JP2013165232A - 薄膜太陽電池の製造方法および薄膜太陽電池 - Google Patents

薄膜太陽電池の製造方法および薄膜太陽電池 Download PDF

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Hiroyoshi Mizukami
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Abstract

【課題】発電効率に優れた薄膜太陽電池の製造方法および薄膜太陽電池を提供すること。
【解決手段】薄膜太陽電池の製造方法においてp型半導体層を形成する工程は、下地層に接し且つ炭素を含む第1p型半導体層を形成する工程と、第1p型半導体層を形成した成膜室と同一の成膜室内においてi型半導体層に接し且つ炭素を含む第2p型半導体層を形成する工程とを含む。第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量は、第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量よりも少ない。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜太陽電池の製造方法および薄膜太陽電池に関する。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光を電力に変換する太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池などが実用化されている。
たとえば特許文献1には、酸化亜鉛からなる透明導電膜と導電性非晶質シリコンカーバイドとの間にボロンを含有する非晶質シリコンを設ければ、これらの接触部のオーミック特性を向上させることが可能となるということが記載されている。
また、特許文献2には、酸化亜鉛からなる透明導電膜とp型非晶質半導体層との間にp型結晶質半導体層が設けられているという構造が記載されている。
特開平11−340485号公報 特開2008−124325号公報
酸化亜鉛からなる透明導電膜とp型半導体層との間にp型アモルファスシリコン層を設けると、p型アモルファスシリコン層による光吸収に起因してi型半導体層への光の入射量が減少することがある。よって、短絡光電流の低下を招く。
酸化亜鉛の透明導電膜とp型半導体層との間にp型結晶質シリコン層を設ければ、短絡光電流の低下を防止できる。しかし、酸化亜鉛からなる透明導電膜の上に、膜質が良好であり且つ膜薄なp型結晶質シリコン層を直接形成することは困難を伴うことがある。その結果、薄膜太陽電池の発電効率の低下などを招くことがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発電効率に優れた薄膜太陽電池の製造方法および薄膜太陽電池を提供することにある。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、酸化亜鉛からなる下地層の上にp型半導体層と少なくとも1つのアモルファスシリコン層を含むi型半導体層とn型半導体層とが設けられてなる薄膜太陽電池を製造する方法である。p型半導体層を形成する工程は、下地層に接し且つ炭素を含む第1p型半導体層を形成する工程と、第1p型半導体層を形成した成膜室と同一の成膜室内においてi型半導体層に接し且つ炭素を含む第2p型半導体層を形成する工程とを含む。第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量は、第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量よりも少ない。
第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるp型ドーパントの原料ガスの供給量は、第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるp型ドーパントの原料ガスの供給量よりも少ないことが好ましい。
第1p型半導体層を形成する工程の前に、下地層を水素プラズマにさらす工程をさらに含むことが好ましい。
第1p型半導体層を形成する工程の後であって第2p型半導体層を形成する工程の前に、n型ドーパントおよびp型ドーパントを含まないガスで成膜室内のガスを置換する工程をさらに含むことが好ましい。
第1p型半導体層を形成する工程の後であって第2p型半導体層を形成する工程の前に、下地層の上に形成された第1p型半導体層を第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるガスに3分以上曝す工程をさらに含むことが好ましい。
第1および第2p型半導体層はp型シリコンカーバイド層であることが好ましい。
本発明に係る薄膜太陽電池は、酸化亜鉛からなる下地層の上にp型半導体層と少なくとも1つのアモルファスシリコン層を含むi型半導体層とn型半導体層とが形成されてなる。p型半導体層は、下地層に接する第1p型半導体層とi型半導体層に接する第2p型半導体層とを含む。第1p型半導体層は、カーボンを含み、仕事関数が4.65eVよりも小さい。第2p型半導体層は、カーボンを含み、仕事関数が4.69eVよりも大きい。
第1p型半導体層のバンドギャップエネルギーは、1.80eVよりも大きく1.95eVよりも小さいことが好ましい。
第2p型半導体層のバンドギャップエネルギーは、1.95eVよりも大きく2.05eVよりも小さいことが好ましい。
第1p型半導体層の厚みは、2nm以上6nm以下であることが好ましい。
第1および第2p型半導体層はp型シリコンカーバイド層であることが好ましい。
本発明によれば、発電効率に優れた薄膜太陽電池を提供することができる。
本発明の薄膜太陽電池の製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明の薄膜太陽電池の構成の一例を示す断面図である。 (a)は薄膜太陽電池における各半導体層の形成時に用いられるマルチチャンバ方式のプラズマCVD装置の一例を示す断面図であり、(b)は図3(a)における各成膜室のより詳細な構成を示す模式図である。 本発明の薄膜太陽電池の構成の別の一例を示す断面図である。 照射エネルギーと光電子放出数のべき乗との関係を示すグラフである。 成膜室へのCH4ガスの供給量とp型半導体層のバンドギャップエネルギーおよびp型半導体層の仕事関数との関係(実験結果)を示すグラフである。
以下、本発明の薄膜太陽電池の製造方法および薄膜太陽電池の構成について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
<薄膜太陽電池の製造方法>
本発明の薄膜太陽電池の製造方法は、酸化亜鉛からなる下地層の上にp型半導体層を形成する工程と、p型半導体層の上に少なくとも1つのアモルファスシリコン層を含むi型半導体層を形成する工程と、i型半導体層の上にn型半導体層を形成する工程とを備える。以下では、p型半導体層を形成する工程について示す。
<p型半導体層の形成方法>
p型半導体層を形成する工程は、下地層に接し且つ炭素を含む第1p型半導体層を形成する工程と、第1p型半導体層を形成した成膜室と同一の成膜室内においてi型半導体層に接し且つ炭素を含む第2p型半導体層を形成する工程とを含む。
第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量が第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量よりも少なければ第1p型半導体層の仕事関数を第2p型半導体層の仕事関数よりも小さくすることができるということが今般、見出された。また、成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量を変更してp型半導体層を形成し、得られたp型半導体層の仕事関数を求めたところ、成膜室内へのCH4ガスの供給量が0.6slm(standard liter /min)以上1.8slm以下であればp型半導体層の仕事関数が極小値をとることも分かった。第1p型半導体層は酸化亜鉛からなる下地層に接し、第2p型半導体層はi型半導体層に接する。よって、第1p型半導体層の仕事関数を第2p型半導体層の仕事関数よりも小さくすることができれば、酸化亜鉛からなる下地層の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下を防止できる。
また、第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量を第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量よりも少なくすると第2p型半導体層のバンドギャップエネルギーを第1p型半導体層のバンドギャップエネルギーよりも大きくすることができるということも今般、見出された。これにより、第1p型半導体層および第2p型半導体層での光吸収量の低減、特に第2p型半導体層での光吸収量の低減を図ることができるので、i型半導体層での光吸収量の低減を防止できる。よって、薄膜太陽電池の短絡光電流が多くなり、薄膜太陽電池の開放電圧が高くなる。一方、第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量を1.2slmより少なくすると、薄膜太陽電池の短絡光電流の低下および薄膜太陽電池の開放電圧の低下を招くことがある。
第1p型半導体層および第2p型半導体層を形成するときにはCH4ガスが成膜室内に供給されるため、形成された第1p型半導体層および第2p型半導体層は炭素を含み、たとえばシリコンカーバイド層、水素化シリコンカーバイド層、またはフッ素化シリコンカーバイド層などであることが好ましい。また、第1p型半導体層および第2p型半導体層は、微結晶層であっても良いし、非晶質層であっても良いし、結晶層であっても良い。しかし、第1p型半導体層が非晶質層であれば、酸化亜鉛からなる下地層と第2p型半導体層とのオーミック接触を維持することができる。よって、第1p型半導体層は非晶質層であることが好ましい。なお、本発明において、非晶質の半導体からなる半導体膜を「非晶質層」といい、微結晶の半導体からなる半導体膜を「微結晶層」といい、非晶質または微結晶の半導体からなる膜を「半導体層」ということがある。「微結晶」とは、結晶粒径が小さい(数十から千Å程度)結晶成分と非晶質成分との混合相が形成されている状態を意味する。
ここで、第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量を第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量よりも少なくすると、第1p型半導体層における炭素含有率は第2p型半導体層における炭素含有率よりも低くなるため、第1p型半導体層と第2p型半導体層とでシリコンに対する炭素の配位構造が異なると考えられる。その結果、上記効果(つまり、酸化亜鉛からなる下地層の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下の防止、薄膜太陽電池の短絡光電流の向上および薄膜太陽電池の開放電圧の向上)が得られると考えられる。
以上のことから、第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量が、第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量よりも少なければ、好ましくは第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量の0.33倍以上0.67倍以下であれば、より好ましくは1.2slm以上であり2.4slmよりも少なければ、酸化亜鉛からなる下地層の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下を防止でき、薄膜太陽電池の短絡光電流の向上および薄膜太陽電池の開放電圧の向上を図ることができる。よって、発電効率に優れた薄膜太陽電池を提供できる。
第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるp型ドーパントの原料ガスの供給量は、第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるp型ドーパントの原料ガスの供給量よりも少ないことが好ましく、たとえば第1p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるp型ドーパントの原料ガスの供給量の0.25倍以上0.5倍以下であることが好ましい。これにより、第2p型半導体層におけるp型ドーパントの含有率は第1p型半導体層におけるp型ドーパントの含有率よりも低くなる。ここで、第2p型半導体層はi型半導体層に接する。そのため、第2p型半導体層におけるp型ドーパントの含有率が第1p型半導体層におけるp型ドーパントの含有率よりも低ければ、p型ドーパントが第2p型半導体層からi型半導体層へ拡散することを防止できる。よって、i型半導体層での光吸収量の低下を防止できる。したがって、薄膜太陽電池の形状因子が大きくなり、薄膜太陽電池の短絡光電流が多くなる。p型ドーパントの原料ガスとしては、たとえばB26ガスまたはB(CH33ガスなどが用いられる。
第1p型半導体層を形成する工程の前に、下地層を水素プラズマにさらすことが好ましい。これにより、下地層の仕事関数が大きくなるため、酸化亜鉛からなる下地層の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下をさらに防止できる。
第1p型半導体層を形成する工程の後であって第2p型半導体層を形成する工程の前に、n型ドーパントおよびp型ドーパントを含まないガスで成膜室内のガスを置換することが好ましい。これにより、第2p型半導体層を形成するさいに成膜室内に残留しているp型ドーパント量を低下させることができるので、第2p型半導体層の形成時における当該第2p型半導体層へのp型ドーパントの混入量を制御できる。よって、p型ドーパントが第2p型半導体層からi型半導体層へ拡散することをさらに防止できるため、i型半導体層での光吸収量の低下をさらに防止できる。したがって、薄膜太陽電池の形状因子がさらに大きくなり、薄膜太陽電池の短絡光電流がさらに多くなる。n型ドーパントおよびp型ドーパントを含まないガスとは、たとえば、SiH4ガスまたはSi26ガスなどのシラン系ガス(シリコン原子を含むガス)であっても良いし、アルゴンガスなどの希ガスであっても良い。
第1p型半導体層を形成する工程の後であって第2p型半導体層を形成する工程の前に、下地層の上に形成された第1p型半導体層を、第2p型半導体層を形成するときに成膜室内に供給されるガスに3分以上曝すことが好ましい。これにより、第1p型半導体層の上面におけるp型ドーパントの原料ガスの付着量を低下させることができるので、第2p型半導体層の形成時における当該第2p型半導体層へのp型ドーパントの混入量を制御できる。よって、p型ドーパントが第2p型半導体層からi型半導体層へ拡散することをさらに防止できるため、i型半導体層での光吸収量の低下をさらに防止できる。
なお、本発明におけるp型半導体層の形成工程は、第1p型半導体層を形成する工程の後であって第2p型半導体層を形成する工程の前に、第1および第2p型半導体層とは異なるp型半導体層を形成する工程を有しても良い。
<薄膜太陽電池の構成>
本発明の薄膜太陽電池は、本発明の薄膜太陽電池の製造方法にしたがって得られたものであり、酸化亜鉛からなる下地層と、第1p型半導体層および第2p型半導体層を含むp型半導体層と、少なくとも1つのアモルファスシリコン層を含むi型半導体層と、n型半導体層とが積層されて構成されている。p型半導体層について以下に示す。
第1p型半導体層および第2p型半導体層の材料については、上記<p型半導体層の形成方法>で記した通りである。
第1p型半導体層の仕事関数は第2p型半導体層の仕事関数よりも小さく、4.65eVよりも小さいことが好ましく、より好ましくは4.61eV以上4.63eV以下である。これにより、酸化亜鉛からなる下地層の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下を防止できる。
第2p型半導体層の仕事関数は4.69eVよりも大きいことが好ましい。
ここで、仕事関数は、次に示す方法にしたがって求められることが好ましい。光電子分光装置を用いて図5に示すグラフを得て、図5に示すグラフにおいてノイズレベルのライン(ベースライン)L1と直線で近似することにより得られたラインL2との交点Xからイオン化ポテンシャルを求め、求められたイオン化ポテンシャルから活性化エネルギーを差し引くことにより仕事関数を求める。なお、活性化エネルギーは、導電率の温度依存性からアレニウスプロットを得て、得られたアレニウスプロットを用いて求められる。
第1p型半導体層のバンドギャップエネルギーは第2p型半導体層のバンドギャップエネルギーよりも小さく、1.80eVよりも大きく1.95eVよりも小さいことが好ましく、より好ましくは1.85eV以上1.90eV以下である。これにより、薄膜太陽電池の短絡光電流が多くなり、薄膜太陽電池の開放電圧が高くなる。
第2p型半導体層のバンドギャップエネルギーは1.95eVよりも大きく2.05eVよりも小さいことが好ましい。これにより、薄膜太陽電池の形状因子、短絡光電流および開放電圧の急激な低下を防止できる。
ここで、バンドギャップエネルギーは、次に示す方法にしたがって求められることが好ましい。入射光のエネルギーに対する光吸収係数の依存性を示すスペクトルからタウツプロットを得て、得られたタウツプロットからバンドギャップエネルギーを求めることができる。
第1p型半導体層の厚みは、2nm以上6nm以下であることが好ましい。これにより、酸化亜鉛からなる下地層の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下をさらに防止できる。
第2p型半導体層の厚みは特に限定されないが、2nm以上12nm以下であることが好ましく、より好ましくは4nm以上6nm以下である。
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、上記<p型半導体層の形成方法>を含む薄膜太陽電池の製造方法を具体的に説明する。図1は、本発明の薄膜太陽電池の製造方法の一例を示すフロー図である。
図1に示す薄膜太陽電池の製造方法は、水素プラズマ処理工程S101と、第1p型半導体層の形成工程S102と、ガス置換工程S103と、ガス暴露工程S104と、第2p型半導体層の形成工程S105と、i型半導体層の形成工程S106と、n型半導体層の形成工程S107とを備える。これにより、図2に示す薄膜太陽電池が得られる。図2は、本発明の薄膜太陽電池の構成の一例を示す断面図である。
まず、酸化亜鉛からなる下地層2が形成された基板1を用意する。または、CVD法、スパッタ法または蒸着法などによって、基板1の上に酸化亜鉛からなる下地層2を形成する。
ここで、基板1の材料は特に限定されないが、受光面となる部分では光透過性が必要となるため、光透過性を有する材料からなることが好ましい。また、基板1は、プラズマCVD法による製膜プロセスにおける熱処理に対する耐熱性に優れた材料からなることが好ましい。たとえば、基板1は、ポリイミド等の樹脂基板またはガラス基板などであることが好ましい。基板1の厚みは特に限定されず、光電変換装置の基板の厚みとして通常採用されている厚みであることが好ましい。
下地層2は、薄膜太陽電池の第1電極を兼ねても良いし、SnO2などからなる第1電極(不図示)の上に形成されても良い。下地層2の厚みは特に限定されず、薄膜太陽電池の下地層の厚みとして通常採用されている厚みであることが好ましい。
次に、下地層2を水素プラズマに曝すことが好ましい(水素プラズマ処理工程S101)。具体的には、下地層2が形成された基板1を所定のプラズマ処理装置(不図示)内に導入してから、当該プラズマ処理装置内において水素プラズマを発生させる。これにより、下地層2の仕事関数が大きくなるため、下地層2の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下の防止に貢献する。
水素プラズマの発生条件としては特に限定されないが、以下に示す条件であることが好ましい
基板1の温度:5℃以上200℃以下
プラズマ処理装置の内圧:40Pa以上3000Pa以下
プラズマ処理装置内への水素ガスの供給量:0.1slm以上100slm以下
プラズマ発生用電極への印加電力の周波数:数kHz以上80MHz以下
プラズマ発生用電極の単位面積あたりの電力密度:0.05W/cm2以上0.3W/cm2以下
プラズマ照射時間:1sec以上1800sec以下。
次に、下地層2の上に第1p型半導体層31Aを形成する(第1p型半導体層31Aの形成工程S102)。第1p型半導体層31Aの形成方法としては特に限定されないが、たとえば図3(a)〜(b)に示すプラズマCVD装置を用いて第1p型半導体層31Aを形成することが好ましい。図3(a)は薄膜太陽電池における各半導体層の形成時に用いられるマルチチャンバ方式のプラズマCVD装置の一例を示す断面図であり、図3(b)は図3(a)の各成膜室のより詳細な構成を示す模式図である。
図3(a)に示すマルチチャンバ方式のプラズマCVD装置では、3つの成膜室、すなわち第1成膜室220と第2成膜室230と第3成膜室240とが直線状に配置されている。各成膜室間には成膜室間を連通または遮蔽するゲートバルブ201が設けられており、ゲートバルブ201を介して各成膜室間を基板1が移動できる構成となっている。各成膜室には一対の電極が設けられており、第1成膜室220にはカソード電極222とアノード電極223とが設けられており、第2成膜室230にはカソード電極232とアノード電極233とが設けられており、第3成膜室240にはカソード電極242とアノード電極243が設けられている。
各成膜室のより詳細な構成について、第1成膜室220を例に説明する。第1成膜室220は、半導体層を内部で形成するため密閉可能に構成されていることが好ましく、またたとえば約1m3の容量を有することが好ましい。
上記第1成膜室220内において、カソード電極222とアノード電極223とは互いに平行に配置されている。カソード電極222とアノード電極223との電極間距離は所望の処理条件に従って決定されることが好ましく、たとえば数mmから数十mm程度に設定されることが好ましい。アノード電極223は電気的に接地されており、アノード電極223上には基板1が設置される。基板1は、カソード電極222上に載置されても良いが、プラズマ中のイオンダメージによる膜質低下を低減するためにはアノード電極223上に設置されることが好ましく、下地層2が形成された状態でアノード電極223上に設置されることが好ましい。
第1成膜室220の外部には、電力供給部208とインピーダンス整合回路205とが設置されている。電力供給部208は、カソード電極222に電力を供給するものであり、電力供給部208としては、たとえばパルス変調(オンオフ制御)された交流出力または切り替えによるCW(連続波形)交流出力が可能なものを用いることができる。このような電力供給部208は、第1電力導入線208aを介してインピーダンス整合回路205に接続されている。インピーダンス整合回路205は、カソード電極222とアノード電極223との間のインピーダンス整合を行なうものであり、第2電力導入線208bを介してカソード電極222に接続されている。
第1成膜室220には、ガス導入部211が設けられている。ガス導入部211からは、希釈ガス、材料ガス、またはドーピングガスなどのガス212が導入される。希釈ガスとしては、たとえば水素ガスを含むガスが挙げられる。材料ガスとしては、たとえばシラン系ガス、CH4ガス、またはゲルマンガスなどが挙げられる。ドーピングガスとしては、ジボランガス等のp型ドーパントの原料ガス、またはホスフィンガス等のn型ドーパントの原料ガスなどが挙げられる。
第1成膜室220のガス排気口209には、ガス排気部206と圧力調整のためのバルブ207とが直列に接続されており、バルブ207により、第1成膜室220内のガス圧力が略一定に保たれている。ガス導入部211またはガス排気口209の近傍で第1成膜室220内のガス圧力を測定すると若干の誤差を生じるため、ガス導入部211またはガス排気口209から離れた位置で第1成膜室220内のガス圧力を測定することが望ましい。ガス排気部206としては、第1成膜室220内のガス圧力を1.0×10-4Pa程度の高真空に排気できるものであることが好ましく、たとえばロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ、ソープションポンプ、またはターボ分子ポンプ等を用いることができ、これらを組合せて用いても良い。ガス排気部206の典型的な構成としては、メカニカルブースターポンプとロータリーポンプとが直列に接続されたものを挙げることができる。
このような第1成膜室220では、カソード電極222に電力を供給することにより、カソード電極222とアノード電極223との間にプラズマが発生し、導入されたガス212が分解される。よって、基板1の上面上(具体的には基板1の上面上に設けられた下地層2の上面上)に半導体層が形成される。
なお、図3(a)および図3(b)に示す構成は、プラズマCVD装置の一例に過ぎず、別の構成からなるプラズマCVD装置を用いて半導体層を形成してもよい。たとえばシングルチャンバ方式のプラズマCVD装置を用いて薄膜太陽電池を形成する場合、p型半導体層3A、i型半導体層3Bおよびn型半導体層3Cが同一の成膜室内で形成される。そのため、p型半導体層3Aの形成工程とi型半導体層3Bの形成工程との間、およびi型半導体層3Bの形成工程とn型半導体層3Cの形成工程との間に、ガス置換工程を行なうことが好ましい。
また、4以上の成膜室を備えたプラズマCVD装置を用いて半導体層を形成する場合、p型半導体層3A、i型半導体層3Bおよびn型半導体層3Cを成膜する成膜室とは異なる成膜室内で介在層(たとえばp型半導体層3Aとi型半導体層3Bとの間に設けられる層)を成膜しても良い。
以下では、図3(a)および図3(b)に示すプラズマCVD装置を用いて第1p型半導体層31Aを形成する方法を示す。
第1成膜室220において第1p型半導体層31Aを形成する。具体的には、第1成膜室220内を0.001Paまで排気して、下地層2が形成された基板1の温度を200℃以下に設定する。第1成膜室220内に混合ガスを導入してから、排気系に設けられたバルブ207により第1成膜室220内の圧力を略一定(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。混合ガスとしては、たとえばモノシランガス、水素ガス、ジボランガス(p型ドーパントの原料ガス)、およびCH4ガスを含むガスを用いることが好ましい。水素ガスの供給量は、モノシランガスの供給量に対して数倍(2〜3倍)から数十倍(20〜30倍)程度であることが好ましい。ジボランガスの供給量は第1p型半導体層31Aにおけるp型ドーパントの濃度に応じて設定することが好ましいが、上記<p型半導体層の形成方法>で述べたように、後述の第2p型半導体層32Aの形成時におけるジボランガスの供給量よりも多いことが好ましい。CH4ガスの供給量は、上記<p型半導体層の形成方法>で述べたように、後述の第2p型半導体層32Aの形成時におけるCH4ガスの供給量よりも少なく、後述の第2p型半導体層32Aの形成時におけるCH4ガスの供給量に対して0.33倍以上0.67倍以下であることが好ましい。これにより、第1p型半導体層31Aの仕事関数が第2p型半導体層32Aの仕事関数よりも小さくなるので、酸化亜鉛からなる下地層2の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下を防止できる。また、CH4ガスの供給量は、モノシランガスの供給量に対して0.1倍以上10倍以下であることが好ましい。
混合ガスを第1成膜室220内に導入して第1成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に数kHz〜80MHzの交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間にプラズマを発生させる。これにより、モノシランガス、ジボランガスおよびCH4ガスなどが分解されて、第1p型半導体層31Aが形成される。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下であることが好ましく、第1p型半導体層31Aの成膜特性および成膜速度の点などに応じて調整されることが好ましい。
第1p型半導体層31Aの厚さが所望の厚さ(好ましくは2nm以上6nm以下)に達したところで、カソード電極222への交流電力の供給を停止する。その後、第1成膜室220内を真空排気する。第1p型半導体層31Aの厚さは、カソード電極222へ供給された総電力量(電力密度×時間)に比例して大きくなる。
次に、第1p型半導体層31Aが形成された成膜室(つまり第1成膜室220)内のガスをn型ドーパントおよびp型ドーパントを含まないガスで置換することが好ましい(ガス置換工程S103)。具体的には、SiH4ガスもしくはSi26ガスなどのシラン系ガスまたはアルゴンガスなどの希ガスを第1成膜室220に設けられたガス導入部211から第1成膜室220内へ供給してから第1成膜室220内のガスをガス排気口209から排出させる。これにより、第1成膜室220内におけるp型ドーパントの残留濃度が低下するので、第2p型半導体層32Aの形成時における当該第2p型半導体層32Aへのp型ドーパントの混入量を制御できる。よって、p型ドーパントが第2p型半導体層32Aからi型半導体層3Bへ拡散することを防止できるため、i型半導体層3Bでの光吸収量の低下の防止に貢献する。
なお、ガス置換の条件は特に限定されないが、以下に示す条件であることが好ましい
基板1の温度:5℃以上200℃以下
第1成膜室220の内圧:40Pa以上3000Pa以下
n型ドーパントおよびp型ドーパントを含まないガスの供給量:0.1slm以上100slm以下。
次に、基板1の上に形成された第1p型半導体層31Aを、第2p型半導体層32Aを形成するときに第1成膜室220内に供給されるガスに3分以上曝すことが好ましい(ガス暴露工程S104)。具体的には、第2p型半導体層32Aの形成に使用されるガスを第1成膜室220内に供給してから、カソード電極222に電力を供給することなく3分以上放置する。第2p型半導体層32Aの形成に使用されるガスとしては、たとえば、モノシランガス、水素ガス、ジボランガス、およびCH4ガスを含むガスを用いることができる。これにより、第1p型半導体層31Aの上面におけるジボランガスの付着量が低下するので、第2p型半導体層32Aの形成時における第2p型半導体層32Aへのボロンの混入量を制御できる。よって、ボロンが第2p型半導体層32Aからi型半導体層3Bへ拡散することを防止できるため、i型半導体層3Bでの光吸収量の低下の防止に貢献できる。
次に、第1成膜室220(第1p型半導体層31Aが形成された成膜室)内において第1p型半導体層31Aの上面上に第2p型半導体層32Aを形成する(第2p型半導体層の形成工程S105)。具体的には、第1成膜室220内を0.001Paまで排気して、第2p型半導体層32Aが形成された基板1の温度を200℃以下に設定する。第1成膜室220内に混合ガスを導入してから、排気系に設けられたバルブ207により第1成膜室220内の圧力を略一定(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。混合ガスとしては、ガス暴露工程S104において第1成膜室202内に供給されたガスを用いることができる。水素ガスの供給量は、モノシランガスの供給量に対して数倍(2〜3倍)から数十倍(20〜30倍)程度であることが好ましい。ジボランガスの供給量は第2p型半導体層32Aにおけるp型ドーパントの濃度に応じて設定することが好ましいが、上記<p型半導体層の形成方法>で述べたように、先述の第1p型半導体層31Aの形成時におけるジボランガスの供給量よりも少なく、先述の第1p型半導体層31Aの形成時におけるジボランガスの供給量の0.25倍以上0.5倍以下であることが好ましい。これにより、ボロンが第2p型半導体層32Aからi型半導体層3Bへ拡散することを防止できるので、i型半導体層3での光吸収量の低下の防止に貢献する。CH4ガスの供給量は、モノシランガスの供給量に対して0.1倍以上10倍以下であることが好ましく、また上記<p型半導体層の形成方法>で述べたように先述の第1p型半導体層31Aの形成時におけるCH4ガスの供給量よりも多い。これにより、第1p型半導体層31Aおよび第2p型半導体層32Aでの光吸収量の低減、特に第2p型半導体層32Aでの光吸収量の低減を図ることができるので、i型半導体層3Bでの光吸収量の低減を防止できる。よって、薄膜太陽電池の短絡光電流が多くなり、薄膜太陽電池の開放電圧が高くなる。
混合ガスを第1成膜室220内に導入して第1成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に数kHz〜80MHzの交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間にプラズマを発生させる。これにより、モノシランガス、ジボランガスおよびCH4ガスなどが分解されて、第2p型半導体層32Aが形成される。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下であることが好ましく、第2p型半導体層32Aの成膜特性および成膜速度の点などに応じて調整されることが好ましい。
第2p型半導体層32Aの厚さが所望の厚さに達したところで、カソード電極222への交流電力の投入を停止する。その後、第1成膜室220内を真空排気する。
次に、第2p型半導体層32Aの上面上にi型半導体層3Bを形成する(i型半導体層の形成工程S106)。第1成膜室220とは異なる成膜室(たとえば第2成膜室230)内で成膜すること、およびモノシランガスと水素ガスとを含むガスを成膜室内に導入することを除いては上記第1p型半導体層31Aまたは上記第2p型半導体層32Aを形成する方法と同様の方法にしたがって、i型半導体層3Bを形成することができる。なお、i型半導体層3Bを形成する場合には、水素ガスの供給量は、モノシランガスの供給量に対して、数倍から数十倍程度であることが好ましく、たとえば5倍以上30倍以下であることが好ましい。これにより、良好な膜質のi型半導体層3Bを形成することができる。
次に、i型半導体層3Bの上面上にn型半導体層3Cを形成する(n型半導体層の形成工程S107)。第1成膜室220とは異なる成膜室(たとえば第3成膜室240)内で成膜すること、およびモノシランガスと水素ガスとホスフィンガスとを含むガスを成膜室内に導入することを除いては上記第1p型半導体層31Aまたは上記第2p型半導体層32Aを形成する方法と同様の方法にしたがって、n型半導体層3Cを形成することができる。なお、n型半導体層3Cを形成する場合には、水素ガスの供給量は、モノシランガスの供給量に対して、5倍以上300倍以下であることが好ましく、30倍以上300倍以下であることがより好ましい。また、ホスフィンガスの供給量は、n型半導体層3Cにおけるn型ドーパント濃度に応じて設定することが好ましい。このようにして、光電変換層3が下地層2の上面上に形成される。
光電変換層3の上面上に電極6を形成することが好ましい。電極6の形成方法としては特に限定されないが、たとえば、CVD法、スパッタ法、または蒸着法等によって導電膜(たとえばZnOからなる)6Aを形成してから、CVD法、スパッタ法、または蒸着法等によって導電膜6Aの上面上に金属膜(たとえばAgからなる)6Bを形成するという方法を挙げることができる。このようにして図2に示す薄膜太陽電池が得られる。
図2に示す薄膜太陽電池は、酸化亜鉛からなる下地層2と光電変換層3と電極6とが基板1の上面上に順に積層されて構成されたものである。光電変換層3は、p型半導体層3Aとi型半導体層3Bとn型半導体層3Cとが積層されて構成されたものである。
p型半導体層3Aは、第1p型半導体層31Aおよび第2p型半導体層32Aを含む。第1p型半導体層31Aおよび第2p型半導体層32Aのそれぞれの材料、厚み、仕事関数、およびバンドギャップエネルギーは、上記<薄膜太陽電池の構成>で記した通りである。よって、図2に示す薄膜太陽電池では、酸化亜鉛からなる下地層の仕事関数が小さいことに起因する薄膜太陽電池の形状因子の低下が防止され、薄膜太陽電池の短絡光電流の向上を図ることができ、薄膜太陽電池の開放電圧の向上を図ることができる。したがって、発電効率に優れる。
i型半導体層3Bは、実質的に真性な半導体膜であることが好ましく、n型ドーパントおよびp型ドーパントが全くドープされていない半導体膜(ノンドープ半導体膜)であっても良いし、微量のn型ドーパントまたは微量のp型ドーパントを含み且つ光電変換機能を十分に備えている半導体層であっても良い。i型半導体層3Bは、少なくとも1つのアモルファスシリコン層を含むことが好ましく、アモルファスシリコン層と微結晶シリコン層とが積層されて構成されていても良い。i型半導体層3Bの厚みは、特に限定されないが、光吸収量の向上および光劣化による光電変換特性の低下などを考慮して、0.05μm以上0.30μm以下であることが好ましい。
n型半導体層3Cは、リンなどのn型ドーパント原子がドープされた半導体膜である。n型半導体層3Cを構成する半導体膜としては、アモルファスシリコン膜であっても良いし、微結晶シリコン膜であっても良い。n型半導体層3Cの厚みは、特に限定されないが、i型半導体層3Bに十分な内部電界を与えるという点では2nm以上であることが好ましく、非活性層であるn型半導体層3Cでの光吸収量を抑えるという点では50nm以下であることが好ましい。
なお、p型半導体層3Aとi型半導体層3Bとの間に介在層を含む場合、介在層は次に示す方法にしたがって作製されることが好ましい。モノシランガスと水素ガスとを含むガス、またはモノシランガスと水素ガスとCH4ガスとを含むガスを第1成膜室220内に導入することを除いては上記第1p型半導体層31Aまたは上記第2p型半導体層32Aを形成する方法と同様の方法にしたがって、介在層を形成することができる。つまり、第1p型半導体層31Aおよび第2p型半導体層32Aが成膜された第1成膜室220内で介在層を形成することができる。介在層をi型半導体層で形成すれば、第1成膜室220内におけるp型ドーパントの残留濃度が低下するので、次に形成されるi型半導体層3Bへのp型ドーパント原子の混入を防止することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、上記<p型半導体層の形成方法>を含む薄膜太陽電池の製造方法にしたがって2つ以上の光電変換層を備えた薄膜太陽電池(図4参照)を製造する方法を示す。
上記第1の実施形態で示した方法にしたがってn型半導体層3Cを形成してから、n型半導体層3Cの上面上に中間層7を形成する。中間層7の形成方法としては、特に限定されず、CVD法、スパッタ法または蒸着法などが挙げられる。
中間層7を構成する材料は特に限定されないが、光電変換層3の上面での光学的反射によって光電変換層3での光吸収の効率を向上させるという点では、透過率が高く、かつ光電変換層3に用いられる材料との屈折率差が大きい材料が好適である。具体的には、中間層7を構成する材料は、金属酸化物であることが好ましく、たとえば酸化インジウム(In23)、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化チタン(TiO2)、または酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物であっても良いし、これらの金属酸化物を2種以上混合したものであっても良いし、これら金属酸化物の少なくとも1種と酸化マグネシウム(MgO)などとの混合物であっても良い。より好ましくは、中間層を構成する材料は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分としていることである。
次に、中間層7の上面上に第2の光電変換層5を形成する。第2の光電変換層5は、たとえばプラズマCVD法により形成されることが好ましい。まず、p型半導体層5Aを中間層7の上面上に形成する。具体的には、下地層2、光電変換層3、および中間層7が形成された基板1を成膜室内に配置して、その基板の温度を200℃以下とする。成膜室内に混合ガスを導入してから、成膜室内の圧力を略一定(たとえば240Pa以上3600Pa以下)に保つ。ここで、混合ガスとしては、モノシランガスと水素ガスとジボランガスとを含むガスを使用することができ、水素ガスの供給量は、モノシランガスの供給量に対して100倍以上400倍以下であることが好ましく200倍以上400倍以下であることがより好ましい。成膜室内の圧力が安定した後、成膜室内に設けられたカソード電極に交流電力を供給し、カソード電極とアノード電極(アノード電極も成膜室内に設けられている)との間にプラズマを発生させる。これにより、モノシランガスおよびジボランガスなどが分解されて、p型半導体層5Aが形成される。このとき、カソード電極の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.5W/cm2以下であることが好ましい。このような条件でp型半導体層5Aを形成すると、中間層7が水素を含むプラズマにさらされるので、水素が中間層7内を拡散することとなる。これにより、適度な抵抗を有する中間層7が形成され、主な成長方向に対して垂直な面内の方向においても適度な抵抗を有する中間層7が形成され、光電変換層3および光電変換層5との接合界面におけるシリーズ抵抗の小さな中間層7が形成される。このような中間層7の上に第2の光電変換層5を形成すれば、結晶化度が10以上である微結晶からなるp型半導体層5Aが形成される。
次に、i型半導体層5Bをp型半導体層5Aの上面上に形成する。モノシランガスおよび水素ガスを含む混合ガスを成膜室内に導入すること、水素ガスの供給量をモノシランガスの供給量に対して30倍よりも多く数百倍以下とすること(好ましくは、水素ガスの供給量をモノシランガスの供給量に対して30倍よりも多く300倍以下とすること)、およびカソード電極の単位面積あたりの電力密度を0.02W/cm2以上0.5W/cm2以下とすることを除いては上記p型半導体層5Aと同様の方法にしたがってi型半導体層5Bを形成することができる。これにより、光電変換層3におけるi型半導体層3Bよりも禁制帯幅が狭いi型半導体層5Bを形成することができる。
次に、n型半導体層5Cをi型半導体層5Bの上面上に形成する。モノシランガスと水素ガスとホスフィンガスとを含む混合ガスを成膜室内に導入すること、水素ガスの供給量をモノシランガスの供給量に対して数十倍以上数百倍以下とすること(好ましくは水素ガスの供給量をモノシランガスの供給量に対して30倍以上300倍以下とすること)、およびカソード電極の単位面積あたりの電力密度を0.02W/cm2以上0.5W/cm2以下とすることを除いては上記p型半導体層5Aと同様の方法にしたがってn型半導体層5Cを形成することができる。このようにして第2の光電変換層5が形成される。その後は、上記第1の実施形態で示した方法にしたがって電極6を第2の光電変換層5の上面上に形成する。これにより、図4に示す薄膜太陽電池が得られる。
図4に示す薄膜太陽電池において、第2の光電変換層5は、p型半導体層5Aとi型半導体層5Bとn型半導体層5Cとが積層されて構成されている。p型半導体層5Aは、ボロンまたはアルミニウムなどのp型ドーパント原子がドープされた半導体膜であることが好ましい。半導体膜は、微結晶シリコン膜であることが好ましい。p型半導体層5Aの厚みは、特に限定されないが、i型半導体層5Bに十分な内部電界を与えるという点では2nm以上であることが好ましく、非活性層であるp型半導体層5Aでの光吸収量を抑え且つi型半導体層5Bへ到達する光の強度を増大させるという点ではできるだけ薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
i型半導体層5Bは、実質的に真性な半導体膜であることが好ましく、n型ドーパント原子およびp型ドーパント原子が全くドープされていない半導体膜(ノンドープ半導体膜)であっても良いし、微量のn型ドーパント原子または微量のp型ドーパント原子を含み且つ光電変換機能を十分に備えている半導体層であっても良い。i型半導体層5Bを構成する材料は特に限定されないが、i型半導体層5Bの禁制帯幅が光電変換層3におけるi型半導体層3Bの禁制帯幅よりも小さくなるように設定されることが好ましい。具体的には、i型半導体層5Bは、微結晶シリコンからなることが好ましい。i型半導体層5Bの厚みは特に限定されないが、i型半導体層5Bでの十分な光吸収量を確保するという点では0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。一方、薄膜太陽電池の良好な生産性を確保するという点では、i型半導体層5Bの厚みは20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
n型半導体層5Cは、リンなどのn型ドーパント原子がドープされた半導体膜であることが好ましく、n型半導体層5Cを構成する半導体膜は、非晶質水素化シリコン膜であることが好ましい。n型半導体層5Cの厚みは、特に限定されないが、i型半導体層5Bに十分な内部電界を与えるという点では2nm以上であることが好ましく、非活性層であるn型半導体層5Cでの光吸収量を抑えるという点ではできる限り薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
このように図4に示す薄膜太陽電池は、上記<p型半導体層の形成方法>を含む薄膜太陽電池の製造方法により得られるため、図1に示す薄膜太陽電池が奏する効果と同一の効果を奏する。
それだけでなく、図4に示す薄膜太陽電池は、光電変換層3だけでなく第2の光電変換層5も備える。また、i型半導体層5Bの禁制帯幅は、光電変換層3におけるi型半導体層3Bの禁制帯幅よりも小さくなるように設定されることが好ましい。これらのことから、図4に示す薄膜太陽電池では、図1に示す薄膜太陽電池に比べて、より広い波長帯域の太陽光を光電変換に寄与させることができるため、光電変換効率の向上を図ることが可能になる。
以上、本発明の薄膜太陽電池の製造方法およびその構成について示したが、i型半導体層およびn型半導体層は、水素化シリコン材料からなっても良く、フッ素化シリコン材料からなっても良く、水素化およびフッ素化シリコン材料からなっても良い。
以下、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1>
実験例1では、成膜室へのCH4ガスの供給量を変更してp型半導体層を形成し、得られたp型半導体層のバンドギャップエネルギーおよび仕事関数を求めた。
p型半導体層の作製条件は以下に示すとおりであった
SiH4ガスの供給量:1.5slm
CH4ガスの供給量:図6に示す通り
26ガスの供給量:SiH4ガスの供給量に対して0.15体積%
カソード電極の単位面積あたりの電力密度:0.05W/cm2
成膜室の内圧:600Pa
基板の温度:200℃。
バンドギャップエネルギーは、入射光のエネルギーに対する光吸収係数の依存性を示すスペクトルからタウツプロットを得て、得られたタウツプロットを用いて求められた。
仕事関数は、光電子分光装置(理研計器株式会社製の光電子分光装置AC−1)を用いて図5に示すグラフを得て、図5に示すグラフにおいてノイズレベルのライン(ベースライン)L1と直線で近似することにより得られたラインL2との交点Xからイオン化ポテンシャルを求め、求められたイオン化ポテンシャルから活性化エネルギーを差し引くことにより求められた。活性化エネルギーは、導電率の温度依存性からアレニウスプロットを得て、得られたアレニウスプロットを用いて求められた。なお、図5は、照射エネルギーと光電子放出数のべき乗との関係を示すグラフである。測定試料が半導体材料であるので、べき乗を0.33とした。
図6には、成膜室へのCH4ガスの供給量とp型半導体層のバンドギャップエネルギーおよび仕事関数との関係(実験結果)を示す。
図6に示すように、成膜室へのCH4ガスの供給量が減少すると、形成されたp型半導体層のバンドギャップエネルギーは単調減少する一方、形成されたp型半導体層の仕事関数は成膜室へのCH4ガスの供給量が1.2slm付近で極小値となった。この理由としては、p型半導体層へのカーボンの添加によりシリコンに対する炭素の配位構造が変わったためであると考えている。p型半導体層へのカーボンの添加によりシリコンに対する炭素の配位構造が変わるということは、成膜室へのCH4ガスの供給量が1.2slm付近でp型半導体層の導電率が極大値をとることからも推定できる。
<実験例2>
実験例2では、成膜室へのCH4ガスの供給量を変更して第1p型微結晶半導体層(厚みが6nm)を形成する一方、成膜室へのCH4ガスの供給量を3.6slmに固定して第2p型半導体層(厚みが6nm)を形成して、薄膜太陽電池を作製した。
具体的には、ZnO膜(下地層2)が形成されたガラス基板(基板1)を準備し、基板1をアノード電極223の上に配置した。基板1の温度を200℃とし、成膜室220内の圧力を1000Paとし、カソード電極222には単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2である交流電力を印加した。成膜室220内にはSiH4ガス、B26ガス、CH4ガスおよびH2ガスを導入し、SiH4ガスの供給量を150sccmとし、B26ガス(0.1%水素希釈)の供給量を30sccmとし、SiH4ガスの供給量に対するH2ガスの供給量の割合を150とした。CH4ガスの供給量を表1に示すとおりとした。このようにして、膜厚が6nmである第1p型微結晶半導体層(第1p型半導体層31A)がZnO膜の上に形成された。
次に、CH4ガスの供給量を3.6slmとしたことを除いては上記第1p型微結晶半導体層の形成方法と同様の方法にしたがって、膜厚が6nmである第2p型微結晶半導体層(第2p型半導体層32A)を第1p型微結晶半導体層の上に形成した。
続いて、基板1の温度を200℃とし、成膜室220内の圧力を2000Paとし、カソード電極222には単位面積当たりの電力密度が0.15W/cm2である交流電力を印加した。成膜室220内にはSiH4ガスおよびH2ガスを導入し、SiH4ガスの供給量を250sccmとし、SiH4ガスの供給量に対するH2ガスの供給量の割合を80倍とした。このようにして、膜厚が270nmであるi型非晶質シリコン層(i型半導体層3B)が第2p型微結晶半導体層の上に形成された。
続いて、基板1の温度を200℃とし、成膜室220内の圧力を500Paとし、カソード電極222には単位面積当たりの電力密度が0.05W/cm2である交流電力を印加した。成膜室220内にはPH3ガス、SiH4ガスおよびH2ガスを導入し、SiH4ガスの供給量を150sccmとし、PH3ガス(1%水素希釈)の供給量を30sccmとし、SiH4ガスの供給量に対するH2ガスの供給量の割合を5とした。このようにして、膜厚が25nmであるn型半導体層(n型半導体層3C)がi型非晶質シリコン層の上に形成された。
そして、スパッタ法により、n型半導体層の上にZnO膜およびAg膜を順に積層させた。これにより、図2に示す薄膜太陽電池が形成された。得られた薄膜太陽電池に対して発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1には、成膜室へのCH4ガスの供給量を3.6slmとして第1p型微結晶半導体層を形成した場合の薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子に対する比率を記している。
Figure 2013165232
表1に示すように、第1p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量が第2p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量よりも少なければ、薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子はいずれも高くなった。しかし、薄膜太陽電池の形状因子については、第1p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量が1.2slm付近において最大となり、p型半導体層の仕事関数の傾向と同一の傾向を示すことが分かった。
図6および表1から、第1p型微結晶半導体層の仕事関数が4.65eVよりも小さければ、また第1p型微結晶半導体層のバンドギャップエネルギーが1.80eVよりも大きく1.95eVよりも小さければ、薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子が向上することが分かった。
また、第1p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量が0slmであれば、薄膜太陽電池の短絡光電流が大幅に減少した。よって、第1p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量は0slmよりも多いことが好ましいと言える。
<実験例3>
実験例3では、成膜室へのCH4ガスの供給量を3.6slmに固定して第1p型微結晶半導体層(厚みが6nm)を形成する一方、成膜室へのCH4ガスの供給量を変更して第2p型半導体層(厚みが6nm)を形成した。それ以外の点は上記実験例2で記載の方法にしたがって薄膜太陽電池を作製し、得られた薄膜太陽電池に対して発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2には、成膜室へのCH4ガスの供給量を3.6slmとして第2p型微結晶半導体層を形成した場合の薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子に対する比率を記している。
Figure 2013165232
表2に示すように、第2p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量が第1p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量よりも少なければ、薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、および開放電圧はいずれも低下した。その理由としては、第2p型微結晶半導体層での光吸収量の増大と薄膜太陽電池の内蔵電界の減少とが考えられる。よって、第1p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量は第2p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するCH4ガスの供給量よりも多いことが好ましいと考えられる。
図6および表2から、第2p型微結晶半導体層の仕事関数が4.69eVよりも大きければ、また第2p型微結晶半導体層のバンドギャップエネルギーが1.95eVよりも大きく2.05eVよりも小さければ、薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子が向上することが分かった。
<実験例4>
実験例4では、モノシランガスの供給量に対するB26ガスの供給量の割合を100%に固定して第1p型微結晶半導体層(厚みが6nm)を形成する一方、モノシランガスの供給量に対するB26ガスの供給量の割合を変更して第2p型半導体層(厚みが6nm)を形成した。それ以外の点は上記実験例2で記載の方法にしたがって薄膜太陽電池を作製し、得られた薄膜太陽電池に対して発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子を測定した。その結果を表3に示す。なお、表3には、モノシランガスの供給量に対するB26ガスの供給量の割合を100%として第2p型微結晶半導体層を形成した場合の薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子に対する比率を記している。
Figure 2013165232
表3に示すように、第2p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するB26ガスの供給量が第1p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するB26ガスの供給量よりも少なければ、薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、および形状因子はいずれも向上した。その理由としては、第2p型微結晶半導体層とi型半導体層との界面におけるボロン濃度の増加が抑制されるため、ボロンが第2p型微結晶半導体層からi型半導体層へ拡散することを防止でき、よって、i型半導体層での光吸収が増加するからであると考えられる。
<実験例5>
実験例5では、成膜室には1.2slmのCH4ガスを供給して第1p型微結晶半導体層を形成し、成膜室には3.6slmのCH4ガスを供給して第2p型半導体層を形成し、第1p型微結晶半導体層の厚みと第2p型半導体層の厚みとの合計が12nmとなるように第1p型微結晶半導体層の厚みおよび第2p型半導体層の厚みを変更した。それ以外の点は上記実験例2で記載の方法にしたがって薄膜太陽電池を作製し、得られた薄膜太陽電池に対して発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子を測定した。その結果を表4に示す。なお、表4では、第1p型微結晶半導体層を形成しなかった場合の薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子を基準にしている。
Figure 2013165232
表4に示すように、第1p型微結晶半導体層の厚みが2nm以上6nm以下であれば薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子が向上することが分かった。
<実験例6>
実験例6では、成膜室には1.2slmのCH4ガスを供給して第1p型微結晶半導体層を形成し、成膜室には3.6slmのCH4ガスを供給して第2p型半導体層を形成し、第2p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するB26ガスの供給量を第1p型微結晶半導体層を形成するときに成膜室に供給するB26ガスの供給量の50%とした。そして、第1p型微結晶半導体層を形成する前に成膜室内を30秒間、水素プラズマに曝した場合と、第1p型微結晶半導体層を形成する前に成膜室内を水素プラズマに曝していない場合とで、得られた薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子を測定した。その結果を表5に示す。なお、表5には、第1p型微結晶半導体層を形成する前に成膜室内を30秒間、水素プラズマに曝しなかった場合の薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子に対する比率を記している。
Figure 2013165232
表5に示すように、第1p型微結晶半導体層を形成する前に成膜室内を30秒間、水素プラズマに曝すと、薄膜太陽電池の発電効率、短絡光電流、開放電圧および形状因子のいずれもが向上した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基板、2 下地層、3 光電変換層、3A,5A p型半導体層、3B,5B i型半導体層、3C,5C n型半導体層、5 第2の光電変換層、6 電極、6A 導電膜、6B 金属膜、31A 第1p型半導体層、32A 第2p型半導体層。

Claims (11)

  1. 酸化亜鉛からなる下地層の上にp型半導体層と少なくとも1つのアモルファスシリコン層を含むi型半導体層とn型半導体層とが設けられてなる薄膜太陽電池の製造方法であって、
    前記p型半導体層を形成する工程は、
    前記下地層に接し且つ炭素を含む第1p型半導体層を形成する工程と、
    前記第1p型半導体層を形成した成膜室と同一の成膜室内において、前記i型半導体層に接し且つ炭素を含む第2p型半導体層を形成する工程とを含み、
    前記第1p型半導体層を形成するときに前記成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量は、前記第2p型半導体層を形成するときに前記成膜室内に供給されるCH4ガスの供給量よりも少ない薄膜太陽電池の製造方法。
  2. 前記第2p型半導体層を形成するときに前記成膜室内に供給されるp型ドーパントの原料ガスの供給量は、前記第1p型半導体層を形成するときに前記成膜室内に供給されるp型ドーパントの原料ガスの供給量よりも少ない請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  3. 前記第1p型半導体層を形成する工程の前に、前記下地層を水素プラズマにさらす工程をさらに含む請求項1または2に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  4. 前記第1p型半導体層を形成する工程の後であって前記第2p型半導体層を形成する工程の前に、n型ドーパントおよびp型ドーパントを含まないガスで前記成膜室内のガスを置換する工程をさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  5. 前記第1p型半導体層を形成する工程の後であって前記第2p型半導体層を形成する工程の前に、前記下地層の上に形成された第1p型半導体層を前記第2p型半導体層を形成するときに前記成膜室内に供給されるガスに3分以上曝す工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 前記第1および前記第2p型半導体層はp型シリコンカーバイド層である請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 酸化亜鉛からなる下地層の上にp型半導体層と少なくとも1つのアモルファスシリコン層を含むi型半導体層とn型半導体層とが形成されてなる薄膜太陽電池であって、
    前記p型半導体層は、前記下地層に接する第1p型半導体層と、前記i型半導体層に接する第2p型半導体層とを含み、
    前記第1p型半導体層は、カーボンを含み、仕事関数が4.65eVよりも小さく、
    前記第2p型半導体層は、カーボンを含み、仕事関数が4.69eVよりも大きい薄膜太陽電池。
  8. 前記第1p型半導体層のバンドギャップエネルギーは、1.80eVよりも大きく1.95eVよりも小さい請求項7に記載の薄膜太陽電池。
  9. 前記第2p型半導体層のバンドギャップエネルギーは、1.95eVよりも大きく2.05eVよりも小さい請求項7または8に記載の薄膜太陽電池。
  10. 前記第1p型半導体層の厚みは、2nm以上6nm以下である請求項7〜9のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
  11. 前記第1および前記第2p型半導体層はp型シリコンカーバイド層である請求項7〜10のいずれかに記載の薄膜太陽電池。
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