JP4737509B2 - 車両用シート - Google Patents
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このとき、頭部にも後突の慣性は作用し、頭部は重いために、頭部が後方移動すると、胸部は前側に浮き上がるようになり、ヘッドレストが頭部を支持しているときに可動フレームに掛かる荷重が減少し、一旦前方移動したヘッドレストが後側に戻って、十分な頭部の支持力を得られないという課題がある。
本願は、着座者の後方移動を感知してヘッドレストを前方移動させる構成でありながら、ヘッドレストによる頭部の支持を確実にしたものである。
本発明は、前記係合片51はヘッドレスト6のピラー8を固定したヘッドレスト取付杆10に係合するようにし、ヘッドレスト取付杆10は背凭フレーム3に設けた上側リンク杆15に固定し、前記係合片51には、前記ヘッドレスト取付杆10の復帰を許容する当接面55と、前記ヘッドレスト取付杆10の移動状態を保持する係合屈曲部53を夫々設け、係合片51が前記ヘッドレスト取付杆10に向かう回動方向を基準に前記係合屈曲部53は前下がり傾斜に、前記当接面55は後下がり傾斜に夫々形成した車両用シートとしたものである。
本発明は、前記後突感知体25の前側には、略四角形の一枚板状に形成したプレート体31を前記背凭シート2の背凭フレーム3に対して前後移動自在に取付けて構成した板状支持材30を設け、前記プレート体31の上部は背凭フレーム3の上部フレーム57に可及的に接近させた車両用シートとしたものである。
請求項2の発明では、通常時は当接面55がヘッドレスト取付杆10より退避して衝突の衝撃以外でヘッドレスト6が移動しても元の位置へ復帰を許容し、衝突されたときは係合片51の当接面55を越えて係合屈曲部53がヘッドレスト取付杆10に係合してヘッドレスト取付杆10の戻りを確実に防止する。
請求項3の発明では、ヘッドレスト6の戻りを防止して頭部支持状態を良好にすると共に、着座者の上体をプレート体31が支持し、極めて安定した姿勢で着座者を支持し、一層、むち打ち症予防の効果を向上させることができる。
背凭シート2の上部にはヘッドレスト6を設ける。ヘッドレスト6の構成は任意であり、少なくとも着座者の頭部を支持する頭部支持部7と、前記背凭シート2に装着するためピラー8とを設けて構成している。
ヘッドレスト6のピラー8は左右方向のヘッドレスト取付杆10に設けたピラー支持部材11に高さ調節自在に取付ける。ピラー8とピラー支持部材11の構成は公知であり、図示は省略するが、ピラー支持部材11に設けた係合部材を所望高さに位置させたピラー8に形成した係合凹部に選択的に係合させて保持すればよい。
前記ヘッドレスト取付杆10の左右両側は、前記ヘッドレスト6を前後に移動させる上側リンク杆15の上部に固定する。上側リンク杆15の上下中間部は回動軸16により背凭フレーム3の側部フレーム17に回動自在に取付ける。上側リンク杆15の下部には、伝動部材(ロッド)20の上部を軸21により取付ける。
しかして、背凭フレーム3には、後方から衝突された着座者が慣性によって後方移動することにより後方移動する後突感知体25を設ける。後突感知体25は、その両側を前記背凭フレーム3に設けた一対の下側リンク26の下部に取付軸27により取付ける。下側リンク26の上部は背凭フレーム3の側部フレーム17に回動軸28により回動自在に取付ける。下側リンク26の上下中間部には前記伝動部材20の下部を軸29により取付け、着座者の後方移動により後突感知体25が後方移動すると、このエネルギーが下側リンク26と伝動部材20を介して上側リンク杆15に伝達され、上側リンク杆15はこれによりヘッドレスト6を前方移動させ、着座者の頭部を支持する。
したがって、上側リンク杆15は、前記後突感知体25に移動量を増幅させてヘッドレスト6を前方移動させ、ヘッドレスト6の移動量を十分に確保でき、着座者の頭部の支持を確実にする。
しかして、前記下側リンク26および前記上側リンク杆15の各部材は板状に形成し、夫々、前記背凭フレーム3の左右側部フレーム17に取付けているので、左右の左右側部フレーム17の間には前記後突感知体25が位置するだけであり、着座者に着座時の違和感あるいは不快感を与えない。
しかして、背凭シート2の背凭フレーム3には、板状支持材30を設ける。板状支持材30は着座者の上体(腰部を含む上半身)を支持するものである。板状支持材30は着座者の上体を「面」で支持して、着座姿勢を安定させ、ヘッドレスト6による頭部の支持を良好にさせる。
前記板状支持材30は、略四角形の一枚板状のプレート体31により形成し、プレート体31は、ポリプロピレン等の合成樹脂により、着座者を支持しうる所定の強度を有しつつ、着座者からの後方荷重(体重の場合も含む)を受けたときある程度弾性変形しながら荷重支持するように構成すると、所謂「当たり」と呼ばれる背当たり時の感触を柔軟にできて、好適である。
この場合、前記ワイヤスプリング32は、所定の弾性を有しており、プレート体31に荷重が掛かったときに、プレート体31全体が面形状を保持したまま後方移動しうるように構成する。
しかして、前記プレート体31の上縁は、中央部が低い円弧形状の上側円弧部33に形成し、上側円弧部33は平均的着座者の第九胸椎付近Cより上方に位置させる。
この場合、ワイヤスプリング32のうち上側ワイヤスプリング32Aは、第九胸椎付近Cよりやや下方に位置させ、第九胸椎付近Cより斜め後側下方に掛かる荷重を支持するようにすると、一層、着座者の上体を有効に支持できて、好適である。
しかして、前記上側円弧部33を有するプレート体31の上側部分34の上側側縁35は、略直線状に形成して、上側部分34が略同一の左右幅を有するように形成する。これにより、上側部分34は着座者の上体を面状態で支持できる。
この場合、プレート体31のプレート中間部分36の後方に、後突感知体25を位置させる。
即ち、背凭フレーム3に板状支持材30を設けたことで、板状支持材30の上端から下端の何れかの部分の後方に後突感知体25を設ければ後突を感知できるようになる点、板状支持材30のプレート中間部分36は後方移動量が大きく後突のとき後突感知体25を大きく移動させて確実に後突を感知できる点、また、後突感知体25を上方に設けると、その部分の板状支持材30を所定量後方移動させることになって、着座者の上体の支持が不足してしまう点等の理由から、プレート中間部分36の後方に後突感知体25を位置させる。
したがって、板状支持材30による着座者の支持と、後突感知体25による後突の感知の確実性とを両立させられる。
即ち、骨盤の上部を形成する腸骨R部分近傍を腸骨支持部41により支持することで着座者の腰部を確実にホールドするようにしている。
同様に、着座者の仙骨S部分近傍を仙骨支持部43により支持することで着座者の腰部を確実にホールドする。
しかして、ワイヤスプリング32のうち下側ワイヤスプリング32Bは、前記腸骨支持部41よりも上側であって中間円弧部37の最幅狭部分より下方に位置させると、着座者の腰部を有効に支持できて、好適である。
即ち、上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bにより着座者の第九胸椎付近および骨盤・仙骨近傍を支持することにより、着座者の背中(腰)は上下2点で支持され、上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bの間の背骨に掛かる圧力を抑制することで、着座時の疲労を軽減させる作用効果が期待でき、好適である。
しかして、ワイヤスプリング32は、前記上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bの上下2本並設し、一枚板状のプレート体31は上下左右4箇所で支持されて、面状体で着座者を支持する。ワイヤスプリング32の上側ワイヤスプリング32Aと下側ワイヤスプリング32Bは、何れも左右両端部を背凭フレーム3に固定状態に取付け、その中間部は適宜上下方向に屈曲させた屈曲部44に形成し、屈曲部44によりプレート体31を面状態で支持するように構成する。
また、ワイヤスプリング32の左右中間部は、屈曲部44の所定部分を係止具45等の任意の構成により板状支持材30に固定する。
即ち、バネ18は上リンクアーム部22を下方回動させるように付勢し、バネ19は下側リンク26を下方回動させるように付勢する。
そして、ヘッドレスト6と背凭フレーム3との間には、後突時に頭部を支持するために前方移動したヘッドレスト6を、その位置に保持する保持機構50を設ける。
前記係合片51は、前板52の上部を後側に屈曲させて係合屈曲部53に形成し、前板52の左右側縁には側板54を一体状に設け、側板54の上部は前記ヘッドレスト取付杆10の前面が当接する当接面55に形成する。
側板54の下部は取付部56に形成し、取付部56を背凭フレーム3の上部フレーム57に取付軸58により前記移動軌跡Kに対して退避位置から係合位置に回動するように取付ける。
退避用バネ61の一端は係合片51の前板52の裏面に当接し、退避用バネ61の他端は、ブラケット60または上部フレーム57等の任意の固定部に当接させればよい。
しかして、ブラケット60には、係合片51の当接面55がヘッドレスト取付杆10の下降に影響しない位置で、係合片51の回動を停止させる回動ストッパ62を設ける。
係合片51は、通常、係合片51の上部の当接面55が移動前のヘッドレスト取付杆10の前面の前方に位置させるか、または、ヘッドレスト取付杆10の前面に当接させる。
即ち、係合片51の係合屈曲部53がヘッドレスト取付杆10の下面に係合すると、この状態を保持するが、加速を伴なわない荷重によるヘッドレスト取付杆10の上動した場合で、しかも、係合片51の係合屈曲部53が退避用バネ61に抗して回動したときでも、前方移動したヘッドレスト6を元に復帰させられるように(図9から図7に戻る)、退避用バネ61および回動ストッパ62により係合屈曲部53をヘッドレスト取付杆10の下面に係合させないように構成する。
したがって、係合屈曲部53は前下がり傾斜に、当接面55は後下がり傾斜に夫々形成し、係合屈曲部53と当接面55の境界を死点Mとし(図9)、この死点M位置と、後突で上動するであろうヘッドレスト取付杆10の下面高さとを一致させて(図9)、が死点M位置を乗り越えて係合屈曲部53がヘッドレスト取付杆10の下面に当接すると(図9)、所謂死点越えとなって、係合片51とヘッドレスト取付杆10とは互いにロックする。
しかして、ブラケット60または上部フレーム57には、後突のときに質量による慣性によって回動した係合片51をヘッドレスト取付杆10の下面に係合する位置で停止させるストッパ63を設ける。
したがって、係合片51の係合屈曲部53がヘッドレスト取付杆10の下面に係合するのを確実にさせる。
背凭シート2の背凭フレーム3には板状支持材30を設け、板状支持材30は略四角形の一枚板状に形成したプレート体31をワイヤスプリング32を介して背凭フレーム3に前後移動自在に取付けて構成しているから、板状支持材30は、保持したまま前後移動して着座者を支持する。
また、板状支持材30のプレート体31は略四角形の一枚板状に形成しているから、プレート体31の所定部分にのみ掛かる荷重も、プレート体31全体が後方に移動することで上下左右に荷重を分散させ、確実に支持する。
即ち、例えば、上下にプレート体31を分割して形成すると、上下のプレート体31の間の部分に荷重が掛かったとき、上下のプレート体31は夫々回転して荷重を確実に支持できないことがあるが、本願は、略四角形の一枚板状のプレート体31により板状支持材30を形成しているので、上下中間に掛かる荷重も板状支持材30全体により確実に受け止めて支持する。
したがって、ヘッドレスト6は上側リンク杆15により前方回動して頭部を支持し、むち打ち症防止効果を奏する。
したがって、板状支持材30による着座者の支持と、後突感知体25による後突の感知の確実性とを両立させられ、合理的構成となる。
しかして、前記上側リンク杆15および下側リンク26は、バネ18およびバネ19によりヘッドレスト6が常時後方移動するように、付勢されている。
そのため、バネ18およびバネ19の弾力より強い(大きい)衝撃による慣性が生じたときに、ヘッドレスト6が前方移動するが、同時に着座者の頭部にも慣性力が作用して前方移動したヘッドレスト6を元の位置に戻そうと作用することになる。
本願では、ヘッドレスト6と背凭フレーム3との間には、後突時に頭部を支持するために前方移動したヘッドレスト6を、その位置に保持する保持機構50を設けているから、後突時の前方移動したヘッドレスト6は保持機構50によりそのまま保持され、確実に頭部を支持する。
したがって、むち打ち症防止効果を、一層、確実に奏する。
しかして、保持機構50は、係合片51と、該係合片51をヘッドレスト取付杆10から退避させる退避用バネ61とにより構成し、係合片51はヘッドレスト6を背凭フレーム3に取付けたヘッドレスト取付杆10の通常位置から後突時の前方移動位置までの移動軌跡移動軌跡Kに、出入りするように設けているから、通常時では図7のように、係合片51の当接面55がヘッドレスト取付杆10に当接して移動軌跡Kより退避している。
即ち、保持機構50の係合片51は、背凭フレーム3の上部フレーム57に下部を取付軸58により移動軌跡Kに向けて回動するように取付けているから、ヘッドレスト取付杆10の移動前の係合片51は移動軌跡Kより退避し、後突時には移動軌跡Kに向けて回動してヘッドレスト取付杆10に係合する。
しかして、後突前の係合片51はヘッドレスト取付杆10の正面前方に退避しており、後突感知体25に静的な荷重(加速されていない力)か掛かって後方移動すると、リンク機構L(上側リンク杆15、伝動部材20、下側リンク26)が動き代を伝達してヘッドレスト取付杆10を上動させることがあるが(図8)、このときにも、係合片51をヘッドレスト取付杆10の下面に係合させると、ヘッドレスト取付杆10を元の位置に戻すことができず、ヘッドレスト6は使用できないことになる。
したがって、後突感知体25が静的な荷重(加速されていない力)により後方移動した場合は、係合片51を初期状態に復帰させ、ヘッドレスト6も元に位置に戻すことができ、ヘッドレスト6の使用不可能状態を回避する。
この場合、ヘッドレスト取付杆10は断面丸形状に形成すると、ヘッドレスト取付杆10と係合片51の当接面55との接触面積を小さくし、ヘッドレスト取付杆10の移動および係合片51の回動を確実にして、好適である。
このとき、ヘッドレスト取付杆10の下面は係合片51の当接面55を越えて係合屈曲部53に当接するから(図10)、係合片51の元の位置への回動は、ヘッドレスト取付杆10の存在により停止する。
即ち、係合屈曲部53は前下がり傾斜に形成し、当接面55は後下がり傾斜に形成し、退避用バネ61が回動ストッパ62に当接した位置より係合片51が回動するとき、ヘッドレスト取付杆10の下面は当接面55を乗り越えて係合屈曲部53に係合し、所謂死点M(係合屈曲部53と当接面55の境界)越えとなり、互いにロックする。
なお、仮に、ヘッドレスト取付杆10の下面に係合片51の係合屈曲部53が係合して、保持機構50がロックしても、ヘッドレスト6を手動操作により前方移動させて、ヘッドレスト取付杆10を係合片51の係合屈曲部53より上方に持ち上げると、退避用バネ61の弾力で係合片51の係合屈曲部53はヘッドレスト取付杆10の下方の復帰可能位置に位置し(図8)、この状態でヘッドレスト6を戻すと、ヘッドレスト取付杆10が下降して係合片51の当接面55に当接して係合片51を退避させ、ヘッドレスト取付杆10と係合片51は夫々元の位置に復帰する(図7)。
Claims (3)
- 少なくとも着座者の頭部を支持する頭部支持部7にピラー8を設けて構成したヘッドレスト6を、リンク機構Lを介して背凭フレーム3に前移動可能に取付け、着座者の腰部付近後方に位置する前記背凭フレーム3には慣性による着座者の後方移動を感知する後突感知体25を設け、該後突感知体25とヘッドレスト6のリンク機構Lとは、後突感知体25の後方移動によりヘッドレスト6を前方移動させて着座者の頭部を支持するように連結し、前記ヘッドレスト6と背凭フレーム3との間には、後突時に頭部を支持する位置に前方移動したヘッドレスト6を、その位置に保持する係合片51を有する保持機構50を設け、前記係合片51は背凭フレーム3の上部フレーム57に設けたブラケット60に取付軸58により回動自在に取付け、前記係合片51は前記後突感知体25の後方移動により前記ヘッドレスト6が前方移動するほどの慣性が生じたときには、この後突時の慣性力が前記係合片51自体の質量に作用して前記リンク機構Lの一部またはヘッドレスト6に係合して前方移動したヘッドレスト6をそのまま保持させるように構成し、前記取付軸58には係合片51の当接面55が前記リンク機構Lの一部またはヘッドレスト6のヘッドレスト取付杆10より退避するように付勢する退避用バネ61を設け、前記ブラケット60に所定位置で前記係合片51の退避回動を停止させる回動ストッパ62を設けた車両用シート。
- 請求項1において、前記係合片51はヘッドレスト6のピラー8を固定したヘッドレスト取付杆10に係合するようにし、ヘッドレスト取付杆10は背凭フレーム3に設けた上側リンク杆15に固定し、前記係合片51には、前記ヘッドレスト取付杆10の復帰を許容する当接面55と、前記ヘッドレスト取付杆10の移動状態を保持する係合屈曲部53を夫々設け、係合片51が前記ヘッドレスト取付杆10に向かう回動方向を基準に前記係合屈曲部53は前下がり傾斜に、前記当接面55は後下がり傾斜に夫々形成した車両用シート。
- 請求項1または請求項2において、前記後突感知体25の前側には、略四角形の一枚板状に形成したプレート体31を前記背凭シート2の背凭フレーム3に対して前後移動自在に取付けて構成した板状支持材30を設け、前記プレート体31の上部は背凭フレーム3の上部フレーム57に可及的に接近させた車両用シート。
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