JP4724941B2 - 体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は体積型ホログラムを記録できる新規感光性組成物、それを用いた体積型ホログラム記録媒体、及び、当該記録媒体を用いて作製した体積型ホログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
体積型ホログラムを製造するための感光性組成物としては、デュポン社のオムニデックスシリーズが唯一量産レベルで市販されている。この材料はラジカル重合モノマーとバインダーポリマー、光ラジカル重合開始剤、増感色素を主成分とするが、ラジカル重合モノマーとバインダーポリマーの屈折率差を利用したものである。すなわち、フィルム状に形成された該感光性組成物を干渉露光すると、光が強い部分にてラジカル重合が開始され、それに伴いラジカル重合モノマーの濃度勾配ができ、光が弱い部分から強い部分にラジカル重合モノマーの拡散移動が起こる。結果として干渉光の光の強弱に応じて、ラジカル重合モノマーの疎密ができ、屈折率の差として現れる。この材料系は現状報告されている体積型ホログラム用フォトポリマーとしては最も性能は良いが、耐熱性、透明性に問題が指摘されている。
【0003】
また、ラジカル重合とカチオン重合を併用した材料系が報告されている。例えば特許第2873126号では、高屈折率ラジカル重合性モノマーとしてジアリルフルオレン骨格を有するモノマー及び該ラジカル重合性モノマーより屈折率が小さいカチオン重合性モノマーを使用した系が開示されている。この系では、ホログラム露光時にラジカル重合により高屈折率成分が重合し、次いで定着露光でカチオン重合により像を固定する。
【0004】
また、カチオン重合を利用した材料系が、例えばUSP5759721等に開示されている。この材料系ではラジカル重合系における酸素阻害がないという利点があるが、カチオン重合の感度(Photospeed)は悪く、また、長波長領域に感度を持たせることが困難という問題がある。
【0005】
また、特許第2953200号には、無機物質ネットワークと光重合性モノマーを併用した材料系が開示されている。ネットワークを形成し得る無機材料をバインダーとして用いる場合には、耐熱性、対環境性、機械強度に優れると共に、光重合性の有機モノマーとの屈折率差を大きく取れるという利点があるが、この材料系で形成したホログラム記録膜はどちらかと言えば脆くて、柔軟性や加工適性、コーティング適性に劣るという問題、及び、無機バインダーと有機モノマーの相溶性が良くないので、均一な塗工材料を調製するのが困難だという問題がある。
【0006】
また、特表2000−508783号では、固体マトリックスに金属超微粒子を分散した材料がホログラム記録材料として開示されているが、マトリックスに流動性を持たせる必要があり、固形性が悪く問題がある。
【0007】
また、高屈折率の芳香環含有バインダーポリマーと低屈折率のフッ素含有モノマーを組み合わせ使用した公知例としては、特に、特開平5−210343、特開平5−210344、特開平5−257416がある。しかし、この組み合わせでは、重合反応性が十分でないために干渉露光時の感度があまり高くない。フッ素含有モノマーの重合性を上げるために多官能のアクリレートを添加することも記載されているが、この方法はフッ素含有モノマーが元来有している低屈折率性を損なうものである。さらに、この組み合わせにおいては、フッ素含有モノマーの重合体が高い割合で存在する強露光部は機械的に脆く、また、芳香環含有バインダーポリマーを用いているために黄変を生じ易いなどの問題がある。
【0008】
また、フッ素含有アクリル系モノマーとフッ素を含有しないアクリル系モノマーからなる低屈折率のバインダーポリマーと、高屈折率の芳香環含有モノマーを組み合わせ使用した公知例としては、特開平6−67588がある。しかし、この例においても、フッ素含有アクリル系モノマーの低屈折率性がフッ素を含有しないアクリル系モノマーとの共重合によって損なわれ、さらに、芳香環含有モノマーの芳香環により黄変を生じ易いという問題がある。
【0009】
体積型ホログラムの性能を示す指標として、屈折率変調量(Δn)がある。この値はKogelnikの結合波理論により計算される。前述の通り、様々な体積型ホログラム記録材料が知られているが、いずれもそのホログラム性能を示す屈折率変調量(Δn)は最大で0.06程度であり、新規の光学素子等に応用する際に、更にΔnの向上が要望されている。
【0010】
また、光学素子等の広範な分野への応用を視野に入れると、屈折率差、感度、透明性などのホログラム記録性能だけでなく、膜強度や耐熱性などの物理的性質を含む諸性能を十分に満たす材料系が要望されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
体積型ホログラムを形成するために上記したような様々な材料系が開示されているが、これらのうちカチオン重合系材料は、ラジカル重合系材料を干渉露光する時に問題となる酸素阻害の影響を排除できる点で有利である。しかしながら、使用可能な材料の選択範囲を拡大する観点から、カチオン重合系材料以外にも酸素阻害の影響を受けない材料系の提案が望まれている。
【0012】
本発明は上記実状を考慮して成し遂げられたものであり、その第一の目的は、干渉露光時においてカチオン重合以外の反応形式を利用し、且つ、酸素阻害を受けないで重合反応が進行させることができる体積型ホログラム記録材料、及び、体積型ホログラム記録媒体を得ることにある。
【0013】
また、本発明の第二の目的は、干渉露光によりカチオン重合でもラジカル重合でもない反応形式を利用して干渉縞を形成した体積ホログラムを得ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明により提供される体積型ホログラム記録用感光性組成物は、必須成分として、バインダーポリマー、アニオン重合性化合物、及び、光照射によりアニオンを発生する光アニオン重合開始剤を含有することを特徴としている。
【0015】
また、本発明により提供される体積型ホログラム記録用感光性媒体は、上記の体積型ホログラム記録用感光性組成物の皮膜を基材上に設けたことを特徴としている。
【0016】
本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体は、屈折率変調成分としてアニオン重合性化合物を用いることにより、干渉露光時に当該アニオン重合性化合物の残留を少なくすることができる。そのため、干渉露光後に高エネルギーの紫外線を干渉露光面に全面照射したり或いは高温に加熱するなどして強露光部の反応を促進させる必要はなく、比較的小エネルギーの紫外線を全面照射するか、弱い加熱により後処理を行うだけで、或いは、そのような後処理を全く行わなくても、干渉露光を最後まで完結させ、干渉縞を固定し、ホログラム膜の製品を化学的に安定化させ、さらには人体に接触した時の安全性を向上させることができ、経済性に優れている。
【0017】
また、本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体は、アニオン重合性化合物を屈折率変調成分として用いるので、屈折率変調成分としてラジカル重合性化合物やカチオン重合性化合物を用いる場合と比べて、強露光部において高分子量化させ易く、且つ、分子量分布も狭くすることができ、最終的に得られるホログラム膜の強靭性、耐熱性などの物性を向上させる効果もある。
【0018】
本発明は干渉露光時にラジカル重合を利用しなくても強露光部で屈折率変調成分を重合させ、蓄積できることを大きな利点の一つとしていることから、本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物には、光ラジカル重合反応を生じる成分系を実質的に含有させないことが好ましい。
【0019】
前記アニオン重合性化合物としては、電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合構造、環状エーテル構造、ラクトン構造、ラクタム構造、環状ウレタン構造、環状尿素構造、又は、環状シロキサン構造を有するモノマー又はオリゴマーの中から選ばれるものを用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明により提供される体積型ホログラム記録用感光性組成物は、必須成分として、バインダーポリマー、アニオン重合性化合物、及び、光照射によりアニオンを発生する光アニオン重合開始剤を含有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明においてバインダーポリマーとしては、体積型ホログラムに求められる一般的な性質、すなわち透明性、膜物性、干渉露光時の強露光部に生成するアニオン重合性化合物の重合体との屈折率差などの物性が満足できると共に、干渉露光時にアニオン重合反応の進行を阻害しないものが用いられる。
【0022】
バインダーポリマーとして具体的には、ポリメタアクリル酸エステル又はその部分加水分解物;ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物;ポリビニルアルコール又はその部分アセタール化物;トリアセチルセルロース;ポリイソプレン;ポリブタジエン;ポリクロロプレン;シリコーンゴム;ポリスチレン;ポリビニルブチラール;ポリクロロプレン;ポリ塩化ビニル;塩素化ポリエチレン;塩素化ポリプロピレン;ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体;ポリ−N−ビニルピロリドン又はその誘導体;スチレンと無水マレイン酸の共重合体またはその半エステル;アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体;上記各バインダーポリマー単体の二以上を含有する混合物を用いることができる。好ましくは、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0023】
干渉露光により生じた屈折率変調を促進し或いは記録されたホログラムを安定化させる工程として加熱により重合性成分を移動させる工程等があるが、そのためにはこれらのマトリックスポリマーは、完全硬化する前において好ましくはガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動を容易にするものであることが必要である。具体的には、ガラス転移温度が180℃以下であることが好ましい。
【0024】
本発明においてアニオン重合可能な化合物(アニオン重合性化合物)は、干渉露光時に強露光部の屈折率を変調させて干渉縞を形成するための成分(屈折率変調成分)であり、当該アニオン重合性化合物を重合させて得られる重合体の屈折率が上記バインダーポリマーの屈折率と異なるものを用いる。アニオン重合性化合物は、重合体となった時にバインダーポリマーよりも屈折率が大きくなっても小さくなっても良いが、両者の屈折率差が少なくとも0.01以上あることが望ましい。
【0025】
アニオン重合性化合物としては、アニオン重合性の官能基を有する各種の化合物を用いることができる。具体的には、電子吸引性基を有するいわゆるビニルモノマー、すなわち電子吸引性基を備え当該電子吸引性基によりアニオン重合活性が高められたエチレン性二重結合を有するモノマーを用いることができ、そのようなモノマーには、スチレン、α‐シアノアクリル酸メチル、メチルビニルケトン、アクリロニトリル等が該当する。また、環状エーテル類、ラクトン類、ラクタム類、環状ウレタン類、環状尿素類、環状シロキサン類などのように、アニオン触媒により開環重合し得る化学構造を有するモノマーも、アニオン重合性化合物として適宜使用することができる。
【0026】
アニオン重合性化合物としては、アニオン重合性基を含有するオリゴマーやポリマーを使用することも可能であるが、干渉露光時には屈折率変調成分の分子量が小さいほどホログラム記録材料層中で容易に強露光部へ移動すると考えられることから、アニオン重合性基を含有するモノマーの方が好ましい。
【0027】
アニオン重合はラジカル重合と異なり、重合反応が酸素により阻害されない。また、アニオン重合はカチオン重合と比べて、停止反応や連鎖移動反応が起こりにくいので、高分子量化し易く、また、反応後の分子量分布も比較的狭くなるという反応上の特徴がある。
【0028】
そのため、アニオン重合性化合物を屈折率変調成分として用いる場合には、干渉露光を行うだけでアニオン重合性化合物が十分に消費され、当該アニオン重合性化合物の残留を少なくすることができる。そのため、干渉露光後に高エネルギーの紫外線を干渉露光面に全面照射したり或いは高温に加熱するなどして強露光部の反応を促進させる必要はなく、比較的小エネルギーの紫外線を全面照射するか、弱い加熱により後処理を行うだけで、或いは、そのような後処理を全く行わなくても、干渉露光を最後まで完結させ、干渉縞を固定し、ホログラム膜の製品を化学的に安定化させ、さらには人体に接触した時の安全性を向上させることができ、経済性に優れている。
【0029】
また、アニオン重合性化合物を屈折率変調成分として用いる場合には、屈折率変調成分としてラジカル重合性化合物やカチオン重合性化合物を用いる場合と比べて、強露光部において高分子量化させ易く、且つ、分子量分布も狭くできるので、最終的に得られるホログラム膜の強靭性、耐熱性などの物性を向上させる効果もある。
【0030】
本発明においては、屈折率変調成分としてのアニオン重合性化合物を干渉露光の強露光部において選択的に光アニオン重合させるために、光照射により塩基等のアニオンを発生させる化合物(光アニオン重合開始剤)を用いる。光アニオン重合開始剤は、可視又は不可視いずれの領域の光線照射により、アニオンを発生させるものであってもよく、不可視光によりアニオンを発生させる光アニオン重合開始剤には、紫外線や電子線のような電離放射線の照射によりアニオンを発生させる化合物が含まれる。
【0031】
光アニオン重合開始剤としては、例えば、紫外線照射によりアミンを発生する化合物、より具体的には、1,10‐ジアミノデカンや4,4’‐トリメチレンジピペリジン、カルバメート類及びその誘導体、コバルト‐アミン錯体類、アミノオキシイミノ類、アンモニウムボレート類等を例示することができ、市販品としては、みどり化学(株)製NBC‐101がある。光アニオン重合開始剤は、記録されたホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるのが好ましい。
【0032】
最も一般的な可視像としてのホログラムを記録するために、特に可視レーザー光、例えば、アルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、YAGレーザー(532nm)等を選択的に使用する場合や、或いは、干渉露光の感度を向上させるために、光アニオン重合を起こし得る波長帯域を広げたい場合には、各レーザー光波長における感度を向上させる目的で、増感色素を添加することができる。
【0033】
増感色素としては、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素等が例示される。可視光領域に吸収波長を有する増感色素は、光学素子のような高透明性が要求される場合には、ホログラム記録後の後工程、加熱や紫外線照射により分解等により無色になるものが好ましい。
【0034】
本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物には、必要に応じて上記以外の成分を配合してもよい。例えば、ホログラム膜の製品の膜強度を向上させる目的で、上記バインダーポリマーとは別に比較的少量のバインダー成分を配合することが出来る。
【0035】
本発明は干渉露光時にラジカル重合を利用しなくても強露光部で屈折率変調成分を重合させ、蓄積できることを大きな利点の一つとしていることから、本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物には、光ラジカル重合反応を生じる成分系を実質的に含有させないことが好ましい。ここで、光ラジカル重合反応を生じる成分系には、可視又は不可視領域の光照射により直接ラジカル重合反応を起こし得る化合物のみからなる単独成分系、及び、光ラジカル重合開始剤と当該開始剤の作用によりラジカル重合を起こし得る複合成分系の両方が含まれる。
【0036】
ただし、光ラジカル重合開始剤の作用によりラジカル重合を起こすが、光ラジカル重合開始剤の非共存下では光照射を受けてもラジカル重合を起こさない化合物は、それ単独では光ラジカル重合反応を生じる成分系に該当しない。従って、そのような化合物がアニオン重合も可能な場合には、干渉露光時に強露光部の屈折率を変調させるアニオン重合性化合物として本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物に配合することができる。
【0037】
また、本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物には、干渉露光時の屈折率変調作用に実質的な悪影響を及ぼさない範囲であれば、単独で光ラジカル重合反応を起こし得る何らかの化合物が配合されていてもよい。
【0038】
屈折率変調成分であるアニオン重合性化合物は、バインダーポリマー100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部の割合で使用される。
【0039】
光アニオン重合開始剤は、バインダーポリマー100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは5〜10重量部の割合で使用される。
【0040】
増感色素は、バインダーポリマー100重量部に対して0.01〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部の割合で使用される。
【0041】
上記したような各材料を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤に溶解することにより、本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性組成物としての塗布液を調製することができる。ただし、アニオン重合性化合物が常温で液状の場合には、塗工溶剤の使用量を減らすことができ、塗工溶剤が全く必要ない場合もある。
【0042】
上記塗布液を、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等の方法により適切な基材フィルム、ガラス基板等の支持体に塗布し、乾燥させることによってホログラム記録材料層が形成され、体積型ホログラム記録用感光性媒体が得られる。体積型ホログラム記録材料層の厚みは1〜100μm、好ましくは10〜40μmとするのが良い。
【0043】
体積型ホログラム記録用感光性媒体の基材フイルムとしては、透明性を有するものであり、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリフッ化エチレン系フイルム、ポリフッ化ビニリデンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリ塩化ビニリデンフイルム、エチレン−ビニルアルコールフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、ポリメチルメタクリレートフイルム、ポリエーテルスルホンフイルム、ポリエーテルエーテルケトンフイルム、ポリアミドフイルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合フイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム等のポリエステルフイルム、ポリイミドフイルム等の樹脂が例示され、膜厚としては2〜200μm、好ましくは10〜50μmである。
【0044】
また、乾燥後の体積型ホログラム記録材料層に粘着性がある場合、保護フィルムとして、上記基材フィルムで例示されているフィルムをラミネートすることができる。この場合、ラミネートフィルムの体積型ホログラム記録材料層との接触面は、後から剥がしやすいように離型処理されていても良い。
【0045】
こうして得られた体積型ホログラム記録用感光性媒体は基材フィルム上にホログラム記録材料層を設けたものであり、当該ホログラム記録材料層は、必須成分として、バインダーポリマー、アニオン重合性化合物、及び、光照射によりアニオンを発生する光アニオン重合開始剤を含有してなるものである。また、当該ホログラム記録材料層には、必要に応じて可視光増感剤も含有している。
【0046】
本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性媒体には、従来から知られている方法により干渉露光を行って体積型ホログラムを形成することが出来る。
【0047】
例えば、体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層にホログラム原版を向き合わせて密着させ、透明基材フィルム側から可視光、或いは紫外線や電子線のような電離放射線を用いて干渉露光を行うことにより体積型ホログラムが形成される。
【0048】
また、干渉露光による屈折率変調を促進し或いは重合反応を完結させるのために、干渉露光後に紫外線による全面露光や加熱等の処理を適宜行うことができる。なお、本発明においては上述したように、未反応のアニオン重合性化合物の残留を少なくできるので、後処理の露光エネルギー又は加熱エネルギーを節約し、或いは、後処理自体を省略することができる点で有利である。
【0049】
本発明における体積型ホログラム記録用感光性組成物の体積型ホログラム記録メカニズムは、従来から言われているメカニズムと基本的に同様であると考えられる。すなわち、フィルム状に形成された該感光性組成物を干渉露光すると、光が強い部分にて光重合、ただし本発明においては光アニオン重合が開始され、それに伴いアニオン重合性化合物の濃度勾配ができ、光が弱い部分から強い部分にアニオン重合性化合物の拡散移動が起こる。結果として干渉光の光の強弱に応じて、アニオン重合性化合物の疎密ができ、屈折率の差として現れる。この屈折率差が干渉縞となり、体積型ホログラムが形成される。
【0050】
Kogelnikの理論より計算されるΔnは感材中に入射した干渉光に応じて形成される屈折率分布における屈折率差を示すものであるが、このΔnが大きい程、優れたホログラムとなる。本発明においても、このKogelnikの理論より計算されるΔnにより、干渉露光の強露光部と弱露光部又は非露光部の間の屈折率差を評価することが出来る。干渉露光の強露光部と弱露光部又は非露光部の間の屈折率差は、どちらの屈折率が大きくてもよいが、両者の屈折率差が少なくとも0.01以上あることが望ましい。
【0051】
このようにして本発明に係る体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層は干渉露光により干渉縞を生じてホログラム層となり、体積型ホログラムが得られる。
【0052】
また、上述したところから明らかなように、本発明における体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層は、アニオン重合性化合物を屈折率変調成分として用いており、屈折率変調成分としてラジカル重合性化合物やカチオン重合性化合物を用いる場合と比べて、強露光部において高分子量化させ易く、且つ、分子量分布も狭くできるので、最終的に得られるホログラム膜の強靭性、耐熱性などの物性を向上させる効果もある。
【0053】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づき説明する。
【0054】
(実施例1)
(1)体積型ホログラム記録用感光性組成物溶液の調製
下記成分及び溶剤を混合し、体積型ホログラム記録用感光性組成物溶液を調製した。
【0055】
<体積型ホログラム記録用感光性組成物溶液の組成>
・ポリメチルメタクリレート(Elvacite 2041、デュポン製):100重量部
・ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル:60重量部
・4,4’‐トリメチレンジピペリジン:3重量部
・3‐エチル‐5‐[(3‐エチル‐2(3H)‐ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]‐2‐チオキソ‐4‐オキサゾリジノン(NK‐1473、(株)林原生物化学研究所製):0.02重量部
・メタノール:30重量部
・メチルエチルケトン:30重量部
【0056】
(2)体積型ホログラム記録用感光性媒体の作製
上記溶液を38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ製ルミラーT‐60)上にバーコーターを使用して、乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、体積型ホログラム記録用感光性媒体を作製した。
【0057】
次に、体積型ホログラム記録用感光性媒体のホログラム記録材料層側をミラーにラミネートし、PET側から514.5nmアルゴンイオンレーザー光を入射して干渉露光を行い、体積型ホログラムを記録した。
【0058】
次に、加熱、紫外線重合により干渉縞を固定し、体積型ホログラムを得た。分光評価結果から計算した結果、屈折率変調量Δnは0.026であった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体は、屈折率変調成分としてアニオン重合性化合物を用いることにより、干渉露光時に当該アニオン重合性化合物の残留を少なくすることができる。そのため、干渉露光後に高エネルギーの紫外線を干渉露光面に全面照射したり或いは高温に加熱するなどして強露光部の反応を促進させる必要はなく、比較的小エネルギーの紫外線を全面照射するか、弱い加熱により後処理を行うだけで、或いは、そのような後処理を全く行わなくても、干渉露光を最後まで完結させ、干渉縞を固定し、ホログラム膜の製品を化学的に安定化させ、さらには人体に接触した時の安全性を向上させることができ、経済性に優れている。
【0060】
また、本発明の体積型ホログラム記録用感光性組成物及び体積型ホログラム記録用感光性媒体は、アニオン重合性化合物を屈折率変調成分として用いるので、屈折率変調成分としてラジカル重合性化合物やカチオン重合性化合物を用いる場合と比べて、強露光部において高分子量化させ易く、且つ、分子量分布も狭くすることができ、最終的に得られるホログラム膜の強靭性、耐熱性などの物性を向上させる効果もある。
Claims (2)
- 必須成分として、
ガラス転移温度が180℃以下のバインダーポリマー、
電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合構造、環状エーテル構造、ラクトン構造、ラクタム構造、環状ウレタン構造、環状尿素構造、又は、環状シロキサン構造を有するモノマーの中から選ばれるアニオン重合性化合物、
光照射によりアニオンを発生する光アニオン重合開始剤、及び、
加熱又は紫外線照射により分解し無色になる可視光増感剤を含有することを特徴とする体積型ホログラム記録用感光性組成物。 - 必須成分として、
ガラス転移温度が180℃以下のバインダーポリマー、
電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合構造、環状エーテル構造、ラクトン構造、ラクタム構造、環状ウレタン構造、環状尿素構造、又は、環状シロキサン構造を有するモノマーの中から選ばれるアニオン重合性化合物、
光照射によりアニオンを発生する光アニオン重合開始剤、
及び、加熱又は紫外線照射により分解し無色になる可視光増感剤、
を含有する体積型ホログラム記録材料層を、基材上に設けたことを特徴とする体積型ホログラム記録用感光性媒体。
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