JP4724574B2 - シャフトの延長方法、及びその延長したシャフト構造 - Google Patents
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また、図示しないクラッチレバーの操作により、前記プレッシャプレート25が前記付勢力に抗して図中左方向へ引かれれば、クラッチディスク22とフリクションディスク32との係合は解除され、クランクシャフトからメインシャフトSへの回転の伝達は遮断される。
このため、従来は、エンジンあるいはミッションを分解して、クランクケース内から上記シャフトを取り出し、その強化クラッチに対応した長いシャフト(図8に実線で示す「長いシャフト本体20’」参照)を組み込む必要があった。相対的に長いシャフトを組み込めば、そのシャフトの端部がクランクケースの外側に大きく突出するので、強化クラッチを安定的に取付けできるようになる。
また、メインシャフトを交換するために、エンジンあるいはミッションを分解することは、大がかりな作業を伴うので、時間を要するとともにその作業はコスト高でもある。したがって、メインシャフトを交換することなく、より簡単に強化クラッチを取付けできる手法が望まれている。
また、シャフト本体とアダプタとは、両者が嵌められた状態で、前記嵌合溝に突条が嵌って相互に軸周り回転不能な状態にあるので、前記スリーブの係止部が前記アダプタの被係止部に係合して前記アダプタとスリーブとの相対回転が阻止されれば、スリーブの係止爪がシャフト本体の係止溝に嵌った状態にロックされる。このため、シャフト本体、アダプタ及びスリーブの3者が、軸方向、軸周り不動に一体に固定されるようになる。
シャフト本体にアダプタが取付けられれば、メインシャフトの軸方向長さが延長されるので、シャフトを交換することなく、軸方向寸法の大きい強化クラッチを取付けできるようになる。
シャフト本体20は、出荷時にミッションに装備されているものであり、その一端部に設けられたギヤG、及び、そのギヤGに並列して設けた図示しない他のギヤが、ミッションの受け側ドライブシャフトの各ギヤと噛合い可能となっている。
また、前記アダプタ10には、その他端部の外周に軸方向に延びる嵌合溝11aが形成されており、その嵌合溝11aの幅方向縁から周方向へ延びる係止溝11cが形成されている。
なお、このとき、スリーブ1の嵌合爪2は、前記シャフト本体20の嵌合溝20aよりもやや幅が細いので、後述のロック爪4と切欠き14とが係合しない限り、スリーブ1とシャフト本体20とは、若干の軸周り相対回転が可能な状態にある。
なお、このロック爪4及び切欠き14は、それぞれスリーブ1とアダプタ10の他端部に設けられているが、相互に係合する位置関係を有していれば、それぞれスリーブ1とアダプタ10の他端部以外に設けられていても良い。また、爪と切欠き以外の構成からなる係合方法を採用してもよい。
なお、この作業は、クランクシャフト側にクラッチ装置が設けられたタイプの車種において、そのクラッチ装置をミッションのメインシャフト側へ移設するためのメインシャフトの延長作業を想定しており、そのクランクシャフトに設けられた既設クラッチ装置の取外しと、プライマリドライブギヤ等の新設、及びメインシャフトに取付けられていたプライマリドリブンギヤの取外し等の作業は、通常の整備、分解作業の手順と同様であるので、詳細な説明は省略している。
なお、ロック爪4は、アダプタ10への圧入前の状態で、スリーブ1の外周面よりも外側に突出しており、アダプタ10への圧入後は、そのアダプタ10の内周面に当接してやや内側に押された状態となっている(図4(a)参照)。
また、アダプタ10内周の前記突条10bと、スリーブ1の鉤状部(前記嵌合爪2及び係止爪3)とは、その周方向位置を揃えた状態となっている。
このとき、スリーブ1のロック爪4が、アダプタ10の切欠き14に嵌って、スリーブ1とアダプタ10とが軸周り回転しないように固定される。また、ロック爪4は、スリーブ1の外周面よりも外側に突出しているので、そのロック爪4が切欠き14の底部に当たり、スリーブ1とアダプタ10とを軸方向にも固定する機能を有する。
シャフト本体20からアダプタ10を引張って、がたつきのないこと、外れないことを確認すれば、アダプタ10の取付けを終了する。
クラッチハウジング30の内周側に、プレッシャプレート25とともに、複数枚のフリクションディスク32とクラッチディスク22とを交互に取付ける。このとき、フリクションディスク32の外周突部をクラッチハウジング30の内周溝に合わせて嵌め込み、同時にクラッチボス23のスプライン23aを、アダプタ10のスプライン(前記嵌合溝11a及び突条11b)に噛み合うように取り付ける。その後、アダプタ10に形成された係止溝11cにスナップリング26を嵌めることにより、前記クラッチ装置Cを前記アダプタ10から抜け止めする。プレッシャプレート25のボス部にクラッチスプリング24を入れて、クラッチリフタープレート27をプレーンワッシャとボルトで取付ける。最後に、クランクケースカバーとクラッチケーブルを取付ける。
2 嵌合爪
3 係止爪
4 係止部(ロック爪)
5 保持部
5a 穴
10 アダプタ
10a,11a,20a 嵌合溝
10b,11b,20b 突条
11c,20c,20c’ 係止溝
10d 軸方向端部
14 被係止部(切欠き)
20 シャフト本体
21 ベアリング
22 クラッチディスク
23 クラッチボス
24 クラッチスプリング
25 プレッシャプレート
26 スナップリング
27 クラッチリフタープレート
30 クラッチハウジング
31 プライマリドリブンギヤ
32 フリクションディスク
40 スラストベアリングシート
41 スラストベアリング
42 スラストワッシャ
C クラッチ装置(クラッチASSY)
G ギヤ
S メインシャフト
Claims (4)
- 二輪車用のミッションに組み込まれるメインシャフト構造において、
その一端部がクランクケースB内に挿入されるとともに、他端部の外周に軸方向に延びる嵌合溝20aが形成され、その嵌合溝20aの幅方向縁から周方向へ延びる係止溝20cが形成されたシャフト本体20と、前記シャフト本体20の前記他端部の外周に嵌るスリーブ1と、その内周に前記スリーブ1を圧入可能な筒状のアダプタ10とを備え、
前記スリーブ1は、その一端部に軸方向に突出する嵌合爪2と、その嵌合爪2の先端から周方向に延びる係止爪3を有するとともに、そのスリーブ1の外周に係止部4を有し、
前記アダプタ10は、その一端部に前記嵌合溝20a内に嵌る突条10bが形成されるとともに、そのアダプタ10の内周に前記係止部4が係合される被係止部14を有しており、
前記スリーブ1が前記アダプタ10内に圧入されて、前記嵌合爪2の先端が前記突条10bの軸方向他端部側縁10dに当接し、その突条10b及び嵌合爪2が前記嵌合溝20a内に嵌るとともに、前記係止爪3が前記係止溝20cに収納されて前記アダプタ10とシャフト本体20との軸方向移動を阻止し、且つ、前記係止部4が前記被係止部14に係合して前記アダプタ10とスリーブ1との軸周り回転を阻止したことを特徴とする二輪車用ミッションのメインシャフト構造。 - 前記アダプタ10には、その他端部の外周に軸方向に延びる嵌合溝11aが形成され、その嵌合溝11aの幅方向縁から周方向へ延びる係止溝11cが形成されており、前記嵌合溝11aに噛み合う突条を有するクラッチ装置Cを前記アダプタ10の外周に組み込むとともに、前記係止溝11cにスナップリング26を嵌めることにより、前記クラッチ装置Cを前記アダプタ10から抜け止め可能としたことを特徴とする請求項1に記載の二輪車用ミッションのメインシャフト構造。
- 請求項1又は2に記載の二輪車用ミッションのメインシャフト構造とするためのシャフトの延長方法であって、
その一端部がクランクケースB内に挿入されるシャフト本体20の他端部の外周に、軸方向に延びる嵌合溝20aが形成され、その嵌合溝20aの幅方向縁から周方向へ延びる係止溝20cが形成されており、
一端部の内周に前記嵌合溝20a内に嵌る突条10bが形成されたアダプタ10内に、その一端部に軸方向に延びる嵌合爪2とその嵌合爪2の先端から周方向に延びる係止爪3を有するスリーブ1を前記アダプタ10の他端部側から圧入して、前記嵌合爪2の先端を前記突条10bの軸方向他端部側縁10dに当接させ、前記アダプタ10内に、前記シャフト本体20の他端部を前記アダプタ10の一端部側から差し込んで、前記突条10b及び嵌合爪2を前記嵌合溝20a内に嵌めるとともに、スリーブ1を軸周り回転させて前記係止爪3を前記係止溝20c内に収納して前記アダプタ10とシャフト本体20との軸方向移動を阻止し、その状態で、スリーブ1の外周に設けた係止部4を、前記アダプタ10の内周に設けた被係止部14に係合して前記アダプタ10とスリーブ1との軸周り回転を阻止することを特徴とするシャフトの延長方法。 - 請求項3に記載のシャフトの延長方法であって、前記シャフト本体20は、二輪車用ミッションに組み込まれた状態にあり、前記シャフト本体20の他端部が、ミッションを収納したクランクケースBから外側に突出していることを特徴とするシャフトの延長方法。
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