JP2002020529A - ポリウレタン多孔質体及びその製造方法 - Google Patents

ポリウレタン多孔質体及びその製造方法

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JP2002020529A
JP2002020529A JP2000210786A JP2000210786A JP2002020529A JP 2002020529 A JP2002020529 A JP 2002020529A JP 2000210786 A JP2000210786 A JP 2000210786A JP 2000210786 A JP2000210786 A JP 2000210786A JP 2002020529 A JP2002020529 A JP 2002020529A
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water
polyurethane resin
adsorbent
emulsion
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JP2000210786A
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Ikuo Mizoguchi
郁夫 溝口
Atsushi Shida
敦 志田
Shinichi Umetani
慎一 梅谷
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Achilles Corp
Nicca Chemical Co Ltd
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Achilles Corp
Nicca Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリウレタン樹脂エマルジョンをゲル化し、
架橋反応させてポリウレタン多孔質体を得る場合におい
て、種々問題のある水溶性ポリマーを用いることなく、
所望の緻密な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体、
およびその製造方法の提供。 【解決手段】 ポリウレタン樹脂エマルジョンを、無機
鉱質物からなる微細多角形状を有する吸着剤の存在下に
ゲル化し、次いで架橋反応させて得られたポリウレタン
多孔質体であり、また、ポリウレタン樹脂エマルジョン
中に無機鉱物質からなる微細多角形状を有する吸着剤を
分散せしめてエマルジョン粒子を吸着させ、ブロック化
し、次いでそのブロック化した分散状態を維持たままゲ
ル化させ、さらに架橋反応を行い、水洗してなるポリウ
レタン多孔質体の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、介護医療用品、健
康福祉用品、化粧品、研磨材、農業資材、電子機器製造
関係資材、空気洗浄機器フィルター、人工皮革等の各種
製品に、広く応用し得る、吸水性に優れるポリウレタン
多孔質体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリウレタン多孔質体は、ポ
リウレタン樹脂エマルジョンを、水溶性ポリマー、例え
ばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシプロ
ピルセルロース、デンプン等の水溶性高分子化合物の存
在下に感熱ゲル化を行った後、架橋剤により架橋反応さ
せ、不溶化させ、水洗を行うことで製造されている。
【0003】この製造法においては、架橋反応の終了後
に、不要となった水溶性ポリマーを水洗し、完全に除去
しなければならず、その水洗にかなりの時間を要し、極
めて非効率的であり、その生産性を損なう原因ともなっ
ていた。
【0004】したがって、ポリウレタン多孔質体の生産
性を上げるためには、ポリウレタン樹脂エマルジョンの
感熱ゲル化の反応性を高めることと、架橋反応後の多孔
質体から水溶性ポリマーを完全に除去する技術の開発が
求められていたが、いまだ十分な解決がなされていない
のが現状である。
【0005】最近に至り、水溶性ポリマーを使用しない
ポリウレタン多孔質体の製造法が提供されており、例え
ば、ポリウレタンエラストマーの水分散体(エマルジョ
ン)に結晶水を吸収しうる塩類を加えて攪拌し、さらに
水溶性の塩類を添加して混練して半流動性の状態とした
後に型成形し、加熱処理し、水洗を行うことにより添加
した両塩類を除去することからなるポリウレタン多孔質
体の製造法である(特開平4−63845、特開平9−
48872)。
【0006】しかしながらこの方法にあっても、加熱処
理した後に、ポリウレタン樹脂エマルジョンに対して添
加使用した結晶水を吸収しうる塩類、ならびに水溶性の
塩類の両者を、水洗により完全に除去しなければなら
ず、そのための水洗に時間を要するものであり、生産性
の面ではいまだ満足し得るものとはいい難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点を
鑑み、ポリウレタン樹脂エマルジョンをゲル化し、架橋
反応させてポリウレタン多孔質体を得る場合において、
種々問題のある水溶性ポリマーを用いることなく、所望
の緻密な連続気孔を有するポリウレタン多孔質体を製造
する方法を提供することを課題とする。
【0008】一般に、ポリウレタンエ樹脂マルジョンに
対して水溶性ポリマーを加えて、加熱によりゲル化さ
せ、次いで架橋反応させてポリウレタン多孔質体とする
場合においては、添加された水溶性ポリマーがポリウレ
タンエマルジョン粒子を吸着することにより強固なブロ
ック構造を形成し、そのブロック構造を維持したまま、
加熱によりポリウレタン樹脂が連結してゲル化し、この
過程で、水溶性ポリイソシアネート等の架橋剤が、ポリ
ウレタン樹脂と反応して、より一層強固な分子構造を形
成することにより不溶化し、耐水性に優れた連続気孔を
有する多孔質体になると考えられる。
【0009】したがって、多孔質体を製造する場合の決
定的な要素としては、添加された水溶性ポリマーがポリ
ウレタン樹脂エマルジョン粒子を吸着して強固なブロッ
ク構造を形成すること、かつ、そのブロック構造を維持
したまま、加熱によるポリウレタン樹脂の連結/ゲル化
を行う過程であると考えられる。
【0010】この点からみれば、水溶性ポリマーを使用
することなく、またエマルジョンの粘度の高低を問わ
ず、ポリウレタン樹脂エマルジョン粒子をブロック構造
化し、さらにゲル化段階でブロック構造を維持したまま
ポリウレタン樹脂を連結させる能力を有するものポリウ
レタン樹脂エマルジョンに使用し、同様の反応を行え
ば、水溶性ポリマーを使用した場合と全く同様の結果が
得られるのではないか考えられる。
【0011】かかる考え方に立脚して本発明者らは、水
溶性ポリマーに替わるエマルジョンの吸着剤を検討した
結果、無機鉱質物からなる多角形状を有する微細物が、
極めて良好な吸着剤となりうることを新規に見出した。
【0012】すなわち、ポリウレタン樹脂エマルジョン
の粒子径に比較してある程度巨大なものであり、堅固な
構造を有し、かつエマルジョン粒子を吸着し、ブロック
化する性能を有するとともに、最終的には製造された多
孔質体に対する補強効果をも有するものとして、無機鉱
質物を選択して検討を行ったところ、極めて良好にポリ
ウレタン樹脂エマルジョンから所望のポリウレタン多孔
質体を製造し得ることを見出し、本発明を完成させるに
至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、そ
の基本的態様として、ポリウレタン樹脂エマルジョン
を、無機鉱質物からなる微細多角形状を有する吸着剤の
存在下にゲル化し、次いで架橋反応させて得られたポリ
ウレタン多孔質体を提供する。
【0014】すなわち、本発明者らの検討によれば、ポ
リウレタン樹脂エマルジョンに対して添加される無機鉱
質物からなる微細多角形状を有する吸着剤は、エマルジ
ョン粒子を吸着することによりポリウレタン樹脂粒子を
ブロック構造とすること、さらにそのブロック構造が、
エマルジョンの粘度の高低を問わずに、低粘度なもので
あっても強固なものであること、またゲル化過程では、
形成されたブロック構造を維持したままポリウレタン樹
脂が連結してゲル化すること、さらにこの過程で水溶性
ポリイソシアネート等の架橋剤がポリウレタン樹脂と反
応することにより一層強固な分子構造を形成して、その
結果、耐水性に優れた連続気孔を有する多孔質体になる
こと等が確認された。
【0015】したがって、本発明は、特にポリウレタン
樹脂エマルジョンに対して、水溶性ポリマーを使用する
ことなく、無機鉱質物からなる微細多角形状を有する吸
着剤を使用してポリウレタン多孔質体を製造する点に特
徴を有するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本明細書において「無機鉱質物」
とは、天然から得られる無機鉱質物それ自体、あるいは
天然の無機鉱質物を主体としてそこに種々の変更、例え
ば、シランカップリング剤等による表面処理等を施した
無機鉱質物の両者を包含する意味である。
【0017】したがってこのような無機鉱質物は、その
機能が上記したポリウレタン樹脂エマルジョン粒子に対
する吸着剤として作用するものであれば、特に限定され
るものではない。本発明で使用されるそのような無機鉱
質物からなる微細多角形状を有する吸着剤としては、例
えば、石英、雲母(マイカ)、カオリン、タルク、ベン
トナイト、クレー、珪藻土、ウォスライト、珪砂等の無
機鉱物質を例示することができる。そのなかでも、雲母
(マイカ)を主体として含有する無機鉱物質が好適なも
のであることが判明した。
【0018】その雲母を主体として含有する無機鉱質物
としては、天然に存在するものであり、特にドイツ国ホ
フマンミネラル社が販売をしているシリチン(Sill
itin)シリーズの雲母、あるいはシリコロイド(S
illikolloid)としての雲母等を好適に挙げ
ることができる。また、代表的なマイカの組成式として
は、マスコバイト:K2Al4(Si3Al)220(OH)4
;フロゴパイト:K2Mg6(Si3Al)220(OH)4
;バイオタイト:K2(Mg,Fe2+)6(Si3Al)2
20(OH)4 等を挙げることができる。
【0019】なお、その組成としては、石英が68〜8
5%程度、カオリナイトを10〜24%程度含有し、そ
の他の成分が配合されたものであり、化学分析値として
は、SiO2が82〜91%程度、Al23が5〜11
%程度、Fe23が1.0%未満程度のものである。
【0020】またその他の雲母として、クラレ社がカナ
ダから輸入販売しているスゾライト・マイカ(Suzo
ritemica)、白石カルシウム社がイギリスより
輸入販売しているイングリッシュ・マイカ(Engli
sh・Mica)等を挙げることもできる。
【0021】さらにカオリンは、天然に産する含水珪酸
アルミニウムであり、鉱物学上はカオリナイトに属し、
長石、雲母の風化したものといわれており、例えば、土
屋カオリン工業社が米国エンゲルハード社から輸入販売
しているASPシリーズ、SATINTONEシリー
ズ、TRANSLINKシリーズ、PHARMOLIN
シリーズなどを挙げることができる。
【0022】タルクは、滑石、ソープストーン、ステア
サイトとも称されており、成分的には主成分として含水
珪酸マグネシウムであり、例えば、竹原化学社製のハイ
トロン、ミクロライト等、日本タルク社製のシンゴム、
ミクロエース等を挙げることができる。
【0023】ベントナイトは、主要鉱石としてモンモリ
ナイトであり、含水珪酸アルミニウムを基本体とする粘
土酸とみなされており、長石、雲母などを含有してい
る。水中で若干膨潤するものも同様に使用することがで
き、例えば、関東ベントナイト鉱業社、クニミネ工業
社、日本ベントナイト社、日本タルク社、笠岡粘土社
等、各社が供給しているものを例示することができる。
【0024】クレーは、含水珪酸アルミニウムを主成分
とするが、その組成は多岐にわたっており、一概に例示
することはできないが、例えば、カオリンクレー、チャ
イナクレー等を挙げることができる。
【0025】珪藻土は、珪藻を呼ばれる単細胞藻類海底
や湖底に沈積し、地表を形成した化石の一種であり、主
成分が含水珪酸である多孔質なセルの集合体であるが、
例えば、クニミネ工業社製のクニライト、昭和化学社製
のラジオライト等を例示することができる。
【0026】これらの無機鉱物質は、微細な多角形状を
有するものであり、特に鱗片状(フレーク状)、針状、
長立方状等の形状を有するものが好ましく、その微細形
状の最長径において1〜50μm、より好ましくは、1
〜20μm程度のものであるのが好ましい。なお、鱗片
状(フレーク状)のものは、特にアスペクト比(フレー
クの平均直径/平均厚み)が高いものが好ましい。
【0027】これらの無機鉱物質は、その分散性を考慮
して、その表面をシランカップリング剤で処理したもの
を特に好適に使用することができる。このようなシラン
カップリング剤としては、例えば、3−メタクリロポロ
ピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。なお、
このようなシランカップリング剤で処理した雲母の一例
として、先に例示したホフマンミネラル社製のシランカ
ップリング剤処理品、アクティシルMAM、クラレ社の
スゾライト350−K1、200−K1等を好適に使用
することができる。
【0028】本発明のポリウレタン多孔質体の製造にお
いては、これらの無機鉱物は、その1種のみを単独で使
用してもよく、また2種以上の複数種を適当な割合で混
合して使用することもできる。
【0029】本発明において、上記した無機鉱質物から
なる微細多角形状を有する吸着剤の添加量は特に限定さ
れず、ポリウレタン樹脂エマルジョン100部当たり、
5ないし30部の範囲内である。要は、ポリウレタン樹
脂エマルジョンの粒子を吸着し、強固なブロック構造を
形成するに十分な量を添加すればよい。
【0030】また、その添加方法も特に限定されず、通
常の方法を採用することで何ら問題なく実施することが
できる。なお、混合攪拌の効率が不十分である場合に
は、所謂ホモジナイザーをさらに使用し、攪拌効率を上
げることができる。
【0031】一方、本発明で使用するポリウレタン樹脂
エマルジョンとしては、通常の合成法によるものが使用
できるが、特に感熱ゲル化性を考慮したものが好まし
い。
【0032】そのようなポリウレタン樹脂エマルジョン
の組成としては、ポリオール成分とポリイソシアネート
成分からなるものであり、ポリオール成分としてのグリ
コール成分としては、ポリプロピレンエーテルグリコー
ル、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(2
−メチルテトラメチレンエーテルグリコール)等を使用
することができる。
【0033】また、ポリオール成分としてのポリエステ
ルジオールとしては、ポリブチレングリコールアジペー
ト、ポリカプロラクトン、ポリ−3−メチルペンタンジ
オールアジペート、ポリ−β−メチルバレロラクトン、
ポリ−3−メチルペンタンジオールセバケート等を使用
することができる。
【0034】さらに、ポリオール成分としてのポリカー
ボネートジオールとしては、ポリヘキサメチレンカーボ
ネート、ポリヘキサメチレン/3−メチル−ペンタメチ
レンカーボネート等を使用することができる。また単鎖
ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,3−
ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ジメチロールヘプタン、ネオペンチルグリコール、
オクタンジオール、ノナンジオール、3−メチルペンタ
ンジオール等を使用することができる。
【0035】一方、イソシアネート化合物としては、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、ノルボネンジイソシアネート、トリレンジイソ
シアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート等を使用することができる。
【0036】また、上記した以外の特殊なジオールとし
て、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸
等を使用することもできる。
【0037】さらに、鎖伸張剤として、ジアミン化合物
を使用することもできる。そのようなジアミン化合物と
しては、例えば、ヒドラジンヒドラート、イソホロンジ
アミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン等を使用することができる。
【0038】また、本発明における上記したイソシアネ
ート化合物とポリウレタンエマルジョン樹脂との架橋反
応を進行させるための架橋剤としては、ポリプロピレン
グリコール及び/又はポリエチレングリコールとヘキサ
メチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート等とのプレポリマーを亜
硫酸ナトリウム、メチルエチルケトキシム等で末端イソ
シアネート基を封鎖したものが使用できる。また、場合
によっては、トリメチロールプロパン/トリレンジシソ
シアネート三量体、リジントリイソシアネート等も使用
することができる。
【0039】またさらに、これらのイソシアネート化合
物とポリウレタンエマルジョン樹脂との架橋反応を進行
させるために、触媒を使用することが好ましい。そのよ
うな触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、
オクチル酸錫、トリエチレンジアミン、トリエチルアミ
ン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、
N、N,N’,N’−テトラメチルウレア等である。
【0040】本発明が提供するポリウレタン多孔質体
は、基本的には、ポリウレタン樹脂エマルジョン中に無
機鉱物質からなる微細多角形状を有する吸着剤を分散せ
しめてエマルジョン粒子を吸着させ、ブロック化し、次
いでそのブロック化した分散状態を維持たままゲル化さ
せ、さらに架橋反応を行い、水洗することにより製造す
ることができる。
【0041】したがって、本発明は別の態様として、上
記したポリウレタン多孔質体の製造方法を提供し、さら
に当該製造方法により得られたポリウレタン多孔質体そ
のものを提供する。
【0042】当該製造方法において、ポリウレタン樹脂
エマルジョンをゲル化させ、また架橋反応させる条件と
しては、室温から反応を開始し、約130℃程度までの
温度範囲で反応させることにより、完結させることがで
きる。そのような加熱方法としては、容器または注形型
を加熱雰囲気中、もしくは熱浴中に浸漬することにより
加熱するか、またはさらに高周波誘電によって加熱を行
うことも可能である。なお、特に高周波誘電による加熱
方式は、反応液内部から均一に加熱を開始することがで
きる点で最も好ましいものといえる。
【0043】成形型容器の内面は、架橋反応後の樹脂の
付着を防止する目的で、離型性に優れるものとするのが
好ましく、特に、所謂フッ素樹脂コーティングしたもの
が挙げられる。
【0044】本発明におけるゲル化、架橋反応には、そ
の他の成分として着色剤、抗菌剤、消泡剤、増粘剤等、
高分子化学上汎用されている他の成分を、必要に応じて
併用することもできることはいうまでもない。
【0045】また一方、架橋剤の添加量は特に限定され
ず、製品の使用目的に応じて決定することができる。例
えば、10〜150部程度である。
【0046】また、反応時の系全体に占める固形分の濃
度は、5ないし30%程度の範囲内であることが望まし
い。したがってポリウレタン樹脂エマルジョンとして
は、同様に5ないし30%程度の範囲内の固形分を有す
るエマルジョンを使用することができ、特に固形分の低
い、いわゆる低粘度のポリウレタンエマルジョンであっ
ても、本発明の製造方法により、所望の多孔質体を得る
ことができる。
【0047】なお、上記した本発明の製造方法において
は、架橋反応の終了後に水洗工程を設けているが、この
水洗工程は架橋反応に使用した水溶性ポリイソシアネー
ト等の架橋剤、あるいは添加した慣用成分としての着色
剤、抗菌剤、消泡剤、増粘剤等を水洗し除去するために
行われるものであって、従来の水溶性ポリマーを除去す
るための水洗とは根本的に異なり、長時間の水洗を必要
とするものではない。
【0048】以上の製造法により製造される本発明のポ
リウレタン多孔質体としては、例えばシート状物とし
て、介護医療用品としてのベッド、健康福祉用品、化粧
品様のパフ、研磨材シート、農業資材、電子機器製造関
係資材、空気洗浄機器フィルター、人工皮革等の各種製
品に使用し得る。
【0049】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものでは
ない。
【0050】実施例1:エバファノールEXP.No.
AN−1(ポリカーボネート/4,4’−ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネート系PUエマルジョン;日華
化学社製)100g、エバファノールAL−10(水溶
性ポリイソシアネート;日華化学社製)100g、エラ
ストランキャタリスト(錫系触媒;第一工業製薬社製)
3gおよびアクティシルMAM(ホフマンミネラル社
製;シランカップリング剤処理品)5gを耐圧容器内に
入れ、120℃にて60分間加熱した後、水洗し、乾燥
させて、密度0.22g/cm3の多孔質体を得た。
【0051】実施例2:実施例1において、アクティシ
ルMAM(ホフマンミネラル社製;シランカップリング
剤処理品)の代わりにスゾライト350−K1(クラレ
社;シランカップリング処理品)を用い、他は同様に処
理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体は、緻密
なものであった。
【0052】実施例3:実施例1において、アクティシ
ルMAM(ホフマンミネラル社製;シランカップリング
剤処理品)の代わりにカオリン(関東化学社製;試薬)
を用い、他は同様に処理を行い、多孔質体を得た。得ら
れた多孔質体は、同様に緻密なものであった。
【0053】実施例4:ポリエステル/ポリアミド=7
5/25の分割型極微細繊維不織布(厚さ:0.08m
m;目付:150g/m2)を予めワックスエマルジョ
ン(双葉ファインケミカル社製)で処理した後、実施例
1の配合液を、対繊維重量比で100%付与した。次い
で、スチーミング下130℃で熱処理し不織布と一体化
させた。更にこのものを水洗して、110℃で乾燥し
た。得られた人工皮革基材表面を120メッシュのサン
ドペーパーで研削した。最後に、カヤロンポリエステル
ブラック/カヤカランブラックの混合染料を用いて一浴
で40〜130℃の温度条件下に、常法に従って染色し
た。得られ人工皮革は、極めて優れた外観と、風合いを
有するものであった。
【0054】比較試験 上記の実施例1〜実施例3により得られた厚み35mm
の多孔質体と、実施例1において、アクティシルMAM
(ホフマンミネラル社製;シランカップリング剤処理
品)の代わりに水溶性ポリマーを使用して得た厚み35
mmの多孔質体(従来品)との間の、多孔質構造の比較
・検討を行った。なお、水溶性ポリマーとして、カルボ
キシメチルセルロース(比較例1)およびヒドロキシエ
チルセルロース(比較例2)を使用した。
【0055】多孔質構造の比較・検討として、多孔質体
を均等間隔で3ヶ所切断し、その切断部分における層の
空隙状態、亀裂発生の有無、多孔質体の全体の孔密度状
態、寸法安定性を検討した。その結果を以下の表1中に
まとめて示した。
【0056】
【表1】
【0057】表中の結果からも判明するように、水溶性
ポリマーを使用してポリウレタン多孔質体を得た、比較
例1および2の場合には、多孔質体の構造は、極めて柔
軟で、嵩高いものとなり易く、多孔質の状態は不均一な
ものとなっていた。これは、水溶性ポリマー自身が、加
熱により分子運動を活発に行い、ゲル化したポリウレタ
ン樹脂中で安定していないため、一定の多孔質の構造が
形成、保持することが困難なものであるためと考えられ
る。
【0058】特に、上記の比較試験で検討した肉厚(例
えば30mm以上)の多孔質体の場合には、この傾向が
顕著になり、中心部に粗大空隙や亀裂の発生が散見され
た。これに対して、実施例1〜3の多孔質体は、無機質
で非水溶性のものを使用しているため、加熱による分子
運動は水溶性ポリマーに比較して少なく、したがって安
定した凝集構造を形成することができ、肉厚の多孔質体
であっても、多孔質構造が均一で、密度状態も均一な、
寸法安定性の良好なポリウレタン多孔質体であった。
【0059】
【発明の効果】以上記載したように、本発明はポリウレ
タン樹脂エマルジョンを、無機鉱質物からなる微細多角
形状を有する吸着剤の存在下にゲル化し、次いで架橋反
応させて得られたポリウレタン多孔質体を提供するもの
であり、従来から使用されていた水溶性ポリマーを使用
することなくポリウレタン多孔質体を製造し得るもので
ある。したがって、架橋反応後の水洗を長時間必要とす
るものではなく、その生産性は著しく向上する利点を有
する。
【0060】また、使用する無機鉱質物からなる微細多
角形状を有する吸着剤の大きさを種々変更することによ
り、極めて微細な連続気孔を有し、肌触りが良好な多孔
質体を得ることが可能となり、その応用性は多大なもの
である。
【0061】さらに、エマルジョンに対する吸着剤とし
ての無機鉱質物は、本発明のポリウレタン多孔質体にあ
っては、その補強効果を併せ有するものでもあり、従来
の水溶性ポリマーで製造された多孔質体に比較して、そ
の機械的強度が著しく改善されたものとなる利点を有す
る。
【0062】さらに、無機鉱質物を使用することによ
り、加熱によりゲル化状態とした場合でも、分散状態が
均一なブロック状態でのゲル化を保持することができ、
肉厚の多孔質体の場合であっても、層全域の多孔質構造
が均一で、密度状態が極めて緻密な、寸法安定性の良好
なポリウレタン多孔質体が得られる利点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅谷 慎一 福井県福井市文京4丁目23番1号 日華化 学株式会社内 Fターム(参考) 4F074 AA78 AC36 CB01 CC06X CC06Y CC27Z DA43 DA46 DA47 DA53 4J034 BA02 BA03 BA08 CB03 CC01 CC03 DB04 DC50 DF01 DF02 DF12 DG04 DG05 HA07 HC03 HC12 HC17 HC18 RA01 RA02 RA03 RA14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン樹脂エマルジョンを、無機
    鉱質物からなる微細多角形状を有する吸着剤の存在下に
    ゲル化し、次いで架橋反応させて得られたポリウレタン
    多孔質体。
  2. 【請求項2】 無機鉱物質からなる微細多角形状を有す
    る吸着剤が、その微細形状の最長径において、1〜50
    μmを有するものである請求項1に記載のポリウレタン
    多孔質体。
  3. 【請求項3】 無機鉱質物からなる微細多角形状を有す
    る吸着剤が、石英、雲母(マイカ)、カオリン、タル
    ク、ベントナイト、クレー、珪藻土、ウォスライト、珪
    砂等の無機鉱質物からなる群から選択される少なくとも
    1種である請求項1または2に記載のポリウレタン多孔
    質体。
  4. 【請求項4】 ポリウレタン樹脂エマルジョン中に無機
    鉱物質からなる微細多角形状を有する吸着剤を分散せし
    めてエマルジョン粒子を吸着させ、ブロック化し、次い
    でそのブロック化した分散状態を維持たままゲル化さ
    せ、さらに架橋反応を行い、水洗してなるポリウレタン
    多孔質体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20020028994A (ko) * 2002-03-13 2002-04-17 이정석 기능성합성수지의 제조방법
CN112079990A (zh) * 2020-09-17 2020-12-15 深圳市爱车屋汽车用品股份有限公司 一种硅藻慢回弹材料的制备方法

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