JP2013157515A - 薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents
薄膜太陽電池およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013157515A JP2013157515A JP2012018116A JP2012018116A JP2013157515A JP 2013157515 A JP2013157515 A JP 2013157515A JP 2012018116 A JP2012018116 A JP 2012018116A JP 2012018116 A JP2012018116 A JP 2012018116A JP 2013157515 A JP2013157515 A JP 2013157515A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- type semiconductor
- semiconductor layer
- layer
- solar cell
- film solar
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
Landscapes
- Photovoltaic Devices (AREA)
Abstract
【課題】マイクロクラックがi型半導体層に発生すると、リーク電流が発生し、その結果、薄膜太陽電池の発電効率が低下する。
【解決手段】薄膜太陽電池は、凹部と凸部との高低差が250nm以上1000nm以下である凹凸形状を有する下地層の上に設けられた光電変換層を備える。光電変換層は、p型半導体層とi型半導体層とn型半導体層とにより形成されるpin接合を有する。i型半導体層は、微結晶層を含む。p型半導体層とi型半導体層との間には、暗導電率が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】薄膜太陽電池は、凹部と凸部との高低差が250nm以上1000nm以下である凹凸形状を有する下地層の上に設けられた光電変換層を備える。光電変換層は、p型半導体層とi型半導体層とn型半導体層とにより形成されるpin接合を有する。i型半導体層は、微結晶層を含む。p型半導体層とi型半導体層との間には、暗導電率が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、薄膜太陽電池およびその製造方法に関する。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光を電力に変換する太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池などが実用化されている。
薄膜シリコン太陽電池は、一般に、透明導電膜が表面上に形成された絶縁基板と、透明導電膜上に設けられた光電変換層と、光電変換層上に設けられた裏面電極とを備える。特許文献1には、光電変換層を構成するi型半導体層がp型半導体層側にバッファ層を有することが記載されている。
薄膜太陽電池におけるシリーズ抵抗を低く抑えるためには、導電率の高いバッファ層をp型半導体層とi型半導体層との間に設けることが効果的である。しかし、導電率の高いバッファ層をp型半導体層とi型半導体層との間に設けると、薄膜太陽電池の開放電圧および曲線因子の低下を引き起こし、その結果、薄膜太陽電池の発電効率の低下を招くことがあるということが分かった。
薄膜太陽電池の発電効率が低下する理由は、下地層の表面に凹凸が形成されていることに起因して微結晶i型半導体層に欠陥が生じるからであると考えられる。下地層の凹部と凸部との高低差が250nm以上になると、マイクロクラックと呼ばれる欠陥が微結晶i型半導体層に発生しやすくなる。マイクロクラックの発生に起因してリーク電流が発生すると、薄膜太陽電池の特性が大幅に低下する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マイクロクラックがi型半導体層に発生しやすい条件におけるリーク電流の発生を防止することにより発電効率の高い薄膜太陽電池を提供することにある。
本発明の薄膜太陽電池は、凹部と凸部との高低差が250nm以上1000nm以下である凹凸形状を有する下地層の上に設けられた光電変換層を備える。光電変換層は、p型半導体層とi型半導体層とn型半導体層とにより形成されるpin接合を有する。i型半導体層は、微結晶層を含む。p型半導体層とi型半導体層との間には、暗導電率が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層が設けられている。
バッファ層の厚さは、5nm以上40nm以下であることが好ましい。
バッファ層は、微結晶または非晶質からなることが好ましい。
バッファ層は、微結晶または非晶質からなることが好ましい。
光電変換層は、第1電極が形成された基板の上に設けられていることが好ましい。下地層は、第1電極であることが好ましく、波長550nmでの分光ヘイズ率が10%以上50%以下であることが好ましい。
本発明の薄膜太陽電池を製造する方法は、プラズマCVD法によりバッファ層を形成する工程と、プラズマCVD法によりi型半導体層を形成する工程とを備えることが好ましい。バッファ層を形成する工程では、i型半導体層を形成する工程においてプラズマ発生用電極に印加される交流電力の0.3倍以下の交流電力を当該プラズマ発生用電極に印加することが好ましい。
本発明によれば、マイクロクラックがi型半導体層に発生しやすい条件においてもリーク電流の発生が防止され、よって、薄膜太陽電池の発電効率の低下が防止される。
以下、本発明の薄膜太陽電池の構成およびその製造方法について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
以下の説明において、スーパーストレート型構造の薄膜太陽電池を例に挙げて説明するが、以下の説明は、サブストレート型構造についても該当するものである。
また、本発明において、非晶質の半導体からなる半導体膜を「非晶質層」といい、微結晶の半導体からなる半導体膜を「微結晶層」といい、非晶質または微結晶の半導体からなる膜を「半導体層」ということがある。「微結晶」とは、結晶粒径が小さい(数十から千Å程度)結晶成分と非晶質成分との混合相が形成されている状態を意味する。
また、2つ以上の光電変換層が積層されて構成された薄膜太陽電池を「積層型薄膜太陽電池」と記すことがある。
<薄膜太陽電池の構成>
図1は、本発明の薄膜太陽電池の構成の一例を示す断面図である。図1に示す薄膜太陽電池は、基板1と第1電極2と第1光電変換層3とバッファ層4と第2光電変換層5と第2電極6とを備え、図1に示す薄膜太陽電池では、光は基板1側から入射される。
図1は、本発明の薄膜太陽電池の構成の一例を示す断面図である。図1に示す薄膜太陽電池は、基板1と第1電極2と第1光電変換層3とバッファ層4と第2光電変換層5と第2電極6とを備え、図1に示す薄膜太陽電池では、光は基板1側から入射される。
<基板>
基板1の材料は特に限定されないが、受光面となる部分では光透過性が必要となるため、光透過性を有する材料であることが好ましい。また、基板1は、プラズマCVD法による製膜プロセスで使用可能な材料、たとえばプラズマCVD法による製膜プロセスにおける熱処理に対する耐熱性に優れた材料からなることが好ましい。たとえば、基板1は、ポリイミド等の樹脂またはガラスなどからなることが好ましい。
基板1の材料は特に限定されないが、受光面となる部分では光透過性が必要となるため、光透過性を有する材料であることが好ましい。また、基板1は、プラズマCVD法による製膜プロセスで使用可能な材料、たとえばプラズマCVD法による製膜プロセスにおける熱処理に対する耐熱性に優れた材料からなることが好ましい。たとえば、基板1は、ポリイミド等の樹脂またはガラスなどからなることが好ましい。
基板1の厚さおよび基板1の形状は特に限定されない。ここで、本発明は、上面(上面とは、第1電極2が形成される基板1の面)の面積が大きな基板を用いた積層型薄膜太陽電池においても発電効率の低下防止という効果が得られ、具体的には上面の面積が1000cm2以上100000cm2以下である基板を用いた積層型薄膜太陽電池においても発電効率の低下防止という効果が得られる。よって、基板1の上面の面積は1000cm2以上100000cm2以下であることが好ましい。なお、上面の面積が1000cm2未満の基板1を用いた場合にも発電効率の低下防止という効果は得られる。
<第1電極>
第1電極2の材料は特に限定されないが、受光面となる部分では光透過性が必要となるため、光透過性を有する材料であることが好ましい。また、入射光を散乱および/または屈折させて光路長を伸ばすことによる第1光電変換層3および第2光電変換層5における高い光閉じ込め効果が必要となるため、第1電極2は、高いヘイズ率を有する材料からなることが好ましい。具体的には、波長550nmでの第1電極2の分光ヘイズ率は、10%以上50%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは30%以上50%以下である。たとえば、第1電極2は、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、または酸化インジウム錫(ITO)などからなることが好ましい。これにより、入射光が第1電極2で吸収されることを防止でき、また高い光閉じ込め効果が得られるので、入射光を有効に光電変換へ利用することができる。よって、薄膜太陽電池の光電変換効率の低下防止に寄与する。
第1電極2の材料は特に限定されないが、受光面となる部分では光透過性が必要となるため、光透過性を有する材料であることが好ましい。また、入射光を散乱および/または屈折させて光路長を伸ばすことによる第1光電変換層3および第2光電変換層5における高い光閉じ込め効果が必要となるため、第1電極2は、高いヘイズ率を有する材料からなることが好ましい。具体的には、波長550nmでの第1電極2の分光ヘイズ率は、10%以上50%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは30%以上50%以下である。たとえば、第1電極2は、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、または酸化インジウム錫(ITO)などからなることが好ましい。これにより、入射光が第1電極2で吸収されることを防止でき、また高い光閉じ込め効果が得られるので、入射光を有効に光電変換へ利用することができる。よって、薄膜太陽電池の光電変換効率の低下防止に寄与する。
ここで、波長550nmでの第1電極2の分光ヘイズ率とは、たとえば図10の模式断面図に示すように、基板1および第1電極2を透過してきた入射光の全光線透過光(Tt)中の拡散透過光(Td)の割合で、ヘイズ率(%)=100×Td/Ttの式で表わされる。ここで、全光線透過光(Tt)は、拡散透過光(Td)と平行透過光(Tp)との合計である。ヘイズ率が高いほど光の拡散する割合が高いことを意味する。波長550nmでの分光ヘイズ率の測定方法としては、たとえば、分光光度計を用いて波長550nmでの全光線透過光(Tt)および拡散透過光(Td)を測定して、上記計算式により求める方法などを挙げることができる。なお、図10は、ヘイズ率を説明するための模式断面図である。
第1電極2の厚さは特に限定されず、薄膜太陽電池の第1電極(透明導電膜)の厚みとして通常採用されている厚さであることが好ましい。
<第1光電変換層>
第1光電変換層3は、p型半導体層3Aと、i型半導体層3Bと、n型半導体層3Cとを有する。p型半導体層3Aは、i型半導体層3Bの一方の表面上に設けられており、n型半導体層3Cは、i型半導体層3Bの他方の表面上に設けられている。これにより、第1光電変換層3は、p型半導体層3Aとi型半導体層3Bとn型半導体層3Cとで形成されるpin接合を有する。なお、第1光電変換層3は、図1に示すようにp型半導体層3Aとi型半導体層3Bとn型半導体層3Cとがこの順で第1電極2の上面上に積層されて構成されていても良いし、n型半導体層3Cとi型半導体層3Bとp型半導体層3Aとがこの順で第1電極2の上面上に積層されて構成されていても良い。
第1光電変換層3は、p型半導体層3Aと、i型半導体層3Bと、n型半導体層3Cとを有する。p型半導体層3Aは、i型半導体層3Bの一方の表面上に設けられており、n型半導体層3Cは、i型半導体層3Bの他方の表面上に設けられている。これにより、第1光電変換層3は、p型半導体層3Aとi型半導体層3Bとn型半導体層3Cとで形成されるpin接合を有する。なお、第1光電変換層3は、図1に示すようにp型半導体層3Aとi型半導体層3Bとn型半導体層3Cとがこの順で第1電極2の上面上に積層されて構成されていても良いし、n型半導体層3Cとi型半導体層3Bとp型半導体層3Aとがこの順で第1電極2の上面上に積層されて構成されていても良い。
p型半導体層3Aは、ボロンまたはアルミニウムなどのp型不純物原子がドープされた半導体膜であることが好ましい。半導体膜は、非晶質水素化シリコン膜であることが好ましいが、シリコン(Si)系化合物、シリコンカーバイド(SiC)系化合物、またはシリコンモノオキシド(SiO)系化合物などのシリコン系化合物からなる非晶質膜であっても良いし、上記シリコン系化合物からなる微結晶膜であっても良い。ここで、上記シリコン系化合物には、水素化された化合物、フッ素化された化合物、または水素化およびフッ素化された化合物が含まれる。
p型半導体層3Aの厚さは、特に限定されないが、i型半導体層3Bに十分な内部電界を与えるという点では、2nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。また、p型半導体層3Aの厚さは、入射側に位置する非活性層(つまりp型半導体層3A)での光吸収量を抑えるという点では、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。
i型半導体層3Bは、実質的に真性な半導体膜であることが好ましく、n型不純物原子およびp型不純物原子が全くドープされていない半導体膜(ノンドープ半導体膜)であっても良いし、微量のn型不純物原子または微量のp型不純物原子を含み且つ光電変換機能を十分に備えている半導体層であっても良い。
i型半導体層3Bを構成する材料は特に限定されないが、i型半導体層3Bの禁制帯幅が第2光電変換層5におけるi型半導体層5Bの禁制帯幅よりも大きくなるように設定されることが好ましい。これにより、入射側に位置する光電変換層の禁制帯幅が入射側とは反対側に位置する光電変換層の禁制帯幅よりも大きくなるため、入射光を広い波長帯域にわたって光電変換に寄与させることができる。よって、入射光を有効に利用できるので、光電変換効率に優れた薄膜太陽電池を提供することができる。具体的には、i型半導体層3Bは、非晶質水素化シリコンからなることが好ましいが、上記シリコン系化合物からなる非晶質膜であっても良いし、上記シリコン系化合物からなる微結晶膜であっても良い。
i型半導体層3Bの厚さは、特に限定されないが、光吸収量の確保および光劣化による光電変換特性の低下などを考慮すれば0.05μm以上0.30μm以下であることが好ましい。
n型半導体層3Cは、リンなどのn型不純物原子がドープされた半導体膜である。n型半導体層3Cを構成する半導体膜としては、上記シリコン系化合物からなる非晶質膜であっても良いし、上記シリコン系化合物からなる微結晶膜であっても良い。
n型半導体層3Cの厚さは、特に限定されないが、i型半導体層3Bに十分な内部電界を与えるという点では、2nm以上であることが好ましい。また、n型半導体層3Cの厚さは、非活性層であるn型半導体層3Cでの光吸収量を抑えるという点では、できる限り薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
なお、p型半導体層3Aを構成する半導体膜、i型半導体層3Bを構成する半導体膜、およびn型半導体層3Cを構成する半導体膜は、互いに異なるシリコン系化合物からなっても良い。
また、p型半導体層3A、i型半導体層3B、またはn型半導体層3Cは、1層のみが設けられていても良いし、複数層設けられていても良い。たとえばp型半導体層3Aが複数層設けられている場合、複数層のp型半導体層3Aは互いに異なるシリコン系化合物からなっても良い。
また、p型半導体層3Aとi型半導体層3Bとの間に、たとえば、非晶質水素化シリコンからなるi型非晶質層などの介在層が設けられていても良い。介在層の厚さは特に限定されないが、p型半導体層3Aからi型半導体層3Bへのp型不純物原子の拡散を抑えるためには2nm以上であることが好ましく、介在層による光吸収量を抑え且つi型半導体層3Bへ到達する光の強度を増大させるためにはできる限り薄いことが好ましく、たとえば50nm以下であることが好ましい。
<第2光電変換層>
第2光電変換層5は、p型半導体層5Aと、i型半導体層5Bと、n型半導体層5Cとを有する。p型半導体層5Aは、i型半導体層5Bの一方の表面上に設けられており、n型半導体層5Cは、i型半導体層5Bの他方の表面上に設けられている。p型半導体層5Aとi型半導体層5Bとの間には、バッファ層4が設けられている。これにより、第2光電変換層5は、p型半導体層5Aとi型半導体層5Bとn型半導体層5Cとで形成されるpin接合を有する。なお、第2光電変換層5は、図1に示すようにp型半導体層5Aとi型半導体層5Bとn型半導体層5Cとがこの順で第1光電変換層3上に積層されて構成されていても良いし、n型半導体層5Cとi型半導体層5Bとp型半導体層5Aとがこの順で第1光電変換層3上に積層されて構成されていても良い。
第2光電変換層5は、p型半導体層5Aと、i型半導体層5Bと、n型半導体層5Cとを有する。p型半導体層5Aは、i型半導体層5Bの一方の表面上に設けられており、n型半導体層5Cは、i型半導体層5Bの他方の表面上に設けられている。p型半導体層5Aとi型半導体層5Bとの間には、バッファ層4が設けられている。これにより、第2光電変換層5は、p型半導体層5Aとi型半導体層5Bとn型半導体層5Cとで形成されるpin接合を有する。なお、第2光電変換層5は、図1に示すようにp型半導体層5Aとi型半導体層5Bとn型半導体層5Cとがこの順で第1光電変換層3上に積層されて構成されていても良いし、n型半導体層5Cとi型半導体層5Bとp型半導体層5Aとがこの順で第1光電変換層3上に積層されて構成されていても良い。
p型半導体層5Aは、ボロンまたはアルミニウムなどのp型不純物原子がドープされた半導体膜であることが好ましい。半導体膜は、微結晶膜であることが好ましく、シリコン(Si)系化合物、シリコンカーバイド(SiC)系化合物、またはシリコンモノオキシド(SiO)系化合物などのシリコン系化合物からなる微結晶膜であることが好ましい。ここで、上記シリコン系化合物には、水素化された化合物、フッ素化された化合物、または水素化およびフッ素化された化合物が含まれる。
p型半導体層5Aの厚さは、特に限定されないが、i型半導体層5Bに十分な内部電界を与えるという点では、2nm以上であることが好ましい。また、p型半導体層5Aの厚さは、非活性層であるp型半導体層5Aでの光吸収量を抑え且つi型半導体層5Bへ到達する光の強度を増大させるという点では、できるだけ薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
i型半導体層5Bは、実質的に真性な半導体膜であることが好ましく、n型不純物原子およびp型不純物原子が全くドープされていない半導体膜(ノンドープ半導体膜)であっても良いし、微量のn型不純物原子または微量のp型不純物原子を含み且つ光電変換機能を十分に備えている半導体層であっても良い。
i型半導体層5Bを構成する材料は特に限定されないが、i型半導体層5Bの禁制帯幅が第1光電変換層3におけるi型半導体層3Bの禁制帯幅よりも小さくなるように設定されることが好ましい。具体的には、i型半導体層5Bは、微結晶シリコンからなることが好ましく、p型半導体層5Aを構成する半導体膜(上述)であることが好ましい。
i型半導体層5Bの厚さは、特に限定されないが、光吸収量の向上などを考慮すれば、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。また、i型半導体層5Bの厚さは、生産性の向上などを考慮すれば、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
n型半導体層5Cは、リンなどのn型不純物原子がドープされた半導体膜である。n型半導体層5Cを構成する半導体膜は、非晶質水素化シリコン膜であることが好ましいが、上記シリコン系化合物からなる非晶質膜であっても良いし、上記シリコン系化合物からなる微結晶膜であっても良い。
n型半導体層5Cの厚さは、特に限定されないが、i型半導体層5Bに十分な内部電界を与えるという点では、2nm以上であることが好ましい。また、n型半導体層5Cの厚さは、非活性層であるn型半導体層5Cでの光吸収量を抑えるという点では、できる限り薄いことが好ましく、50nm以下であることが好ましい。
なお、p型半導体層5Aを構成する半導体膜、i型半導体層5Bを構成する半導体膜、およびn型半導体層5Cを構成する半導体膜は、互いに異なるシリコン系半導体材料からなっても良い。
また、p型半導体層5A、i型半導体層5B、またはn型半導体層5Cは、1層のみが設けられていても良いし、複数層設けられていても良い。たとえばp型半導体層5Aが複数層設けられている場合、複数層のp型半導体層5Aは互いに異なるシリコン半導体材料からなっても良い。
<バッファ層とバッファ層の下地層との関係>
バッファ層4の暗導電率値は、10-7S/cm以上10-5S/cm以下である。これにより、バッファ層4の下地層(バッファ層4よりも基板1側に位置する層、以下では単に「下地層」と記す。)の上面が凹凸形状を有しているためにi型半導体層5Bにマイクロクラック8が形成された場合であっても、リーク電流が低減され、よって、発電効率の低下が防止された薄膜太陽電池を提供することができる。ここで、バッファ層4の暗導電率とは、バッファ層4に光が入射されていない状態でのバッファ層4の導電率である。バッファ層4の暗導電率値の測定方法の一例としては、次に示す方法を挙げることができる。ガラス基板の上面上に厚みが100nm〜300nm程度であるバッファ層を形成し、このバッファ層の上面上に電極を形成する。このようにして得られた測定用キットを暗箱などに入れることにより当該測定用キットに光が入射されない状態としてから、直流電圧を測定用キットに設けられた電極に印加して、電流をピコ・アンメータで測定する。このとき使用する電極は、たとえば、ガラス基板の上面上に形成された薄膜に流れる電流であってガラス基板の上面に対して平行に流れる電流を測定可能なコプラナー形電極であっても良いし、マスクを用いてアルミニウムなどの金属をバッファ層の上面に蒸着させて作製された櫛型電極であっても良い。
バッファ層4の暗導電率値は、10-7S/cm以上10-5S/cm以下である。これにより、バッファ層4の下地層(バッファ層4よりも基板1側に位置する層、以下では単に「下地層」と記す。)の上面が凹凸形状を有しているためにi型半導体層5Bにマイクロクラック8が形成された場合であっても、リーク電流が低減され、よって、発電効率の低下が防止された薄膜太陽電池を提供することができる。ここで、バッファ層4の暗導電率とは、バッファ層4に光が入射されていない状態でのバッファ層4の導電率である。バッファ層4の暗導電率値の測定方法の一例としては、次に示す方法を挙げることができる。ガラス基板の上面上に厚みが100nm〜300nm程度であるバッファ層を形成し、このバッファ層の上面上に電極を形成する。このようにして得られた測定用キットを暗箱などに入れることにより当該測定用キットに光が入射されない状態としてから、直流電圧を測定用キットに設けられた電極に印加して、電流をピコ・アンメータで測定する。このとき使用する電極は、たとえば、ガラス基板の上面上に形成された薄膜に流れる電流であってガラス基板の上面に対して平行に流れる電流を測定可能なコプラナー形電極であっても良いし、マスクを用いてアルミニウムなどの金属をバッファ層の上面に蒸着させて作製された櫛型電極であっても良い。
詳細には、下地層の上面には凹部と凸部とが形成されており、凹部と凸部との高低差は250nm以上1000nm以下である。凹部と凸部との高低差が250nm以上となると、マイクロクラック8と呼ばれる欠陥がi型半導体層5Bに発生する。このことは、図9に示す第2光電変換層の断面TEM写真からも確認できる。
しかし、図1に示す薄膜太陽電池では、暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層4がp型半導体層5Aとi型半導体層5Bとの間に設けられている。よって、マイクロクラック8がi型半導体層5Bに発生しているにもかかわらず、リーク電流が低減される。実際、図4および図5に示すように、バッファ層4の暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であれば、下地層の上面における凹部と凸部との高低差が460nmであっても、形状因子(FF)は1よりも大きく、発電効率(Eff)も1よりも大きい(なお、比較例2、すなわち下地層の凹凸高低差(下地層の上面における凹部と凸部との高低差)が355nmであり且つ暗導電率値が3.1×10−5S/cmであるバッファ層4を備えた薄膜太陽電池の形状因子を1とし、また下地層の凹凸高低差が355nmであり且つ暗導電率値が3.1×10−5S/cmであるバッファ層4を備えた薄膜太陽電池の発電効率を1としている)。よって、暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下のバッファ層4をp型半導体層5Aとi型半導体層5Bとの間に設けることにより、好ましくは暗導電率値が10-6S/cm以上10-5S/cm以下のバッファ層4をp型半導体層5Aとi型半導体層5Bとの間に設けることにより、マイクロクラック8がi型半導体層5Bに発生している場合であっても薄膜太陽電池の発電効率の低下を防止することができる。ここで、図4は、下地層の上面における凹部と凸部との高低差が355nmおよび460nmであるときにおけるバッファ層4の暗導電率値(σd)と形状因子(FF)との関係を示す実験結果である。また、図5は、下地層の上面における凹部と凸部との高低差が355nmおよび460nmであるときにおけるバッファ層4の暗導電率値(σd)と発電効率(Eff)との関係を示す実験結果である。図4および図5の各縦軸には、比較例2、すなわち下地層の凹凸高低差が355nmであり且つ暗導電率値が3.1×10−5S/cmであるバッファ層4を備えた薄膜太陽電池の形状因子(FF)および発電効率(Eff)に対する割合を示す。
バッファ層4は、次に示す方法にしたがって作製されることが好ましい。たとえば、シランガスの流量に対する水素ガスの流量の比率は、80倍以上110倍未満であることが好ましい。カソード電極の単位面積あたりの電力密度は、0.05W/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは0.03W/cm2以上0.05W/cm2以下である。これにより、バッファ層4の暗導電率値は10-7S/cm以上10-5S/cm以下となり、好ましくは10-6S/cm以上10-5S/cm以下となる。
バッファ層4は、シリコン(Si)系化合物、シリコンカーバイド(SiC)系化合物、またはシリコンモノオキシド(SiO)系化合物などのシリコン系化合物からなる微結晶膜であっても良いし、上記シリコン系化合物からなる非晶質膜であっても良い。
バッファ層4の厚さは特に限定されないが、p型半導体層5Aなどからのp型ドーパントがi型半導体層5Bへ拡散することを抑制するという観点からは5nm以上であることが好ましく、直列抵抗成分の増大などを防止するという観点からは40nm以下であることが好ましい。
下地層について示すと、下地層の上面における凹部と凸部との高低差が1000nmを超えると、均一な厚さの膜を下地層の上面上に形成することが難しい。なお、下地層の上面における凹部と凸部との高低差は、原子間力顕微鏡(AFM)、走査電子顕微鏡(SEM)、または透過電子顕微鏡(TEM)などを用いて測定される。
図1に示すタンデム構造を有する薄膜太陽電池では、下地層は第1光電変換層3である。しかし、下地層は第1光電変換層3に限定されない。たとえばシングル構造を有する薄膜太陽電池では、凹凸形状は第1電極2の上面に形成されても良く、よって、下地層は第1電極2となる。また、後述のように第1光電変換層3の両表面のうち基板1とは反対側に位置する面上に中間層が形成されている場合には、凹凸形状は中間層の上面に形成されても良く、よって、下地層は中間層となる。
<第2電極>
第2電極6は、導電膜と金属膜とで構成されていても良く、金属膜のみから構成されていても良い。導電膜を構成する材料は特に限定されないが、SnO2、ITO、またはZnOなどであることが好ましい。金属膜を構成する材料は特に限定されないが、銀またはアルミニウムなどであることが好ましい。導電膜および金属膜の各厚さは特に限定されない。
第2電極6は、導電膜と金属膜とで構成されていても良く、金属膜のみから構成されていても良い。導電膜を構成する材料は特に限定されないが、SnO2、ITO、またはZnOなどであることが好ましい。金属膜を構成する材料は特に限定されないが、銀またはアルミニウムなどであることが好ましい。導電膜および金属膜の各厚さは特に限定されない。
以上説明したように、図1に示す薄膜太陽電池は、p型半導体層5Aとi型半導体層5Bとの間に、暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層4を備えている。よって、マイクロクラック8がi型半導体層5Bに発生した場合であっても、リーク電流が低減されるので、薄膜太陽電池の発電効率の低下を防止できる。
なお、本発明の薄膜太陽電池では、光電変換層の個数は特に限定されない。
また、図1に示す薄膜太陽電池では、第1光電変換層3の上面上に、すなわち第1光電変換層3の両表面のうち基板1とは反対側に位置する面上に、中間層が設けられていても良い。
また、図1に示す薄膜太陽電池では、第1光電変換層3の上面上に、すなわち第1光電変換層3の両表面のうち基板1とは反対側に位置する面上に、中間層が設けられていても良い。
中間層を構成する材料は特に限定されないが、第1光電変換層3の上面での光学的反射によって第1光電変換層3での光吸収の効率を向上させるという点では、透過率が高く、かつ第1光電変換層3に用いられる材料との屈折率差が大きい材料が好適である。具体的には、中間層を構成する材料は、金属酸化物であることが好ましく、たとえば酸化インジウム(In2O3)、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化チタン(TiO2)、または酸化亜鉛(ZnO)などの金属酸化物であっても良いし、これらの金属酸化物を2種以上混合したものであっても良いし、これら金属酸化物の少なくとも1種と酸化マグネシウム(MgO)などとの混合物であっても良い。より好ましくは、中間層を構成する材料は、酸化亜鉛(ZnO)を主成分としていることである。これにより、導電率またはシート抵抗などの導電特性を所望の範囲に調整し易くなる。ここで、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とするとは、中間層が50質量%以上の酸化亜鉛を含むことを意味する。中間層は、90質量%以上の酸化亜鉛を含むことが好ましい。
また、本発明の薄膜太陽電池は、集積構造を有する薄膜太陽電池であることが好ましい。集積構造を有する薄膜太陽電池では、図1に示す薄膜太陽電池に比べてリーク電流の発生箇所が多いと予想できる。しかし、本発明におけるバッファ層は、リーク電流の発生箇所が多い場合に、より有効な効果を発揮する。図2は、集積構造を有する薄膜太陽電池の構成の一例を示す断面図である。
図2に示す薄膜太陽電池では、基板1上に形成された第1電極2は第1光電変換層3および第2光電変換層5で埋められた第1分離溝16によって分離されている。第1光電変換層3および第2光電変換層5は第2電極6で埋められた第2分離溝17によって分離されており、これにより、隣り合う薄膜太陽電池が直列に接続される。第1光電変換層3、第2光電変換層5および第2電極6は第3分離溝18によって分離されており、第2電極6の上面上には電流取り出し用の電極19が設けられている。
図2には不図示であるが、第2光電変換層5におけるp型半導体層5Aとi型半導体層5Bとの間には暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層4が設けられている。これにより、上記効果(マイクロクラック8がi型半導体層5Bに発生した場合であっても、リーク電流が低減されるので、薄膜太陽電池の発電効率の低下を防止することができるという効果)を得ることができる。
<薄膜太陽電池の製造方法>
図1に示すタンデム構造を有する薄膜太陽電池の製造方法を示す。図1に示す薄膜太陽電池は、基板1の上面上に、第1電極2と、第1光電変換層3と、第2光電変換層5におけるp型半導体層5Aと、バッファ層4と、第2光電変換層5におけるi型半導体層5Bおよびn型半導体層5Cと、第2電極6とを順に形成することにより得られる。
図1に示すタンデム構造を有する薄膜太陽電池の製造方法を示す。図1に示す薄膜太陽電池は、基板1の上面上に、第1電極2と、第1光電変換層3と、第2光電変換層5におけるp型半導体層5Aと、バッファ層4と、第2光電変換層5におけるi型半導体層5Bおよびn型半導体層5Cと、第2電極6とを順に形成することにより得られる。
<第1電極の形成>
基板1の上面上に第1電極2を形成する。第1電極2の形成方法としては、たとえばCVD法、スパッタ法、または蒸着法などが挙げられる。
基板1の上面上に第1電極2を形成する。第1電極2の形成方法としては、たとえばCVD法、スパッタ法、または蒸着法などが挙げられる。
第1電極2の上面には凹部と凸部とが形成されている。たとえば、第1電極2の材料としてZnOを用いる場合、LPCVD法での製膜条件を変えることにより第1電極2の結晶成長を制御するという方法、または第1電極2を製膜した後にスパッタ法により希塩酸でエッチングするという方法により、凹凸形状が第1電極2の上面に形成される。
<第1光電変換層の形成>
第1光電変換層3は、たとえばプラズマCVD法により形成されることが好ましい。図3(a)は薄膜太陽電池における各半導体層の形成時に用いられるマルチチャンバ方式のプラズマCVD装置の一例を示す断面図であり、図3(b)は図3(a)の各成膜室のより詳細な構成を示す模式図である。
第1光電変換層3は、たとえばプラズマCVD法により形成されることが好ましい。図3(a)は薄膜太陽電池における各半導体層の形成時に用いられるマルチチャンバ方式のプラズマCVD装置の一例を示す断面図であり、図3(b)は図3(a)の各成膜室のより詳細な構成を示す模式図である。
図3(a)に示すマルチチャンバ方式のプラズマCVD装置では、3つの成膜室、すなわち第1成膜室220と第2成膜室230と第3成膜室240とが直線状に配置されている。各成膜室間には成膜室間を連通または遮蔽するゲートバルブ201が設けられており、ゲートバルブ201を介して各成膜室間を基板1が移動できる構成となっている。各成膜室には一対の電極が設けられており、第1成膜室220にはカソード電極222とアノード電極223とが設けられており、第2成膜室230にはカソード電極232とアノード電極233とが設けられており、第3成膜室240にはカソード電極242とアノード電極243が設けられている。
各成膜室のより詳細な構成について、第1成膜室220を例に説明する。第1成膜室220は、半導体層を内部で形成するため密閉可能に構成されていることが好ましく、またたとえば約1m3の容量を有することが好ましい。
上記第1成膜室220内において、カソード電極222とアノード電極223とは互いに平行に配置されている。カソード電極222とアノード電極223との電極間距離は所望の処理条件に従って決定されることが好ましく、たとえば数mmから数十mm程度に設定されることが好ましい。アノード電極223は電気的に接地されており、アノード電極223上には基板1が設置される。基板1は、カソード電極222上に載置されても良いが、プラズマ中のイオンダメージによる膜質低下を低減するためにはアノード電極223上に設置されることが好ましく、第1電極2が形成された状態でアノード電極223上に設置されることが好ましい。
第1成膜室220の外部には、電力供給部208とインピーダンス整合回路205とが設置されている。電力供給部208は、カソード電極222に電力を供給するものであり、電力供給部208としては、たとえばパルス変調(オンオフ制御)された交流出力または切り替えによるCW(連続波形)交流出力が可能なものを用いることができる。このような電力供給部208は、第1電力導入線208aを介してインピーダンス整合回路205に接続されている。インピーダンス整合回路205は、カソード電極222とアノード電極223との間のインピーダンス整合を行なうものであり、第2電力導入線208bを介してカソード電極222に接続されている。
第1成膜室220には、ガス導入部211が設けられている。ガス導入部211からは、希釈ガス、材料ガス、またはドーピングガスなどのガス212が導入される。希釈ガスとしては、たとえば水素ガスを含むガスが挙げられる。材料ガスとしては、たとえばシラン系ガス、メタンガス、またはゲルマンガスなどが挙げられる。ドーピングガスとしては、ジボランガス等のp型不純物ドーピングガス、またはホスフィンガス等のn型不純物ドーピングガスなどが挙げられる。
第1成膜室220のガス排気口209には、ガス排気部206と圧力調整のためのバルブ207とが直列に接続されており、バルブ207により、第1成膜室220内のガス圧力が略一定に保たれている。ガス導入部211またはガス排気口209の近傍で第1成膜室220内のガス圧力を測定すると若干の誤差を生じるため、ガス導入部211またはガス排気口209から離れた位置で第1成膜室220内のガス圧力を測定することが望ましい。ガス排気部206としては、第1成膜室220内のガス圧力を1.0×10-4Pa程度の高真空に排気できるものであることが好ましく、たとえばロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ、ソープションポンプ、またはターボ分子ポンプ等を用いることができ、これらを組合せて用いても良い。ガス排気部206の典型的な構成としては、メカニカルブースターポンプとロータリーポンプとが直列に接続されたものを挙げることができる。
このような第1成膜室220では、カソード電極222に電力を供給することにより、カソード電極222とアノード電極223との間にプラズマが発生し、導入されたガス212が分解される。よって、基板1の上面上(具体的には基板1の上面上に設けられた第1電極2の上面上)に半導体層が形成される。
なお、図3(a)および図3(b)に示す構成は、プラズマCVD装置の一例に過ぎず、別の構成からなるプラズマCVD装置を用いて半導体層を形成してもよい。たとえばシングルチャンバ方式のプラズマCVD装置を用いて第1光電変換層3を形成する場合、p型半導体層3A、i型半導体層3Bおよびn型半導体層3Cが同一の成膜室内で形成される。そのため、p型半導体層3Aの形成工程とi型半導体層3Bの形成工程との間、およびi型半導体層3Bの形成工程とn型半導体層3Cの形成工程との間に、ガス置換工程を行なうことが好ましい。
また、4以上の成膜室を備えたプラズマCVD装置を用いて半導体層を形成する場合、p型半導体層3A、i型半導体層3Bおよびn型半導体層3Cを成膜する成膜室とは異なる成膜室内で介在層(p型半導体層3Aとi型半導体層3Bとの間に設けられる層)を成膜しても良い。
以下では、図3(a)および図3(b)に示すプラズマCVD装置を用いて第1光電変換層3を形成する方法を示す。
まず、第1成膜室220においてp型半導体層3Aを形成する。第1成膜室220内を0.001Paまで排気して、第1電極2が設けられた基板1の温度を200℃以下に設定する。第1成膜室220内に混合ガスを導入してから、排気系に設けられたバルブ207により第1成膜室220内の圧力を略一定(たとえば200Pa以上3000Pa以下)に保つ。ここで、混合ガスとしては、たとえばシランガス、水素ガスおよびジボランガスを含むガスを使用でき、p型半導体層3Aによる光吸収量を低減するために炭素原子を含むガス(例えばメタンガス)をさらに含むガスを用いても良い。なお、水素ガスの流量は、シランガスの流量に対して、数倍(2〜3倍)から数十倍(20〜30倍)程度であることが好ましい。
混合ガスを第1成膜室220内に導入して第1成膜室220内の圧力が安定した後、カソード電極222に数kHz〜80MHzの交流電力を供給し、カソード電極222とアノード電極223との間にプラズマを発生させる。これにより、シランガスなどが分解されて、p型半導体層3Aが形成される。カソード電極222の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.3W/cm2以下であることが好ましく、p型半導体層3Aの成膜特性および成膜速度の点などに応じて調整されることが好ましい。
p型半導体層3Aの厚さが所望の厚さに達したところで、カソード電極222への交流電力の投入を停止する。その後、第1成膜室220内を真空排気する。p型半導体層3Aの厚さは、カソード電極222へ投入された総電力量(電力密度×時間)に比例して大きくなる。
次に、i型半導体層3Bをp型半導体層3Aの上面上に形成する。第1成膜室220とは異なる成膜室(たとえば第2成膜室230)内で成膜すること、およびシランガスと水素ガスとを含むガスを成膜室内に導入することを除いては上記p型半導体層3Aを形成する方法と同様の方法にしたがって、i型半導体層3Bを形成することができる。なお、i型半導体層3Bを形成する場合には、水素ガスの流量は、シランガスの流量に対して、数倍から数十倍程度であることが好ましく、たとえば5倍以上30倍以下であることが好ましい。これにより、良好な膜質のi型半導体層3Bを形成することができる。
次に、n型半導体層3Cをi型半導体層3Bの上面上に形成する。第1成膜室220とは異なる成膜室(たとえば第3成膜室240)内で成膜すること、およびシランガスと水素ガスとホスフィンガスとを含むガスを成膜室内に導入することを除いては上記p型半導体層3Aを形成する方法と同様の方法にしたがって、n型半導体層3Cを形成することができる。なお、n型半導体層3Cを形成する場合には、水素ガスの流量は、シランガスの流量に対して、5倍以上300倍以下であることが好ましく、30倍以上300倍以下であることがより好ましい。このようにして、第1光電変換層3が第1電極2の上面上に形成される。
なお、第1光電変換層3がp型半導体層3Aとi型半導体層3Bとの間に介在層を含む場合、介在層は次に示す方法にしたがって作製されることが好ましい。シランガスと水素ガスとを含むガス、またはシランガスと水素ガスとメタンガスなどの炭化水素とを含むガスを第1成膜室220内に導入することを除いては上記p型半導体層3Aを形成する方法と同様の方法にしたがって、介在層を形成することができる。つまり、p型半導体層3Aが成膜された第1成膜室220内で介在層を形成することができる。
<第2光電変換層の形成>
第2光電変換層は、たとえばプラズマCVD法により形成されることが好ましい。まず、p型半導体層5Aをn型半導体層3Cの上面上に形成する。具体的には、第1光電変換層3が形成された基板1を成膜室内に配置して、その基板の温度を200℃以下とする。成膜室内に混合ガスを導入してから、成膜室内の圧力を略一定(たとえば240Pa以上3600Pa以下)に保つ。ここで、混合ガスとしては、シランガスと水素ガスとジボランガスとを含むガスを使用することができ、水素ガスの流量は、シランガスの流量に対して100倍以上400倍以下であることが好ましく200倍以上400倍以下であることがより好ましい。成膜室内の圧力が安定した後、成膜室内に設けられたカソード電極に交流電力を供給し、カソード電極とアノード電極(アノード電極も成膜室内に設けられている)との間にプラズマを発生させる。これにより、シランガスなどが分解されて、p型半導体層5Aが形成される。このとき、カソード電極の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.5W/cm2以下であることが好ましい。
第2光電変換層は、たとえばプラズマCVD法により形成されることが好ましい。まず、p型半導体層5Aをn型半導体層3Cの上面上に形成する。具体的には、第1光電変換層3が形成された基板1を成膜室内に配置して、その基板の温度を200℃以下とする。成膜室内に混合ガスを導入してから、成膜室内の圧力を略一定(たとえば240Pa以上3600Pa以下)に保つ。ここで、混合ガスとしては、シランガスと水素ガスとジボランガスとを含むガスを使用することができ、水素ガスの流量は、シランガスの流量に対して100倍以上400倍以下であることが好ましく200倍以上400倍以下であることがより好ましい。成膜室内の圧力が安定した後、成膜室内に設けられたカソード電極に交流電力を供給し、カソード電極とアノード電極(アノード電極も成膜室内に設けられている)との間にプラズマを発生させる。これにより、シランガスなどが分解されて、p型半導体層5Aが形成される。このとき、カソード電極の単位面積あたりの電力密度は、たとえば0.01W/cm2以上0.5W/cm2以下であることが好ましい。
次に、バッファ層4をp型半導体層5Aの上面上に形成する。シランガスと水素ガスとを含む混合ガスを成膜室内に導入すること、およびカソード電極の単位面積あたりの電力密度を0.02W/cm2以上0.5W/cm2以下とすることを除いては上記p型半導体層5Aと同様の方法にしたがって、バッファ層4を形成することができる。
好ましくは、i型半導体層5Bを形成する工程においてプラズマ発生用電極(たとえばカソード電極)に印加される交流電力の0.3倍以下の交流電力を印加してプラズマを発生させることである。これにより、暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層4を形成することができる。
より好ましくは、水素ガスの流量をシランガスの流量に対してたとえば80倍以上110倍未満としてシランガスと水素ガスとを含むガスを成膜室内に導入することであり、またカソード電極の単位面積あたりの電力密度を0.05W/cm2以下としてプラズマを発生させることである。これにより、暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層4を形成することができる。このことは図7および図8に示す実験結果からも明らかである。ここで、図7は、シランガスの流量に対する水素ガスの流量の比率(H2/SiH4)とバッファ層4の暗導電率値との関係を示す実験結果であり、図7に示す実験結果は、シランガスの流量に対する水素ガスの流量の比率を変えて種々のバッファ層を形成し、得られたバッファ層の暗導電率値を測定することにより得られたものである。図8は、シランガスの流量に対する水素ガスの流量の比率(H2/SiH4)を100に固定したときのカソード電極の単位面積あたりの電力密度(パワー密度)とバッファ層4の暗導電率値との関係を示す実験結果であり、図8に示す実験結果は、カソード電極の単位面積あたりの電力密度を変えて種々のバッファ層を形成し、得られたバッファ層の暗導電率値を測定することにより得られたものである。
図7に示すように、シランガスの流量に対する水素ガスの流量の比率がたとえば80倍以上110倍未満であれば、好ましくは80倍以上100倍以下であれば、バッファ層4の暗導電率値は10-7S/cm以上10-5S/cm以下となる。また、図8に示すように、カソード電極の単位面積あたりの電力密度が0.05W/cm2以下であれば、好ましくは0.03W/cm2以上0.05W/cm2以下であれば、バッファ層4の暗導電率値は10-7S/cm以上10-5S/cm以下となる。図7および図8に示す実験結果を用いて、シランガスの流量に対する水素ガスの流量の比率、およびカソード電極の単位面積あたりの電力密度を決定することが好ましい。
次に、i型半導体層5Bをバッファ層4の上面上に形成する。シランガスおよび水素ガスを含む混合ガスを成膜室内に導入すること、水素ガスの流量をシランガスの流量に対して30倍以上数百倍以下とすること(好ましくは、水素ガスの流量をシランガスの流量に対して30倍から300倍以下とすること)、およびカソード電極の単位面積あたりの電力密度を0.02W/cm2以上0.5W/cm2以下とすることを除いては上記p型半導体層5Aと同様の方法にしたがってi型半導体層5Bを形成することができる。
次に、n型半導体層5Cをi型半導体層5Bの上面上に形成する。シランガスと水素ガスとホスフィンガスとを含む混合ガスを成膜室内に導入すること、水素ガスの流量をシランガスの流量に対して数十倍以上数百倍以下とすること(好ましくは水素ガスの流量をシランガスの流量に対して30倍以上300倍以下とすること)、およびカソード電極の単位面積あたりの電力密度を0.02W/cm2以上0.5W/cm2以下とすることを除いては上記p型半導体層5Aと同様の方法にしたがってn型半導体層5Cを形成することができる。このようにして第2光電変換層5が形成される。
<第2電極の形成>
第2光電変換層5の上面上に第2電極6を形成する。第2電極6の形成方法としては特に限定されないが、たとえば、CVD法、スパッタ法、または蒸着法等によって導電膜(たとえばZnOからなる)を形成してから、CVD法、スパッタ法、または蒸着法等によって導電膜の上面上に金属膜(たとえばAgからなる)を形成するという方法を挙げることができる。
第2光電変換層5の上面上に第2電極6を形成する。第2電極6の形成方法としては特に限定されないが、たとえば、CVD法、スパッタ法、または蒸着法等によって導電膜(たとえばZnOからなる)を形成してから、CVD法、スパッタ法、または蒸着法等によって導電膜の上面上に金属膜(たとえばAgからなる)を形成するという方法を挙げることができる。
このようにして図1に示す薄膜太陽電池が形成される。凹凸形状が第1電極2の上面に形成されているので、マイクロクラック8がi型半導体層5Bに形成されている。しかし、所定の暗導電率値を有するバッファ層4がp型半導体層5Aとi型半導体層5Bとの間に形成されているので、リーク電流が低減され、よって、薄膜太陽電池の発電効率の低下を防止できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1、比較例1〜2>
実施例1および比較例1〜2では、波長550nmでの分光ヘイズ率が30%であるZnO膜を第1電極として薄膜太陽電池を作製し、得られた薄膜太陽電池を評価した。
実施例1および比較例1〜2では、波長550nmでの分光ヘイズ率が30%であるZnO膜を第1電極として薄膜太陽電池を作製し、得られた薄膜太陽電池を評価した。
<実施例1>
<基板の準備>
波長550nmでの分光ヘイズ率が30%であるZnO膜(第1電極2)が形成されたガラス基板(幅1000mm×長さ1300mm)を準備した。
<基板の準備>
波長550nmでの分光ヘイズ率が30%であるZnO膜(第1電極2)が形成されたガラス基板(幅1000mm×長さ1300mm)を準備した。
<第1光電変換層の形成>
マルチチャンバ方式のプラズマCVD装置を用いて、第1電極2が形成された基板1に第1光電変換層3を形成した。まず、第1成膜室内を0.001Paまで排気し、第1電極2が形成された基板1の温度を200℃以下に設定した。第1成膜室内に混合ガスを導入し、排気系に設けられたバルブにより第1成膜室内の圧力を略一定(600Pa)に保った。ここで、混合ガスとして、シランガス、水素ガス、ジボランガスおよびメタンガスを含むガスを用いた。上記混合ガスにおいて、シランガスの流量に対する水素ガスの流量を10倍とした。
マルチチャンバ方式のプラズマCVD装置を用いて、第1電極2が形成された基板1に第1光電変換層3を形成した。まず、第1成膜室内を0.001Paまで排気し、第1電極2が形成された基板1の温度を200℃以下に設定した。第1成膜室内に混合ガスを導入し、排気系に設けられたバルブにより第1成膜室内の圧力を略一定(600Pa)に保った。ここで、混合ガスとして、シランガス、水素ガス、ジボランガスおよびメタンガスを含むガスを用いた。上記混合ガスにおいて、シランガスの流量に対する水素ガスの流量を10倍とした。
第1成膜室内の圧力が安定した後、カソード電極に13.56Hzの交流電力(カソード電極の単位面積あたりの電力密度は0.05W/cm2であった)を供給してカソード電極とアノード電極との間にプラズマを発生させた。これにより、シランガスなどが分解されてp型半導体層3Aが形成された。p型半導体層3Aの厚さが8nmになったところで、カソード電極への交流電力の供給を停止し、その後、第1成膜室内を真空排気した。
続いて、介在層であるi型非晶質層を第1成膜室内で形成した。シランガスと水素ガスとメタンガスとを含むガスを第1成膜室内に導入したことを除いてはp型半導体層3Aの形成方法にしたがって、介在層を形成した。介在層の厚さが8nmとなったところでカソード電極への交流電力の供給を停止し、第1成膜室内を排気した。
続いて、非晶質の水素化シリコン(a−Si:H)からなるi型半導体層3Bを形成した。第2成膜室内で成膜を行なうこと、およびシランガスと水素ガスとを含むガスを第2成膜室内に導入することを除いては上記p型半導体層3Aの形成方法にしたがって、i型半導体層3Bを形成した。i型半導体層3Bの厚さが270nmとなったところでカソード電極への交流電力の供給を停止し、第2成膜室内を排気した。
続いて、n型半導体層3Cを第3成膜室内で形成した。第3成膜室内で成膜を行なうこと、およびシランガスと水素ガスとホスフィンガスとを含むガスを第3成膜室内に導入することを除いては上記p型半導体層3Aの形成方法にしたがって、n型半導体層3Cを形成した。n型半導体層3Cの厚さが12nmとなったところでカソード電極への交流電力の供給を停止し、第3成膜室内を排気した。
<第2光電変換層の形成>
公知の成膜装置を用いて、第2光電変換層5およびバッファ層4を形成した。
公知の成膜装置を用いて、第2光電変換層5およびバッファ層4を形成した。
まず、SiH4ガスの流量が水素ガスの流量の200倍となるようにSiH4ガスの流量および水素ガスの流量を設定し、また成膜室内の圧力を800Paとして、p型半導体層5A(厚さが20nm)を形成した。原子間力顕微鏡(AFM)を用いてp型半導体層5Aの上面を観察すると、図6に示すようにp型半導体層5Aの上面には凹部および凸部が形成されていることがわかった。なお、図6に示す結果では、p型半導体層5Aの上面における凹部と凸部との高低差は355nmであることが分かる。
ここで、凹部と凸部との高低差は、次に示す方法にしたがって、求められた。まず、凹部と凸部との高低差を求めるエリアを選定した。具体的には、凹凸形状が他のエリアにおける凹凸形状とは著しく異なる形状を示す場合には、その著しく異なる形状を示す凹凸形状が形成されたエリア(たとえばp型半導体層の周縁部)を除いた残りのエリアの中から凹凸形状が代表的な特性を示すエリアを選定した。そして、選定されたエリア内において、少なくとも10μm角の区画内に存在する凹凸形状を観察し、凹部と凸部との高低差が大きな2次元断面を選定して、選定された2次元断面において最も高い凸部と最も深い凹部との高低差を求めた。このようにして求めた高低差を下地層の上面における凹部と凸部との高低差とした。
次に、暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層4をp型半導体層5Aの上面上に形成した。具体的には、まず、シランガスと水素ガスとを含むガス(水素ガスの流量はシランガスの流量に対して100倍であった)を成膜室内に導入した。成膜室内の圧力が安定してから(800Pa)、カソード電極に13.56Hzの交流電力(カソード電極の単位面積あたりの電力密度は0.045W/cm2であった)を供給してカソード電極とアノード電極との間にプラズマを発生させた。これにより、シランガスなどが分解されて、バッファ層(厚さは10nm)4が形成された。
第1光電変換層3におけるi型半導体層3Bの形成方法にしたがって、微結晶水素化シリコンからなるi型半導体層(厚さ1.2μm)5Bをバッファ層4の上面上に形成した。その後、第1光電変換層3におけるn型半導体層3Cの形成方法にしたがって、n型半導体層5Cをi型半導体層5Bの上面上に形成した。
<第2電極の形成>
第2光電変換層5の上面上に、ZnOからなる導電膜(厚さが0.1μm)とAgからなる金属膜(厚さが0.2μm)とを順に形成した。これにより、第2電極6が第2光電変換層5の上面上に形成され、よって、実施例1の薄膜太陽電池が得られた。
第2光電変換層5の上面上に、ZnOからなる導電膜(厚さが0.1μm)とAgからなる金属膜(厚さが0.2μm)とを順に形成した。これにより、第2電極6が第2光電変換層5の上面上に形成され、よって、実施例1の薄膜太陽電池が得られた。
<評価>
得られた光電変換素子にAM1.5Gの擬似太陽光(照射強度:100mW/cm2)を照射して、形状因子(FF)および光電変換効率(Eff)を測定した。
得られた光電変換素子にAM1.5Gの擬似太陽光(照射強度:100mW/cm2)を照射して、形状因子(FF)および光電変換効率(Eff)を測定した。
<比較例1>
暗導電率値が10−7S/cmよりも小さいバッファ層を備えた薄膜太陽電池を作製したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、比較例1の薄膜太陽電池を作製した。具体的には、シランガスと水素ガスとを含むガス(水素ガスの流量はシランガスの流量に対して75倍であった)を成膜室内に導入したこと、およびカソード電極に13.56Hzの交流電力(カソード電極の単位面積あたりの電力密度は0.045W/cm2であった)を供給したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、比較例1の薄膜太陽電池を作製した。そして、上記実施例1と同様の評価方法にしたがって、得られた薄膜太陽電池を評価した。
暗導電率値が10−7S/cmよりも小さいバッファ層を備えた薄膜太陽電池を作製したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、比較例1の薄膜太陽電池を作製した。具体的には、シランガスと水素ガスとを含むガス(水素ガスの流量はシランガスの流量に対して75倍であった)を成膜室内に導入したこと、およびカソード電極に13.56Hzの交流電力(カソード電極の単位面積あたりの電力密度は0.045W/cm2であった)を供給したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、比較例1の薄膜太陽電池を作製した。そして、上記実施例1と同様の評価方法にしたがって、得られた薄膜太陽電池を評価した。
<比較例2>
暗導電率値が10−5S/cmよりも大きなバッファ層を備えた薄膜太陽電池を作製したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、比較例2の薄膜太陽電池を作製した。具体的には、シランガスと水素ガスとを含むガス(水素ガスの流量はシランガスの流量に対して120倍であった)を成膜室内に導入したこと、およびカソード電極に13.56Hzの交流電力(カソード電極の単位面積あたりの電力密度は0.045W/cm2であった)を供給したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、比較例2の薄膜太陽電池を作製した。そして、上記実施例1と同様の評価方法にしたがって、得られた薄膜太陽電池を評価した。
暗導電率値が10−5S/cmよりも大きなバッファ層を備えた薄膜太陽電池を作製したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、比較例2の薄膜太陽電池を作製した。具体的には、シランガスと水素ガスとを含むガス(水素ガスの流量はシランガスの流量に対して120倍であった)を成膜室内に導入したこと、およびカソード電極に13.56Hzの交流電力(カソード電極の単位面積あたりの電力密度は0.045W/cm2であった)を供給したことを除いては上記実施例1と同様の方法にしたがって、比較例2の薄膜太陽電池を作製した。そして、上記実施例1と同様の評価方法にしたがって、得られた薄膜太陽電池を評価した。
<結果>
結果を図4および図5に示す。図4および図5における凹凸高低差=355nmの結果が実施例1および比較例1〜2の結果に該当する。
結果を図4および図5に示す。図4および図5における凹凸高低差=355nmの結果が実施例1および比較例1〜2の結果に該当する。
図4および図5に示すように、暗導電率値が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層を備えた薄膜太陽電池(実施例1)では、暗導電率値が10−7S/cmよりも小さなバッファ層を備えた薄膜太陽電池(比較例1)および暗導電率値が10−5S/cmよりも大きなバッファ層を備えた薄膜太陽電池(比較例2)に比べて、曲線因子(FF)が大きな値を示しており、その結果、発電効率(Eff)が高くなっていることが分かった。
<実施例2、比較例3〜4>
実施例2および比較例3〜4では、波長550nmでの分光ヘイズ率が35%であるZnO膜を第1電極として薄膜太陽電池を作製したことを除いては上記実施例1および上記比較例1〜2と同様の方法にしたがって、実施例2および上記比較例3〜4の薄膜太陽電池を作製した。図4および図5における凹凸高低差=460nmの結果が実施例2および比較例3〜4の結果に該当する。実施例2および上記比較例3〜4の結果は、実施例1および上記比較例1〜2の結果と同様の傾向を示した。
実施例2および比較例3〜4では、波長550nmでの分光ヘイズ率が35%であるZnO膜を第1電極として薄膜太陽電池を作製したことを除いては上記実施例1および上記比較例1〜2と同様の方法にしたがって、実施例2および上記比較例3〜4の薄膜太陽電池を作製した。図4および図5における凹凸高低差=460nmの結果が実施例2および比較例3〜4の結果に該当する。実施例2および上記比較例3〜4の結果は、実施例1および上記比較例1〜2の結果と同様の傾向を示した。
また、図5に示すように、発電効率(Eff)の向上は、下地層の上面における凹部と凸部との高低差が355nmである場合よりも、下地層の上面における凹部と凸部との高低差が460nmである場合の方が顕著であることが分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 基板、2 第1電極、3 第1光電変換層、3A,5A p型半導体層、3B,5B i型半導体層、3C,5C n型半導体層、4 バッファ層、5 第2光電変換層、6 第2電極、8 マイクロクラック。
Claims (5)
- 凹部と凸部との高低差が250nm以上1000nm以下である凹凸形状を有する下地層の上に設けられた光電変換層を備える薄膜太陽電池であって、
前記光電変換層は、p型半導体層とi型半導体層とn型半導体層とにより形成されるpin接合を有し、
前記i型半導体層は、微結晶層を含み、
前記p型半導体層と前記i型半導体層との間には、暗導電率が10-7S/cm以上10-5S/cm以下であるバッファ層が設けられている薄膜太陽電池。 - 前記バッファ層の厚さは、5nm以上40nm以下である請求項1に記載の薄膜太陽電池。
- 前記バッファ層は、微結晶または非晶質からなる請求項1または2に記載の薄膜太陽電池。
- 前記光電変換層は、第1電極が形成された基板の上に設けられており、
前記下地層は、前記第1電極であり、波長550nmでの分光ヘイズ率が10%以上50%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜太陽電池。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜太陽電池を製造する方法であって、
プラズマCVD法により前記バッファ層を形成する工程と、
プラズマCVD法により前記i型半導体層を形成する工程とを備え、
前記バッファ層を形成する工程では、前記i型半導体層を形成する工程においてプラズマ発生用電極に印加される交流電力の0.3倍以下の交流電力を当該プラズマ発生用電極に印加する薄膜太陽電池の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012018116A JP2013157515A (ja) | 2012-01-31 | 2012-01-31 | 薄膜太陽電池およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012018116A JP2013157515A (ja) | 2012-01-31 | 2012-01-31 | 薄膜太陽電池およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013157515A true JP2013157515A (ja) | 2013-08-15 |
Family
ID=49052408
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012018116A Pending JP2013157515A (ja) | 2012-01-31 | 2012-01-31 | 薄膜太陽電池およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013157515A (ja) |
-
2012
- 2012-01-31 JP JP2012018116A patent/JP2013157515A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9252316B2 (en) | Ultra thin hit solar cell and fabricating method of the same | |
WO2003065462A1 (fr) | Transducteur photoelectrique a film mince en tandem et son procede de fabrication | |
JPWO2005011002A1 (ja) | シリコン系薄膜太陽電池 | |
JP4902779B2 (ja) | 光電変換装置及びその製造方法 | |
US20150136210A1 (en) | Silicon-based solar cells with improved resistance to light-induced degradation | |
JP4713819B2 (ja) | 薄膜光電変換装置用基板及びそれを用いた薄膜光電変換装置 | |
JP2010283161A (ja) | 太陽電池及びその製造方法 | |
JPWO2005078154A1 (ja) | 透明導電膜の製造方法、及びタンデム型薄膜光電変換装置の製造方法 | |
JP5400322B2 (ja) | シリコン系薄膜太陽電池およびその製造方法 | |
JP5270889B2 (ja) | 薄膜光電変換装置の製造方法 | |
CN103107240B (zh) | 多晶硅薄膜太阳能电池及其制作方法 | |
JP5469298B2 (ja) | 光電変換装置用透明導電膜、及びその製造方法 | |
US20130291933A1 (en) | SiOx n-LAYER FOR MICROCRYSTALLINE PIN JUNCTION | |
JP5770294B2 (ja) | 光電変換装置およびその製造方法 | |
JP5827224B2 (ja) | 薄膜太陽電池およびその製造方法 | |
JP2011014618A (ja) | 太陽電池及びその製造方法 | |
JP2013157515A (ja) | 薄膜太陽電池およびその製造方法 | |
JP2010283162A (ja) | 太陽電池及びその製造方法 | |
JP5763411B2 (ja) | 積層型光電変換装置 | |
JP4642126B2 (ja) | 積層型光起電力素子および積層型光起電力素子の製造方法 | |
JP2011216586A (ja) | 積層型光電変換装置および積層型光電変換装置の製造方法 | |
JP5525298B2 (ja) | 導電性窒化シリコン膜の製造方法 | |
JP5613296B2 (ja) | 光電変換装置用透明導電膜、光電変換装置、およびそれらの製造方法 | |
JP2013165232A (ja) | 薄膜太陽電池の製造方法および薄膜太陽電池 | |
WO2013125251A1 (ja) | 薄膜太陽電池 |