JP4751204B2 - 精製緑茶抽出物の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は緑茶抽出物から、非重合体カテキン類を高濃度含有し、かつ容器詰飲料製造時に濁りの生じない精製緑茶抽出物を製造する方法に関する。
カテキン類はコレステロール上昇抑制作用やα−アミラーゼ活性阻害作用などを有することが知られている(特許文献1、2)。カテキン類のこのような生理効果を発現させるには、成人一日あたり4〜5杯のお茶を飲むことが必要である。このため、より簡便に大量のカテキン類を摂取できるよう、飲料にカテキン類を高濃度に配合する技術が望まれている。
一方、緑茶抽出物を配合した容器詰飲料においては、長期保存後に濁りやオリが発生するという問題があり、その防止手段として紅茶抽出液に有機酸、ビタミンC、レモン果汁などの酸味料を添加してpHを2.5〜5.0に調整した後、遠心分離して紅茶抽出液中のティークリームを除去する方法(特許文献3)、緑茶抽出液にアスコルビン酸を添加し、冷却して遠心分離後、珪藻土でろ過する方法(特許文献4)などが知られている。しかしながら、これらの手段によっては、非重合体カテキンを高濃度に含有する緑茶抽出物においては、容器詰飲料製造時の濁りの生成抑制効果は十分でない。また、緑茶抽出液と緑茶抽出物の濃縮物を混合した緑茶調合液で効果があるとされるアルミノシリケートを接触させる方法(特許文献5)でもこの精製緑茶抽出物に対しての清澄効果は十分ではなかった。
特開昭60−156614号公報 特開平3−133928号公報 特開昭51−26253号公報 特開平4−311348号公報 特開2004−159665号公報
本発明の目的は、高い非重合体カテキン類濃度を有し、かつ容器詰飲料製造時に濁りの生じない精製緑茶抽出物の製造法を提供することにある。
本発明者は、容器詰飲料製造時の濁りの発生原因について検討したところ、当該濁りが緑茶抽出物中に含まれる脂質成分にあることを見出した。ここで脂質成分とは、緑茶葉に元来含有されるものであり、例えばレシチンに代表されるリン脂質、モノガラクトシルジグリセリド(MGDG),ジガラクトシルジグリセリド(DGDG)に代表される糖脂質がその主成分である(茶業技術研究53号、82−87頁、1977年12月)。そして、更に検討したところ、当該濁りの原因物質は、予め有機溶媒水溶液中で活性炭及び酸性白土又は活性白土処理をした緑茶抽出物を、水又は有機溶媒水溶液に溶解し、これに水溶性無機塩類を一定量添加すると、不溶物となって凝集するので、これを除去すれば、高濃度の非重合体カテキン類を有し、かつ容器詰飲料を製造した際に濁りの生じない精製緑茶抽出物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、有機溶媒と水の質量比が91/9〜97/3の混合溶液中で活性炭及び酸性白土又は活性白土と接触処理した緑茶抽出物を、水又は有機溶媒水溶液に溶解し、水溶性無機塩類を緑茶抽出物の固形分100質量部に対して1〜30質量部添加し、
生成する不溶物を除去する非重合体カテキン類を25〜90質量%含有する精製緑茶抽出物の製造法を提供するものである。
また、上記製造法で製造した精製緑茶抽出物を含有する容器詰飲料を提供するものである。
本発明方法により得られた精製緑茶抽出物は、容器詰飲料製造時に濁りが生じないので、非重合体カテキン類を高濃度に含有し、またカフェイン含有量も低減され、スポーツ飲料、アイソトニック飲料などとして特に有用である。
本発明で用いる緑茶抽出物は、非重合体カテキン類を1種以上含有するものである。非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類をあわせての総称である。
本発明におけるガレート体率とは、カテキンガレートとガロカテキンガレートとエピカテキンガレートとエピガロカテキンガレート4種の質量和が8種からなる非重合体カテキン類の質量和に対する100分率の値である。
このような非重合体カテキン類を含有する緑茶抽出物としては、緑茶の茶葉から得られた抽出液を乾燥又は濃縮したものなどが挙げられる。
ここで使用する茶葉は、より具体的には、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、及びやぶきた種又はそれらの雑種などから得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶などの緑茶類がある。
茶葉から緑茶抽出物を得る抽出方法は、攪拌抽出などの方法により行うことができる。
また、煮沸脱気や窒素ガスなどの不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用しても良い。このようにして得られた抽出液を必要により乾燥し、本発明に使用する緑茶抽出物を得る。緑茶抽出物の形態としては、液体、スラリー、半固体、固体の状態が挙げられる。エタノール中での分散性の観点から、スラリー、半固体、固体の状態が好ましい。
本発明に使用する緑茶抽出物には茶葉から抽出した抽出液を乾燥して使用するかわりに、茶抽出物の濃縮物を用いても、茶葉からの抽出液の乾燥物と茶抽出物の濃縮物とを併用しても良い。
ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報などに記載されている方法により製造したものをいう。
具体的には、緑茶抽出物として、市販の東京フードテクノ社製「ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン」、太陽化学社製「サンフェノン」などの粗カテキン製剤を用いることもできる。
緑茶抽出物として、緑茶抽出物をタンナーゼ処理した抽出物を用いると苦みや渋みが顕著に低減された精製緑茶抽出物が得られることから、特に好ましい。ここで使用されるタンナーゼは、非重合体カテキン類を分解する活性を有するものであればよい。具体的には、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属などのタンナーゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼが使用できる。このうち、アスペルギルス オリーゼ由来のものが特に好ましい。緑茶抽出液に粉末状又は溶液状のタンナーゼを、25Unit/ L〜500Unit/ L、好ましくは50Unit/L〜150Unit/ Lの濃度になるように添加する。かかるタンナーゼの添加量は、固形分1mgに換算すると、0.1Unit以上、好ましくは0.2Unit以上である。ここで1Unitは、30℃の水中においてタンニン酸に含まれるエステル結合を1マイクロモル加水分解する酵素量で定義される。その後、5℃〜50℃、望ましくは10℃〜40℃に10〜70質量%のガレート体率に達するまでの間保持する。
その後、できるだけ速やかに45℃〜95℃、好ましくは75℃〜95℃まで昇温し、タンナーゼを失活させることにより反応を停止する。当該タンナーゼの失活処理により、その後のガレート体率の低下が防止でき、目的とするガレート体率の緑茶抽出物が得られる。
本発明のタンナーゼ処理においては、得られる緑茶抽出物の非重合体カテキン類中のガレート体率は苦味低減及び外観の面から10〜70質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲に制御される。すなわち、本発明で実施されるタンナーゼ処理は、従来の重合体カテキン類に含まれるすべてのガレート体を加水分解する処理方法とは異なり、タンナーゼ処理時のガレート体率を制御する。タンナーゼ処理によるガレート体率の制御は処理時の緑茶抽出液のpH挙動によって反応の終点を決定することが好ましい。当該pHは3〜6、特に3.5〜5.5が好ましい。これにより緑茶抽出液中のガレート体量を任意の範囲で維持するタンナーゼ処理した緑茶抽出物を得ることができる。また、タンナーゼ処理後のタンナーゼ失活処理により、その後のガレート体率の低下が防止できる。
本発明で使用する緑茶抽出物としては、乾燥質量で、非重合体カテキン類を25〜90質量%、更に30〜90質量%含有する茶抽出物の濃縮物を用いるのが好ましい。
本発明の精製緑茶抽出物の製造法は、先ず、緑茶抽出物を有機溶媒と水の混合溶液中で活性炭及び酸性白土又は活性白土と接触処理する。当該工程により、緑茶抽出物の濁りを除去精製するほか、緑茶抽出物中のカフェインが低減される。
有機溶媒と水の混合溶液としては、カテキン類の抽出効率及びカフェイン除去率の点から、有機溶媒と水の質量比を90/10〜99/1、更に91/9〜97/3、更に91/9〜95/5、特に92/8〜95/5の範囲に調整するのが好ましい。
ここで用いる有機溶媒としては、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられる。これらのうち、エタノール、メタノール、アセトンの親水性有機溶媒が好ましく、特に食品への使用を考慮すると、エタノールが好ましい。
緑茶抽出物を有機溶媒と水の混合溶液に分散する方法は特に制限されず、緑茶抽出物を最終的に処理する際の有機溶媒と水の質量比が91/9〜97/3の範囲になっていれば良い。また、有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して、緑茶抽出物(固形分換算)10〜40質量部、特に10〜30質量部添加して処理するのが、緑茶抽出物を効率良く処理できるので好ましい。
水又は有機溶媒の必要量の添加時間は10〜30分程度の時間でゆっくり滴下するのが好ましい。また、カテキン類の抽出効率を上げるために攪拌状態で滴下するのが好ましい。水の滴下終了後は10〜120分程度の熟成時間を設けると更に好ましい。
これらの処理は、10〜60℃で行うことができ、特に10〜50℃、更に10〜40℃で行うのが好ましい。
ここで用いる活性炭としては、一般に工業レベルで使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C(武田薬品工業社製)などの市販品を用いることができる。
活性炭の細孔容積は0.01〜0.8mL/gが好ましく、特に0.1〜0.7mL/gが好ましい。また、比表面積は800〜1300m2/g、特に900〜1200m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
活性炭は、有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して0.5〜5質量部、特に0.5〜3質量部添加するのが好ましい。活性炭の添加量が少なすぎると、カフェイン除去効率が悪くなり、また多すぎるとろ過工程におけるケーク抵抗が大きくなり好ましくない。
ここで用いる酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO2、Al23、Fe23、CaO、MgOなどを含有するものであるが、SiO2/Al23比が3〜12、特に4〜9であるのが好ましい。またFe23を2〜5質量%、CaOを0〜1.5質量%、MgOを1〜7質量%含有する組成のものが好ましい。
活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸などの鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土を更に、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性が変化することが知られている。
酸性白土又は活性白土の比表面積は、酸処理の程度などにより異なるが、50〜350m2/gであるのが好ましく、pH(5%サスペンジョン)は2.5〜8、特に3.6〜7のものが好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水澤化学社製)などの市販品を用いることができる。
酸性白土又は活性白土は、有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して2.5〜25質量部、特に2.5〜15質量部添加するのが好ましい。酸性白土又は活性白土の添加量が少なすぎると、カフェイン除去効率が悪くなり、また多すぎるとろ過工程におけるケーク抵抗が大きくなり好ましくない。
また、活性炭と、酸性白土又は活性白土の割合は、質量比で活性炭1に対して1〜10が好ましく、活性炭1に対して1〜6であるのがより好ましい。
緑茶抽出物は、前記有機溶媒と水の混合溶液に分散した状態で、活性炭及び酸性白土又は活性白土に接触すれば良い。例えば(1)有機溶媒と水の混合溶液に緑茶抽出物を添加し、活性炭接触、次いで酸性白土又は活性白土接触する方法、(2)有機溶媒と水の混合溶液に緑茶抽出物を添加し、酸性白土又は活性白土接触、次いで活性炭接触する方法、(3)有機溶媒と水の混合溶液に酸性白土又は活性白土を添加し、これに緑茶抽出物を添加し、次いで活性炭を添加する方法、(4)有機溶媒と水との混合溶液に活性炭を添加し、これに緑茶抽出物を添加し、次いで酸性白土又は活性白土を添加する方法などが挙げられる。
これらの各成分添加と次の成分添加との間にはろ過を行うのが好ましい。また緑茶抽出物は、2回以上に分割して添加も良く、その間にろ過を行っても良い。
緑茶抽出物の分散液と活性炭及び酸性白土又は活性白土との接触処理は、バッチ式、カラムによる連続処理などのいずれの方法で行っても良い。一般には、粉末状の活性炭などを添加、攪拌し、カフェインを選択的に吸着後、ろ過操作によりカフェインを除去したろ液を得る方法、あるいは顆粒状の活性炭などを充填したカラムを用いて連続処理によりカフェインを選択的に吸着する方法が採用される。
活性炭及び酸性白土又は活性白土と接触させた後の緑茶抽出物の分散液は、活性炭及び酸性白土又は活性白土を除去した後、系中から有機溶媒を取り除くべく減圧蒸留などの方法を用いて留去される。また水溶性無機塩類による処理前の緑茶抽出物は液状でも固体状でもいずれでも良いが、固体状態を製造する場合には凍結乾燥やスプレードライなどの方法によって粉末化しても良い。
次いで、このようにして処理された緑茶抽出物を水又は有機溶媒水溶液に溶解する。本工程で用いる有機溶媒としては、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられる。これらのうち、エタノール、メタノール、アセトンの親水性有機溶媒が好ましく、特に食品への使用を考慮すると、エタノールが好ましい。有機溶媒水溶液を用いる場合、有機溶媒の濃度は、40質量%以下、更に30質量%以下、特に20質量%以下が好ましい。
本発明においては、水又は有機溶媒水溶液100質量部に対して、緑茶抽出物(固形分換算)10〜40質量部、特に10〜30質量部添加して処理するのが、濁り抑制効果の点で好ましい。
本発明においては、緑茶抽出物を溶解した水又は有機溶媒水溶液に、水溶性無機塩類を緑茶抽出物の固形分100質量部に対して1〜30質量部を添加する。ここで用いられる水溶性無機塩類としては、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸などの金属塩が好ましく、特に塩酸塩、硫酸塩が好ましい。水溶性無機塩類としては、具体的には塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化マグネシウム,硫酸ナトリウム,硫酸マグネシウム,ミョウバンなどが好ましく、このうち安価で入手しやすい等の理由から塩化ナトリウムが特に好ましい。
水溶性無機塩類の添加量は、緑茶抽出物から濁り原因成分を除去する効果の点から、緑茶抽出物の固形分100質量部に対し1〜30質量部であり、更に1〜25質量部、特に1〜20質量部が好ましい。水溶性無機塩類は、固体のまま添加しても良いが、水又は有機溶媒の溶液として添加しても良い。ここで用いる有機溶媒は前記と同じものが好ましい。添加温度は0〜30℃、特に5〜15℃が好ましい。
不溶物を効率よく析出させ、かつ、カテキン類の安定性の観点から、pH2.0〜7.0、好ましくは3.0〜6.0で行うのがよい。
水溶性無機塩類を添加すると不溶物が凝集するので、当該不溶物を除去して精製緑茶抽出物を得る。不溶物の除去手段としてはろ過、遠心分離、膜分離などが挙げられる。ろ過手段としては、特に制限されないが、吸引ろ過,加圧ろ過,遠心ろ過のいずれでも実施可能であり、収率の観点から特に遠心ろ過が好ましい。また、ろ過の際にはろ過速度を向上させるため、ろ過助剤をプレコート法又はボディフィード法で使用することが好ましい。遠心分離をする場合、使用する分離機の形式は特に限定されないが、分離板型,円筒型,デカンター型のいずれでも実施可能であり、分離効率の観点から特に分離板型遠心分離機が好ましい。また、確実に不溶物の除去をする為に、低温〜常温条件で実施することが好ましく、好ましくは0〜30℃、更に好ましくは5〜15℃で行えば効果的である。
このようにして不溶物を除去して得られる精製緑茶抽出物は、必要により系中から有機溶媒を減圧蒸留などの方法を用いて留去しても良い。また、精製緑茶抽出物は液状でも固体状でもいずれでも良いが、固体状態を製造する場合には凍結乾燥やスプレードライなどの方法によって粉末化しても良い。
本発明により得られる精製緑茶抽出物は、含有する非重合体カテキン類の組成が水溶性無機塩類による処理前と本質的に変化していないのが好ましい。水溶性無機塩類による処理前後の有機溶媒と水の混合溶液中の非重合体カテキン類の収率は70質量%以上が好ましく、特に80質量%以上が好ましい。
また、本発明により得られる精製緑茶抽出物中のカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートからなるガレート体の全非重合体カテキン類中での割合は、10〜70質量%、特に30〜60質量%であるのが、非重合体カテキン類の生理効果の有効性及び苦味低減の点から好ましい。
本発明によって得られる精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類を25〜90質量%、更に30〜90質量%、更に35〜90質量%、更にまた40〜70質量%含有するのが好ましい。また、精製緑茶抽出物の固形分中で、非重合体カテキン類を40〜90質量%、更に50〜90質量%、更にまた60〜90質量%含有するのが好ましい。
本発明による処理によって得られる精製緑茶抽出物中のカフェイン濃度は、非重合体カテキン類に対して、非重合体カテキン類/カフェイン(質量比)=25〜200、更に30〜150、特に30〜100であるのが好ましい。
得られた精製緑茶抽出物は、原料緑茶抽出物中の非重合体カテキン類以外の夾雑物質(アミノ酸、有機酸、糖類)が除去され、高い非重合体カテキン類濃度を維持しており、かつ色相が良く、カフェイン含有量が低減されており、更に緑茶の風味がほとんどない。従って、精製緑茶抽出物を配合した飲料は、特にスポーツ飲料、アイソトニック飲料などの容器詰飲料、特に容器詰非茶系飲料として有用である。
本発明の容器詰飲料中には、水に溶解状態にある非重合体カテキン類を、好ましくは0.03〜1.0質量%含有し、より好ましくは0.04〜0.5質量%、更に好ましくは0.06〜0.4質量%、更に好ましくは0.07〜0.4質量%、特に好ましくは0.08〜0.3質量%、殊更好ましくは0.09〜0.3質量%、もっとも好ましくは0.1〜0.3質量%含有する。非重合体カテキン類含量がこの範囲にあると、多量の非重合カテキン類を容易に取り易く、飲料製造直後の色調の点からも好ましい。当該非重合体カテキン類の濃度は、緑茶抽出物の配合量によって調整することができる。
また、蓄積体脂肪燃焼促進、食事性脂肪燃焼促進及び肝臓β酸化遺伝子発現促進の効果を出すための成人一日当りの摂取量としては、非重合体カテキン類として300mg以上、好ましくは450mg以上、更に好ましくは500mg以上が良い。
したがって本発明の容器詰飲料においても成人一日当りの摂取量を確保する意味からも、本発明の容器詰飲料1本当り300mg以上、好ましくは450mg以上、更に好ましくは500mg以上の配合量があるものが良い。
本発明の容器詰飲料における非重合体カテキン類とカフェインとの含有質量比(非重合体カテキン類/カフェイン)は25〜200、更に30〜150、特に30〜100が好ましい。
本発明の容器詰飲料には、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有させても良い。これらのイオンを含有させた本発明飲料は、スポーツドリンク、アイソトニック飲料などの飲料形態として有用である。スポーツドリンクとは、身体運動後に汗として失われる水分、ミネラルを速やかに補給できる飲料であると一般的に規定される。
主な生理電解質の中にはナトリウム及びカリウムがある。これらのイオン成分はそれらに対応する水溶性成分ないし、無機酸塩類又は有機酸塩類を添加することで含有させることができる。それらは果汁及び茶抽出物中にも存在する。本発明飲料中における電解質又はイオン成分の量は最終の飲用しうる容器詰飲料中の含有量である。電解質濃度はイオン濃度で示される。カリウムイオン成分は、カリウム塩化物、炭酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、酒石酸カリウム、ソルビン酸カリウムなど又はそれらの混合物のような塩として、あるいは加えられた果汁又は茶の成分として本発明飲料に配合できる。カリウムイオンは、0.001〜0.2質量%、好ましくは0.002〜0.15質量%、最も好ましくは0.003〜0.12質量%本発明の容器詰飲料中に含有することが好ましい。同様に、ナトリウムイオン成分は、ナトリウム塩化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムなど及びそれらの混合物のような容易に入手しうるナトリウム塩として、あるいは加えられた果汁又は茶の成分として配合できる。ナトリウム濃度は浸透圧による水の吸収を容易にさせる上で低い方望ましいが、体から腸に水を浸透圧吸引しない程度であることが、好ましい。これを行うために必要なナトリウムの濃度は、血漿ナトリウムの場合よりも低いことが好ましい。ナトリウムイオンは、0.001〜0.5質量%、好ましくは0.002〜0.4質量%、更に好ましくは0.003〜0.2質量%本発明の容器詰飲料中に含有するのが好ましい。カリウム及びナトリウムイオンに加えて、本発明容器詰飲料には0.001〜0.5質量%、好ましくは0.002〜0.4質量%、最も好ましくは0.003〜0.3質量%の塩化物イオンを更に含有させることができる。塩化物イオン成分は塩化ナトリウム又は塩化カリウムのような塩の形態で配合できる。カルシウム及びマグネシウム、亜鉛、鉄のような他の微量イオンも配合して良い。これらのイオンも塩として配合して良い。飲料中に存在するイオンの合計量には、添加されたイオン量と共に、飲料中に天然で存在するイオン量を含む。例えば、塩化ナトリウムが添加された場合、その量のナトリウムイオン及びその量の塩化物イオンも、それに応じて各イオンの合計量に含まれる。
ここで、ナトリウムイオンやカリウムイオン濃度が低すぎると、飲む場面によっては味的に物足りなく感じ、効果的なミネラル補給ができなくて好ましくない。一方、多すぎると、塩類自体の味が強くなり長期間の飲用に好ましくない。
本発明の容器詰飲料には、味を改善する目的で、甘味料が用いられる。甘味料としては人工甘味料類、炭水化物類、グリセロール類(例えばグリセリン)が用いられる。これらの甘味料は、本発明容器詰飲料中に0.0001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、最も好ましくは0.001〜10質量%含有する。前記下限未満であると、甘みがほとんどなく、酸味、塩味とのバランスがとれない。一方上限を超えると、甘すぎて喉にひっかかる感覚が強く、喉越しが低下する。
本発明の容器詰飲料における甘味料としては、人工甘味料を使用することが好ましい。
本発明で使用できる人工甘味料の例にはサッカリン及びサッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセサルフェーム−K、スクラロース、ネオテームなどの高甘度甘味料、ソルビトール、エリスリトール、キシリトールなどの糖アルコールを使用できる。商品としては、アスパルテームからなるスリムアップシュガー、エリスリトールを含んだラカントS,エリスリトールとアスパルテームからなるパルスイートなどを使用できる。
目的とする容器詰飲料がエネルギー補給を兼ね備える場合には、炭水化物類の甘味料を使用する方が好ましい。
本発明で使用できる炭水化物類甘味料としては可溶性炭水化物が用いられる。可溶性炭水化物には、甘味料とエネルギー源との役割がある。本発明飲料に使用する炭水化物を選択するにあたっては、十分な胃排出及び腸吸収速度を考慮することが必要である。
炭水化物はグルコース及びフルクトースの混合物でも、あるいは消化管で加水分解するか又はグルコース及びフルクトースを形成する炭水化物であっても良い。本明細書で用いられる「炭水化物」という用語は、単糖、オリゴ糖、複合多糖及びそれらの混合物を含む。
ここで使用できる単糖にはテトロース、ペントース、ヘキソース及びケトヘキソースがある。ヘキソースの例は、ブドウ糖として知られるグルコースのようなアルドヘキソースである。本発明の容器詰飲料中のグルコースの量は、好ましくは0.0001〜20質量%、更に好ましくは0.001〜15質量%、最も好ましくは0.001〜10質量%である。果糖として知られるフルクトースはケトヘキソースである。本発明容器詰飲料中のフルクトースの量は0.0001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、特に0.001〜10質量%である。
本発明飲料中においては、人工甘味料単独系、人工甘味料とグルコース系化合物、もしくは人工甘味料とフルクトース系化合物の組み合わせが好ましい。
本発明で使用できる炭水化物類甘味料としては可溶性炭水化物が用いられるが、オリゴ糖としては、これら2種の単糖を体内で生成する炭水化物(即ち、スクロース、マルトデキストリン、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ)が挙げられる。このオリゴ糖の重要なタイプは二糖である。二糖の例は、ショ糖又はテンサイ糖として知られるスクロースである。本発明容器詰飲料中のスクロースの量は、0.001〜20質量%、更に0.001〜15質量%、特に0.001〜10質量%である。
本発明の容器詰飲料のpHは2〜6、好ましくは2〜5、より好ましくは3〜4.5がカテキンの安定性上良い。pHが低すぎると飲料の酸味、刺激臭が強くなる。また、pHが高すぎると風味の調和が取れなくなり、嗜好性が低下するので好ましくない。
本発明の容器詰飲料は、苦渋味抑制剤を配合すると飲用しやすくなり好ましい。用いる苦渋味抑制剤は特に限定はないが、サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン及び分岐α−、β−、γ−サイクロデキストリンが使用できる。サイクロデキストリンは飲料中に0.005〜0.5質量
%、好ましくは0.01〜0.3質量%含有するのが良い。
更に本発明の容器詰飲料には、これらの成分のほか必要により酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、無機酸類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、ガム、乳化剤、油、ビタミン、アミノ酸、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して配合できる。
本発明の容器詰飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造されるが、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填するなどの方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填しても良い。更に、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
カテキン類の測定
精製緑茶抽出物を蒸留水で希釈し、フィルター(0.8μm)でろ過後、島津製作所社製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃で、A液及びB液を用いたグラジエント法により行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
カフェインの測定
(分析機器)
HPLC(日立製作所社製)装置を使用。
プロッター:D−2500,ディティクター:L−4200
ポンプ:L−7100,オートサンプラー:L−7200
カラム:lnertsil ODS−2、内径2.1mm×長さ250mm
(分析条件)
サンプル注入量:10μL,流量:1.0mL/min
紫外線吸光光度計検出波長:280nm
溶離液A:0.1mol/L酢酸水溶液,溶離液B:0.1mol/L酢酸アセトニトリル溶液
濃度勾配条件(体積%)
時間(分) 溶離液A 溶離液B
0 97 3
5 97 3
37 80 20
43 80 20
43.5 0 100
48.5 0 100
49 97 3
62 97 3
(カフェインのリテンションタイム)
カフェイン:27.2分
ここで求めたエリア%から標準物質により質量%を求めた。
固形分分析
Brix%をデジタル屈折計(アタゴ社製)RX−5000αにて測定し、ここで得られる屈折計の測定値(Brix%)に対し、
(数式)
固形分(質量%)=屈折計の測定値(Brix%)×0.68
により計算した。
色相評価
(分析機器)
UV MINI1240(島津製作所社製)装置を使用。
分光光度計で450nmの吸光度における値を測定した。測定においては、精製緑茶抽出物をカテキン濃度100mg%になるようにイオン交換水で希釈し、そのサンプルを用いて吸光度を測定し、色相の指標とした。
安定性の目視評価
精製緑茶抽出物をカテキン濃度100mg/Lになるようにイオン交換水で希釈し、50mLバイアル瓶に入っている評価サンプルをイルミネーター上で内容物の状態を観察し、目視判定した。
実施例1 精製緑茶抽出物A
緑茶抽出物 (ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭20gを添加し再び2号ろ紙でろ過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過を行った。最後にイオン交換水200gをろ過液に添加して、40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整してカフェイン低減緑茶抽出物を得た。
水溶性無機塩類による処理前の非重合体カテキン類の含有量は22質量%であった。
水溶性無機塩類による処理前の非重合体カテキン類/カフェイン質量比は33.0であった。
水溶性無機塩類による処理前のガレート体率は51質量%であった。
この操作によって得たカフェイン低減緑茶抽出物100gに塩化ナトリウム1gを添加し、不溶分と接触させ、5℃まで冷却した。冷却後、遠心分離で不溶物の除去を行って精製緑茶抽出物Aを得た。
実施例2 精製緑茶抽出物B
緑茶抽出物 (ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭20gを添加し再び2号ろ紙でろ過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過を行った。最後にイオン交換水200gをろ過液に添加して、40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整してカフェイン低減緑茶抽出物を得た。
水溶性無機塩類による処理前の非重合体カテキン類の含有量は22質量%であった。
水溶性無機塩類による処理前の非重合体カテキン類/カフェイン質量比は33.0であった。
水溶性無機塩類による処理前のガレート体率は51質量%であった。
この操作によって得たカフェイン低減緑茶抽出物100gにミョウバン1gを添加し、不溶分と接触させ、5℃まで冷却した。冷却後、遠心分離で不溶物の除去を行って精製緑茶抽出物Bを得た。
比較例1 精製緑茶抽出物C
緑茶抽出物 (ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭20gを添加し再び2号ろ紙でろ過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過を行った。最後にイオン交換水200gをろ過液に添加して、40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整してカフェイン低減緑茶抽出物を得た。
水溶性無機塩類による処理前の非重合体カテキン類の含有量は22質量%であった。
水溶性無機塩類による処理前の非重合体カテキン類/カフェイン質量比は33.0であった。
水溶性無機塩類による処理前のガレート体率は51質量%であった。
この操作によって得たカフェイン低減緑茶抽出物100gに塩化ナトリウム0.15gを添加し、不溶分と接触させ、5℃まで冷却した。冷却後、遠心分離で固液分離の操作を行って精製緑茶抽出物Cを得た。
比較例2 精製緑茶抽出物D
緑茶抽出物 (ポリフェノンHG、東京フードテクノ社製)200gを常温、250r/min攪拌条件下の95%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土ミズカエース#600(水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号ろ紙でろ過した。その後、活性炭20gを添加し再び2号ろ紙でろ過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過を行った。最後にイオン交換水200gをろ過液に添加して、40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、イオン交換水でカテキン類濃度を調整してカフェイン低減緑茶抽出物を得た。
塩酸による処理前の非重合体カテキン類の含有量は22質量%であった。
塩酸による処理前の非重合体カテキン類/カフェイン質量比は33.0であった。
塩酸による処理前のガレート体率は51質量%であった。
この操作によって得たカフェイン低減緑茶抽出物100gに塩酸1gを添加し、不溶分と接触させ、25℃で混合した。混合後、遠心分離で固液分離の操作を行って精製緑茶抽出物Dを得た。
実施例1、2及び比較例1、2で製造された精製緑茶抽出物の分析及び評価結果を、表1に示す。
表1に示すように本発明の精製緑茶抽出物A、Bは、色相が良好で、濁りが生じなかった。
実施例3
実施例1、2及び比較例1、2で製造された精製緑茶抽出物及び他の成分を配合して表2記載の飲料を製造した。次いで食品衛生法に基づく殺菌及びホットパック充填を行い、容器詰非茶系飲料を製造した。実施例1及び2で製造した本発明の精製緑茶抽出物を用いた容器詰非茶系飲料の製造時に濁りは認められなかった。
飲用直後のキレの評価は5名の男性モニターが、飲料500mLを単回摂取して、以下の基準で評価点をつけた。
5:キレが非常に良い
4:キレが良い
3:キレがやや良い
2:キレがやや悪い
1:キレが悪い
表2の結果から明らかなように、本発明により製造された精製緑茶抽出物を使用して製造した容器詰非茶系飲料は、カテキン類組成を維持したまま、カフェインを選択的に除去されており、飲用直後のキレが際立って良かった。
実施例4
(1)緑茶葉6000gに84℃の熱水90kgを添加し、60分間抽出したのち、2号濾紙による濾過を行い、「緑茶抽出液」66kg(pH5.4)を得た。(緑茶抽出液の非重合体カテキン類濃度= 0.9質量%、緑茶抽出液のガレート体率=52.2質量%)
この緑茶抽出液を温度25℃に設定し、タンナーゼ(キッコーマン社製タンナーゼKTFH)を緑茶抽出液に対して200ppmとなる濃度で添加し、130分間保持し、ガレート体率40.2質量%になったところで、90℃に溶液を加熱して、酵素を失活させ、反応を止めた(pH4.9)。この反応液を逆浸透膜(日東電工製NTR−759HR)を用いてBrix濃度25まで濃縮処理を行い、液体の「タンナーゼ処理した緑茶抽出物の濃縮物」8kgを得た。得られた緑茶抽出物は非重合体カテキン類含有量6.9質量%、ガレート体率40.1質量%、固形分濃度2質量%に溶解した水溶液のpH=5.0であった。
(2)また、得られた濃縮液4.5kgを噴霧乾燥して粉末状の「タンナーゼ処理した緑茶抽出物」400gを得た。得られた緑茶抽出物は非重合体カテキン類含有量33.2質量%、ガレート体率40.1質量%、固形分濃度2質量%に溶解した時の水溶液のpH=5.0であった。
(3)得られた緑茶抽出物を用いて、実施例1と同様の精製処理を行い、濁りが全く見られず、色相もよく、かつ苦味の低減された精製緑茶抽出物を得た。
処理後の非重合体カテキン類の含有量=21.7質量%
処理後の固形分中における非重合体カテキン類濃度=66質量%
処理後の濁度=1.2
処理後の非重合体カテキン類/カフェイン質量比=33.0
処理後のガレート体率=39.3質量%
(4)得られた精製緑茶抽出物を用いて、表2、本発明品1と同様にして容器詰飲料を得た。この飲料は、長期に保存しても外観の変化がなく、かつ苦味が低減されていた。

Claims (4)

  1. 有機溶媒と水の質量比が91/9〜97/3の混合溶液中で活性炭及び酸性白土又は活性白土と接触処理した緑茶抽出物を、水又は有機溶媒水溶液に溶解し、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及びミョウバンから選ばれる水溶性無機塩類を緑茶抽出物の固形分100質量部に対して1〜30質量部添加して0〜15℃に冷却し生成する不溶物を除去する非重合体カテキン類を25〜90質量%含有する精製緑茶抽出物の製造法。
  2. 有機溶媒がエタノールである請求項1記載の製造法。
  3. 緑茶抽出物が、緑茶抽出物をタンナーゼ処理して得られるものである請求項1又は2記載の製造法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載の製造法で製造した精製緑茶抽出物を含有する容器詰飲料。
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