JP4724323B2 - ポリウレタン多孔質体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧用のパフ、各種半導体、光学材料等の研磨パット、吸水性ロール、人工皮革、合成皮革等に好適であり、これら各種製品に広く応用し得る、吸水性に優れた、表面にスキン層がなく、全体が緻密かつ均一な微細多孔質構造を有するポリウレタン多孔質体およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリウレタン多孔質体は、ポリウレタン樹脂エマルジョンを、水溶性ポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、デンプン等の水溶性高分子化合物の存在下に感熱ゲル化を行った後、架橋剤により架橋反応させ、不溶化させ、水洗を行うことで製造されている。
【0003】
この製造法においては、架橋反応の終了後に、不要となった水溶性ポリマーを水洗し、完全に除去しなければならず、その水洗にかなりの時間を要し、極めて非効率的であり、その生産性を損なう原因ともなっていた。
【0004】
したがって、ポリウレタン多孔質体の生産性を上げるためには、ポリウレタン樹脂エマルジョンの感熱ゲル化の反応性を高めることと、架橋反応後の多孔質体から水溶性ポリマーを完全に除去する技術の開発が求められていたが、いまだ十分な解決がなされていないのが現状である。
【0005】
かかる問題点を解決するポリウレタン多孔質体の製造法として、いわゆる、強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを用い、必要に応じて水溶性高分子化合物を構造粘性付与剤、すなわち粘度調整剤として添加し、かかる強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンの架橋剤として水溶性ポリイソシアネート化合物を使用したポリウレタン多孔質体の製造法がある。
【0006】
この場合の架橋剤として使用する水溶性ポリイソシアネート化合物は、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーが、重亜硫酸ナトリウム、メチルエチルケトンオキシム、フェノール等でマスクされた水溶性ポリイソシアネート化合物であり、ポリウレタン樹脂エマルジョン中の水分によりマスクされたイソシアネート基が解離して、この遊離した末端イソシアネート基がポリウレタン樹脂と反応し、強固な分子構造を形成することで不溶化し、耐水性の連続気泡を有するポリウレタン多孔質体になるものと考えられている。
【0007】
しかしながら、水溶性ポリイソシアネート化合物における重亜硫酸ナトリウム、メチルエチルケトンオキシムあるいはフェノール等でマスクされた末端イソシアネート基が解離した段階では、遊離したイソシアネート基はエマルジョン中の低分子化合物である水分子と優先的に反応をしてしまう傾向が強く、乳化剤で被覆されていて、しかも高分子量のポリウレタン樹脂との架橋反応が優先されにくいものである。そのうえ、水分子とイソシアネート基との反応では必ず二酸化炭素(炭酸ガス)が生成し、水中に放出されるため、多孔質体の中心部にこの二酸化炭素が蓄積し、粗大セルを形成させる原因となり、得られたポリウレタン多孔質体が粗大セル化、または巨大セル化する、あるいは亀裂発生の原因になり、均質な微細孔を有するポリウレタン多孔質体を得ることは困難なものであった。
【0008】
このような不都合を避けるため、イソシアネート化合物以外の架橋剤として、例えば、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物等が検討されてきたが、いずれも、水分の存在下でのウレタン樹脂との反応性が欠しいか、または架橋反応に伴う主剤のポリウレタン樹脂エマルジョンに対するゲル化効果も極めて低いものであり、目的とする微細孔を有するポリウレタン多孔質体を得ることは困難であった。
【0009】
かかる現象を抑制させるため、ポリウレタン樹脂エマルジョンの感熱ゲル化段階における、ポリウレタンエマルジョン粒子のブロック構造化を強固なものとする処方が研究され、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール変性シリコンオイルなどの有機系化合物や、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化カルシウム等の無機化合物を併用することによるポリウレタン多孔質体の製造法の研究が行われてきた。
【0010】
しかしながら、この場合にあっても、ポリウレタン樹脂に対する架橋剤として使用する水溶性ポリイソシアネート化合物は、マスクされたイソシアネート基が解離した段階では、遊離したイソシアネート基が優先的に水と反応して、二酸化炭素を発生させるものであり、ポリウレタン多孔質体の粗大セル化や、亀裂発生を根本的に解決し得る製造法ではなかった。
【0011】
一般に、ポリウレタン樹脂エマルジョンを感熱ゲル化し、次いで架橋剤による架橋反応によりポリウレタン多孔質体を得る場合においては、感熱ゲル化の段階では、ポリウレタン樹脂エマルジョン粒子同士が強力なブロック構造を形成し、そのブロック構造を維持したまま、加熱によりポウレタン樹脂が連結してゲル化し、この過程で水溶性ポリイソシアネート化合物等の架橋剤がポリウレタン樹脂と反応して、より一層強固な分子構造を形成することで不溶化し、耐水性に優れた連続気泡を有するポリウレタン多孔質体になると考えられている。
【0012】
したがって、緻密で均一な多孔質体を製造する場合の重要な要素としては、ポリウレタン樹脂エマルジョン粒子同士の強固なブロック構造の形成と、かつ、そのブロック構造を維持したまま、加熱によるポリウレタン樹脂の連結/ゲル化融着であるといえる。
【0013】
しかしながら、ポリウレタン樹脂エマルジョンの感熱ゲル化にあったっては、これまでは、ポリウレタン樹脂エマルジョンを含有する加熱容器を、容器外側から単純に熱媒体あるいは加熱空気により加熱する手段が採用されていた。この方法では、加熱容器側壁部に接した部分、あるいはポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液の表面部分からのみ液温が上昇するため、加熱容器内部で、加熱による温度差に起因する流動現象が生じ、そのため得られるポリウレタン多孔質体が極めて不均一なものとなっていた。
【0014】
これらの点から判断すると、所望の緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を製造するためには、第一に、ポリウレタン樹脂に対する架橋剤としての水溶性ポリイソシアネート化合物が、エマルジョン中の水との反応による二酸化炭素の生成に起因する巨大セルの発生を回避し、ポリウレタン樹脂との反応性を優先させるものであること、第二に、ポリウレタン樹脂エマルジョンに対し、エマルジョンの粘度の高低を問わずに、エマルジョン粒子を強固にブロック構造化させるとことができると共に、ゲル化段階では強固なブロック構造を維持したままポリウレタン樹脂を連結させ得る、ゲル化効果の大きな架橋剤を使用すればよいこと、第三に、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液の感熱ゲル化において、混合溶液系全体のゲル化を安定に生じさせると共に均一化させ、しかもエマルジョン粒子の融着強度を高める加熱手段を採用すればよいといえる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、上記の考え方に立脚し、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液をゲル化し、架橋反応させて得られるポリウレタン多孔質体として、従来の水溶性ポリイソシアネート化合物を使用する場合に認められる巨大セルの発生を回避させると共に、主剤であるポリウレタン樹脂エマルジョンに対するゲル化効果の大きなイソシアネート化合物を使用し、感熱ゲル化に際してエマルジョン混合溶液系全体のゲル化を均一化し、しかもエマルジョン粒子の融着強度を高める加熱手段により、所望の緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を製造する方法を提供することを課題とする。
【0016】
かかる課題を解決するために本発明者は、ポリウレタン樹脂エマルジョン中のポリウレタン樹脂の架橋剤である水溶性ポリイソシアネート化合物の組成およびその使用量の検討を行い、水溶性ポリイソシアネート化合物に対する二次架橋剤として、ポリアミン化合物をゲル化反応の系に併用させること、ならびに感熱ゲル化に際しての加熱手段を検討し、加熱容器を浸漬加熱およびマイクロ波加熱を併用することにより、緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を得ることを新規に見出した。
【0017】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明の基本的態様である請求項1に記載の発明は、ポリウレタン樹脂エマルジョン、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーが重亜硫酸ナトリウムでマスクされたものである水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物を主成分とする混合液を、浸漬加熱すると同時にマイクロ波加熱する均一加熱処理によりゲル化させ、次いで架橋反応をさせることを特徴とするポリウレタン多孔質体の製造方法である。
【0018】
すなわち本発明は、水溶性ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基が解離した場合に、水との反応に優先し、二酸化炭素を発生させないものとしてイソシアネート基との反応性が高いポリアミン化合物を併用させること、併用されたポリアミン化合物とイソシアネート基の反応により水溶性ポリイソシアネートが高分子重合化して水不溶性になると共に、このものがポリウレタン樹脂エマルジョンに対するゲル化剤/架橋剤として作用すること、さらに感熱ゲル化を行うに際してポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液を浸漬加熱すると同時にマイクロ波加熱する均一加熱処理を行うことにより、所望の緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を製造し得ることを新規に見出した。
【0019】
特に本発明の製造方法においては、ポリウレタン樹脂エマルジョン、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物を主成分とする混合液を均一に加熱処理する手段は、具体的には、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合液と該混合液を含有する容器を浸漬する温度調整媒体との両者を、同時にマイクロ波加熱することにより行われる。かかる特異的加熱方法を採用することにより、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液の温度と、その混合溶液を含有する加熱容器を浸漬する温度調整媒体の温度がほぼ同様に変化することとなり、容器内部で混合溶液の加熱による温度差に起因する流動現象が抑制され、感熱ゲル化がポリウレタン樹脂混合溶液系全体で均一に行われ、その結果所望の緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を製造されるのである。
【0021】
この場合のマイクロ波加熱におけるマイクロ波は、周波数300MHzから300GHzの範囲であって、本発明では最も一般的に使用されている2,450MHzのマイクロ波が、そのまま極めて有効に使用できる。
【0022】
また温度調整媒体の量は、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合液を入れる容器の形状等により左右されるが、概ね、容器内のポリウレタン樹脂エマルジョン量の1/10から1/2程度の範囲内である。なおここで、混合液を入れる容器とは、多孔質体を所望の形状に成形するための成形型をいう。この成形型の形状としては、密閉タイプでも、上面開放型であってもよい。容器の材質としては、如何なるものも使用することができるが、マイクロ波の影響によりスパーク等の防止対等を行っておくのが望ましい。
【0023】
ところで本発明者の検討によれば、ポリウレタン樹脂エマルジョンの粒子構造の差異、具体的には、自己乳化型ポリウレタンエマルジョンを使用する場合と、強制乳化型ポリウレタンエマルジョンを使用する場合との差異により、緻密なポリウレタン多孔質体を生成させる重要な要因となるゲル化のメカニズムが、両者で異なることを見出した。
【0024】
すなわち、自己乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用した場合には、室温下にポリアミン化合物が分子内のカルボン酸基と反応し、不溶性の塩を作ることでゲル化を生じ、次いで、加熱による水溶性ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基の解離により再生するイソシアネート基が、ポリアミン化合物と反応して水溶性ポリイソシアネート化合物の鎖伸張反応が生じ、この反応過程でポリウレタン樹脂エマルジョン粒子を取り込んで、緻密な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体となると考えられる。
【0025】
これに対し、強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用した場合には、強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンの表面が乳化剤で被覆されているために、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物との混合物は、室温下において極めて安定であり、この段階ではゲル化は生じない。したがって、この混合物が加熱されることにより、曇点や、pH変化による混合液の不安定化からのゲル化現象と、水溶性ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基の解離により再生するイソシアネート基が、ポリアミン化合物と反応して水溶性ポリイソシアネート化合物の鎖伸張反応による硬化物生成がほぼ同時に生じ、この反応過程でポリウレタン樹脂エマルジョン粒子を取り込んで、緻密な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体となると考えられる。
【0026】
したがって本発明は、請求項1に記載の製造方法において使用するポリウレタン樹脂エマルジョンとしては、自己乳化型ポリウレタンエマルジョンまたは強制乳化型ポリウレタンエマルジョンを使用することができる。
【0027】
また請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の製造方法において、さらに水溶性高分子化合物を存在させて行うポリウレタン多孔質体の製造方法である。この場合に添加される水溶性高分子化合物は、ポリウレタン樹脂エマルジョンに対する構造粘性付与剤、すなわち粘度調整剤としての役割も果たすものであり、ポリウレタン樹脂エマルジョン中のエマルジョン粒子がブロック化する際の吸着サイトとして作用すると考えられる。
【0028】
さらに請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の製造方法において使用する水溶性ポリイソシアネート化合物として、より具体的には、末端イソシアネート基が重亜硫酸ナトリウムによりマスクされたイソシアネート化合物を使用するポリウレタン多孔質体の製造方法である。
【0029】
かかる水溶性ポリイソシアネート化合物を使用することにより、低温での末端イソシアネート基の解離が生じる。ここで再生したイソシアネート基は、ポリアミン化合物と反応して、水溶性ポリイソシアネート化合物を水不溶化にさせると共に、一部のイソシアネート基が主剤のポリウレタン樹脂と反応し、主剤のポリウレタン樹脂エマルジョンをゲル化させ、目的とする緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を製造し得る特徴を有する。
【0030】
【発明の実施の形態】
上記したように本発明で使用しうるポリウレタン樹脂エマルジョンとしては、基本的には、強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンあるいは自己乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョン等のいずれも使用が可能である。自己乳化型ポリウレタンエマルジョンとは、ポリウレタンエマルジョンのなかでカルボン酸基が存在するもの全てを意味し、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の、分子内にカルボン酸基を有するポリヒドロキシ化合物を共重合することで得ることができる。
一方、強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンとは、カルボン酸基を有しない、強制的に乳化したポリウレタン樹脂エマルジョンを意味する。
【0031】
このポリウレタン樹脂エマルジョンの組成としては、ポリオール成分とポリイソシアネート成分からなるものであり、ポリオール成分としては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ−2−メチルテトラメチレングリコール、ポリブタンジオールアジペート、ポリ−3−メチルペンタンジオールアジペート、ポリ−1,6−ヘキサンジオールアジペート、ポリネオペンチルグリコールアジペート、ポリ−3−メチルペンタンジオールカーボネート、ポリノナンジオールカーボネート、ポリエチレングリコールアジペート、ポリカプロラクトン、ポリ−β−メチルバレロラクトン等を単独、または併用して使用することができる。
【0032】
さらに、ポリオール成分としての短鎖ジオール化合物としては、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、ノナンジオール、オクタンジオール、ジメチロールヘプタン等のグリコールおよび上記したジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等が使用可能である。
【0033】
一方ポリイソシアネート成分であるジイソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジエニルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が使用できる。
【0034】
また鎖伸張剤として短鎖ジアミン化合物を使用することもできる。そのような短鎖ジアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ビス(p−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ヒドラジン、ピペラジン、テトラエチレンペンタミン等が使用できる。
【0035】
ポリウレタン樹脂エマルジョンの合成は、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の有機溶媒を用いて、プレポリマー合成時の粘度を下げてそのままポリウレタンエマルジョン中に残存させてもよく、一部減圧蒸留により除去してもよい。
【0036】
本発明のポリウレタン樹脂エマルジョンに対するゲル化剤/架橋剤として使用する水溶性ポリイソシアネート化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフラン/2−メチルテトラヒドロフランランダム共重合体、ポリブタンジオールアジペート、ポリエチレングリコールアジペート、ポリヘキサンジオールアジペート、ポリネオペンチルグリコールアジペート、ポリ−3−メチルペンタンジオールアジペート等のジヒドロキシ化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボネンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等のジイソシアネートとの付加反応物であり、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを合成した後、末端のイソシアネート基を重亜硫酸ナトリウム、メチルエチルケトンオキシム、フェノール等の化合物でマスク(ブロック)したものである。
【0037】
そのなかでも、低温状態でイソシアネート基を解離しやすいものが好ましく、特に、重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)によるブロック体が最も好ましく使用される。これらの水溶性ポリイソシアネート化合物にあっては、その水溶液または水分散液を使用することができる。使用可能なものとしては、具体的には、第一工業製薬製のエラストロンBAP、エラストロンE−37、日華化学製エバファノールAL−3等を挙げることができる。
【0038】
これらの水溶性ポリイソシアネート化合物中における有効な潜在イソシアネート%(NCO%)は、2〜15%の範囲であり、一般的には、これらの10〜30%水溶液または水分散液が使用される。
【0039】
本発明のポリウレタン樹脂エマルジョンに対するゲル化反応/架橋反応に使用する上記の水溶性ポリイソシアネートの使用量としては、具体的には、固形分25〜60%のポリウレタン樹脂エマルジョン100重量部あたり、これらのゲル化促進剤(兼架橋剤)を50〜200重量部使用するのが好ましい。この量が少ないと、ポリウレタン樹脂エマルジョンのゲル化は十分に進行せず、また、反面多すぎると多孔質体構造が粗大化する場合がみられる。
【0040】
一方、水溶性ポリイソシアネート化合物に対する二次架橋剤として使用するポリアミン化合物は、水溶性ポリイソシアネート化合物を加熱した際に、末端に解離・生成したポリイソシアネート基との反応に関し、水との競争反応に打ち勝つと共に、水溶性ポリイソシアネート化合物を確実に水に不溶化し、かつ、ポリウレタンエマルジョンをゲル化するために使用されるものである。
【0041】
そのようなポリアミン化合物としては、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,3−アミノメチルシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−アミノプロポキシ)ブタン、1,2−ビス(アミノエトキシ)エタン、2−ヒドロキシルアミノプロピルアミン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,3−ビス−(3−アミノピロポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、N,N’−ビスアミノプロピル−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビスアミノプロピル−1,4−ブチレンジアミン、ポリエチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ノルボルナンジアミン、プロピレンジアミン、ヒドラジンヒドラート、テトラエチレンペンタミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−アミノメチルピペラジン、ホモピペラジン、4−アミノメチルピペリジン、(3R)−(+)−3−アミノピロリジン、(3S)−(−)−3−アミノピロリジン等が使用できる。
【0042】
また、ポリプロピレンオキサイドのジアミン末端物、例えば、α,ω−ジアミノポリプロピレンオキサイド、およびポリアミン末端物、例えば、トリメチロールプロパンまたはグリセリンのプロピレンオキサイド付加物で末端アミノ基を有するもの等を使用することもできる。ポリプロピレンオキサイドのジアミン末端物としの分子量は、例えば230〜2,000程度のものが使用でき、また、ポリアミン末端物の分子量としては、例えば480〜5,000程度のものが使用できる。
【0043】
これらのポリアミン化合物の使用量は、本発明者の検討によれば、水溶性ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に対して、60〜100%の等量比が好ましい。50%以下ではイソシアネート基と水との反応により生成する炭酸ガスによる粗大孔および亀裂発生がみられる。また100%を越える場合には、炭酸ガスの発生は完全に抑制できるものの、多孔質体の形成が困難なものとなる。
【0044】
本発明のポリウレタン樹脂エマルジョンのゲル化/架橋化に際して、上記したポリウレタン樹脂エマルジョン、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物以外に、水溶性高分子化合物をさらに添加することもできる。
【0045】
かかる水溶性高分子化合物は、ポリウレタン樹脂エマルジョンが感熱ゲル化する際の凝集剤として機能するもの、すなわち、ポリウレタン樹脂エマルジョン中のエマルジョン粒子がブロック化する際の吸着サイトとして部分的に作用し、ゲル化前の状態における、いわば構造粘性を形成するもの(構造粘性付与剤)と考えられる。
【0046】
使用可能な構造粘性付与剤である水溶性高分子化合物としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性高分子化合物の添加量としは、概略ポリウレタン樹脂エマルジョンに対し1〜10%程度の範囲内であり、あらかじめ水溶液として調製しておいたものを添加するのが好ましい。
【0047】
本発明が提供するポリウレタン多孔質体の製造方法は、基本的には、ポリウレタン樹脂エマルジョン、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物を主成分とし、さらに所望により水溶性高分子化合物を含有するポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液を、浸漬加熱およびマイクロ波加熱を併用して均一に加熱してゲル化を行うと共に架橋反応を行い、さらに水洗することにより製造することができる。
【0048】
なおこの場合、使用するポリウレタン樹脂エマルジョンとして自己乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用する場合と、強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用する場合では、ゲル化の過程が異なるものである。すなわち、自己乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用した場合には、ポリウレタン樹脂エマルジョン、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物、さらに所望により水溶性高分子化合物を含有する混合溶液は、室温下であっても、ポリウレタン樹脂エマルジョン中のエマルジョン粒子同士を、吸着させ、ブロック化し、次いでそのブロック化した分散状態を維持たままゲル化が進行する。次いで、加熱による水溶性ポリイソシアネート化合物の末端イソシアネート基の解離により再生するイソシアネート基が、ポリアミン化合物と反応して水溶性ポリイソシアネート化合物の鎖伸長反応が生じ、この反応過程でポリウレタン樹脂エマルジョン粒子を取り込んで、緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体が製造される。
【0049】
すなわち、自己乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用した場合のポリウレタン樹脂エマルジョンのゲル化/架橋反応におけるポリウレタン多孔質体の製造においては、ポリウレタン樹脂エマルジョン、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物、さらに所望により水溶性高分子化合物を含有する配合液は、自己乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンのカルボキシル基とポリアミン化合物との反応が進行し、不溶性の塩を作ることでゲル化が生じる。次いで、加熱されることにより、水溶性ポリイソシアネート化合物における末端イソシアネート基のブロック部分の解離反応が生じ、その結果、遊離したイソシアネート基がポリウレタン樹脂と架橋反応し、エマルジョン粒子を取り込んで、より一層強固な分子構造、いわゆるポリウレタンポリウレア構造を形成することにより、耐水性に優れた連続気孔を有する多孔質体になると考えられる。
【0050】
一方、強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用した場合には、ポリウレタン樹脂エマルジョン、水溶性ポリイソシアネート化合物、水溶性高分子化合物を含有する混合溶液は、通常室温下で安定であるため、このままではゲル化は生じない。しかしながら、水溶性ポリイソシアネート化合物として重亜硫酸ナトリウムによるブロック体を使用し、ポリアミンを添加すると室温下であっても徐々にゲル化が進行する。
【0051】
すなわち、強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョン、重亜硫酸ナトリウムブロック化水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物、さらに所望により水溶性高分子化合物を含有する混合溶液は、室温においても水溶性ポリイソシアネート化合物における重亜硫酸ナトリウムブロックの一部が解離し、その結果、遊離したイソシアネート基がポリアミン化合物と反応して高分子化し、水溶性ポリイソシアネート化合物の不溶化が生じる。
【0052】
ついで、ポリウレタン樹脂エマルジョンの粒子同士の吸着、さらにはポリウレタン樹脂エマルジョンの粒子の不溶化した水溶性ポリイソシアネート化合物への吸着が生じ、ゲル化反応が進行する。次いで加熱することにより、粒子同士の結合がより強固になると共に、水溶性ポリイソシアネート化合物のブロックの解離がより完全に進行し、ポリウレタン樹脂との架橋反応をする。その結果、より強固な分子構造を形成し、耐水性に優れた連続気孔を有する多孔質体をなると考えられる。
【0053】
したがって、ポリウレタン樹脂エマルジョンをゲル化させ、さらに架橋反応させる条件としては、ポリウレタン樹脂エマルジョン、重亜硫酸ナトリウムブロック化水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物、さらに所望により水溶性高分子化合物を含有する混合溶液を室温にてゲル化させ、次いで好ましくは40〜130℃、さらに好ましくは50〜95℃程度に加熱することにより架橋反応を行わせることにより行うことが可能である。
【0054】
しかしながら、室温にてポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液のゲル化を行う場合にあっては、温度変化や局所的ゲル化による不均一なゲル化状態、例えば沈降や分離といった現象を回避するために、ある一定温度での瞬間的なゲル化を求める原因にもなっている。安定したゲル化に長い時間がかかることは、極めて非効率的であり、その生産性を損なう原因ともなっていた。
【0055】
したがって、室温状態ではゲル化させにくくしておき、加熱を行うことにより感熱ゲル化の反応性を高めて多孔質体の形成を行うことが、製造時間の短縮や均一な多孔質体を製造できることにつながり好ましいものである。しかしながら、液状状態のままの加熱は、従来、加熱容器外部から単純に熱媒体あるいは加熱空気による加熱手段により行われていたものであり、かかる手段では、加熱容器側壁部あるいはポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液の表面部から中心部に向かって温度勾配が生じることうより、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液に流動現象が生じゲル化が不均一になること、さらに側壁部より中心部に向かって徐々にゲル化、架橋反応が進行する傾向があった。その結果、形成される多孔質体の均質性が損なわれ、多孔質体中心部と外縁部で孔の緻密さや強度、弾性感等が異なったものとなる。
【0056】
したがって本発明の製造方法においては、使用するポリウレタン樹脂エマルジョンとして自己乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用する場合であっても、また強制乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョンを使用する場合であっても、製造時間の短縮化のために、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液を浸漬加熱およびマイクロ波加熱を併用した均一加熱処理により行い、所望の緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体の製造を行う点に特徴がある。
【0057】
具体的には、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液を容器に入れ、該容器を温度調整熱媒体に浸漬させ、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液と温度調整熱媒体との両者を、同時にマイクロ波加熱することにより行われる。このマイクロ波加熱により、温度調整熱媒体とポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液はほぼ同時に温度変化をきたすこと、また、加熱容器を浸漬させた温度調整熱媒体が流動し均一化の役目を果たすことより、マイクロ波加熱によりポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液系の全体が均一に温度変化することとなり、加熱容器内部での温度差による流動現象が生じることがない。したがって、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液は、均一なゲル化ならびに架橋反応が生じ、得られるポリウレタン多孔質体は、所望の緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体となるのである。
【0058】
なお、加熱容器としてジャケット付きの容器を用い、ジャケット内部に温度調整熱媒体を充填させ、かかるジャケット付き容器をマイクロ波加熱する手段を採用することも可能である。
このような温度調整熱媒体としては、水単独、あるいは水とエチレングリコールとの混合液、または無機塩水溶液を使用することができる。
また、加熱容器の内面は、架橋反応後の樹脂の付着を防止する目的で、離型性に優れるものとするのが好ましく、特に、所謂フッ素樹脂コーティングしたものが挙げられる。
【0059】
本発明者の検討によれば、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液を含有する加熱容器を温度調整熱媒体に浸漬させることなくマイクロ波加熱のみを行った場合には、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液がゲル化を生じるものの未硬化部分が残り、均一な多孔質体を得ることはできないものであった。また一方、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液を含有する加熱容器を浸漬加熱のみ行うと、短時間でゲル化を生じるが、所望する多孔質体を得るには、高温で長時間を要していた。
【0060】
したがって、本発明はまた別の態様として、本発明の特異的製造方法により製造することが可能となる、極めて緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を提供するものでもあり、具体的な請求項5に記載の本発明は、ポリウレタン樹脂エマルジョンを、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物の存在下にゲル化し、次いで架橋反応させて得られた表面、特に容器に接した面にスキン層がなく、平均セル径が100μ以下で、全体が緻密かつ均一な微細多孔質構造を有することを特徴とするポリウレタン多孔質体を提供するものでもある。
【0061】
本発明におけるゲル化、架橋反応に際しては、その他の成分として着色剤、抗菌剤、消泡剤、増粘剤等、高分子化学品加工上汎用されている他の成分を、必要に応じて併用することもできることはいうまでもない。
【0062】
なお、上記した本発明の製造方法においては、架橋反応の終了後に水洗工程を設けているが、この水洗工程は架橋反応に使用した水溶性ポリイソシアネートのブロック剤、所望により添加した水溶性高分子化合物、あるいはさらに添加した慣用成分としての消泡剤、増粘剤、pH調整剤等を水洗し除去するために行われるものである。
【0063】
以上の製造法により製造される本発明のポリウレタン多孔質体は、緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体であり、その平均セル径は100μ以下、特に表面部から中心部までが5〜50μm程度のポリウレタン多孔質体であり、例えばシート状物として、介護医療用品としてのベッド、健康福祉用品、化粧品用のパフ、研磨材シート、農業資材、電子機器製造関係資材、空気洗浄機器フィルター、人工皮革等の各種製品に使用し得る。
【0064】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0065】
実施例1:
エバファノールAP−EXP.No.AN−12(ポリカーボネート系ポリウレタンエマルジョン;固形分35%;日華化学社製)100g、エバファノールAL−3(水溶性ポリイソシアネート;重亜硫酸ナトリウムブロック型;日華化学社製)100g、10%カルボキシメチルセルロース水溶液15.0g、ヘキサメチレンジアミン4.4g、アデカネートB943(鉱物油系消泡剤;旭電化社製)2.0g、A7180(ポリアクリル酸塩水溶液;粘度調整剤;東亞合成社製)1.0gおよび水15gを秤量し、攪拌機にて均一に混合した。次いでこの混合物をsus304製容器内に入れ、密封した。該容器を、水を温度調整媒体とする容器内に浸漬させ、次いで、この容器を温度調整媒体と共にマイクロ波加熱(2,450MHz、600W、12分処理)した。反応終了後、水洗を行い、乾燥させて本発明のポリウレタン多孔質体を得た。このものは、5〜10μmの緻密な空隙(気孔)を有する均質な多孔質体であった。
【0066】
比較例1:
実施例1において、容器をマイクロ波加熱することなく、水を温度調整媒体とする容器内に浸漬させ60℃にて加熱処理を行い同様に反応処理した。得られたポリウレタン多孔質体は、表面にスキン層がみられ、また多孔質体内部のセル構造は不均一なものであった。
【0067】
比較例2:
実施例1において、容器を、水を温度調整媒体とする容器内に浸漬させることなくマイクロ波加熱処理を行い同様に反応処理した。得られたポリウレタン多孔質体の内部のセル構造は不均一なものであり、中心部付近には未発泡部分のままであった。
【0068】
実施例2:
実施例1と同様の処方によりポリウレタン樹脂エマルジョン混合溶液を得、次いでこの混合溶液をsus304製のジャケット付き加熱容器内に入れ、密封した。加熱容器のジャケット内には温度調整媒体として水を充填させた。次いで、この容器全体をマイクロ波加熱した。反応終了後、水洗を行い、乾燥させて本発明のポリウレタン多孔質体を得た。このものは、5〜10μmの緻密な空隙(気孔)を有する均質な多孔質体であった。
【0069】
実施例3:
実施例1において使用したエバファノールAP−EXP.No.AP−12に代えて、エバファノール APC55(日華化学製)を用い、実施例2と同様に反応処理して、ポリウレタン多孔質体を得た。このものも5〜10μmの緻密な空隙(気孔)を有する均質な多孔質体であった。
【0070】
実施例4:
実施例1において使用したヘキサメチレンジアミンに代えてイソホロンジアミンを使用した以外は実施例2と同様に反応処理し、ポリウレタン多孔質体を得た。このものも5〜10μmの緻密な空隙(気孔)を有する均質な多孔質体であった。
【0071】
実施例5:
実施例1において使用したエバファノールAP−EXP.No.AP−12に代えて、自己乳化型ポリウレタン樹脂エマルジョン(HUX290HM63:旭電化社製)を用い、攪拌機にて均一に混合した。この段階で混合物はゲル化を生じていた。次いでこの混合物をsus304容器内に入れ、密封したのち、水を温度調整媒体とする容器内に浸漬させ、次いで、この容器を温度調整媒体と共にマイクロ波加熱した。反応終了後、水洗を行い、乾燥させて本発明のポリウレタン多孔質体を得た。このものは、5〜10μmの緻密な空隙(気孔)を有する均質な多孔質体であった。
【0072】
本発明が提供するポリウレタン多孔質体の多孔質構造の比較・検討として、上記の実施例1〜5で得た多孔質体について表面スキン層の有無、ならびに多孔質体を均等間隔で3ヶ所切断し、その切断部分における層の空隙状態、亀裂発生の有無、多孔質体の全体の孔密度状態、寸法安定性を検討した。
その結果を以下の表1中にまとめて示した。
【0073】
【表1】
表1
【0074】
【発明の効果】
以上記載したように、本発明はポリウレタン樹脂エマルジョン、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物を主成分とする混合液を、浸漬加熱およびマイクロ波加熱を併用した均一加熱処理によりゲル化させると共に架橋反応させることを特徴とするポリウレタン多孔質体の製造方法を提供するものであり、特に、均一加熱処理手段が、ポリウレタン樹脂エマルジョン混合液、および該混合液を含有する容器を浸漬する温度調整媒体の両者を、同時にマイクロ波加熱することからなる方法を提供する。
【0075】
かかる特異的な加熱方法により、従来の加熱方法でみられていたポリウレタン多孔質体内部のセルの不均一さが回避され、極めて緻密で均一な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を製造することができる利点を有している。
【0076】
また、従来にあってはポリウレタン樹脂エマルジョン混合液のゲル化段階で、長時間室温放置するなど製造時間に長時間要していたものが、本発明の製造方法により1/10程度の短縮化が図れ、製造コストの著しい低減が得られる利点を有している。
【0077】
さらに本発明にあっては、ポリウレタン樹脂エマルジョンを、水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物の存在下にゲル化し、次いで架橋反応させて得られたポリウレタン多孔質体が提供され、従来の水溶性ポリイソシアネート化合物を使用する場合に認められる巨大セルの発生を回避させた、所望する緻密な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体が提供される利点を有する。
【0078】
特に、本発明の製造方法により提供されるポリウレタン多孔質体は、ゲル化/で架橋反応において浸漬加熱とマイクロ波加熱を併用することから、ポリウレタン多孔質体として表面にスキン層がなく、セルの空隙状態(密度状態)が表面から中心部まで微細かつ均一なものであり、肌触りが極めて良好な多孔質体を得ることが可能となり、その応用性は多大なものである。
【0079】
さらに、本発明のポリウレタン多孔質体にあっては、水溶性ポリイソシアネート化合物および二次架橋剤としてのポリアミン化合物を併用することから、浸漬加熱とマイクロ波加熱を併用してポリウレタン樹脂エマルジョンをゲル化状態とした場合でも、エマルジョン粒子同士が強固にブロック化し、かつ均一/微細なブロック状態でのゲル化を保持することができ、肉厚の多孔質体の場合であっても、層全域の多孔質構造が極めて均一緻密で、寸法安定性の良好な、強度的に優れたポリウレタン多孔質体が得られる利点を有する。特に、成形容器と接した面も、スキン層がほとんどない状態の均一な多孔質構造になっているために、表面層を除去することなくそのまま使用することが可能となる。
Claims (3)
- ポリウレタン樹脂エマルジョン、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーが重亜硫酸ナトリウムでマスクされたものである水溶性ポリイソシアネート化合物およびポリアミン化合物を主成分とする混合液を、浸漬加熱すると同時にマイクロ波加熱する均一加熱処理によりゲル化させ、次いで架橋反応をさせることを特徴とするポリウレタン多孔質体の製造方法。
- 前記化合物に構造粘性付与剤として、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースから選ばれる水溶性高分子化合物をさらに存在させた請求項1に記載のポリウレタン多孔質体の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により得られるポリウレタン多孔質体。
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