JP4728747B2 - 精製緑茶抽出物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は濁り成分の低減された精製緑茶抽出物の製造方法、該製造方法で製造された精製緑茶抽出物及びそれを含有する容器詰飲料に関する。
カテキン類はコレステロール上昇抑制作用やα−アミラーゼ活性阻害作用等を有することが知られている(特許文献1〜2)。カテキン類のこのような生理効果を発現させるには、成人一日あたり4〜5杯のお茶を飲むことが必要である。このため、より簡便に大量のカテキン類を摂取できるよう、飲料にカテキン類を高濃度に配合する技術が望まれている。この方法の一つとして、緑茶抽出物の濃縮物(特許文献3)等を利用して、カテキン類を飲料に溶解状態で添加する方法がある。
緑茶、半発酵又は発酵茶葉から安定した風味を有するカテキン類の抽出方法として、低温水で抽出を行い、昇温して再度抽出する2段抽出法や、強酸性下での抽出方法が知られている(特許文献4〜6)。しかしながら、これらの抽出方法は、茶葉からのカテキン抽出に限定されたものであり、精製物の風味の安定化、良好な風味の維持のみを目的としたものであった。
また、カテキン類は一般に有機溶媒に難溶性であり、弱酸性域で抽出を促進できることが知られている。しかし、有機溶媒の割合が高くなるとカテキン類の抽出効率が著しく低下する(特許文献7)等の問題があった。
一方、茶葉中にはカテキン類が約15質量%含まれているが、カフェインも通常2〜4質量%含まれている。カフェインは中枢神経興奮作用を示すことから、眠気抑制に使用されている反面、過剰摂取による神経過敏、吐き気、不眠等の有害作用を引き起こす原因にもなるといわれている。このため、カフェイン含有組成物から、カフェインのみを選択的に除去する方法が検討されてきた。例えば、120〜250気圧下において、コーヒーを活性炭等のカフェイン吸着剤と接触させるコーヒーの脱カフェイン方法(特許文献8)、カフェインを含有する水溶液を活性白土又は酸性白土と接触させる選択的なカフェイン除去方法(特許文献9)が提案されている。しかしながら、前者は超臨界抽出技術に関するものであり、プロセス上の設備負荷が過大であり、工業レベルでの実施において簡易性に欠け、また、カフェインのみを選択的に除去するのではなく、有効成分であるカテキン類組成も変化してしまうという問題がある。一方、後者は、活性白土又は酸性白土を使用するだけで選択的にカフェインを除去できるが、色相が悪化する場合がある等の問題もあった。
特開昭60−156614号公報 特開平3−133928号公報 特開昭59−219384号公報 特開2003−219799号公報 特開2003−219800号公報 特開2003−225053号公報 特開2004−147508号公報 特開昭53−18772号公報 特開平6−142405号公報
しかしながら、低カフェイン緑茶抽出物を配合した飲料を長期間保存すると、沈殿が徐々に発生する現象が見られることが判明した。これら飲料中で発生する沈殿は視覚的に魅力あるものではなく、商品を上市する上で大きな課題となる。そこで、カテキン類の含有量が多い飲料においても、長時間保存しても沈殿が生じない安定した外観を呈することが求められている。
本発明の目的は、緑茶抽出物に含まれる濁り成分を効率的に簡易に除去できる精製緑茶抽出物の製造方法、該製造方法によって製造された精製緑茶抽出物及びそれを含有する容器詰飲料を提供することにある。
本発明者らは、活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土と処理した緑茶抽出物を配合した飲料中で発生する沈殿と緑茶抽出物精製条件の関係を調べ、特定の有機溶媒と水の質量比としたときに析出する濁り成分が、飲料保存中に発生する沈殿の主原因であることを見出した。
本発明は、緑茶抽出物を、有機溶媒と水の質量比が65/35〜97/3の混合溶液並びに活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土と接触処理し得られた緑茶抽出物の溶液の有機溶媒と水の質量比を0/100〜85/15に調整し、次いで該溶液中に析出した濁りを分離する、固形分中に非重合体カテキン類を36〜99質量%含有する精製緑茶抽出物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記製造方法で製造した精製緑茶抽出物及びそれを含有する容器詰飲料を提供するものである。
本発明の精製緑茶抽出物は、簡易な製造工程で製造され、得られた精製緑茶抽出物は、カフェイン濃度が低く、濁り成分が低減されているにもかかわらず、高い非重合体カテキン類濃度を維持しており、かつ色相がよく、更に緑茶の風味がほとんどない。
それを含有する非茶系容器詰飲料においては、長時間保存しても緑茶抽出物に含まれる濁り成分に由来する沈殿が発生せず、澄明で安定した外観を呈する飲料となる。かつ色相がよく、更に緑茶の風味がほとんどなく、濁りに由来する雑味の感じ方が少なく、飲料の長期保存時において、その感じ方に変化が見られない。
また、茶系容器詰飲料においては、長時間保存しても緑茶抽出物に含まれる濁りに由来する沈殿が発生せず、安定した外観を呈する飲料となる。かつ色相がよく、更に緑茶独特の香りたちが新鮮で良く、飲料の長期保存時において、その感じ方に変化が見られない。
本発明で用いる緑茶抽出物は、非重合体カテキンを1種以上含有するものである。本発明において非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類をあわせての総称である。
本発明で用いる緑茶抽出物としては、緑茶、紅茶、烏龍茶等の茶葉から得られた抽出液が挙げられる。その他のカフェイン含有植物由来、例えばコーヒー等のカフェインと茶抽出液の混合物等も用いることができる。使用する茶葉としては、より具体的には、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica及びやぶきた種又はそれらの雑種等から得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類がある。このような非重合体カテキン類を含有する緑茶抽出物としては、緑茶の茶葉から得られた抽出液を乾燥又は濃縮したもの等が好ましい。
茶葉からの抽出は、抽出溶媒として水を使用し、攪拌抽出等により行われる。抽出の際、水にあらかじめアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸塩類又は有機酸を添加してもよい。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。このようにして得られた抽出液は、乾燥、濃縮して本発明に使用する緑茶抽出物を得る。緑茶抽出物の形態としては、液体、スラリー、半固体、固体の状態が挙げられる。エタノール等の有機溶媒中での分散性の観点から、スラリー、半固体、固体の状態が好ましい。
本発明に使用する緑茶抽出物には茶葉から抽出した抽出液を乾燥、濃縮して使用する代わりに、緑茶抽出物の濃縮物を水に溶解又は希釈して用いても、茶葉からの抽出液と緑茶抽出物の濃縮物とを併用してもよい。
ここで、緑茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載されている方法により調製したものをいう。具体的には、緑茶抽出物として、市販の東京フードテクノ社製「ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン」、太陽化学社製「サンフェノン」等の粗カテキン製剤を、固体の粗カテキン製剤として用いることもできる。
緑茶抽出物としては、超臨界状態の二酸化炭素接触処理を施した茶葉を用いて抽出した抽出物を用いてもよい。臨界抽出に用いる茶葉は、Camellia属に属していればよく、生茶でも製茶された茶葉でもよい。当該製茶された茶葉としては不発酵茶が特に好ましい。例えば、蒸し製茶葉では普通煎茶、深蒸し煎茶、玉露、かぶせ茶、玉緑茶、番茶などが好ましい。また釜炒り製では玉緑茶や中国緑茶がある。製茶された茶葉は蒸し製茶葉或いは湯通し(ディッピング)の方が釜入りで発生する茶葉由来の新たな香味が発生するのを抑える意味で好ましい。この方法においては、超臨界抽出を施した残渣である茶葉から非重合体カテキン類を含有する抽出物を得るものである。従来、茶葉から超臨界抽出により香気成分を得ようとする技術は種々知られている(特開2001−293076号公報、特開平10−77496号公報、特開平6−133726号公報、特開平6−184591号公報等)が、これらはいずれも茶葉の超臨界抽出物を利用する技術であって、超臨界抽出の残渣茶葉の利用及び当該残渣茶葉中の成分については何も記載されていない。
本発明の精製緑茶抽出物の製造に用いる緑茶抽出物は、乾燥質量で、非重合体カテキン類を25〜90質量%、更に30〜90質量%含有する緑茶抽出物の濃縮物を用いるのが好ましい。
本発明の精製緑茶抽出物は、緑茶抽出物を有機溶媒と水の質量比が65/35〜97/3の混合溶液並びに活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土と接触処理した溶液に加水及び/又は該溶液を脱有機溶媒して、必要により活性炭、酸性白土、活性白土、系中で発生した不要物等の異物を除去した後、前記、有機溶媒と水の質量比よりも低い有機溶媒比率範囲となるように、得られた緑茶抽出物の溶液に加水及び/又は該溶液を脱有機溶媒して有機溶媒と水の質量比を0/100〜85/15に調整し、次いで析出した濁りを分離して製造される。
本発明の精製緑茶抽出物の製造に用いる有機溶媒としては、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、アセトンの親水性有機溶媒が好ましく、特に食品への使用を考慮すると、エタノールが好ましい。水として、イオン交換水、水道水、天然水等が挙げられる。この有機溶媒と水は、混合して又はそれぞれ別々に緑茶抽出物と混合してもよいが、混合溶液としてから緑茶抽出物と混合処理するのが好ましい。
用いる有機溶媒と水は、質量比が65/35〜97/3であるが、更に70/30〜97/3、更に75/25〜97/3、更に80/20〜96.5/3.5の範囲に調整するのが好ましい。カテキン類の抽出効率、緑茶抽出物の精製、長期間の飲用性及び回収有機溶媒の精留条件等の点でこの範囲にあるのが好ましい。
本発明の精製緑茶抽出物の製造においては、有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して、緑茶抽出物(乾燥質量換算)を10〜40質量部、更に10〜30質量部、特に15〜30質量部添加して処理するのが、緑茶抽出物を効率よく処理できるので好ましい。
水と有機溶媒の混合溶液又はそれぞれの添加時間は、10〜30分程度の時間でゆっくり滴下するのが好ましい。また、カテキン類の抽出効率を上げるために攪拌状態で滴下するのが好ましい。水の滴下終了後は10〜120分程度の熟成時間を設けると更に好ましい。
これらの処理は、10〜60℃で行うことができ、特に10〜50℃、更に10〜40℃で行うのが好ましい。
本発明の精製緑茶抽出物の製造に用いる活性炭としては、一般に工業レベルで使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C(武田薬品工業社製)等の市販品を用いることができる。
活性炭の細孔容積は0.01〜0.8mL/g、特に0.1〜0.7mL/gが好ましい。また、比表面積は800〜1300m2/g、特に900〜1200m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
活性炭は、有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して0.5〜5質量部、特に0.5〜3質量部添加するのが、カフェイン除去効率、ろ過工程におけるケーク抵抗が小さい点で好ましい。
本発明の精製緑茶抽出物の製造に用いる酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO2、Al23、Fe23、CaO、MgO等を含有するものであるが、SiO2/Al23比が3〜12、特に4〜9であるのが好ましい。またFe23を2〜5質量%、CaOを0〜1.5質量%、MgOを1〜7質量%含有する組成のものが好ましい。
活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸等の鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土を更に、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性が変化することが知られている。
酸性白土又は活性白土の比表面積は、酸処理の程度等により異なるが、50〜350m2/gであるのが好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。
また、活性炭と酸性白土又は活性白土を併用する場合の割合は、質量比で活性炭1に対して1〜10がよく、活性炭:酸性白土又は活性白土=1:1〜1:6であるのが好ましい。
酸性白土又は活性白土は、有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して2.5〜25質量部、特に2.5〜15質量部添加するのが好ましい。酸性白土又は活性白土の添加量が少なすぎると、カフェイン除去効率が悪くなり、また多すぎるとろ過工程におけるケーク抵抗が大きくなり好ましくない。
本発明の精製緑茶抽出物の製造における、緑茶抽出物、有機溶媒と水の混合溶液並びに活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土との接触順序は特に限定されない。(イ)緑茶抽出物を、有機溶媒と水との混合溶液に溶解、または分散させ、活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土と接触する方法、(ロ)有機溶媒と水の混合溶液に、活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土を分散させた分散液と緑茶抽出物とを接触処理する方法、(ハ)緑茶抽出物、有機溶媒と水の混合溶液及び酸性白土又は活性白土を接触させ、次いで活性炭と接触させる方法が好ましい。これらの工程の間には系中に発生した生成物を含めたろ過工程を入れてろ別してから次の工程に移行してもよい。
また、活性炭と接触する工程は、次の工程の加水及び/又は脱有機溶媒工程で析出した濁り成分を活性炭と接触させながら分離してもよいし、析出した濁り成分を分離した後に活性炭と接触させてもよい。
緑茶抽出物を、有機溶媒と水との混合溶液に分散させ、次いで活性炭及び酸性白土又は活性白土で接触処理して低カフェイン緑茶抽出物を製造する場合、緑茶抽出物を有機溶媒と水の混合溶液に溶解する方法は特に制限されず、緑茶抽出物を最終的に処理する際の有機溶媒と水の質量比が65/35〜99/1の範囲になっていればよい。例えば、緑茶抽出物を水に溶解した後に有機溶媒を添加していくことによって有機溶媒と水の質量比を65/35〜99/1の範囲にしてもよく、緑茶抽出物を有機溶媒に懸濁させた後、徐々に水を添加して同様の比率としてもよい。
更に、本発明において、緑茶抽出物を酸性白土又は活性白土と有機溶媒と水の混合溶液との分散液と接触混合する場合、酸性白土又は活性白土と緑茶抽出物との混合質量比率は、酸性白土又は活性白土/非重合体カテキン類の値が0.9〜5.0が好ましく、より好ましくは、1.0〜4.0、更に1.5〜3.0であるのが好ましい。酸性白土又は活性白土の添加量が少なすぎるとカフェイン除去効率が悪くなり、また多すぎるとろ過工程におけるケーク抵抗が大きくなり好ましくない。
緑茶抽出物と酸性白土又は活性白土が接触する際、クエン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸を、有機酸と非重合体カテキン類の質量比率(有機酸/非重合体カテキン類)が0.01〜0.20の範囲で添加してもよい。
活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土の水と有機溶媒の混合溶液の分散液に緑茶抽出物を接触させる液の温度は、10〜60℃である。例えば、一定温度で行っても良いし、始めに10〜30℃とし、その後20〜60℃に昇温する方法でも可能である。
緑茶抽出物と活性炭及び酸性白土又は活性白土との接触処理は、バッチ式、カラムによる連続処理等のいずれの方法で行ってもよい。また、緑茶抽出物と活性炭との接触方法は、活性炭カラムによる連続処理等の方法で行うのがよい。一般には、粉末状の活性炭等を添加、撹拌し、カフェインを選択的に吸着後、ろ過操作によりカフェインを除去したろ液を得る方法又は顆粒状の活性炭等を充填したカラムを用いて連続処理によりカフェインを選択的に吸着する方法等が採用される。
緑茶抽出物を、有機溶媒と水の質量比が65/35〜99/1の混合溶液並びに活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土と接触処理し、必要により活性炭、酸性白土、活性白土を除去した後、前記、有機溶媒と水の質量比よりも低い有機溶媒比率範囲となるように、得られた緑茶抽出物の溶液に加水及び/又は該溶液を脱有機溶媒して有機溶媒と水の質量比を0/100〜85/15に調整する。ここで、加水とは、イオン交換水、水道水、天然水などでよく、また有機溶媒を混合した水溶液として添加してもよい。活性炭等の除去はろ過、遠心分離等の公知の方法で行ってよい。混合溶液から有機溶媒を除去又はその含有量を減ずるには、減圧蒸留等の方法で有機溶媒を留去することにより行われる。また、接触処理後の混合溶液に加水する場合は、イオン交換水、水道水、天然水等の水や、有機溶媒を混合した水溶液を加えることにより行われる。本発明において、混合溶液中の有機溶媒と水の質量比は0/100〜85/15であるが、好ましくは0/100〜80/20、より好ましくは0/100〜75/25であり、更に好ましくは0/100〜70/30である。更に好ましくは0.3/99.7〜70/30である。更に好ましくは0.5/99.5〜70/30である。特に好ましくは0.5/99.5〜65/35である。ここで、有機溶媒と水の質量比が、40/60以下になると、析出した濁り成分量が多くなるが、濁り成分の分散性も良くなるため、負荷の大きな分離機を用いればよい。
加水及び/又は脱有機溶媒をした後、濁り成分を析出させる熟成時間は、特に限定されない。例えば、0〜50時間、更に0〜30時間であるのが好ましい。また、濁り成分を析出させた後、混合溶液から濁り成分を分離するときの温度は、−15〜78℃、更に−5〜50℃であるのが好ましい。この温度の範囲外であると、分離性が劣り、また溶液の性状に変化が見られるような場合がある。
析出した濁り成分の分離方法は公知の技術が応用できる。沈降、遠心力、ろ過、吸着剤などによる分離があげられる。いわゆるフィルター分離や遠心分離等の手法のほか、活性炭等の粒状物質が詰まったカラムを通すことでの分離等でもよい。製造中に混入した異物を除くための分離ではなく、溶液の極性を精製中に上げることにより、析出した濁り成分を分離する目的である。
このような製造工程で製造された精製緑茶抽出物は、その固形分中に非重合体カテキン類を36〜99質量%含有する。好ましくは39〜99質量%、より好ましくは40〜90質量%であり、更に好ましくは45〜90質量%である。更に好ましくは50〜90質量%である。更に好ましくは55〜90質量%である。特に好ましくは55〜88質量%である。精製緑茶抽出物は、液状でも固体状でもいずれでもよいが、固体状態を調製する場合には凍結乾燥やスプレードライ等の方法によって粉末化してもよい。
本発明により製造された精製緑茶抽出物は、含有する非重合体カテキン類の組成が処理前と本質的に変化していないのが好ましい。処理前後の有機溶媒と水の混合溶液中の非重合体カテキン類の収率は60質量%以上、更に65質量%以上、更に70質量%以上、特に80質量%以上が好ましい。
また、精製緑茶抽出物中のカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートからなるガレート体の全非重合体カテキン類中での割合は、35〜100質量%、更に35〜98質量%であるのが、非重合体カテキン類の生理効果の有効性上好ましい。
精製緑茶抽出物中のカフェインと非重合体カテキン類との含有質量比は0〜0.2であるが、好ましくは0〜0.14、より好ましくは0〜0.1、更に好ましくは0〜0.09、特に好ましくは0〜0.07、もっとも好ましくは0〜0.06である。
本発明における精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類(A)あたり10質量%の水溶液とした時のヘイズ値は、0〜70であり、好ましくは0〜65、より好ましくは0〜60、更に好ましくは0〜55、更に好ましくは0〜50、更に好ましくは0〜45、特に好ましくは0〜40の範囲である。
ヘイズ値が上記範囲にある精製緑茶抽出物を用いた非茶系容器詰飲料においては、長時間保存しても緑茶抽出物に含まれる濁りに由来する沈殿が発生せず、澄明で安定した外観を呈する飲料となる。かつ色相がよく、更に緑茶の風味がほとんどない。
また、茶系容器詰飲料においては、長時間保存しても緑茶抽出物に含まれる濁りに由来する沈殿が発生せず、安定した外観を呈する飲料となる。かつ色相がよく、更に緑茶独特の新鮮な香りたちが良くなる。
ヘイズ値が上記範囲から外れた非茶系容器詰飲料の場合、長時間保存すると濁りに由来する沈殿が発生してしまい、澄明で安定した外観を呈さなくなるばかりではなく、濁り成分に由来する雑味が飲料長期保存中に増長され、嗜好性の大きな低下を招く。また、茶系容器詰飲料においては、飲料長期保存中に増長され、緑茶としての新鮮な香りが消失し嗜好性の大きな低下を招く。
得られた精製緑茶抽出物は、カフェイン濃度が低く、濁り成分が低減されているにもかかわらず、高い非重合体カテキン類濃度を維持しており、かつ色相がよく、更に緑茶の風味がほとんどない。従って、得られた濁り成分の低減された精製緑茶抽出物は容器詰飲料として有用であり、特に緑茶、烏龍茶、ブレンド茶、紅茶、麦茶等の茶系飲料、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、ニアウォーター、炭酸飲料、野菜汁飲料、果汁飲料、コーヒー等の非茶系飲料として有用である。
本発明の容器詰飲料中には、水に溶解状態にある非重合体カテキン類を、0.03〜1.0質量%含有するが、好ましくは0.04〜0.5質量%、より好ましくは0.06〜0.4質量%、更に好ましくは0.07〜0.4質量%、特に好ましくは0.08〜0.3質量%、殊更好ましくは0.09〜0.3質量%、もっとも好ましくは0.1〜0.3質量%含有する。非重合体カテキン類含量がこの範囲にあると、多量の非重合カテキン類を容易に取り易く、飲料調製直後の色調の点からも好ましい。当該非重合体カテキン類の濃度は、濁り成分の低減された緑茶抽出物の精製物の配合量によって調整することができる。
また、蓄積体脂肪燃焼促進、食事性脂肪燃焼促進及び肝臓β酸化遺伝子発現促進の効果を出すための成人一日当りの摂取量としては、非重合体カテキン類として300mg以上、更に450mg以上、更に500mg以上が好ましい。また具体的には一本あたり非重合体カテキン類を483mg、555mg及び900mgを含有する飲料の摂取によって抗肥満効果や内臓脂肪低減効果が確認されている(特開2002−326932号公報)。
したがって本発明の容器詰飲料においても成人一日当りの摂取量としては、非重合体カテキン類として300mg以上、更に450mg以上、更に500mg以上が好ましく、一日当りの必要摂取量を確保する意味からも、本発明の容器詰飲料1本当り300mg以上、更に450mg以上、更に500mg以上の配合量があるものが好ましい。
本発明の容器詰飲料におけるカフェインと非重合体カテキン類との含有質量比は0〜0.2であるが、好ましくは0〜0.14、より好ましくは0〜0.1、更に好ましくは0〜0.09、特に好ましくは0〜0.07、もっとも好ましくは0〜0.06である。
本発明の容器詰飲料には、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有させてもよい。これらのイオンを含有させた本発明飲料は、スポーツドリンク、アイソトニック飲料等の飲料形態として有用である。スポーツドリンクとは、身体運動後に汗として失われる水分、ミネラルを速やかに補給できる飲料であると一般的に規定される。
主な生理電解質の中にはナトリウム及びカリウムがある。これらのイオン成分はそれらに対応する水溶性成分ないし、無機塩を添加することで含有させることができる。それらは果汁及び緑茶抽出物中にも存在する。本発明飲料中における電解質又はイオン成分の量は最終の飲用しうる容器詰飲料中の含有量である。電解質濃度はイオン濃度で示される。カリウムイオン成分は、カリウム塩化物、炭酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、酒石酸カリウム、ソルビン酸カリウム等又はそれらの混合物のような塩として、あるいは加えられた果汁又は茶の成分として本発明飲料に配合できる。カリウムイオンは、0.001〜0.2質量%、更に0.002〜0.15質量%、更に0.003〜0.12質量%本発明の容器詰飲料中に含有することが好ましい。同様に、ナトリウムイオン成分は、ナトリウム塩化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等及びそれらの混合物のような容易に入手しうるナトリウム塩として、あるいは加えられた果汁又は茶の成分として配合できる。ナトリウム濃度は浸透圧による水の吸収を容易にさせる上で低い方望ましいが、体から腸に水を浸透圧吸引しない程度であることが、好ましい。これを行うために必要なナトリウムの濃度は、血漿ナトリウムの場合よりも低いことが好ましい。ナトリウムイオンは、0.001〜0.5質量%、更に0.002〜0.4質量%、更に0.003〜0.2質量%本発明の容器詰飲料中に含有するのが好ましい。カリウム及びナトリウムイオンに加えて、本発明容器詰飲料には0.001〜0.5質量%、好ましくは0.002〜0.4質量%、最も好ましくは0.003〜0.3質量%の塩化物イオンを更に含有させることができる。塩化物イオン成分は塩化ナトリウム又は塩化カリウムのような塩の形態で配合できる。カルシウム及びマグネシウム、亜鉛、鉄のような他の微量イオンも配合してよい。これらのイオンも塩として配合してよい。飲料中に存在するイオンの合計量には、添加されたイオン量と共に、飲料中に天然で存在するイオン量を含む。例えば、塩化ナトリウムが添加された場合、その量のナトリウムイオン及びその量の塩化物イオンも、それに応じて各イオンの合計量に含まれる。
ここで、ナトリウムイオンやカリウムイオン濃度が低すぎると、飲む場面によっては味的に物足りなく感じ、効果的なミネラル補給ができなくて好ましくない。一方、多すぎると、塩類自体の味が強くなり長期間の飲用に好ましくない。
本発明の容器詰飲料には、味を改善する目的で、甘味料が用いられる。甘味料としては人工甘味料類、炭水化物類、グリセロール類(例えばグリセリン)が用いられる。これらの甘味料は、本発明容器詰飲料中に0.0001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、更に0.001〜10質量%含有するのが、甘みと酸味、塩味とのバランス、甘すぎず喉にひっかかる感覚が弱く、喉越しの点で好ましい。
本発明の容器詰飲料における甘味料としては、人工甘味料を使用することが好ましい。
本発明で使用できる人工甘味料の例にはサッカリン及びサッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセサルフェーム−K、スクラロース、ネオテーム等の高甘度甘味料、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコールを使用できる。商品としては、アスパルテームからなるスリムアップシュガー、エリスリトールを含んだラカントS,エリスリトールとアスパルテームからなるパルスイート等を使用できる。
目的とする容器詰飲料がエネルギー補給を兼ね備える場合には、炭水化物類の甘味料を使用する方が好ましい。
本発明で使用できる炭水化物類甘味料としては可溶性炭水化物が用いられる。可溶性炭水化物には、甘味料とエネルギー源との役割がある。本発明飲料に使用する炭水化物を選択するにあたっては、十分な胃排出及び腸吸収速度を考慮することが好ましい。
炭水化物はグルコース及びフルクトースの混合物でも、あるいは消化管で加水分解するか又はグルコース及びフルクトースを形成する炭水化物であってもよい。本明細書で用いられる「炭水化物」という用語は、単糖、ニ糖、オリゴ糖、複合多糖及びそれらの混合物を含む。
ここで使用できる単糖にはテトロース、ペントース、ヘキソース及びケトヘキソースがある。ヘキソースの例は、ブドウ糖として知られるグルコースのようなアルドヘキソースである。本発明の容器詰飲料中のグルコースの量は、0.0001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、更に0.001〜10質量%であるのが好ましい。果糖として知られるフルクトースはケトヘキソースである。本発明容器詰飲料中のフルクトースの量は0.0001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、特に0.001〜10質量%であるのが好ましい。
本発明飲料中においては、人工甘味料単独系、人工甘味料とグルコース系化合物、もしくは人工甘味料とフルクトース系化合物の組み合わせが好ましい。
本発明で使用できる炭水化物類甘味料としては可溶性炭水化物が用いられるが、オリゴ糖としては、これら2種の単糖を体内で生成する炭水化物(即ち、スクロース、マルトデキストリン、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ)が挙げられる。この糖の重要なタイプは二糖である。二糖の例は、ショ糖又はテンサイ糖として知られるスクロースである。本発明容器詰飲料中のスクロースの量は、0.001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、特に0.001〜10質量%であるのが好ましい。
本発明の容器詰飲料のpHは2〜7、更に2〜6.7、更に2.5〜6.5がカテキンの安定性上好ましい。pHが低すぎると飲料の酸味、刺激臭が強くなる。また、pHが高すぎると風味の調和が取れなくなり、嗜好性が低下するので好ましくない。
本発明の容器詰飲料は、苦渋味抑制剤を配合すると飲用しやすくなり好ましい。用いる苦渋味抑制剤は特に限定はないが、サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン及び分岐α−、β−、γ−サイクロデキストリンが使用できる。サイクロデキストリンは飲料中に0.005〜0.5質量%、更に0.01〜0.3質量%含有するのが好ましい。本発明の容器詰飲料には、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、ガム、乳化剤、油、ビタミン、アミノ酸、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、あるいは併用して配合できる。
香料や果汁は嗜好性を高めるために本発明の飲料に配合されるのが好ましい。一般に果汁のことをフルーツジュース、香料のことをフレーバーと呼んでいる。天然又は合成香料や果汁が本発明で使用できる。これらはフルーツジュース、フルーツフレーバー、植物フレーバー又はそれらの混合物から選択できる。特に、フルーツジュースと一緒に茶フレーバー、好ましくは緑茶又は黒茶フレーバーの組合せが魅力的な味を有している。好ましい果汁はリンゴ、ナシ、レモン、ライム、マンダリン、グレープフルーツ、クランベリー、オレンジ、ストロベリー、ブドウ、キゥイ、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴ、グァバ、ラズベリー及びチェリーである。シトラスジュース、好ましくはグレープフルーツ、オレンジ、レモン、ライム、マンダリンと、マンゴ、パッションフルーツ及びグァバのジュース、又はそれらの混合物が最も好ましい。好ましい天然フレーバーはジャスミン、カミツレ、バラ、ペパーミント、サンザシ、キク、ヒシ、サトウキビ、レイシ、タケノコ等である。果汁は本発明飲料中に0.001〜20質量%、更に0.002〜10質量%含有するのが好ましい。フルーツフレーバー、植物フレーバー、茶フレーバー及びそれらの混合物も果汁として使用できる。特に好ましい香料はオレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー及びグレープフルーツフレーバーを含めたシトラスフレーバーである。シトラスフレーバー以外にも、リンゴフレーバー、ブドウフレーバー、ラズベリーフレーバー、クランベリーフレーバー、チェリーフレーバー、パイナップルフレーバー等のような様々な他のフルーツフレーバーが使用できる。これらのフレーバーはフルーツジュース及び香油のような天然源から誘導しても、又は合成してもよい。 香味料には、様々なフレーバーのブレンド、例えばレモン及びライムフレーバー、シトラスフレーバーと選択されたスパイス等を含めることができる。このような香味料は本発明飲料に0.0001〜5質量%、更に0.001〜3質量%を配合されるのが好ましい。
果実以外の植物の一部から得られる抽出液としては、例えばナッツ、樹皮、根、及び葉から得られる植物の抽出液がある。例えばコーヒー豆抽出液、発酵茶抽出液、半発酵茶抽出液、不発酵茶抽出液等が挙げられる。これらは、天然源から得られたもののほか、合成したものでもよい。また、不発酵茶抽出液を添加する場合は、容器詰飲料中のカテキン類全合計質量に対し70質量%以下、特に、60質量%以下であるのが好ましい。半発酵茶抽出液を添加する場合は、容器詰飲料中のカテキン類全合計質量に対し50質量%以下、更により好ましくは30質量%以下、特に20質量%以下が好ましい。発酵茶抽出液を添加する場合は、容器詰飲料中のカテキン類全合計質量に対し25質量%以下、更に20質量%以下、特に15質量%以下が好ましい。なお、呈味付与の目的で配合されるこれらの茶抽出液にも非重合体カテキン類が含まれるので、当該非重合体カテキン類の量は成分(A)として換算される。野菜抽出液としては、野菜の一部から得られる抽出液であればよく、例えばキャベツ、レタス、トマト、大根、ブロッコリー、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草等から得られる抽出液が挙げられる。これらは、天然源から得られたもののほか、合成したものでもよい。
更に必要により、本発明飲料は酸味料を含有していてもよい。酸味料としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸等のような食用酸が挙げられる。酸味料は本発明飲料のpHを調整するために用いてもよい。本発明飲料のpHは2〜7であるのが好ましい。pH調整剤としては、有機及び無機の食用酸を用いることができる。酸はそれらの非解離形で、あるいはそれらの各塩、例えばリン酸水素カリウム又はナトリウム、リン酸二水素カリウム又はナトリウム塩のような形態で用いてもよい。好ましい酸は、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、リン酸又はそれらの混合物を含めた食用有機酸である。最も好ましい酸はクエン酸及びリンゴ酸である。酸味料は飲料成分を安定化させる酸化防止剤としても役立つ。また常用される酸化防止剤の例には、アスコルビン酸、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)及びそれらの塩、植物抽出エキス等が配合できる。
本発明飲料には、ビタミンを更に含有させることができる。好ましくは、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEが加えられる。ビタミンD及びビタミンBのような他のビタミンを加えてもよい。ミネラルも本発明の飲料に用いることができる。好ましいミネラルはカルシウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン及び亜鉛である。特に好ましいミネラルはマグネシウム、リン及び鉄である。
本発明の容器詰飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造されるが、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。更に、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作も可能である。
非重合体カテキン類の測定
非重合体カテキン類組成物を蒸留水で希釈し、フィルター(0.8μm)でろ過後、島津製作所社製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃で、A液及びB液を用いたグラジエント法によって行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
カフェインの測定
(分析機器)
HPLC(日立製作所社製)装置を使用。
プロッター:D−2500,ディティクター:L−4200
ポンプ:L−7100,オートサンプラー:L−7200
カラム:lnertsil ODS−2、内径2.1mm×長さ250mm
(分析条件)
サンプル注入量:10μL,流量:1.0mL/min
紫外線吸光光度計検出波長:280nm
溶離液A:0.1mol/L酢酸水溶液,溶離液B:0.1mol/L酢酸アセトニトリル溶液
濃度勾配条件(体積%)
時間(分) 溶離液A 溶離液B
0 97 3
5 97 3
37 80 20
43 80 20
43.5 0 100
48.5 0 100
49 97 3
62 97 3
(カフェインのリテンションタイム)
カフェイン:27.2分
ここで求めたエリア%から標準物質により質量%を求めた。
ヘイズ値の測定
精製緑茶抽出物を、非重合体カテキン類(A)として、10質量%の水溶液とした時の溶液を測定試料とする。株式会社 村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率計(型式HR−100)を用い、ガラスセル(光路長10mm 横35mm 縦40mm)に容器詰飲料を入れてヘイズ値(H)を測定した。測定温度は25℃である。 ヘイズ値は0〜100の範囲であり、水は0とした。
色相評価
(分析機器)
精製緑茶抽出物をカテキン濃度180mg/100mLになるようにイオン交換水で希釈し、そのサンプルを用い外観の評価を目視で行った。
実施例1 精製緑茶抽出物A
緑茶抽出物 (ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号ろ紙でろ過した。その溶液にイオン交換水を433g添加し、室温で約5分間攪拌を続けた。析出した濁り成分をメンブランフィルターで分離した。分離した溶液に、活性炭20gを添加し再び2号ろ紙でろ過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過を行った。40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整して精製緑茶抽出物Aを得た。
処理後の非重合体カテキン類の含有量は22質量%であった。
処理後の精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類(A)の10質量%の水溶液とした時の ヘイズ値は10であった。
処理後のカフェイン/非重合体カテキン類の質量比は0.03であった。
処理後のガレート体率は51質量%であった。
実施例2 精製緑茶抽出物B
緑茶抽出物(ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、活性炭クラレコールGLC(クラレケミカル社製)16gと酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)30gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、再び2号ろ紙でろ過し、続けて0.2μmメンブランフィルターによって、活性炭、酸性白土などの再ろ過を行った。40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、その後、フィルターにより析出した濁り成分を分離し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整して精製緑茶生成物Bを得た。
処理後の非重合体カテキン類の含有量は22質量%であった。
処理後の精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類(A)の10質量%の水溶液とした時の ヘイズ値は1であった。
処理後のカフェイン/非重合体カテキン類の質量比は0.05であった。
処理後のガレート体率は51.2質量%であった。
比較例1 緑茶抽出物C
緑茶抽出物 (ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭16gを添加し再び2号ろ紙でろ過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過し、濁りの除去を行った。40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整して緑茶抽出物Cを得た。
処理後の非重合体カテキン類の含有量は22質量%であった。
処理後の精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類(A)の10質量%の水溶液とした時の ヘイズ値は75であった。
処理後のカフェイン/非重合体カテキン類の質量比は0.05あった。
処理後のガレート体率は51質量%であった。
比較例2 緑茶抽出物D
緑茶抽出物 (ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭16gを添加し再び2号ろ紙でろ過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過を行った。その溶液にイオン交換水を433g添加し室温で約5分間攪拌を続けた。析出した濁り成分を一切分離操作を経ずに、40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整して緑茶抽出物Dを得た。
処理後の非重合体カテキン類の含有量は22質量%であった。
処理後の精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類(A)の10質量%の水溶液とした時の ヘイズ値は72であった。
処理後のカフェイン/非重合体カテキン類の質量比は0.05あった。
処理後のガレート体率は51質量%であった。
表1に実施例1、2及び比較例1、2で製造した精製緑茶抽出物の測定結果を示す。
Figure 0004728747
(注)
1)ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製
2)クラレコールGLC、クラレケミカル社製
3)ミズカエース#600、水澤化学社製
4)ポリフェノンHG製剤の非重合体カテキン類組成:GC(ガロカテキン)6.39質量%、EGC(エピガロカテキン)29.42質量%、C(カテキン)2.16質量%、EC(エピカテキン)10.3質量%、EGCg(エピガロカテキンガレート)37.13質量%、GCg(ガロカテキンガレート)1.93質量%、ECg(エピカテキンガレート)11.89質量%、Cg(カテキンガレート)0.79質量%、ガレート体率51.73質量%
本発明の製造方法は、非重合体カテキン類のガレート体率を変化させることなく、カフェインを低減し、濁り成分が低減された精製緑茶抽出物を製造できる。
実施例3 非茶系容器詰飲料
表1に示した精製緑茶抽出物及び表2に記載の容器詰飲料成分を加えた後、イオン交換水をバランス量加えて飲料を調製した。食品衛生法に基づく殺菌処理及びホットパック充填を行って非茶系容器詰飲料とした。
30名の男性モニターが、製造した非茶系容器詰飲料を37℃で30日間保存した後に、製造直後の非茶系容器詰飲料と共に、それぞれ500mLを単回摂取し、製造直後を基準として、雑味(長期保存時における濁りに由来する雑味)の変化を、以下の基準で評点をつけ評価した。飲用時の品温はいずれも室温付近に合わせた。保存飲料の外観も目視により評価した。結果を表2に示す。
外観における変化:
A 沈殿を含め外観に変化がない
B 沈殿を含め外観にやや変化がある
C 沈殿を含め外観に変化がある
D 沈殿を含め外観に大きく変化がある
雑味における変化:
A 感じにくい
B やや感じにくい
C やや感じる
D 感じる
Figure 0004728747
本発明の容器詰飲料は、何れも外観の変化がなく澄明であって、容器詰飲料を長期に保存しても、雑味の変化も認められなかった。
実施例4 茶系容器詰飲料
表1に示した精製緑茶抽出物及び表3に記載の容器詰飲料成分を加えた後、イオン交換水をバランス量加えて飲料を調製した。食品衛生法に基づく殺菌処理を行って茶系容器詰飲料とした。
30名の男性モニターが、製造した茶系容器詰飲料を37℃で30日間保存した後に、製造直後の茶系容器詰飲料と共に、それぞれ500mLを単回摂取し、製造直後を基準として、緑茶独特の香りたちの新鮮さの変化を、以下の基準で評点をつけ評価した。飲用時の品温はいずれも室温付近に合わせた。保存飲料の外観も目視により評価した。結果を表3に示す。
外観における変化:
A 沈殿を含め外観に変化がない
B 沈殿を含め外観にやや変化がある
C 沈殿を含め外観に変化がある
D 沈殿を含め外観に大きく変化がある
緑茶独特の香りたちの新鮮さにおける変化:
A 感じにくい
B やや感じにくい
C やや感じる
D 感じる
Figure 0004728747
本発明の容器詰飲料は、何れも外観の変化がなく安定であって、緑茶独特の香りたちが新鮮で良く、容器詰飲料を長期に保存しても、その感じ方に変化が見られなかった。

Claims (8)

  1. 緑茶抽出物を、親水性有機溶媒と水の質量比が75/25〜97/3の混合溶液並びに活性炭及び/又は酸性白土と接触処理した緑茶抽出物を得、次に、活性炭及び/又は酸性白土を除去し、その後、この溶液の親水性有機溶媒と水の質量比を0.5/99.5〜65/35に調整した後に析出した濁りを分離する固形分中に非重合体カテキン類を36〜99質量%含有する精製緑茶抽出物の製造方法。
  2. 得られた緑茶抽出物の溶液の親水性有機溶媒と水の質量比を0.5/99.5〜65/35に調整する場合に、加水及び/又は該溶液から脱有機溶媒する請求項記載の精製緑茶抽出物の製造方法。
  3. 精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類(A)あたり10質量%の水溶液とした時のヘイズ値が0〜70である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 濁りを、−15〜78℃で分離する請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 親水性有機溶媒が、エタノールである請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法で製造され、固形分中に36〜99質量%の非重合体カテキン類を含有し、精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類(A)あたり10質量%の水溶液とした時のヘイズ値が0〜70である精製緑茶抽出物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法で製造された精製緑茶抽出物を含有する非緑茶系容器詰飲料。
  8. 請求項1〜のいずれか1項記載の製造方法で製造された精製緑茶抽出物を含有する緑茶系容器詰飲料。
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