JP2006347436A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 慣性以外の原因によるヘッドレストの前後動し、着座フィーリングの低下。
【構成】 ヘッドレスト6を背凭フレーム3にアクティブ機構Aを介して前後移動可能に取付け、後方からの追突の慣性により後方移動する着座者の頭部を、前記アクティブ機構Aにより前進させたヘッドレスト6により支持するように構成し、前記アクティブ機構Aには、該アクティブ機構Aの一部に作用して、後突以外の原因によるヘッドレスト6の前方移動を停止させる保持機構50を設ける。前記アクティブ機構Aは、ヘッドレスト6を取付けたヘッドレスト取付杆10と、該ヘッドレスト取付杆10を前記背凭フレーム3に対して前後動させる上側リンク杆13により構成する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、後方からの衝突を受けて慣性により着座者が後方移動する所謂「後突」のときに、前方移動して頭部を支持するヘッドレストを設けた車両用シートに係るものである。
従来、背凭シートの上部に設けたヘッドレストが、着座者の背中後方に位置する背凭シート内の可動フレームの後方回動により前方回動して着座者の頭部を支持する構成は公知である(例えば、特許文献1)。
特開平10−119619号公報
前記公知例は、着座者の背部が後突時の慣性により後側に移動することで、可動フレームを後方移動させ、この可動フレームの移動を梃の原理でヘッドレストの前方移動に変換して頭部を支持している。
そのため、後突以外の原因により後突の慣性力よりも少ない荷重の場合でも、可動フレームが後方移動すると、ヘッドレストは前方移動してしまって、ヘッドレストが頭部を押して、着座者に不快感を与えるという課題がある。
本願は、着座者の後方移動を感知してヘッドレストを前方移動させる構成でありながら、後突以外では頭部をヘッドレストが押すのを防止したものである。
本発明は、ヘッドレスト6を背凭フレーム3にアクティブ機構Aを介して前後移動可能に取付け、後方からの追突の慣性により後方移動する着座者の頭部を、前記アクティブ機構Aにより前進させたヘッドレスト6により支持するように構成し、前記アクティブ機構Aには、該アクティブ機構Aの一部に作用して、後突以外の原因によるヘッドレスト6の前方移動を停止させる保持機構50を設けた車両用シートとしたものである。
本発明は、前記アクティブ機構Aは、ヘッドレスト6を取付けたヘッドレスト取付杆10と、該ヘッドレスト取付杆10を前記背凭フレーム3に対して前後動させる上側リンク杆13により構成し、前記保持機構50は、前記ヘッドレスト取付杆10が嵌合する一対の係合体53を有する保持部52により構成した車両用シートとしたものである。
本発明は、前記係合体53の嵌合溝56に嵌合するヘッドレスト取付杆10の断面形状を略正円形状に形成し、前記嵌合溝56は、前記ヘッドレスト取付杆10が嵌合する部分の一対の係合体53の内面をヘッドレスト取付杆10に外径に合わせた円弧面に形成し、先端側は幅狭に形成した車両用シートとしたものである。
本発明は、前記保持部52は、合成樹脂製の合成樹脂連結部54Aと金属製の金属製連結部54Bとを重ねて連結部54を形成し、該連結部54に続いて合成樹脂製の合成樹脂製係合体53Aと金属製の金属製係合体53Bとを重ねて係合体53を形成して構成した車両用シートとしたものである。
請求項1の発明では、保持機構50によりヘッドレスト6を所定位置に保持するので、後突以外の原因でヘッドレストが頭部を押すのを防止して、アクティブ機構Aを設けた車両用シートでありながら、着座者に与える不快感を抑制して着座感を向上させることができ、また、後突のときには着座者の頭部を支持してむち打ち症を予防できる。
請求項2の発明では、ヘッドレスト取付杆10を保持部52の一対の係合体53に嵌合させて保持するので、保持力の設定が容易で確実に作動させることができ、簡素に構成でき、部品点数を減少させて、安価にできる。
請求項3の発明では、ヘッドレスト取付杆10と保持部52の保持および開放を一層確実にできる。
請求項4の発明では、合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bとにより係合体53を形成しているので、係合体53とヘッドレスト取付杆10とが設定以上に固く嵌合するのを防止でき、特に、経年変化に対する耐久性を向上させて、確実にヘッドレスト取付杆10を開放してアクティブ機構Aを作動させ、むち打ち症を予防できる。
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は車両用シート、2は車両用シート1の背凭シートであり、該背凭シート2は背凭フレーム3にクッション材4を取付け、クッション材4の外周を表皮部材5により包囲して構成している。
背凭シート2の上部にはヘッドレスト6を設ける。ヘッドレスト6の構成は任意であり、少なくとも着座者の頭部を支持する頭部支持部7と、前記背凭シート2に装着するためピラー8とを設けて構成している。
ヘッドレスト6のピラー8は、前記左右方向のヘッドレスト取付杆10に設けたピラー支持部材11に高さ調節自在に取付ける。ピラー8とピラー支持部材11の構成は公知であり、図示は省略するが、ピラー支持部材11に設けた係合部材を所望高さに位置させたピラー8に形成した係合凹部に選択的に係合させて保持すればよい。
ヘッドレスト6は、後述する後突感知体12が後突を感知すると、アクティブ機構Aにより着座者の頭部後方の所定位置から前方移動させられて着座者の頭部を支持するように構成する。アクティブ機構Aの構成は、任意であるが、以下一例を示す。
アクティブ機構Aは、前記ヘッドレスト取付杆10をの左右両側に、上側リンク杆13の上部に固定し、上側リンク杆13の上下中間部は回動軸14により背凭フレーム3の側部フレーム15に回動自在に取付けて構成する。上側リンク杆13は前記後突感知体12とヘッドレスト6とを連結するリンク機構Lの一部を兼用する。
この場合、上側リンク杆13は、回動軸14より上側を上リンクアーム部16に形成し、回動軸14より下側を下リンクアーム部17に形成し、上リンクアーム部16と下リンクアーム部17は逆「く」の字形状に形成し、下リンクアーム部17よりも上リンクアーム部16を長く形成する。また、上側リンク杆13は、下リンクアーム部17が回動軸14を基準に下方に至るに従い前側に位置するように、傾斜させて取付ける。19は上側リンク杆13を取付けるブラケットである。
しかして、上側リンク杆13の下部には、伝動部材(ロッド)20の上部を軸21により取付ける。伝動部材20の下部は下側リンク22の上下中間部に軸23により取付ける。
下側リンク22は、その上部を背凭フレーム3の側部フレーム15に回動軸24により回動自在に取付ける。下側リンク22の下部には、後突感知体12を取付軸25により取付ける。
後突感知体12は、後方から衝突された着座者が慣性によって後方移動することにより後方移動し、このエネルギーがLの下側リンク22と伝動部材20を介して上側リンク杆13に伝達され、上側リンク杆13はこれによりヘッドレスト6を前方移動させ、着座者の頭部を支持する。
この場合、後突感知体12が後方移動すると、下側リンク22は伝動部材20を下方に牽引し、伝動部材20は上側リンク杆13の下部を下方回動させ、上側リンク杆13の上部は前方回動してヘッドレスト6を前方移動させる。
したがって、上側リンク杆13は、前記後突感知体12に移動量を増幅させてヘッドレスト6を前方移動させ、ヘッドレスト6の移動量を十分に確保でき、着座者の頭部の支持を確実にする。
また、リンク機構Lの内の一部または全部は、下板状に形成し、夫々、前記背凭フレーム3の左右側部フレーム15に取付けると、左右の左右側部フレーム15の間には前記後突感知体12が位置するだけであり、着座者に着座時の違和感あるいは不快感を与えない。
26、27はバネである。
しかして、背凭シート2の背凭フレーム3には、板状支持材30を設ける。板状支持材30は着座者の上体(腰部を含む上半身)を支持するものである。板状支持材30は着座者の上体を「面」で支持して、着座姿勢を安定させ、ヘッドレスト6による頭部の支持を良好にさせる。
即ち、従来の上下に並設したジグザグバネ構成では、着座者の上体は荷重により後方移動する各ジグザグバネにより「線」で支持されるので、着座姿勢が安定せず、後突のとき前方移動するヘッドレスト6が頭部を支持しても、着座者の上体が後方移動してしまって、頭部と上体との位置関係がかえって不安定になるが、本願では、板状支持材30により着座者の上体全体を「面」で支持できて、前方移動するヘッドレスト6が頭部を支持しているときに、板状支持材30が着座者の上体を「面」で支持するので、頭部を含めた着座者の着座姿勢を極めて安定させる。
前記板状支持材30は、略四角形の一枚板状のプレート体31により形成し、プレート体31は、ポリプロピレン等の合成樹脂により、着座者を支持しうる所定の強度を有しつつ、着座者からの後方荷重(体重の場合も含む)を受けたときある程度弾性変形しながら荷重支持するように構成すると、所謂「当たり」と呼ばれる背当たり時の感触を柔軟にできて、好適である。
板状支持材30は、前記プレート体31をジグザグスプリングやフォームドワイヤスプリング等のワイヤスプリング32を介して背凭フレーム3に前後移動自在に取付けて構成し、板状支持材30は面状態を保持したまま前後して着座者を支持する。
この場合、前記ワイヤスプリング32は、所定の弾性を有しており、プレート体31に荷重が掛かったときに、プレート体31全体が面形状を保持したまま後方移動しうるように構成する。
しかして、前記プレート体31の上縁は、中央部が低い円弧形状の上側円弧部33に形成し、上側円弧部33は平均的着座者の第九胸椎付近Cより上方に位置させる。
第九胸椎付近Cは、上体の重心位置であり、着座姿勢において脊柱の中でも変化しない部分(移動量が少)であり、プレート体31の上縁を第九胸椎付近Cより上方に位置させることで、板状支持材30は着座者の上体の重心位置を支持する。
この場合、ワイヤスプリング32のうち上側ワイヤスプリング32Aは、第九胸椎付近Cよりやや下方に位置させ、第九胸椎付近Cより斜め後側下方に掛かる荷重を支持するようにすると、一層、着座者の上体を有効に支持できて、好適である。
しかして、前記上側円弧部33を有するプレート体31の上側部分34の上側側縁35は、略直線状に形成して、上側部分34が略同一の左右幅を有するように形成する。これにより、上側部分34は着座者の上体を面状態で支持できる。
上側部分34の下方のプレート体31のプレート中間部分36は、その上下中間部が最も幅狭になるように、その左右側縁を円弧形状の中間円弧部37に夫々形成する。着座者のウエスト近傍は、着座姿勢においてそれ程支持を必要とせず、むしろ圧迫による着座疲労・腰痛の原因となるので、プレート中間部分36の左右側縁は中間円弧部37に形成し、圧迫から着座者を開放する。また、着座者のウエスト近傍のサイズは個人差が大きく、この点でも、プレート体31のプレート中間部分36を中間円弧部37に形成すると、好適である。
この場合、プレート体31のプレート中間部分36の後方に、後突感知体12を位置させる。
即ち、背凭フレーム3に板状支持材30を設けたことで、板状支持材30の上端から下端の何れかの部分の後方に後突感知体12を設ければ後突を感知できるようになる点、板状支持材30のプレート中間部分36は後方移動量が大きく後突のとき後突感知体12を大きく移動させて確実に後突を感知できる点、また、後突感知体12を上方に設けると、その部分の板状支持材30を所定量後方移動させることになって、着座者の上体の支持が不足してしまう点等の理由から、プレート中間部分36の後方に後突感知体12を位置させる。
したがって、板状支持材30による着座者の支持と、後突感知体12による後突の感知の確実性とを両立させられる。
しかして、プレート中間部分36の下方のプレート体31の下側部分40は、左右両側に夫々側方に突き出る腸骨支持部41を形成し、腸骨支持部41より下側は下方に至るに従い幅狭の円弧形状の下側円弧部42に形成し、左右の下側円弧部42の合流部に下側に突き出る仙骨支持部43を形成する。
即ち、骨盤の上部を形成する腸骨R部分近傍を腸骨支持部41により支持することで着座者の腰部を確実にホールドするようにしている。
同様に、着座者の仙骨S部分近傍を仙骨支持部43により支持することで着座者の腰部を確実にホールドする。
しかして、ワイヤスプリング32のうち下側ワイヤスプリング32Bは、前記腸骨支持部41よりも上側であって中間円弧部37の最幅狭部分より下方に位置させると、着座者の腰部を有効に支持できて、好適である。
即ち、上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bにより着座者の第九胸椎付近および骨盤・仙骨近傍を支持することにより、着座者の背中(腰)は上下2点で支持され、上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bの間の背骨に掛かる圧力を抑制することで、着座時の疲労を軽減させる作用効果が期待でき、好適である。
また、骨盤・仙骨近傍に下側ワイヤスプリング32Bを設けているので、後突のときには板状支持材30の下側部分が「面」となって一体的に後方移動し、これにより後突感知体12を確実に後方移動させて、後突の感知を確実にする作用も期待している。
しかして、ワイヤスプリング32は、前記上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bの上下2本並設し、一枚板状のプレート体31は上下左右4箇所で支持されて、面状体で着座者を支持する。ワイヤスプリング32の上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bは、何れも左右両端部を背凭フレーム3に固定状態に取付け、その中間部は適宜上下方向に屈曲させた屈曲部44に形成し、屈曲部44によりプレート体31を面状態で支持するように構成する。
また、ワイヤスプリング32の左右中間部は、屈曲部44の所定部分を係止具45等の任意の構成により板状支持材30に固定する。
しかして、ヘッドレスト6と背凭フレーム3との間には、後突前、ヘッドレスト6を保持する保持機構50を設ける。
即ち、後突以外の原因によって、ヘッドレスト6が前方移動するのを保持機構50により防止するのである。
保持機構50は、背凭フレーム3の上部フレーム51に、アクティブ機構Aを保持する保持部52を設けて構成する。保持部52は、後突感知体12に掛かる荷重が一定以下のときは、アクティブ機構Aの作動を停止させて、ヘッドレスト6を所定位置に保持して、アクティブ機構Aを設けていない車両用シート1と同等の商品性を確保するように、構成している。
即ち、後突以外の原因により、ヘッドレスト6が前方に移動してしまうと、着座者は頭部をヘッドレスト6により押されて不快感を感じるので、通常着座状態では保持機構50によりヘッドレスト6を保持してヘッドレスト6の前後動を防止する。
前記保持部52は、一対の先端が自由端の舌片形状の係合体53の基部を連結部54により連結して略U型形状に形成する。保持部52は、連結部54を螺子等の止着具55により上部フレーム51の取付部57に固定して取付ける。
前記係合体53は、一対の各先端の間隔に比して中間の間隔を大きく形成し、一対の係合体53によりアクティブ機構Aの一部を挟持して保持する。実施例では、アクティブ機構Aの一部を構成するヘッドレスト取付杆10が上方から係合体53間の嵌合溝56に嵌合するように構成している。
この場合、嵌合溝56に嵌合する部分のヘッドレスト取付杆10の断面形状を、略円形に形成し、一対の係合体53の内面もヘッドレスト取付杆10に外径に合わせた円弧面に形成すると、ヘッドレスト取付杆10と保持部52の嵌合したときの保持力の設定が容易・確実になって、好適である。
また、保持部52は、合成樹脂と金属バネ板との二種構成とし、合成樹脂製連結部54Aと金属製連結部54Bとにより連結部54を形成し、連結部54に続いて合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bとにより係合体53を形成すると、合成樹脂により嵌合するときの異音発生を防止すると共に、ヘッドレスト取付杆10と係合体53とが錆びて互いに固着されるのを回避する。
即ち、合成樹脂製連結部54Aと金属製連結部54Bおよび合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bは、回動方向(厚さ方向)に層状態に重ねて形成し、合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bとは互いに弾性変形するように構成する。
しかして、前記保持機構50は、前記保持部52を、前記一対のピラー支持部材11間に一個設ければよいが、複数設けてもよく、図5の実施例では前記一対のピラー支持部材11間に2個設けている。
(実施例の作用)
背凭シート2の背凭フレーム3には板状支持材30を設け、板状支持材30は略四角形の一枚板状に形成したプレート体31をワイヤスプリング32を介して背凭フレーム3に前後移動自在に取付けて構成しているから、板状支持材30は、保持したまま前後移動して着座者を支持する。
また、板状支持材30のプレート体31は略四角形の一枚板状に形成しているから、プレート体31の所定部分にのみ掛かる荷重も、プレート体31全体が後方に移動することで上下左右に荷重を分散させ、確実に支持する。
即ち、例えば、上下にプレート体31を分割して形成すると、上下のプレート体31の間の部分に荷重が掛かったとき、上下のプレート体31は夫々回転して荷重を確実に支持できないことがあるが、本願は、略四角形の一枚板状のプレート体31により板状支持材30を形成しているので、上下中間に掛かる荷重も板状支持材30全体により確実に受け止めて支持する。
しかして、背凭フレーム3には、上側リンク杆13を介してヘッドレスト取付杆10を取付け、ヘッドレスト取付杆10にはヘッドレスト6のピラー8を支持するピラー支持部材ピラー支持部材11を固定しているから、後方から衝撃を受けて慣性で着座者が後方へ移動すると、プレート体31が後方移動し、プレート体31は後突感知体12を後方移動させ、後突感知体12の後方移動により下側リンク22が回動して伝動部材20を下方に牽引し、伝動部材20は上側リンク杆13を回動軸14中心に下方回動させ、上側リンク杆13の上部は回動軸14中心に前方回動し、これによりヘッドレスト6は軸21中心に前方移動する。
したがって、ヘッドレスト6は上側リンク杆13により前方回動して頭部を支持し、むち打ち症防止効果を奏する。
この場合、後突感知体12はプレート体31の後側に、該プレート体31の前後移動量(特に後方移動量)を想定して所定間隔おいて設けられているから、通常の着座状態では、プレート体31が背凭フレーム3に対して前後してクッション材4を支持し、クッション性を良好にする。しかも、プレート体31と後突感知体12の移動方向は同じであるから、後突による慣性が生じて着座者により押されたプレート体31は、後突感知体12を確実に後方移動させて、衝撃による慣性を感知する。
したがって、板状支持材30による着座者の支持と、後突感知体12による後突の感知の確実性とを両立させられ、合理的構成となる。
また、板状支持材30のプレート体31の上部後側に後突感知体12を設けなくてすむので、後突のときの着座者の上体を板状支持材30が確実に支持できする。
しかして、ヘッドレスト6と背凭フレーム3との間には、後突前に、後突時以下の荷重ではヘッドレスト6を元の位置に保持する保持機構50を設けているから、後突以外の原因によって、ヘッドレスト6が前方移動するのを保持機構50により防止でき、アクティブ機構Aを設けていない車両用シート1と同等の商品性を発揮させる。
即ち、後突以外の原因により、ヘッドレスト6が前後に移動してしまうと、着座者は頭部をヘッドレスト6により押されて不快感を感じるが、本願では保持機構50によりヘッドレスト6を保持するので、後突時のむち打ち症の発症を防止しつつ、後突以外の原因によるヘッドレスト6の前後動を防止してアクティブ機構Aを設けていない車両用シート1と同等の着座感を提供できる。
保持機構50は、背凭フレーム3の上部フレーム51に、アクティブ機構Aを保持する保持部52を設けて構成し、保持部52は、後突感知体12に掛かる荷重が一定以下のときはアクティブ機構Aの作動を停止させるように構成しているから、荷重が一定以下のときは、ヘッドレスト6を前後動しないように保持して、着座者の頭部をヘッドレスト6が押さないをようにして着座感の低下を抑制し、一定以上の荷重が掛かると、保持部52はアクティブ機構Aを開放して作動させ、ヘッドレスト6を後突感知体12が後方移動するエネルギーにより前方移動させて頭部を支持し、むち打ち症の発症を防止する。
保持部52は、一対の先端が自由端の舌片形状の係合体53の基部を連結部54により連結して略U型形状に形成し、係合体53は、中間の間隔が大きく、先端の間隔を小に形成しているから、一対の係合体53によりアクティブ機構Aの一部を挟持して保持し、係合体53の保持力より大なる荷重が掛かったときには係合体53がアクティブ機構Aの一部を開放し、ヘッドレスト6を前方移動させる。
この場合、アクティブ機構Aの一部はヘッドレスト取付杆10により構成しているから、ヘッドレスト取付杆10は上方から一対の係合体53を押し広げて、係合体53間の嵌合溝56に嵌合し、嵌合すると、係合体53自体の弾性復元力によりヘッドレスト取付杆10は保持される。
したがって、ヘッドレスト取付杆10は一定以上の荷重が掛かったときには、一対の係合体53を押し広げて嵌合溝56から離脱し、アクティブ機構Aはヘッドレスト6を前方移動させる。
しかし、ヘッドレスト取付杆10に一対の係合体53を押し広げる荷重が一定以下のときは、ヘッドレスト取付杆10は係合体53から開放されずに保持されて、ヘッドレスト6を前後動しないように保持する。
したがって、着座者の頭部をヘッドレスト6が押さないをようにして着座感の低下を抑制する。
しかして、嵌合溝56に嵌合する部分のヘッドレスト取付杆10の断面形状を、略円形に形成し、一対の係合体53の内面もヘッドレスト取付杆10に外径に合わせた円弧面に形成しているから、ヘッドレスト取付杆10と保持部52との嵌合したときの保持力の設定が容易・確実になる。
また、保持部52は、合成樹脂と金属を重ねて構成し、合成樹脂製連結部54Aと金属製連結部54Bとにより連結部54を形成し、連結部54に続いて合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bとにより係合体53を形成しているから、金属製係合体53Bの弾性復元力により係合体53のヘッドレスト取付杆10の保持力を強化し、また、合成樹脂製係合体53Aにより、ヘッドレスト取付杆10と係合体53とが錆びて互いに固着されてヘッドレスト取付杆10が開放されない事態を回避でき、経年変化に対するヘッドレスト取付杆10の保持力を一定にして保持機構50の耐久性の低下を抑制する。
また、合成樹脂製係合体53Aは、ヘッドレスト取付杆10との接触部分の異音の発生を抑制する。
また、保持部52は、合成樹脂製連結部54Aと金属製連結部54Bとを、合成樹脂製係合体53Aと金属製係合体53Bとを、夫々重ねて形成しているので、製造が容易であり、保持部52自体の組立は不要になる。
しかして、前記保持機構50は、前記保持部52を、前記一対のピラー支持部材11間に一個設ければよいが、複数設けてもよく、実施例では2個設けているから、各保持部52は強固にヘッドレスト取付杆10を保持する。
なお、理解を容易にするために、前後左右上下等の方向を用いて構成を記載しているが、これにより、構成を含めた本発明が限定されるものではなく、また、特に、移動方向に関しては表現に限定されない。
背凭シートおよびヘッドレストの斜視図。 背凭シートフレーム側面図。 分解状態斜視図。 背凭シートフレームの斜視図(板状支持材省略)。 背凭シートフレームの斜視図。 着座状態の概略図。 保持機構部分の縦断側面図。 後突前の保持機構の縦断側面図。 後突後の保持機構の開放状態縦断側面図。
符号の説明
1…車両用シート、2…背凭シート、3…背凭フレーム、4…クッション材、5…表皮部材、6…ヘッドレスト、8…ピラー、ヘッドレスト取付杆10…ヘッドレスト取付用杆、ピラー支持部材11…ピラー支持部材、13…上側リンク杆、14…回動軸、15…側部フレーム、20…伝動部材、21…軸、16…上リンクアーム部、17…下リンクアーム部、後突感知体12…後突感知体、22…下側リンク、取付軸25…取付軸、回動軸24…回動軸、23…軸、30…板状支持材、31…プレート体、32…ワイヤスプリング、33…上側円弧部、34…上側部分、35…上側側縁、36…プレート中間部分、37…中間円弧部、40…下側部分、41…腸骨支持部、42…下側円弧部、43…仙骨支持部、50…保持機構、51…上部フレーム、52…保持部、53…係合体、53A…合成樹脂製係合体、53B…金属製係合体、54…連結部、54A…合成樹脂製連結部、54B…金属製連結部。

Claims (4)

  1. ヘッドレスト6を背凭フレーム3にアクティブ機構Aを介して前後移動可能に取付け、後方からの追突の慣性により後方移動する着座者の頭部を、前記アクティブ機構Aにより前進させたヘッドレスト6により支持するように構成し、前記アクティブ機構Aには、該アクティブ機構Aの一部に作用して、後突以外の原因によるヘッドレスト6の前方移動を停止させる保持機構50を設けた車両用シート。
  2. 請求項1において、前記アクティブ機構Aは、ヘッドレスト6を取付けたヘッドレスト取付杆10と、該ヘッドレスト取付杆10を前記背凭フレーム3に対して前後動させる上側リンク杆13により構成し、前記保持機構50は、前記ヘッドレスト取付杆10が嵌合する一対の係合体53を有する保持部52により構成した車両用シート。
  3. 請求項2において、前記係合体53の嵌合溝56に嵌合するヘッドレスト取付杆10の断面形状を略正円形状に形成し、前記嵌合溝56は、前記ヘッドレスト取付杆10が嵌合する部分の一対の係合体53の内面をヘッドレスト取付杆10に外径に合わせた円弧面に形成し、先端側は幅狭に形成した車両用シート。
  4. 請求項3において、前記保持部52は、合成樹脂製の合成樹脂連結部54Aと金属製の金属製連結部54Bとを重ねて連結部54を形成し、該連結部54に続いて合成樹脂製の合成樹脂製係合体53Aと金属製の金属製係合体53Bとを重ねて係合体53を形成して構成した車両用シート。
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