JP4721334B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
そのため、後突以外の原因により後突の慣性力よりも少ない荷重の場合でも、可動フレームが後方移動すると、ヘッドレストは前方移動してしまって、ヘッドレストが頭部を押して、着座者に不快感を与えるという課題がある。
本願は、着座者の後方移動を感知してヘッドレストを前方移動させる構成でありながら、後突以外では頭部をヘッドレストが押すのを防止したものである。
本発明は、前記係合体53の嵌合溝56に嵌合するヘッドレスト取付杆10の断面形状を略正円形状に形成し、前記嵌合溝56は、前記ヘッドレスト取付杆10が嵌合する部分の一対の係合体53の内面をヘッドレスト取付杆10に外径に合わせた円弧面に形成し、先端側は幅狭に形成した車両用シート。
としたものである。
本発明は、前記保持部52は、合成樹脂製の合成樹脂連結部54Aと金属製の金属製連結部54Bとを重ねて連結部54を形成し、該連結部54に続いて合成樹脂製の合成樹脂製係合体53Aと金属製の金属製係合体53Bとを重ねて係合体53を形成して構成した車両用シートとしたものである。
請求項2の発明では、ヘッドレスト取付杆10と保持部52の保持および開放を一層確実にできる。
請求項3の発明では、合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bとにより係合体53を形成しているので、係合体53とヘッドレスト取付杆10とが設定以上に固く嵌合するのを防止でき、特に、経年変化に対する耐久性を向上させて、確実にヘッドレスト取付杆10を開放してアクティブ機構Aを作動させ、むち打ち症を予防できる。
背凭シート2の上部にはヘッドレスト6を設ける。ヘッドレスト6の構成は任意であり、少なくとも着座者の頭部を支持する頭部支持部7と、前記背凭シート2に装着するためピラー8とを設けて構成している。
ヘッドレスト6のピラー8は、左右方向のヘッドレスト取付杆10に設けたピラー支持部材11に高さ調節自在に取付ける。ピラー8とピラー支持部材11の構成は公知であり、図示は省略するが、ピラー支持部材11に設けた係合部材を所望高さに位置させたピラー8に形成した係合凹部に選択的に係合させて保持すればよい。
アクティブ機構Aは、前記ヘッドレスト取付杆10をの左右両側に、上側リンク杆13の上部に固定し、上側リンク杆13の上下中間部は回動軸14により背凭フレーム3の側部フレーム15に回動自在に取付けて構成する。上側リンク杆13は前記後突感知体12とヘッドレスト6とを連結するリンク機構Lの一部を兼用する。
下側リンク22は、その上部を背凭フレーム3の側部フレーム15に回動軸24により回動自在に取付ける。下側リンク22の下部には、後突感知体12を取付軸25により取付ける。
後突感知体12は、後方から衝突された着座者が慣性によって後方移動することにより後方移動し、このエネルギーがリンク機構Lの下側リンク22と伝動部材20を介して上側リンク杆13に伝達され、上側リンク杆13はこれによりヘッドレスト6を前方移動させ、着座者の頭部を支持する。
したがって、上側リンク杆13は、前記後突感知体12の移動量を増幅させてヘッドレスト6を前方移動させ、ヘッドレスト6の移動量を十分に確保でき、着座者の頭部の支持を確実にする。
また、リンク機構Lの内の一部または全部は、縦板状に形成し、夫々、前記背凭フレーム3の左右側部フレーム15に取付けると、左右の左右側部フレーム15の間には前記後突感知体12が位置するだけであり、着座者に着座時の違和感あるいは不快感を与えない。
26、27はバネである。
即ち、従来の上下に並設したジグザグバネ構成では、着座者の上体は荷重により後方移動する各ジグザグバネにより「線」で支持されるので、着座姿勢が安定せず、後突のとき前方移動するヘッドレスト6が頭部を支持しても、着座者の上体が後方移動してしまって、頭部と上体との位置関係がかえって不安定になるが、本願では、板状支持材30により着座者の上体全体を「面」で支持できて、前方移動するヘッドレスト6が頭部を支持しているときに、板状支持材30が着座者の上体を「面」で支持するので、頭部を含めた着座者の着座姿勢を極めて安定させる。
板状支持材30は、前記プレート体31をジグザグスプリングやフォームドワイヤスプリング等のワイヤスプリング32を介して背凭フレーム3に前後移動自在に取付けて構成し、板状支持材30は面状態を保持したまま前後して着座者を支持する。
しかして、前記プレート体31の上縁は、中央部が低い円弧形状の上側円弧部33に形成し、上側円弧部33は平均的着座者の第九胸椎付近Cより上方に位置させる。
第九胸椎付近Cは、上体の重心位置であり、着座姿勢において脊柱の中でも変化しない部分(移動量が少)であり、プレート体31の上縁を第九胸椎付近Cより上方に位置させることで、板状支持材30は着座者の上体の重心位置を支持する。
この場合、ワイヤスプリング32のうち上側ワイヤスプリング32Aは、第九胸椎付近Cよりやや下方に位置させ、第九胸椎付近Cより斜め後側下方に掛かる荷重を支持するようにすると、一層、着座者の上体を有効に支持できて、好適である。
上側部分34の下方のプレート体31のプレート中間部分36は、その上下中間部が最も幅狭になるように、その左右側縁を円弧形状の中間円弧部37に夫々形成する。着座者のウエスト近傍は、着座姿勢においてそれ程支持を必要とせず、むしろ圧迫による着座疲労・腰痛の原因となるので、プレート中間部分36の左右側縁は中間円弧部37に形成し、圧迫から着座者を開放する。また、着座者のウエスト近傍のサイズは個人差が大きく、この点でも、プレート体31のプレート中間部分36を中間円弧部37に形成すると、好適である。
即ち、背凭フレーム3に板状支持材30を設けたことで、板状支持材30の上端から下端の何れかの部分の後方に後突感知体12を設ければ後突を感知できるようになる点、板状支持材30のプレート中間部分36は後方移動量が大きく後突のとき後突感知体12を大きく移動させて確実に後突を感知できる点、また、後突感知体12を上方に設けると、その部分の板状支持材30を所定量後方移動させることになって、着座者の上体の支持が不足してしまう点等の理由から、プレート中間部分36の後方に後突感知体12を位置させる。
したがって、板状支持材30による着座者の支持と、後突感知体12による後突の感知の確実性とを両立させられる。
即ち、骨盤の上部を形成する腸骨R部分近傍を腸骨支持部41により支持することで着座者の腰部を確実にホールドするようにしている。
同様に、着座者の仙骨S部分近傍を仙骨支持部43により支持することで着座者の腰部を確実にホールドする。
即ち、上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bにより着座者の第九胸椎付近および骨盤・仙骨近傍を支持することにより、着座者の背中(腰)は上下2点で支持され、上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bの間の背骨に掛かる圧力を抑制することで、着座時の疲労を軽減させる作用効果が期待でき、好適である。
しかして、ワイヤスプリング32は、前記上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bの上下2本並設し、一枚板状のプレート体31は上下左右4箇所で支持されて、面状体で着座者を支持する。ワイヤスプリング32の上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bは、何れも左右両端部を背凭フレーム3に固定状態に取付け、その中間部は適宜上下方向に屈曲させた屈曲部44に形成し、屈曲部44によりプレート体31を面状態で支持するように構成する。
また、ワイヤスプリング32の左右中間部は、屈曲部44の所定部分を係止具45等の任意の構成により板状支持材30に固定する。
即ち、後突以外の原因によって、ヘッドレスト6が前方移動するのを保持機構50により防止するのである。
保持機構50は、背凭フレーム3の上部フレーム51に、アクティブ機構Aを保持する保持部52を設けて構成する。保持部52は、後突感知体12に掛かる荷重が一定以下のときは、アクティブ機構Aの作動を停止させて、ヘッドレスト6を所定位置に保持して、アクティブ機構Aを設けていない車両用シート1と同等の商品性を確保するように、構成している。
前記保持部52は、一対の先端が自由端の舌片形状の係合体53の基部を連結部54により連結して略U型形状に形成する。保持部52は、連結部54を螺子等の止着具55により上部フレーム51の取付部57に固定して取付ける。
この場合、嵌合溝56に嵌合する部分のヘッドレスト取付杆10の断面形状を、略円形に形成し、一対の係合体53の内面もヘッドレスト取付杆10に外径に合わせた円弧面に形成すると、ヘッドレスト取付杆10と保持部52の嵌合したときの保持力の設定が容易・確実になって、好適である。
即ち、合成樹脂製連結部54Aと金属製連結部54Bおよび合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bは、回動方向(厚さ方向)に層状態に重ねて形成し、合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bとは互いに弾性変形するように構成する。
背凭シート2の背凭フレーム3には板状支持材30を設け、板状支持材30は略四角形の一枚板状に形成したプレート体31をワイヤスプリング32を介して背凭フレーム3に前後移動自在に取付けて構成しているから、板状支持材30は、保持したまま前後移動して着座者を支持する。
また、板状支持材30のプレート体31は略四角形の一枚板状に形成しているから、プレート体31の所定部分にのみ掛かる荷重も、プレート体31全体が後方に移動することで上下左右に荷重を分散させ、確実に支持する。
この場合、後突感知体12はプレート体31の後側に、該プレート体31の前後移動量(特に後方移動量)を想定して所定間隔おいて設けられているから、通常の着座状態では、プレート体31が背凭フレーム3に対して前後してクッション材4を支持し、クッション性を良好にする。しかも、プレート体31と後突感知体12の移動方向は同じであるから、後突による慣性が生じて着座者により押されたプレート体31は、後突感知体12を確実に後方移動させて、衝撃による慣性を感知する。
したがって、板状支持材30による着座者の支持と、後突感知体12による後突の感知の確実性とを両立させられ、合理的構成となる。
しかして、ヘッドレスト6と背凭フレーム3との間には、後突前に、後突時以下の荷重ではヘッドレスト6を元の位置に保持する保持機構50を設けているから、後突以外の原因によって、ヘッドレスト6が前方移動するのを保持機構50により防止でき、アクティブ機構Aを設けていない車両用シート1と同等の商品性を発揮させる。
保持機構50は、背凭フレーム3の上部フレーム51に、アクティブ機構Aを保持する保持部52を設けて構成し、保持部52は、後突感知体12に掛かる荷重が一定以下のときはアクティブ機構Aの作動を停止させるように構成しているから、荷重が一定以下のときは、ヘッドレスト6を前後動しないように保持して、着座者の頭部をヘッドレスト6が押さないをようにして着座感の低下を抑制し、一定以上の荷重が掛かると、保持部52はアクティブ機構Aを開放して作動させ、ヘッドレスト6を後突感知体12が後方移動するエネルギーにより前方移動させて頭部を支持し、むち打ち症の発症を防止する。
この場合、アクティブ機構Aの一部はヘッドレスト取付杆10により構成しているから、ヘッドレスト取付杆10は上方から一対の係合体53を押し広げて、係合体53間の嵌合溝56に嵌合し、嵌合すると、係合体53自体の弾性復元力によりヘッドレスト取付杆10は保持される。
したがって、ヘッドレスト取付杆10は一定以上の荷重が掛かったときには、一対の係合体53を押し広げて嵌合溝56から離脱し、アクティブ機構Aはヘッドレスト6を前方移動させる。
したがって、着座者の頭部をヘッドレスト6が押さないをようにして着座感の低下を抑制する。
しかして、嵌合溝56に嵌合する部分のヘッドレスト取付杆10の断面形状を、略円形に形成し、一対の係合体53の内面もヘッドレスト取付杆10に外径に合わせた円弧面に形成しているから、ヘッドレスト取付杆10と保持部52との嵌合したときの保持力の設定が容易・確実になる。
また、合成樹脂製係合体53Aは、ヘッドレスト取付杆10との接触部分の異音の発生を抑制する。
また、保持部52は、合成樹脂製連結部54Aと金属製連結部54Bとを、合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bとを、夫々重ねて形成しているので、製造が容易であり、保持部52自体の組立は不要になる。
なお、理解を容易にするために、前後左右上下等の方向を用いて構成を記載しているが、これにより、構成を含めた本発明が限定されるものではなく、また、特に、移動方向に関しては表現に限定されない。
Claims (3)
- ヘッドレスト6を背凭フレーム3にアクティブ機構Aを介して前後移動可能に取付け、後方からの追突の慣性により後方移動する着座者の頭部を、前記アクティブ機構Aにより前進させたヘッドレスト6により支持するように構成し、前記アクティブ機構Aには、該アクティブ機構Aの一部に作用して、後突以外の原因によるヘッドレスト6の前方移動を停止させる保持機構50を設け、前記アクティブ機構Aは、ヘッドレスト6を取付けたヘッドレスト取付杆10と、該ヘッドレスト取付杆10を前記背凭フレーム3に対して前後動させる上側リンク杆13により構成し、前記保持機構50は、前記ヘッドレスト取付杆10が嵌合する一対の係合体53を有する保持部52により構成した車両用シート。
- 請求項1において、前記係合体53の嵌合溝56に嵌合するヘッドレスト取付杆10の断面形状を略正円形状に形成し、前記嵌合溝56は、前記ヘッドレスト取付杆10が嵌合する部分の一対の係合体53の内面をヘッドレスト取付杆10に外径に合わせた円弧面に形成し、先端側は幅狭に形成した車両用シート。
- 請求項2において、前記保持部52は、合成樹脂製の合成樹脂連結部54Aと金属製の金属製連結部54Bとを重ねて連結部54を形成し、該連結部54に続いて合成樹脂製の合成樹脂製係合体53Aと金属製の金属製係合体53Bとを重ねて係合体53を形成して構成した車両用シート。
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