JP4492863B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
また、四角枠形状の背凭シートフレームに左右方向のジグザグバネを上下に複数並設し、ジグザグバネの前面にクッション材を位置させて構成は公知である(例えば、特許文献2)。
また、着座者の腰部分の背凭シートのクッション材を、前後位置調節するランバーサポート機構の構成は公知である(例えば、特許文献3)。
同様に、特開平7−194461号公報に記載されたランバーサポート機構は、ッション材を前方に押し出す構成であるから、前方に押し付けるランバーサポートの移動方向と、むち打ち症対策のための後突を感知するために後方移動する後突感知体の移動方向とは反対になって、ランバーサポート機構とむち打ち症対策機構との併用はできないという課題がある。
即ち、むち打ち症対策のための機構を設けた背凭シートの場合、クッション性能を向上させるバネ構成や、着座者の体格に合わせるランバーサポート機構を一緒に設けることはできないとされていた。
本願は、着座者の背中後方に位置する前後移動体によって着座者の後方移動荷重を検出する構成でありながら、ヘッドレストの移動量を十分に確保し、しかも、後突を検知するとき着座姿勢を崩さないように特段の工夫し、更に、着座者の体格や好みに応じて背凭シートの弾力(前方に押出す力)を調節できるようにしたものである。
本発明は、前記弾力調節機構40は、調節部42の上下部には、後方に凹む断面V形状の上部屈曲部43と下側屈曲部51を形成し、該下側屈曲部51の上方所定位置に後側に突き出る突起部45を形成し、上部屈曲部43と下側屈曲部51の何れか一方に基部を操作装置に連結したワイヤーケーブル46のアウターチューブ47の先端を係止し、何れか他方にワイヤーケーブル46のインナーケーブル48の先端を係止した車両用シートとしたものである。
本発明は、前記弾力調節機構40は、調節部42の突起部45の上方の所定位置には厚さが薄くなる薄肉部44を幅方向に形成した車両用シートとしたものである。
本発明は、前記前後調節機構50の薄肉部44は前記後突感知体25より下方に設けて構成した車両用シートとしたものである。
請求項2の発明では、プレート体31の調節部42を弾性変形させて、調節部42を押し出すので、プレート体31と一体形成でき、むち打ち症対策と、クッション性能の向上と、着座者の体格に合わせた調節機構とを、併存させた車両用シートを実現できる。
請求項3の発明では、薄肉部44により調節部42の特定部分の弾力調節できる。
請求項4の発明では、着座者の腰付近の調節部42を前後させることができ、着座時の疲労を軽減できる。
背凭シート2の上部にはヘッドレスト6を設ける。ヘッドレスト6の構成は任意であり、少なくとも着座者の頭部を支持する頭部支持部7と、前記背凭シート2に装着するためピラー8とを設けて構成している。
ヘッドレスト6のピラー8は左右方向のヘッドレスト取付杆10に設けたピラー支持部材11に高さ調節自在に取付ける。ピラー8とピラー支持部材11の構成は公知であり、図示は省略するが、ピラー支持部材11に設けた係合部材を所望高さに位置させたピラー8に形成した係合凹部に選択的に係合させて保持すればよい。
この場合、上側リンク杆15は、回動軸16より上側を上リンクアーム部22に形成し、回動軸16より下側を下リンクアーム部23に形成し、上リンクアーム部22と下リンクアーム部23は逆「く」の字形状に形成し、下リンクアーム部23よりも上リンクアーム部22を長く形成する。また、上側リンク杆15は、下リンクアーム部23が回動軸16を基準に下方に至るに従い前側に位置するように、傾斜させて取付ける。
この場合、後突感知体25が後方移動すると、下側リンク26は伝動部材20を下方に牽引し、伝動部材20は上側リンク杆15の下部を下方回動させ、上側リンク杆15の上部は前方回動してヘッドレスト6を前方移動させる。
したがって、上側リンク杆15は、前記後突感知体25に移動量を増幅させてヘッドレスト6を前方移動させ、ヘッドレスト6の移動量を十分に確保でき、着座者の頭部の支持を確実にする。
しかして、背凭シート2の背凭フレーム3には、板状支持材30を設ける。板状支持材30は着座者の上体(腰部を含む上半身)を支持するものである。板状支持材30は着座者の上体を「面」で支持して、着座姿勢を安定させ、ヘッドレスト6のよる頭部の支持を良好にさせる。
即ち、従来の上下に並設したジグザグバネ構成では、着座者の上体は荷重により後方移動する各ジグザグバネにより「線」で支持されるので、着座姿勢が安定せず、後突のとき前方移動するヘッドレスト6が頭部を支持しても、着座者の上体が後方移動してしまって、頭部と上体との位置関係がかえって不安定になるが、本願では、板状支持材30により着座者の上体全体を「面」で支持できて、前方移動するヘッドレスト6が頭部を支持しているときに、板状支持材30が着座者の上体を「面」で支持するので、頭部を含めた着座者の着座姿勢を極めて安定させる。
板状支持材30は、前記プレート体31をジグザグスプリングやフォームドワイヤスプリング等のワイヤスプリング32を介して背凭フレーム3に前後移動自在に取付けて構成し、板状支持材30は面状態を保持したまま前後して着座者を支持する。
この場合、前記ワイヤスプリング32は、所定の弾性を有しており、プレート体31に荷重が掛かったときに、プレート体31全体が面形状を保持したまま後方移動しうるように構成する。
この場合、ワイヤスプリング32のうち上側ワイヤスプリング32Aは、第九胸椎付近Xよりやや下方に位置させ、第九胸椎付近Xより斜め後側下方に掛かる荷重を支持するようにすると、一層、着座者の上体を有効に支持できて、好適である。
即ち、背凭フレーム3に板状支持材30を設けたことで、板状支持材30の上端から下端の何れかの部分の後方に後突感知体25を設ければ後突を感知できるようになる点、板状支持材30の上下中間部分は後方移動量が大きく後突のとき後突感知体25を大きく移動させて確実に後突を感知できる点、また、後突感知体25を上方に設けると、その部分の板状支持材30を所定量後方移動させることになって、着座者の上体の支持が不足してしまう点等の理由から、プレート体31の上下中間部分の後方に後突感知体25を位置させる。
したがって、板状支持材30による着座者の支持と、後突感知体25による後突の感知の確実性とを両立させられる。
前記突起部45にはワイヤーケーブル46のアウターチューブ(ケーブル外皮)47の先端を係止し、インナーケーブル48のケーブル先端48Aは前記上部屈曲部43の下側折り返し部49に係止する。ワイヤーケーブル46の基部は、任意箇所に設けた操作装置50に接続する。
ワイヤーケーブル46は、インナーケーブル48を牽引すると、インナーケーブル48のケーブル先端48Aを牽引し、このインナーケーブル48の牽引力が反力として作用してアウターチューブ47のチューブ先端47aを上下中央に引き寄せ、その結果、上下の上部屈曲部43と下側屈曲部51の距離が短くなって、調節部42の上下中間部分は前側に競り出し、着座者を前方に押す圧力を強くする。
反対に、48を弛めると、上下の上部屈曲部43と下側屈曲部51の距離が長くなって、調節部42の上下中間部分は後側に後退し、着座者を前方に押す圧力を弱くする。
したがって、調節部42は、調節部42全体を前側に押し出すのではなく、薄肉部44を設けた所定部分の調節部42を前後移動させて、着座者を前方に押す圧力を調節する。
そして、薄肉部44は着座者の所謂腸骨付近に設けると、着座者の腰部の疲労感を軽減あるいは着座者の体型の相違が大きい腰部分の圧力を調節できて好適である。
ヘッドレスト6のピラー8を支持するピラー支持部材11をヘッドレスト取付杆10に固定し、ヘッドレスト取付杆10の左右両側は夫々上側リンク杆15の上部に固定し、各上側リンク杆15の上下中間部は回動軸16により側部フレーム17に取付け、上側リンク杆15の下端部に伝動部材20の上部を取付け、伝動部材20の下部は上部を側部フレーム17に取付けた下側リンク26の上下中間部に軸着し、下側リンク26の下部に後突感知体25の左右両側を連結状態に取付けているから、後方から衝撃を受けて慣性で着座者が後方へ移動すると、後突感知体25が後方移動し、後突感知体25の後方移動により下側リンク26が回動して伝動部材20を下方に牽引し、伝動部材20は上側リンク杆15を回動軸16中心に下方回動させ、上側リンク杆15の上部は回動軸16中心に前方回動し、これによりヘッドレスト6は軸21中心に前方移動する。
したがって、ヘッドレスト6は上側リンク杆15により前方回動して頭部を支持し、むち打ち症防止効果を奏する。
この場合、上側リンク杆15の下リンクアーム部23は下方に至るに従い前側に位置するように、傾斜させているから、上側リンク杆15は伝動部材20を介して後突感知体25の後方移動を前方移動に変換してヘッドレスト6を前方移動させる。
そのため、上側リンク杆15は、ヘッドレスト6を前方移動させるのに、下リンクアーム部23を後方移動させるので、下リンクアーム部23の作動方向が後方から衝撃を受けた着座者の移動方向(後方移動)と同じになって、着座者の後方移動を妨げることはなく、むしろ有効に作動するように作用し、合理的な構成となる。
したがって、下リンクアーム部23は回動軸16中心に後方移動するので、上側リンク杆15の作動の際、下リンクアーム部23はクッション材4や表皮部材5を前側に押す必要がなく、確実に作動する。
しかして、下側リンク26は、その上部を回動軸28により側部フレーム17に取付け、その下部に後突感知体25を取付軸27により取付け、側部フレーム17と取付軸27の間に伝動部材20の下部を軸29により取付けているから、下側リンク26は、取付軸27を力点、回動軸28を支点、軸29を作用点として梃の原理で後突感知体25の後方移動させる作動力を倍加して軸29を牽引する。
また、下側リンク26は、通常は下方に至るに従い前側に位置するように、傾斜させているから、後方から衝撃を受けた後突の際、下側リンク26は回動軸28中心に後方回動する。
したがって、上側リンク杆15、伝動部材20、下側リンク26の作動機構Sは、その前側にクッション材4および表皮部材5が存在しても、作動方向が後側方向となるので、クッション材4および表皮部材5による圧力の干渉を避けられ、後突感知体25の移動をヘッドレスト6に伝達するのときロスを極力排除でき、作動を確実にする。
しかして、背凭シート2の背凭フレーム3には板状支持材30を設け、板状支持材30は略四角形の一枚板状に形成したプレート体31をワイヤスプリング32を介して背凭フレーム3に前後移動自在に取付けて構成しているから、板状支持材30は、保持したまま前後移動して着座者を支持する。
そのため、従来の上下に並設して「線」で支持するジグザグバネ構成に比して格段に着座感を向上させる。
また、板状支持材30のプレート体31は略四角形の一枚板状に形成しているから、プレート体31の所定部分にのみ掛かる荷重も、プレート体31全体が後方に移動することで上下左右に荷重を分散させ、確実に支持する。
即ち、例えば、上下にプレート体31を分割して形成すると、上下のプレート体31の間の部分に荷重が掛かったとき、上下のプレート体31は夫々回転して荷重を確実に支持できないことがあるが、本願は、略四角形の一枚板状のプレート体31により板状支持材30を形成しているので、上下中間に掛かる荷重も板状支持材30全体により確実に受け止めて支持する。
なお、プレート体31と後突感知体25の移動方向は同じであるから両者の関係において、互いに干渉し合う事態はなく、板状支持材30による着座者の支持と、後突感知体25による後突の感知の確実性とを両立させられ、合理的構成となる。
調節部42は、プレート体31と同様な合成樹脂により一体成形により形成し、調節部42の上下部には幅方向に後方に凹む上部屈曲部43および下側屈曲部51を形成しているから、プレート体31の調節部42の着座者を前方に押す圧力の強弱を調整可能となる。
調節部42の上下中間の所定位置には幅方向に厚さが薄くなる薄肉部44を形成し、薄肉部44の下方には後側に突き出る突起部45を形成し、突起部45にワイヤーケーブル46のアウターチューブ47の先端を係止し、インナーケーブル48のケーブル先端48Aは前記上部屈曲部43の下側折り返し部下側折り返し部49に係止しているから、ワイヤーケーブル46のインナーケーブル48を牽引すると、インナーケーブル48のケーブル先端48Aを牽引し、このインナーケーブル48の牽引力が反力として作用してアウターチューブ47のチューブ先端47aを上下中央に引き寄せる。
反対に、インナーケーブル48を弛めると、上下の上部屈曲部43と下側屈曲部51の距離が長くなって、調節部42の上下中間部分は後側に後退し、着座者を前方に押す圧力を弱くする。
この場合、調節部42の上下中間部分の所定位置には幅方向に厚さが薄くなる薄肉部44を形成しているから、上下の上部屈曲部43と下側屈曲部51の距離が短くなるときの力が薄肉部44に集中し、薄肉部44の部分から調節部42を折り曲げて前側に競り出させる。
そして、薄肉部44は着座者の所謂腸骨付近に設けると、着座者の腰部の疲労感を軽減あるいは着座者の体型の相違が大きい腰部分の圧力を調節できて好適である。
しかして、弾力調節機構40は、プレート体31の所定部分である調節部42を前方に移動させる構成であるから、背凭フレーム3に対するプレート体31の全体および後突感知体25との位置関係は変わらない。
即ち、プレート体31は背凭フレーム3にワイヤスプリング32を介して前後移動自在に取付けられているから、プレート体31の一部である調節部42を前側に移動させても、後方から衝撃を受けて慣性で着座者が後方へ移動したとき、プレート体31は後方移動し、プレート体31の後方移動により後突感知体25が共に後方移動する。
したがって、後突感知体25とリンク機構により後突時ヘッドレスト6を前方に移動させうるむち打ち対策機構を設けた車両用シート1でありながら、クッションの弾力を調節しうる弾力調節機構40を併設可能となる。
また、弾力調節機構40はプレート体31(調節部42)の裏側に、ワイヤーケーブル46のインナーケーブル48を設けているだけで構成されるから、この点でも、ワイヤーケーブル46の存在はプレート体31および後突感知体25の後方移動に全く影響しない。
したがって、弾力調節機構40は、プレート体31のクッション性の確保と後突感知体25の後突の感知の確実性に影響を与えることなく、着座者の体型や好みによって、プレート体31の前方押出力を調節可能となり、合理的な構成となる。
Claims (4)
- 少なくとも着座者の頭部を支持する頭部支持部7にピラー8を設けて構成したヘッドレスト6を、着座者の腰部付近後方に位置する背凭シート2内の後突感知体25とリンク機構を介して連結して、後突感知体25の後方移動によりヘッドレスト6を前方移動させて着座者の頭部を支持するように構成し、前記後突感知体25は前記リンク機構の一部を構成する下側リンク26により前記背凭シート2の背凭フレーム3に取付け、前記後突感知体25の前側には、略四角形の一枚板状に形成したプレート体31を前記後突感知体25とは独立して前記背凭シート2の背凭フレーム3にワイヤスプリング32を介して前後移動自在に取付けて構成した板状支持材30を設け、前記プレート体31は、その左右両側に縦のスリット41を形成し、該スリット41に挟まれた中央部分にプレート体31に対して前後に出入りする調節部42を一体形成して弾力調節機構40を構成した車両用シート。
- 請求項1において、前記弾力調節機構40は、調節部42の上下部には、後方に凹む断面V形状の上部屈曲部43と下側屈曲部51を形成し、該下側屈曲部51の上方所定位置に後側に突き出る突起部45を形成し、上部屈曲部43と下側屈曲部51の何れか一方に基部を操作装置に連結したワイヤーケーブル46のアウターチューブ47の先端を係止し、何れか他方にワイヤーケーブル46のインナーケーブル48の先端を係止した車両用シート。
- 請求項2において、前記弾力調節機構40は、調節部42の突起部45の上方の所定位置には厚さが薄くなる薄肉部44を幅方向に形成した車両用シート。
- 請求項3において、前記前後調節機構50の薄肉部44は前記後突感知体25より下方に設けて構成した車両用シート。
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