれば、概ね数μm〜数十μm程度の厚みが必要となる。
一方、本発明のように第二導電層として銅を主成分としたものを用いることにより、例えば銅ペーストなどのように厚膜化する必要がある場合も、第二電極層を低コストで形成することが可能となる。なお、裏面電極として使用される第一導電層や第二導電層の膜厚は、ある程度の厚みがある場合は、段差計、SEMによる断面観察、又はフラットな基板に製膜した場合の抵抗値から換算したりして求めることが可能である。一方、島状の第一導電層など、厚みの薄い場合は、SEM又はTEMによる観察により求めることができる。
なお本発明においては、第二導電層として低抵抗化、及び材料費の抑制の観点から、密な導電材料のみからなる薄膜を用いることが好ましく、このような第二導電層を有する裏面電極を、(1)裏面側透明電極層のほぼ全面に形成したものを用いることが好ましく、全面に形成したものを用いることがより好ましい。また第一導電層としても密な導電材料のみからなるものを用いることが好ましく、裏面電極として、第一導電層と第二導電層のいずれも密な導電材料のみからなるものを用い、全面に形成することが特に好ましい。
本発明においては、第二導電層として銅を主成分とするものを用いる。中でもより容易に低コストで作製できる観点から、銅を用いることが好ましい。
なお裏面電極は、本発明の機能を損なわない限り、第一導電層と第二導電層以外に別の導電層を有していても良い。例えば、銅を主成分とした第二導電層の酸化を抑制するため、第二導電層上に導電層を形成することが好ましい。この際、例えば特許文献3にはAg/Cu/Agとして銅やアルミニウム上に銀を形成して変性を抑制する旨が記載されているが、銀も比較的硫化や酸化が起こりやすく、変性が起こりうる。従って、より変性されにくく、より低コストで作製できる観点から、前記導電層として、TiやSn、Crなどを用いることがより好ましい。
本発明において前記第一導電層の製造方法としては、スパッタ法や蒸着法などが好ましい。これにより、密な導電材料のみからなる第一導電層を形成することができる。中でも第一導電層としてAgやAuなどを用いた場合、製造コスト低減の観点や被覆の良さの面からスパッタ法にて形成することが好ましい。
第二導電層の製膜方法としては、特に限定されないが、スパッタ法や真空蒸着法などの物理気相堆積法やスクリーン印刷法、めっき法などの手法が適用可能である。特に、裏面電極を(1)ほぼ全面に形成する場合、スパッタ法もしくはめっき法により形成することが好ましい。この場合、密な導電材料のみからなる第二導電層を容易に形成することが可能となる。
また、裏面側透明電極層と第一導電層をスパッタ法で形成した場合、同一装置における裏面電極の連続製膜が可能となり、裏面電極の酸化防止や、膜界面(透明電極層と裏面電極の界面)における密着性の向上などが期待できる。また、生産性の観点からもスパッタ法が好ましく、第一導電層と第二導電層のいずれもスパッタ法にて製膜することがより好ましい。この際、例えば、スパッタ法にて、光入射側透明電極層、裏面側透明電極層、第一導電層、および第二導電層をこの順に形成することにより、工程数を低減できるため、生産性の観点からより好ましい。また、第二導電層に関しては、膜厚がある程度厚いことが期待されるため、低コスト化の観点からめっき法が好ましい。
上記光入射側透明電極層6上には、図2に示すように表面電極8が形成されることが好ましい。表面電極8は、少なくとも第三導電層を有する。この際、光入射側透明電極層上に、表面電極として下地層と第三導電層をこの順に形成するものなどを用いることも出来る。表面電極としては、インクジェット法、スクリーン印刷法、導線接着法、スプレー法、真空蒸着法、スパッタ法等の公知技術によって作製できるが、生産性の観点からAgペーストを用いたスクリーン印刷法や、銅を用いためっき法等が好ましい。
また第三導電層としては、銅を主成分とするものを用いることが好ましく、めっき法によりめっき層を形成することが好ましい。特に、裏面電極として使用される第二導電層をめっき法により形成する場合、表面電極として使用される第三導電層と同時に形成でき、工程数を低減できるため、生産性の点から好ましい。
また、一導電型単結晶シリコン基板の外周部における電気的短絡を防止するため、太陽電池セルを形成した後、絶縁処理工程を行うことが好ましい。絶縁処理工程としては、レーザ光によりシリコン基板に溝を形成し、この溝にしたがってシリコン基板を割断する方法や、ダイシングソーを用いて機械的に結晶シリコン基板を切断する方法、またエッチングなどにより除去することもできる。また、表裏の透明電極層や、裏面電極層形成時にマスクを用いて製膜することで絶縁を行うことも可能である。なお、電気的短絡部を含まないようにできれば、レーザ光で溝を形成するのみの方法であってもよい。
以上のように、本発明の結晶シリコン系太陽電池を用いることにより、高効率で信頼性の高い結晶シリコン系太陽電池を作製することが可能となる。また低コストで生産性に優れた結晶シリコン系太陽電池を作製することが可能となる。
本発明の結晶シリコン系太陽電池は、実用に供するに際して、モジュール化されることが好ましい。太陽電池のモジュール化は、適宜の方法により行われる。例えば、集電極にタブ等のインターコネクタを介してバスバーが接続されることによって、複数の太陽電池セルが直列または並列に接続され、封止剤およびガラス板により封止されることによりモジュール化が行われる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。図2は、本発明の一実施形態に係る結晶シリコン系太陽電池を示す模式的断面図である。
(実施例1)
図2に示すように、実施例1の結晶シリコン系太陽電池を以下のようにして製造した。
一導電型単結晶シリコン基板1として入射面の面方位が(100)で、厚みが200μmのn型単結晶シリコン基板1を用い、このn型単結晶シリコン基板1を2重量%のHF水溶液に3分間浸漬し、表面の酸化シリコン膜を除去し、超純水によるリンスを2回行った。次に70℃に保持した5/15重量%のKOH/イソプロピルアルコール水溶液に15分間浸漬し、基板表面をエッチングすることでテクスチャを形成した。その後に超純水によるリンスを2回行った。原子間力顕微鏡(AFM パシフィックナノテクノロジー社製)による単結晶シリコン基板1の表面観察を行ったところ、基板表面はエッチングが最も進行しており、(111)面が露出したピラミッド型のテクスチャが形成されていた。
エッチングが終了した単結晶シリコン基板1をCVD装置へ導入し、光入射側に第一の真性シリコン系薄膜2としてi型非晶質シリコン層2を5nm製膜した。本実施例において製膜した薄膜の膜厚は、ガラス基板上に同条件にて製膜した場合の膜厚を分光エリプソメトリー(商品名M2000、ジェー・エー・ウーラム社製)にて測定し、製膜速度を求め、同じ製膜速度にて製膜されていると仮定して算出した。
i型非晶質シリコン層2の製膜条件は基板温度が170℃、圧力120Pa、SiH/H流量比が3/10、投入パワー密度が0.011W/cmであった。i型非晶質シリコン層2の上に、逆導電型シリコン系薄膜3としてp型非晶質シリコン層3を7nm製膜した。p型非晶質シリコン層3の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH/B流量比が1/3、投入パワー密度が0.01W/cmであった。なお、上記でいうBガスは、B濃度を5000ppmまでHで希釈したガスを用いた。
次に裏面側に、第二の真性シリコン系薄膜4としてi型非晶質シリコン層4を6nm製膜した。i型非晶質シリコン層4の製膜条件は基板温度が150℃、圧力120Pa、SiH/H流量比が3/10、投入パワー密度が0.011W/cmであった。i型非晶質シリコン層4上に、一導電型シリコン系薄膜5としてn型非晶質シリコン層5を8nm製膜した。n型非晶質シリコン層5の製膜条件は、基板温度が150℃、圧力60Pa、SiH/PH流量比が1/2、投入パワー密度が0.01W/cmであった。なお、上記でいうPHガスは、PH濃度を5000ppmまでHで希釈したガスを用いた。
なお、これらシリコン系薄膜はいずれもマスクを用いることなく製膜し、シリコン基板1の製膜面側(プラズマに曝される面側)の全面に製膜した。
この上に光入射側透明電極層6として各々酸化インジウム錫(ITO、屈折率:1.9)を100nm製膜した。製膜条件は、基板温度を室温とし、ターゲットとして酸化インジウムと酸化錫の焼結体を、0.2Paのアルゴン雰囲気中で0.5W/cmのパワー密度を印加して製膜した。その後、光入射側透明電極層6と同様の製膜条件にて裏面側透明電極層7を50nm製膜した。透明電極層7形成後、裏面電極の第一導電層9としてスパッタ法によりNiを8nm形成し、その後、スパッタ法を用いて、第二導電層10として銅を500nm形成した。なお、透明電極層および第一導電層、第二導電層はいずれもマスクを用いることなく製膜した。
なお、本発明における裏面電極の厚みは、SEM(フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡S4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。この際、裏面電極は、前記透明電極層の全面に形成されていた。第一導電層は島状に形成されており、第二導電層は、第一導電層を覆い、かつ透明電極層に接するように第一導電層が形成されていない領域上に形成されていた。上記光入射側透明電極層6上には、スクリーン印刷法を用いてAgペーストにて表面電極8を形成した。
その後、レーザ加工装置に移動させて、レーザ光によって結晶シリコン基板の光入射側の外周部の全周にわたって溝を形成した。溝の位置は結晶シリコン基板端から0.5mmとした。レーザ光としては、YAGレーザの第三高調波(波長355nm)を用い、溝の深さは結晶シリコン基板の厚みの3分の1程度とした。続いて溝に沿って折り曲げ破断し、結晶シリコン基板外周部を除去することで絶縁処理工程とした。その後、190度で1時間アニール処理を行った。
以上のようにして、結晶シリコン系太陽電池を作製した。AM1.5のスペクトル分布を有するソーラーシミュレータを用いて、25℃の下で擬似太陽光を100mW/cmのエネルギー密度で照射して太陽電池特性の測定を行った。
更に、当結晶シリコン系太陽電池を1枚含むミニモジュールを作製し、このミニモジュールを温度85度、湿度85%の環境下に1000時間放置する環境試験を実施した。ミニモジュールの構造は、バックシート/封止材/配線部材接続済み結晶シリコン系太陽電池/封止材/ガラスであり、結晶シリコン系太陽電池に貼り付けた配線部材を介して外部の測定器と接続し、前記のソーラーシミュレータを用いて太陽電池特性の測定を行った。環境試験前後で、太陽電池出力を比較し、保持率=(環境試験後出力)÷(環境試験前出力)×100≧95.0(%)を満たせば合格と判定した。
(実施例2)
実施例1に記載の第一導電層9としてNiを3nm形成した点を除いて、実施例1と同様にして結晶シリコン系太陽電池を作製し、評価を実施した。実施例2においては、第一導電層は島状に形成されており、第二導電層は、第一導電層を覆い、かつ透明電極層に接するように第一導電層が形成されていない領域上に形成されていた。
(比較例1)
実施例1に記載の第一導電層9としてNiを20nm形成した点を除いて、実施例1と同様にして結晶シリコン系太陽電池を作製し、評価を実施した。比較例1においては、図1に示すように、第一導電層は層状に形成されており、透明電極層上の全面に形成されていた。第二導電層は、第一導電層を覆うように形成されていたが、透明電極層に接していなかった。
(比較例2)
実施例1に記載の第一導電層9としてNiを形成しなかった点を除いて、実施例1と同様にして結晶シリコン系太陽電池を作製し、評価を実施した。比較例2においては、第二導電層が前記透明電極層の全面に形成されていた。
以上のようにして結晶シリコン系太陽電池を作製した。
表1に、製膜したNiの膜厚と、ミニモジュールの特性の関係を示す。
Figure 0006143520
第一導電層9としてNiを形成せず、第二導電層として使用したCuが直性裏面側透明電極層と接している比較例2においては、Jscが最も高くなった。これは、波長700nm〜1200nmにおいて、反射率が65%〜75%程度しかないNiではなく、95%程度以上であるCuが全面で裏面反射層として機能しているため、Jscが他の例に比べて高くなった。一方で、Niが全面に製膜されている比較例1ではJscが最も低い結果となった。本発明による実施例1、及び2では、比較例1に対してJscの向上が見られた。これは、島状となったNiの隙間において、Cuが透明電極層と接しているため該部分での反射率が向上したためと考えられる。
次に、1000時間の環境試験を実施した後の、各ミニモジュールの特性、及び保持率を表2に示す。
Figure 0006143520
比較例2においては、ITOとCu間の接触抵抗の増加に起因すると考えられる曲率因子の低下が見られた。一方、保持率の観点からは、Niを島状(実施例1,2)、もしくは全面(比較例1)に製膜することにより、曲率因子の低下を抑制することができ、95%以上の保持率を得ることができた。これは、長時間の環境試験後におけるNiのITOに対する接触抵抗が、Cuに比べて低いためと考えられる。以上により、反射率(すなわちJsc)を高く、かつ、環境試験後の保持率を高く保つためには、第一導電層9を島状に形成することが好ましいと考えられる。
以上説明したように、本発明の結晶シリコン系太陽電池を用いることにより、信頼性の高い高出力の太陽電池セルを低コストで提供することが可能となる。
1.一導電型単結晶シリコン基板
2.第一真性シリコン系薄膜層
3.逆導電型シリコン系薄膜層
4.第二真性シリコン系薄膜層
5.一導電型シリコン系薄膜層
6.光入射側透明電極層
7.裏面側透明電極層
8.集電極
8−1.第一導電層
8−2.第二導電層
9.裏面電極
9−1.第一導電層
9−2.第二導電層

Claims (11)

  1. 一導電型単結晶シリコン基板の第一の主面側に、光入射側シリコン系薄膜層、光入射側透明電極層、表面電極をこの順に有し、前記基板の第二の主面側に、裏面側シリコン系薄膜層、裏面側透明電極層、裏面電極をこの順に有する結晶シリコン系太陽電池であって、
    前記裏面電極は、透明電極層側から第一導電層と第二導電層とをこの順に有し、
    前記第一導電層は、Ag、Al、Au、Ni、TiまたはSnから選ばれる一つを主成分とし、
    前記第二導電層は、銅を主成分とし、少なくとも前記第一導電層を覆い、かつ、前記裏面側透明電極層に接するように形成されている、結晶シリコン系太陽電池。
  2. 前記第一導電層は、島状である、請求項1に記載の結晶シリコン系太陽電池。
  3. 前記第一導電層は、密な導電材料のみからなり、前記密な導電材料の前記裏面側透明電極層側表面のほぼ全面が、前記裏面側透明電極層に接している、請求項1または2に記載の結晶シリコン系太陽電池。
  4. 前記第一導電層は、前記基板表面に垂直な方向における、前記裏面側透明電極層との界面と、前記第二導電層との界面の間隔の最大値d1が0nm<d1<9nmを満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載の結晶シリコン系太陽電池。
  5. 前記表面電極は、銅を主成分とする第三導電層を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の結晶シリコン系太陽電池。
  6. 前記第二導電層および前記第三導電層は、めっき層である、請求項に記載の結晶シリコン系太陽電池。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の結晶シリコン系太陽電池を用いた太陽電池モジュール。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の結晶シリコン系太陽電池の製造方法であって、
    前記裏面側透明電極層の前記基板とは反対側の第二の主面上に裏面電極を形成する裏面電極形成工程を有し、
    前記裏面電極形成工程は、前記裏面側透明電極層上に第一導電層を形成する工程と、
    前記第一導電層を覆い、かつ、前記裏面側透明電極層に接するように第二導電層を形成する工程と、をこの順に有する、結晶シリコン系太陽電池の製造方法。
  9. 前記第一導電層は、スパッタ法により形成されたものである、請求項に記載の結晶シリコン系太陽電池の製造方法。
  10. 前記光入射側透明電極層の前記基板とは反対側の第一の主面上に、第三導電層を含む表面電極を形成する表面電極形成工程を有し、
    前記表面電極形成工程は、前記光入射側透明電極層の第一の主面側に、めっき法により前記第三導電層を形成する工程を有する、請求項またはに記載の結晶シリコン系太陽電池の製造方法。
  11. 前記裏面電極における第二導電層と、前記表面電極における第三導電層が、めっき法により同時に形成される、請求項10に記載の結晶シリコン系太陽電池の製造方法。
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