JP4722443B2 - 電子メトロノーム - Google Patents

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Description

本発明は、電子メトロノームに関する。
電子ピアノなどの電子楽器には、メトロノーム機能を内蔵しているものが多い。
該メトロノーム機能には、メトロノームのON/OFF、テンポ設定、拍子の設定、音量の設定、音色の設定などがある。
音色設定機能によって、メトロノームの音色を、従来のメトロノームの音色、ドラム音色、人の声に変えることができる。
人の声が選択された場合、予め波形メモリに記憶されている「いち」、「に」、「さん」などのPCMデータを呼び出す。
しかし、人の声の場合、その波形データによっては、発音の立ち上がりが遅れて、リズムが少し狂って聴こえるものがある。
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、発音タイミングの補正機能を備えた電子メトロノームを提供せんとするものである。
そのため本発明に係る構成は、
発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音を含む複数種類のテンポ用発音音色データを用いてテンポを提示する電子メトロノームにおいて、
テンポ指定を行うテンポ指定手段と、
指定されたテンポでテンポ信号を発生するテンポ発生手段と、
テンポ用発音音色データとその発音順序を示すシーケンスデータを記憶しておく音色データ記憶手段と、
音色データ記憶手段からシーケンスデータを読み出し、上記テンポ信号が入力される毎に、該シーケンスに従って順次発音音色データを読み出す音色制御手段と、
上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音で無い場合は、上記発音遅れ時間が所定値であり、一方上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音である場合は、上記発音遅れ時間が所定値とは異なる、上記各テンポ用発音音色データに応じた値であるように補正する出力タイミング補正手段と
を有し、
前記テンポ信号の発音がそれぞれの前記発音遅れ時間に応じて遅延して発音するようにしたことを基本的特徴としている。
図9〜図12に各示される「いち」、「に」、「さん」、「し」の各楽音波形データに示されるように、日本語の数字を夫々記憶し、各拍の頭でその音色データを読み出し開始すると、「いち」(図9参照)、「に」(図10参照)に比べて、「さん」(図11参照)、「し」(図12参照)の立ち上がりが遅れて、リズムが少し狂ったように聴こえる。
これは、「さん」、「し」が摩擦音で始まっているため、発音開始直後は、「スー」、「シー」のようなノイズが発音され、その後少し遅れて声帯から母音が発音されるためである。
これを避けるため、波形を編集して摩擦音部分を短くすると、「し」が「ち」に聴こえるなどして、音が聴き取りにくくなる。
上記構成によれば、音色制御手段によって、音色データ記憶手段から発音音色データのシーケンスデータが読み出され、上記テンポ信号が入力される毎に、該シーケンスに従って順次発音音色データが読み出され、出力される。その際、上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音で無い場合は、上記発音遅れ時間が所定値であり、一方上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音である(上記例では「さん」、「し」など)場合は、上記発音遅れ時間が所定値とは異なる、上記各テンポ用発音音色データに応じた値であるように補正され、前記テンポ信号の発音がそれぞれの前記発音遅れ時間に応じて遅延して発音されるようになる。
このように出力タイミングをずらすので、摩擦音部分を短くするなどといった編集を行う必要がなく、そのため、「さん」、「し」は、そのまま、「さん」、「し」に聴こえ、音が聴き取りにくくなったり、リズムが狂ったように聴こえるようなこともない。
上記出力タイミング補正手段による発音遅れ時間の補正は、テンポに関係なく音節毎にある一定時間の出力タイミング(所定値)の補正を行う。例えばテンポ60の場合、通常のメトロノーム音は正確に1秒毎に発音すれば良い。しかし、本電子メトロノームの場合、リズムを正確にするために、下記にその例を示すように、「いち」、「に」は通常に発音すれば良いが、「さん」は、通常の発音(出力)タイミングより、例えば0.06秒早くし、「し」は、0.1秒早く発音が開始されるようにする。テンポ120の場合でも、「さん」は、通常の発音(出力)タイミングより、例えば0.06秒早くし、「し」は、0.1秒早く発音が開始されるようにする。
音節名│補正時間(sec)
───┼─────────
いち │0.00
に │0.00
さん │0.06
し │0.10
本発明の電子メトロノームによれば、音が聴き取りにくくなったり、リズムが狂ったように聴こえるようなこともなくなるという優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1〜図7までは、本発明の電子メトロノームの最良の実施形態を示す図面である。
図1に示すように、本電子メトロノームは、通常の電子楽器と略同じ構成を有しており、これに鍵盤及びキースキャン回路(いずれも図示せず)を加えれば、電子楽器の構成となる(従って、もちろん本電子メトロノームは電子楽器中の構成として適用されても良い)。
本電子メトロノームは、同図に示すように、システムバス100を介して、CPU101、ROM102、RAM103、パネルスキャン回路104、内部に固有のCPUを有する音源部106が相互に接続されて構成されている。システムバス100は、アドレス信号、データ信号又は制御信号等を送受するために使用される(アドレスバス、データバス、コントロール信号ラインよりなる信号バス)。
CPU101は、本電子メトロノームの制御をつかさどる中央演算装置であって、後述するROM102に格納されているプログラムに従って、パネルスキャン回路104を制御して図3に示すパネル表示・パネル設定回路105の言語・テンポ設定スイッチなどを走査し、該パネル表示・パネル設定回路105の言語・テンポ設定スイッチ、ボリュームに応じて、音源部106より、所望の楽音信号を発生させるように制御する。その際後述するように、該CPU101は、音源部106に、拍をカウントするCOUNT値及びクロックから発音までの時間tdelay値を出力する。またパネルスキャン回路104を制御し該パネル表示・パネル設定回路105において設定状態などのパネル表示を行う。
上記ROM102は、上述したCPU101用のプログラムの他に、CPU101が楽音発生に参照する種々のパラメータデータを格納する読み出し専用メモリである。
上記RAM103は、CPU101におけるプログラム処理での処理段階のデータを一時記憶しておいたり、エディット可能なパラメータデータを記憶しておく、読み書き可能でメモリである。一部はバッテリバックアップされており、パネル表示・パネル設定回路105各種設定に応じた必要なデータを格納保持(電源がOFFとなっても格納保持)しておくことができる。また、このRAMには、必要に応じてレジスタ、カウンタ、フラグ機能等が定義されている。
パネルスキャン回路104は、CPU101からの指令に応答してパネル表示・パネル設定回路105の各スイッチ操作をスキャンし、このスキャンにより得られた各スイッチの状態を示す信号に基づいて、各スイッチの状態に対応させたパネルデータを作成する。このパネルデータは、システムバス100を介してCPU101に送られる。このパネルデータは、パネル表示・パネル設定回路105上のスイッチのイベントが発生したかどうかを判断するために使用される。
また、パネルスキャン回路104は、CPU101から送られてきた表示データをパネル表示・パネル設定回路105図3に示す液晶表示器に送る。これにより、CPU101から送られてきたデータに従って、液晶表示器にこの電子メトロノーム設定などの状態が表示される。
パネルスキャン回路104に接続されている上記パネル表示・パネル設定回路105には、メトロノームスタート・ストップスイッチ、使用する言語を選択するためのスイッチ、拍子を設定するためのスイッチ、及びテンポを設定するためのスイッチと、これらの選択及び設定状態を表示する上記液晶表示器(スタートスイッチ左隣のテンポ表示灯などを含む)などより構成される表示部とを有している。
図3に示すパネルで、スタートスイッチを押すと、CPU101により、メトロノームのカウントが開始される。拍のタイミングではテンポ表示灯が一瞬点灯する。またストップスイッチを押すと、カウントがストップし、カウントアップは一拍目にリセットされる(次に開始したときに「イチ」から発音し始める。)ものとする。さらにビートスイッチは、拍子を変更する。例えば上に押すと、2/4→3/4→4/4→6/8→2/4→…という具合(下はその逆)に変化するものとする。ここで選択された言語のデータと、拍子のデータと、テンポ設定の数値は、上記RAM103に送られ、そこに記憶される。
音源部106及び後述する波形読出器107は、専用のLSIで設計されており、さらに音源部106には内部に固有のCPUを有している。そして該音源部106は、後述する拍をカウントするCOUNT値及びクロックから発音までの時間tdelay値を、上記CPU101から受け取ると、予め受け取っておいた上記パネル表示・パネル設定回路105で選択された言語LAUNGAGEに応じた波形セットの中からCOUNT値に応じた波形を選び、tdelay時間経過後に、波形読出器107に送出する。
波形読出器107は、これを受け、その読み出しアドレスに従って、波形メモリ108から波形データを読み出し、出力する。また波形読出器107から出力された楽音信号は、D/A変換回路109に入力され、デジタル−アナログ変換され、アンプ110で増幅されて、スピーカ111から外部に楽音として放出される。
波形メモリ107は、本実施形態構成では、リードオンリーメモリで構成され、各種言語毎に、電子メトロノームとして発音する、例えば日本語であれば、「イチ」、「ニ」、「サン」、「シ」などの波形データが記憶されている。当然、選択言語として英語が選択されれば、「ワン」、「ツー」、「スリー」、「フォ」などの波形データが記憶されている。また波形データを呼び出す順番を示すシーケンスデータも併せて記憶されている。
D/A変換回路109は、上記音源106で生成されたデジタル楽音信号をアナログ楽音信号に変換するデジタル−アナログ変換器である。
アンプ110は、アナログ処理されたアナログ楽音信号をスピーカ111で発生させるために増幅するパワーアンプである。
スピーカ111は、アナログ信号を可聴信号として放音するスピーカであり、1乃至複数個よりなる。
図2は、CPU101、ROM102、RAM103、パネルスキャン回路104、パネル表示・パネル設定回路105、音源部106、波形読出器107、波形メモリ108で構成される本願発明に係る電子メトロノーム構成の概要図を示し、図3はその構成におけるパネル表示・パネル設定回路105の平面図である。
同図において、本電子メトロノームは、テンポ指定を行うテンポ指定手段1と、指定されたテンポでテンポ信号を発生するテンポ発生手段2と、テンポ用発音音色データを記憶しておく音色データ記憶手段3と、音色データ記憶手段3から発音音色データとその発音順序を示すシーケンスデータを読み出し、上記テンポ信号が入力される毎に、該シーケンスに従って順次発音音色データを出力する音色制御手段4と、上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音で無い場合は、上記発音遅れ時間が所定値であり、一方上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音である場合は、上記発音遅れ時間が所定値とは異なる、上記各テンポ用発音音色データに応じた値であるように補正する出力タイミング補正手段5とを有している。
上記テンポ指定手段1は、上述のように、パネルスキャン回路104、パネル表示・パネル設定回路105で構成されており、図3の中段にある「TEMPO」の表示の上下にある三角形及び逆三角形のスイッチを押すことで、テンポの設定を行い、パネルスキャン回路104によりスキャンされたその設定値がCPU101によりRAM103上に記憶される。本実施例では回路的には明記していないが、図3に示すように、中段より下にある「BEET」の表示の上下にある三角形及び逆三角形のスイッチを押すことで、ビート設定(拍子変更)を行い、パネルスキャン回路104によりスキャンされたその設定値がCPU101によりRAM103上に記憶される。図最下段にある「LANGUAGE」の表示の上下にある三角形及び逆三角形のスイッチを押すことで、言語の設定を行い、パネルスキャン回路104によりスキャンされたその設定値がCPU101によりRAM103上に記憶される。
上記テンポ発生手段2は、CPU101で構成されており、上記RAM103上に記憶されたテンポの値を読み出し、それに従ったテンポタイミングで、テンポ信号を生成出力する。
上記音色データ記憶手段3は、上記波形メモリ107で構成されており、上述のような状態で各言語毎にテンポ用発音音色データとその発音順序を示すシーケンスデータを記憶しておく。それと同時に、後述する時間ti(各発音音色データに固有の値であり、発音開始から十分な振幅になるまでの時間)も該音色データと共に記憶している。
上記音色制御手段4は、上記CPU101及び音源部106で構成されており、音色データ記憶手段3からシーケンスデータを読み出し、上記テンポ信号が入力される毎に、該シーケンスに従って順次発音音色データを読み出し、出力する。
上記出力タイミング補正手段5は、上記CPU101で構成されており、上記シーケンス中に示された特定の発音音色データにつき出力タイミングを補正する。
この出力タイミングの補正方法につき、次に説明する。
図4は、音色制御手段4による発音音色データの出力タイミングと、出力タイミング補正手段5による上記出力タイミングの補正状態を示すタイミングチャートである。
同図において、tはカウントを取りたい実際の時刻、tmaxは時刻tに先立って一律にメトロノームのクロックを前倒しで動作させる、そのクロックの前倒し時間、tdelayはクロックから発音までの時間、tiは発音から充分な振幅になるまでの時間である。そのうちtmaxはシステム固定値で、どのような波形をカウントに用いても充分な時間に設定されており、またtiは波形に固有の値である。本電子メトロノームでは、データとして、tmaxをROM102に、また各tiを上記波形メモリ107(音色データ記憶手段3)に保持している。
本実施例構成では、同図tmaxで示すように、時刻tに先立って一律にメトロノームのクロックを前倒しで動作させている。
ここで、tmax = tdelay + ti であり、この式をtdelayを求める式に変形すれば、tdelay = tmax − ti となる。
従って、本実施例では、各音色データが順に選ばれるたびに、tdelayが出力タイミング補正手段5の演算により求められ、時刻(t - tmax)に、音色データが音色制御手段4に転送される。すると、音色制御手段4側では、それ受け取ってから、tdelay後(時刻 t より ti だけ前)に発音が開始され、発音開始からti後(即ち時刻t)に充分な振幅に達して、電子メトロノームのカウントが感じ取れるということになる。
例えば、「いち」、「に」、「さん」、「し」のように、日本語の数字を音色データとして音色データ記憶手段3に記憶しておき、音色制御手段4によって、音色データ記憶手段3から、各拍の頭でその音色データの読み出しが開始されると、上記テンポ信号が入力される毎に、上記シーケンスに従って順次、「いち」、「に」、「さん」、「し」と、順次発音音色データが出力される。その際、出力タイミング補正手段4により、上記シーケンス中の「さん」、「し」などの発音音色データについては、出力タイミングが補正され、出力されることになる。そのため、摩擦音で始まっている「さん」、「し」の音でも、出力タイミングがずらして発音されるので、「さん」、「し」は、そのまま、「さん」、「し」に聴こえ、音が聴き取りにくくなったり、リズムが狂ったように聴こえるようなこともない。
図5〜図8は、以上の電子メトロノームの処理フローを示している。
まず図5は、メインのプログラムルーチンのフローチャートであり、また図6のタイマ割込は、ハードウェアタイマを用いて当時間間隔(例えば2msec)で自動的に発声する割り込みの処理ルーチンのフローチャートである。
図5に示すように、本電子メトロノームのスイッチがONにされれば、初期化処理が行われ(ステップS100)、以下の変数を初期化する。
変数 │初期値
────┼─────────────────
RUN │0
T │250(500msec:テンポ120)
tt │tmax-1
Bmax │2(2/4拍子)
言語 │日本語(ti,tmaxのセットも日本語用)
tb │0,250(一拍目の頭と二拍目の頭)
COUNT │0
次にイベントがあったか否か、すなわち図3に示すパネルで操作が行われたか否かがチェックされる(ステップS102)。
パネル操作があれば(ステップS102;Y)、そのイベントを処理するイベント処理ルーチンに移行し(ステップS104)、パネル操作がなければ(ステップS102;N)、恒常処理ルーチンに移行する(ステップS106)。
この恒常処理ルーチンが終了した後は、上記ステップS102に復帰し、以上の処理を繰り返す。
該恒常処理ルーチンは、常に行われる処理ルーチンで、図6に示すタイマ割込ルーチンによる時刻の進行を見て、発音したりしなかったりを制御する。
既に説明したように、図6は、タイマ割込ルーチンの状態を示しており、後述する図7に示すRUNフラグ(RAM103上に設定されている)が1であるか否かをチェックし(ステップS200)、該RUNフラグが1であれば(ステップS200;Y)、タイマの値ttをインクリメントし(ステップS202)、タイマ割込ルーチンを終了する。逆にRUNフラグが0であれば(ステップS200;N)、そのままタイマ割込ルーチンを終了する。
図7は、図5のステップS104に示すイベントの処理ルーチンを示しており、パネル操作に応じてそれぞれに対応する処理を行う。
まず、RAM103上に記憶されているテンポに変更があったか否かをチェックする(ステップS300)。テンポ変更があった場合(ステップS300;Y)、T=60/(2*テンポの値)という計算を行い、テンポTをその値に変更して(ステップS302)、テンポ表示を変更し(ステップS304)、復帰する。
テンポ変更がなかった場合(ステップS300;N)、同じくRAM103上に記憶されている言語の変更が行われたか否かをチェックする(ステップS306)。言語の変更があった場合(ステップS306;Y)、音源制御手段4に波形セットを変更するように命じ(ステップS308)、同時にti、tmaxのデータセットを変更し、言語表示を変更して(ステップS310)、復帰する。
言語の変更がなかった場合(ステップS306;N)、拍子(BEET)変更があったか否かをチェックする(ステップS312)。
拍子変更があった場合(ステップS312;Y)、その拍子に応じてBmaxの値を変更し(ステップS314)、拍子の表示を変更して(ステップS316)、復帰する。
拍子変更がなかった場合(ステップS312;N)、スタートスイッチがONになったか否かをチェックする(ステップS318)。スタートスイッチがONになっている場合(ステップS318;Y)、RUNフラグを1にセットし(ステップS320)、割り込みルーチンでのタイマカウントアップを許可して、メトロノームの動作を開始する。その後復帰する。
スタートスイッチがONになっていない場合(ステップS318;N)、ストップスイッチがONになったか否かをチェックする(ステップS322)。ストップスイッチがONになっている場合(ステップS322;Y)、RUNフラグを0にセットし(ステップS324)、割り込みルーチンでのタイマカウントアップを不許可にして、メトロノームの動作を終了する。その際タイマの値ttを元のtmax-1に戻し(ステップS326)、さらに拍をカウントするCOUNT値が0に設定され(ステップS328)、メトロノームの動作を終了する。
図8は、イベントとは無関係に、時刻の進行に従って処理を行う恒常処理ルーチンを示すフローチャートである。
まず現在の小節始めからの時刻ttを、(tb-tmax)と一致するか比較する(ステップS400)。時刻ttが小節始めよりtmaxだけ前の時に発音を行うためである。時刻ttが(tb-tmax)と異なっていれば(ステップS400;N)、何もせずに復帰する。
逆に時刻ttが(tb-tmax)と一致していれば(ステップS400;Y)、発音処理を行う(ステップS404)。
このとき、テンポ発生手段2からの音色制御手段4への発音指令からある時間(T-ti)後に発音を開始するように、発音遅れ時間tdelayを、音色制御手段4にパラメータとして渡す(ステップS402)。
また、拍が何拍目かによって発音される波形データが異なるから、拍データCOUNT値もインクリメントして音色制御手段4へ渡す(ステップS406)。
上述のように、tdelayは一拍の時間tmaxから波形データごとの先読み時間ti(iは拍数に依存する)を引いた値であるから、結局音色制御手段4への発音指示からtdelay後にカウント音声が発音される。ということは、拍時刻のti前に発音される、ということに他ならない。
発音指示が終わると、拍をカウントするCOUNT値がインクリメント去れ(ステップS406)、次の拍の発音に備える。このときCOUNT値がBmaxを超えているか否かがチェックされる(ステップS408)。COUNT値がBmaxを超えていなければ(ステップS408;N)、何もせずに復帰する。
COUNT値がBmaxを超えていれば(ステップS408;Y)、一小節を数え終わったことになるので、COUNT値はゼロにリセットされる(ステップS410)。そして現在の小節始めからの時刻ttを、次の小節の始めの時刻に戻す(ステップS412)。
以上の構成では、上記出力タイミング補正手段5による出力タイミングの補正は、テンポに関係なく音節毎にある一定時間の出力タイミングの補正を行う。例えばテンポ60の場合、本電子メトロノームでは、リズムを正確にするために、「いち」、「に」は通常に発音すれば良いが、「さん」は、通常の発音(出力)タイミングより、例えば0.06秒早くし、「し」は、0.1秒早く発音が開始されるようにする。またテンポ120の場合でも、「さん」は、通常の発音(出力)タイミングより、例えば0.06秒早くし、「し」は、0.1秒早く発音が開始されるようにする。
以上説明した本実施例構成によれば、音色制御手段4によって、音色データ記憶手段3から発音音色データとその読み出し順序を示すシーケンスデータが読み出され、上記テンポ信号が入力される毎に、該シーケンスに従って順次発音音色データが出力される。その際、出力タイミング補正手段5により、上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音で無い場合は、上記発音遅れ時間が所定値であり、一方上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音である(上記例では「さん」、「し」など)場合は、上記発音遅れ時間が所定値とは異なる、上記各テンポ用発音音色データに応じた値であるように補正され、前記テンポ信号の発音がそれぞれの前記発音遅れ時間に応じて遅延して発音されるようになる。このように、1)テンポを示すクロックを一定時間遅延させ、2)同様にカウント音声も遅延させ、但し、3)摩擦音で始まる音声は遅延時間を加減するという方法で発音タイミングを補正するので、摩擦音部分を短くするなどといった編集を行う必要がなく、そのため、「さん」、「し」は、そのまま、「さん」、「し」に聴こえ、音が聴き取りにくくなったり、リズムが狂ったように聴こえるようなこともない。
すなわち、実施例中の構成では、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音色データ(上記例では「さん」、「し」など)だけ、出力タイミングを早めるなどの操作を行うようにすることは難しいため、上記テンポ発生手段2により、普通の発音データに対し、基本的に一定時間遅延させ上記テンポ信号が発生されて出力される。そのかわり、上記出力タイミング補正手段5により、特定の発音音色データ(上記例では「さん」、「し」など)については、上記遅延時間を所定の時間だけ減じて、出力される(それらの音だけ遅延時間を縮める)ようにしている。
さらに上記構成は、日本語の言語だけに限らない。すなわち、音色データは、各言語毎に作成されており、図3の最下段にある「LANGUAGE」の表示の上下にある三角形及び逆三角形のスイッチを押すことで、言語の設定が行われ、その言語に応じてその中に含まれる特定の発音音色データについて、出力タイミング補正手段5により出力タイミングの補正がなされる構成とすることで、各言語に対応した本電子メトロノームを提供できることになる。
尚、本発明の電子メトロノームは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。たとえば、電子楽器に内蔵される構成により、本電子メトロノーム構成を作ることも可能である。
電子メトロノームの最良の実施形態を示す回路構成概略図である。 本願発明に係る電子メトロノームの機能構成概要図である。 上記構成におけるパネル表示・パネル設定回路105の平面図である。 音色制御手段4による発音音色データの出力タイミングと、出力タイミング補正手段5による上記出力タイミングの補正状態を示すタイミングチャートである。 電子メトロノームのメインのプログラムルーチンのフローチャートである。 割り込みの処理ルーチンのフローチャートである。 ステップS104に示すイベントの処理ルーチンを示すフローチャートである。 時刻の進行に従って処理を行う恒常処理ルーチンを示すフローチャートである。 「いち」の楽音波形データを示す波形図である。 「に」の楽音波形データを示す波形図である。 「さん」の楽音波形データを示す波形図である。 「し」の楽音波形データを示す波形図である。
符号の説明
1 テンポ指定手段
2 テンポ発生手段
3 音色データ記憶手段
4 音色制御手段
5 出力タイミング補正手段
100 システムバス
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 パネルスキャン回路
105 パネル表示・パネル設定回路
106 音源部
107 波形読出器
108 波形メモリ
109 D/A変換回路
110 アンプ
111 スピーカ

Claims (1)

  1. 発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音を含む複数種類のテンポ用発音音色データを用いてテンポを提示する電子メトロノームにおいて、
    テンポ指定を行うテンポ指定手段と、
    指定されたテンポでテンポ信号を発生するテンポ発生手段と、
    テンポ用発音音色データとその発音順序を示すシーケンスデータを記憶しておく音色データ記憶手段と、
    音色データ記憶手段からシーケンスデータを読み出し、上記テンポ信号が入力される毎に、該シーケンスに従って順次発音音色データを読み出す音色制御手段と、
    上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音で無い場合は、上記発音遅れ時間が所定値であり、一方上記テンポ用発音音色データが、発音開始直後に摩擦音で始まり、その後少し遅れて母音が発音される音である場合は、上記発音遅れ時間が所定値とは異なる、上記各テンポ用発音音色データに応じた値であるように補正する出力タイミング補正手段と
    を有し、
    前記テンポ信号の発音がそれぞれの前記発音遅れ時間に応じて遅延して発音するようにしたことを特徴とする電子メトロノーム。
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